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論文

2023年秋の大会福島特別プロジェクトセッション(保健物理・環境科学部会共催) ALPS処理水海洋放出に関する経緯とその理解

寺阪 祐太; 飯本 武志*; 三倉 通孝*; 藤田 玲子*

日本原子力学会誌ATOMO$$Sigma$$, 66(4), p.203 - 207, 2024/04

本報告は、日本原子力学会2023年秋の年会で開催した福島特別プロジェクト企画セッション(保健物理・環境科学部会共催)のとりまとめである。本企画セッションは「ALPS処理水海洋放出に関する経緯とその理解」と題して、資源エネルギー庁および環境省の担当官にALPS処理水の扱いに関する経緯と取組み、海域環境モニタリング等についての講演をいただくとともに、福島特別プロジェクトより海洋放出に関する世論調査(2022年秋)の結果を紹介した。講演後の会場全体での議論を通じて、処理水海洋放出の事実関係が学会関係者間で共有された。

論文

革新的研究開発推進プログラムImPACT; 核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化

岩本 修; 藤田 玲子*; 仁井田 浩二*; 渡辺 幸信*

核データニュース(インターネット), (122), p.33 - 43, 2019/02

内閣府が進めている革新的研究開発推進プログラムImPACTの一つとして、長寿命核分裂生成物(LLFP)の核変換処理に関わるプログラム「核変換による高レベル放射性廃棄物の大幅な低減・資源化」が2014年から始まり、2018年度で終了する予定である。このプログラムでは基礎データの取得からシナリオの提案まで五つのプロジェクトに分かれて、幅広い活動が行われている。核データに関わる研究開発も実施され、多くの成果が生まれつつある。本稿では、プログラム全体について簡単に触れつつ、核データに直接かかわる二つのプロジェクトとその中で得られた成果の一部を紹介する。

論文

Advanced-ORIENT cycle project; Summary of phase I fundamental studies

小山 真一; 鈴木 達也*; 小澤 正基*; 黒澤 きよ子*; 藤田 玲子*; 三村 均*; 岡田 賢*; 森田 泰治; 藤井 靖彦*

Procedia Chemistry, 7, p.222 - 230, 2012/00

 被引用回数:3 パーセンタイル:69.93(Chemistry, Analytical)

先進オリエントサイクルは、高速炉サイクルに基づく使用済燃料中に含まれる核種の分離,変換,利用にかかる三位一体の概念であり、イオン交換法(IXC)と触媒的電気化学手法(CEE法)を用いた分離手法と安全性研究を中心に2006年から2011年にかけて研究を行った(Phase I計画)。最初のナノ吸着剤によるIXC(I)課程で、模擬高レベル廃液より90%以上のCsを回収した。次に3級ピリジン樹脂(TPR)による塩酸及び硝酸環境下での分離IXC(II, III, IV)課程で、照射済燃料から白金属元素,希土類、さらにAm及びCmの分離・回収を可能とした。特に塩酸環境下においてCEE法により白金族及びTcの分離が可能であることを明らかにした。さらに、CEE法で分離した白金族を電極として水素製造条件が向上することを明らかにした。塩酸環境下での構造材選択のため、ハステロイ-Bは室温で、タンタルは90$$^{circ}$$Cまでの高濃度塩酸環境において耐食性があることを確認し、またTPRの硝酸環境における熱化学的な安定性を検証した。これらラボスケールでの研究成果に基づいて、次のPhaseへの課題を明らかにした。

論文

Advanced-ORIENT cycle, its scientific progress and prospect for engineering feasibility

小山 真一; 山岸 功; 鈴木 達也*; 小澤 正基*; 藤田 玲子*; 岡田 賢*; 蓼沼 克嘉*; 三村 均*; 藤井 靖彦

Proceedings of International Conference on Toward and Over the Fukushima Daiichi Accident (GLOBAL 2011) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/12

