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西山 成哲; 中嶋 徹; 後藤 翠*; 箱岩 寛晶; 長田 充弘; 島田 耕史; 丹羽 正和
Earth and Space Science (Internet), 11(6), p.e2023EA003360_1 - e2023EA003360_15, 2024/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Astronomy & Astrophysics)活断層が確認されていない様々なテクトニックセッティングの地域において、マグニチュード67クラスの地震が発生することがある。地震被害の低減のためには、そのような地震を発生させる伏在断層を把握することが重要であるが、それを把握するための手がかりとなる証拠は少ない。1984年に発生した長野県西部地震は、Mj 6.8、震源の深さが2kmと浅部で発生した規模の大きい地震である。本地域は固結した基盤が露出する地域であるにも関わらず、地表地震断層や地震後の地形変状は確認されておらず、震源断層は地下に伏在していることが知られている。本研究では、1984年長野県西部地震の震源地域において、地表踏査により割れ目に認められる条線のデータを集め、その条線形成に影響を与えた応力を、収集したデータを用いた多重逆解法で推定した。その結果、既知の伏在断層周辺の小断層において、本地域にはたらく現在の広域応力と同様の応力が検出された。この小断層の中には、第四紀の火山岩中に認められたものもあり、小断層がごく最近に活動したことを裏付ける。このことは、これらの小断層が伏在断層周辺に発達するダメージゾーンの一部である可能性を示しており、伏在断層を把握するための手がかりとなることが期待される。
丹羽 正和; 島田 耕史; 照沢 秀司*; 後藤 翠*; 西山 成哲; 中嶋 徹; 石原 隆仙; 箱岩 寛晶
Island Arc, 33(1), p.e12516_1 - e12516_16, 2024/02
被引用回数:1 パーセンタイル:42.40(Geosciences, Multidisciplinary)本研究では、地表地形では特定が不明瞭な活構造を検出する目的で、小断層の変位データを用いた多重逆解析から推定される応力と、地震データから推定されている応力とを比較することに基づく手法を検討した。南九州で知られているひずみ集中帯で検討した結果、本手法が、地下に伏在する活構造を検出するための一助となり得ることを示した。
西山 成哲; 後藤 翠*; 塚原 柚子; 川村 淳; 梅田 浩司*; 丹羽 正和
JAEA-Testing 2022-003, 51 Pages, 2022/09
高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性に係る評価のうち、火山・火成活動に関する技術的課題の一つとして、マグマ活動範囲の評価技術の高度化は必要不可欠である。そのための有効な手法として、火山体の地形解析による岩脈の分布範囲の把握が期待される。近年では、手作業では作業量が膨大で困難であった作業が、コンピュータによる地形解析技術の発達により、多くの作業量を簡易的に行えるようになった。本報告では、GISソフトウェアを用いた火山体を形作る等高線の形状解析手法について記述する。
丹羽 正和; 下茂 道人*; 島田 耕史; 後藤 翠
JAEA-Research 2022-004, 38 Pages, 2022/06
地下貯留層の天然ガスは、断層や割れ目に沿った移流によって地表に到達するので、天然ガス資源探査の初期段階においては、地表でのメタンの漏出を検出するための調査がしばしば行われる。一方、沈み込み帯に沿ったスラブの脱水に由来する流体も溶存ガスとしてメタンを豊富に含むことが多いが、これらはしばしば高温、かつ塩分に富むなど特徴的な化学的特徴を有することから、放射性廃棄物の地層処分における重要な評価対象として指摘されている。本研究では、高精度(ppbレベル)かつ短い測定間隔(約1秒)でメタンガス濃度が測定できる波長スキャンキャビティーリングダウン分光法(CRDS法)による携帯型分析装置を採用し、スラブ脱水起源の深部流体の湧出を検出するための車載測定の適用性について検討した。事例対象とした紀伊半島南東部の本宮地域での車載測定では、メタン含有温泉である川湯温泉および湯の峰温泉において、バックグラウンド濃度を超える明らかなメタンアノマリ(2ppm)が検出された。ガウスプルームモデルに基づく大気中のメタン拡散の推定結果は、車載測定の結果と調和的である。本研究で適用したCRDS法による車載測定は、資源探査などにおいて、地表でのメタン漏出を迅速かつ容易に特定するのに有効な手法となる可能性がある。本報告書では、車載測定の実施事例に加え、測定装置の使用方法についても併せて取りまとめた。
石丸 恒存; 尾方 伸久; 國分 陽子; 島田 耕史; 丹羽 正和; 島田 顕臣; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; et al.
