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宮原 信哉*; 有田 裕二*; 中野 敬太; 前川 藤夫; 佐々 敏信; 大林 寛生; 武井 早憲
Nuclear Engineering and Design, 403, p.112147_1 - 112147_17, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)通常運転時と事故時の両方の場合における放射線障害の安全性研究のために、加速器駆動システム(ADS)の鉛ビスマス共晶(LBE)冷却システムにおけるポロニウム210を含む核破砕生成物(SP)のインベントリと放出および輸送挙動を評価することが重要である。福井大学と日本原子力研究開発機構(JAEA)は、多様な運転状況におけるADSのLBE冷却システム内のSPの時間依存挙動を予測するコンピューター解析コードTRAIL(Transport of Radionuclides In Liquid metal systems)を開発している。LBE冷却材中の放射性SPと安定SPの両方のソースタームが入力として与えられ、放射性SPの放射性崩壊連鎖モデルがコードに実装され、SPの移動性が評価される。本論文では、最近のコード開発の進捗状況と検証結果を、MEGAPIE破砕ターゲットにおける揮発性SPの分布データと比較して示す。
植田 祥平; 佐々木 孔英; 有田 裕二*
日本原子力学会誌ATOMO, 63(8), p.615 - 620, 2021/08
日本原子力学会誌の連載講座「多様な原子燃料の概念と基礎設計」の第5回として「高温ガス炉と溶融塩炉の燃料」の題目で解説を行う。高温ガス炉の燃料である被覆燃料粒子は、高温ガス炉の高温の熱供給や優れた固有の安全性を支える鍵となる技術の一つである。本稿では高温ガス炉燃料の設計,製造技術,照射性能,実用化並びに高度化開発について述べる。一方、溶融塩炉で用いる溶融塩燃料は燃料自体が液体という特殊なものである。安全性や事故時の環境への影響など優れた性能が期待されているが、まだまだ明らかにすべき課題も多い。その現状について概説する。
宮原 信哉*; 大平 直也*; 有田 裕二*; 前川 藤夫; 松田 洋樹; 佐々 敏信; 明午 伸一郎
Nuclear Engineering and Design, 352, p.110192_1 - 110192_8, 2019/10
被引用回数:5 パーセンタイル:44.57(Nuclear Science & Technology)鉛ビスマス共晶(LBE)合金は加速器駆動システム(ADS)の核破砕中性子ターゲットや冷却材として用いられ、核破砕生成物として多くの元素が生成するため、その放出および輸送挙動を評価することが重要である。そこで、J-PARCのADSターゲット試験施設(TEF-T)のLBEループについて、LBE中に生成する核破砕生成物のインベントリおよび物理化学的組成について検討した。LBE内の核破砕生成物インベントリは、PHITSコードを使用して評価した。LBE中の核破砕生成物の物理化学的組成は、350C500CのLBE運転温度及びLBE中の酸素濃度10ppb1ppmの条件下、Thermo-Calcコードを用いて計算した。計算の結果、Rb, Tl, Tc, Os, Ir, Pt, Au, Hgの8元素がすべての条件下でLBEに可溶であり、化合物は形成されなかった。Ce, Sr, Zr及びYの酸化物はLBE中でCeO, SrO, ZrOおよびYOとして安定であることが示唆された。
石澤 明宏*; 井戸村 泰宏; 今寺 賢志*; 糟谷 直宏*; 菅野 龍太郎*; 佐竹 真介*; 龍野 智哉*; 仲田 資季*; 沼波 政倫*; 前山 伸也*; et al.