MA及びLLFPの分離・変換・利用にかかわる先進オリエント計画のPhase 1プログラムとして、ラボスケールでの要素技術試験を実施している。3級ピリジン樹脂(TPR)による塩酸及び硝酸環境下での試験により、照射済燃料から希土類の分離、さらにAm及びCmの回収を可能とした。特に塩酸環境下において触媒電解抽出法により白金族及びTcの分離が可能となった。分離した白金族を電極として水素製造条件が向上することを明らかにした。実験結果に基づいて進捗一環として、個別の基礎研究を実施した。ナノ吸着剤であるAMP-SGにより、模擬高レベル廃液より90%以上のCsを回収した。塩酸環境下での構造材選択ため、ハステロイ-Bは室温で、Taは90$$^{circ}$$Cまでの高濃度塩酸環境において耐食性があることを確認した。TPRの硝酸環境における熱化学的な安定性を検証した。これらラボスケールでの実験結果に基づいて、次のPhaseへの課題が明らかとなった。

論文

Current status and future plans of advanced ORIENT cycle strategy

小山 真一; 鈴木 達也*; 三村 均*; 藤田 玲子*; 黒澤 きよ子*; 岡田 賢*; 小澤 正基

Progress in Nuclear Energy, 53(7), p.980 - 987, 2011/09

 被引用回数:5 パーセンタイル:37.29(Nuclear Science & Technology)

先進オリエント計画の一環として、塩酸及び硝酸環境での分離にかかわる個別の基礎研究を実施した。ナノ吸着剤であるAMP-SG(D)とD18C6-MCにより、それぞれCsとSrの高い選択的分離性能を確認した。TPR(3級ピリジン樹脂)は希塩酸条件においてPdとTcをよく吸着した。希少元素FPのCEE(触媒的電解)の実証を行い、模擬高レベル廃液から希少元素FPが電着した白金電極の形成を実証し、その電極を用いて電気化学的な水素製造特性を示した。工学実証のための構造材選択ため、ハステロイ-Bは室温で、Taは90$$^{circ}$$Cで高濃度塩酸環境において耐食性があることを確認した。実際の分離プロセスで使用する際、塩酸と硝酸環境におけるTPRの熱化学的な安定性を検証した。これらラボスケールでの実験結果に基づいて、最適化のための課題が明らかとなった。

論文

Adv.-ORIENT cycle; Its scientific progress and the engineering feasibility

小澤 正基; 鈴木 達也*; 小山 真一; 山岸 功; 藤田 玲子*; 岡田 賢*; 蓼沼 克嘉*; 三村 均*; 藤井 靖彦*

Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycle; Sustainable Options & Industrial Perspectives (Global 2009) (CD-ROM), p.1117 - 1126, 2009/09

Feasibility studies on Adv.-ORIENT Cycle are progressed allowing to use hydrochloric acid as well as nitric acid. Tertiary pyridine resin enabled to separate MA/Ln and then Am/Cm precisely from the irradiated nuclear fuel, and very pure Am and Cm products were recovered. Catalytic electrolytic extraction of RMFP(Rare Metal Fission Product) was verified. RMFP-deposit electrodes made from simulated HLLW showed high catalytic reactivity on electrolytic production of hydrogen. Hastelloy-B and Ta were confirmed their anti-corrosiveness in highly concentrated hydrochloric acid media. Thermo-chemical stability for Tertiary Pyridine Resin was verified in either HCl or HNO$$_{3}$$ media toward its practical use in the reprocessing. The separation and utilization of RMFP in spent fuel would not only open a new direction in fuel cycle mission, but also improve the existing process performance of reprocessing, vitrification and the repository tasks.

