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小嶋 智*; 鏡味 沙耶; 横山 立憲; 苅谷 愛彦*; 片山 喜一*; 西尾 学*
Proceedings of 5th International Workshop on Rock Mechanics and Engineering Geology in Volcanic Fields (RMEGV 2021) (Internet), 6 Pages, 2021/09
中部日本で最も活動が活発な火山の一つである焼岳の4.6kmほど北東に位置するきぬがさの池周縁部から採取したハンドオーガーボーリングコア試料からローカルテフラがみつかる。このテフラは、主成分として様々な形状の火山ガラス(マイクロライトを包有するもの、ブロック状、縦溝のあるもの、微小胞のあるもの)から構成され、また、少量の鉱物(石英,斜長石,角閃石,黒雲母,輝石)を含む。また、このテフラ層より10cm下部より回収された植物残骸から得られるC較正年代は、2,331-2,295cal BP(19.2%の確率)もしくは、2,270-2,155cal BP(76.2%の確率)である。本研究では、電子プローブマイクロアナライザを用いて、このテフラ層の火山ガラスのうち、241個について主要元素分析を行った。それらのデータをSiO-KO, SiO-NaO+KO、及びFeO-KO図にプロットした結果、中部日本に分布する主要なテフラの化学組成との差異が認められた。さらに、鉱物組成及び化学組成は、約2,300cal BPとされる焼岳の北北西およそ2kmに広がった中尾火砕流のテフラと一致する。このテフラは北アルプス南部の2,300cal BPのローカルな年代指標として有益である可能性が示唆された。
大戸 勤; 浅野 典一; 川俣 貴則; 箭内 智博; 西村 嵐; 荒木 大輔; 大塚 薫; 高部 湧吾; 大塚 紀彰; 小嶋 慶大; et al.
JAEA-Review 2020-018, 66 Pages, 2020/11
令和元年9月9日の台風15号の強風により、JMTR(材料試験炉)にある二次冷却系統冷却塔の倒壊事象が発生した。その倒壊に至った原因調査及び原因分析を行い、4つの原因が重なって起こったことが特定された。これを受け、JMTR内にある二次冷却系統冷却塔と同時期に設置された木造の冷却塔であるUCL(Utility Cooling Loop)系統冷却塔の健全性調査を行った。健全性調査項目は、UCL系統冷却塔の運転状態の把握、UCL冷却系統の構造材料の劣化状態、点検項目及び点検状況、過去の気象データの確認である。この調査結果から、当該設備を安全に維持・管理するため、点検項目の改善、UCL系統冷却塔の構造材料である木材の交換・補修計画及び今後のUCL系統冷却塔の使用計画を策定するとともに、既存UCL系統冷却塔に代わる新規冷却塔の更新計画を策定した。本報告書はこれらの健全性調査の結果をまとめたものである。
小村 慶太朗*; 金田 平太郎*; 田中 知季*; 小嶋 智*; 井上 勉*; 西尾 智博
Geomorphology, 365, p.107214_1 - 107214_22, 2020/09
被引用回数:1 パーセンタイル:9.84(Geography, Physical)本研究では、岐阜・福井県境の重力変形地形と、近接する根尾谷断層上で掘削調査を実施した。その結果、重力変形地形では少なくとも4回の成長イベントが検出され、それぞれの年代が240cal BP以降、1710-340cal BP、4730-3970cal BP、5570-5340cal BPに絞り込まれた。一方、根尾谷断層本体でも少なくとも計4回の古地震イベントが明らかとなり、それぞれの年代が新しいものから1891年濃尾地震、2010-1220cal BP、7180-2110cal BP、9540cal BPと推定され、本研究では重力変形地形のイベントが毎回根尾谷断層の活動に誘発されているものと結論付けた。また、クーロン応力変化のモデリングによると、本研究地域は根尾谷断層の活動により正断層運動が著しく促進されることが明らかとなった。従来、地震に伴う大規模地滑りや重力変形は地震動のみで論じられることが多かったが、本研究地域のように活断層のごく近傍では、地震動だけでなく、断層運動による地殻の静的歪みが重力変形の発生・成長に大きな影響を与えている可能性がある。
