検索対象:     
報告書番号:
※ 半角英数字
 年 ~ 
 年
検索結果: 25 件中 1件目~20件目を表示

発表形式

Initialising ...

選択項目を絞り込む

掲載資料名

Initialising ...

発表会議名

Initialising ...

筆頭著者名

Initialising ...

キーワード

Initialising ...

使用言語

Initialising ...

発行年

Initialising ...

開催年

Initialising ...

選択した検索結果をダウンロード

論文

Dynamics of atomic hydrogen in palladium probed by neutron spectroscopy

古府 麻衣子; 山室 修*

Journal of the Physical Society of Japan, 89(5), p.051002_1 - 051002_12, 2020/05

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Multidisciplinary)

金属中の水素の挙動は、基礎および応用研究の広い領域で古くから興味がもたれてきた。金属の中でもパラジウムは特別である。パラジウムは大量の水素を吸収し、またパラジウムのfcc格子中を水素は自由に拡散する。中性子分光は水素原子の微視的ダイナミクスを調べる最適な手法であり、パラジウム中の水素のダイナミクスが精力的に研究されてきた。本論文では、研究初期から最新のパラジウム水素化物の中性子散乱研究をレビューし、バルクおよびナノサイズのパラジウム中の水素ダイナミクスがどのように理解されているか示す。

論文

Universality and structural implications of the Boson peak in Proteins

中川 洋; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 山室 修*; 片岡 幹雄*

Biophysical Journal, 117(2), p.229 - 238, 2019/07

 被引用回数:2 パーセンタイル:49.64(Biophysics)

蛋白質の柔らかさや固さは、環境に影響を受けるダイナミクスに反映される。蛋白質の低エネルギー振動スペクトルの特徴の一つである、ボソンピークは、低温や乾燥状態における蛋白質構造の固さの指標となる。この論文では、中性子非弾性散乱と分子シミュレーションによって、ボソンピークと体積についての水和,温度,圧力効果を調べた。水和,加圧,低温はボソンピークを高エネルギー側にシフトさせ、強度が小さくなり、またキャビティが小さくなった。しかし、このような効果は水和蛋白質にはあまり見られなかった。体積の減少は固さの増加を意味し、これがボソンピークシフトの起源である。ボソンピークはキャビティ体積で予測できる。この予測は、強い準弾性散乱のために実験的にはボソンピークが見分けられない場合に、非干渉性中性子散乱スペクトルにおける準弾性散乱の寄与を見積もるのに効果的である。

論文

Two inherent crossovers of the diffusion process in glass-forming liquids

古府 麻衣子; Faraone, A.*; Tyagi, M.*; 長尾 道弘*; 山室 修*

Physical Review E, 98(4), p.042601_1 - 042601_6, 2018/10

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Physics, Fluids & Plasmas)

We report on incoherent quasielastic neutron scattering measurements examining a self-diffusion process in two types of glass-forming liquids, namely a molecular liquid (3-methylpentane) and an ionic liquid (1-butyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethanesulfonyl)imide). We have experimentally demonstrated that both liquids exhibit two crossovers in the momentum transfer ($$Q$$) dependence of the self-correlation function, which is basically described by the stretched exponential function, $$exp [-(t/tau)^beta]$$. The first crossover point ($$Q approx 0.2$$~$AA$^{-1}$$) corresponds to a crossover from Fickian ($$beta = 1$$) to non-Fckian ($$beta ne 1$$) diffusion attributed to dynamical correlation. On the other hand, the second one at $$Q approx 0.8$$~$AA$^{-1}$$ is associated with the crossover from Gaussian to non-Gaussian behavior. It is remarkable that the stretching exponent $$beta$$ gradually changes in between the two crossover points. We consider that the two crossovers are the universal feature for glass-forming liquids.

論文

Neutron scattering studies on short- and long-range layer structures and related dynamics in imidazolium-based ionic liquids

根本 文也*; 古府 麻衣子; 長尾 道弘*; 大石 一城*; 高田 慎一; 鈴木 淳市*; 山田 武*; 柴田 薫; 上木 岳士*; 北沢 侑造*; et al.

