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北辻 章浩; 音部 治幹; 木村 貴海; 木原 壯林*
Electrochimica Acta, 141, p.6 - 12, 2014/09
被引用回数:5 パーセンタイル:9.62(Electrochemistry)弱酸性溶液中でのU(VI)の電解還元過程を電気化学的、及び分光学的手法を用いて調べた。金マイクロ電極を用いてボルタンメトリー測定したところ、pH2.0から3.5の溶液中で、U(VI)からU(V)への可逆な一電子還元波と、U(V)の非可逆な還元波を観測した。金網電極を用いて、U(VI)からU(V)への還元が生じる電位で定電位差電解を行ったところ、U(IV)の凝集体が電極上及び溶液中に形成された。この凝集体は電解還元されたU(V)の不均化反応により生成すること、凝集体の生成により不均化反応速度が増大することを明らかにした。この反応により、U(VI)の定電位差電解は、電解の途中で急激に電流が増加する特異な挙動を示すことになる。電解により溶液中に形成されるU(IV)の凝集体をX線回折により分析したところ、結晶性の悪いUOであった。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
Electrochimica Acta, 74, p.215 - 221, 2012/07
被引用回数:2 パーセンタイル:5.34(Electrochemistry)白金黒付グラッシーカーボン繊維を作用極とするカラム電極を作製し、種々の原子価のU, Np及びPuの酸化還元をフロー電解により調べた。電解挙動を従来用いてきたグラッシーカーボン繊維を作用極とするカラム電極によるものと比較した。白金黒の電極触媒作用によりNp(V)及びPu(V)の還元に対する過電圧が大きく低減され、Np(V)からNp(IV)への一電子還元波とそれに引き続くNp(III)への一電子還元波の逐次還元されることがわかった。また、Pu(VI)は、Pu(V)やPu(IV)を経ることなくPu(III)まで三電子還元された。これらの電解挙動は、従来用いてきたグラッシーカーボン電極で観られた還元とは異なる反応過程によるものである。これに対しU(VI)の還元や、Np及びPuの可逆な酸化還元は、電極触媒による影響が小さい。回転ディスク電極ボルタンメトリー測定により、白金黒付電極での還元過程を調べ、白金の還元的水素吸着電位よりも高い電位で、Np(V)の還元電流が流れることを初めて見いだした。得られた酸化還元データをもとに、U, Np及びPuの迅速かつ精密な原子価調整法を提案した。
北辻 章浩; 奥垣 智彦*; 糟野 潤*; 久保田 宏紀*; 前田 耕治*; 木村 貴海; 吉田 善行; 木原 壯林*
Journal of Chemical Thermodynamics, 43(6), p.844 - 851, 2011/06
被引用回数:8 パーセンタイル:30.08(Thermodynamics)液々分配法とイオン移動ボルタンメトリーにより、5価及び6価アクチニルイオンの水相/有機相間移動標準ギブスエネルギーを決定した。ニトロベンゼン, 1,2-ジクロロエタン,ベンゾニトリル,アセトフェノン、及び2-ニトロフェニルオクチルエーテルを有機溶媒として用いた。有機溶媒の種類によらず、U(VI), Np(VI), Pu(VI)のイオン移動ギブスエネルギーはほぼ一致し、Mg(II)よりも少し大きい値であった。Np(V)のイオン移動ギブスエネルギーは他の一価イオンに比べて非常に大きな値を示した。アクチニルイオンのイオン移動ギブズエネルギーの溶媒に対する依存性は、プロトンイオンやMg(II)のそれと類似していた。3価及び4価アクチノイドイオンについてもイオン移動ギブスエネルギーの検討を行った。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
IOP Conference Series; Materials Science and Engineering, 9, p.012078_1 - 012078_7, 2010/05
