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西原 健司; 岩村 公道*; 秋江 拓志; 中野 佳洋; Van Rooijen, W.*; 島津 洋一郎*
Proceedings of 21st International Conference & Exhibition; Nuclear Fuel Cycle for a Low-Carbon Future (GLOBAL 2015) (USB Flash Drive), p.388 - 395, 2015/09
プルトニウムを資源として利用しない場合の、我が国におけるプルトニウムとマイナーアクチノイドの核変換技術の比較研究に取り組んだ。核変換技術は、核変換炉からの使用済燃料を再処理しないワンススルー核変換方式と、再処理を行う多数回核変換方式の2種類に大別することができる。本研究では、2種類の核変換方式に対して、核変換炉の必要基数、アクチノイド核種の物量減少、処分場への効果を諸量評価によって明らかにした。全体として、先進的な技術は核変換性能において優れていたが、その一方で必要な核変換基数は大きかった。
西原 健司; 秋江 拓志; 白数 訓子; 岩村 公道*
Journal of Nuclear Science and Technology, 51(2), p.150 - 165, 2014/02
被引用回数:4 パーセンタイル:30.65(Nuclear Science & Technology)プルトニウム(Pu)を燃焼するために岩石型(ROX)燃料を軽水炉で用いた場合のマスバランスを日本のフェーズアウトシナリオに対して研究した。解析のために、精度の良い燃焼計算、フレキシブルな炉心と燃料の組合せ、廃棄物と処分場の評価が可能なマテリアルバランス解析(NMB)コードを開発した。ワンススルー,混合酸化物(MOX)燃料,ROX燃料からなる3つのシナリオ群を解析した。2基のフルMOX、あるいはフルROX炉を建設することで、Pu量は半分程度にまで減少し、Pu同位体組成は特に自発核分裂生成中性子数において核物質としては劣化する。ROXの効果は量と組成においてMOXよりも顕著である。MOX及びROX使用済燃料の発熱と毒性はかなり高いため、処分場面積と潜在的な放射能毒性はMOXとROXによって減少しない。
山路 哲史; 滝塚 貴和; 鍋島 邦彦; 岩村 公道; 秋本 肇
Proceedings of 2009 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '09) (CD-ROM), p.9366_1 - 9366_8, 2009/05
本研究では、深宇宙探査機の推進用として、固体原子炉と熱電変換素子を組合せた発電システムの設計を行った。具体的には、以下の3種類のシステムについて、電気出力,放熱器質量、及びヒートパイプと熱電変換素子の作動温度範囲を評価した。3種類のシステムは、固体熱伝導のみで冷却するsolid thermal conduction (STC)システム,炉心表面をヒートパイプで冷却するcore surface cooling with heat-pipes (CSHP)システム,炉心内部を直接ヒートパイプで冷却するcore direct cooling with heat-pipes (CDHP)システムである。その結果、これらのシステムは、従来、宇宙での電力源として欠如していた電気出力1から100kWeの範囲を広くカバーできることが明らかになった。特に、ヒートパイプ及び熱電変換素子の使用温度範囲は広く、比較的に低温領域までカバーしている。これは、機器の選択範囲の拡大,新規開発要素の低減,信頼性の向上の観点から望ましいことであり、本概念の早期実現に有利である。
久語 輝彦; 秋江 拓志; 山路 哲史; 鍋島 邦彦; 岩村 公道; 秋本 肇
Proceedings of 2009 International Congress on Advances in Nuclear Power Plants (ICAPP '09) (CD-ROM), p.9371_1 - 9371_8, 2009/05
原子炉と熱電変換素子の組合せによる電力供給システムは、深宇宙探査機の推進用システムの有望な概念と考えられる。本システムでは核拡散抵抗性の観点から低濃縮ウラン燃料を使用することとし、低濃縮ウラン燃料炉心の臨界性を調査した。燃料として酸化物燃料,窒化物燃料及び金属燃料を、減速材として、ジルコニウムやイットリウムの金属水素化物,ベリリウム,ベリリウム化合物,黒鉛を対象とした。反射体として、ベリリウム,ベリリウム酸化物,ベリリウム化合物,黒鉛を考慮した。燃料,減速材及び構造材の割合及び反射体厚さを変えながら低濃縮ウラン燃料炉心の臨界性を調査した。原子炉重量の低減を目指すうえで、高速中性子スペクトルの炉心より熱中性子スペクトルの炉心が、また減速材としてベリリウムや黒鉛よりも金属水素化物が良好であるとわかった。窒化物燃料,イットリウム水素化物減速材及びベリリウム反射体を組合せた原子炉の重量は、約500kgとなった。