Journal of Chemical Physics, 149(5), p.054502_1 - 054502_11, 2018/08

 被引用回数:6 パーセンタイル:35.87(Chemistry, Physical)

Alkyl-methyl-imidazolium ionic liquids C$$n$$mimX ($$n$$: alkyl-carbon number, X: anion) have short-range layer structures consisting of ionic and neutral (alkylchain) domains. To investigate the temperature dependences of the interlayer, interionic group, and inter-alkylchain correlations, we have measured the neutron diffraction (ND) of C$$n$$mimPF$$_6$$ ($$n$$ = 16, 9.5, 8). The quasielastic neutron scattering (QENS) of C16mimPF$$_6$$ was also measured to study the dynamics of each correlation. C16mimPF$$_6$$ shows a first-order transition between the liquid (L) and liquid crystalline (LC) phases at $$T_{rm c}$$ = 394 K. C8mimPF$$_6$$ exhibits a glass transition at $$T_{rm g}$$ = 200 K. C9.5mimPF$$_6$$ has both transitions at $$T_{rm c}$$ = 225 K and $$T_{rm g}$$ = 203 K. In the ND experiments, all samples exhibit three peaks corresponding to the correlations mentioned above. The widths of the interlayer peak at ca. 0.2 $AA$^{-1}$$ changed drastically at the L-LC transitions, while the interionic peaks at ca. 1 $AA$^{-1}$$ exhibited a small jump at $$T_{rm c}$$. The peak position and area of the three peaks did not change much at the transition. The structural changes were minimal at $$T_{rm g}$$. The QENS experiments demonstrated that the relaxation time of the interlayer motion increased tenfold at $$T_{rm c}$$, while those of other motions were monotonous in the whole temperature region. The structural and dynamical changes are characteristic of the L-LC transition in imidazolium-based ionic liquids.

論文

Vibrational states of atomic hydrogen in bulk and nanocrystalline palladium studied by neutron spectroscopy

古府 麻衣子; 橋本 直樹*; 秋葉 宙*; 小林 浩和*; 北川 宏*; 飯田 一樹*; 中村 充孝; 山室 修*

Physical Review B, 96(5), p.054304_1 - 054304_7, 2017/08

 被引用回数:5 パーセンタイル:54.87(Materials Science, Multidisciplinary)

中性子分光法を用いて、バルク及びナノ結晶パラジウム中の水素原子の振動状態を、広いエネルギー領域($$0 le hbar omega le 300$$meV)について調べた。バルクのパラジウム水素化物では、水素の振動励起は量子調和振動子(QHO)で大まかに記述された。一方、直径8nmのナノ結晶パラジウム水素化物では、付加的な振動励起が80meV以上のエネルギー領域に観測された。この付加的な振動励起のエネルギーと強度はQHOでは説明できず、非調和性の強いトランペット型ポテンシャルにおける振動と記述された。この付加的な励起は、表面効果により安定化されたサブ表面(表面下2-3層)の正四面体サイトに配置された水素原子の振動だと考えられる。本研究は、金属ナノ粒子中の水素の振動を明瞭に検知した初めての実験的研究である。

論文

Mode-distribution analysis of quasielastic neutron scattering and application to liquid water

菊地 龍弥; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 山室 修*; 古府 麻衣子*; 川北 至信; 鈴谷 賢太郎; 中村 充孝; 新井 正敏

Physical Review E, 87(6), p.062314_1 - 062314_8, 2013/06

 被引用回数:11 パーセンタイル:34.23(Physics, Fluids & Plasmas)

