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鮮新世$$sim$$第四紀深成岩体の固結年代・深度に基づいた飛騨山脈黒部地域の削剥史

Exhumation history of the Kurobe area, Hida Range, based on solidification ages and depths of the Pliocene-Quaternary plutons

末岡 茂   ; 河上 哲生*; 鈴木 康太*; 鏡味 沙耶   ; 横山 立憲   ; 芝崎 文一郎*; 長田 充弘   ; 山崎 あゆ*; 東野 文子*; King, G. E.*; 塚本 すみ子*; Herman, F.*; 田上 高広*

Sueoka, Shigeru; Kawakami, Tetsuo*; Suzuki, Kota*; Kagami, Saya; Yokoyama, Tatsunori; Shibazaki, Bunichiro*; Nagata, Mitsuhiro; Yamazaki, Ayu*; Higashino, Fumiko*; King, G. E.*; Tsukamoto, Sumiko*; Herman, F.*; Tagami, Takahiro*

飛騨山脈黒部地域には、世界一若い露出プルトンである黒部川花崗岩体を含め、10-0.8Maの若い深成岩体が複数露出する。深成岩体が一般に地下数km以深で形成されることを考えると、削剥速度は数mm/yrないしそれ以上に達する可能性がある。しかし、これらの若い岩体の貫入やこれに伴う熱水活動等の熱擾乱のため、熱年代法による、冷却史に基づく削剥史の復元は簡単ではない。本研究では、地熱条件に依らない削剥評価のため、主に鮮新世から第四紀の深成岩体の固結年代と固結深度から、黒部地域の削剥史の復元を試みた。固結年代はジルコンU-Pb年代測定法、固結深度はAl-in-Hbl地質圧力計により推定した。計14試料から固結年代と固結深度のペアを得た結果、固結深度は約6-10kmでほぼ均一で、東西及び南北のいずれにも系統的な変化を示さなかった。この結果は、黒部-高瀬川破砕帯の東側の断層ブロックが、東に傾動したと考える従来のモデルとは不調和である。固結深度と固結年代のプロットから復元された削剥史は、約5.5-0.8Maにはほとんど削剥が起こらず、それ以降の時代に平均で約7-14mm/yrの急速な削剥が起こったことを示した。この結果は、ダム堆砂量や宇宙線生成核種法から推定された数十から数千年程度の侵食速度や、約1Ma以降に信濃大町方面で黒部地域からの花崗岩礫の供給が急増したことと矛盾しない。0.8Ma以降の黒部地域の急速な隆起・削剥の原因としては、東西圧縮応力の発現以降、黒部地域の地温が高い領域に沿って変位・変形が局在化した可能性が考えられ、現在、レオロジーと地温構造を考慮した変形シミュレーションによる検証を進めている。

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