奥村 啓介; 杉野 和輝; 小嶋 健介; 神 智之*; 岡本 力; 片倉 純一*
JAEA-Data/Code 2012-032, 148 Pages, 2013/03
JENDL-4.0を中核とする近年の評価済み核データに基づき、核反応断面積,核分裂収率,核異性体比,半減期を修正した、核種崩壊生成計算コードORIGEN2用の断面積ライブラリセット(ORLIBJ40)を作成した。作成した断面積ライブラリは、PWRとBWRの代表的なUO燃料及びMOX燃料用のライブラリ(24個)と種々の高速炉燃料用のライブラリ(36個)である。本ライブラリを使用した軽水炉使用済み燃料の照射後試験解析等により、従来のORIGEN2ライブラリに比べて、特に、Am及びCmの同位体といったマイナーアクチノイド、EuやSmの同位体等の断面積に大きな感度を有する核分裂生成核種、並びにSe等の長寿命核分裂生成核種のインベントリや放射能評価において、予測精度が向上することを確認した。
箱田 照幸; 後藤 均*; 島田 明彦; 越智 雅文*; 小嶋 拓治
Radiation Physics and Chemistry, 75(3), p.375 - 383, 2006/03
被引用回数:8 パーセンタイル:49.58(Chemistry, Physical)芳香族有機物を含む空気に電子ビーム照射を行うと、芳香族有機物が酸化分解してガス状の有機物のほかに粒子状有機物が生じる。従来の150-300keVの電子ビームを用いた研究では、照射場から分析装置までの距離が離れているために、その間に粒子同士の結合が生じ、初期濃度や吸収線量の増加に伴って粒子の平均粒径が増加する問題点があった。そこで本研究では、照射場と粒子分析装置との配管距離を短くできる、最大加速電圧が55kV、最大照射電流が0.5mAの電子ビーム発生器を組み込んだ照射装置を開発して、この問題の解決を図った。この装置を用いて、初期濃度10及び30ppmvのキシレンを含む空気に電子ビームを照射し、粒子状生成物の炭素換算での収率、その粒子の個数及び体積換算での粒径分布を調べた。この結果、吸収線量範囲2-10kGyにおいて、分解したキシレンの49-52%が粒子状生成物であること、一方ガス状有機物は吸収線量の増加に伴い36-26%に減少し、その分CO及びCO濃度が増加することがわかった。また、粒子状生成物の個数濃度換算での平均粒径は初期濃度が10及び30ppmvの場合で、それぞれ27.5-28.8及び28.7-31.9nmであり、また体積濃度換算での平均粒径はそれぞれ51.7-53.4及び58.5-65.3nmであった。初期濃度や吸収線量によらずに、個数及び体積濃度換算それぞれでほぼ一定の平均粒径が得られたことは、照射場から分析装置の間で粒子同士の結合が抑制されたことを意味しており、この結果は本電子ビーム発生器の利用により初めて取得可能となった。
笠原 三紀夫*; Ma, C.-J.*; 奥村 智憲*; 小嶋 拓治; 箱田 照幸; 田口 光正; 酒井 卓郎; 小原 祥裕
JAEA-Review 2005-001, TIARA Annual Report 2004, p.293 - 295, 2006/01