プラズマ・核融合学会誌, 92(3), p.157 - 210, 2016/03
幅広いアプローチ協定に基づいて国際核融合エネルギー研究センター(IFERC)の計算機シミュレーションセンター(CSC)に設置された高性能計算機システムHeliosは、2012年1月に運用を開始し、日欧の磁気核融合シミュレーション研究に供用され、高い利用率の実績を示すとともに、炉心プラズマ物理から炉材料・炉工学にわたる広い分野で多くの研究成果に貢献している。本プロジェクトレビューの目的は、国内の大学や研究機関においてHeliosを利用して進められているシミュレーション研究プロジェクトとその成果を一望するとともに、今後予想される研究の進展を紹介することである。はじめにIFERC-CSCの概要を示した後、各研究プロジェクト毎にその目的、用いられる計算手法、これまでの研究成果、そして今後必要とされる計算を紹介する。
西 剛史; 中島 邦久; 高野 公秀; 倉田 正輝; 有田 裕二*
Journal of Nuclear Materials, 464, p.270 - 274, 2015/09
被引用回数:3 パーセンタイル:24.66(Materials Science, Multidisciplinary)U-20wt.%Pu-2wt.%Am-10wt.%Zr合金の熱伝導率は高速炉で用いるマイナーアクチノイド(MA)含有金属燃料の炉心設計に必要不可欠な物性値である。本研究では、2つのU-20wt.%Pu-2wt.%Am-10wt.%Zr合金を調製し、測定した比熱及び熱拡散率を用いて熱伝導率の評価を行った。U-20wt.%Pu-2wt.%Am-10wt.%Zr合金の比熱は金属U及びU-Zr合金の文献値とほぼ一致しており、Pu及びAm添加に伴う影響は小さいことを確認した。一方、U-20wt.%Pu-2wt.%Am-10wt.%Zr合金の熱伝導率はU-Pu-Zr及びU-Pu-MA-Zr合金の文献値よりわずかに高い値を示した。U-Pu-Zr及びU-Pu-MA-Zr合金の文献値はいくつかの仮定に基づいて算出した熱伝導率であるため、実測値との差は文献値の精度の低さに原因があると考えられる。さらに、MA含有金属燃料の炉心設計に必要な誤差を伴う熱伝導率評価式も提唱した。
大図 章; 舘 義昭; 有田 裕二*
レーザー研究, 42(12), p.913 - 917, 2014/12
マイナーアクチニドを含む金属核燃料の合金製造時でのるつぼ内の合金溶融表面及びその表面からの蒸発物質のその場元素組成分析を目的として、レーザー誘起ブレークダウン分光分析法を合金製造過程に適用した。ジルコニウム, 銅, サマリウム、及びセリウムを模擬金属として使用した試験では、るつぼ温度に依存して溶融合金表面の元素組成が変動することが観測された。また、るつぼ温度の上昇に従ってるつぼ表面からの蒸発物質の元素組成をも同時に測定することができた。これらの適用試験により、レーザー誘起ブレークダウン分光分析法が合金製造過程の組成調査やるつぼ内の合金の挙動の解明に役立つことが示された。
Ye, M.*; 黒田 健太*; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 岡本 和晃*; Zhu, S.-Y.*; 白井 開渡*; 宮本 幸治*; 有田 将司*; 仲武 昌史*; et al.
