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川井 清司*; 曽我部 知史*; 中川 洋; 山田 武*; 小関 成樹*
Journal of Food Engineering, 375, p.112066_1 - 112066_9, 2024/08
本研究の目的は、様々な水分活性(aw)条件下における凍結乾燥細菌の機械的ガラス転移および動的転移に及ぼすグリセロールおよびグルコースの影響を明らかにすることである。水分収着等温線から、各awにおける含水率および単分子膜含水率は、グリセロール、グルコース、無添加試料の順に高くなることがわかった。試料中の原子の平均二乗変位(MSD)に対する温度の影響を非干渉性中性子弾性散乱により調べた。MSDは温度の上昇に伴い、重水素及び添加溶質に依存して徐々に増加した。線形フィッティングから、3つの動的転移温度(低Tds、中Tds、高Tds)が決定された。Couchman-Karaszモデルは、添加された溶質とバクテリアは完全には混和しないことを示唆した。
谷村 嘉彦; 吉富 寛; 西野 翔; 辻 智也; 深見 智代; 篠塚 友輝; 大石 皓平; 石井 雅人; 高宮 圭; 大貫 孝哉; et al.
Radiation Measurements, 176, p.107196_1 - 107196_6, 2024/08
ICRUはReport95で場や個人被ばくのモニタリングに用いる実用量の定義を変更した。新しい実用量を導入した場合に、さまざまな原子力施設の作業現場における線量測定に影響する。このため、作業場のエネルギースペクトルや測定器の特性を把握しておく必要がある。本研究では、原子力機構にある研究炉(JRR-3)及び加速器施設(J-PARC)の作業場において、NaI(Tl)又はLaBr(Ce)シンチレーション検出器を用いて光子スペクトルを測定した。そして、現行及び新しい実用量を導出してこれらを比較した。
田辺 鴻典*; 米田 政夫; 藤 暢輔; 北村 康則*; 三澤 毅*; 土屋 兼一*; 相楽 洋*
Scientific Reports (Internet), 14, p.18828_1 - 18828_10, 2024/08
The global challenge of on-site detection of highly enriched uranium (HEU), a substance with considerable potential for unauthorized use in nuclear security, is a critical concern. Traditional passive nondestructive assay (NDA) techniques, such as gamma-ray spectroscopy with high-purity germanium detectors, face significant challenges in detecting HEU when it is shielded by heavy metals. Addressing this critical security need, we introduce an on-site detection method for lead-shielded HEU employing a transportable NDA system that utilizes the Cf rotation method with a water Cherenkov neutron detector. This cost-effective NDA system is capable of detecting 4.17 g of U within a 12 min measurement period using a Cf source of 3.7 MBq. Integrating this system into border control measures can enhance the prevention of HEU proliferation significantly and offer robust deterrence against nuclear terrorism.
石角 元志*; 高橋 竜太*; 山内 康弘*; 中村 雅俊*; 石丸 宙*; 山内 沙羅*; 河村 聖子; 吉良 弘*; 坂口 佳史*; 渡辺 真朗; et al.
JPS Conference Proceedings (Internet), 41, p.011010_1 - 011010_7, 2024/05
Recent status of cryogenic sample environment equipment at the Materials and Life Science Experimental Facility (MLF) of the Japan Proton Accelerator Research Complex (J-PARC) has been reported. We have reviewed the specifications and performance of cryogenic sample environment equipment and a newly installed Gifford-McMahon (GM) cryofurnace, which are mainly managed by the Cryogenic and Magnet group in the sample environment team at the MLF. Moreover, the recent maintenance and update of each piece of equipment, the improved temperature-control function, and the expansion of the usable beamline of the cryogenic sample environment equipment are described.