JAEA-Research 2021-007, 65 Pages, 2021/10
本報は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度令和3年度)における令和2年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第3期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適宜反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで進めている。本報では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について取りまとめた。
島田 耕史; 後藤 翠; 丹羽 正和; 下茂 道人*
地質学雑誌, 127(10), p.I - II, 2021/10
地下からの高温流体(液体・気体)の継続的な滲出地点は、赤外線画像により簡便に把握できるであろう。このことを、川沿いに自然湧出する川湯温泉の露頭において、赤外線画像と可視光画像が同時に得られるFLIR社製、C5カメラにより確かめた画像を紹介する。川岸や川底から湧出する温泉による露頭や水面の温度上昇、温泉とともに高濃度メタンを含む気体が滲出する割れ目周辺の岩の温度上昇、冬季に川をせき止めて作られる仙人風呂の土手造成により、この割れ目が流体通路として機能しなくなった様子が一目で確認できる。赤外線画像は、地下からの高温流体の滲出地点の迅速把握に有効な場合がある。
石丸 恒存; 國分 陽子; 島田 耕史; 島田 顕臣; 丹羽 正和; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 横山 立憲; 藤田 奈津子; 小北 康弘; et al.
JAEA-Review 2021-012, 48 Pages, 2021/08
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度令和3年度)における令和3年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画-第3期中長期計画に基づき、これまでの研究開発成果、関係研究機関の動向や大学等で行われている最新の研究成果、地層処分事業実施主体や規制機関のニーズ等を考慮した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
後藤 翠; 佐々木 亮道*; 小松 哲也; 三輪 敦志*; 照沢 秀司*; 楮原 京子*; 島田 耕史
JAEA-Research 2020-013, 88 Pages, 2020/11
活断層を見出す調査技術の向上は、地層処分事業を進めるにあたって、断層のずれに伴う透水性の増加が生じる場所を避ける観点から重要である。通常、活断層の存在は、断層運動の地形学的痕跡である断層変位地形の空中写真判読と、現地の地質調査により確認する。しかし、地形学的な痕跡が不明瞭な場合の調査手法は十分整備されていない。そこで、本研究では、既往の地形学的手法を高度化する観点から、活断層を見出す指標となり得る地形学的特徴の直線状ないし弧状配列(リニアメント)を、通常の活断層研究ではほとんど無視されるような明瞭さが乏しいランクまで判読した。調査地域は、測地学的なひずみ集中帯であり、1997年鹿児島県北西部地震(Mj 6.6)の震源断層が伏在している南九州せん断帯である。本研究では、1/25,000地形図62枚の範囲の空中写真判読を実施し、得られた1,327条のリニアメントを地形図上に示し、リニアメントの分布密度,方向性,長さ,地形,地質などの項目について整理した。その結果、南九州せん断帯方向の東西系のリニアメントが西部で卓越し、鹿児島県北西部地震の余震分布域ではリニアメントが高密度で分布することが明らかとなった。これらの結果とともに、明瞭さ,方向,長さなどと地形的特徴の組み合わせによる類型化に基づく代表的な13条のリニアメントについてカタログをとりまとめた。
石丸 恒存; 尾方 伸久; 國分 陽子; 島田 耕史; 花室 孝広; 島田 顕臣; 丹羽 正和; 浅森 浩一; 渡邊 隆広; 末岡 茂; et al.