論文

Development of a pyrochemical process in molten salts for treating radioactive waste from nuclear fuel cycle facilities

藤田 玲子*; 中村 等*; 水口 浩司*; 宇都宮 一博*; 天本 一平

Proceedings of 2008 Joint Symposium on Molten Salts (USB Flash Drive), p.886 - 891, 2008/10

溶融塩を用いた高温化学処理法は、二次廃棄物の発生量が少ない放射性廃棄物除染技術として期待されている。本論文では、マグノックス製品,ウラン系金属廃棄物,使用済み化学トラップ充填材,BWRからの使用済みジルカロイチャネルボックスを試験片として複雑形状廃棄物にかかる基礎試験を行い、除染効果があった旨の報告を行っている。

論文

Advanced ORIENT cycle, toward realizing intensified transmutation and utilization of radioactive wastes

小澤 正基; 小山 真一; 鈴木 達也*; 藤田 玲子*; 三村 均*; 藤井 靖彦*

Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM), p.451 - 457, 2007/09

核燃料サイクル由来の環境負荷の極少化を図るため、先進オリエントサイクルと称する、新しい研究開発戦略を構築した。先進的分離技術の核心は3級ピリジン樹脂によるイオン交換クロマト法(IXC)と触媒的電解採取法(CEE)で、前者は使用済燃料から直接、3ステップの分離により高純度のAm, Cm及びPu/U/Npの3フラクションの分離を可能とし、MAリサイクルの効率化に大きく寄与することが明らかとなった。一方、Pdアダトムを利用する後者技術については、特に塩酸媒体で希少元素FP(Ru, Rh, Pd, Tc, Re)の分離効率が著しく増大することが明らかとなり、回収元素の水素製造触媒利用などの実現に向け大きな技術的進展があった。他、機能性イオン交換剤によるCs及びSrの分離が研究開発中で、さらにレーザー化学法などによるLLFP(Cs, Se, Sn)の同位体分離法の基礎研究に着手した。

論文

電解シミュレーション技術の開発; 使用済み酸化物燃料の乾式再処理プロセスの解析

林 博和; 赤堀 光雄; 湊 和生; 水口 浩司*; 川辺 晃寛*; 藤田 玲子*

電気化学および工業物理化学, 75(7), p.528 - 534, 2007/07

 被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Electrochemistry)

使用済み燃料の乾式再処理シミュレーションコードSPR(Simulation code for Pyrochemical Reprocessing)の概要及び酸化物電解プロセスを模擬した計算結果について報告する。SPRコードでは電極反応と塩浴内での化学反応及び電流電位分布を併せた解析を行うことができる。使用済み(U, Pu)O$$_2$$燃料を塩素化溶解したNaCl-2CsCl塩浴中に塩素/酸素混合ガスを吹き込みながら電解を行うことによってUO$$_2$$とPuO$$_2$$を共析させる酸化物電解プロセスのMOX電解共析工程を模擬した計算により、Pu$$^{4+}$$/Pu$$^{3+}$$循環反応と不純物として混入する鉄の影響、及び電極配置の影響などの試験結果を再現することができた。これによって、本コードを用いたシミュレーションを用いることにより、従来試験を重ねなければ把握することができなかったMOX電解共析工程における挙動を把握すること、及び乾式再処理プロセスの主要設備である溶融塩電解槽の設計を効率的に進めることが可能であることを示した。

論文

Strategic recycling of fission products in nuclear fuel cycle as for hydrogen production catalyst

小澤 正基; 藤田 玲子*; 小山 真一; 鈴木 達也*; 藤井 靖彦*

Proceedings of 9th OECD/NEA Information Exchange Meeting on Actinide and Fission Product Partitioning and Transmutation, p.315 - 324, 2007/00

核燃料サイクルにおける希少金属核分裂生成物の分離・回収のため、触媒的電解採取(CEE)法を研究開発している。放射性廃液中のPd$$^{2+}$$イオンはそれ自身効率よく回収されるとともに共存イオン、RuNO$$^{3+}$$, ReO$$_{4}$$$$^{-}$$, TcO$$_{4}$$$$^{-}$$、等に対しメディエータ(Pd$$^{2+}$$)及びプロモータ(Pd$$_{it adatom}$$)としてそれらの析出を促進する。CEE法により製造した4元系の電極触媒はアルカリ水あるいは人工海水の電解水素製造プロセスにおいて白金電極の2倍程度の高活性を示した。触媒活性の支配元素は主としてRu他であり、Pdは「造粒剤」の役割を果たすと考えられた。CEE法並びにイオン交換クロマト法を主分離法とし、高度にアクチニドや核分裂生成物を分離する「先進オリエントサイクル」は、物質の核変換・利用により放射性廃棄物の大幅な低減に寄与することができる。

