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論文

Dosimetric impact of a new computational voxel phantom series for the Japanese atomic bomb survivors; Children and adults

Griffin, K.*; Paulbeck, C.*; Bolch, W.*; Cullings, H.*; Egbert, S.*; 船本 幸代*; 佐藤 達彦; 遠藤 章; Hertel, N.*; Lee, C.*

Radiation Research, 191(4), p.369 - 379, 2019/04

原爆生存者に対する被ばく線量評価は、幼児・小児・成人の3年齢群に対する幾何学形状人体ファントムを用いて実施されており、最新の結果はDS02レポートにまとめられている。しかし、幾何学形状ファントムは、人体の詳細な解剖学的特性を表現しておらず、また、年齢群も3つでは不十分との指摘があった。そこで、1945年の日本人体系を詳細に模擬した6年齢群に対するボクセル形状ファントムを開発し、解剖学的な違いが線量評価に与える影響を調査した。その結果、典型的な原爆被ばく条件に対して光子及び中性子による臓器吸収線量は最大でそれぞれ25%及び70%程度異なることが明らかとなった。本成果は、今後、原爆生存者に対する線量再評価を行う際に役立つと考えられる。

論文

Estimation of sensitivity coefficient based on lasso-type penalized linear regression

方野 量太; 遠藤 知弘*; 山本 章夫*; 辻本 和文

Journal of Nuclear Science and Technology, 55(10), p.1099 - 1109, 2018/10

 被引用回数:1 パーセンタイル:31.68(Nuclear Science & Technology)

本研究では、炉心核特性の感度係数表に対して、罰則化線形回帰手法adaptive smooth-lassoを考案した。提案手法は、ランダムサンプリングにより得られる多数の微視的多群断面積摂動セットと炉心核特性を用いた線形回帰によって感度係数を評価する。提案手法は、Forward計算のみ実施するため、Adjoint計算の実施が困難な複雑な炉心計算に対しても適用可能である。本研究では微視的多群断面積に対する炉心核特性の感度係数の特徴を考慮した罰則項を提案し、数値計算を通じて提案手法が先行研究の手法と比較してより少ない計算コストで高精度に感度係数を評価できることを示した。

論文

The ICRU proposal for new operational quantities for external radiation

Otto, T.*; Hertel, N. E.*; Bartlett, D. T.*; Behrens, R.*; Bordy, J.-M.*; Dietze, G.*; 遠藤 章; Gualdrini, G.*; Pelliccioni, M.*

Radiation Protection Dosimetry, 180(1-4), p.10 - 16, 2018/08

 被引用回数:1 パーセンタイル:31.68(Environmental Sciences)

国際放射線単位測定委員会(ICRU)のレポート委員会No.26は、体外放射線に対する放射線防護のためのモニタリング量(実用量)について、実効線量を基に定義し放射線のタイプとエネルギー範囲を拡張するとともに、目の水晶体と皮膚の確定的影響の評価も考慮した新たな提案をした。これらの提案は、現在使われている実用量について、概念及び技術的な欠点を克服するものである。本論文では、提案された実用量について、規制上求められている放射線モニタリング量に関する改善点に焦点をあてながら概要を述べる。

論文

Calculation of fluence-to-effective dose conversion coefficients for the operational quantity proposed by ICRU RC26

遠藤 章

Radiation Protection Dosimetry, 175(3), p.378 - 387, 2017/07

国際放射線単位・測定委員会(ICRU)は、外部被ばく線量の測定に対し、防護量に基づいた新たなモニタリング量の提案を検討している。本研究では、その提案において、個人モニタリングのための個人線量当量の定義に必要な換算係数のデータセットを提供する。フルエンスから実効線量への換算係数を、光子, 中性子, 電子, 陽電子, 陽子, ミュー粒子, パイ中間子、そしてヘリウムイオンに対して計算した。換算係数は、放射線の入射角度が0$$^circ$$から90$$^circ$$までは15$$^circ$$間隔、また、180$$^circ$$、回転照射、等方照射、上半球等方照射、下半球等方照射の条件について計算し、表及びグラフで提供する。これらの換算係数は、ICRUが導入を検討している個人線量当量の定義とともに、個人線量計の設計や校正にも活用される。

