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小山 真一; 池内 宏知; 三次 岳志; 前田 宏治; 佐々木 新治; 大西 貴士; Tsai, T.-H.; 高野 公秀; 深谷 洋行; 中村 聡志; et al.
廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ホームページ(インターネット), 216 Pages, 2023/11
令和3年度及び4年度に原子力機構が補助事業者となって実施した令和3年度開始「廃炉・汚染水対策事業費補助金に係る補助事業(燃料デブリの性状把握のための分析・推定技術の開発(燃料デブリの分析精度向上、熱挙動の推定及び簡易分析のための技術開発))」の成果概要を最終報告として取りまとめた。本報告資料は、廃炉・汚染水・処理水対策事業事務局ウェブサイトにて公開される。
徳永 翔; 堀口 洋徳; 中村 剛実
JAEA-Technology 2023-001, 37 Pages, 2023/05
研究用原子炉JRR-3の冷中性子源装置(Cold Neutron Source: CNS)は、原子炉内で発生した熱中性子を減速材容器内に貯留した液体水素により減速し、エネルギーの低い冷中性子に変換する装置である。CNSから発生した冷中性子は、中性子導管を用いて実験装置に輸送され、生命科学、高分子科学、環境科学等を中心とする多くの物性研究に利用されている。中性子科学における世界の研究用原子炉との競争力を維持するためには、冷中性子強度の改善は不可欠であり、新たな知見を取り入れた新型CNSの開発を進めている。現行のJRR-3のCNSの減速材容器は、水筒型のステンレス製容器を採用しており、材質及び形状の変更により冷中性子束の強度を向上させることが可能である。そのため、新型減速材容器の基本仕様は、材質を中性子吸収断面積の小さいアルミニウム合金に変更し、さらに、モンテカルロ計算コードMCNPを用いて最適化した容器形状に変更した。これらの仕様変更に伴い、発熱や伝熱の条件に変更が生じることから、熱流力設計上の成立性を確認するため、JRR-3のCNSについて自己平衡性、熱輸送限界及び耐熱・耐圧等について改めて評価を行った。本報告書は、新型減速材容器に関わる熱流力設計上の評価を実施し、その結果を纏めたものである。
与能本 泰介; 中島 宏*; 曽野 浩樹; 岸本 克己; 井澤 一彦; 木名瀬 政美; 長 明彦; 小川 和彦; 堀口 洋徳; 猪井 宏幸; et al.
JAEA-Review 2020-056, 51 Pages, 2021/03
「グレーデッドアプローチに基づく合理的な安全確保検討グループ」は、原子力科学研究部門、安全・核セキュリティ統括部、原子力施設管理部署、安全研究・防災支援部門の関係者約10名で構成され、機構の施設管理や規制対応に関する効果的なグレーデッドアプローチ(安全上の重要度に基づく方法)の実現を目的としたグループである。本グループは、2019年の9月に活動を開始し、以降、2020年9月末までに、10回の会合を開催するとともに、メール等も利用し議論を行ってきた。会合では、グレーデッドアプローチの基本的考え方、各施設での新規制基準等への対応状況、新検査制度等についての議論を行なうとともに、各施設での独自の検討内容の共有等を行っている。本活動状況報告書は、本活動の内容を広く機構内外で共有することにより、原子力施設におけるグレーデッドアプローチに基づく合理的で効果的な安全管理の促進に役立つことを期待し取りまとめるものである。
堀口 洋徳*; 佐藤 達彦; 熊田 博明*; 山本 哲哉*; 榮 武二*
Journal of Radiation Research, 56(2), p.382 - 390, 2015/03
被引用回数:28 パーセンタイル:75.31(Biology)ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の治療計画のためには、ホウ素の中性子捕獲反応により生成する粒子やLi原子核に対する細胞生存率の生物学的効果比(RBE)を評価する必要がある。しかし、BNCTによる線量は、粒子やLi原子核のみならず、窒素の中性子捕獲反応により生成する0.54MeVの陽子、水素と中性子の弾性散乱で生成する連続エネルギースペクトルを持つ陽子、水素の中性子捕獲反応で生成する線とその2次電子など、多様な放射線により構成される。そこで、これらすべての放射線照射に対する細胞生存率のRBEを統一のモデルで評価するため、PHITSとMKモデルを組合せた新たなBNCT用RBE評価モデルを構築した。構築したモデルは、試験管及び水ファントム内で照射したホウ素含有及び非含有細胞の生存率をよく再現可能であり、BNCTの生物学的線量評価の高度化に有用となることがわかった。
中村 剛実; 堀口 洋徳; 柳衛 宏宣*; 新居 昌至
JAEA-Technology 2014-016, 61 Pages, 2014/06