Journal of Physics; Condensed Matter, 25(23), p.232201_1 - 232201_5, 2013/06
被引用回数:12 パーセンタイル:47.67(Physics, Condensed Matter)トポロジカル絶縁体に磁性元素を入れると絶縁体表面に対して垂直方向に強磁性が発現するという理論研究があり、その実現は新しいスピントロにクス技術への足がかりになるものと期待されている。本研究では、トポロジカル絶縁体BiSeの表面にFeを蒸着し、その磁性をFe L吸収端における軟X線磁気円二色性で、電子状態を角度分解光電子分光を用いて調べた。磁気円二色性実験ではFeの膜厚依存性、試料表面に対する角度依存性測定も行った。その結果、いずれのFe膜厚(0.013-0.9ML)においても強磁性発現は確認できなかったものの、試料表面に垂直方向に磁気モーメントが向く強い磁気異方性を持った常磁性状態が確認された。また軌道磁気モーメントがFe膜厚の小さい試料において増大し、スピン磁気モーメントと軌道磁気モーメントの比率が強い膜厚依存性を示すこともわかった。この結果はトポロジカル絶縁体に対する磁性元素の量を調節することにより、磁性及び量子輸送現象を制御できる可能性を示すものである。
芝原 雄司; 石神 努; 森下 喜嗣; 柳原 敏*; 有田 裕二*
JAEA-Technology 2012-038, 72 Pages, 2013/01
原子力施設の合理的な廃止措置を進めるためには、想定されるさまざまな解体手順(解体シナリオ)のプロジェクト管理データを事前に評価し、その結果を用いて最適な解体シナリオを選択することが必要である。廃止措置の研究分野では、最適な解体シナリオの選択のための意思決定にかかわる研究はほとんど行われておらず、今後の重要な検討課題の一つである。原子力機構と福井大学は、解体作業の計画を策定するうえで重要となる意思決定のための方法論にかかわる共同研究を平成21年度に開始した。本研究では、「ふげん」を対象に設備・機器の解体作業に関する幾つかの解体シナリオを想定して、人工数や廃棄物発生量等を計算し、その結果に基づいて幾つかの解体シナリオの中から合理的と考えられるものを選択するロジックを構築することを目的としている。本報告書は、給水加熱器の解体作業を対象に、平成22年度に行った多基準意思決定手法の一つであるAHPを用いた最適な解体シナリオの選択に関する検討の結果とまとめたものである。
池田 浩章*; 鈴木 通人; 有田 亮太郎*; 瀧本 哲也*; 芝内 孝禎*; 松田 祐司*
Nature Physics, 8(7), p.528 - 533, 2012/07
被引用回数:135 パーセンタイル:95.95(Physics, Multidisciplinary)ウラン化合物URuSiが低温において示す隠れた量子秩序相は、長年、多岐に渡る研究がなされてきたが、その秩序構造は未だ明らかにされておらず、固体物理学の一つのミステリーと目されてきた(それゆえ、隠れた秩序相を呼ばれている)。本論文の目的は、第一原理計算手法に基づいて、その隠れた秩序相における秩序構造を同定することにある。本論文では電子状態の詳細な解析結果の報告とともに、URuSiの多極子相関の計算結果から、対称性を持つ多極子のネマティック秩序が有力な秩序状態であることを示した。この結果は、実際に、実験的に観測される異方的な磁気励起、反強磁性秩序状態との競合、4回対称性の破れなどを含む実験結果を包括的に説明することに成功しており、長年の謎を解明する有力な秩序候補と言える。
成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 矢板 毅
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 10, p.367 - 373, 2012/07
有機薄膜を新たな光学・電子デバイス材料として応用するためには、デバイス基板として用いられる酸化物表面基に対して、有機分子を固定化し規則的に配列させることが重要である。そこで本研究では酸化物表面に有機分子を固定化させ、自己組織化膜を作製することを目指した。試料はサファイア単結晶基板を、デシルホスホン酸(DPA)のエタノール溶液に浸すことにより作製した。表面の電子構造は放射光軟X線でのX線光電子分光法(XPS)により測定した。固体のDPA分子とDPA分子膜のP 1s XPSスペクトルでは、ともに一本のピークが確認され、その束縛エネルギーはほぼ同じであった。また入射X線を全反射条件にしてXPSを測定したところ、通常のXPSに比べC 1sの強度が増大した。全反射条件でのXPS測定は表面敏感になるので、この結果より、サファイア表面においてDPA分子はリン酸基を介して表面とイオン結合を形成しており、アルキル鎖を上にして位置していることが明らかになった。
Ye. M.*; Eremeev, S. V.*; 黒田 健太*; Krasovskii, E. E.*; Chulkov, E. V.*; 竹田 幸治; 斎藤 祐児; 岡本 和晃*; Zhu, S. Y.*; 宮本 幸治*; et al.