論文

ICRP, ICRUにおける防護量と実用量に関する最新の検討状況

遠藤 章

保健物理, 52(1), p.39 - 41, 2017/03

放射線の影響からヒトを防護するためには、被ばくの程度を定量化する必要がある。この目的のために、国際放射線防護委員会(ICRP)と国際放射線単位測定委員会(ICRU)は、防護量と実用量からなる線量の評価・測定の体系を提案した。この線量体系は、放射線防護の実務に広く定着し、利用されている。しかし、加速器の普及による高エネルギー放射線への対応など、現在の線量体系にはいくつかの解決すべき課題がある。これらの課題について、ICRPとICRUは連携して検討を進めており、近く、新たな線量体系を提案しようとしている。本発表では、現行の線量体系の見直しに関するICRPとICRUの検討の過程を概観し、今後導入されようとしている新たな線量体系について紹介する。

論文

Operational quantities and new approach by ICRU

遠藤 章

Annals of the ICRP, 45(1S), p.178 - 187, 2016/06

国際放射線防護委員会(ICRP)が提案する臓器・組織の等価線量、実効線量等の防護量は、放射線による人体の被ばくの程度を定量化し、線量の制限や防護の最適化を図るために使われている。人体に対して定義される実用量は測定できないため、国際放射線単位測定委員会(ICRU)は、測定によって防護量を評価するための実用量を開発した。現在使われている実用量は、30年以上も前に定義されたものである。ICRUは、ICRP 2007年勧告における防護量の変更を契機に実用量の検討を行った。その結果、委員会は現在のものに替わる新たな実用量を提案することとした。エリアモニタリングに対しては、ICRU球のある深さで定義する線量から、粒子フルエンスに基づき防護量と関連付けた量に変更する。本発表では、新たに提案する実用量の定義と、それが線量測定の実務に及ぼす影響について検討した結果を報告する。

論文

ICRP Symposium on Radiological Protection Dosimetryを開催して

遠藤 章; 浜田 信行*

Isotope News, (745), p.42 - 43, 2016/06

2016年2月18日、東京大学本郷キャンパスおいて、国際放射線防護委員会(ICRP)のシンポジウム「ICRP Symposium on Radiological Protection Dosimetry」が開催された。ICRP第2専門委員会は、内部被ばく及び外部被ばくの線量評価に用いる線量係数の評価を担っており、その評価に必要な体内動態モデル、線量評価モデル、基礎データの開発を進めている。本シンポジウムは、ICRPが現在取り組んでいる線量係数評価のための一連の活動を紹介するとともに、今後必要な研究について議論することを目的として開催された。本稿ではシンポジウムの概要を報告する。

論文

Age-dependent dose conversion coefficients for external exposure to radioactive cesium in soil

佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; 遠藤 章; Lee, C.*; Bolch, W. E.*

Journal of Nuclear Science and Technology, 53(1), p.69 - 81, 2016/01

 被引用回数:7 パーセンタイル:12.41(Nuclear Science & Technology)

福島第一原子力発電所事故により環境中の土壌に沈着した放射性セシウム($$^{134}$$Cs及び$$^{137}$$Cs)による公衆の外部被ばく線量を評価するため、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳,成人に対して、放射性セシウムの土壌中放射能濃度から実効線量率を導出する換算係数を解析した。換算係数は、放射性セシウムが深さ0.0, 0.5, 2.5, 5.0, 10.0及び50.0g/cm$$^{2}$$で土壌中に一様分布していると仮定し、放射線輸送コードPHITSを用い、国際放射線防護委員会の1990年勧告及び2007年勧告の線量定義に従い計算した。その結果、土壌に分布した放射性セシウムからの実効線量率は年齢が若いほど高くなること、及び1990年勧告と2007年勧告に従った実効線量率の計算値は7%以内で一致することを明らかにした。また、実効線量率の値は、サーベイメータ等で測定されている周辺線量当量率の値を超えないことを示した。さらに、土壌中の放射性セシウムの多様な分布形状と一定期間滞在し続けた場合に対応して、実効線量率または積算実効線量への換算係数を導出する手法も開発した。本研究で整備した年齢依存の実効線量率及び積算実効線量への換算係数は、除染地域への帰還に向けた住民の線量評価に有効なものとなる。

論文

Numerical analysis of organ doses delivered during computed tomography examinations using Japanese adult phantoms with the WAZA-ARI dosimetry system

