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吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 丸山 一平*; 刈茅 孝一*; 齊藤 朱音*; 松井 裕哉; 望月 陽人; 城 まゆみ*; 勝田 長貴*; et al.
Communications Engineering (Internet), 3, p.67_1 - 67_10, 2024/05
地下空洞やボーリング孔のような母岩中の水みちの恒久的な閉塞は、例えば、地下を利用する二酸化炭素貯留や放射性廃棄物処分のような多くの地下利用における長期安全性やその効果の維持を確実にするため必要である。通常用いられるセメント系材料による閉塞では、化学的・物理的な性能低下により十分な恒久性を発揮しない可能性がある。天然のカルサイトのコンクリーションの形成に関する研究により、コンクリーション化剤を用いたより恒久的なシーリング技術が開発された。この技術は、地下研究施設の深度350mの坑道近傍に存在する水みちの閉塞のための原位置試験に適用された。その結果、水みちは短期間に急速に閉塞するとともに、地震(M5.4)による攪乱後も再閉塞していた。また、これにより、岩盤は初期の母岩相当まで透水性が低下しており、この方法による閉塞が恒久的でロバストであることが実証された。
吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 丸山 一平*; 刈茅 孝一*; 齊藤 朱音*; 松井 裕哉; 望月 陽人; 勝田 長貴*; Metcalfe, R.*
Powering the Energy Transition through Subsurface Collaboration; Proceedings of the 1st Energy Geoscience Conference (Energy Geoscience Conference Series, 1), 20 Pages, 2024/00
多くの地下構造物の長期間の安全確保にあたっては、岩盤中に存在する断層や坑道近傍の掘削損傷領域を対象とした地下水流れの恒久的なシーリングが重要となる。しかし一般に用いられるセメント材では化学的な変質等によりそのような効果が期待できない。このため、天然で見られる炭酸塩鉱物によるコンクリーションに着目したコンクリーション化剤が開発された。本論文は、コンクリーション化剤に期待される性能を確認するため、日本原子力研究開発機構幌延深地層研究センター地下施設を活用して実施した原位置試験結果をまとめたものである。原位置試験の結果、コンクリーション化剤は急速に硬化し1年間程度で掘削損傷領域の透水性を1/1000減少させるとともに、同施設近傍で起こった地震による影響と考えられる一時的な透水性の増加も再シーリングされ低下することが確認できた。これらのことから、この新しい技術は、多様な目的をもつ地下施設に適用可能であると考えられる。
大野 卓也; 吉田 英一*; Metcalfe, R.*
Journal of Structural Geology, 87, p.81 - 94, 2016/06
被引用回数:4 パーセンタイル:13.77(Geosciences, Multidisciplinary)付加体の形成にともない割れ目充填鉱物が形成する。これらの鉱物は特定の地質学的環境のもとで形成したものであり、鉱物から付加時の環境を推定できる可能性がある。本研究では九州四万十帯の地下約140mから掘削されたボーリングコアに対し、地質学的観察および分析を実施した。その結果、鉱物の構造関係は、研究対象岩体の割れ目充填鉱物の形成時期が5つのステージに区分されることを示唆した。充填鉱物種の組み合わせから、岩体は深度数kmまで沈み込み、200300Cに到達したと推定される。その後、岩体が隆起すると、地表から地下80mまで達する酸性地表水の浸透が生じた。この酸性水により割れ目を充填する方解石が溶解することで、割れ目が現在の地下水の水みちとなったと考えられる。これらの知見は、充填鉱物が付加体地下環境の変遷を解析するための有用なツールとなることを示唆する。
北村 暁; 高瀬 博康*; Metcalfe, R.*; Penfold, J.*
Journal of Nuclear Science and Technology, 53(1), p.19 - 33, 2016/01
被引用回数:1 パーセンタイル:6.25(Nuclear Science & Technology)使用済燃料の再処理を経て生成するガラス固化体の地層処分だけでなく、使用済燃料そのものを深地層中に処分(直接処分)する可能性について、日本の地層処分計画において検討される可能性が出てきている。使用済燃料の直接処分においては、廃棄体中の放射濃度が高く、放射線による影響も高くなる。放射線による影響の可能性の具体例としては、キャニスターの腐食量が増える、放射線によって地下水が変質することで酸化性化学種が生成し還元型地下水が酸化される、使用済燃料の溶解速度が上昇するといったことが挙げられる。このことから、ガラス固化体の地層処分では問題とならないと思われる放射線による影響について、使用済燃料の直接処分の安全評価では考慮することが必要となる。安全評価における線照射影響に特に注目して、本研究では直接処分を計画している日本以外の国々の安全評価をレビューした。本レビューは、日本における直接処分の安全評価に適切な論点を明確にした。