JAEA-Research 2020-011, 67 Pages, 2020/10
本報は、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度令和3年度)における令和元年度に実施した研究開発に係る成果を取りまとめたものである。第3期中長期目標期間における研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適宜反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで進めている。本報では、それぞれの研究分野に係る科学的・技術的背景を解説するとともに、主な研究成果等について述べる。
石丸 恒存; 尾方 伸久; 島田 耕史; 國分 陽子; 丹羽 正和; 浅森 浩一; 渡邊 隆広; 末岡 茂; 小松 哲也; 横山 立憲; et al.
JAEA-Review 2020-010, 46 Pages, 2020/07
本計画書では、高レベル放射性廃棄物の地層処分技術に関する研究開発のうち、深地層の科学的研究の一環として実施している地質環境の長期安定性に関する研究について、第3期中長期目標期間(平成27年度令和3年度)における令和2年度の研究開発計画を取りまとめた。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画-第3期中長期計画に基づき、これまでの研究開発成果、関係研究機関の動向や大学等で行われている最新の研究成果、実施主体や規制機関のニーズ等を考慮した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針等の検討・策定に研究成果を適時反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化、(2)長期予測・影響評価モデルの開発、(3)年代測定技術の開発の三つの枠組みで研究開発を推進する。
後藤 翠; 村上 雅紀*; 酒井 隆太郎*; 照沢 秀司*; 末岡 茂
JAEA-Review 2020-003, 60 Pages, 2020/03
地層処分システムに影響を及ぼす可能性がある天然現象の一つに、地震及び断層活動が挙げられる。地震及び断層活動では、断層変位による直接的な影響に加え、地震動に伴う湧水の発生や泥火山の活動、地震断層の活動により引き起こされる流体の移行経路の変化や副断層の形成のような二次的な影響も考慮する必要がある。本稿では、これらの二次的な現象による地層処分システムへの影響の理解を目的として、水理学的影響(湧水・泥火山)、力学的な影響(副断層)を対象に、既往研究を収集し取りまとめた結果を報告する。関連するキーワードを各国語で検索することで、国内外の142編の文献を収集することができた。その結果、それぞれの二次的影響の研究事例を概観し、地層処分の観点で今後の評価技術の高度化に必要な課題を抽出した。地震等の影響による湧水については、湧出機構、影響範囲、活動履歴に関する事例の蓄積を課題として示した。泥火山については、形成の要因となる異常間隙水圧のメカニズムの検討及び予測手法の高度化を課題として示した。副断層については、詳細な分布の把握と形成機構の検討の蓄積が課題であると示した。
西山 成哲*; 川村 淳; 梅田 浩司*; 後藤 翠; 丹羽 正和
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分のサイト選定において、火山・火成活動の活動影響領域を把握しておくことは重要である。火山体の内部には、ほぼ垂直に伸びて山頂火口に繋がる火道とそこから派生する放射状岩脈が存在する。しかし、現存する火山体下に伏在している火道や放射状岩脈の分布を把握することは困難である。著者らは、山体の裾野の広がりが実際の岩脈の分布範囲を反映していると想定し、GISソフトウェアを用いた山体の地形解析により火道および放射状岩脈の三次元的な分布範囲をモデル化する手法の開発を行っている。本検討では、活動履歴が詳らかになっていない火山等も含めた地形解析の手法を提案し、各火山での地形解析を実施し、岩脈の分布範囲のモデル化を図った。その結果、本検討で用いた解析手法により、火山の活動で形成された地形の特徴を、エキスパートジャッジを含めずに捉えることが可能となった。このことは、本検討による解析結果と地質との比較検討を可能にするものであり、有益な情報となると考えられる。また、本検討により得られた重心の分布傾向は、噴火当時の広域応力場と整合的な結果を示しており、解析結果の妥当性を示すものである。
西山 成哲*; 川村 淳; 梅田 浩司*; 後藤 翠; 丹羽 正和
no journal, ,