研究炉加速器管理部では、乳がんに対するBNCTの適用拡大に向けた照射技術の開発を第2期中期計画で実施している。本報告書は、JRR-4の医療照射設備において乳がん照射を実施する上での課題を解決するための技術開発についてまとめたものである。本報告書では、乳がんコリメータの設計解析、臨床モデルによる線量評価解析、深部線量増強のための検討、乳がん照射の固定方法の検討について実施した。評価結果より、開発した乳がん照射技術がJRR-4のBNCT照射場での乳がん照射において十分適用可能であることを確認した。ここで得られた知見は、他の研究用原子炉を用いたBNCTや将来の加速器を用いたBNCTにおいても有用である。
堀口 洋徳; 中村 剛実; 本橋 純; 樫村 隆則; 市村 茂樹; 笹島 文雄
JAEA-Technology 2012-003, 38 Pages, 2012/03
研究炉JRR-4では、悪性脳腫瘍や頭頸部癌等に対するホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究が実施されている。BNCTは、熱中性子と患者に投与されたホウ素(B)との核反応を利用した放射線治療法である。JRR-4では、反射体要素の不具合に伴い、全種類の反射体要素について設計仕様の変更が行われた。新たな反射体要素の製作においては、計算解析により中性子ビーム設備への影響を考慮した設計を行っている。反射体要素の据え付け終了後、中性子ビーム設備の性能についてフリービーム実験及び水ファントム実験による確認を実施した。得られた実験結果と本解析手法による結果を比較することにより、BNCTの治療計画に必要となる計算誤差を評価することができた。
熊田 博明*; 中村 剛実; 堀口 洋徳; 松村 明*
Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.414 - 417, 2010/10
In most of clinical studies of BNCT performed at JRR-4, dose given to a patient has been controlled in accordance with limitation of not brain dose in the body but skin dose. This is attributed to the high thermal neutron component of the epithermal neutron beam of JRR-4. The aim of this study is to enhance the therapeutic dose around tumor region by decreasing the thermal neutrons mixed in the beam. To reduce the thermal neutrons, we made a prototype of thermal neutron filter which can cut the thermal neutrons at just before patient. To verify the performance of the filter and the characteristics of the epithermal neutron beam with the filter, phantom irradiation experiments were carried out. And then the experimental values and Monte-Carlo calculations which had been performed to design the filter were compared. The verification results demonstrated that the application of the filter enabled to reduce the skin dose and to enhance the therapeutic dose at deeper region in a body. And the filter application also brings on extension of the irradiation time. We will perform further characteristic measurements for the filter in order to apply the filter to the clinical trials in practical use.
堀口 洋徳; 中村 剛実; 熊田 博明*; 柳衛 宏宣*; 鈴木 実*; 佐川 尚司
Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.234 - 237, 2010/10
研究用原子炉JRR-4を用いたホウ素中性子捕捉療法(BNCT)では、再発乳癌への適用が検討されている。再発乳癌に対する最適な中性子照射条件の検討を行うため、再発乳癌を模擬した人体モデルに対して線量評価システム(JCDS)を用いた評価を実施した。線量評価モデルは、乳房切除術を施した後に再発した症例を設定して、単門照射(正面方向)及び多門照射(接線方向)について評価を行った。評価結果から、熱中性子ビームを用いることにより、体表付近に発症する再発乳癌に対して効率よく線量を付与し、正常組織(肺,心臓,肝臓)においては、熱外ビームに比べ50%以上線量を低下できることが明らかになった。多門照射を用いた評価でも、生体内に入射した中性子が入射方向に依存しない等方散乱を起こすため、単門照射と同様な生体内の線量分布が得られた。これにより、本再発乳癌評価モデルに対するBNCTでは、他の放射線治療において正常組織の線量の制御に有効である接線方向からの照射ではなく、熱中性子ビームを用いた単門照射が有効であるとの結論に至った。今後も異なる評価モデル,評価パラメータを用いた検討を実施し、最適な照射条件について評価を実施していく。
