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C$$_{60}$$イオン照射によって形成された非晶質SiN薄膜中のイオントラックの膜厚依存性

Thickness dependence of length of ion tracks induced in amorphous SiN membranes by bombardment of C$$_{60}$$ ions

中嶋 薫*; 森田 陽亮*; 北山 巧*; 鈴木 基史*; 木村 健二*; 鳴海 一雅; 齋藤 勇一; 辻本 将彦*; 磯田 正二*

Nakajima, Kaoru*; Morita, Yosuke*; Kitayama, Takumi*; Suzuki, Motofumi*; Kimura, Kenji*; Narumi, Kazumasa; Saito, Yuichi; Tsujimoto, Masahiko*; Isoda, Shoji*

物質にイオンを照射すると、入射イオンの経路やその周辺領域において物質の密度や構造が変化することがある。こうしたイオン照射痕跡をイオントラックと呼ぶ。これまでのイオントラックに関する研究は、その形成に大きなエネルギー付与を必要とするため数百MeVからGeVに及ぶ極めて高いエネルギーの重イオンを用いて行われてきた。また、イオントラックの直径などの形状観察を行う場合には、単結晶試料を使い、照射による結晶性の変化を透過型電子顕微鏡(TEM)などで観察する手法が主であった。これに対して、最近我々は数百keVのC$$_{60}$$イオンを非晶質のSiN薄膜、SiO$$_{2}$$薄膜に照射(阻止能は200MeVのAuイオンの場合にほぼ相当する)し、形成されたイオントラックをTEMで直接観察することに成功した。さらに高角度暗視野走査型透過電子顕微鏡(HAADF-STEM)観察により、そのイオントラックの密度が中心部で大きく低下する一方、周辺部でわずかに上昇しているコア-シェル構造であることを明らかにした。本発表では、SiN薄膜に形成されたイオントラックの長さに着目し、その膜厚に対する依存性を調べた結果、照射したC$$_{60}$$イオンのエネルギーが同じでも、膜が厚いほどイオントラックが短くなる傾向が観測されたことを報告する。この傾向は、イオンが与えたエネルギーが熱化した際、膜の厚さによってトラック末端での熱伝導が異なることに起因しているものと考えられる。

no abstracts in English

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