報告書

溶融塩電解除染に関するとりまとめ

天本 一平; 宇都宮 一博*; 水田 浩司*; 中村 等*; 藤田 玲子*

JNC TJ6400 2002-006, 173 Pages, 2003/03

JNC-TJ6400-2002-006.pdf:4.72MB

製錬転換施設ではプロセスオフガスに含まれるウラン、FP,TRU等を吸着除去するケミカルトラップ充填物(NaF、MgF2、活性アルミナ)及びプロセス廃液に含まれるウランを含有するCaf2が放射性廃棄物として発生している。また、ウラン等の放射性廃棄物による金属汚染物が発生する。これら放射性廃棄物からウランを始めとする放射性物質を分解・回収できると、放射性廃棄物の低減化とウランの有効利用ができる。これまで、製錬転換施設で発生するケミカルトラップ充填物(NaF)からのウラン等分離・回収技術として溶融塩電解法の有用性が確認されてきたが、これまでの検討結果を踏まえ、前処理工程、電解条件、塩分離工程等の適正化を検討した。その結果、前処理の省略、電流効率の向上、塩分離蒸留設備の合理化、オフガス処理系の簡素化を行い、これらを反映したシステムを構築し、経済性を従来に比べ約60%工場試験検査成績書することができた。さらに、若干の変更で、このシステムを用いてウラン等で汚染された金属汚染物を処理することが可能であることが確認された。

報告書

溶融塩電解除染におけるパラメータの撮影調査

梅津 浩; 天本 一平; 川田 千はる*; 水口 浩司*; 藤田 玲子*

JNC TJ6400 2001-011, 35 Pages, 2002/02

JNC-TJ6400-2001-011.pdf:4.81MB

製錬転換施設で発生する金属廃棄物からのウラン等除染技術について、除染係数、2次廃棄物発生量の観点から溶融塩電解法の有効性が既に確認されている。今後、実機設計を行っていく際、配管半径、配管長さ、電極間距離などのパラメータが溶融塩電解除染の除染効率に対しどのように影響するかを把握しておくことは重要である。本研究では、2次元電位分布計算コードDEVONを用い、配管半径、配管長さ、電極間距離をパラメータとし、各パラメータが除染効率に与える影響を検討した。結果として、配管半径、配管長さは指数関数的に影響を与えるが、電極間距離は除染効率に影響を与えないことが分かった。

論文

乾式再処理プロセスへのパルス電解技術の適用; パルス電解法によるUO$$_{2}$$析出実験

永井 崇之; 佐藤 史紀; 明珍 宗孝; 水口 浩司*; 大森 孝*; 藤田 玲子*

日本原子力学会和文論文誌, 1(3), p.312 - 316, 2002/00

サイクル機構では、酸化物電解法による乾式再処理プロセス研究を進めており、その枢要技術としてMOX共析電解がある。このMOX共析電解時に陰極表面へPuO$$_{2}$$が多量に析出した際、通常の直流電解技術では制御が困難になることが予想される。そこで、絶縁物の電解析出に用いられるパルスメッキ技術に着目し、パルス電解技術を適用したUO$$_{2}$$析出実験を行った。実験の結果、通常の直流電解技術と同等なUO$$_{2}$$顆粒を析出回収できることを確認し、パルス電解条件によるUO$$_{2}$$顆粒析出への影響を検討した。

