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端 邦樹; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 笠原 茂樹; 塙 悟史; 上野 文義; 塚田 隆; 岩瀬 彰宏*
Proceedings of Symposium on Water Chemistry and Corrosion in Nuclear Power Plants in Asia 2017 (AWC 2017) (USB Flash Drive), p.304 - 314, 2017/09
NaClとNaBrの混合水溶液についてラジオリシス計算を実施し、過酸化水素生成量についてこれまでの線照射実験結果との比較を行った。計算結果は実験結果をほぼ再現したが、高純度NaCl水溶液に対しては酸性条件で過小評価される傾向にあった。各化学反応に対する感度解析を実施したところ、塩化物イオン(Cl
)とOHラジカル(
OH)との反応の初期の3反応(Cl
+
OH
ClOH
、ClOH
Cl
+
OH、ClOH
+ H
Cl
+ H
O)の速度定数の変化によって過酸化水素量は大きく変化した。本結果はこれらの化学反応の速度定数の正確な評価が海水のようなNaClを含む水溶液のラジオリシス計算の信頼性向上に重要であることを示している。さらに低合金鋼SQV2Aを用いた
線照射下浸漬試験も実施し、NaClやNaBrが鋼材の照射下腐食に与える影響について調べた。基本的には腐食速度の変化は過酸化水素発生量の変化に追随したが、アルカリ性条件ではpH11付近で腐食速度が極大値をとり、12以上では高い過酸化水素濃度であるのに腐食がほとんど進行しなくなった。これは不働態皮膜が形成しているためであると考えられた。
湯川 卓司*; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 岩瀬 彰宏*; 谷口 直樹; 立川 博一*
材料と環境2016講演集(CD-ROM), p.359 - 362, 2016/05
線照射下における模擬地下水溶液中でのチタンの全面腐食速度への溶液pHの影響を検討することを目的として、pHの異なる微量(50mM)の塩化物イオンを含む炭酸水素塩/炭酸塩水溶液中で、
線照射下で純チタン試料の浸漬試験を行い、試験後の溶液中のTiの分析結果から純チタンの腐食速度を測定した。その結果、溶液のpHの増加とともに照射後の溶液中の過酸化水素濃度が増加した。また、過酸化水素濃度の増加に応じて純チタンの腐食速度は増加した。pH12ならびに13の溶液中での照射下での腐食速度は非照射下と比較し5から10倍程度大きかった。
端 邦樹; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 岩瀬 彰宏*; 笠原 茂樹; 塙 悟史; 上野 文義; 塚田 隆
Nuclear Technology, 193(3), p.434 - 443, 2016/03
被引用回数:15 パーセンタイル:77.45(Nuclear Science & Technology) radiolysis experiments of solutions, which consisted of a mixture of NaCl and NaBr, were conducted to confirm the validity of radiolysis calculations of seawater simulated solutions and to determine the importance of Br
in the production of H
O
via water radiolysis. The steady-state concentration of H
O
in each solution was measured after irradiation and compared to that obtained by radiolysis calculations. It was found that the calculated and experimental results were in good agreement. The concentration of H
O
in the 0.6 M NaCl solution increased approximately three times by the addition of 1 mM NaBr. The result showed that Br
plays an important role in the production of H
O
by water radiolysis, presumably due to the reactions of Br
with hydroxyl radical. The H
O
production of 1 mM NaCl solutions increased when the pH was either higher or lower than 8. It was considered that hydrated electron also plays an important role in H
O
production in these acidic and alkaline conditions.
