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奥野 充*; 長岡 信治*; 國分 陽子; 中村 俊夫*; 小林 哲夫*
福岡大学理学集報, 48(1), p.1 - 5, 2018/03
中部九州の九重火山群は、20座以上の溶岩ドームと小型の成層火山からなる複成火山である。黒岳溶岩ドームは、体積約1.6kmと最大であり、黒岳火砕流堆積物(Kj-Kd)と黒岳降下火山灰(Kj-KdA)を伴う。本研究では黒岳溶岩ドームの噴火年代を確認するため、Kj-Kdの炭化樹幹の放射性炭素(C)年代を日本原子力研究開発機構東濃地科学センターの加速器質量分析装置を用いて測定した。得られたC年代は150540 BP (JAT-8677、C=-23.8‰)で、暦年較正すると1310-1423cal BP (74.6%)、1430-1442cal BP (2.4%)、1456-1521cal BP (23.0%)、その中央値は1391cal BPである。この結果はKj-KdAの下位にある阿蘇N2テフラ(約1.5cal ka BP)との層位関係とも整合的であることから、より信頼できるKj-Kdの噴火年代であると考えられる。
奥野 充*; 長岡 信治*; 國分 陽子; 中村 俊夫*; 小林 哲夫*
Radiocarbon, 59(2), p.483 - 488, 2017/00
被引用回数:3 パーセンタイル:13.88(Geochemistry & Geophysics)九州,九重火山群の中央及び西側における噴火史を明らかにするため、火砕流堆積物の加速器質量分析による放射性炭素年代測定を行った。放射性炭素年代測定は、施設供用制度に基づきJAEA-AMS-TONOで行った。飯田火砕流堆積物の放射性炭素年代は、5.35万年BPであり、白丹及び室火砕流のものは4.45万年BP以上及び3.53.9万年BPであった。これらの結果は、溶岩ドームの熱ルミネッセンス年代と一致し、熱ルミネッセンス及び放射性炭素年代法が、溶岩ドームの形成や火砕流の噴火過程を明らかにするために有用な手段となりうることを示した。また、これらの結果により、これらの噴火活動が15万年間で最も大きな噴火である飯田火砕流の後にあまり期間をおかず発生したこともわかった。
Mirabueno, M. H. T.*; 鳥井 真之*; Laguerta, E. P.*; Delos Reyes, P. J.*; 藤木 利之*; Bariso, E. B.*; 奥野 充*; 中村 俊夫*; 檀原 徹*; 國分 陽子; et al.
地学雑誌, 123(5), p.751 - 760, 2014/10
フィリピン、イロシンカルデラ内のIRBH-2で、深度50mのコア試料を0.5mごとに採取して記載した。泥炭質堆積物(深度約710m)から植物片の放射性炭素年代をAMS法により1.11.8kBPを得た。コア試料中では、ラハールと河川堆積物が多く認められた。深度12mまでは、安山岩質の河川堆積物と少量のラハールからなる。深度2050mの間に、8枚の降下テフラが挟まっている。テフラの屈折率測定から、後カルデラ火山の活動は、安山岩質デイサイト質が主で、流紋岩質の噴火が少量起こったことが示された。流紋岩質テフラとイロシン火砕流の岩石記載学的特徴の類似性は、後カルデラ火山の活動期でも、イロシンカルデラ起源のマグマの噴火がおこったことを示す。上位の火山性堆積物は、得られた放射性炭素年代もあわせて考慮すると、ブルサン火山複合体で唯一活動的であるブルサン火山からもたらされたものと考えられる。
奥野 充*; 中村 俊夫*; 下司 信夫*; 木村 勝彦*; 國分 陽子; 小林 哲夫*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 294, p.602 - 605, 2013/01
被引用回数:4 パーセンタイル:32.87(Instruments & Instrumentation)屋久島の北側に位置する永田川,一湊川,宮之浦川に沿う軽石質堆積物から樹幹を採取し、加速器質量分析法(AMS)による放射性炭素年代測定を行った。得られたC年代は、約6500BPであり、また、軽石質堆積物の地質学的特長から、これらは鬼界カルデラのアカホヤ噴火によって埋没したことがわかった。しかし、これらは炭化されていないことから、これらの堆積物が火砕流により堆積したものではなく、津波によるものだと思われる。また、樹幹試料から14の樹種が同定できた。この結果は、破壊的な噴火前の屋久島の森林に生育していた樹木の種構成を示す初のデータである。
