日本の山岳地域におけるESR熱年代学の適用; 試料の前処理によるESR信号への影響の評価

Application of ESR thermochronology for mountains in Japan; An Assessment of ESR signal variation caused by sample preparation

梶田 侑弥*; 末岡 茂   ; 谷 篤史*; 磯谷 舟佑*; 田上 高広*

Kajita, Yuya*; Sueoka, Shigeru; Tani, Atsushi*; Isotani, Shusuke*; Tagami, Takahiro*

近年、低温熱年代学の手法を用いて、若い島弧である日本列島の山地の隆起・削剥史の推定が可能になってきた。電子スピン共鳴(ESR)法は、超低温熱年代計として期待される手法の1つであるが、応用研究は未だに少数であり、熱年代計としてのESR法の妥当性の検証を含め、研究事例の蓄積が求められる。本研究では、ESR熱年代学の日本の山岳地域への適用の前段階として、試料の前処理が年代値に及ぼす影響について検討するため、天然試料および人工石英を用いた露光・粉砕実験を実施した。実験室内における3日間の光曝露実験では、ESRシグナル強度に変化は観察されなかった。一方、試料の粉砕実験では、粉砕過程及び粉砕器具の違いがシグナル強度に影響する可能性が示唆された。今後の検討手段として、プレヒートの実施、天然試料を用いた粉砕の影響評価、Selfragを利用した粒子破壊を伴わない岩石粉砕手法との比較などが挙げられる。

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