曽我部 敏明; 石原 正博; 馬場 信一; 小嶋 崇夫; 橘 幸男; 伊与久 達夫; 星屋 泰二; 平岡 利治*; 山地 雅俊*
JAERI-Research 2002-026, 22 Pages, 2002/11
高温工学に関する先端的基礎研究のうち、高温ガス炉技術の高度化のための原子炉要素技術の研究開発として炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材料)製制御棒被覆管の研究開発を進めている。また、実用化に反映可能となる物性予測,評価に関する基礎的な研究を「耐熱セラミックス複合材料の照射損傷機構に関する予備試験」の一環として進めている。本報告は、これまで行ってきたC/C複合材料に関する研究開発についてまとめたものである。開発に当たっては、材料特性,構造物の製作可能性,安定供給性,コストなどを考慮し、C/C複合材料の試作・検討により有望な材料を開発した。材料特性としては、引張強さや曲げ強さ等の機械的強度が高いこと、破断ひずみが大きくかつ靭性が高いこと、中性子照射に対して寸法変化が少なく安定性が高いこと等を考慮している。その結果、炭素繊維としてポリアクリロニトリル系の平織りクロス,マトリックス材としてピッチを用い、さらに耐照射損傷性を高めるための特別な熱処理及び原子炉級に不純物を除去する高純度化を施した2次元炭素繊維強化炭素複合材料(2D-C/C複合材料)を開発した。
中川 繁昭; 藤本 望; 島川 聡司; 野尻 直喜; 竹田 武司; 七種 明雄; 植田 祥平; 小嶋 崇夫; 高田 英治*; 齋藤 賢司; et al.
JAERI-Tech 2002-069, 87 Pages, 2002/08
高温工学試験研究炉(High Temperature engineering Test Reactor : HTTR)の出力上昇試験は、30MW運転時に原子炉出口冷却材温度が850となる「定格運転」モードでの試験として、平成12年4月23日から原子炉出力10MWまでの出力上昇試験(1)を行い、その後、原子炉出力20MWまでの出力上昇試験(2),30MW運転時に原子炉出口冷却材温度が950
となる「高温試験運転」モードにおいて原子炉出力20MWまでの出力上昇試験(3)を行った。定格出力30MW運転達成のための試験として平成13年10月23日から出力上昇試験(4)を開始し、平成13年12月7日に定格出力30MWの到達及び原子炉出口冷却材温度850
の達成を確認した。出力上昇試験(4)については、平成14年3月6日まで実施し、定格出力30MWからの商用電源喪失試験をもって全ての試験検査を終了して使用前検査合格証を取得した。「定格運転」モードにおける原子炉出力30MWまでの試験結果から、原子炉、冷却系統施設等の性能を確認することができ、原子炉を安定に運転できることを確認した。また、試験で明らかとなった課題を適切に処置することで、原子炉出力30MW,原子炉出口冷却材温度950
の達成の見通しを得た。
塙 悟史; 小嶋 崇夫; 角田 淳弥; 橘 幸男
JAERI-Tech 2002-024, 46 Pages, 2002/03
高温工学試験研究炉(HTTR)は、原子炉出口冷却材温度が950であり、1次系の機器配管系は非常に高温になる。そのため、これら機器配管系の熱変位挙動を確認することは健全性確認の観点からも重要である。さらに、機器配管系の支持方法には、3次元の浮動支持方式を採用しているため、その熱変位挙動・特性を把握することは、3次元浮動支持方式の熱変位特性を知るうえでも重要である。HTTRの出力上昇試験(2)では、1次系高温配管の熱変形測定試験を実施した。本報は、その試験結果及び解析評価結果を示したものである。本試験により、支持構造物の抵抗力が効きの熱変位挙動に影響を与えることが明らかとなり、またその抵抗力を最適化することで実測熱変位挙動を再現できることを確認するとともに、定格運転時における機器健全性を確認した。
藤本 望; 高田 英治*; 中川 繁昭; 橘 幸男; 川崎 幸三; 七種 明雄; 小嶋 崇夫; 伊与久 達夫