高橋 史明; 佐藤 薫; 遠藤 章; 小野 孝二*; 伴 信彦*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 吉武 貴康*; 甲斐 倫明*

Health Physics, 109(2), p.104 - 112, 2015/08

 被引用回数:3 パーセンタイル:52.2(Environmental Sciences)

日本国内でのCT検査による患者の臓器線量を正確に評価するため、CT線量評価システムWAZA-ARIの開発を進めている。WAZA-ARIの線量計算では、成人日本人のボクセルファントム及び放射線輸送計算コードPHITSを用いた数値解析で整備した臓器線量データを利用する。このデータの解析を進めるため、CT装置内の寝台における線量分布等の測定結果に基づき、各種装置でのX線放出特性をPHITSで数値的に模擬する技術を開発した。典型的な撮影条件について、PHITSと日本人ボクセルファントムを用いた解析結果より臓器線量を計算し、既に利用されている他のCT線量評価システムによる結果と比較した。その結果、日本人ボクセルファントムを用いた解析で得た線量データを利用した場合、数学人体模型に基づく線量データを利用した他のシステムよりも、人体形状を適切に考慮して臓器線量を導出できることが検証された。また、欧米人の体格に基づくボクセルファントムによる計算結果や日本人体型を模擬した物理モデルを用いた実測結果と比較した。これらの比較検証により、本研究で開発した数値解析法で得られる臓器線量データは、日本人の体格特性を考慮したシステムWAZA-ARIに十分適用できることを確認した。

論文

「ICRP Publication 116 外部被ばくに対する放射線防護量のための換算係数」; 概要と改訂のポイント

遠藤 章

Isotope News, (736), p.34 - 37, 2015/08

2015年3月、日本アイソトープ協会から、「外部被ばくに対する放射線防護量のための換算係数」が出版された。本書は、国際放射線防護委員会ICRP Publication 116 (ICRP116) "Conversion Coefficients for Radiological Protection Quantities for External Radiation Exposures"の翻訳書で、放射線防護に関するICRP 2007年基本勧告に基づいて計算された外部被ばくに対する人体の臓器ごとの吸収線量や実効線量の換算係数を収録したものである。本書で提供される換算係数は、線量評価や遮へい計算などの放射線防護の実務はもとより、添付されたCD-ROMで提供されるデータは研究資料としても有用である。本稿では、ICRP116の内容を放射線防護の実務との関係に触れながら紹介する。

論文

WAZA-ARI; CT撮影における患者の被ばく線量評価システム

佐藤 薫; 高橋 史明; 遠藤 章; 小野 孝二*; 長谷川 隆幸*; 勝沼 泰*; 吉武 貴康*; 伴 信彦*; 甲斐 倫明*

RIST News, (58), p.25 - 32, 2015/01

原子力機構では、国内でのCT診断時の患者の被ばく管理の向上に資するため、大分県立看護科学大学等との共同研究によりWAZA-ARIの開発を進め、2012年12月にその試用版を公開した。試用版のWAZA-ARIには、平均的成人日本人男性(JM-103)及び女性(JF-103)、4才児(UFF4)ファントムと放射線輸送計算コードPHITSを組み合わせて計算した臓器線量データベースが格納されている。WAZA-ARIでは、これらの臓器線量データベースの中から、撮影条件に応じた適切なデータが選択されて線量計算に利用される。試用版の公開以後、WAZA-ARIのホームページへのアクセス件数は月当たり概ね1000件を超えており、2014年9月末において28421件に達した。現在、試用版のWAZA-ARIの線量評価機能を拡張した本格運用版である、WAZA-ARI version 2の開発が進められており、2014年度中の公開を目指している。WAZA-ARI version 2では、利用者は自身で計算した線量データを登録し、国内での線量分布と比較する機能も追加されている。

論文

福島周辺における空間線量率の測定と評価,3; 環境$$gamma$$線の特徴と被ばく線量との関係

斎藤 公明; 遠藤 章

Radioisotopes, 63(12), p.585 - 602, 2014/12

環境中における適切な外部被ばく線量評価に必要な基本情報を提供する。まず、環境中に分布する典型的な線源から放出される$$gamma$$線の基本的な性質について説明するとともに、この性質を考慮して行われた被ばくシミュレーションにより得られた、広い年齢層に対する線量換算係数をまとめて紹介する。さらに、様々な要因による被ばく線量の変動の様子、また、空間線量率の測定値と被ばく線量の関係についても議論する。

