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口頭

Radiolysis of amidic extractants for the separation of actinides

須郷 由美

no journal, , 

In order to reduce the long-term environmental burden of high-level radioactive waste (HLW), we have developed an efficient extractant, ${it N,N,N',N'}$-tetraoctyldiglycolamide (TODGA) for the recovery of long-lived actinides from spent nuclear fuel. For the purpose of the application of TODGA to the extracting process in high radiation fields, the radiolysis of TODGA in ${it n}$-dodecane was investigated by the irradiation with $$gamma$$-rays and electron pulses. It was obvious that ${it n}$-dodecane had a sensitization effect on the radiolysis of TODGA, owing mainly to a charge transfer from radical cations of ${it n}$-dodecane to TODGA molecules in the primary process. In the actual partitioning process of HLW, the organic extractant will be exposed to $$alpha$$-particles. $$alpha$$-Radiolysis of TODGA in ${it n}$-dodecane was also investigated by the irradiation with helium ion beam. It was found that the radiation chemical yield for the degradation of TODGA by helium ion beam irradiation was less than that by $$gamma$$-rays irradiation. Because the radical cations of ${it n}$-dodecane, which contribute to the charge transfer reaction, decrease by recombination in track by high LET radiations such as $$alpha$$-particles.

口頭

Reaction of solvated electrons in alkylammonium based ionic liquids

木村 敦; 近藤 孝文*; Yang, J.*; 永石 隆二; 吉田 陽一*; 田口 光正

no journal, , 

イオン液体は不揮発性,熱的・化学的安定性、及び高極性を有することから、原子力工学分野において核燃料サイクルの溶媒への応用研究が行われている。また、アルキルアンモニウムをカチオンとしたイオン液体は、電荷を有する活性種である溶媒和電子の反応を促進することから、放射線化学分野においてさまざまな反応溶媒への利用が検討されている。本研究では、イオン液体の放射線化学反応場としての利用を目的として、アニオンの種類の異なるアルキルアンモニウム系イオン液体中の溶媒和電子の反応挙動について調べた。反応挙動の追跡には、溶媒和電子捕捉剤である有機ハロゲン化合物を用いた。その結果、イオン液体のアニオンの種類により粘性が変化し、イオン液体の粘性の増加に伴い捕捉剤の放射線化学収率(G値)が増加することを明らかにした。また、アニオンにギ酸イオンを用いたイオン液体中では、捕捉剤の分解G値が最も高くなった。これは放射線によって誘起された水素原子とギ酸イオンの反応で生成した炭酸ラジカルにより、捕捉剤が還元されたためと考えられる。

口頭

Transient kinetics of hydroxyl radical and hydrated electron in aqueous solution containing colloidal silica

熊谷 友多; 室屋 裕佐*; 山田 禮司; 永石 隆二; 勝村 庸介*

no journal, , 

水と固体との界面での特異な放射線効果のメカニズムを明らかにするために、Stober法にて調製したナノサイズのシリカコロイドを用いることで過渡状態の分光分析を可能にし、シリカコロイド共存下での放射線誘起反応過程を、パルスラジオリシス法により時間分解で測定した。その結果、シリカコロイド共存下では、OHラジカルの反応が抑制され、加えてOHラジカルとシリカコロイドとの反応の生成物と考えられる過渡吸収が紫外領域に観測されることがわかった。そのため、シリカコロイドによるOHラジカルの捕捉反応が生じていると考えられる。一方で、水和電子の過渡挙動に対する有意な影響は観測されず、水和電子とシリカコロイドとの相互作用は水和電子の反応過程にほとんど影響しないものと考えられる。

口頭

Observation of transient species in water under pulsed heavy ion irradiation

田口 光正; 岩松 和宏; 須郷 由美; 倉島 俊; 勝村 庸介

no journal, , 

高エネルギーの重イオンは従来から用いられてきたX線や$$gamma$$線などの低LET放射線とは異なる照射効果を引き起こすことが知られており、それを利用した材料や生物分野での利用研究が広く展開している。そこで、重イオン照射直後に生成する短寿命で反応性の高い活性種の反応を理解することを目的に、時間分解で分光測定が可能な装置を構築した。水分子の分解によって生じる水酸化ラジカルとの反応メカニズムのよくわかっているNaBrの水溶液にTIARA施設AVFサイクロトロンからの20MeV H$$^{+}$$イオンや220MeV C$$^{5+}$$イオンをパルス的に照射しオンラインで光吸収測定したところ、Br$$_{2}$$$$^{-}$$の生成と消滅が観測された。これらアニオンの初期生成収率は、NaBrの濃度やイオンの照射エネルギーの増加に伴い増加することを明らかにした。