中性子準弾性散乱実験は原子分子の拡散現象において時空の相関関係を明らかにできる数少ない方法である。しかしながら、多くの場合、モデル依存性の強い解析しか行われてこなかった。われわれはモデルを必要としない解析法を開発した。その解析法では、拡散現象は指数関数的な緩和の和で表されると仮定することで、解析の結果として新しい分布関数である緩和モード分布関数$$B(Q,Gamma)$$を得ることができる。この関数からはモードの個数とそのモードにおける緩和時間の分布がわかる。この解析法では潜在的な逆問題の解決のために最大エントロピー法を使用している。この解析法の最初の適用例として液体の水の実験結果を解析した。その結果、これまでに知られている2つのモードに加えて、その2つのモードの中間的な時間スケールに新たにモードが存在することが明らかになった。

論文

Japanese evaluated nuclear data library version 3 revision-3; JENDL-3.3

柴田 恵一; 河野 俊彦*; 中川 庸雄; 岩本 修; 片倉 純一; 深堀 智生; 千葉 敏; 長谷川 明; 村田 徹*; 松延 廣幸*; et al.

Journal of Nuclear Science and Technology, 39(11), p.1125 - 1136, 2002/11

 被引用回数:627 パーセンタイル:6.06(Nuclear Science & Technology)

前版JENDL-3.2のフィードバック情報及び各種ベンチマークテストの結果をもとに、新版JENDL-3.3のための評価が行われた。JENDL-3.2での大きな問題点は新版により解決された。即ち、熱中性子炉体系での臨界性過大評価は$$^{235}$$Uの核分裂断面積及び核分裂中性子スペクトルの改訂により解消された。また、重要な重核での不適切な2次中性子エネルギー分布は統計模型計算に置き換えられた。さらに、中重核での天然元素及び同位体評価値間の矛盾も無くなった。一方、20核種について共分散データを収納した。JENDL-3.3の信頼度は原子炉及び遮蔽に関するベンチマークテストにより検証された。ベンチマークテストの結果は、JENDL-3.3の予測精度がJENDL-3.2を上回ることを証明した。

口頭

中性子非弾性散乱法によるタンパク質ダイナミクスの研究

中川 洋; 片岡 幹雄; 城地 保昌*; 北尾 彰朗*; 山室 修*

no journal, , 

一般に蛋白質は、水和することで200-240Kの温度領域で動力学転移が見られる。本研究では、蛋白質の動力学転移がなぜ水和で生じるのかを明らかにすることを目的とし、非干渉性中性子散乱と分子動力学計算によって動力学転移における水和水の構造やダイナミクスを調べた。蛋白質の水和量を段階的に変えて動力学転移を測定したところ、水和量が約0.37(g water/g protein)以上で動力学転移が顕著に現れることがわかった。なぜ動力学転移がこのような水和依存性を示すのかを明らかにするために、中性子散乱の同位体効果を利用して水和水のダイナミクスを直接観測した。その結果、転移温度以下の低温では水和量に関係なくタンパク質と水分子の揺らぎの大きさはほぼ同じであった。また転移が生じない低い水和量の場合では転移温度以上でもやはりタンパク質とほぼ同じであった。一方、動力学転移が生じる高い水和量の場合には転移と同時に水和水の揺らぎが大きくなっていることが明らかになった。蛋白質表面の水和水の構造的な考察から、約0.37(g water/g protein)の水和量を超えると水和水間の接触が顕著になると考えられた。分子動力学計算によって蛋白質の水和構造とダイナミクスを調べた結果、高い水和量では水和水間の水素結合ネットワークが蛋白質表面を取り囲み、水素結合ダイナミクスが活発になることがわかった。動力学転移は、水和水ネットワークのダイナミクスとのカップリングによって生じるといえる。