JAERI-Tech 2001-090, 69 Pages, 2002/01
HTTRでは、初臨界達成後、出力上昇試験として段階的に出力を上げ、各種の試験を行ってきた。その中で、炉心支持板の温度が各出力で予想される温度より高めの値を示し、100%出力で最高使用温度を超えるおそれのあることがわかった。そのため、炉心流量の異なる高温試験運転モードでの試験を行い、温度の予測精度を上げるとともに、原因の推定を行った。その結果、炉床部の漏れ流れが原因であることがわかった。さらに、炉心支持板とその下のシールプレートの間隙が炉心差圧により変化することによって炉心支持板の温度が局所的に上昇することが推定された。温度上昇に対しては、炉心支持板の最高使用温度を変更することにより対応することとした。最高使用温度の変更にあたっては応力解析を行い構造健全性が確保されることを確認した。
石原 正博; 小嶋 崇夫; 星屋 泰二
Proceedings of International Conference on Carbon in 2002 (Carbon2002) (CD-ROM), 6 Pages, 2002/00
2次元織りの炭素繊維強化炭素マトリックス複合材料(C/Cコンポジット)について、曲げ破壊特性を実験及び解析的に検討した。実験では、C/Cコンポジットの基本的な破壊様式を明らかとするために、曲げ試験及び試験後の破面観察を行った。破面観察の結果、引張り破壊様式,圧縮破壊様式及びせん断破壊様式の3種類の基本的な破壊様式が認められた。そこで、これら基本的な破壊様式が競合して強度が発現されるとした競合リスク理論を用いて曲げ破壊の解析的検討を行った。競合リスク理論に用いるパラメータは別途実施した実験により定め、曲げ強度の予測を試みた。その結果、曲げ強度が競合リスク理論により良く予測できることが明らかとなり、本理論により、より一般的な応力勾配下の強度予測が可能であることがわかった。さらに、本理論と有限要素法とを組み合わせることにより、任意形状をした構造体の強度予測を可能とする予測モデルの提案を行った。
藤本 望; 野尻 直喜; 高田 英治*; 山下 清信; 菊地 孝行; 中川 繁昭; 小嶋 崇夫; 梅田 政幸; 星野 修; 金田 誠*; et al.
JAERI-Tech 2001-002, 64 Pages, 2001/02
HTTRの炉心内の情報を得ることを目的として、炉心から燃料体を取り出し再装荷する過程での燃料体からの線の測定を行った。測定は、燃料体が通過する床上ドアバルブに設置したGM管及びCZT半導体検出器と、スタンドパイプ室に設置したエリアモニタで行い、炉内のウラン濃縮度配分の対称性を考慮して4カラムの燃料体計20体について行った。測定の結果GM管及びCZT検出器による測定では、各カラムでの軸方向の相対分布は解析とほぼ一致したが、炉心上部では解析値が高く、炉心下部では低くなった。エリアモニタによる測定でも軸方向の分布を測定することができた。さらにカラム間の比較も行った。今後は測定結果について詳細な解析・評価を行い、炉内出力密度分布等の評価精度の向上に役立てる予定である。
小嶋 崇夫; 橘 幸男; 藤本 望; 石原 正博
Proceedings of 8th Annual International Conference on Composites Engineering (ICCE/8), p.479 - 480, 2001/00
高温ガス炉制御棒被覆管用C/Cコンポジット材料の候補材として、層間強度の異なる2種類の積層型炭素繊維複合材料、フェノール含浸処理を施したCX-2702G及びピッチ含浸処理を施したCX-270Gの引張試験,圧縮試験,曲げ試験及び層間せん断試験を行い、機械的特性を調べた。その結果、層間強度の高いCX-270GがCX-2702Gよりも機械的強度が優れていることが明らかになった。また、曲げ試験では引張,圧縮,層間せん断の3種類の破壊モードが混在する破壊様式であることがわかった。そこで、引張試験、圧縮試験及び層間せん断試験によって得られた強度データから曲げ強度を競合リスクモデルにより検討した。本検討により、引張強度,圧縮強度及び層間せん断強度から曲げ強度を精度良く予測することができた。