被引用回数:0 パーセンタイル:1.02(Chemistry, Inorganic & Nuclear)定電位差電解法によりNp(V)を還元したところ特異な電解挙動を示した。電解挙動やボルタンメトリーにより電極反応を詳しく調べ、その還元機構を明らかにした。溶液中にNp(IV)あるいはNp(III)が存在すると、電極反応により還元生成するNp(III)とNp(V)とが電子交換する化学反応により、Np(V)の還元が進む。電解に白金電極を用いた場合、十分な負電位を印加することにより電極表面に水素原子が吸着し、その水素原子がNp(V)を直接還元する電極触媒反応によりNp(V)の還元が起こる。白金電極では二つの反応機構により還元が進むので、金電極を用いる場合に比べ、電解還元速度が大きくなる。硝酸イオンが共存すると、その錯生成能によりNp(IV)が安定化されるためNp(III)の還元生成が阻害される。このため、Np(III)との化学反応に基づくNp(V)の還元速度も小さくなり、電解還元に長い時間を要する。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
Journal of Electroanalytical Chemistry, 641(1-2), p.83 - 89, 2010/03
過塩素酸溶液中のNp(V)を、金及び白金電極を用いて定電位差バルク電解法により4価あるいは3価へ還元したところ、特異な電解挙動を示した。電解挙動やボルタンメトリーにより電極反応を詳しく調べ、次の還元機構を明らかにした。金電極ではNp(V)は直接還元されないが、Np(III)が共存すると電子交換による化学反応によりNp(IV)へ還元が進む。このNp(III)はNp(IV)の電解還元により生成し、電子移動メディエータとして働く。白金電極の場合、白金電極が持つ電極触媒効果により電極上に還元的吸着した水素原子がNp(V)をNp(IV)に還元する。生成したNp(IV)は、金電極の場合と同様に電子移動メディエータとして働きNp(V)を還元する。金電極を用いた場合の触媒還元反応をモデル化し、デジタルシミュレーションによる計算結果を実験データと比較したところ、よく一致した。これらの実験データに基づき、Np(IV)とNp(III)のバルク電解調製法を提案した。
奥垣 智彦*; 北辻 章浩; 糟野 潤*; 吉住 明日香*; 久保田 宏紀*; 芝藤 弥生*; 前田 耕治*; 吉田 善行; 木原 壯林*
Journal of Electroanalytical Chemistry, 629(1-2), p.50 - 56, 2009/04
水相と有機相間に電位差を印加することによりイオンを水相から有機相へ移動させる反応に立脚した、高性能な電気化学溶媒抽出法を開発した。多孔質のテフロンチューブ,銀線及び白金線などから構成される電解セルを製作して用いた。電解によるイオンの移動は迅速であり、ビス-ジフェニルフォスフィニルエタンを含む1,2-ジクロロエタンを有機相に用いたとき、水相中のウラニルイオンの99%以上を電解セルの滞在時間である40秒で有機相に抽出できた。アクチノイドやランタノイド,Sr, Csイオンの電解抽出について詳細を調べた。アクチノイドイオンの酸化状態を調整するためにカラム電極によるフロー電解法を組合せ、アクチノイドの逐次分離を試みた。
上原 章寛*; 糟野 潤*; 奥垣 智彦*; 北辻 章浩; 白井 理*; 吉田 善行; 木原 壯林*
Journal of Electroanalytical Chemistry, 604(2), p.115 - 124, 2007/06
キレート抽出における金属イオンの水溶液と有機溶液間の分配比を、イオンの液々界面イオン移動標準ギブズエネルギー,金属イオンとキレート試薬との錯生成定数,キレート試薬の酸解離定数といった物理化学的定数を用いて評価した。これらの定数は、液々界面イオン移動ボルタンメトリーや、水銀電極を用いるストリッピングボルタンメトリーなどの電気化学的な方法と酸塩基滴定により求めた。テノイルトリフルオロアセトンやピラゾロンなどのキレート試薬によるCuの1,2-ジクロロエタン溶媒への抽出について、理論的に導き出した金属イオンの分配比が、抽出実験により求めた分配比と一致することを確認した。これにより、キレート抽出における金属イオンの分配比をこれらの定数を用いて予測できることを示した。
吉住 明日香*; 上原 章寛*; 糟野 潤*; 北辻 章浩; 吉田 善行; 木原 壯林*
Journal of Electroanalytical Chemistry, 581(2), p.275 - 283, 2005/08