岩村 公道; 石川 信行; 大久保 努
Proceedings of 4th Asian Specialist Meeting on Future Small-Sized LWR Development, p.11_1 - 11_9, 2007/11
軽水炉技術に立脚し、将来の燃料サイクルの環境に柔軟に対応したプルトニウム有効利用を実現可能な革新的水冷却炉の概念を構築した。この概念の特徴は、現行軽水炉からの技術的ギャップの比較的小さい高転換型炉心から同一炉心構成、かつ、プラント構成の下で増殖型炉心への発展が可能なことである。本報では、革新的水冷却炉の炉心設計とその導入シナリオの検討結果について述べる。
岩村 公道; 大久保 努; 内川 貞夫
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycles and Systems (Global 2007) (CD-ROM), p.1718 - 1724, 2007/09
TRUリサイクルが可能な新型軽水炉概念FLWRの検討を進めている。これまでの設計研究により、その概念は十分に達成可能であると見込まれる結果が得られており、関連する重要な技術課題に関するR&Dの結果も含めてそのように判断できる状況である。将来において強固な原子力エネルギー供給システムを確立するためには、軽水炉技術と高速炉技術、すなわちFLWRとNa-FBRを適切に組合せて使用して行くことが望ましくまた現実的であると考えられる。本論文ではこのような適切な両方の炉の併用を提案している。
岩村 公道
Transactions of the American Nuclear Society, 96(1), p.743 - 744, 2007/06
将来の多様な社会ニーズに対応可能な高速増殖炉サイクルシステムを明確化することを目的として、実用化戦略調査研究を実施した。フェーズ2の結果として、ナトリウム冷却高速炉(酸化物燃料),先進湿式法再処理,簡素化ペレット法燃料製造の組合せが、最も有望な概念として選定された。2006年3月には、内閣府の総合科学技術会議により、高速増殖炉サイクル技術が国家基幹技術として選定された。その後、文部科学省及び経済産業省によってとりまとめられた原子力技術開発に関する報告書において、2025年までの実証炉の運転開始及び2050年より前の商業炉の導入がうたわれた。これらの目標を実現するため、高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)が開始された。このプロジェクトでは、概念設計研究と革新技術開発が2015年まで実施される予定である。
向 和夫; 佐賀山 豊; 近藤 悟; 岩村 公道; 杉山 俊英
原子力eye, 53(3), p.24 - 33, 2007/03
FBRサイクルの実用化戦略調査研究フェーズ2の国による評価が終了し、これから「FBRサイクル実用化研究開発」が始まる。革新的な技術の具体化と「もんじゅ」における開発成果を踏まえ、実用施設・実証施設の概念構築を中心に、原子力機構の主要プロジェクトとして集中的な研究開発が進められる。2010年には、その開発成果を評価し、高い確度を持った見通しで革新技術の採否を判断する予定である。また、FBRサイクルの研究開発に関し、グローバル原子力エネルギー・パートナーシップ構想,第4世代原子力システム国際フォーラム,革新的原子炉及び燃料サイクル国際プロジェクトなど、世界的な動向が活発化している。
内川 貞夫; 大久保 努; 久語 輝彦; 秋江 拓志; 竹田 練三*; 中野 佳洋; 大貫 晃; 岩村 公道
Journal of Nuclear Science and Technology, 44(3), p.277 - 284, 2007/03
被引用回数:29 パーセンタイル:86.47(Nuclear Science & Technology)軽水炉技術に立脚し、現行軽水炉燃料サイクルに適合したプルトニウム有効利用を実現し、将来的には同一炉心構成の下で増殖型への発展が可能な革新的水冷却炉概念(FLWR)を、低減速軽水炉概念を発展させて構築した。本論文では、軽水炉技術によるプルトニウム利用高度化の考え方,FLWRの基本構成と主要特性を報告する。