火山・火成活動の技術的課題のうちマグマの影響範囲の検討に関しては、特に岩脈の発達に関する調査事例を蓄積していくことが重要であるが、現存の火山体下に伏在している火道および岩脈の分布を把握することは現実的に困難である。一方で、火山の山体の裾野の広がりは、実際の岩脈の分布範囲を反映していると考えられている。日浦ほか(2021)は、GISソフトウェアを用いた火山体の地形解析により火山体の標高ごとの形状,面積,重心などの地形パラメータを計測することにより、火山体下の岩脈の分布範囲の推定やその火山の活動履歴を追える可能性を見出した。西山ほか(2021)では、日浦ほか(2021)の手法からエキスパートジャッジとなる要素をなくした重心の算出手法を提案し、火山の放射状岩脈のモデル化を図った。しかし、得られた重心分布が火道と放射状岩脈のどちらの影響によるものかが区別できておらず、火道の安定性を評価できない状態である。本研究では、等高線の形状に注目し、岩脈分布のモデル化および火道の安定性評価に向けた検討を行った。西山ほか(2021)の解析により得られるデータに加え、各標高の等高線分布のうち最大距離となる長軸を引き、その方位データを集計した。また、等高線で囲われた等高線ポリゴンの面積データを用いた計算を実施し、各火山の地形パラメータとして算出した。具体的には、各標高の最大面積の等高線ポリゴンに対するその他の等高線ポリゴンの面積の比、およびその等高線ポリゴンの面積の値をそれぞれ平均したものを各火山で算出し、その算出結果による火山のグループ分けを試みた。解析の結果、火山体の等高線の長軸方位は、各火山で方位がある程度集中する結果が得られた。重心同士を結んだ線の方位と整合的な火山も多く見られ、それらは火山周辺の主応力の方向とおおよそ合致する結果となった。岩脈は一般に最大圧縮軸の方向に進展する特徴があるとされていることから、地形解析結果はこれと整合的であると言える。一方で、整合的でない火山もあるが、噴出率が比較的低い火山であることが多い。等高線ポリゴンの面積を用いた各火山の地形パラメータは、高橋(1994)で分類されている火道安定型と火道不安定型の火山とに区別可能なことを示唆する結果となった。このことは活動履歴が詳らかになっていない火山においても、地形解析により火道の安定性を評価が可能となることが期待されるものである。
箱岩 寛晶; 島田 耕史; 川村 淳; 西山 成哲; 後藤 翠*
no journal, ,
地殻中の流体移動経路の把握と推定は、地層処分事業に関する地盤や地下水対策等の評価で重要である。そのため、地殻流体が地表の岩盤中の割れ目から湧出している温泉湧出露頭を、流体の高速移動経路の候補として捉え、割れ目分布の特徴を調査している。紀伊半島上湯温泉の上湯川沿いの温泉湧出露頭において、割れ目データをスキャンライン法により取得した。具体的には、測線と交差する割れ目の走向傾斜と測線との交点の距離を計測した。走向データは、北-東-南の180度範囲方向に伸びる単位長さのベクトルとして扱われる。グラフ表現では、直交座標(横軸は東、縦軸は北)の原点から最初のベクトルが始まる。そして、そのベクトルの終点が次のベクトルの始点となる。これを繰り返すことにより、累積走向ベクトルの折線グラフができる。横軸と縦軸の単位を合わせると、この折線ベクトルのある部分が示す方向は、その部分の割れ目の平均方向を示している。折線グラフには、いくつかのトレンドとその屈曲が見られる。各トレンドは、類似した走向を持つ割れ目群からなる割れ目領域を示している。現在の温泉湧出地点はいくつか認められるトレンド屈曲点、すなわち割れ目領域境界のうちの一つに対応している。過去に温泉が湧出していた割れ目も、別の割れ目領域境界に位置する。このグラフでは、割れ目の測線上の距離と、割れ目の傾斜の情報は現れない。ある一定の数の割れ目の間の距離は、割れ目頻度の逆数で、割れ目領域境界の検出に使うことができる。過去に温泉が湧出していた割れ目は、割れ目間距離が急激に変化する地点に位置しており、これは割れ目密集の度合の変化が異なるような、隣接割れ目領域の境界に相当する。隣接する割れ目の交線も、単位ベクトルとして扱うことができ、累積交線ベクトルのグラフを作ることができる。上記の現在および過去の温泉湧出地点は、この累積交線ベクトルグラフの屈曲点、つまり割れ目領域境界に位置している。これらの単純な手法により、上湯温泉の例では、亀裂性岩盤における割れ目領域境界と流体経路の場所を示すことができた。本手法の利点は、なんら変更を加えることなく、概要調査で実施が想定されるような、ボアホールテレビ観察を併用するボーリング調査に適用可能なことである。
西山 成哲; 中嶋 徹; 後藤 翠*; 箱岩 寛晶; 長田 充弘; 島田 耕史; 丹羽 正和
no journal, ,
活断層が確認されていない様々なテクトニックセッティングの地域において、マグニチュード67クラスの地震が発生することがある。地震被害の低減のためには、そのような地震を発生させる伏在断層を把握することが重要であるが、それを把握するための手がかりとなる証拠は少ない。本研究では、伏在断層の存在が明らかとなっている1984年長野県西部地震の震源地域において、地表踏査により割れ目に認められる小断層のスリップデータを集め、多重逆解法を実施した。その結果、既知の伏在断層周辺の小断層において、本地域にはたらく現在の広域応力と同様の応力が検出された。この小断層のスリップデータの中には、第四紀の火山岩中に認められたものもあり、小断層がごく最近に活動したことを裏付ける。このことは、これらの小断層が伏在断層周辺に発達するダメージゾーンの一部である可能性を示しており、伏在断層を把握するための手がかりとなることが期待される。本研究は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和2