口頭

中性子非弾性散乱によるタンパク質ダイナミクス研究

中川 洋; 片岡 幹雄; 城地 保昌*; 山室 修*; 中島 健次; 河村 聖子

no journal, , 

生体内でさまざまな生理機能を担うタンパク質は、周囲の熱揺らぎにさらされながらその構造を巧みに変化させることで機能を発揮する。タンパク質ダイナミクスは、広い時空間領域で特徴付けられる。実験的にはさまざまな分光学的手法でその動的挙動を調べることが可能であるが、理論研究により、生物機能における重要性が指摘されてきたTHz領域に観測される低エネルギーダイナミクスの研究には、中性子非弾性散乱実験がその威力を発揮する。タンパク質は、溶媒条件や温度,圧力などの外部環境のみならず、タンパク質自身の構造状態によってもその構造ダイナミクスは変化する。タンパク質ダイナミクスは、低エネルギースペクトルにみられるボソンピークや動力学転移といった現象を通じてよく特徴付けられる。本講演では、タンパク質ダイナミクス研究のモデルタンパク質であるスタフィロコッカルヌクレアーゼを用いて、水和,温度,圧力や折り畳みによるダイナミクスの変化をJRR-3のAGNES装置で調べたので報告する。また2009年12月にはJ-PARCのAMATERAS装置での初実験に成功した。限られた時間での実験であったが、多波長の入射中性子をうまく使うことにより、タンパク質ダイナミクスの温度変化を観測することに成功したので報告する。

口頭

Dynamics of water and formation mechanism of gas hydrates studied by neutron scattering under gas high-pressure

菊地 龍弥; 松本 正和*; 山室 修*

no journal, , 

ガスハイドレートの結晶化機構を困難にしている最も大きな理由は、ガスハイドレートを形成するガス分子は常圧では水にほとんど溶解しないことである。この問題を解決するため、気体高圧装置を用い高濃度ガス水溶液(最大2mol%程度)を作成した。作成した水溶液の中性子準弾性散乱をin-situで測定し、そのダイナミクスの変化を調べた。測定には、JRR-3(JAEA,東海村)に設置された分光器を使用した。高圧ガスは、アルゴン,キセノン,窒素,二酸化炭素を使用した。測定は、0.1MPaから100MPa, 90$$^{circ}$$Cから-10$$^{circ}$$Cまでの範囲で行った。測定により得られた準弾性散乱スペクトル$$S(Q, omega)$$を跳躍拡散運動(並進運動)と回転運動のモデルを使用し解析した。すべての試料においてガスの溶解により水の拡散係数が減少し、ハイドレート生成温度$$T_{rm F}$$以下では温度低下とともに減少幅が大きくなることがわかった。この実験結果は、MDシミュレーションでよく再現でき、$$T_{rm F}$$以下ではガス分子同士が近づくことにより周りの水分子の拡散係数が減少することがわかった。

口頭

中性子準弾性散乱法におけるダイナミクスの汎用的な解析法の開発

菊地 龍弥; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 山室 修*; 古府 麻衣子*

no journal, , 

これまでの準弾性散乱の解析法は、モデル依存性が強く、モデルを推定することが難しい場合は解析が困難であった。今回われわれは、モデル依存性の小さく汎用性の高い解析法の開発を行った。その解析手法では、拡散モデルを仮定する代わりに、拡散現象が指数関数又はその線形結合で表すことができると仮定する。その仮定において、動的構造因子S(Q,$$omega$$)は、ローレンツ関数の半値半幅積分で表すことができる。この積分におけるローレンツ関数の半値半幅(緩和時間の逆数にあたる)の分布関数B(Q,$$Gamma$$)を求めることが新しい解析法の目的である。この解析は逆ラプラス変換に相当し、解を求めることはそのままでは非常に困難である。この問題を解決するためにB(Q,$$Gamma$$)は常に正であるという仮定と最大エントロピー法(MEM)や正則化の手法を用いた。これらのことによりこの解析が可能になったのでその報告を行う。発表内容は、この解析法の具体的な方法を述べ、有用性と問題点について議論したうえで、実際の実験結果に対する適用結果を示す。