電位を印加した水相と有機相界面でのイオンの移動を、迅速かつ定量的に行うための流液系電解セルを開発した。このセルは、目的イオンを含む水溶液をチューブ状の流路内に流しながら電解を行うことにより、チューブ外側の有機相にイオンを移動させる。水と1,2-ジクロロエタン界面でのカリウムイオンの電解移動の効率は99%以上であった。流液速度から計算すると、目的イオンを完全に電解移動させるには、40秒の滞在時間しか必要とせず、迅速な界面移動を達成できた。水溶液中のカリウムの電量分析に適用したところ、0.2から2mMの濃度範囲では1%の精度が得られた。開発した電解セルはMgやCaにも適用でき、水溶液中では酸化還元しないためにこれまで電量分析を行うことができなかったアルカリ金属やアルカリ土類金属の電量分析を可能にした。
白井 理*; 上原 章寛*; 山名 元*; 大貫 敏彦; 吉田 裕美*; 木原 壯林*
Journal of Nuclear and Radiochemical Sciences, 6(1), p.55 - 60, 2005/07
脂質二分子膜(BLM)中のイオン移動を電気化学的に検討した。疎水性イオンを加えた結果電流値が増加したこと、及び疎水性イオンがBLM中にも存在することから、対イオンも移動することが明らかとなった。
青柳 寿夫*; 北辻 章浩; 吉田 善行; 木原 壯林*
Analytica Chimica Acta, 538(1-2), p.283 - 289, 2005/05
被引用回数:15 パーセンタイル:41.49(Chemistry, Analytical)過塩素酸,硝酸及び硫酸溶液中の3, 4, 5及び6価ネプツニウムイオンの酸化還元挙動を、カラム電極を多段階に接続したフロー電解システムを用いて調べた。繊維状のグラッシーカーボンを作用極とするカラム電極を用いると、Np(III)/(IV)あるいはNp(V)/(VI)イオンの可逆な酸化還元のみならず、従来グラッシーカーボン電極や白金電極では観測できなかったNp(V)/(IV)あるいはNp(V)/(III)イオンの非可逆な酸化還元過程についても、電流-電位関係曲線を観測できることがわかった。カラム電極電解法によると、完全非可逆な酸化還元においてもクーロメトリックな電解を達成でき、溶液中のイオン濃度の定量が可能となる。取得したネプツニウムイオンのカラム電極電解データに基づき、種々の原子価のネプツニウムイオンを迅速に調製する方法を開発した。また、多段階フロー電解システムを用いた電量分析により、ネプツニウムイオンの原子価ごとの定量が可能であることを明らかにし、硝酸溶液中のネプツニウムイオンの定量分析に適用した。
吉田 善行; 木原 壯林*; 藤永 太一郎*
分析化学, 53(4), p.195 - 205, 2004/04
被引用回数:1 パーセンタイル:1.01(Chemistry, Analytical)カラム電極に試料溶液を流しながら電解すると、溶液中の目的成分はカラム内に滞在する短時間内に迅速かつ完全に電解され尽くす。また、溶液が電極表面近傍に滞在する間に繰り返し電解されるので、遅い電極反応であっても定量的な電解が達成できる。さらに、カラム電極を用いる電解法は、自動化や遠隔化に適している。カラム電極電解法はこのような特長のために、流液試料中の目的成分のクーロメトリー定量法として、あるいはクロマトグラフィーの検出器として、さらに不安定化学種を含むような複雑な反応機構の解析手段として、幅広く活用され進歩し続けている。本総説では、カラム電極電解法による電解クロマトグラフィー及び電量-電位測定法の基礎的性能を述べるとともに、フローインジェクション分析への利用や、アクチノイドイオンや生体関連物質の酸化還元反応などの解析法としての応用に関する最近の成果を例示し、他法が及ばない優れた特徴を解説する。
上原 章寛*; 吉田 善行; 吉田 裕美*; 北辻 章浩; 糟野 潤*; 前田 耕治*; 木原 壯林*
Journal of Electroanalytical Chemistry, 563(2), p.257 - 267, 2004/03
水相と有機溶媒相間での弱酸物質の分配を、両溶液相中での弱酸物質のイオン解離過程と、解離したイオンの溶液相界面移動過程の組合せとして捉え、目的物質の分配比を個々のイオンの界面移動ギブズエネルギーや両溶液相中でのイオンの解離定数などの熱力学定数で記述する関係式を導いた。1-フェニル-3-メチル-4-ベンゾイル-5-ピラゾロンやテノイルトリフルオロアセトンなどのキレート試薬に適用し、電気化学的な手法により決定した熱力学定数から、目的物質の分配比を導出した関係式に基づいて計算した。計算により求めた予測値と実測値とを比較し、両者が一致することを確認した。個々の定数の変化と目的物質の分配の変化との相関について考察した。
吉田 善行; 青柳 寿夫; 木原 壯林*