中村 剛実; 堀口 洋徳; 岸 敏明; 本橋 純; 笹島 文雄; 熊田 博明*
Proceedings of 14th International Congress on Neutron Capture Therapy (ICNCT-14) (CD-ROM), p.379 - 382, 2010/10
ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)に利用されている研究用原子炉JRR-4は、黒鉛反射体損傷によるトラブルで2008年1月に原子炉が停止した。このため、新しい黒鉛反射体を製作(仕様:黒鉛の幅を薄くし、水のギャップを増加)し、炉心内に装荷してある従来の反射体をすべて新しい反射体と入れ換えた炉心で、JRR-4の運転を再開(2010年2月)した。このため、新しい黒鉛反射体でのJRR-4炉心におけるBNCT用中性子ビームの特性実験を行った。実験体系は、コリメータの前に水円筒ファントムを設置し、ファントム内に、裸金線,カドミウム入り金線、及びTLDを配置させることによって、熱中性子束分布及び線量分布を測定した。MCNPコードを用いた計算解析では、反射体変更前に対して、中性子エネルギースペクトルの有意な変化は見られなかったが、相対強度は約8%減少した。また、現在得られている実験結果も、計算解析結果と同じ傾向が見られた。実験及び計算解析との比較評価の詳細は、フルペーパーの中で報告を行う。
坂田 茉美; 八木 理公; 堀口 洋徳; 平根 伸彦
日本保全学会第6回学術講演会要旨集, p.275 - 278, 2009/08
JRR-4において、平成19年12月28日に、1体の反射体要素の溶接部に割れが確認された。このため、JRR-4では平成20年1月8日から予定していた運転を延期して、割れの原因調査を行った。割れの原因調査の進捗により、内蔵された黒鉛反射材が設計段階の予想を上回り膨張したことが、割れの主たる要因と推定されたため、割れの生じていない他の反射体要素について放射線透過試験を実施し、その結果を今後の反射体に関する保全に反映させることとした。本報告は、JRR-4反射体要素の割れ事象の原因調査と、今後の反射体要素における管理についてまとめたものである。
堀口 洋徳; 山本 和喜; 岸 敏明; 大竹 真一*; 熊田 博明*
JAEA-Research 2009-015, 38 Pages, 2009/07
研究炉JRR-4では、ホウ素中性子捕捉療法(BNCT)の臨床研究を行っている。その症例数は、悪性脳腫瘍だけでなく頭頸部癌や皮膚癌に対する適用の拡大により増加しており、1日に多数のBNCTを効率よく行うことが要求されている。BNCTは、患者に投与されたホウ素化合物中のホウ素(B)と熱中性子との捕獲反応を利用しており、患者に付与する線量を決定するためには、血液中のホウ素濃度の測定が重要となる。現在は、即発線分析(PGA)が血液中のホウ素濃度測定に用いられているが、原子炉を用いたPGAでは、1日に3回以上のBNCTに対応することができない。原子炉の運転に依存しない高精度な測定が必要であり、誘導結合プラズマ発光分光分析装置(ICP-AES)を用いた測定法の検討を行った。ICP-AESのホウ素標準試料にBSHを用いることにより、複雑な前処理を必要としない、安定した測定が可能となった。PGAを基準として求めた補正係数を用いることにより、目標精度である5%を満足した。これにより、1日に多数のBNCTに対応できる迅速な血液中のホウ素濃度測定法を確立した。
八木 理公; 堀口 洋徳; 横尾 健司; 大山 光樹; 楠 剛
JAEA-Technology 2008-072, 79 Pages, 2008/09
JRR-4において1体の反射体要素の溶接部に割れを確認した。調査の結果、反射体要素の割れの主たる要因は、要素内部の黒鉛反射材の膨張であり、膨張は高速中性子の低温照射によるものと考えられた。また、放射線透過試験の結果、割れを生じていない他の反射体要素についても黒鉛反射材が照射成長により膨張していることを確認した。JRR-4照射環境下における黒鉛IG-110の照射成長挙動を明確にするため、これまで使用してきた反射体要素を分解し、黒鉛反射材の外観観察及び寸法測定を行った。その結果、いずれの反射体要素においても黒鉛の寸法は高速中性子照射量の増大とともに大きくなることが確認できた。また、JRR-4環境下における照射成長係数(単位高速中性子照射量あたりの寸法変化率)は、高速中性子照射量2.510n/m以下において、最大7.1310%m/n,最低4.2110%m/n,平均5.7110%m/nであった。
横尾 健司; 堀口 洋徳; 八木 理公; 永冨 英記; 山本 和喜; 笹島 文雄; 大山 光樹; 石黒 裕大; 佐々木 勉; 平根 伸彦; et al.