報告書

酸化ウランのLi還元試験に関する研究II

中村 等*; 藤田 玲子*; 八幡 秀胤*; 川田 千はる*; 宇都宮 一博*

JNC TJ8400 2001-029, 52 Pages, 2001/01

JNC-TJ8400-2001-029.pdf:3.96MB

乾式再処理技術は、より経済性の高い再処理技術の候補技術として有望である。乾式再処理技術のうち、米国アルゴンヌ国立研究所で先行して研究開発が行われている金属燃料リサイクル技術を我が国が進めている酸化物燃料リサイクルに適用するためには、酸化物燃料を金属に還元する必要がある。昨年度は前処理法としてボロキシデーションを想定し、還元材として金属リチウム(Li)を用いた酸化ウラン(U3O8)の還元試験を行い、生成物の回収用のメッシュバスケットの材料について検討することが重要であることがわかった。そこで本年度はメッシュ材料に係わる調査を行い、その結果に基づき昨年度用いたU3O8と同等の粒径の酸化ウラン(UO2)を用いた還元試験を行い、昨年度の結果と比較評価した。また、模擬FPとして粉状の酸化物を混合し、模擬FPの影響を比較評価した。その結果、1.各種メッシュ材料の調査によりTiおよびWを候補として試験を行ったが、いずれもLi還元条件では破損すること。しかしながら、SUS製のメッシュホルダーの構造を工夫することによりメッシュを破損せずにLi還元できること、2.UO2単独、FP共存系いずれの場合にも還元生成物中の金属ウラン量から評価される還元率は80$$sim$$100%と高く、模擬FPを添加してもUO2の還元率には影響を及ぼさないこと、3.還元生成物中に模擬FPの大部分が混入することが明らかになった。今後、模擬FPのLi還元における挙動および還元生成物中のUと模擬FPの分離法について検討することが重要である。

報告書

塩廃棄物管理方法の検討

藤田 玲子*; 中村 等*; 近藤 成仁*; 宇都宮 一博*

JNC TJ8420 2000-004, 41 Pages, 2000/03

JNC-TJ8420-2000-004.pdf:5.08MB

乾式再処理技術の研究開発を進める際には、ウランやプルトニウム等を用いた試験の終了後に発生する使用済塩廃棄物を安全に保管することが重要である。そこで本研究では、乾式再処理試験で使用した塩廃棄物を安定に保管・管理する方法を検討するため、現状の塩廃棄物の保管・管理方法について調査した。溶融塩電解試験に使用した塩廃棄物を保管している研究機関に対する調査から、塩廃棄物は、ポリエチレン製ビニールで二重に包み、ビニールの口をビニールテープで封止して密封に近い状態にしたものをゴムパッキン付のドラム缶に装荷して保管していることがわかった。一方、模擬塩廃棄物を用いた保管試験から、温度および湿度は特にコントロールせず、外気とほぼ同じ状態にしても、多重シール性が確保できれば、塩廃棄物の長期保管ができる可能性のあることがわかった。なお、塩廃棄物が水分と接触すると吸湿し液体となる可能性があることを考慮し、あらかじめ高分子吸湿材を入れておくことが重要である。

報告書

酸化ウランのLi還元試験に関する研究

藤田 玲子*; 八幡 秀胤*; 近藤 成仁*; 宇都宮 一博*

JNC TJ8400 2000-066, 45 Pages, 2000/03

JNC-TJ8400-2000-066.pdf:3.8MB

乾式再処理技術は、より経済性の高い再処理技術の候補技術として有望である。乾式再処理技術のうち、米国アルゴンヌ国立研究所で先行して研究開発が行われている金属燃料リサイクル技術を我が国が進めている酸化物燃料リサイクルに適用するためには、酸化物燃料を金属に還元する必要がある。そこで本研究では、乾式再処理で用いられる前処理法としてボロキシデーションを想定し、還元材として金属リチウム(Li)を用いた酸化ウラン(U$$_{3}$$O$$_{8}$$)の還元条件に係わる調査を行い、その調査結果に基づき還元試験を行った。還元条件に関する調査に基づき還元試験を実施した。その結果、1)溶融塩中の酸化リチウム濃度の時間変化から、本試験条件では酸化物の全量還元に必要な時間は4時間程度と推測されること、2)溶融塩中からの生成物の回収用のSUS304製メッシュが破損していたことから、より酸化の進んだ燃料では還元時の反応熱が大きいと予想されること、3)還元生成物中の金属ウラン量から評価される還元率が60%程度と低いことから、分析の前処理段階で金属ウランが酸化されている可能性があることが明らかとなった。今後、溶融塩中で反応熱による高温にも耐えられる材料や還元生成物中の金属ウランの定量方法等を検討することが重要である。