口頭

中性子準弾性散乱法の新しい解析法による水の拡散ダイナミクスの解明

菊地 龍弥; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 山室 修*; 古府 麻衣子*

no journal, , 

中性子準弾性散乱の解析はあらかじめ拡散モデルを仮定したうえで行う方法が一般的であった。われわれは準弾性散乱の新しい解析法として、最大エントロピー法を用いたモデル依存性の小さい解析法の開発に成功した。その解析法により拡散現象を緩和時間に対する強度分布という形式で計算可能になり、その結果、拡散の全体像を把握と新しい拡散運動を発見が容易になった。この解析法を実際の結果に適用するためにJ-PARCのMLFに設置されたAMATERS分光器で水(軽水及び重水)の準弾性散乱を測定した。それらの解析結果から、水分子の拡散運動には少なくとも3つのモードがあることがわかった。最も遅い運動及び最も速い運動はそれぞれ並進運動と回転運動である。これらは従来から考えられている運動であるが、今回の結果から回転運動は固定サイト間を回転する運動であることをはっきり示すことができた。加えて、今回の解析結果により中間的な速度を持つ運動の存在が明らかになった。この運動はクラスター等のより大きな構造の緩和というところまで判明している。

口頭

New approach of model-free analysis for quasi-elastic neutron scattering and applications for liquid water

菊地 龍弥; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 山室 修*; 古府 麻衣子*

no journal, , 

中性子準弾性散乱の解析はあらかじめ拡散モデルを仮定したうえで行う方法が一般的であった。われわれはモデルに依存しない準弾性散乱の新しい解析法として、最大エントロピー法を用いた非モデル依存の解析法の開発に成功した。その解析法により拡散現象を緩和時間に対する強度分布という形式で計算可能になった。この解析法を実際の結果に適用するために水(軽水及び重水)の準弾性散乱を測定した。それらの解析結果から、水分子の拡散運動には少なくとも3つのモードがあることがわかった。最も遅い運動及び最も速い運動はそれぞれ並進運動と回転運動である。これらは従来から考えられている運動であるが、今回の結果から回転運動は固定サイト間を回転する運動であることをはっきり示すことができた。加えて、今回の解析結果により中間的な速度を持つ運動の存在が明らかになった。

口頭

Mode distribution analysis; A New method for model-free analysis on quasi-elastic neutron scattering

菊地 龍弥; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 山室 修*; 古府 麻衣子*; 川北 至信; 鈴谷 賢太郎; 中村 充孝; 新井 正敏

no journal, , 

一般に中性子準弾性散乱の解析では、その緩和についての物理モデルが必要であり、その解析結果はモデル依存したものになってしまう。われわれは中性子準弾性散乱のモデルフリーな解析法として、緩和モード分布解析法を提案し開発を行ってきた。この解析法では、指数関数的緩和を基本単位とし、あらゆる緩和はその基本緩和の線形結合で表すことができるとする。この解析により計算される$$B$$($$Q$$,$$Gamma$$)は、新しい概念の関数で緩和時間(Lorentz関数の半値半幅)の強度分布を表す。この関数をわれわれは緩和モード分布関数と呼んでいる。この$$B$$($$Q$$,$$Gamma$$)からは、緩和の数・緩和時間、不均一性などを直接計算することが可能である。われわれの解析法は、この$$B$$($$Q$$,$$Gamma$$)を計算することが直接の目的になる。今回の発表では、この解析法の最初の適用例として室温の水の結果も報告する。準弾性散乱の測定には、J-PARCのAMATERAS分光器を用いた。解析の結果から、いままで報告のされていない水分子の運動を発見している。