論文

Overview of the ICRP/ICRU adult reference computational phantoms and dose conversion coefficients for external idealised exposures

遠藤 章; Petoussi-Henss, N.*; Zankl, M.*; Bolch, W. E.*; Eckerman, K. F.*; Hertel, N. E.*; Hunt, J. G.*; Pelliccioni, M.*; Schlattl, H.*; Menzel, H.-G.*

Radiation Protection Dosimetry, 161(1-4), p.11 - 16, 2014/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:72.1(Environmental Sciences)

国際放射線防護委員会(ICRP)は、放射線防護に関する基本勧告を見直し、2007年にICRP Publication 103として公開した。この勧告では、放射線防護量として用いられる等価線量及び実効線量における放射線加重係数,組織加重係数を改訂するとともに、臓器線量の計算に用いる標準計算ファントムを新たに採用した。これらの改訂を受けて、外部被ばく評価に用いる新しい換算係数のデータセットが、ICRP第2専門委員会タスクグループDOCALによって取りまとめられ、ICRP Publication 116として出版された。本発表は、標準計算ファントムを用いて、新たに整備された外部被ばくに対する線量換算係数についてレビューする。計算された換算係数を、現在使用されているICRP Publication 74の換算係数と比較し、両者の違いをもたらす原因、新しい線量換算係数が放射線モニタリングに及ぼす影響についても検討する。

論文

ICRP Publication 116; The First ICRP/ICRU application of the male and female adult reference computational phantoms

Petoussi-Henss, N.*; Bolch, W. E.*; Eckerman, K. F.*; 遠藤 章; Hertel, N.*; Hunt, J.*; Menzel, H. G.*; Pelliccioni, M.*; Schlattl, H.*; Zankl, M.*

Physics in Medicine and Biology, 59(18), p.5209 - 5224, 2014/09

 被引用回数:2 パーセンタイル:81.93(Engineering, Biomedical)

様々な放射線による外部被ばくに対して、フルエンスあたりの臓器吸収線量、実効線量の換算係数データ集ICRP Publication 116(ICRP116); "外部放射線被ばくに対する放射線防護量のための換算係数"を取りまとめた。ICRP116はこれまで用いられてきたICRP74に置き換わるもので、放射線の種類及びエネルギー範囲を拡張したデータ集である。換算係数は、標準の成人男性及び女性を表したICRP/ICRUコンピュータファントムとファントム中における放射線の挙動を模擬するモンテカルロコードを用いて計算され、様々な方向からの平行ビーム、回転ビーム、等方照射等による全身の照射に対して提供されている。実効線量の換算係数を、放射線モニタリングに使われている実用量の換算係数と比較した結果、実用量は光子,中性子,電子に対して、ICRP74で考慮されていたエネルギー範囲においては実効線量の評価に適用できるが、それ以上のエネルギーでは実効線量を適切に評価できないことが分かった。

報告書

土壌に分布した放射性セシウムによる外部被ばく線量換算係数の計算

佐藤 大樹; 古田 琢哉; 高橋 史明; 遠藤 章; Lee, C.*; Bolch, W. E.*

JAEA-Research 2014-017, 25 Pages, 2014/08

JAEA-Research-2014-017.pdf:15.8MB

福島第一原子力発電所事故により、土壌に広範囲にわたって沈着した放射性セシウムがもたらす外部被ばくによる公衆の実効線量の評価に必要な線量換算係数を解析した。モンテカルロ法に基づく3次元放射線輸送コードPHITSを用いて、Cs-134及びCs-137が土壌中0.0g/cm$$^{2}$$, 0.5g/cm$$^{2}$$, 2.5g/cm$$^{2}$$, 5.0g/cm$$^{2}$$及び10.0g/cm$$^{2}$$のいずれかの深さに一様平板分布している条件で線量解析を進め、新生児, 1歳, 5歳, 10歳, 15歳及び成人の換算係数データを整備した。また、放射性セシウムが沈着した土壌上に1ヶ月, 1年または50年、滞在した場合の積算実効線量への換算係数も評価した。解析の結果、年齢が低くなるほど実効線量が大きくなることを示すとともに、全年齢の実効線量が、現在モニタリングされている地表面から高さ1mでの周辺線量当量H$$^{*}$$ (10)よりも小さいことを確認した。また、現行の放射線障害防止法関連法令の基礎となっている国際放射線防護委員会(ICRP)の1990年勧告と、将来導入が見込まれる2007年勧告で定義された評価法による実効線量では、大きな差異を生じなかった。この他、指数分布をはじめとした体積分布線源に対応した線量換算係数を導出する手法や、評価した換算係数データを今回の事故後の線量評価に適用するための手法を提案した。

