低エネルギー電子線を用いた白金ナノ粒子の生成と触媒反応への応用

Preparation of nano-sized platinum particles using low energy electron beams, and application to catalytic reaction

五十住 幸大; 箱田 照幸; 山本 春也; 有谷 博文*; 吉川 正人

Isozumi, Yukihiro; Hakoda, Teruyuki; Yamamoto, Shunya; Aritani, Hirofumi*; Yoshikawa, Masahito

触媒能を有する貴金属ナノ粒子の作製方法として、貴金属イオン水溶液の表面に高密度電子層を誘発する低エネルギー電子線を用いた放射線還元法の有効性を調べた。高線量率照射が実現できる55keVの電子線を用いて、酸化種の補足剤であるエタノールを含む0.5mMの白金(Pt)イオン水溶液10mLを照射し、Ptイオンの還元、Pt粒子の生成、得られた粒子の触媒能を調べた。その結果、電子線照射により水溶液表層でしか還元反応が進行しないにもかかわらず、水溶液全体でPtイオンの還元反応が進行し、一次粒子として2から5nmの白金ナノ粒子が生成することがわかった。このPtナノ粒子を三酸化タングステン粉体に担持させて1%水素に接触させると、青く変色してガスクロミック性能を示した。このことから、得られたPtナノ粒子には、水素を解離する触媒能があることが確かめられ、低エネルギー電子線によりPtイオン水溶液の表層に形成された高密度電子層を利用した放射線還元法が、水素解離能を有する5nm未満の白金ナノ粒子を再現性よく作製する技術として有効であることがわかった。

In the present study, the reduction of PtCl ions and subsequent formation of Pt particles were examined for a few tens keV EB irradiation of PtCl ion solution in the presence of 1-20wt% ethanol as an OH radical scavenger. As a result, the reduction of PtCl ions proceeded in whole solution by irradiating only the topmost surface layer of the solution, and these Pt particles with sizes of 2-5 nm would be produced as primary particles through reduction of PtCl ions. Moreover, these Pt particles were observed to have hydrogen dissociation activity and oxidation activity.