濱 克宏; Metcalfe, R.*
日本水文科学会誌, 44(1), p.39 - 64, 2014/02
放射性廃棄物の地層処分及び関連する研究開発において、地質環境調査の一環として実施される地下水の年代測定手法についてレビューを行った。対象としたプロジェクトは、日本,フィンランド,スウェーデン,ベルギー,イギリス,ドイツ,フランス,スイス,カナダ及びアメリカで実施されているプロジェクトである。調査対象の岩種は、花崗岩,石灰岩,岩塩などであり、それらの岩盤中を流動する地下水の年代測定事例を収集した。年代測定にあたっては、単一の物質や核種を利用せず、複数の手法を組合せ、比較しつつ考察することが重要であることが示唆される。
吉田 英一*; Metcalfe, R.*; 石橋 正祐紀; 南 雅代*
Geofluids, 13(1), p.45 - 55, 2013/02
被引用回数:14 パーセンタイル:54.86(Geochemistry & Geophysics)高レベル放射性廃棄物の地層処分などの地下施設を建設するうえでは、地下水や物質の移動場の長期的な変遷を評価するために、岩盤中の割れ目ネットワーク構造を理解する必要がある。しかし、変動帯に位置する結晶質岩中における透水性割れ目の長期的な変化や定常性については、理解されていない。これらを明らかにするために、日本に分布する異なる時代に形成された岩体を対象に検討を行った。また、割れ目の形成から充填の過程を明らかにするために、瑞浪超深地層研究所の深度300mで取得したサンプルを用いて、割れ目の幾何学的特徴の整理及び地球化学的検討を行った。形成年代の異なる岩体を対象とした検討の結果、割れ目の形成・充填は、(1)岩体の温度低下に伴う引張割れ目の形成、(2)比較的早い岩体上昇中に発生する熱水循環による割れ目の充填、(3)低温の地下水の循環による割れ目の充填の過程を経ることが考えられた。また、割れ目充填鉱物としての炭酸塩鉱物の炭素同位体組成は、沈殿した地下水の水質ごとに異なり、炭酸塩鉱物沈殿時の地下環境を示している。これらに着目することで、割れ目の形成及び充填に関する詳細なモデルの構築が可能であると考えられる。
吉田 英一; Metcalfe, R.*; 山本 鋼志*; 天野 由記; 星井 大輔*; 兼清 あきこ*; 長沼 毅*; 林 徹*
Applied Geochemistry, 23(8), p.2364 - 2381, 2008/08
被引用回数:9 パーセンタイル:26.03(Geochemistry & Geophysics)地下環境における酸化還元フロントは、多くの微量元素の移行及び固定を制御している。放射性廃棄物の地層処分に関する安全評価にとって、廃棄体周辺の長期に渡る酸化還元反応を評価することが必要となってくる。これらの反応を理解するために、隆起した堆積岩中に形成された酸化還元フロントに関する研究を実施したところ、フロントに存在する鉄酸化物の形成に微生物代謝が関与している可能性が示唆された。本報告で観察されたような水-岩石-微生物相互作用は、廃棄体周辺に形成される可能性のある酸化還元フロントで起こる反応のアナログとなると考えられる。このような酸化還元フロント中に形成された鉄酸化物は、廃棄体閉鎖後に還元環境が復元された後も保存される可能性がある。
水野 崇; Metcalfe, R.*; 岩月 輝希; 彌榮 英樹*
地下水学会誌, 49(2), p.139 - 152, 2007/05
地下水を取得する方法やその品質管理手法は統一されておらず、データの品質にも差が生じている。本稿では、調査時の品質管理や得られたデータを客観的に評価するための、国内におけるさまざまな調査研究機関が利用できる標準的な品質評価手法を確立することを目的とし、多様な環境で取得された地下水試料から得られる地下水データの品質評価手法を提案した。その結果、本研究で用いた品質評価手法は有効であり、品質評価を行ったデータを用いることで、より正確に地下深部の地球化学環境を議論できる可能性を示した。
笹尾 英嗣; 太田 久仁雄; 岩月 輝希; 新里 忠史; Arthur, R. C,*; Stenhouse, M. J.*; Zhou, W.*; Metcalfe, R.*; 高瀬 博康; MacKenzie, A. B.*
Geochemistry; Exploration, Environment, Analysis, 6(1), p.5 - 12, 2006/02
東濃ウラン鉱床においては2001年度から地層処分の安全評価での変動シナリオを考慮したナチュラルアナログ研究を行っている。この研究では性能評価で使われるシステム解析手法を応用している。本論では他の一連の論文のイントロダクションとして、研究の概要を紹介するとともに、東濃ウラン鉱床で取得したサイトデータを記載した。
濱 克宏; 國丸 貴紀; Metcalfe, R.*
Proceedings of 2nd International Meeting on Clays in Natural and Engineered Barriers for Radioactive Waste Confinement, p.399 - 400, 2005/03
