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渡辺 力*; 石川 修平*; 川島 正行*; 下山 宏*; 小野寺 直幸; 長谷川 雄太; 稲垣 厚至*
Journal of Wind Engineering and Industrial Aerodynamics, 250, p.105783_1 - 105783_17, 2024/07
ラグランジュ粒子分散モデルとラージ・エディ・シミュレーション(LES)コードを組み合わせた漂流雪のシミュレーションを実施した。このモデルは、質量輸送率の流速依存性や粒径分布の変動といった観測された特徴を正確に再現した。また、従来の推定に反して、跳躍層の高さは流速とともに単調に増加することを示した。さらに、推定された跳躍層の高さ付近で跳躍から浮遊への移行が確認され、密な雪の流れが表面近傍流の小規模な低速ストリークと関連していることがわかった。
長谷川 雄太; 井戸村 泰宏; 小野寺 直幸
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 29, 4 Pages, 2024/06
局所アンサンブル変換カルマンフィルタおよび細分化格子ボルツマン法(LBM-LETKF)による乱流のアンサンブルデータ同化を実装した。検証として、3次元角柱周りの乱流に対するデータ同化の精度を調べた。観測間隔をカルマン渦列の周期の半分、観測点数を計算格子点の0.195%とした条件において、データ同化誤差は観測ノイズと同等以下に収まった。これにより、LBM-LETKFが空間的・時間的に疎な観測に対するデータ同化を可能にすることが示された。
河村 拓馬; 長谷川 雄太; 井戸村 泰宏
Journal of Visualization, 27(1), p.89 - 107, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Computer Science, Interdisciplinary Applications)対話的なIn-Situステアリングは、大規模で高速なCFDシミュレーションにおけるデバッグ、最適解の探索、逆問題の解析に有効なツールである。我々は、GPUスーパーコンピュータ上での大規模CFDシミュレーションのための対話的なIn-Situステアリングフレームワークを提案する。このフレームワークは、In-Situ Particle-based Volume Rendering (PBVR)、In-Situデータサンプリング、ファイルベース制御を採用し、スーパーコンピュータとユーザーPC間でステアリングパラメータ、圧縮された粒子データ、サンプリングしたモニタリングデータを対話的に通信できる。そして並列化されたPBVRは、GPU上のCFDシミュレーションとの干渉を避けるため、ホストCPUで処理される。提案フレームワークを、GPUスーパーコンピュータ上の実時間プルーム拡散解析コードCityLBMに適用した。数値実験では、モニタリング地点の観測データから汚染物質の発生源を見つける逆問題に取り組み、in-situステアリングフレームワークによるヒューマンインザループの有効性を実証した。
長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 伊奈 拓也; 今村 俊幸*; 井戸村 泰宏
Fluid Dynamics Research, 55(6), p.065501_1 - 065501_25, 2023/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Mechanics)格子ボルツマン法(LBM)に基づくラージエディーシミュレーション(LES)に対するデータ同化の適用性を調査した。2次元等方乱流の観測システムシミュレーション実験を行い、空間的に疎かつノイズを含む観測を用いてナッジング法及び局所アンサンブル変換カルマンフィルタによるデータ同化の精度を検証した。LETKFの利点として、ナッジングで必要となる空間補間及び巨視的量(流体密度及び流速)からLBMの速度分布関数への変換を必要としないことが挙げられる。計算条件として格子及び10%の流速観測ノイズを設定した実験では、64アンサンブルのLETKFはの観測点(計算格子点数に対して0.1%程度)でも観測ノイズよりも小さい誤差を示した。これは、ナッジングで同様の精度を示すのに1桁程度多くの観測点数を要する精度である。さらに、LETKFでは観測点数の不足はエネルギースペクトルの振幅には影響せず、スペクトルの位相誤差のみに影響することが確認された。以上の結果により、LETKFは、空間的に疎かつノイズを含む観測を用いた2次元のLBM計算のデータ同化に対してロバストかつ高精度であることが示された。
荒木 祥平; 郡司 智; 新垣 優; 村上 貴彦; 吉川 智輝; 長谷川 健太; 多田 裕太; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 4th Reactor Physics Asia Conference (RPHA2023) (Internet), 4 Pages, 2023/10
STACY更新炉における熱出力校正試験に向けて、放射化箔を用いた積算出力の評価方法の妥当性を検証するため、溶液系STACYで測定された放射化実験データを用いて、積算出力を評価した。放射化法による評価結果と溶液系STACYにおいて出力評価に用いられていた核分裂生成物の測定による評価結果とを比較し両者がよく一致することを確認した。
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 長谷川 雄太; 朝比 祐一; 稲垣 厚至*; 下瀬 健一*; 平野 洪賓*
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 28, 4 Pages, 2023/05
我々の研究グループでは、都市全域を含む広域の風況場から細かな路地等を捉えたマルチスケールの風況シミュレーションコードCityLBMの開発を進めている。CityLBMは、格子ボルツマン法に適合細分化格子を適用した省メモリ化、および、GPUスーパーコンピュータによる高性能計算により、数km四方に対してリアルタイムのアンサンブルシミュレーションが可能となる。一方、実現象には、モデル化できない複雑な境界条件が含まれているため、観測データをシミュレーションに反映させるためのデータ同化技術が必要である。本研究では、現実の風況を再現するために、アンサンブルカルマンフィルターに基づく地表面温度バイアスの最適化手法を提案した。CityLBMの検証として、東京都心部を対象とした観測システムシミュレーション実験を実施し、地表面近傍の温度から、境界条件として与えている地表面温度を推定する。