Z. Anal. Chem., 340, p.403 - 409, 1991/00
各種酸化状態のプルトニウムイオンのリン酸-硝酸混合溶液系における電解挙動を、グラッシーカーボン繊維を作用電極とするカラム電極によるフロークーロメトリー、およびグラッシーカーボン-ディスク電極を用いるボルタンメトリーにより調べた。Pu(VI)/Pu(V)およびPu(IV)/Pu(III)の酸化還元反応は、リン酸混合溶液中で可逆であり、それ等の半波電位はPuO(HPO)、Pu(HPO)の錯形成反応に基づきより負電位にシフトする。非可逆な還元反応であるPuO+2ePuはリン酸の存在する溶液系でより速く進行し、カラム電極電解によると+0.35Vで定量的還元がおこる。PuOの還元過程で、化学反応を伴ってすばやくPuに分解するPuO中間化学種の存在を考慮することによりこの還元過程を明らかにした。リン酸混合溶液系を利用する分析化学的利点についても考察した。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
白金電極を用いるNp(V)の電解還元のうち、白金上へ還元吸着した水素による電極触媒反応を利用すれば、Np(III)を生成することなくNp(IV)を選択的に調製できると考え、迅速なNp(IV)の電解調整法の開発を試みた。電極触媒反応を効果的に高めるため白金網に白金を電析させた白金黒付電極を用いてNp(V)を電解還元したところ、より小さな過電圧で、かつ、迅速なNp(IV)への電解還元調製に成功した。この電解還元はほぼ一次反応であり、その速度定数はNp(VI)からNp(V)への可逆な還元の場合と同程度であり、物質輸送速度に律速された迅速な電解還元であることを明らかにした。次にフロー電解法へ適用するため、グラッシーカーボン繊維上に白金黒を付着させ電極触媒機能を持たせたカラム電極を作製し、Npの電解酸化還元を調べた。Np(V)はNp(IV), Np(III)へ逐次還元され、3価から6価のいずれの原子価のNpイオンからも、迅速かつ選択的にNp(IV)を調整可能となった。また、Uが共存する溶液ではUを還元することなくNp(V)のみを選択的に電解還元することも初めて可能にした。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
白金電極を用いるNp(V)の電解還元において、白金黒が有する電極触媒機能を利用すれば、過電圧を小さくし、Np(III)を生成することなくNp(IV)を選択的に還元調製できる。より迅速な電解を行うため、電極触媒機能をフロー電極に付加する電解法を試みた。グラッシーカーボン繊維上に白金黒を電析により付着させ電極触媒機能を持たせたカラム電極を作製し、Npの電解酸化還元を調べた。白金黒付き電極を用いれば、Np(V)からNp(IV)への還元電位が正側に移行し、Np(V)からNp(VI)、さらにNp(III)へ還元される逐次還元波を観測した。Np(V)/Np(VI)の酸化還元電位は影響を受けないため、3価から6価のいずれの原子価のNpイオンからも、迅速かつ選択的にNp(IV)を調製可能となった。また、従来の電極では、U(VI)が共存する溶液ではNp(V)を電解還元するときにU(VI)からU(IV)への還元が避けられなかったが、白金黒付き電極によればU(VI)を還元することなくNp(V)のみを選択的に電解還元できることを明らかにした。
北辻 章浩; 間柄 正明; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
アクチノイドイオンの5価/4価の酸化還元は、金属-酸素結合の形成や開裂を伴うため、溶液中のプロトンイオンの影響を受け複雑に変化する。本研究では弱酸性領域でのウラン等のアクチノイドイオンの酸化還元挙動を、フロー電解法等の電気化学的手法を用いて調べた。ウラン6価の還元は、酸性度がより低い溶液ほどより負電位で観測された。また、酸性度が低くなると、高酸性度溶液中でのものとは異なり、ウラン6価は4価へ完全には還元されなくなった。これは酸性度の低下に伴い、不均化反応速度が低下したためであると考えられる。ネプツニウム5価イオンの還元に対して過電圧を大幅に低下させることがわかっている白金黒付グラッシーカーボン電極を用いてウラン6価の電解還元を行い、電極材ごとの還元挙動を比較したところ、両者に有意な差は見られなかった。この理由は低酸性溶液中ではPt表面への還元的水素吸着が抑制されるため、ウラン5価は電極還元されないためであると考察した。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