幌延深地層研究計画の一環として実施した地球化学研究の現状を紹介する。本資料は、本年3月に開催された第2回TOURS国際会議において使用したポスターをproceedingsに入れ込むとの学会事務局から連絡があり、技術資料登録を行うものである。
濱 克宏; 國丸 貴紀; Metcalfe, R.*
Proceedings of 2nd International Meeting on Clays in Natural and Engineered Barriers for Radioactive Waste Confinement, p.399 - 400, 2005/03
幌延深地層研究計画のうち、地下水の地球化学特性調査の現状について報告する。
Metcalfe, R.*; Savage, D.*; Bath, A. H.*; Walker, C.*
JNC TJ7400 2004-013, 148 Pages, 2004/03
調査や分析等を通じて既往データが持つ不確実性,地下水の地球化学特性の3次元的不均一性,性能・安全評価の時間スケールで地下水の地球化学特性が有する不確実性に関して,これらが放射性核種の溶解度および核種移行に与える影響について評価し,地球化学特性の調査における要求品質について検討した。
高瀬 博康*; Metcalfe, R.*; 稲垣 学*; 野口 俊英*; 青山 裕司*; 高瀬 今日子*; 田原 道子*
JNC TJ5400 2003-006, 264 Pages, 2004/02
無し
杉田 健一郎*; Metcalfe, R.*
JNC TJ7400 2005-073, 181 Pages, 2003/03
本報告書は,岐阜県東濃地域で取得された地下水の地球化学データを用いて,地下水の水質形成機構についての検討を行なった結果について取りまとめたものである。本検討では,地下水の水理特性(流動特性)を考慮した解析を行なった。検討結果の成果として,研究領域の南側に分布するNa-(Ca)-Cl型高塩濃度地下水の起源・成因としては,以下の可能性が想定された。・"化石的な"海水の洗い流し・"化石的な"熱水の洗い流し・"化石的な"マグマ水の洗い流し・現在の熱水の混合・現在のマグマ水の混合
Metcalfe, R.*
JNC TJ7400 2003-006, , 2003/03
本報告書は、平成14年度に実施された塩素の放射性同位体である36Clについての研究成果に関するものである。6試料の地下水試料の36Clの分析を行った。この研究成果から、36Clデータにより地下水の起源及び経路を解釈することができる可能性を示唆している。
Metcalfe, R.
JNC TN7440 2002-002, 377 Pages, 2002/02
None
太田 久仁雄; 中野 勝志; Metcalfe, R.; 池田 幸喜; 後藤 淳一; 天野 健治; 竹内 真司; 濱 克宏; 松井 裕哉
JNC TN7410 99-007, 44 Pages, 1999/08
None
水野 崇; Metcalfe, R.*; 岩月 輝希; 彌榮 英樹*
no journal, ,
本稿では、地下水データの品質を客観的に評価するための品質評価手法を確立することを目的とし、Evidence Support Logicに基づいた品質評価手法を提案した。当該手法を用いてボーリング孔から取得したpHデータの品質評価を行った結果、全データを深度に対してプロットした場合には、pHが811の広い範囲で分布したのに対し、一定の品質を満たしたデータでは89のより狭い範囲に分布した。このことから、一定の品質を示したデータは、より正確に各深度のpHを表していると考えられ、本稿で提案した品質評価手法の有効性を示すことができた。
水野 崇; Metcalfe, R.*; 彌榮 英樹; 岩月 輝希
no journal, ,
これまでの技術開発では調査現場において地下水試料の品質を低下させることなく採取する手法の開発に焦点があてられており、さまざまな条件下で得られた地下水試料の品質を評価する手法は確立されていない。そのため、本稿では、機構が開発した地下水試料の品質評価手法を示し、実際の調査で得られた地下水試料を用いた試行例を提示する。地下水の品質評価にはTESLA(The Evidence Support Logic Application)を用いた。今回はこれまでに採取した地下水のpHについて、試行的に品質評価を行った。TESLAを用いて品質評価を行い、一定以上の品質であることを確認したデータと、品質を評価していないすべてのデータについて、pHの深度に対する傾向を比較した。その結果、品質を評価していないすべてのデータではpHが812の範囲に分布し、深度との相関は認められなかったのに対し、一定の品質以上のデータでは、深度と負の相関を示し、810のより狭い範囲に分布した。この結果から、地下水の品質評価結果を研究に反映させることで、より正確に地下深部における地球化学環境を把握できることが示された。
吉田 英一*; 山本 鋼志*; 淺原 良浩*; 刈茅 孝一*; 松井 裕哉; Metcalfe, R.*
no journal, ,
岩盤中の水みち閉塞のためのコンクリーション化充填材に関する原位置試験を幌延深地層研究所を活用した実施した結果、岩盤の透水係数が1年間で初期値から2から3オーダー低減することを示した。この閉塞技術は、地下における長期的な物質の保持を必要とする二酸化炭素の地下貯留や高レベル放射性廃棄物の地層処分などにも適用可能と考えられる。