報告書

MA及びFP装荷型Pu燃焼炉心特性解析および物性調査

山岡 光明*; 藤田 玲子*

PNC TJ9164 97-002, 105 Pages, 1997/03

PNC-TJ9164-97-002.pdf:2.34MB

先進的な高速炉利用技術の検討の一環として、高速炉によるアクチニド核種及びFPの消滅技術の検討に関する炉心特性解析および調査を行った。炉心特性解析では、60万KWePu燃焼炉心(約40%高Pu富化度MOX燃料)をベースにして、マイナーアクチニド、FPをも消滅可能な高速炉の検討を行った。大幅な炉心仕様の変更が必要ないこと、ナトリウムボイド反応度が小さいこと等の条件のもとに、炉心仕様を選定した。選定した炉心では、アクチニドとFPを次のように装荷する。・炉心部;Pu/Np装荷(酸化物燃料、Pu富化度約40%)、・炉心周囲(炉心の外側)、第1層; Am/Cm/希土類元素をZrH1.7と混合装荷 第2層; Tc-99をZrH1.7と混合装荷本炉心では、運転サイクル5カ月、取り出し平均燃焼度8万MWd/tである。また、Pu/マイナーアクチニド、FPの消滅特性は下記である。(1)Pu燃焼率; 約390kg/年(74kg/TWhe)、(2)マイナーアクチニド消滅率; 約4.2%/年(43kg/年)、(3)Tc-99消滅率; 約3.7%/年(6.5kg/年)この概念では、従来炉心に比べてナトリウムボイド反応度を大幅に小さくできることがわかった。(約0.1%$$Delta$$k/kk'(約40セント))これは本炉心概念の大きな利点である。また、Pu/マイナーアクチニド燃焼燃料、FP消滅用ターゲット材の研究状況を調査・整理した。さらに、FP消滅のためのターゲット材の物性を調査し、基本的な物性をまとめるとともに、ターゲットの減速材との共存性を評価した。

報告書

閾値反応を利用したナトリウムボイド反応度低減炉心及びドップラー反応度改善炉心に関する解析

横山 次男*; 川島 正俊*; 川合 将義*; 山岡 光明*; 藤田 玲子*

PNC TJ9164 96-008, 189 Pages, 1996/12

PNC-TJ9164-96-008.pdf:4.08MB

高速炉では、MAのリサイクルに伴ってナトリウムボイド反応度及び冷却材温度反応度が大きくなり、また、ドップラー係数も小さくなる傾向がある。安全上これらの反応度を改善することが重要である。本解析作業では、ナトリウムボイド時に増加する高エネルギー中性子に対して、大きな中性子吸収反応を生じる核種を混在させた炉心を解析することにより、炉心性能を大きく低下せずにナトリウムボイド反応度を低減できる核種についてそのボイド低減効果を調べた。また、ドップラー係数の改善方法として高次Puの利用及び共鳴物質の利用が考えられ、パラメータサーベイによりその効果を調べた。閾値反応を利用したナトリウムボイド反応度低減炉心の解析では、中性子スペクトル変化の影響調査として炉心部へのMA装荷の有無及び炉心サイズをパラメータとして炉心部中性子スペクトルを解析し、ボイド反応度上重要なエネルギー領域を同定した。次にボイド反応度低減のための候補核種として、上記の重要なエネルギー領域以上で閾値反応による中性子吸収断面積の増大する核種を調査した。更に上記スペクトル場において、ボイド反応度低減効果を吸収核種装荷量と種類をパラメータとして解析した。その結果、候補として摘出された酸素17を用いた大型酸化物燃料炉心のボイド反応度は天然酸素による炉心のボイド反応度の約1/2以下となることが分かった。ドップラー反応度改善炉心の解析では、PuN燃料をベースとして、高次Pu及び共鳴吸収物質を装荷した場合のドップラー係数改善効果について解析した。また、不活性母材候補材料について、その適合性、炉心特性解析に必要な物性値を調査し、それらの材料を用いた燃料材の物性値等について予備調査を行なった。その結果、構造材核種を金属形態で装荷する事でドップラー係数等の特性を改善できることが分かった。