岩村 公道; 内川 貞夫; 大久保 努; 久語 輝彦; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 中塚 亨
Nuclear Engineering and Design, 236(14-16), p.1599 - 1605, 2006/08
被引用回数:20 パーセンタイル:78.69(Nuclear Science & Technology)成熟した軽水炉やきたるべきプルサーマルの技術に立脚して将来の持続的なエネルギー供給を可能とすることを目指し、革新的水冷却炉(FLWR)の概念検討を原子力機構で進めている。この概念は、時間的につながる2つの部分から構成されている。最初の部分は、高転換型炉心概念で、軽水炉やプルサーマルから技術的に大きなギャップ無しにスムーズな連続性を保つことを目的としている。2番目の部分は低減速軽水炉(RMWR)の炉心概念であり、軽水炉技術に基づいたプルトニウムの多重リサイクルによって長期的かつ持続的なエネルギー供給のために1.0を超える高い転換比の実現を目指すものである。ここで重要な点は、この2つの炉心概念は、整合性のある同じサイズの燃料集合体を利用する点であり、これにより、最初の概念が、60年程度と考えられている炉の運転期間中における将来の燃料サイクル環境に柔軟に対応しながら、同じ原子炉システム内で2番目の概念に進んでゆくことができる。FLWRのこれら2つの炉心概念について、概念設計,プルトニウムの多重リサイクル性の検討,稠密格子炉心での熱流動特性の検討等が進められており、これまでに有望な結果が得られている。
大久保 努; 内川 貞夫; 久語 輝彦; 秋江 拓志; 岩村 公道
Proceedings of 3rd Asian Specialist Meeting on Future Small-sized LWR Development, p.9_1 - 9_12, 2005/11
これまでに培われてきた軽水炉技術に立脚して、将来の持続的なエネルギー供給を確保するために、日本原子力研究開発機構では革新的水冷却炉(FLWR)概念の検討を進めてきた。本概念は、プルトニウムの多重リサイクルを2段階に分けて行うことにより、ウラン及びプルトニウム資源の有効かつ柔軟な利用を目指したものである。第1段階では、FLWR炉心は高転型炉心概念であり、軽水炉やプルサーマル利用から大きな技術的なギャップなしにスムーズな連続性を確保することを目指したものである。第2段階の炉心は低減速軽水炉炉心概念であり、軽水炉技術によるプルトニウムのリサイクルによって持続的・長期的なエネルギー供給に有効な1.0以上の転換比を達成するものである。重要な点は、両方の概念は両立性の有る同じ大きさの燃料集合体を使用することから、原子炉の寿命期間中に、同じ原子炉において第1から第2ステップへ進むことができる点であり、天然ウラン資源状況やMOX使用済み燃料用再処理の確立等の将来の燃料サイクル環境に柔軟に対応可能である。これまでに、詳細な検討が、炉心設計をはじめ稠密炉心における熱流動等の関連する実験も含めた研究とともに進められてきており、それらの成果により本提案概念の成立性は高く有望であるとの見通しが得られている。2030年代におけるFLWRの商用化のために、400MWe級の小型炉を2010年代に導入炉として建設することを提案している。
内川 貞夫; 大久保 努; 久語 輝彦; 秋江 拓志; 中野 佳洋; 大貫 晃; 岩村 公道
Proceedings of International Conference on Nuclear Energy System for Future Generation and Global Sustainability (GLOBAL 2005) (CD-ROM), 6 Pages, 2005/10
軽水炉技術に立脚し、現行軽水炉燃料サイクルに適合したプルトニウム有効利用を実現し、将来的には同一炉心構成の下で増殖型への発展が可能な革新的水冷却炉概念(FLWR)を、低減速軽水炉概念を発展させて構築した。本論文では、軽水炉技術によるプルトニウム利用高度化の考え方,FLWRの基本構成と主要特性、並び関連する要素技術の研究開発状況を報告する。
岩村 公道; 内川 貞夫; 大久保 努; 久語 輝彦; 秋江 拓志; 中塚 亨
Proceedings of 13th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE-13) (CD-ROM), 8 Pages, 2005/05