口頭

蛋白質の低エネルギーダイナミクスに対する圧力効果

中川 洋; 城地 保昌*; 山室 修*; 片岡 幹雄

no journal, , 

蛋白質分子の全体的な構造の揺らぎは、蛋白質の構造安定性や機能発現と密接にかかわる。一方、蛋白質の動力学転移やボソンピーク等の動的特徴と、蛋白質の全体的な構造揺らぎとの関連が、中性子散乱実験と分子シミュレーションにより示唆されている。蛋白質の構造が揺らぐとき、その動きに伴い蛋白質の体積は変化する。このような蛋白質の体積揺らぎは、内部に存在する空間的な隙間(キャビティ)の存在と関係があることがわかっている。キャビティの体積は外部の圧力に敏感に反応し、例えば加圧するとキャビティの体積は減少し蛋白質の体積揺らぎは小さくなる。したがって、体積揺らぎの圧力効果を調べることは、動力学転移やボソンピークの理解に繋がると考えられる。本研究ではJRR-3のAGNES分光器を用いて中性子非弾性散乱測定を行い、蛋白質スタフィロコッカルヌクレアーゼの動力学転移やボソンピークの圧力効果を観測した。測定は常圧下と900気圧の高圧下で行った。乾燥粉末での蛋白質では、加圧によってボソンピークが高エネルギーにシフトする一方、水和状態ではピークのシフトはほとんど見られなかった。また水和状態に関係なく、加圧によって準弾性散乱は抑制されることがわかった。蛋白質の動力学転移とボソンピークの水和と圧力効果を合わせて議論し、蛋白質の低エネルギーダイナミクスへの圧力効果の詳細を発表する。

口頭

Dynamics of denatured protein under physiological condition

中川 洋; 城地 保昌*; 山室 修*; 片岡 幹雄

no journal, , 

天然変性タンパク質は標的分子との結合に伴い、不規則に揺らぐ構造から高次の立体構造に折り畳まれる。このような折り畳み反応では、構造の揺らぎが標的分子の認識に重要な役割を担う。また生理的な溶液条件下では、タンパク質構造の安定性や揺らぎは水和水に著しく影響を受けるほか、標的分子結合に伴い結合部位では脱水和が起こる。変性構造の水和状態や、結合折り畳みにおける水和状態の変化を理解することは、天然変性タンパク質の機能発現を理解するための重要な構造基盤となる。スタフィロコッカルヌクレアーゼの欠損変異体は、生理的条件下で変性構造を取り、かつ基質との結合により折り畳むといった、天然変性タンパク質の特長を有する。これまでの中性子非弾性散乱実験の結果からは、折り畳まった天然状態では、変性状態と比べ、揺らぎの空間的な広がりが大きいことを見いだした。また変性状態では天然状態で形成されている表面の水和構造が壊れていることを示唆するデータが出ている。そこで本発表では、このようなスタフィロコッカルヌクレアーゼをモデルタンパク質として用いた結合折り畳み時のタンパク質の構造揺らぎと水和状態の変化を、中性子非弾性散乱によって調べた結果について発表を行う。

口頭

Diffusion dynamics of molecular liquids elucidated by model-free analysis on quasi-elastic neutron scattering

菊地 龍弥; 中島 健次; 河村 聖子; 稲村 泰弘; 山室 修*; 古府 麻衣子*; 川北 至信; 鈴谷 賢太郎; 中村 充孝; 新井 正敏

no journal, , 

中性子準弾性散乱の緩和モード分布解析と呼んでいる新しいモデルフリーな解析法を開発した。この解析法では、すべての緩和を単純な指数関数緩和の集合で表すことができことを仮定している。この仮定の下で中性子準弾性散乱スペクトルはローレンツ関数の積分で表すことができる。この解析法では緩和時間に対する強度分布である緩和モード分布関数$$B(Q,Gamma)$$が得られる。この関数はモードの数やそのモードの緩和時間の分布を表す。この解析法を水に適用した結果、時間スケールの異なる3つの緩和モードが観測された。このうち中間の時間スケールのモードはこの解析により初めて明らかになったモードである。また、水以外の分子液体にこの解析法の適用を進めており、それらの結果から他の分子液体でも3つの緩和モードの存在が確認できている。これらの解析結果を比較することによって、分子液体の本質の解明を進めている。