Physical Review B, 85(20), p.205317_1 - 205317_5, 2012/05
被引用回数:62 パーセンタイル:88.93(Materials Science, Multidisciplinary)トポロジカル絶縁体BiSeの表面にコバルトを蒸着した系に対して、コバルトの物性に注目して、トンネル分光,角度分解光電子分光,磁気円二色性及び理論計算を組合せて得られた研究成果である。原子力機構としての貢献は、磁気円二色性を用いてコバルトの磁性を調べた部分である。トポロジカル絶縁体表面では磁性元素が強磁性を示すという理論的予想があるが、今回の実験では、BiSeとコバルトとの組合せでは強磁性を示さないという実験的証拠を示すことができた。
馬場 祐治; 成田 あゆみ; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 圓谷 志郎; 境 誠司
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 10, p.69 - 73, 2012/04
酸化物は、触媒,光触媒,吸着剤,デバイス基板など、さまざまな表面機能性材料として使われており、これらの研究開発においては、酸化物表面における原子や分子の構造や位置を正確に決定することが重要である。しかし酸化物の多くは絶縁体であり、ビームを使った手法では表面に電荷が蓄積するため、構造を決定することは難しい。そこで本研究では、表面電荷の蓄積が少ない軟X線をプローブとして用いたX線定在波法により、酸化物表面の原子,分子の構造解析を試みた。試料は、サファイア単結晶表面に吸着した有機アルキルリン酸分子(炭素数10個)を用いた。軟X線放射光を表面垂直方向から入射し、ブラッグ反射が起こるエネルギー付近で光電子強度の変動を解析することにより、リン原子,炭素原子の表面からの距離を求めた。その結果、リン原子は表面から0.11nmの距離に存在するのに対し、炭素原子は特定の距離を持たないことがわかった。この結果と、X線光電子分光法及びX線吸収端微細構造法の結果から、吸着した有機アルキルリン酸分子は、リン原子がサファイア表面直上に位置し、アルキル基が上に伸びた自己組織化膜を形成することが明らかになった。
成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 矢板 毅
Applied Surface Science, 258(6), p.2034 - 2037, 2012/01
被引用回数:4 パーセンタイル:18.91(Chemistry, Physical)近年、有機薄膜が新たな機能性材料として注目を集めているが、有機薄膜を新規デバイス材料として応用するためには、有機分子を無機基板表面へ整然と並べて固定化する必要がある。特に光学デバイスを考えた場合、透明な絶縁体である酸化物表面に有機分子を固定化することが重要である。そこで本研究では、サファイア表面にシリコンアルコキシド基を終端に持つ長鎖アルキル分子(オクタデシルトリエトキシシラン,ODTS)を自己組織化的に固定化することを試み、界面の化学状態と分子配向をX線光電子分光法(XPS)及びX線吸収微細構造法(NEXAFS)を用いて調べた。XPSの結果から、溶液法,吸着法で得られた膜は単分子層に近く、シリコンアルコキシドがサファイア表面と化学結合を形成していることがわかった。また、単分子膜のSi K吸収端NEXAFSスペクトルの偏光依存性から、ODTS分子のSi-O結合が、表面に対して垂直であることが明らかとなった。
馬場 祐治; 成田 あゆみ; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 圓谷 志郎; 境 誠司
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 201, 2012/00