正木 圭; 田辺 哲朗*; 広畑 優子*; 大矢 恭久*; 柴原 孝宏*; 林 孝夫; 杉山 一慶*; 新井 貴; 奥野 健二*; 宮 直之
Nuclear Fusion, 47(11), p.1577 - 1582, 2007/11
被引用回数:14 パーセンタイル:45.1(Physics, Fluids & Plasmas)本研究では、炉内の水素同位体残留量の定量評価及び残留過程を明らかにすることを目的として、従来のダイバータ領域に加え、第一壁及びプラズマから影の部分における炭素の損耗/再堆積分布及び水素同位体蓄積分布を評価した。真空容器内全体でプラズマ対向壁を観察した結果、おもに外側ダイバータ及び上部第一壁が損耗領域であり、内側ダイバータ及び内側第一壁が堆積領域であった。トロイダル方向の対称性を仮定したダイバータ領域全体の損耗/再堆積量は損耗量0.34kg、再堆積量(ダスト含む)0.55kgであり、この差0.21kgが第一壁領域の損耗が寄与していると考えられる。また、最も厚い再堆積層(内側ダイバータ)に蓄積された水素同位体蓄積濃度を評価した結果、(H+D)/C0.02であった。真空容器ベーキング温度を150Cに下げた運転後、プラズマから影の部分であるダイバータ下部を調べた結果、約2mの堆積層があり(H+D)/Cが約0.8と高いことがわかった。しかし、この領域における炭素堆積率は、810 atoms/sとタイル表面の炭素堆積率(610 atoms/s)と比較すると約一桁小さい値であった。
大矢 恭久*; 広畑 優子*; 中畑 俊彦*; 須田 泰市*; 吉田 雅史*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; 田辺 哲朗*
Fusion Science and Technology, 52(3), p.554 - 558, 2007/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで用いられた第一壁グラファイトタイル表面の水素同位体蓄積挙動を評価するために、SEM, TDS, XPS及びSIMSを用いて、主要なタイルの堆積・損耗分布及び水素同位体蓄積量を調べた。その結果、第一壁上側は厚いボロン膜に覆われていた。一方、第一壁下側ではボロンと炭素の混合膜が形成していた。ポロイダル方向の重水素分布は比較的均一であることがわかったが、TDSによる重水素脱離挙動はタイルの位置により大きく異なっていた。第一壁上側では厚いボロン膜に覆われており、重水素TDSスペクトルは第一壁下側のボロン濃度が低い膜中の重水素脱離温度と比べて低い温度で放出ピークが観測された。また、第一壁タイルにおけるD/H比はダイバータタイルで測定されたD/H比よりも明らかに大きく、第一壁へのNBIによる高エネルギーの重水素の打ち込みによる影響が考えられた。さらに、ダイバータと比較して第一壁では放電実験中の温度が573Kと低いため、打ち込まれた重水素の脱離が少なく、D/H比が高くなったと推察された。
広畑 優子*; 田辺 哲朗*; 大矢 恭久*; 奥野 健二*; 正木 圭; 宮 直之; JT-60Uチーム
Journal of Nuclear Materials, 363-365, p.854 - 861, 2007/06
被引用回数:11 パーセンタイル:61(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uの両側排気方式ダイバータ領域における炭素堆積・損耗及び水素同位体の保持特性について走査型顕微鏡,昇温脱離法,二次イオン質量分析計,イメージングプレート法及び燃焼法を用いて測定した。その結果を以下にまとめる。(1)JT-60Uのダイバータ領域ではおもに内側ダイバータ及び外側ドームウィングタイルで炭素堆積が見られ、外側ダイバータタイルでは損耗していた。(2)ダイバータタイルのプラズマ対向面のH+Dの保持量は堆積層の厚さに比例して増加した。その水素濃度(H+D)/Cは約0.02であり、片側排気の内側ダイバータタイルやJT-60とほぼ同程度であり、JETやほかの低温で運転されている装置(0.40.1)よりも小さかった。(3)外側ドームウィングタイルの排気口に面しているタイル上には厚い再堆積層が存在していた。しかし、その濃度は大きく見積もっても0.13であった。(4)H+D保持量のポロイダル側面の分布は外側ドームウィングの排気口に面している以外は少なかった。(5)H+D保持量のトロイダル側面の分布は、面によって約2倍の違いがあったが、堆積膜の膜厚によって強く影響を受けていた。