眞田 幸尚; 阿部 智久; 佐々木 美雪; 菅野 麻里奈*; 山田 勉*; 中曽根 孝政*; 宮崎 信之*; 押切 圭介*; 渡部 浩司*
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(5), p.693 - 702, 2024/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)主な放射性物質を除去した「処理水」にはトリチウムが含まれており、日本のステークホルダーからはどのように処理するかが議論されている。施設内の処理水の量は限界に達しており、日本政府は、2023年度(年度:年度)までに海に放流することを決定した。本研究では、福島第一原子力発電所(FDNPS)のトリチウム水放出用のシンプルで実用的なトリチウムモニターを開発した。シンプルで実用的なトリチウムモニターは、薄いプラスチックシンチレーターシートに基づくFDNPSトリチウム水放出用に開発された。開発されたデバイスは、標準的なトリチウム溶液と最小検出可能活性を計算する方法を使用して較正された。厚さ0.25mmのシンチレータ15個を0.26Lのフローセルに配置して、サンプル水を供給し、3,200mmの有効表面積を得ることができる。完全な水でのトリチウム水の効率は0.000035cpsBqである。単純なシールド条件下で検出可能な最小活性は7,800BqLであった(測定時間は3,600秒であった)。
渡部 浩司*; 佐藤 達彦; Yu, K. N.*; Zivkovic, M.*; Krstic, D.*; Nikezic, D.*; Kim, K. M.*; 山谷 泰賀*; 河地 有木*; 田中 浩基*; et al.
Radiation Protection Dosimetry, 200(2), p.130 - 142, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Environmental Sciences)DynamicMCは、人体ファントムが単色線源に照射されたときの3次元線量分布を簡単に計算可能なGUIソフトウェアである。従来は、米国産放射線挙動解析コードMCNPと接続して使うよう設計されていた。本研究では、DynamicMCをPHITSと接続して使うように改良し、いくつかの新機能を付加した。具体的な改良点は以下の通りである。(1)単色のみならず放射性同位元素の崩壊により生じる様々なエネルギースペクトルを持つ線源に対応可能とした、(2)臓器吸収線量を計算可能とした、(3)複数の条件に対する平均線量を計算可能とした、(4)遮蔽物の影響を考慮可能とした。本改良により、DynamicMCは放射線防護の研究や教育など様々な目的で利用可能となった。
佐藤 達彦; 岩元 洋介; 橋本 慎太郎; 小川 達彦; 古田 琢哉; 安部 晋一郎; 甲斐 健師; 松谷 悠佑; 松田 規宏; 平田 悠歩; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 61(1), p.127 - 135, 2024/01
被引用回数:8 パーセンタイル:99.39(Nuclear Science & Technology)放射線挙動解析コードPHITSは、モンテカルロ法に基づいてほぼ全ての放射線の挙動を解析することができる。その最新版であるPHITS version 3.31を開発し公開した。最新版では、高エネルギー核データに対する親和性や飛跡構造解析アルゴリズムなどが改良されている。また、PHIG-3DやRT-PHITSなど、パッケージに組み込まれた外部ソフトウェアも充実している。本論文では、2017年にリリースされたPHITS3.02以降に導入された新しい機能について説明する。
奥野 浩; 川上 剛; 渡辺 文隆; 堀越 秀彦*
Journal of Disaster Research, 18(8), p.911 - 917, 2023/12
2011年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故の放射線健康影響に関する住民の不安に対応するため、文部科学省の依頼により日本原子力研究開発機構(原子力機構)では電話相談の体制をとった。8回線、電話代無料の電話回線を準備し、放射線影響の知識のある職員を配置した。電話相談に対する原子力機構専門家の対応グループは、電話対応チーム、質疑応答チーム及び管理者で構成された。2011年3月17日から2012年9月18日までのべ約35,000件の相談に応じた。相談内容のテキストマイニング分析の結果、最大の不安要素は子供の健康への影響であることを明らかにした。この経験を踏まえて、電話相談のための原子力機構の体制を改良した。2020年に発行されたIAEA指針GSG-14を参考に、原子力機構の電話相談体制のさらなる充実を図るべく検討を行った。
藤森 伸一; 川崎 郁斗; 竹田 幸治; 山上 浩志; 雀部 矩正*; 佐藤 芳樹*; 清水 悠晴*; 仲村 愛*; Maruya, A.*; 本間 佳哉*; et al.
Electronic Structure (Internet), 5(4), p.045009_1 - 045009_7, 2023/11
The electronic structure of the -based superconductor was studied by photoelectron spectroscopy. The energy distribution of the state was revealed by the resonant photoelectron spectroscopy. The state was mostly distributed in the vicinity of the Fermi energy, suggesting the itinerant character of the state. The contribution of the state to the density of states (DOS) at the Fermi energy was estimated to be nearly half of that of the states, implying that the state has aconsiderable contribution to the DOS at the Fermi energy. The core-level and X-ray absorption spectra were analyzed based on a single-impurity Anderson model. The number of the state in the ground state was estimated to be 0.8-0.9, which is much larger than the values obtained in the previous studies (i.e., 0-0.4).