JAEA-Technology 2007-018, 104 Pages, 2007/03
JRR-4(Japan Research Reactor No.4)では、旧原子炉研修所における研修の一環として、1969年から原子炉運転実習を開始した。その後徐々に内容を拡充し、現在では原子炉の運転実習,制御棒校正実験,各種特性測定等を実施している。今日に至るまで延べ1700名を超える国内外の原子力技術者養成に貢献してきた。JRR-4はゼロ出力から定格出力である3500kWまで多岐に渡る実験が可能であるため、臨界実験装置で行われる臨界近接,制御棒校正,反応度測定といったゼロ出力近傍での実験に限らず、キセノン効果,温度効果,熱量測定による出力校正といった高出力運転が必要な実験にも対応することができる。本書はJRR-4において実習に用いている要領書を基本に、運転実習及び原子炉物理実験のテキストとしてとりまとめたものである。
平根 伸彦; 石黒 裕大; 永冨 英記; 横尾 健司; 堀口 洋徳; 根本 工; 山本 和喜; 八木 理公; 新井 信義; 渡辺 終吉; et al.
JAEA-Technology 2006-028, 115 Pages, 2006/03
JRR-4は、高濃縮ウラン板状燃料を用いた軽水減速・冷却スイミングプール型の研究用原子炉として、1965年から1996年まで運転した。その後、燃料の低濃縮ウランシリサイド化に伴う改造工事を1996年から1998年までの2年間かけて行い、改造後には各種特性試験を実施した。その結果、過剰反応度,原子炉停止余裕及び最大反応度付加率等が、原子炉設置許可申請書の核的制限値を満足していること等から、低濃縮ウランシリサイド化を適切に実施したことを確認した。さらに、運転に必要な核的特性,熱流動特性及び運転制御特性等のデータを取得した。本報告書はこれらの特性試験の結果及び特性試験以降に実施した試験の結果について報告する。なお、JRR-4の低濃縮ウランシリサイド燃料炉心による初臨界は1998年7月14日に達成し、1998年10月6日より施設共用運転を実施している。
堀口 洋徳; 大山 光樹; 石黒 裕大; 平根 伸彦; 伊藤 和博; 亀山 巌
JAERI-Tech 2005-001, 38 Pages, 2005/02
JRR-4では、1992年に炭素鋼製からステンレス鋼製の熱交換器に更新した。その後、熱交換器の管理方法の検討を重ねてきた。その主なものが、熱交換器の洗浄技術である。旧熱交換器の冷却性能の回復には化学洗浄のみを行ってきたが、新たな方法として化学洗浄と乾燥洗浄を組合せた回復・維持を行っている。これは、伝熱管や配管への負担を軽減するとともに、コスト面にも大きな役割を果たしている。本書では、実績に基づく熱交換器の管理技術のまとめとして、JRR-4熱交換器の性能管理方法,洗浄方法及び冷却水の管理方法について報告する。
井口 晋太郎; 堀口 洋徳; 荒木 正明
no journal, ,
原子力規制委員会が定めた原子力災害対策指針では、防護措置の実施を判断する基準として、空間放射線量率や環境試料中の放射性物質の濃度等の原則計測可能な値で表される運用上の介入レベル(OIL)が設定されている。本発表では、JRR-3の設計基準事故のうち、炉心流路閉塞事故について燃料破損割合を保守的に変更した場合の線量評価を実施し、OIL1及びOIL2の防護措置の実施基準との比較を行った。評価事象とした炉心流路閉塞事故は、燃料要素の流路が閉塞した直後に損傷し、放射性物質が燃料から冷却系へ放出され、原子炉プール及び建家への移行を経て非常用排気設備から周辺環境へ放出される事故である。評価では、非常用排気設備の正常に作動した場合と作動せず地上放出をした場合を想定した。線量評価については、原子炉建家から大気中に放出された核種による線量率と原子炉建家内に浮遊する核種による線量率を評価した。評価点はJRR-3から原子力科学研究所敷地境界までの距離329m地点とした。その結果、事故直後においても線量率がOIL1の初期設定値を超えないことを確認した。また、事故後急速に線量率が低下し、6時間経過後にはOIL2の初期設定値を下回ることを確認した。