正木 圭; 田辺 哲朗*; 広畑 優子*; 大矢 恭久*; 柴原 孝宏*; 林 孝夫; 杉山 一慶*; 新井 貴; 奥野 健二*; 宮 直之
Proceedings of 21st IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2006) (CD-ROM), 8 Pages, 2007/03
本研究では、炉内の水素同位体残留量の定量評価及び残留過程を明らかにすることを目的として、従来のダイバータ領域に加え、第一壁及びプラズマから影の部分における炭素の損耗/再堆積分布及び水素同位体蓄積分布を評価した。真空容器内全体でプラズマ対向壁を観察した結果、おもに外側ダイバータ及び上部第一壁が損耗領域であり、内側ダイバータ及び内側第一壁が堆積領域であった。トロイダル方向の対称性を仮定したダイバータ領域全体の損耗/再堆積量は損耗量0.34kg、再堆積量(ダスト含む)0.55kgであり、この差0.21kgが第一壁領域の損耗が寄与していると考えられる。また、最も厚い再堆積層(内側ダイバータ)に蓄積された水素同位体蓄積濃度を評価した結果、(H+D)/C0.02であった。真空容器ベーキング温度を150Cに下げた運転後、プラズマから影の部分であるダイバータ下部を調べた結果、約2mの堆積層があり(H+D)/Cが約0.8と高いことがわかった。しかし、この領域における炭素堆積率は、810atoms/sとタイル表面の炭素堆積率(610atoms/s)と比較すると約一桁小さい値であった。
柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 広畑 優子*; 大矢 恭久*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 大西 祥広*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 357(1-3), p.115 - 125, 2006/10
被引用回数:20 パーセンタイル:78.77(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UのW型ダイバータで、重水素放電に曝された炭素材タイルからポロイダル方向に試料をサンプリングし、昇温脱離(TDS)実験を行うことでタイル中の水素同位体の蓄積量をTDS及びSIMSで評価した。外側ダイバータタイルは、厚い再堆積層に覆われており、その再堆積層中の水素濃度は場所によらずほぼ一定で(D+H)/Cの原子比で約0.03であった。このように水素濃度が低いのはタイル表面の再堆積層がプラズマ入熱によりかなり温度があがっていたためである。DD放電終了後トリチウム除去のために行われたHH放電により、さらに再堆積層の厚さが増加するとともに、先に蓄積されていたDの一部はHに置き換えられていることがわかった。放電中の温度の上昇,ダイバータの幾何学的構造が水素の蓄積に大きな影響を持つことを明らかにした。
柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 廣畑 優子*; 大矢 恭久*; 小柳津 誠*; 吉河 朗*; 大西 祥広*; 新井 貴; 正木 圭; 奥野 健二*; et al.
Nuclear Fusion, 46(10), p.841 - 847, 2006/10
被引用回数:18 パーセンタイル:52.36(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60でダイバータタイルとして使用され、軽水素放電に曝された黒鉛タイルからポロイダル方向に試料をサンプリングし、昇温脱離(TDS)実験を行うことでタイル中の水素蓄積量を評価した。なお、タイルのプラズマ対向面のほとんどは再堆積層で覆われていた。得られたTDSスペクトルの構造は、再堆積層の非常に薄い試料を除けば試料による差は少なく、タイル中に蓄積されていた水素の大部分は水素分子の形態で、970K付近に脱離のピークが存在した。全脱離水素量は再堆積層の厚さにほぼ比例していた。この結果は、ほとんどの水素原子が再堆積層中に均一に蓄積されていたことを示している。求めた水素濃度はH/C=0.03となり、飽和水素濃度(H/C=0.4-1.0)に比べて非常に低かった。水素濃度が低くなった原因として、水素蓄積時に再堆積層の温度が関係していたと考えられ、壁温度を高くすることで水素蓄積量を大幅に減少できる。
大矢 恭久*; 廣畑 優子*; 田辺 哲朗*; 柴原 孝宏*; 木村 宏美*; 小柳津 誠*; 新井 貴; 正木 圭; 後藤 純孝*; 奥野 健二*; et al.