柴田 基樹*; 中西 洋平*; 阿部 淳*; 有馬 寛*; 岩瀬 裕希*; 柴山 充弘*; 元川 竜平; 熊田 高之; 高田 慎一; 山本 勝宏*; et al.
Polymer Journal, 55(11), p.1165 - 1170, 2023/11
被引用回数:1 パーセンタイル:39.87(Polymer Science)Marine ecosystem degradation due to micro plastics is a significant environmental problem, as acknowledged by Sustainable Development Goal 14. Decomposition of plastics using near critical or supercritical water is one of the promising methods to reduce micro plastics. To attain the optimization of the method for improving environmental friendliness, it is necessary to clarify the structural change of materials during the process. We, thus, investigated the decomposition processes of polystyrene particles dispersed in deuterated water (DO) during heating under near critical or supercritical conditions by using in situ small-angle neutron scattering. Under subcritical conditions, the PS particles were swollen by DO due to increased compatibility with temperature. Near the critical point in subcritical conditions, the cleavage of PS chains in the particles occurred, so that the swollen ratio was much enhanced though the PS particles kept their shapes. In a supercritical condition, the PS particles were degraded into oil including oligomers or monomers and the phase-separated structures with styrene-rich and DO-rich regions.
沓掛 健一; 松田 誠; 中村 暢彦; 石崎 暢洋; 株本 裕史; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 中川 創平; 阿部 信市
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1080 - 1084, 2023/11
原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビームを用いた核物理、核化学、原子物理、材料照射研究などの各分野で利用されている。2022年度も放電が頻発するため、最高加速電圧を約15MVに抑えて運転を継続した。2021年度以降、絶縁性能が劣化した機器類(セラミック製加速管や発電機駆動用アクリルシャフト等)の交換を行っており、2022年度はアクリルシャフト5本の交換を行ったが、加速電圧改善の根本的な解決には至っていない。2022年度発生した主な故障として、高電圧端子内ターボポンプの動作不良や90度偏向電磁石からの水漏れがあった。その都度、整備を行うことで施設の運転を継続しているが、今後、機器の経年劣化に対する抜本的な対策を検討する必要がある。発表では、2022年度における加速器の運転・整備状況等について報告する。
吉富 寛; 真辺 健太郎; 越智 康太郎; 河野 恭彦; 佐々木 道也*; 吉田 浩子*
保健物理(インターネット), 58(2), p.105 - 111, 2023/08
2023年2月7日sim11日にムンバイ(インド)で、第6回アジア・オセアニア放射線防護会議(AOCRP6)が開催された。本稿では、会議の概要や一般講演内容等について報告する。
阿部 健康; 飯田 芳久; 笹本 広; 石井 英一
Proceedings of Water-Rock Interaction (WRI-17)/ Applied Isotope Geochemistry (AIG-14), 6 Pages, 2023/08
埋設処分における地下水質の時空間的変遷評価では、地下水の混合や水-岩石相互作用を考慮したモデルが必要となる。堆積岩環境の地下水質を対象とした場合、評価上重要な水-岩石相互作用は陽イオン交換反応と考えられる。本研究では、パイロットボーリングが実施される概要調査段階における陽イオン交換反応の評価を想定し、陽イオン交換選択係数をactive fraction modelに従った地球化学計算に基づき推定する手法を検討する。さらに本手法の実環境での適用性を確認するために、幌延泥岩(稚内層及び声問層)を対象に交換性陽イオン組成の測定値と本手法による推定値との比較検討を行った。稚内層及び声問層の交換性陽イオン組成を測定し、得られた組成の変動範囲についてactive fraction modelを使って評価を行った。本評価に必要なパラメータの設定値は、先行研究で報告されているスメクタイトの2成分系陽イオン交換等温線及びCECのpH依存性に基づいて推定し、帯水層土壌に比べNaに親和的な選択係数を得た。推定したパラメータ設定を用いて、幌延で得られている化石海水・古天水の組成と平衡な交換性陽イオン組成を計算した結果、稚内層の交換性陽イオン組成の測定結果(交換性Naに富む組成)と整合した。また化石海水に比べてpHが高くNaイオンに乏しい現海水と平衡な交換性陽イオン組成を計算した結果、溶液の組成関係に反して化石海水よりも交換性Naに富む組成が得られた。このように溶液組成と反比例する交換性陽イオン組成の変化を解釈する上では、pHと全陽イオン濃度の変化が重要であることをベンチマーク計算により確認した。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太*; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01023_1 - 01023_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.21(Nuclear Science & Technology)加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄,鉛及びビスマスに対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された標的試料に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学によりTTNY及びDDXを求めた。実験で得られたTTNY及びDDXを、モンテカルロ輸送計算コードPHITSによる計算と比較し、PHITSに組み込まれた核反応モデル及び評価済み核データライブラリJENDL-4.0/HEの妥当性を検証するとともに、PHITSによる計算の予測精度を評価した。
渡辺 幸信*; 定松 大樹*; 荒木 祥平; 中野 敬太; 川瀬 頌一郎*; 金 政浩*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 萩原 雅之*; 八島 浩*; et al.
