Final Report JNC/ANL Collaborative Program for Evaluation of Irradiated EBR-2 Stainless Steel
「FBR-II炉心構成材の照射効果評価」に関するJNC/ANL共同研究最終報告書
Tsai, H.*; Allen, T. R.*; Cole, J. I.*; Strain, R. V.*; 吉武 庸光
; 堂野前 貴子
; 赤坂 尚昭; 水田 俊治
; 鵜飼 重治
; 宮川 俊一
Tsai, H.*; Allen, T. R.*; Cole, J. I.*; Strain, R. V.*; Yoshitake, Tsunemitsu; Donomae, Takako; Akasaka, Naoaki; Mizuta, Shunji; Ukai, Shigeharu; Miyakawa, Shunichi
高速炉炉心材料として使用されるオーステナイト鋼の高速中性子照射損傷に及ぼす低はじき出し損傷速度の影響を評価することを目的として、1997年 4月から 4年にわたってサイクル機構と米国アルゴンヌ国立研究所との間で、米国の高速実験炉EBR-IIの反射体ラッパ管として照射された316ステンレス鋼12%冷間加工材の照射挙動評価に関する共同研究を実施した。供試材の照射条件は、はじき出し損傷速度1.0
10E(-8)
5.8
10E(-7)dpa/s、照射温度374
444
、はじき出し損傷量最大 56dpaであり、スエリング挙動及び引張強度・延性特性を評価した。本研究で得られた主な結果は以下のとおりである。(1)スエリングの潜伏期は約30dpaであり、スエリング量は最大で約1.6%であった。また、スエリング速度は1%/dpaに達していなかった。損傷量の増加に伴いボイドサイズとボイド数密度は増加したが、顕著な損傷速度の影響は見られなかった。(2)引張特性については、照射のごく初期の段階から明確な照射硬化が生じた。照射硬化に伴い、伸びの減少が見られた。しかしながら、照射硬化が生じた場合においても材料はかなりの延性(430
、30dpaにおいて全伸びが8%以上)を維持しており、破壊形態は延性破壊であった。引張特性は主として損傷量に影響を受け、損傷速度の影響は見られなかった。(3)引張特性と微細組織の相関を考察した結果、低い損傷量域では、照射硬化の主要因は転位ループであると推察された。この転位ループによる寄与分は、大きな温度の影響は受けないと考えられる。損傷量の増大につれて、転位ループの寄与は小さくなり、ボイドによる寄与が大きくなることが分った。本試験結果から、56dpaよりも高損傷領域ではボイドが照射硬化の最も支配的な因子となることが推察された。
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