Fusion Engineering and Design, 75-79, p.945 - 949, 2005/11
被引用回数:9 パーセンタイル:53.1(Nuclear Science & Technology)JT-60Uの内側ダイバータ中の水素と重水素の分布及び滞留量を二次イオン質量分析法(SIMS)及び昇温脱離法(TDS)、また再堆積層の有無及び厚みを走査電子顕微鏡(SEM)を用いて評価した。その結果、ほとんどの水素及び重水素は再堆積層(HH再堆積層またはDD再堆積層)に滞留していた。重水素放電時に高い熱出力があったため、DD再堆積層中の重水素はHH再堆積層中の水素よりもかなり少なかった。再堆積層が存在しない排気ポート近くでは表面近傍に重水素がおもに存在し、これが主要な水素のプロファイルとなっていた。これらの結果から推定されるトリチウムの滞留挙動は放電履歴及び温度に強く影響されることが明らかとなった。グラファイトタイルや再堆積層中のトリチウム滞留量は、核融合炉運転中の温度を上げることによって大幅に低減することが可能であると言える。
廣畑 優子*; 柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 大矢 恭久*; 新井 貴; 後藤 純孝*; 正木 圭; 柳生 純一; 小柳津 誠*; 奥野 健二*; et al.
Fusion Science and Technology, 48(1), p.557 - 560, 2005/07
被引用回数:3 パーセンタイル:24.17(Nuclear Science & Technology)JT-60Uで重水素と水素放電に曝されたダイバータタイル中の水素同位体保持特性を昇温脱離法と二次イオン質量分析法で測定した。JT-60Uのタイルから放出する主な気体はH2, HD, D2とCH4であった。内側ダイバータタイルの水素同位体保持量は、再堆積層の厚さに比例して増加した。この直線の勾配より求めた再堆積層中の水素濃度は約0.02で、JT-60で水素放電に曝されたタイルの値に類似し、他のプラズマ実機装置に比べて極めて低かった。この理由として、JT-60Uの運転温度が300Cであったこと、再堆積層がポーラスで基板との熱接触が劣化し、放電中にタイル表面の温度が上昇したものと考えられる。損耗を受けていた外側ダイバータタイルは、内側ダイバータタイルに比べてH保持量が少なく、バッフル板でも同様な傾向が見られた。ドームトップタイルは外側バッフル板とほぼ同程度の保持量であった。タイル中に保持されたDとHの比(D/H)はほぼ0.4であり、放電回数が少なかったHの方がむしろ多く保持されており、表面近傍に保持されていたDが水素放電中に交換されていたことを示唆している。同じことは水素同位体の深さ分析の結果でも示されている。再堆積層直下にも重水素が保持されていた。
廣畑 優子*; 柴原 孝宏*; 田辺 哲朗*; 新井 貴; 後藤 純孝*; 大矢 恭久*; 吉田 肇*; 森本 泰臣*; 柳生 純一; 正木 圭; et al.