雲の特性を明らかにするために、神石の鉄-銅鉱山にある巨大垂直坑道を用いて人工雲の発生実験を行った。この個々の雲粒子の物理的化学的特徴を、京都大学における顕微分析とTIARA施設におけるマイクロPIXE分析を用いて調べた。雲粒子のサイズ, その分布, 粒子個数濃度、及び粒子中の塩素の分布状態変化の粒子サイズ依存性にかかわる実験結果から、雲の成長過程を明らかにした。
笠原 三紀夫*; Ma, C.-J.*; 奥村 智憲*; 小嶋 拓治; 箱田 照幸; 田口 光正; 酒井 卓郎; 小原 祥裕
JAERI-Review 2004-025, TIARA Annual Report 2003, p.256 - 258, 2004/11
黄砂発生源である中国における4か所の異なる砂漠地域の砂を対象に、バルクあるいは粒子単体をそれぞれPIXEとマイクロPIXE分析により調べた。この結果、モルフォロジー,色そして大きさといった物理的特性を基本的に決定した。また、それぞれの砂漠のバルク状砂の化学的性質も相対的元素量として特定した。個々の砂粒子に関する元素分布及びスペクトルからは、それらの各特性が明らかになった。以上から、この研究で得られた砂漠砂の物理化学的特性に関する知見は、人為的な環境汚染物質や海塩のどんな種類のものが黄砂に共存しているかを知る一助となると考える。
笠原 三紀夫*; Ma, C.-J.*; 奥村 智憲*; 小嶋 拓治; 箱田 照幸; 酒井 卓郎; 荒川 和夫
JAERI-Review 2003-033, TIARA Annual Report 2002, p.270 - 272, 2003/11
雪は、その結晶化における不均一核生成過程でエアロゾルとともに大気中の物質を捕捉し移動させる。しかし、いろいろな結晶構造を持つ集合体であるために、このような環境浄化機能を雨滴と直接比較することは困難である。このため、乳化剤を塗布したフィルム上で雪試料を固定化することにより、個々の粒子のレプリカ試料を調製した。そして、原研のマイクロPIXE分析及び京大のPIXE分析により、雪の物質捕捉機能と化学的性質を調べた。この結果、以下のことがわかった。(1)雪結晶粒の大きさ(外周円の直径)は0.12-2.5mmであること,(2)六角形から樹枝状に成長すること,(3)捕捉された元素は主として、Si, S, K, Ca, Fe, Sであること,(4)結晶粒の大きさと捕捉元素質量とには相関関係があること。これらから、雪の単結晶内外の元素の化学的内部構造と混合状態を推定することができた。
阿部 康弘*; 瀧上 眞知子; 杉野 公二*; 田口 光正; 小嶋 拓治; 梅村 智也*; 角田 欣一*
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 76(8), p.1681 - 1685, 2003/08
被引用回数:5 パーセンタイル:26.49(Chemistry, Multidisciplinary)フェノール,ブチルフェノール(BuP),ビスフェノールA(BPA)等のフェノール系内分泌攪乱物質(P-EDCs)50M水溶液の分解を過マンガン酸カリウム(KMnO)を用いて行い、Co線照射により生成したOHラジカルによるP-EDCsの分解と比較した。種々の有機酸及び無機炭素が、KMnO及びOHラジカルによるP-EDCsの分解で生成した。KMnO処理では、有機酸及び無機炭素は芳香族環の直接開裂で形成され、OHラジカル処理の場合にはOHラジカルの芳香族環への付加・置換反応に続く芳香族環の開裂により形成される。一方、BuP及びBPAを完全に取り除くために必要とされる電子数で分解効率の比較を行うと、KMnOはOHラジカルとほぼ同等であったが、フェノールの100%分解では、KMnOはOHラジカルの3倍量必要であった。しかし、フェノールを完全に有機酸及び無機炭素に変化させるために必要な電子数は720Mであり、両処理で同等であった。
渡辺 智; 長 明彦; 関根 俊明; 石岡 典子; 小泉 光生; 小嶋 拓治; 長谷川 昭*; 吉井 眞由美*; 岡本 栄一*; 青柳 恵子*; et al.