EPJ Web of Conferences, 284, p.01041_1 - 01041_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.21(Nuclear Science & Technology)医療用RIの製造や核融合材料の照射損傷、放射性廃棄物の核変換などの研究において重陽子加速器を用いた高強度中性子源が提案されている。そのような中性子源の設計には重陽子を様々な標的に照射した際の中性子生成データが必要である。しかし、重陽子入射中性子生成二重微分断面積などの実験データは十分でない。そこで本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において幅広い原子番号の標的に対する200MeV重陽子入射中性子生成二重微分断面積の系統的な測定を実施した。200MeVの重陽子ビームをビームスウィンガーマグネット内の薄い標的に照射し、放出される中性子を大きさの異なるEJ301検出器(直径及び厚さが2inchと5inch)を7m、20mの位置にそれぞれ設置し、測定した。測定角度は0度から25度までの5角度とし、中性子エネルギーは飛行時間法で決定した。それぞれの測定データは入射エネルギーの半分あたりに特徴的な幅広なピークを示しており、ピークの収量は標的の質量数に従って単調に増加した。DEURACSとPHITSを用いた理論モデル計算との比較の結果、DEURACSの計算結果はPHITSのものよりも実験値に対してより良い一致を示した。加えて、得られたLi, Be, Cの結果を用いてJENDL/DEU-2020とTENDL-2017の核データライブラリのベンチマークを行った。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 杉原 健太; 西尾 勝久; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(4), p.435 - 449, 2023/04
被引用回数:3 パーセンタイル:63.91(Nuclear Science & Technology)加速器駆動核変換システム(ADS)の研究開発及び京都大学臨界実験装置(KUCA)におけるADS未臨界炉物理の基礎研究を目的として、固定磁場強収束(FFAG)加速器を用いて107MeV陽子による鉄、鉛及びビスマス標的に対する二重微分中性子収量(TTNY)を測定した。TTNYは8個の中性子検出器(各検出器は小型のNE213液体有機シンチレータと光電子増倍管より構成される)からなる中性子検出器システムを用いて飛行時間法により得られたものである。測定で得られたTTNYを、粒子・重イオン輸送コードシステム(PHITS)に組み込まれたモンテカルロ法に基づく核破砕反応モデル(INCL4.6/GEM, Bertini/GEM, JQMD/GEM, JQMD/SMM/GEM)及び評価済み高エネルギー核データライブラリ(JENDL-4.0/HE)による計算結果と比較した。JENDL-4.0/HEを含む比較対象のモデルは、検出器角度5度における高エネルギーピークを再現しないなどの特徴的な不一致が見られた。測定で得られたTTNYとPHITSによって評価した20MeV以下のエネルギー及び角度積分中性子収率を比較した結果、INCL4.6/GEMがKUCAにおけるADS炉物理実験のモンテカルロ輸送シミュレーションに適していることが示された。
石崎 暢洋; 松田 誠; 中村 暢彦; 株本 裕史; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 阿部 信市
JAEA-Conf 2022-002, p.5 - 10, 2023/03
当施設は20UR型ペレトロンタンデム加速器で核物理,核化学,材料照射などの研究に利用されている。加速器の運転日数は141日で、利用運転における最高加速電圧は16.3MVであった。実験に使用されたイオン種は16元素(分子を含め23種)であり、その内、高電圧端子内イオン源(ターミナルECRイオン源)からのビームが38%を占めた。定期整備は夏季に1回実施し、SF6高圧ガス製造施設の定期検査のほか、タンク内のターミナル部のイオンポンプの素子交換、ECRイオン源の分解整備、ターミナル発電機の分解整備などを行った。また、絶縁性能が劣化した低エネルギー側加速管3.5MVユニット分(7本)を交換し、加速電圧の回復を図った。運転期間中の故障修理としては、加速器入射部でビームが周期的に変動する現象が発生した。これは質量分析電磁石の磁場測定器(NMR)の回路の劣化が原因であった。発表では加速器の運転・整備状況等について報告する。
岩本 修; 岩本 信之; 国枝 賢; 湊 太志; 中山 梓介; 安部 豊*; 椿原 康介*; 奥村 森*; 石塚 知香子*; 吉田 正*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(1), p.1 - 60, 2023/01