橘 幸男; 本谷 浩二*; 小嶋 崇夫; 竹田 武司; 江森 恒一; 猿田 徹; 伊与久 達夫; 國富 一彦
JAERI-Tech 2000-026, p.61 - 0, 2000/03
高温工学試験研究炉において、非核加熱で1次ヘリウムガスを昇温する試験を実施中にスタンドパイプ内雰囲気及び1次上部遮へい体の温度が想定以上に上昇した。スタンドパイプ内構造物の一部構造変更後、温度は大幅に低下したが十分ではなかった。そこで、追加の昇温防止対策について検討し、確認試験により決定した。昇温防止対策を所定のスタンドパイプに設置した後、確認試験を再度実施し、昇温防止対策の効果について最終的に確認した。本報告は、再度実施した確認試験の結果及び昇温防止対策の効果についてまとめたものである。有限要素法解析の結果、定格条件での1次上部遮へい体最高温度は、確認試験と同条件で67、実機パージガス流量配分条件で75
となり、1次上部遮へい体の設計温度88
を満足できる見通しを得た。
橘 幸男; 小嶋 崇夫; 塙 悟史; 石原 正博
Proceedings of 7th Annual International Conference on Composites Engineering (ICCE-7), p.841 - 842, 2000/00
将来高温ガス炉制御棒用C/Cコンポジット材料の候補材である東洋炭素(株)製CX-2702Gの室温での引張試験、圧縮試験及び曲げ試験を実施し強度特性を調べた。本材料は、引張強さ曲げ強さ
圧縮強さの傾向を示し、曲げ強さは圧縮強さにより支配されている。圧縮強さは曲げ強さの6割程度であるが、この差異はワイブル係数を用いた確率論的評価を行うことで説明することができた。また、本材料の引張強さ及び圧縮強さのワイブル係数は両者ともに約11であり、構造強度に及ぼす寸法効果について考慮する必要があることを示した。
端 邦樹; 笠原 茂樹; 塙 悟史; 上野 文義; 塚田 隆; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 岩瀬 彰宏*
no journal, ,
海水の主成分である塩化物イオン(Cl)や臭化物イオン(Br
)を含む水溶液中に原子炉圧力容器用低合金鋼(SQV2A)を浸漬し、
線照射下での腐食試験を実施した。その結果、水溶液に1mM程度のBr
が含まれることで、照射下での腐食が顕著に増加した。これらイオンを含む水溶液の
線照射実験及びラジオリシス計算を行ったところ、Br
を含む水溶液の放射線分解では、純水やNaCl水溶液の場合と比較して、水分解生成物である過酸化水素等の発生量が多くなった。これはBr
が過酸化水素捕捉剤であるOHラジカルを効率よく捕捉するためであることが計算結果から示され、海水のような1mM程度のBr
を含む水溶液中は照射下での腐食が非常に進みやすい環境であると推察された。
知見 康弘; 塙 悟史; 西山 裕孝; 中村 武彦; 田原 祐規*; 小嶋 崇夫*; 井上 博之*; 岩瀬 彰宏*
no journal, ,
腐食電位(ECP)測定に対する放射線照射の影響を把握するために、ジルコニア隔膜型センサーを対象として、センサー部の構成材料単体についての照射効果を調べた。本報告では、隔膜材料として使用されているイットリア安定化ジルコニア(YSZ)の高エネルギー重イオン照射による材料特性変化について述べる。YSZ試料に室温で200MeV Xeイオンを110
ions/cm
まで照射したところ、格子定数が約0.5%以上増大した。同様に、微小ビッカース硬さも照射量に伴って上昇した。Xeイオン照射による損傷量(最大約0.2dpa)を考慮すると、ジルコニア隔膜型センサーを炉内で使用する場合に、中性子照射によりYSZの機械的特性が変化し、YSZと金属筺体との接合部分の耐久性に影響を及ぼす可能性があると考えられる。
井上 博之*; 湯川 卓司*; 小嶋 崇夫*; 立川 博一*; 谷口 直樹
no journal, ,