Applied Radiation and Isotopes, 51(2), p.197 - 202, 1999/08
被引用回数:7 パーセンタイル:49.7(Chemistry, Inorganic & Nuclear)現在、バルーンやステントを用いた動脈硬化の治療に伴う再狭窄の予防法として、血管内照射法が注目を集めている。本研究では、この血管内照射法に用いるXe放射性ステントを、イオン注入法で製造した。イオン注入は、同位体分離器を用い、Xeイオンを40keVまたは60keVに加速して、ステンレス製ステントに注入した。結果として、最大100kBqのXe放射性ステントを製造できた。なお、少数例ではあるが、動物実験において、再狭窄の原因である血管内膜の増殖が本ステントにより抑制されることが確認されている。
大関 清; 椿 裕彦; 吉田 美香; 小嶋 昇; 猿田 順一; 山下 朋之; 三上 智
PNC TN8410 97-234, 62 Pages, 1996/03
安全管理部では多くの放射能測定器を使用しているが、これらの測定結果は適切な品質保証体系の下で得られたものが要求されている。測定結果の品質保証を行う業務の一つに放射能測定装置の校正があげられる。この校正には、校正用線源が使用されており、線源はトレーサプル(国家標準とトレーサビリティが取れていること)なものでなければならない。校正用線源は部内各課がそれぞれ独立に管理していることもあり、必ずしも最適な形でのトレーサビリティが確立されているとは言い難い。そこで今回、放射能標準に関するトレーサビリティ体系を安全管理部として統一的に確立するためのワーキンググループを設置し、体系の策定、校正用線源の管理(線源購入、トレーサビリティの維持管理、線源検定値の確認、線源の使用廃止等)に関する検討を行った。
三上 智; 小嶋 昇; 百瀬 琢麿
PNC TN8410 95-319, 56 Pages, 1995/11
平成6年11月28日から12月2日にかけて開催されたIAEA/RCAに基づく「光子線に対する線量計とサーベイ機器の校正に関するワークショップ」において、標準校正場の品質保証(ガラス線量計による校正場の相互比較方法の提案)について発表機会を得た。また、動燃東海計測機器校正施設においてワークショップ参加者による基準校正場の設定およびサーベイメータの校正に関する実習を行った。本書は、筆者らが行った発表、あるいは実習の概要を報告するものである。
Dia, C.*; 高木 久徳*; 小嶋 智*; 大谷 具幸*; 天野 健治
no journal, ,
土岐花崗岩体の西端と中心部に掘削された1,000m級の2本の深層ボーリング孔(DH-8, DH-9号孔)のデータを用いて岩芯地質観察並びに孔壁画像(BTV)観察を組合せた解析を行い、割れ目の頻度や方位,形状,割れ目充填物を指標とした割れ目系統区分を試みた。その結果、調査対象となったDH-8, DH-9号孔周辺の土岐花崗岩においては、(1)平滑な割れ目面の形状を示す高角な東西,北西-南東走向の割れ目と(2)不規則な割れ目面の形状を示す低角度な割れ目に二分されるとともに、高角度な割れ目にはスメクタイトと緑泥石が特徴的な割れ目充填物として存在していることが明らかとなった。
大谷 具幸*; 森川 公一朗*; 小嶋 智*; 各務 和彦
no journal, ,
1586年天正地震に伴う変位が確認されている岐阜県の阿寺断層の露頭を対象に、基盤岩に発達する断層破砕帯における変形構造の記載,鉱物組合せの同定、及び全岩化学組成の分析を行い、最新のすべり面で生じた物質移動について検討した。その結果、直線状に発達する茶褐色の断層ガウジでは他の部分のガウジや原岩と比べてMnOが顕著に増加していることが明らかとなった。これらの結果より、最近の地震活動において茶褐色断層ガウジが破砕し、そこに地表の酸化条件下で生成するマンガン酸化物や水酸化物が沈殿したと考えられる。
大谷 具幸*; 沓名 亮輔*; 小嶋 智*; 大橋 聖和*; 各務 和彦
no journal, ,
最近活動した断層の特徴をもとに最近の活動の有無を定性的に判定するための技術を構築することは、概要調査等で遭遇した断層を評価するうえで有益である。本研究では、活動が既知の活断層を対象として。最新のすべり面である断層ガウジでの元素移動について検討を行った。岐阜県に分布する阿寺断層と根尾谷断層の断層ガウジにおいて、MnOの含有量の増加が認められた。Mnを含む鉱物の多くは非晶質であり、地表付近の酸化条件下で断層ガウジが破砕した際に地下の還元環境からもたらされた地下水から沈殿したことが示唆された。
沓名 亮輔*; 大谷 具幸*; 小嶋 智*; 各務 和彦
no journal, ,