口頭

Radiation modification of environmental friendly hydrogels based on hydroxypropyl cellulose

廣木 章博; 佐藤 利弘*; 長澤 尚胤; 田口 光正; 玉田 正男

no journal, , 

植物由来材料であるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)のペースト状水溶液に放射線照射すると、橋かけ反応によりゲルが得られることが知られている。得られたHPCゲルは、透明性に優れているが、強度及び伸長性などの機械的特性に課題がある。そこで、環境に優しいHPCゲルの機械的特性を改質するために、機械的特性に優れ、かつ生分解性を示すことが知られているポリビニルアルコール(PVA)の添加、及び放射線照射を行った。HPC20wt%, PVA0-4wt%の濃度範囲で得られたHPC/PVAブレンドゲルのゲル分率は、線量増加に伴い増加した。10-30kGy付近では、PVA濃度が高いほど低いゲル分率を示すことがわかった。50kGy付近では、すべてのゲルがほぼ一定のゲル分率:約85%に達した。50kGy照射で得られたブレンドゲルの強度及び伸長率を測定した結果、伸長率はPVA0.4wt%のブレンドゲルで最小値(45%)を示したあと、PVA濃度の増加に伴い増加し、PVA4wt%で125%にまで達した。また、ゲルの破断強度は、1.0kg/cm$$^{2}$$から1.8kg/cm$$^{2}$$にまで向上することがわかった。したがって、HPCにPVAをブレンドし、放射線橋かけさせることで、HPCゲルの特性を約1.8倍に向上できた。

口頭

Concentration and incident energy dependences of transient species in water by H$$^{+}$$ ion irradiation

岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 勝村 庸介

no journal, , 

高LET放射線である重イオンビームは、低LET放射線であるX線や$$gamma$$線,電子線とは異なる線質効果を引き起こすことが知られている。このことを利用した材料の作製や植物の品種改良など応用研究が行われているものの、その初期過程であるトラック構造理論に基づいた化学反応メカニズムについては明らかになっていない。そこで低LET放射線を用いて研究され、その反応機構がよくわかっているNaBrをプローブとして用いて重イオン照射下での水中化学反応の観測を行った。イオン種はH$$^{+}$$ 20MeVを用い、チョッパーを制御することにより、パルス化して照射した。オンラインで分光学的測定を行い、その光吸収から反応中間体であるBr$$_{2}$$$$^{-}$$の生成と消滅が観測された。Br$$_{2}$$$$^{-}$$の生成量は濃度の増加とともにわずかに増加した。また、イオンのエネルギーを変化させた照射とその場測定より、エネルギーの減少、つまりLETの増加とともに、Br$$_{2}$$$$^{-}$$の生成量は減少することを明らかにした。

口頭

Radiation and thermal ageing studies of silicone rubber (SiR) used in cable insulation in nuclear power plants

島田 明彦; 瀬口 忠男*; 田村 清俊; 大島 武; 出崎 亮; 工藤 久明*

no journal, , 

原子力発電所用ケーブル絶縁材として広く使われているシリコンゴムの劣化挙動を解明するため、厚さ0.5mm及び2mmのシート状のシリコンゴムの試料を熱と放射線に曝し、劣化指標となる引張試験の破断時伸び、並びに溶媒に対するゲル分率と膨潤比を調べた。劣化条件の妥当性を調べるため、235$$^{circ}$$Cの空気中で800時間熱劣化させた試料、並びに線量率1kGy/hで800kGyまで放射線劣化させた試料を作製し、サンプルの厚さの影響を調べたところ、2mm厚のシート試料は、熱や放射線により均一に劣化することがわかった。そこで、実際のケーブル敷設環境を模擬する際に問題となる劣化条件の順序効果を、熱劣化と放射線劣化を同時に行う「同時法」、熱劣化させた後放射線劣化させる「逐次法」、及び放射線劣化させた後熱劣化させる「逆逐次法」により調べたところ、同時法,逐次法,逆逐次法の順で劣化しなくなることが初めて解明された。本研究は、経済産業省原子力安全・保安院からの受託研究として行った成果である。