米田 政夫; 堀口 洋徳; 山本 和喜; 熊田 博明; 鈴木 実*
no journal, ,
肺癌に対する医療照射の基礎データを得るため、研究炉JRR-4において肺と等価物質を用いた実験を行い、肺内における中性子束分布及び線量を求めた。実験ではアクリル容器,水,肺と等価物質(タフラング)を用いて肺を模擬した。照射中性子のエネルギーとしては熱外エネルギーを用いた。実験体系と同じ体系についてMCNPを用いた計算を行った。それら実験及び計算結果をもとに肺癌に対するBNCTの解析モデルの理想化を図るための検討を行った。
中村 剛実; 堀口 洋徳; 佐川 尚司
no journal, ,
JRR-4のホウ素中性子捕捉療法の症例では、正常皮膚に対して医師が定めた線量を上限として照射時間が決定されることが多い。既存の計算モデルでは、空気及び皮膚の2領域があった場合、混合して均質化したボクセルを作成して3次元形状を構成するが、この手法では人体境界面近傍の線量を確度よく計算することは困難である。そこで、線形8分木モートン順序に基づくアルゴリズムを用いて混合ボクセルがない最適化したボクセルモデルの作成手法(線形8分木モデル)を考案した。本発表では、円筒水ファントムの境界面近傍の熱中性子束分布に関する実験と新たに考案したボクセルモデルによる計算解析の結果について検証を行った。円筒水ファントムの表面(中心軸から円周15mm離れた場所)における熱中性子束は、実験値を基準にすると、線形8分木モデルが約+2.9%、従来使用している混合2mmボクセルが約+5.8%の過大評価となった。したがって、線形8分木モデルでは、従来のモデルより表面近傍での確度が向上する傾向を示しており、皮膚線量を上限として照射時間を決定する症例では、従来よりも長く照射時間が取れるため、腫瘍細胞へ付与する線量の増加が期待できる。
永堀 和久; 田村 格良; 堀口 洋徳; 後藤 英昭; 関谷 祐二
no journal, ,
JRR-3は20MWの研究用原子炉で、主な利用用途として中性子ビーム実験があげられる。JRR-3では中性子ビーム実験を有効かつ効率的に行うため、JRR-3改造時に中性子導管を導入した。中性子導管は、熱中性子用2本、冷中性子用3本の計5本を原子炉建家に隣接するビームホールまで敷設することで、多くの実験装置が設置可能となり、原子力機構及び大学の研究者により多種多様な研究が行われている。JRR-3中性子導管は中性子ビームを効率よく、かつ、実験に必要となる特性波長が出るように高精度に設置されている。ごくわずかなズレでも、中性子ビームの強度低下につながるため、東日本大震災後における中性子導管の健全性を確認することが重要な課題であった。ここでは、JRR-3における中性子導管の健全性確認及び復旧作業の内容と、復旧作業後の中性子導管の現状について報告する。
堀口 洋徳; 中村 剛実; 熊田 博明*; 山本 哲哉*; 佐川 尚司
no journal, ,
研究用原子炉JRR-4では、悪性脳腫瘍等に対するホウ素中性子捕捉療法の臨床研究が行われている。JRR-4の熱外中性子ビームを用いた臨床では、皮膚に付与する線量を低減させて、腫瘍部に付与する線量を増加させることが理想的である。従来は、高速中性子を減速するために厚さ8cmの重水層を使用して熱外中性子成分の多い中性子ビームを供給していた。しかし、このビームでは、熱中性子割合が高く皮膚の線量割合が高くなってしまう。そこで、熱中性子を吸収するフィルタを利用した中性子スペクトルの改善について検討を行った。フィルタは、熱中性子を効果的に低減させるために50%濃縮リチウム(Li)を含有するフッ化リチウム(LiF)とテフロンからなる厚さ5mmの板材とした。フィルタを配置することでファントム表面の熱中性子束が低下し、ファントム表面から深部までの熱中性子束の減衰傾向が緩和された。さらに、深部の熱中性子束は増加を示した。しかし、フィルタを配置することで熱中性子束強度は低下する。これについては、照射時間の延長、又は重水厚さを5cmに最適化することで熱中性子束強度の低下を補うことができる。今後、フィルタの臨床研究への早期適用を目指す。