最近活動した断層の特徴をもとに最近の活動の有無を定性的に判定するための技術を構築することは、概要調査等で遭遇した断層を評価するうえで有益である。本研究では、根尾谷断層を対象として、最新のすべり面である断層ガウジでの元素移動について検討を行った。原岩から破砕帯方向に向け、黄土色ガウジと暗灰色ガウジの互層,褐色ガウジの順に配列しており、これら3種類の断層ガウジの化学分析を実施した結果、褐色ガウジと暗灰色ガウジは泥岩起源、黄土色ガウジは緑色岩起源と推定された。また、泥岩起源の試料では、原岩から断層ガウジに向けてMnO含有量が増加し、褐色ガウジでは原岩と比較して5倍に増加した。このことは、地表付近の酸化条件下で断層ガウジが破砕した際に地下の還元環境からもたらされた地下水から沈殿したことを示唆する。
沓名 亮輔*; 大谷 具幸*; 小嶋 智*; 榎並 正樹*; 各務 和彦; 若居 勝二
no journal, ,
坑道等で地下で遭遇した断層の活動性を評価するための技術開発の一環として、断層ガウジ(粘土)の色調や化学組成の違いによって、断層の最新活動時期についての定性的な推定を試みている。本研究では、岐阜大学と共同で根尾谷断層の最新すべり面(1891年濃尾地震の地表地震断層)の断層ガウジを採取し、SEM観察,X線回折分析,蛍光X線分析等に基づき断層ガウジの岩石・鉱物学的特徴について検討した。その結果、全岩化学組成については、原岩から断層ガウジに向けてMnO含有量が増加し、原岩と比較して最大4倍に増加した。このことは、地表付近の酸化条件下で断層ガウジが破砕した際に地下の還元環境からもたらされた地下水から沈殿したことを示唆している。
大谷 具幸*; 沓名 亮輔*; 小嶋 智*; 若居 勝二; 各務 和彦; 榎並 正樹*
no journal, ,
坑道等の地下で遭遇した断層の活動性を評価するための技術開発の一環として、断層ガウジ(粘土)の色調や化学組成の違いによって、断層の最新活動時期についての定性的な推定を試みている。本研究では、岐阜大学と共同で根尾谷断層の最新すべり面(1891年濃尾地震の地表地震断層)の断層ガウジを採取し、薄片観察,EPMA装置による元素分布観察,蛍光X線分析,ICP発光分析,ICP質量分析による元素の定量分析に基づきガウジの岩石・鉱物学的特長について検討した。その結果、全岩化学組成については、原岩から断層ガウジに向けてMnO, FeO含有量及び微量元素含有量の増加が認められた。マンガンにおいては、原岩と比較して最大5倍に増加した。このことは、地下の還元環境からもたらされた地下水が断層ガウジ中を毛管現象により上昇し、地表付近の酸化条件下において沈殿したことを示唆している。
大谷 具幸*; 山下 光将*; 小嶋 智*; 若居 勝二; 各務 和彦
no journal, ,
坑道等の地下で遭遇した断層の活動性を評価するための技術開発の一環として、断層ガウジ(粘土)の色調や化学組成の違いによって、断層の最新活動時期についての定性的な推定を試みている。本研究では、岐阜大学と共同で井戸沢断層の最新すべり面(2011年福島県浜通り地震の地表地震断層)の断層ガウジを採取し、薄片観察,粉末X線回折分析,蛍光X線分析,ICP発光分析,ICP質量分析による元素の定量分析に基づきガウジの岩石・鉱物学的特徴について検討した。その結果、粉末X線回折分析により、断層ガウジにはスメクタイトが認められた。全岩化学組成については、すべり面に近づくにつれてMnO含有量及び微量元素含有量の増加が認められた。このことは、地下の還元環境からもたらされた地下水が断層ガウジ中を毛管現象により上昇している状態で地震性すべり面が生ずることによってすべり面がアルカリ化したため、Mnが沈殿したと考えられる。
大谷 具幸*; 山下 光将*; 小嶋 智*; 若居 勝二*; 各務 和彦
no journal, ,
2011年4月11日福島県浜通りの地震(M7.0)では既存の活断層である井戸沢断層に沿って地表地震断層が出現し、これに沿って断層ガウジが現れた。断層ガウジの鉱物組合せや主要・微量元素組成を調べることにより、比較的最近に活動した断層ガウジの有する特徴を明らかにすることができれば、基盤岩のみが露出する地域で活動履歴が未知の断層ガウジ帯を用いて最近の活動の有無を特定できるようになることが期待される。井戸沢断層から得られた断層ガウジ試料の蛍光X線分析及びICP-OES分析及びICP-MS分析の結果、最新のすべり面にMnOとAsが濃集することが確認された。このことは、基盤岩からなる断層破砕帯であっても断層ガウジにおけるMnとAsの濃集の有無を確認することにより、最近に地震性すべりを生じたか確認できる可能性があることを示している。