口頭

Radiation and thermal ageing studies of polyvinylchloride used in cable insulation in nuclear power plants

出崎 亮; 瀬口 忠男*; 田村 清俊; 大島 武; 島田 明彦; 工藤 久明*

no journal, , 

原子力発電所のケーブル絶縁材として使用されるポリ塩化ビニル(PVC)の放射線・熱による劣化挙動を調べた。シート状PVCについて、空気中100-135$$^{circ}$$Cにおける熱処理と空気中1kGy/hの$$gamma$$線照射を組合せて劣化処理を行い、引張り伸び・重量の変化を調べた。その結果、PVCの可塑剤の揮発によると考えられる大きな重量減少が高温で顕著であり、それに伴い引張り伸びも低下することが明らかになった。本研究は、経済産業省原子力安全・保安院からの受託研究として行った成果である。

口頭

Water radiolysis experiments using in-pile loop in JMTR

塙 悟史; 知見 康弘; 西山 裕孝; 中村 武彦

no journal, , 

照射場における水の放射線分解/腐食環境の評価は、ラジオリシス解析による理論的な評価とECP測定による実験的な評価を両輪として進められる。現在、前者についてはその評価精度の立証が、後者についてはセンサーの耐久性や信頼性の向上が課題となっている。これら課題に対応するため、原子力機構ではJMTRを用いた照射下水化学評価試験を計画しており、ラジオリシスコードの検証やベンチマークに使用できるデータの取得,数種類のECPセンサーの照射下における挙動評価を実施する予定である。本報告では、当該試験計画の概要を紹介する。

口頭

Radiation modification of bioplastic materials

田子 敬典; 長澤 尚胤; 工藤 久明*; 田口 光正; 勝村 庸介*

no journal, , 

バイオプラスチック材料の放射線改質に関する実習を行った。植物由来のポリ乳酸やポリアミド11などのバイオプラスチックは、環境低負荷素材としてさまざまな分野での実用化が期待されている。ポリ乳酸は、耐熱性や耐衝撃性の低さが課題となり応用範囲が限定されている。本実習ではポリ乳酸に衝撃性の改善が期待できるポリアミド11をブレンドした放射線架橋技術を開発することによりポリ乳酸の耐熱性かつ耐衝撃性を改質することを目的とした。線量,雰囲気などの照射条件と架橋効率の関係及び熱的・機械的特性向上について、ゲル分率測定,熱機械分析や衝撃試験等にて評価した。架橋剤としてトリアリルイソシアヌレートを3重量%添加したポリ乳酸/ポリアミド11(重量比50/50)ブレンド体に電子線を100kGy照射すると、ゲル分率が約83%まで向上する。この得られた架橋ブレンド体がポリ乳酸及びポリアミド11の融点(それぞれ約175,185$$^{circ}$$C)以上でも熱変形をほとんど起こさず、その衝撃値が約5kJ/m$$^{2}$$とポリ乳酸単体の2.5倍まで向上することを見いだした。

口頭

Dose response of a natural-polymer-based gel dosimeter; Effects of composition on white turbidity increase after irradiations

山下 真一; 廣木 章博; 長澤 尚胤; 村上 健*; 田口 光正

no journal, , 

既に提案されている高分子ゲル線量計には、材料の毒性が高い、線量評価に高価で大掛かりな装置が必要、熱安定性が必ずしも高くないといった弱点があった。これらを克服するため、毒性の低い2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)やポリエチレングリコールジメタクリレート(9G)を放射線検出用の溶質に用い、透明性の高いセルロース誘導体のヒドロキシプロピルセルロースを電子線照射で橋架けしてゲル母材に用い、照射により白濁化が視認できる新たな高分子ゲル線量計を開発した。白濁は1-2Gyの$$^{60}$$Co $${gamma}$$線照射で確認でき、組成にも影響を受けた。具体的には、9Gが4%で主成分の場合には1Gy前後の低線量で白濁化が確認できるものの10Gy程度で白濁化が飽和し、HEMAが4%で主成分の場合には低線量での白濁化がやや薄いものの10Gyを超えても白濁が濃くなっていった。白濁化の度合いを定量的に評価するために濁度測定並びに吸光測定も行った。さらに、$$^{60}$$Co $${gamma}$$線照射と比べると感度が1/3-1/7程度と小さいものの、がん治療に用いられる135MeV/uのCイオンビームの照射においても白濁が生じることが確認できた。