被引用回数:75 パーセンタイル:99.99(Nuclear Science & Technology)The fifth version of Japanese Evaluated Nuclear Data Library, JENDL-5, was developed. JENDL-5 aimed to meet a variety of needs not only from nuclear reactors but also from other applications such as accelerators. Most of the JENDL special purpose files published so far were integrated into JENDL-5 with revisions. JENDL-5 consists of 11 sublibraries: (1) Neutron, (2) Thermal scattering law, (3) Fission product yield, (4) Decay data, (5) Proton, (6) Deuteron, (7) Alpha-particle, (8) Photonuclear, (9) Photo-atomic, (10) Electro-atomic, and (11) Atomic relaxation. The neutron reaction data for a large number of nuclei in JENDL-4.0 were updated ranging from light to heavy ones, including major and minor actinides which affect nuclear reactor calculations. In addition, the number of nuclei of neutron reaction data stored in JENDL-5 was largely increased; the neutron data covered not only all of naturally existing nuclei but also their neighbor ones with half-lives longer than 1 day. JENDL-5 included the originally evaluated data of thermal scattering law and fission product yield for the first time. Light charged-particle and photon induced reaction data were also included for the first time as the JENDL general purpose file.
株本 裕史; 松田 誠; 中村 暢彦; 石崎 暢洋; 沓掛 健一; 乙川 義憲; 遊津 拓洋; 松井 泰; 中川 創平; 阿部 信市
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1109 - 1113, 2023/01
原子力機構-東海タンデム加速器施設は最高運転電圧が約18MVの大型静電加速器で、重イオンビーム等を用いた核物理,核化学,原子物理,材料照射などの各分野で利用されている。本発表では、2021年度における加速器の運転・整備状況およびビーム利用開発等について報告する。当施設では近年、運転中の放電が頻発するため、加速電圧を約15MVと以前よりも低く抑えている。これは加速電圧に対する絶縁性能が必要な機器類(セラミック製加速管や発電機駆動用アクリルシャフト等)が経年劣化してきているためと思われる。2021年度には低エネルギー側加速管7本(3.5MV相当)とアクリルシャフト2本の交換作業を行い、絶縁性能の回復を図った。2020年度にも同様の交換作業を行っており、全体的に経年劣化が進んでいると思われることから、今後は抜本的な対策を検討する必要があると考えている。また、当施設では、現在の施設のアップグレードを行い、後継となる加速器を導入する計画の立案を行っている。超伝導加速器の技術を使用し、高エネルギー・高強度の重イオンビーム等を発生させるものであり、こちらの概要についても併せて報告する。
岩元 大樹; 中野 敬太; 明午 伸一郎; 佐藤 大樹; 岩元 洋介; 石 禎浩*; 上杉 智教*; 栗山 靖敏*; 八島 浩*; 西尾 勝久; et al.
JAEA-Conf 2022-001, p.129 - 133, 2022/11
加速器駆動システム(ADS)の核特性予測精度の向上と京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)におけるADS炉物理実験で用いる中性子源情報の取得を目的として、京都大学の固定磁場強集束(FFAG)加速器を用いた核データ測定実験プログラムを開始した。このプログラムの一環として、鉄に対する陽子入射二重微分中性子収量(TTNY)及び断面積(DDX)を測定した。測定では、真空チェンバ内に設置された鉄標的に107MeVの陽子ビームを照射し、核反応によって標的から発生した粒子の信号を、小型の中性子検出器を用いて検出した。検出信号とFFAGキッカー電磁石の信号の時間差から飛行時間(TOF)を求め、ガンマ線の事象を波形弁別法によって除去して中性子事象をカウントすることで中性子のTOFスペクトルを求めた。得られた中性子のTOFスペクトルから、相対論的運動学により鉄標的に対するTTNY及びDDXを求めた。