Journal of Nuclear Materials, 337-339, p.609 - 613, 2005/03
被引用回数:13 パーセンタイル:65.32(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60の水素放電期間に使用された下部ダイバータタイル中の水素保持特性を昇温脱離法(TDS),二次イオン質量分析法(SIMS)と弾性反跳検出法(ERDA)で測定した。その結果は以下のようである。(1)JT-60のダイバータタイル上には最大で70ミクロンの再堆積層が堆積していた。(2)単面積あたりの水素保持量は再堆積層の厚さに比例して増加した。(3)再堆積層中の水素濃度が膜中で均一であり、再堆積層の密度がバルクの等方性黒鉛と同じであると仮定して、この比例定数から再堆積層中の水素濃度を求めた。(4)再堆積層中の水素濃度は約0.015であり、この値は他のプラズマ実機装置の再堆積層中の水素濃度に比べて低かった。(5)再堆積層を除去した試料中の水素濃度は直線の外挿点よりも低いことから、再堆積層直下にも水素が保持されていることを示唆している。(6)このような低い水素濃度になった理由としてJT-60は運転温度が300Cであったことと、再堆積層がポーラスで基板との熱接触が劣化し、放電中にタイル表面の温度が上昇したものと考えられる。(7)タイル温度を300C以上に保つことができれば、トリチウムインベントリーを少なくできる。
宮 直之; 田辺 哲朗*; 西川 正史*; 奥野 健二*; 廣畑 優子*; 大矢 恭久*
Journal of Nuclear Materials, 329-333(1), p.74 - 80, 2004/08
被引用回数:12 パーセンタイル:61.44(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60Uでのプラズマ壁相互作用の研究を行うため、平成13年度よりJT-60U第一壁を利用した大学との協力研究(JT-60Uにおけるプラズマ壁相互作用とトリチウム蓄積及び炉内構造物の照射後試験に関する研究)を開始した。本報告は、おもに初期2年間で得られた研究活動成果をまとめたものである。各大学や研究施設が得意とする分野での研究を実施して、短期間で多くの研究成果を得ることができた。主な成果は以下である。(1)イメージングプレート法によりプラズマ対向壁でのトリチウム分布を測定し、高速トリトンの軌道計算結果と比較した。(2)ダイバータ材料表面での損耗・再堆積分布をダイヤルゲージとSEMで観察した。(3)ダイバータ領域での水素,重水素深さ分布や化学形態をSIMS, XPSで分析した。(4)昇温脱離法で第一壁サンプルからのトリチウム脱ガス挙動を評価した。(5)真空容器からの排気ガス中トリチウム濃度を測定し、放電洗浄によるトリチウム脱ガス特性を調べた。
大矢 恭久*; 森本 泰臣*; 小柳津 誠*; 廣畑 優子*; 柳生 純一; 三代 康彦; 後藤 純孝*; 杉山 一慶*; 奥野 健二*; 宮 直之; et al.
Physica Scripta, T108, p.57 - 62, 2004/00
JT-60Uにおいて両側排気時期に使用された外側ダイバータタイル中の水素同位体挙動をSIMS,XPS,SEMを用いて調べた。その結果、タイル中央部分では水素同位体濃度が低 く、タイル両側で高いことがわかった。下側排気ポート近くで水素同位体濃度が最も 高く、この部分に多く観察される再堆積層中に存在している可能性が示唆された。タイル中央部では再堆積層に替わってエロージョンが支配的である。放電時にタイル表面温度が上昇し、水素同位体の多くが除去されたと推察できる。一方、上部ではタイル中央部ほどストライクポイントの頻度が少ないことから、表面に重水素放電後に実施した水素放電による水素が滞留している。また、タイル内部のカーボンファイバー上に再堆積層が存在しており、表面はエロージョンが支配的であるが、内部の堆積膜中には水素同位体が存在している可能性が示唆された。これらの結果より、外側ダイバータ部では主にエロージョンが支配的であるが、ストライクポイントの頻度が少ない場所において再堆積層が存在し、その内部に水素同位体が存在していること,タイル表面における水素同位体挙動はタイルの温度,損耗の効果,ストライクポイントの位置・頻度に大きく影響を受けること等が明らかとなった。
大矢 恭久*; 廣畑 優子*; 森本 泰臣*; 吉田 肇*; 児玉 博*; 木津 要; 柳生 純一; 後藤 純孝*; 正木 圭; 奥野 健二*; et al.