口頭

Online analysis and yield determination of H$$_{2}$$ produced in water radiolysis with $$^{60}$$Co $${gamma}$$-rays and C ion beams

山下 真一; 勝村 庸介; 村上 健*

no journal, , 

放射線分解で生じる気体生成物をオンラインで分析する装置を開発し、$$^{60}$$Co $${gamma}$$線及びCイオンビームによる水の放射線分解で生じるH$$_{2}$$の生成収率を測定した。H$$_{2}$$の前駆体である水和電子(e$$^{-}$$$$_{aq}$$)及び水和前電子(e$$^{-}$$$$_{pre}$$)はNO$$_{3}$$$$^{-}$$で捕捉でき、NO$$_{3}$$$$^{-}$$の濃度を0.1mMから5Mの間で変化させた場合の収率の変化も測定した。$$^{60}$$Co $${gamma}$$線照射では、NO$$_{3}$$$$^{-}$$濃度の増加に伴いH$$_{2}$$収率はよく知られたプライマリ収率(エネルギー付与から100nsというスパー内反応が落ち着く時間での収率)の0.46(100eV)$$^{-1}$$から0.10(100eV)$$^{-1}$$まで単調に減少した。報告値ともよく対応しており、装置のパフォーマンスが適切であることが確認できた。がん治療に用いられる高エネルギーCイオンビームを照射して同様の測定をしたところ、H$$_{2}$$収率は1.1-2倍に増加した。これは、e$$^{-}$$$$_{aq}$$及びe$$^{-}$$$$_{pre}$$からH$$_{2}$$が生じる反応の確率をより密なトラック構造が高くしているためと解釈できる。今後は測定を継続し、これまでに報告のない高エネルギーイオン照射に対するH$$_{2}$$生成を解明していく。

口頭

Radiation modification of environmental friendly hydrogels based on hydroxypropyl cellulose, 2

廣木 章博; 佐藤 利弘*; 長澤 尚胤; 田口 光正; 玉田 正男

no journal, , 

2011年の1stワークショップでは、ポリビニルアルコール(PVA)のブレンドによるヒドロキシプロピルセルロース(HPC)ゲルの機械的特性改質を報告した。HPC/PVAゲルでは機械的特性を向上できたが、透明性が失われてしまった。今回は、透明で良好な機械的特性を持つ多糖類ゲルを、橋かけ助剤やモノマーを混合したHPC濃厚水溶液への放射線照射により作製したので報告する。具体的には、20wt%のHPC、0.2-1.0wt%のポリエチレングリコールジメタクリレート(23G)、2.0wt%のメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(HEMA)から成るペースト状サンプルを調製し、成膜後、電子線照射を行い、無色透明なゲル膜を作製した。HPCに23Gを0.2wt%添加すると、ゲル分率が増加、さらにHEMAを添加したHPC/23G/HEMAでは、ゲル分率が低下することがわかった。ゲルの強度及び伸長率は、50kGy照射のHPCゲルでは、それぞれ1.0kg/cm$$^{2}$$, 70%であったが、23GとHEMAを添加したHPC/23G/HEMA(20/0.2/2wt%)のゲルでは、2.0kg/cm$$^{2}$$, 124%になることがわかった。これらは、PVAブレンドで達成した値とほぼ同じである。したがって、HPCとHEMAと23Gを混合し放射線橋かけすることで、HPCのみのゲルに比べて2倍の強度と1.8倍の伸長率を示す透明なゲルを作製することができた。

口頭

Effect of $$gamma$$ ray irradiation on deoxidation in aqueous solution by hydrazine