長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 井戸村 泰宏
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 28, 5 Pages, 2023/05
格子ボルツマン法と局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LBM-LETKF)を用いた二次元等方乱流のデータ同化を実装した。計算条件として、格子点数を256、観測点数を256またはそれよりも粗い解像度、速度の観測値に印加するノイズを系の速度のRMSに対して10%、アンサンブル数を4、16または64に設定し、データ同化実験をおこなった。データ同化実験の結果、LETKFの精度は、観測点が密な場合と疎な場合のいずれも、ナッジング法よりも優れていることが示された。LETKFは、観測点が不足している場合に数値的に不安定になるが、このような不安定性はアンサンブル数を増やすことで抑制できた。64アンサンブル、88の疎な観測の条件においては、LBM-LETKFの速度の二乗平均平方根誤差(RMSE)は観測ノイズのRMSよりも小さく、その精度はナッジング法でより多くの観測点(3232)を用いた場合と同等であった。以上により、LETKFは、アンサンブル数が十分大きければ、高精度かつロバストであり、したがって、LBMを用いた乱流のデータ同化に適していることが示された。
朝比 祐一; 小野寺 直幸; 長谷川 雄太; 下川辺 隆史*; 芝 隼人*; 井戸村 泰宏
Boundary-Layer Meteorology, 186(3), p.659 - 692, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Meteorology & Atmospheric Sciences)定点観測された風向などの時系列データおよび汚染物質放出点を入力として、汚染物質の地表面拡散分布を予測する機械学習モデルを開発した。問題設定としては、一様風が都市部へ流入し、都市部内にランダムに設置された汚染物質放出点から汚染物質が拡散するという状況を扱っている。機械学習モデルとしては、汚染物質放出点から汚染物質の拡散分布を予測するCNNモデルを用いた。風向などの時系列データは、Transformerや多層パーセプトロンによってEncodeし、CNNへと引き渡す。これによって、現実的に取得可能な定点測時系列データのみを入力とし、実用上価値の高い汚染物質の地表面拡散分布の予測を可能とした。同一のモデルを用いて定点観測時系列データから汚染物質放出点の予測が可能であることも示した。
宮澤 健; 菊池 裕太*; 安堂 正己*; Yu, J.-H.*; 藪内 聖皓*; 野澤 貴史*; 谷川 博康*; 野上 修平*; 長谷川 晃*
Journal of Nuclear Materials, 575, p.154239_1 - 154239_11, 2023/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Materials Science, Multidisciplinary)This study examined the effects of alloying elements such as Re and Ta on the microstructural evolution of recrystallized W under proton and self-ion irradiations at 800C. Although the number density of voids increased with increasing proton-induced damage level, the void density in W-Re and W-Ta alloys were lower than that of pure W. Herein, the addition of Re and Ta to W suppresses the void formation process. In the proton-irradiated W-3%Re, a lot of dislocation loops were observed at 0.05 dpa which is the stage of nucleation. The evolution process up to 0.2 dpa was characterized by loop growth via the absorption of clusters and point defects. The dislocation loops then coalesce and grow large, and the dislocation lines become tangled at 1 dpa. At 0.05 dpa, the dislocation loops in pure W have already evolved into the tangled dislocations. Solute Re may inhibit the mobility of small dislocation loops and SIA clusters. In W-3%Ta irradiated at 0.05 and 0.2 dpa, the coalescence process of the elongated dislocation loops was observed. Solute Ta may inhibit the mobility of SIA clusters. Although no voids and rafts were observed in self-ion irradiated W-3%Re to 0.2 dpa, not only dislocation loops but also voids and rafts were observed in pure W to 0.2 dpa. The solute Re would suppress the raft formation and then the void formation under self-ion irradiation.