酸化物は、触媒,光触媒,吸着剤,デバイス基板など、さまざまな表面機能性材料として使われており、これらの研究開発においては、酸化物表面における原子や分子の構造や位置を正確に決定することが重要である。しかし酸化物の多くは絶縁体であり、ビームを使った手法では表面に電荷が蓄積するため、構造を決定することは難い。そこで本研究では、表面電荷の蓄積が少ない軟X線をプローブとして用いたX線定在波法により、酸化物表面の原子、分子の構造解析を試みた。試料は、サファイア単結晶表面に吸着した有機アルキルリン酸分子(炭素数10個)を用いた。軟X線放射光を表面垂直方向から入射し、ブラッグ反射が起こるエネルギー付近で光電子強度の変動を解析することにより、リン原子,炭素原子の表面からの距離を求めた。その結果、リン原子は表面から0.11nmの距離に存在するのに対し、炭素原子は特定の距離を持たないことがわかった。この結果から、吸着した有機アルキルリン酸分子は、リン原子がサファイア表面直上に位置し、アルキル基が上に伸びた自己組織化膜を形成することが明らかになった。
成田 あゆみ; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 矢板 毅
Photon Factory Activity Report 2011, Part B, P. 94, 2012/00
有機分子薄膜を用いた電子材料,光学材料の基板には、絶縁性や透明性に優れた酸化物基板が多く用いられている。しかしながら、酸化物表面は化学的に不活性であり、しかも有機分子結晶と酸化物の格子定数は大きく異なるため、酸化物表面に有機分子を固定化し均一な薄膜を作成することは難しい。本研究は、リン酸基と酸化物の親和性が高いことに着目し、炭素数10個のアルキル鎖の末端にホスホン酸基をもつ分子(DPA)をサファイア基板表面に固定化することを試み、界面の化学結合状態を放射光内殻分光法により調べた。基板をDPAのエタノール溶液に浸すことにより作成した膜についてX線光電子分光スペクトル(XPS)を測定した結果、DPA分子はリン原子を下、アルキル鎖を上にして基板に吸着していることがわかった。またXPSとX線近吸収端微細構造(NEXAFS)スペクトルの結果から、室温で島状に吸着したDPAは、250度に加熱することにより、均一な単分子膜に変化することがわかった。以上のことから、ホスホン酸基は有機分子を酸化物表面に固定化するための優れたアンカーであることを明らかにした。
湊 和生; 小無 健司*; 山名 元*; 山中 伸介*; 長崎 晋也*; 池田 泰久*; 佐藤 正知*; 有田 裕二*; 出光 一哉*; 小山 正史*
Proceedings of International Conference on Toward and Over the Fukushima Daiichi Accident (GLOBAL 2011) (CD-ROM), 5 Pages, 2011/12
アクチノイド科学の研究は、革新的原子力技術の持続的な発展を維持するためには欠くことのできないものである。アクチノイド元素は放射性であるので、それらを取り扱うアクチノイド科学の研究を行うには、閉じ込めや遮へい機能のある特殊な設備が必要である。これらの特殊な施設・設備を維持するには通常よりも費用が掛かるため、大学などにおいてはその数が減少してきている。研究施設の密接な協力のもとに、アクチノイド科学の研究を活性化させるとともに、この分野で活躍する人材を育成するために、J-ACTINETを2008年に設立した。若手研究者に研究のノウハウを継承し、視野を広げてもらうために、研究プログラムを実施した。また、サマースクール及び計算科学スクールを開催し、大学生,大学院生,若手研究者にアクチノイド科学に触れてもらう機会を提供した。これらのスクールでは、講義ばかりではなく、実習を必須のものとして実施した。さらに、大学院生,若手研究者を海外のサマースクールや国際会議に派遣した。
芝原 雄司; 石神 努; 森下 喜嗣; 柳原 敏; 有田 裕二*
JAEA-Technology 2011-021, 35 Pages, 2011/07
