DNA damage induction induced by K-shell ionization and succeeding Auger effect

K殻イオン化とこれに続くオージェ効果により誘発されるDNA損傷

横谷 明徳; 菅谷 雄基* ; 岡 壽崇*   ; 鵜飼 正敏*; 藤井 健太郎

Yokoya, Akinari; Sugaya, Yuki*; Oka, Toshitaka*; Ukai, Masatoshi*; Fujii, Kentaro

シンクロトロン放射を分光して得られる軟X線を利用し、特定元素の内殻イオン化とこれに続くAuger効果により誘発されるDNA損傷過程を、分光学的手法と生化学的手法を組み合わせることで調べている。これまでに、DNAの特定部位に存在する酸素のK殻イオン化に注目し、DNA損傷の前駆体と考えられる不対電子種とDNAの化学的な損傷を調べた。その結果、光電子放出が起こらない内殻励起状態(1価イオン)を誘起した場合には不対電子種の収率は増加するものの、損傷の誘発頻度は逆に下げることが明らかになった。このことから、不対電子を持つラジカル状態は必ずしも最終的な損傷とは相関せず、Auger効果による2価イオンの生成とこれに起因するクーロン爆発による化学結合の解離が、損傷の誘発には重要であることを示唆している。

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