山本 直生*; 松村 大樹; 萩原 悠人*; 田中 啓偉*; 長谷川 優太*; 石井 賢司*; 田中 裕久*
Journal of Power Sources, 557, p.232508_1 - 232508_10, 2023/02
被引用回数:2 パーセンタイル:25.30(Chemistry, Physical)Oxygen Reduction Reaction (ORR) is one of the key electrochemical reactions, especially in Polymer Electrolyte Fuel Cells (PEFCs). In this work, the reaction pathway and intermediate species such as molecular-type oxygen during ORR were discussed. High energy resolution X-ray absorption fine structure spectra at the Pt L-edge were obtained to observe the electronic structure of Pt catalyst. Carbon-supported Pt nanoparticles as powder catalysts were used for measurement as more realistic conditions, and the species adsorbed on the Pt nanoparticles were analyzed while controlling under the potentials in acidic electrolyte solution with N or O gas bubbling. Molecular-type oxygen adsorption species is observed only in the O-bubbled electrolyte solution. This intermediate adsorption species is assigned to a hydrogen superoxide.
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 長谷川 雄太; 中山 浩成
第36回数値流体力学シンポジウム講演論文集(インターネット), 3 Pages, 2022/12
高解像度の風況解析は、スマートシティ設計に活用できるなど非常に重要である。都市部は高層ビルが密集した複雑な形状をしており、それらにより風の流れが乱流状態となるため、都市街区全域から細かな路地までを捉えた大規模計算が必要である。それらの課題に対して、本研究グループは、メソスケール気象データを境界条件として利用したマルチスケールの汚染物質拡散手法CityLBMコードの開発を進めている。CityLBMは、計算領域周辺の境界条件をメソスケール気象データに同化させるナッジング法を導入することで、現実の風況を反映した解析が可能である。しかしながら、従来のナッジング法では、ナッジング係数が一定のため、大気状態が変化するような長時間解析の乱流強度を再現できない問題点が挙げられる。本研究では、アンサンブルカルマンフィルタを用いた動的なナッジング・パラメータの最適化手法を提案する。CityLBMの検証として、米国オクラホマシティの風況実験に対する解析を実施した。シミュレーションと観測のそれぞれで得られる乱流強度の誤差を低減するようにナッジング係数を更新した結果、一定のナッジング係数の結果と比較して10%ほど予測精度を向上することを確認した。
長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 井戸村 泰宏
第36回数値流体力学シンポジウム講演論文集(インターネット), 5 Pages, 2022/12
格子ボルツマン法と局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LBM-LETKF)による乱流のアンサンブルデータ同化をGPUに実装し、精度の検証を行なった。32GPUを用いて、格子点数2.3、アンサンブル数32の条件で、3次元角柱周りの流れ対してデータ同化実験を実施した。本実験におけるデータ同化の時間間隔は、カルマン渦周期の半分に設定した。精度として、揚力係数の誤差(normalized mean absolute error; NMAE)を測定したところ、データ同化なし、ナッジング法(より単純なデータ同化手法)による同化、およびLETKFのそれぞれにおいて、誤差は132%, 148%、および13.2%であった。これにより、観測頻度が低い本計算条件においては、ナッジング法のような簡易な手法では解に系統的な遅れが現れてデータ同化の精度を保つことができない一方で、LETKFでは良好なデータ同化精度を示すことが確認できた。