原子力施設の合理的な廃止措置を進めるためには、そのプロジェクト管理データを事前に評価することに加えて、その結果を用いて想定されるさまざまな解体作業の選択肢(シナリオ)の中から、最適なものを選択することが必要かつ重要である。廃止措置の研究分野では、この選択のための意思決定にかかわる研究はほとんどなされておらず、今後の重要な検討課題である。原子力機構と福井大学は、解体作業の計画を策定するうえで重要となる意思決定のための方法論にかかわる共同研究を平成21年度から開始した。本研究では、ふげんを対象に設備・機器の解体撤去作業に関する幾つかのシナリオを想定して人工数や廃棄物発生量を計算し、その結果に基づいて、幾つかのシナリオの中から合理的と考えられるものを選択するロジックを構築することを目的としている。平成21年度はふげんで実施された給水加熱器の解体撤去作業に基づき、幾つかの解体シナリオを想定して管理データを評価し、多基準意思決定法(MCDA)を用いて最適化にかかわる検討を行った。本報告書は、その研究の成果をまとめたものである。
Mannan, M. A.*; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; 永野 正光*; 野口 英行*
Journal of Electron Spectroscopy and Related Phenomena, 181(2-3), p.242 - 248, 2010/08
被引用回数:5 パーセンタイル:30.60(Spectroscopy)有機分子やポリマーなど異方性分子の薄膜の電気的,光学的特性は、結晶構造や電子構造だけでなく、分子の配向にも大きく依存する。そこで放射光を用いて、導電性透明基板として用いられているインジウム・スズ酸化物(ITO)表面に蒸着したシリコンポリマーの分子配向を調べた。試料は、最も簡単なシリコンポリマーであるポリジメチルシラン(PDMS)を用いた。PDMSを電子衝撃加熱法によりITO表面に1層ずつ精密に蒸着し、直線偏光した放射光を用いてSi K-吸収端のX線吸収スペクトルを測定した。その結果、スペクトルの吸収ピーク強度に顕著な偏光依存性が認められた。これを解析した結果、ポリマーのSi-Si分子軸は表面に対して40度傾いていることがわかった。この角度は、表面に垂直に立ったポリマーがヘリカル構造をとったときの角度にほぼ一致する。以上の結果から、PDMSは自己組織化過程により、高度に配向することが明らかとなった。
関口 哲弘; 馬場 祐治; 下山 巖; 本田 充紀; 平尾 法恵; 成田 あゆみ; Deng, J.*
Surface and Interface Analysis, 42(6-7), p.863 - 868, 2010/06
被引用回数:1 パーセンタイル:1.72(Chemistry, Physical)有機半導体は豊富な資源,印刷技術が使える、電子物性が多様などが期待される次世代デバイスである。良質な有機半導体はよく分子配向した「核」として薄膜上に生じ始める。発表者は直線偏光の放射光と光電子顕微鏡を組合せた新しい装置を開発中である。その方法ではX線吸収スペクトルに現れる共鳴ピークを解釈する必要がでてくる。そのため大きな有機半導体分子の内殻電子励起状態を求めるため等価内殻近似に基づいて分子軌道法による理論計算を行った。計算結果をもとにグラファイト上に吸着したSiフタロシアニン分子の配向構造を決定した。分子軌道計算により電子励起状態の対称性を帰属することが配向角度を決めるうえで重要であることを示した。
中島 邦久; 岩井 孝; 荒井 康夫; 倉田 正輝*; 中村 勤也*; 有田 裕二*
Proceedings of 10th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation (CD-ROM), 9 Pages, 2010/00
超ウラン元素(TRU)の核変換用金属燃料の燃料製造や燃料設計開発には、TRU合金の状態図や熱力学データに関する情報が欠かせない。本研究では、これらデータベース構築のための試験に供するTRU合金試料を酸化物原料粉から調製することにした。TRU元素を含んだ数グラムの母合金をその混合酸化物の電解還元により調製したが、Pu酸化物単体の電解還元では試料の表面のみしか金属まで還元が進まないことが判明した。NpやPuを高濃度に含んだ混合酸化物の電解還元については、低融点の金属が生成し難しくなることが予想されたため、リチウム(Li)還元法を適用することでTRUを高濃度に含有した合金試料については調製した。