本岡 隆文; 佐藤 智徳; 山本 正弘

no journal, , 

水溶液へのヒドラジン添加による溶存酸素低減作用に対する放射線の影響を明らかにするため、微量のヒドラジンを含有する純水及び人工海水に$$gamma$$線を室温照射した。非照射下では溶存酸素低減作用は小さかったが、$$gamma$$線を照射すると著しく低減作用は増大した。室温のプール水への微量ヒドラジンの添加は、溶存酸素低減策として有効と考えられる。

口頭

Water chemistry research program using an in-pile loop in the JMTR

塙 悟史; 端 邦樹; 知見 康弘; 西山 裕孝; 中村 武彦

no journal, , 

原子炉冷却材の最適な水化学制御は、プラントのさらなる安全性・信頼性の向上を図るうえで重要な技術の一つである。最適な水化学制御に必要となる炉内の水化学環境の評価は、腐食電位の測定と理論モデルによる解析の両輪で進められる。一方、水化学環境の評価技術の高度化には、精度よい照射データに基づく理論モデルの検証やベンチマークが求められる。原子力機構では、水化学環境の評価技術の高度化を目指し、JMTRを用いた水化学研究計画を進めている。実験に先立ち、JMTRのインパイルループで達成される照射環境条件を解析により明らかにするとともに、実験条件を決定するための参考とすべく実炉における線量条件を文献データに基づき整理した。照射試験は、2013年度後半から開始される予定である。

口頭

Hydrogen production in radiolysis of the mixture of mordenite and seawater

熊谷 友多; 永石 隆二; 木村 敦; 田口 光正; 西原 健司; 山岸 功

no journal, , 

福島第一原子力発電所事故では、海水を含む放射性汚染水の浄化処理にゼオライト系吸着剤が使用されている。処理後のゼオライト廃棄物保管時には、廃棄物中の水分が放射線により分解されるため、水素の発生を想定する必要がある。そこで、$$gamma$$線照射実験を行い、ゼオライトの一種であるモルデナイトと海水との混合物からの水素発生について調べた。その結果、水素発生量は混合物中の海水量に比例して減少するのではなく、海水含有率が約20%までは緩やかに減少し、それ以下の海水量の低下に対して著しく減少した。この結果から、混合物中では直接的な海水の放射線分解に加えて、モルデナイトと海水との相互作用によって水素発生に至る別の反応経路が存在すると考えられる。水素発生量の海水含有率に対する依存性から、モルデナイト表面の吸着水や細孔内の水分子など、モルデナイト表面近傍の水分子が混合物中での水素発生に重要な役割を持つと考えられる。ただし、海水含有率の低下に応じて水素発生量は減少しており、モルデナイトと海水との相互作用による水素発生経路は直接的な海水の放射線分解と比べて水素発生効率は低いと考えられる。

口頭

Pulse radiolysis study on aqueous solutions containing seawater components

端 邦樹; 塙 悟史; 笠原 茂樹; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*

no journal, , 

福島第一原子力発電所の事故後の対応として、一時的に原子炉内への海水注入の措置がとられた。海水中のCl$$^{-}$$の影響により、炉内の構造材はこれまで想定されてこなかった腐食環境にさらされたことになる。$$gamma$$線による海水の放射線分解によって塩素酸などの酸化力の強い化合物が生成すると、炉内の腐食環境はさらに厳しいものになると推察される。室温海水の放射線分解は、これまで高レベル放射性廃棄物の最終処分の分野で調べられており、塩素酸や酸素などの生成物の収量の評価が行われている。原子炉構造材周辺の腐食環境を精度のよく評価するためには、これら過去の知見を踏まえつつ、放射線分解反応データを拡張することが必要である。特に複数の成分が関与する反応についての研究成果が少ないため、本研究では比較的寄与が大きいと予測されるCl$$^{-}$$由来のラジカルとBr$$^{-}$$との間で生じる化学反応の測定を行った。測定にはパルスラジオリシス法を用いた。Br$$^{-}$$を少量添加した1mol dm$$^{-3}$$のCl$$^{-}$$水溶液にパルス電子線を照射したところ、Cl$$^{-}$$とBr$$^{-}$$の混合系に特有のラジカルであるBrCl$$^{.-}$$の生成を観測した。複数の化学種が混在した複雑な系であるため、BrCl$$^{.-}$$の挙動を分析するにはモデル計算を適宜とりいれる必要があると考えられる。