中山 浩成; 小野寺 直幸; 佐藤 大樹; 永井 晴康; 長谷川 雄太; 井戸村 泰宏
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(10), p.1314 - 1329, 2022/10
被引用回数:5 パーセンタイル:81.82(Nuclear Science & Technology)放射性物質の大気放出に対して、放出点から数km以内の局所域スケールでの放射性物質の複雑な大気濃度分布及び沈着分布を計算するとともに、それらからの放射線について建物による遮蔽効果を考慮して詳細に線量評価が行える解析システム(LHADDAS)を開発した。本システムは、個々の建物の影響を考慮して詳細に拡散計算が行える局所域高分解能大気拡散計算コード(LOHDIM-LES)、都市域に対して迅速に拡散計算が行えるリアルタイム都市大気拡散計算コード(CityLBM)、建物の遮蔽効果を考慮した3次元体系で放射線の挙動を迅速に計算できる線量評価コード(SIBYL)及び計算に必要となるデータベースと入力作成プログラムから構成されている。本解析システムは、原子力施設の安全審査における風洞実験に代わる現実的な評価手法、原子力事故時の施設内外作業員の被ばく線量評価、都市域での放射性物質拡散テロに対する汚染状況把握と被ばく線量評価など、幅広い活用が期待できる。
長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 井戸村 泰宏
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 27, 4 Pages, 2022/06
局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)および格子ボルツマン法(LBM)を用いたアンサンブルデータ同化のGPU実装を行った。D2Q9 LBMによる二次元等方性乱流を対象として、最大32アンサンブルで性能測定を行った。LETKFの計算コストは、8アンサンブルまででLBMと同程度であり、それ以上の大アンサンブル数においてはLBMよりも高くなった。32アンサンブルにおいて、1同化サイクルあたりの所要時間はLBMで5.39ms、LETKFで28.3msであった。これらの結果から、3次元LBMの実用計算に本手法を適用するためにはLETKFの更なる高速化が必要であることが示唆される。
朝比 祐一; 小野寺 直幸; 長谷川 雄太; 下川辺 隆史*; 芝 隼人*; 井戸村 泰宏
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 27, 5 Pages, 2022/06
都市風況解析コードCityLBMをAMD社のMI100 GPUへと移植し、CityLBMの性能をNVIDIA P100, V100, A100およびAMD MI100において測定した。ホスト間でのMPI通信を利用した場合、CityLBMの性能はMI100においてV100と比べ20%程度向上した。適合細分化格子法に起因する補間カーネルを除く演算カーネルでは、MI100においてV100と比べ性能向上を確認した。
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 長谷川 雄太; 下川辺 隆史*; 青木 尊之*
計算工学講演会論文集(CD-ROM), 27, 4 Pages, 2022/06
我々の研究グループでは、風況デジタルツインの実現に向けて、風況解析コードCityLBMを開発している。CityLBMは、計算領域周辺の境界条件をメソスケール気象データに同化させるナッジング法を導入することで、現実の風況を反映した解析が可能である。しかしながら、従来のナッジング法では、ナッジング係数が一定のため、大気状態が変化するような長時間解析の乱流強度を再現できない問題点が挙げられる。そこで、本研究では、パーティクルフィルタを用いた動的なナッジング・パラメータの最適化手法を提案する。CityLBMの検証として、米国オクラホマシティの風況実験に対する解析を実施した。シミュレーションと観測のそれぞれで得られる乱流強度の誤差を低減するようにナッジング係数を更新した結果、シミュレーションにおいて終日の大気境界層を再現できることを確認した。
長谷川 雄太; 今村 俊幸*; 伊奈 拓也; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 井戸村 泰宏