4年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」の成果の一部である。
西山 成哲; 中嶋 徹; 後藤 翠*; 安邊 啓明; 箱岩 寛晶; 石原 隆仙; 長田 充弘*; 島田 耕史; 丹羽 正和
no journal, ,
Earthquakes with magnitudes of 6-7 have been reported even in various active tectonic settings where fault deformation topography have not been detected. Therefore, delineating concealed active faults generating such earthquakes is necessary to reduce earthquake damage; however, few studies exist to provide its clues regarding such faults. The 1984 Western Nagano Earthquake in Japan was a main shock with a magnitude of Mj 6.8 and a depth of 2 km at the source. Solid bedrocks are well-exposed in the earthquake source region; however, no surface rupture have been identified, and the active fault is known to be concealed. We collected minor faults-slip data by geological survey around this area and estimated stresses in this area using the multiple inverse method, confirmed that stresses similar to acting faults in this area were detected in minor faults around the known concealed active fault (Nishiyama et al., 2024). In this presentation, we will discuss the stresses that affected the minor faults that develop around the concealed active fault, including newly detected stresses from expanded survey area. The results of the survey were similar to those of Nishiyama et al. (2024) in the area of the expanded survey area. This suggests that the minor faults might be part of the damage zone that has been developed around the concealed active fault. This study indicates the possibility of detecting concealed active faults in the bedrock by geological survey. This study was funded by the Ministry of Economy, Trade and Industry (METI), Japan as part of its R&D supporting program titled "Establishment of Advanced Technology for Evaluating the Long-term Geosphere Stability on Geological Disposal Project of Radioactive Waste (JPJ007597) (Fiscal Years 2020-2022)" and "Establishment of Technology for Comprehensive Evaluation of the Long-term Geosphere Stability on Geological Disposal Project of Radioactive Waste (JPJ007597) (Fiscal Years 2023-2024)".