口頭

Ion beam pulse radiolysis study of hydroxyl radical probed with bromide ion

岩松 和宏; 田口 光正; 須郷 由美; 倉島 俊; 山下 真一; 勝村 庸介

no journal, , 

重イオンビームは$$gamma$$線や電子線などとは異なる照射効果を引き起こすため、さまざまな分野に応用されてきている。その照射効果はイオンビームの飛程にそった高密度かつ不均一なエネルギー付与構造に由来する。これをトラック構造と呼ぶ。その解明のために、$$gamma$$線や電子線を用いた研究の蓄積から放射線分解の挙動がよくわかっている水を媒体として用いて研究を行った。水分解生成物のうち生成量も多く強力な酸化剤であるOHラジカルに着目し、そのプローブとしてBr$$^-$$イオンを用いイオンビームパルスラジオリシス法を行った。照射には20MeV/uのHイオン、12.5MeV/uのHeイオン、18.3MeV/uのCイオン、17.5MeV/uのNeイオンを用いた。OHラジカルとBr$$^-$$との反応で過渡的に生成するBr$$_2^-$$の光吸収が375nmで観測された。その吸光度から生成収率(個/100eV)を求めたところ核子あたりのエネルギーが減少、又は原子番号が増加するにつれ、Br$$_2^-$$の収率が5から0.03まで減少した。トラック内でのイオンビームのエネルギー付与はエネルギーの減少や原子番号の増加により増加する。一般に、ラジカルの生成収率はイオンのエネルギー付与量に比例する。そこでOHラジカルの初期生成量は増加したが、ラジカル密度が高いためにラジカル同士の反応によりプローブと反応したOHラジカルが減少したため、Br$$_2^-$$の収率が減少したと考えられる。

口頭

Preparation of oligosaccharide for plant growth promoter by radiation-induced degradation in presence of hydrogen peroxide

Nguyen, T. K. L.; 長澤 尚胤; 木村 敦; 廣木 章博; 田口 光正

no journal, , 

FNCAの電子加速器利用プロジェクトに関連した多糖類の放射線分解による植物成長促進剤(PGP)の開発において、放射線分解した重量平均分子量約1万のアルギン酸ナトリウム(AlgNa)がPGPへ応用されている。このPGP調製技術において、低線量で効率よく分解反応を行うため、水の放射線分解生成物であるOHラジカルの間接的効果を利用した過酸化水素(H$$_{2}$$O$$_{2}$$)添加による分解促進効果について検討した。H$$_{2}$$O$$_{2}$$を0.5から3%添加した1から4% AlgNa水溶液に$$gamma$$線を照射するとAlgNaの分子量低下が見られた。特に4% AlgNa/0.5% H$$_{2}$$O$$_{2}$$の系では、5kGyで213kDa(無添加)に比較して9.2kDa(0.5% H$$_{2}$$O$$_{2}$$添加)まで分解が促進することがわかった。分解物の構造変化についてFTIR測定にて評価した結果、H$$_{2}$$O$$_{2}$$添加によらず、照射分解生成物に差が見られないこともわかった。AlgNaの分解反応に放射線とH$$_{2}$$O$$_{2}$$添加の相乗効果があることから、PGP調製技術の低コスト化に繋がる。

口頭

Water radiolysis studied by positron annihilation

平出 哲也; 岡 壽崇

no journal, , 

絶縁材料中のポジトロニウム形成は入射陽電子のトラック末端のスパー(陽電子スパー)内におけるスパー反応で説明される。ポジトロニウム形成はおおよそ1ピコ秒程度までに終わり、その形成収率は末端スパーにおける、束縛されていない過剰電子などの活性種の情報を与えてくれる。凝集相中における三重項ポジトロニウム(o-Ps)の寿命は、ピックオフ消滅によって1-5ナノ秒程度である。よって、o-Psと反応活性種との反応は十分可能となる。o-Psの最も重要な反応は、たとえばOHラジカルなどの活性種との酸化とスピン交換反応である。陽電子消滅法によって、どのような水の放射線分解に関する研究が可能となるかを解説する。

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