論文

Comparison of Bonner Sphere responses calculated by different Monte Carlo codes at energies between 1 MeV and 1 GeV; Potential impact on neutron dosimetry at energies higher than 20 MeV

R$"u$hm, W.*; Mares, V.*; Pioch, C.*; Agosteo, S.*; 遠藤 章; Ferrarini, M.*; Rakhno, I.*; Rollet, S.*; 佐藤 大樹; Vincke, H.*

Radiation Measurements, 67, p.24 - 34, 2014/08

 被引用回数:8 パーセンタイル:24.53(Nuclear Science & Technology)

広範な中性子のエネルギー測定に、減速材付き$${^3}$$He比例計数管(ボナー球)が利用されている。ボナー球の測定結果から中性子のエネルギースペクトルを導出する場合、放射線輸送計算コードで計算される応答関数が用いられる。そのため、放射線輸送計算コードのシミュレーションの精度がボナー球による中性子エネルギー測定の不確定性を決めることとなる。欧州線量評価委員会(EURADOS)は、世界的に普及している放射線輸送計算コードであるMCNP, MCNPX, FLUKA, MARS, GEANT4及び原子力機構が中心に開発を進めているPHITSで応答関数を計算し、その相互比較により、各コードで採用している核反応模型の違い等がもたらす不確定性の度合いを系統的に解析するプロジェクトを実施した。相互比較の参加者はEURADOSの示す計算条件に従い、ボナー球の検出部の中性子フルエンスを計算し、EURADOSは各コードによる結果を取りまとめ応答関数を導出した。その結果、異なる計算コード及び核反応模型の使用がもたらす不確定性は小さく、応答関数計算で20%程度、周辺線量当量の評価で10%程度の差になることが分かった。このことから、既存の測定の信頼性が確認されたとともに、今後の測定における不確定性の類推が可能となった。

論文

Development of a calculation system for the estimation of decontamination effect

佐藤 大樹; 小嶋 健介; 大泉 昭人; 松田 規宏; 岩元 大樹; 久語 輝彦; 坂本 幸夫*; 遠藤 章; 岡嶋 成晃

Journal of Nuclear Science and Technology, 51(5), p.656 - 670, 2014/05

 被引用回数:3 パーセンタイル:60.34(Nuclear Science & Technology)

東京電力福島第一原子力発電所の事故で放出された放射性物質による環境汚染の修復に向けた除染計画の立案を支援するため、除染前後の空間線量率の計算から除染効果を評価するソフトウェアCDEを開発した。CDEでは、新たに開発した線量率計算手法を用い、短時間に様々な除染シナリオの効果を調べることができる。本論文では、CDEの設計概念、入出力データ、線量率計算手法、精度検証、除染計画の検討及び公開後の利用状況を取りまとめた。空間線量率は、土壌と大気からなる無限平板体型に配置した線源から周囲の領域への単位放射能当たりの線量寄与割合のデータベース(応答関数)に除染対象地域の放射能分布を乗じて計算する。応答関数は、線源核種の放射性セシウムが土壌表面に分布している場合のほか、土壌中に存在する場合についても、複数の深さに対して評価している。開発した手法の検証として、単純化した計算体系における空間線量率と除染範囲の関係をCDEと汎用放射線輸送計算コードPHITSを用いて計算した結果、両者は極めてよい一致を示した。また、伊達市下小国地区における除染前の空間線量率分布をCDEで計算し、実測値と比較した結果、CDEは実際の汚染地域における空間線量率を適切に再現できることを示した。以上から、CDEには十分な予測精度があり、今後の除染計画の立案に活用できることを確認した。

論文

Comparison of internal doses calculated using the specific absorbed fractions of the average adult Japanese male phantom with those of the reference computational phantom-adult male of ICRP publication 110