Journal of Nuclear Materials, 313-316, p.209 - 213, 2003/03
被引用回数:25 パーセンタイル:82.86(Materials Science, Multidisciplinary)JT-60UのDD放電実験を行ったダイバータ領域のタイル(ドームユニット,外側ダイバータ,外側バッフル板)中の水素同位体分析について二次イオン質量分析法(SIMS)を用いて行った。また、グラファイト,ボロン,酸素の化学状態についてX線光電子分光法(XPS)を用いて分析した。その結果、タイル内部の水素,重水素量はドームユニット,外側バッフル板で高く、外側ダイバータでは低かった。これらの結果からグラファイトタイル中の水素濃度はDD放電実験時のタイル温度,イオンフラックスなどに大きく影響していると考えられる。また、XPSの結果より、ドームユニットの内側部分においてC-1sピーク位置の大きな変化が見られ、タイル表面では炭化水素が形成されていることが示唆され、これらの結果はSIMSの分析結果とよく一致する結果であった。また表面にはボロニゼーションの結果堆積したと考えられるボロンも存在していることが明らかとなった。
柳生 純一; 後藤 純孝*; 新井 貴; 宮 直之; 森本 泰臣*; 奥野 健二*; 大矢 恭久*; 廣畑 優子*; 田辺 哲朗*
平成15年度機器・分析技術研究会報告, p.105 - 108, 2003/00
原研では次期核融合装置の設計に役立てるため、平成13年度よりJT-60Uのプラズマ対向壁を利用した協力研究を大学等と幅広い協力・共同研究のもとに進めている。前回の機器・分析技術研究会においては、「JT-60U使用済み第一壁の表面分析」と題して、分析機器の紹介,X線光電子分光法(XPS)によるタイル表面の不純物挙動の報告及びタイル分析の課題等を広く議論した。今回は、その中から特にXPS分析時の帯電現象について、分析時の帯電抑制と分析後のデータ補正を組合せることで、帯電がほぼ解消できることを報告する。
林 巧; 小西 哲之; 大平 茂; 中村 博文; 井上 雅彦*; 渡辺 哲郎*; 平田 一弘*; 成瀬 雄二; 奥野 健二; Barnes, J. W.*; et al.
JAERI-M 93-094, 54 Pages, 1993/03
日米協力AnnexIVに基づいて米国ロスアラモス国立研究所のトリチウムシステム試験施設(TSTA)で行われている原研製の燃料精製システムの試験において、オイルフリー粗引き真空ポンプの1種であるスクロールポンプの軽原素ガスの排気特性を閉システムで測定した。圧縮比、到達真空などの性能は吐出側圧力の影響を受け、またガス種によって著しく異なることが見出された。特にH,Dでは性能は著しく劣化し、後段にメタルベローズポンプを設置することによって初めて窒素と同程度の排気が可能となる。水素同位体について排気特性は質量の増加と共に改善し、純トリチウムガスについてヘリウムとほぼ同等の結果が得られた。
小西 哲之; 大平 茂; 林 巧; 井上 雅彦*; 渡辺 哲郎*; 成瀬 雄二; 奥野 健二; Barnes, J. W.*; W.Harbin*; Bartlit, J. R.*; et al.
JAERI-M 93-089, 46 Pages, 1993/03
原研は日米協力協定AnnexIVに基づいて、米国ロスアラモス国立研究所のTSTAにおいて、核融合炉燃料ループの模擬試験を共同で行っている。その一環として、原研が設計、製作してTSTAに設置した燃料精製システムの総合的な機能の検証のため、単独重水素試験を行った。各コンポーネントは設計通り作動し、システム全体としての水素の精製機能と、不純物処理機能が確認された。また、定常運転に加え、起動、停止及び非常停止操作におけるシステム全体の挙動に関する知見が得られた。酸化反応器への酸素添加量制御など、測定、制御システムに起因する過渡特性に問題が発見された。
小西 哲之; 大平 茂; 林 巧; 渡辺 哲郎*; 井上 雅彦*; 成瀬 雄二; 奥野 健二; Barnes, J. W.*; W.Harbin*; Bartlit, J. R.*; et al.
JAERI-M 93-088, 18 Pages, 1993/03
原研は日米協力協定AnnexIVに基づいて米国ロスアラモス国立研究所のTSTAにおいて核融合炉燃料ループの模擬試験を共同で行っている。その一環として、原研製燃料精製システムを設計、製作してTSTAに設置、結合した。この装置に於て、水素同位体を精製するパラジウム拡散器の基本的な特性である透過性能を測定した。透過流量は概ね1/2乗則に従うが、透過側圧力の低いときにはある一定の圧力差までは透過が起こらない現象が見いだされた。これはパラジウム合金表面の不純物に起因するものと思われ、酸化処理によりその悪影響は減少した。