報告書

ウラン不使用型高速炉の特性解析(II)

山岡 光明*; 飯田 正明*; 川島 正俊*; 藤田 玲子*

PNC TJ9164 95-009, 231 Pages, 1995/03

PNC-TJ9164-95-009.pdf:4.59MB

高速炉によるプルトニウム燃焼特性を向上させるためには、プルトニウム燃料の母材としてウラン以外の物質を使用することが有効と考えられる。平成5年度には、このウラン不使用型高速炉について、従来MOX炉との比較を中心に炉心特性、安全特性の観点から検討し、その特徴を明らかにした。本年度は、熱出カ1600MW・炉心径4m以下の条件で、炉心寸法・配置を検討し、本炉心概念の特徴である低Naポイド反応度を生かしつつ、固定吸収体なしで速転サイクル長期化・燃焼度増大が可能な炉心仕様の真体化をはかった。また、マイナーアクチニド添加効果、二酸化ウラン添加効果、吸収体非均質装荷などの影響度評価を行うとともに、安全解析を実施した。燃料形態としては、乎成5年度の結果をもとに、炉心特性およぴ燃料物性の観点から、アルミナおよびベリリアを母材とするプルトニウム酸化物燃料を考えた。物性値評価においては、二酸化プルトニウム、アルミナ、ベリリア各単体の物性データもとに、その混合物の熱伝導度、密度、融点を温度依存性も含め定量的に推定評価した。この結果は、安全解析へ反映した。炉心核熱特性検討の結果、制御棒本数・配置を適切に選定することにより、固定吸収体なしで運転サイクル9か月が可能なことがわかった。主な特性は母材がアルミナの場合、Pu燃焼度40%、Pu fissile減少卒59%、量大線出カ320W/cm、Naボイド反応度-1ドル(全炉心ボイド)である。母材がヘベリアのの場合もほぼ同様な特性である。出カ変動は従来炉より大きいが、冷却材出人口温度を510/390$$^{circ}C$$と設定することにより被覆管最高温度制限を満足できる。燃料へのマイナーアクチニド添加、ウラン添加、炉内へのB4C非均質装荷は、燃焼欠損反応度が低減される点で有効であるが、反応度係徴への影響も大きいので、さらに安全特性への影響を勘案する必要がある。これら炉心の安全解析を行い、短時間挙動を比較用MOX炉心と比較した。ULOF解析結果より、本炉心概念では高い燃料熱伝導度に起困する低い熱料温度と低いNaポイド反応度によって、炉心応答が従来型炉より緩和されることがわかった。一方、UT0P解析結果からは、ドップラー係数が小さいため、やや従来炉より応答が大きく、従来炉と同等以上の設計対策が必要である。

口頭

Uranium recovery from metallic waste by pyro-chemical process

藤田 玲子*; 天本 一平; 寺井 隆幸*

no journal, , 

溶融塩電解法は、さまざまな分野での利用が期待されている技術であり、例えば、乾式再処理プロセスにおける分離精製工程にも用いられている。本報告では、原子力工業における溶融塩電解法適用の例として、金属汚染物及び使用済みケミカルトラップ充填材の除染について、これまでの基礎試験結果を中心に議論することにより、その有効性や将来展望を述べている。

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