使用済み核燃料の直接処分容器の代替材料として、一般に耐全面腐食性が炭素鋼よりも優れる、チタンや銅, ニッケル基合金が挙げられている。処分容器は深部地下への定置・閉鎖後、処分場へ浸透した地下水と反応し腐食すると推定される。処分容器と地下水の界面では、廃棄体からの放射線によるラジオリシス反応で過酸化水素や酸素ガスなどが生成し、容器の腐食を助長する可能性がある。これまで、上述の代替候補材料を対象に、処分環境での分極挙動への放射線照射の影響を検討した。線照射下の不活性ガス雰囲気で、動電位分極法を用いて、pHが8から13の微量の塩化物イオンを含む炭酸水素塩/炭酸塩水溶液中で、純チタンや純銅、UNS N10276ニッケル基合金(Hastelloy C-276)の分極曲線を測定した。
線は、材料間の電気化学特性の違いが明確になるよう、6.5kGy/h前後の高い吸収線量率の線源を用いた。本報では、前報と同様の
線照射および溶液条件下で、これら材料の電気化学インピーダンス(EIS)を測定した。測定結果から対応する腐食速度を推定した。
湯川 卓司*; 井上 博之*; 小嶋 崇夫*; 立川 博一*; 谷口 直樹
no journal, ,
使用済み核燃料の直接処分において、処分容器は処分場に侵入した地下水と反応し腐食する。処分容器と地下水の界面では、廃棄体からの放射線によるラジオリシス反応で、過酸化水素(HO
)や酸素ガス(O
)などが生成し、容器材料の腐食を助長する可能性がある。また、地下水は、炭酸塩や塩化物イオン等の化学種を含む中性
弱アルカリ性の条件が想定される。しかし、処分場内に浸透した地下水は、コンクリート支保との接触によりアルカリ性となる可能性がある。本研究は、前述の代替材料を対象に処分環境での分極挙動への放射線照射の影響を検討することを目的とした。
線照射下の不活性ガス雰囲気で、pHが8から13の微量の塩化物イオンを含む炭酸水素塩/炭酸塩水溶液中での純チタンや純銅、ニッケル基合金の分極特性を測定し、非照射下での測定結果と比較した。
井上 博之*; 端 邦樹; 井出原 龍一*; 小嶋 崇夫*; 笠原 茂樹; 岩瀬 彰宏*; 上野 文義
no journal, ,
海水のラジオリシスでは、塩化物イオンに対して極めて少量である臭化物イオンが重要な働きを示すということがこれまでに示唆されている。これは臭化物イオンと水分解ラジカルとの反応によって過酸化水素等の酸化種の生成量が変化するためであると考えられる。本研究ではこのラジオリシス現象の変化が腐食に与える影響について調べるため、NaCl及びNaBrを含む水溶液に線照射した際のSQV2A鋼の放射線腐食速度を測定した。測定の結果、1mMのNaCl水溶液に0.1mMのNaBrを加えることで腐食速度が2
10倍程度加速されることが示された。本発表では特にpHに着目した測定結果について紹介する。
泉 佳伸*; 松尾 陽一郎*; 坂本 綾子; 高城 啓一*; 畑下 昌範*; 小嶋 崇夫*; 清水 喜久雄*
no journal, ,
真核生物のモデルとして出芽酵母(S288c)を用い、イオンビームにより誘発された突然変異の解析を行った。その結果、イオンビーム照射では線のような低LET放射線とは対照的な生物応答が観察された。イオンビームに特徴的な突然変異誘導メカニズムを解明するために、LETが13keV/
mから107keV/
mまでの炭素イオンビームの照射を行った。また比較として、LETが0.45keV/
mの陽子線の照射を行った。炭素イオンビーム照射の照射はTIARA(JAEA)及びHIMAC(NIRS)にて、陽子線照射は若狭湾エネルギー研究センターにて行った。照射後、生残率と突然変異頻度の測定と突然変異部位を特定するためのシークエンス解析を行った。放射線照射に起因する突然変異生成の分子機構を説明するために、野生型酵母に加えて8-oxoGTPの除去活性が失われている
系統(BER-)、及びミスマッチ修復が不活性である
系統(MMR-)を用いた。また、比較のため二本鎖切断修復に関与する遺伝子が不活性である
系統(NHEJ-)及び
系統(HR-)についても解析を行った。