真辺 健太郎; 佐藤 薫; 遠藤 章

Physics in Medicine and Biology, 59(5), p.1255 - 1270, 2014/03

 被引用回数:1 パーセンタイル:89.9(Engineering, Biomedical)

国際放射線防護委員会(ICRP)の2007年基本勧告では、実効線量の評価において、標準的なコーカソイドの体格特性に基づくファントムを用いることとしている。内部被ばく線量評価に用いられる比吸収割合(SAF)は、その算出に使用するファントムの体格特性に依存する。そこで、コーカソイドに比べて小柄で、脂肪量が少ない日本人の体格特性が内部被ばく線量評価に及ぼす影響を解析した。まず、平均的成人日本人ファントム(JM-103)を放射線輸送計算コードMCNPXに組み込み、内部被ばくの線量評価で重要な光子及び電子に対するSAFを計算した。ICRP標準成人男性ファントムの電子SAFは文献値を参照し、光子SAFはJM-103と同様に計算した。各ファントムのSAFを用いて、923の放射性核種の2894の摂取ケースに対する実効線量係数相当量(以下、実効線量係数と呼ぶ)を算出し、相互に比較した。その結果、両者の違いは最大で約40%となったが、97%のケースでは違いが10%以内であることが明らかになった。また、体格、臓器・組織の質量等の違いが実効線量係数に与えた影響を解析した。本研究により得られた知見は、コーカソイドの体格特性が反映されたICRPの実効線量係数を、異なる体格特性を持つ人種に適用する際に有用となる。

論文

Calculation system for the estimation of decontamination effect

佐藤 大樹; 小嶋 健介; 大泉 昭人; 松田 規宏; 岩元 大樹; 久語 輝彦; 坂本 幸夫*; 遠藤 章; 岡嶋 成晃

Transactions of the American Nuclear Society, 109(1), p.1261 - 1263, 2013/11

放射性物質の放出により汚染された環境の修復に向けた除染計画の立案に資するため、除染前後の空間線量率の計算から除染効果を評価するソフトウェアCDEを開発した。CDEは、土壌と大気からなる無限平板体系に配置した線源から周囲の領域への単位放射能あたりの線量寄与割合のデータベース(応答関数)に除染対象地区における放射能分布をかけあわせ、空間線量率を計算する。応答関数は、線源核種である放射性セシウムが土壌表面に分布している場合のほか、土壌中に存在する場合についても、複数の深さに対して評価している。空間線量率の計算精度検証のために、実際の除染モデル地区の地形及び放射能分布を入力したCDEの計算結果と、NaI(Tl)サーベイメータによる実測値を比較した。その結果、両者は非常によい一致を示した。このことから、CDEの予測精度は十分であり、今後の除染計画の立案に活用できることが確認された。なお、本発表は、2012年9月に開催された第12回放射線遮蔽国際会議(ICRS-12)における口頭発表が、"Best paper of the session"に選出されたため、米国原子力学会(ANS)に推薦され招待講演を行うものである。

論文

Comparison of the mean quality factors for astronauts calculated using the $$Q$$-functions proposed by ICRP, ICRU, and NASA

佐藤 達彦; 遠藤 章; 仁井田 浩二*

Advances in Space Research, 52(1), p.79 - 85, 2013/07

 被引用回数:3 パーセンタイル:82.36(Astronomy & Astrophysics)

宇宙飛行士の宇宙線被ばくリスクを適切に評価するためには、各臓器の吸収線量のみならず、放射線の違いによる被ばくリスクの違いを表す線質係数を計算する必要がある。その線質係数として、国際放射線防護委員会(ICRP),国際放射線単位測定委員会(ICRU)及び米国航空宇宙局(NASA)がそれぞれ独自の関係式を提案してきたが、これまでその相互比較は行われていなかった。報告者らは、PHITSとボクセルファントムを組合せ、さまざまな放射線が人体に入射したときの各臓器内の平均線質係数を、ICRP, ICRU及びNASAが提案するそれぞれの関係式を用いて計算した。その結果、NASAが提案する線質係数は、他の線質係数と比較して20%程度大きいことが判明した。これらの成果は、報告者らが作成しているICRP宇宙放射線防護指針において、極めて重要なデータとなる。

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