Proceedings of 13th Workshop on Latest Advances in Scalable Algorithms for Large-Scale Heterogeneous Systems (ScalAH22) (Internet), p.10 - 17, 2022/00
格子ボルツマン法(LBM)に基づく数値流体力学シミュレーションおよび局所アンサンブル変換カルマンフィルタ(LETKF)によるアンサンブルデータ同化をNVIDIA A100 GPU搭載スパコンに対して実装し、および最適化した。LBMとLETKFの協働のため、データ転置通信を実装し、LETKFのデータ依存性に基づいて計算,ファイルI/O、および通信のオーバーラップにより通信を最適化した。2次元等方乱流,アンサンブル数,格子点数の条件において、通信を最適化した実装は、LETKFを並列化しない単純な実装に対して3.85倍の高速化を達成した。LETKFの主要な計算カーネルはの実対称密行列の固有値分解であり、その計算のため、バッチ形式固有値分解ソルバEigenGを新たに開発した。EigenGによるバッチ形式固有値分解は、既存ライブラリであるcuSolverに対して64倍の高速化を達成した。
長谷川 雄太; 小野寺 直幸; 朝比 祐一; 井戸村 泰宏
第35回数値流体力学シンポジウム講演論文集(インターネット), 3 Pages, 2021/12
われわれは、実時間都市風況解析コードCityLBMの開発を行なっており、本稿では、Tesla A100 GPUを用いたCityLBMの性能測定結果を示す。ノード内(NVlink)とノード間(Infiniband)による階層的なネットワークアーキテクチャに対する通信の最適化のため、やのプロセスをブロック化してノード内複数GPUの計算領域を局所に集中させる、2次元領域分割のブロッキングを導入した。24億格子の大規模計算にて、強スケーリング測定を行った。その結果、80GPUから256GPUまでのスケーリングで2.81倍の高速化、および、領域分割のブロッキングによる1.15倍の高速化といった、良好なスケーリングと計算性能が得られた。これにより、水平方向5.7km四方・1m解像度の風況シミュレーションにおいて、実時間よりも1.32倍速い計算を達成した。
小野寺 直幸; 井戸村 泰宏; 長谷川 雄太; 中山 浩成
第35回数値流体力学シンポジウム講演論文集(インターネット), 3 Pages, 2021/12
高解像度の風況解析は、スマートシティ設計に活用できるなど非常に重要である。都市部は高層ビルが密集した複雑な形状をしており、それらにより風の流れが乱流状態となるため、都市街区全域から細かな路地までを捉えた大規模計算が必要である。本研究グループでは、GPUおよび適合細分化格子(AMR)法を用いた格子ボルツマン法(LBM)に基づく解析手法CityLBMを開発している。現実の風況を再現するためにメソスケール気象予測モデルの風況および地表面温度が境界条件として必要となる。本研究では、それらの境界条件の高度化として、Monin-Obukhov相似則に基づく熱流束を求める物理モデルを導入した。物理モデルの検証として、米国オクラホマシティの野外観測実験に対して解析を実施し、観測値を良く再現できていることを確認した。
長谷川 雄太; 青木 尊之*; 小林 宏充*; 井戸村 泰宏; 小野寺 直幸
Parallel Computing, 108, p.102851_1 - 102851_12, 2021/12
被引用回数:3 パーセンタイル:41.82(Computer Science, Theory & Methods)GPUスーパコンピュータに対して格子ボルツマン法(LBM: lattice Botltzmann method)およびforest-of-octreesに基づくブロック構造型の局所細分化格子(LMR: local mesh refinement)を用いた空力解析コードを実装し、その性能を評価した。性能評価の結果、従来の空間充填曲線(SFC; space-filling curve)に基づく領域分割アルゴリズムでは、本空力解析において袖領域通信のコストが過大となることがわかった。領域分割の改善手法として本稿では挿し木法を提案し、領域分割の局所性とトポロジーを改善し、従来のSFCに基づく手法に比べて通信コストを1/31/4に削減した。強スケーリング測定では、最大で1.82倍の高速化を示し、128GPUで2207MLUPS(mega-lattice update per second)の性能を達成した。弱スケーリング測定では、8128GPUで93.4%の並列化効率を示し、最大規模の128GPU計算では44.73億格子点を用いて9620MLUPSの性能を達成した。