口頭

Spatial scale dependence of diffusion process in glass-forming liquids

古府 麻衣子; Faraone, A.*; Tyagi, M.*; 長尾 道弘*; 山室 修*

no journal, , 

液体中の分子の自己拡散はFickの法則に従うと考えられている。van Hoveの自己時空相関関数は空間$$r$$に対しガウス型、時間に対し指数関数で記述される(デバイ緩和)。この場合、緩和時間は$$tau propto Q^{-2}$$の関係式を満たす。しかしながら、ガラス形成液体の自己拡散は非デバイ型のKWW (Kohlrausch-Williams-Watts)関数、$$exp [-(t/tau)^{beta}]$$、で記述されることが多い。では、$$tau propto Q^{-2}$$の関係式は非デバイ型の拡散過程においても成り立つのだろうか?我々は、この問題に取り組むため、2種類の液体、分子液体(3メチルペンタン)とイオン液体(C4mimTFSI)の緩和時間の$$Q$$依存性を詳細に調べた。測定には、NISTに設置された中性子スピンエコー分光器、後方散乱分光器、チョッパー分光器の3台の装置を用いた。両方の液体において、2つのQ位置でクロスオーバーが観測された。1つ目のクロスオーバーは構造緩和とのカップリング、2つ目のクロスオーバーはガウス-非ガウス転移と考えられる。今回の結果は2つのクロスオーバーに関する初めての実験的証拠である。

口頭

ガラス形成液体における自己拡散過程の空間スケール依存性

古府 麻衣子; Faraone, A.*; Tyagi, M.*; 長尾 道弘*; 山室 修*

no journal, , 

液体中の自己拡散がFickの法則に従う場合、van Hoveの自己時空相関関数は空間$$r$$に対しガウス型、時間$$t$$に対し指数関数で記述される(デバイ緩和)。このとき、緩和時間$$tau$$$$Q^{-2}$$に比例する($$Q$$は散乱ベクトル)。しかしながら、多くのガラス形成液体の自己拡散は非デバイ型の伸長指数関数$$exp [-(t/tau)^{beta}]$$で記述され、$$tau propto Q^{-2}$$の関係は非自明である。これは、中性子散乱で観測する自己拡散とは何であるかという基本的な問いとも関連する。我々はこの問題に取り組むため、中性子準弾性散乱法を用い、2種類の液体について緩和挙動の$$Q$$依存性を詳細に調べた。試料は、分子液体である3-methylpentaneとイオン液体C4mimTFSIを選択した。2つの液体とも、緩和挙動が2つの$$Q$$位置($$Q_1 approx 0.2$$~$AA$^{-1}$$, $$Q_2 approx 0.8$$~$AA$^{-1}$$)で変化していることがわかった。$$Q_1$$での変化はFickの拡散から非Fick型の拡散へのクロスオーバーである。一方、$$Q_2$$でのクロスオーバーはガウス性の変化に関係すると考えられる。また、これらのクロスオーバー点で$$tau$$だけでなく$$beta$$も変化していることは興味深い。これらの振る舞いは2つの液体で同様であることから、この自己拡散挙動がガラス形成液体に普遍的なものであることを示唆している。

口頭

Dynamics of atomic hydrogen in bulk and nanocrystalline palladium

古府 麻衣子; 橋本 直樹*; 秋葉 宙*; 小林 浩和*; 北川 宏*; Tyagi, M.*; Faraone, A.*; Copley, J.*; Lohstorh, W.*; 飯田 一樹*; et al.

no journal, , 

パラジウム水素化物は代表的な金属水素化物であり、高い水素吸蔵性とパラジウム格子中の水素原子の高い拡散性などの特長をもつ。金属をナノ粒子化すると、表面効果や量子効果などにより物性が変わることが報告され、近年盛んに研究されている。中性子散乱手法は、金属中の水素原子を捉えるのに最も適したプローブである。我々は、パラジウム水素化物ナノ粒子の特性を明らかにするため、中性子回折, 中性子準弾性, 中性子非弾性散乱測定を行い、水素原子の配置, 拡散および振動挙動を調べた。その結果、ナノ粒子の表面付近では、水素原子はバルクとは異なる四面体サイトにも存在し(バルク試料では八面体サイトにのみ存在する)、速く拡散していることがわかった。また振動励起の解析から、表面付近の水素原子周りのポテンシャルは非調和性が大きいことも明らかにした。講演では、バルク試料で新たに検知された速い拡散についても報告し、過去の結果との比較を行う。

25 件中 1件目~20件目を表示