アクチノイド4価/5価イオンの非可逆な酸化還元の反応過程について、カラム電極電解法あるいはボルタンメトリーを用いて調べた。5価ネプツニウム及び5価プルトニウムイオンの還元は、白金黒付電極を用いることにより過電圧を低下させることができる。このためネプツニウムは5価から4価、さらに3価へ逐次還元された。これに対し、プルトニウムの場合、3価/4価及び5価/6価の酸化還元電位がほぼ等しいので、6価から3価へ3電子還元され、還元過程で5価や4価のイオンの生成は観測できなかった。6価ウランは4価へ2電子還元され、電極材の影響は小さかった。このウランの還元過程は、6価から5価への電気化学的に可逆性の高い電極還元と、還元生成物である5価イオンの不均化反応の二つの反応によると考えられる。したがって、5価ウランイオンの還元は電極反応でないため、電極材の影響を受けないと考察した。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
白金のアクチノイドの酸化還元に対する電極触媒反応を調べるために、グラッシーカーボン繊維上に白金黒を電析により付着させたカラム電極を作製し、過塩素酸中のU, Np, Puイオンのフロー電解による酸化還元挙動を調べた。Np(V)の還元については、白金黒付き電極を用いることにより、通常のグラッシーカーボン電極で観測されるNp(V)Np(III)の二電子一段還元波から、Np(V)Np(IV)Np(III)の一電子二段還元波へと還元挙動が大きく変化した。また、Pu(VI)の還元についても、通常のPu(VI)Pu(V)Pu(III)の二段還元波から、Pu(VI)Pu(III)の三電子一段還元波へ挙動が大きく変化した。いずれも、5価から4価への非可逆な還元の過電圧が小さくなったためであると結論した。これに対し、U(VI)の還元については、白金黒の有無にかかわらずU(VI)からU(IV)への二電子還元波を観測し、白金黒の影響をほとんど受けないことがわかった。
北辻 章浩; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
アクチノイドの4価/5価イオンの酸化還元は、アクチニルイオンの金属-酸素結合の形成あるいは開裂を伴うため、電気化学的に非可逆であり、大きな過電圧を要するため、精密な原子価調整は難しい。本研究では、白金黒を表面に付着させた電極を用いると、白金の電極触媒作用により5価アクチノイドイオンの還元に要する過電圧を大幅に低減できることを見いだした。グラッシーカーボン繊維上に白金黒を電析により付着させたカラム電極を作製し、過塩素酸中のU, Np, Puイオンのフロー電解による酸化還元挙動を調べた結果、Np(V)及びPu(V)イオンの還元挙動が大きく変化し、Np(IV)やPu(III)を小さな過電圧で精密に還元調整することに成功した。これに対し、U(VI)からU(IV)への還元は、白金黒の影響をほとんど受けない。これは、Np, PuとUとでは還元機構が異なるためであると考察した。回転電極ボルタンメトリーによりNp(V)還元を調べ、Np(V)の電極触媒還元には、電位領域によって2つの反応機構があることを明らかにした。
北辻 章浩; 間柄 正明; 木村 貴海; 木原 壯林*
no journal, ,
フロー電解法及びボルタンメトリーによって、弱酸性から中性溶液中でのアクチノイドの酸化還元挙動を調べた。フロー電解ではpH2.8より酸性の溶液中で、U(VI)は2電子還元された。これらの酸性度では、U(VI)のU(V)への1電子電極還元と、それに引き続き起こるU(V)の不均化反応により、カラム電極内で繰り返し電解されてU(IV)に完全に還元される。酸性度が低いほど不均化反応速度が低下するため、見かけの還元電位は負電位側に移行する。より低酸性溶液では還元電位がさらに負電位側に移行するとともに、限界電流が低下し、2電子還元とならなくなった。試料溶液のカラム電極内での滞在時間に比べて不均化反応速度が小さいため、試料溶液がカラム電極内を通過する間にU(IV)への還元が完了しないためであると考えられる。一方、第一段カラム電極でU(V)を電解還元し、同電極からの流出液を第二段カラム電極で電解した結果、U(IV)の酸化電流は観測できなかった。微小電極を用いてボルタンメトリー測定したところ、還元生成物であるU(IV)の電極への吸着を示唆する結果を得た。フロー電解で電解還元されたU(IV)はカラム電極内に吸着すると考えられる。