西山 成哲; 中嶋 徹; 後藤 翠*; 箱岩 寛晶; 末岡 茂; 島田 耕史; 丹羽 正和
no journal, ,
M6-7の規模のいくつかの地震については地表地震断層が不明確とされており、このような地震を引き起こす活断層を把握するための評価手法の確立が必要である。本研究では、明瞭な地表地震断層が現れていない1984年長野県西部地震の震源地域において、地表踏査により収集した小断層の条線データを用いた応力逆解析により小断層の活動に影響を与えたと考えられる応力場を推定し、広域応力場と整合的な小断層が多い領域を抽出した。地表踏査の結果、321条の小断層データを収集した。これら小断層データの位置とデータ数を考慮して調査地域を13個の領域に区分けし、各領域における応力逆解析の結果、伏在断層の上端に近い領域において、本地域の広域応力場と調和的なNW-SE方向に1軸を持つ応力が検出された。これらの領域には、伏在断層の活動に伴って変位した小断層が相対的に多いと考えられ、それらの分布範囲は伏在断層のダメージゾーンもしくはさらに広範囲に広がる変形帯に相当することが予想される。このことから、明瞭な断層変位地形が認められない場合でも、地表踏査によりその分布や影響範囲を推定できると期待される。本研究は経済産業省資源エネルギー庁委託事業「令和2-4年度高レベル放射性廃棄物等の地層処分に関する技術開発事業(JPJ007597)(地質環境長期安定性評価技術高度化開発)」の成果の一部である。
後藤 翠; 島田 耕史; 丹羽 正和; 照沢 秀司*
no journal, ,
1990年代以降に設置された全国のGNSSネットワークにより、南九州に高いひずみ速度を伴う左横ずれのせん断帯の存在が示唆されている。この地域では1997年の鹿児島県北西部地震などの大きな地震が発生しているが、これらの地震に関連する地震断層や活断層が地表で認められていない。本研究では、測地学的研究によって示唆されたせん断帯の地質学的証拠を明らかにするために、小断層を調査した。鹿児島県北西部(2216km)の現地調査では、粘土質ガウジ及びカタクレーサイトを伴う断層はほとんど認められなかった。一方、四万十帯付加後に形成された小断層が普遍的に観察された。すべりの方向は、小断層沿いの条線を用いて決定した。条線の方向データに基づき、応力テンソルインバージョンを適用して、応力状態の解明を試みた。その結果、
2km幅でE-W方向に伸び、せん断帯のひずみ(NE-SW圧縮およびNW-SE伸長)と一致する応力状態を示す領域が明らかとなった。本研究は、明瞭な活断層地形に乏しい断層(またはせん断帯)の潜在的な将来の活動を調べるアプローチの1つとして有用である。
丹羽 正和; 島田 耕史; 後藤 翠; 照沢 秀司*
no journal, ,
地層処分事業においては、概要調査における活構造の調査・評価技術の信頼性向上の観点から、地形的に不明瞭な活構造帯を検出し、その分布を把握するための調査技術の整備および事例の蓄積が必要である。全国のGNSSネットワークに基づく測地学的研究により、日本列島の複数地域でひずみ集中帯の存在が指摘されている。ひずみ集中帯には活構造が発達しやすいと考えられるが、ひずみ集中帯の範囲内に主要な活断層がほとんど報告されていない事例もある。本研究では、その代表的な事例の一つである南九州せん断帯を対象として、小断層の条線データに基づく応力テンソルインバージョンにより、GNSS観測の結果と調和的な応力状態の検出を試みた。その結果、GNSS観測から見出されているひずみ集中帯のひずみと一致する応力状態を示す領域を明らかにすることができた。本手法は、地形的に不明瞭な活構造帯の分布を把握するアプローチの1つとして有用であると言える。
塚原 柚子; 菅野 瑞穂; 後藤 翠; 藤田 奈津子; 小松 哲也; 前杢 英明*
no journal, ,
岩石海岸にみられる潮間帯生物の潮間帯化石群体は、過去の海水準高度の指標となる。したがって、その分布高度・内部構造・C年代といった情報を統合することで、完新世の相対的海水準変動を復元することが可能と考えられる。さらに、復元した相対的海水準変動を海岸部における上下変動と読み替えるならば、沿岸部における地殻変動の履歴や様式を知ることができる。そこで発表者らは、高知県土佐湾東岸部の羽根岬を事例に、潮間帯化石群体を用いた地殻変動履歴の復元手法の高度化を目的とする研究開発を実施した。離水ベンチの認定及び化石群体の
C年代測定の結果、事例対象地域において最低位に分布する離水ベンチの形成期間を明らかにすることができた。その一方、化石群体の内部構造の情報不足や
C年代値の幅により、数100年間隔で生じた地殻変動履歴を検出・復元することはできなかった。精密な地殻変動履歴の復元のためには、隆起・沈降過程にともない生じる化石群体内部の多層構造や化石群体の成長の空白期間の認定が不可欠である。