原研では、実績のある軽水炉技術と軽水炉MOX利用技術に基づき、プルトニウムの有効利用を実現し、将来の持続的エネルギー供給を可能にする革新的水冷却炉(FLWR)を開発している。炉心以外は現行軽水炉技術を利用するため、運転・保守性に優れる。炉心は燃料棒を稠密に配置し、高速炉に近いスペクトルを実現して、燃料の転換比を高める。本概念は、高転換型炉心と、低減速軽水炉炉心との2段階からなる。前者は、軽水炉やMOX軽水炉の代替プラントとして導入するもので、再処理工場からの回収プルトニウムを少数基で集中的に利用できる。後者では、さらに炉心を稠密化し、増殖を伴うMOX燃料多重リサイクル利用に移行し、天然ウラン資源消費量を抑制する。2つの炉心は同一サイズの六角燃料集合体を使用しており、集合体内の燃料棒本数や燃料棒間隔,プルトニウム富化度などを変更することで、燃料サイクル環境に柔軟に対応できる。
与能本 泰介; 秋江 拓志; 小林 登; 大久保 努; 内川 貞夫; 岩村 公道
Proceedings of 6th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics, Operations and Safety (NUTHOS-6) (CD-ROM), 11 Pages, 2004/10
低減速軽水炉RMWRは、産業界と協力し原研で検討が進められている高転換軽水冷却炉である。高富化度のプルトニウム燃料を使用することから、液体金属冷却増殖炉と同様に、安全性の検討ではシビアアクシデント時の再臨界性の検討が重要である。本研究では、この問題を検討するためRMWRのシビアアクシデントの特徴を検討した。これまでの検討より、(1)炉心で再臨界が生じると仮定する場合でも、水が存在しないことから機械的な衝撃は小さい,(2)下部ヘッドにおいて燃料と被覆材がよく混合しデブリベッド上面が平らな場合、再臨界状態にならない,(3)下部ヘッドにおいて燃料のみが球状に集積することを想定する場合でも、現実的な形状の中性子吸収材の設置により再臨界を防止することができる、等の結果が得られている。
岩村 公道; 大久保 努; 秋江 拓志; 久語 輝彦; 与能本 泰介; 呉田 昌俊; 石川 信行; 長家 康展; 新谷 文将; 岡嶋 成晃; et al.
JAERI-Research 2004-008, 383 Pages, 2004/06
本報告書は、日本原子力研究所,日本原子力発電,日立製作所,東京工業大学が財団法人エネルギー総合工学研究所からの委託を受けて平成1214年度に実施した革新的実用原子力技術開発提案公募事業「受動的安全性を具備した低減速軽水炉に関する技術開発」の成果をまとめたものである。本提案公募事業では、エネルギーの長期安定供給を確保するとともに、コスト競争力の強化,プルトニウムの有効利用,使用済燃料蓄積量の低減など、原子力発電及び核燃料サイクルが直面する課題の解決、及び安全性・経済性にかかわる技術の一層の向上を図るため、既に実用化している軽水炉技術を最大限に活用し、中性子の減速を抑制して転換比を上げることにより燃料の増殖,高燃焼度・長期サイクル運転,プルトニウムリサイクルが可能となる低減速軽水炉の開発を実施した。 炉心設計,プラントシステム設計とともに、熱流動成立性,炉物理的成立性,燃料の安全性,燃料サイクルの検討を実施し、実用化へ向けた成立性の見通しを得た。
Shelley, A.; 久語 輝彦; 嶋田 昭一郎*; 大久保 努; 岩村 公道
JAERI-Research 2004-002, 47 Pages, 2004/03
高転換,負のボイド係数,高燃焼度の達成を目指すMOX燃料シード・ブランケット型燃料集合体によるPWR型低減速軽水炉の核的検討を行った。集合体燃焼計算結果から、シード燃料棒を内側15層(S15),ブランケット燃料棒を外側5層(B5)に配置したS15B5配列が推奨できる。集合体軸方向構成を最適化した結果、S15B5配列に対して、シード部高さ1000mm2,内部ブランケット高さ150mm,軸ブランケット高さ400mm2の構成が高転換を得るうえで最良である。本構成により、転換比1,炉心部平均燃焼度38GWd/tが達成された。さらに、シード部高さ500mm2とすれば、炉心部平均燃焼度45GWd/tが達成可能であり、その場合、転換比は1よりわずかに小さい0.97となる。両構成ともボイド係数,燃料温度係数は負である。MOX燃料の代わりに金属燃料やトリウムを母材とする燃料(T-MOX:PuO+ThO)を使用した場合の検討を加えた。金属燃料では、転換比は向上するが、ボイド係数は悪化し、一方、T-MOXでは、ボイド係数は改善するが、転換比は減少する。
岩村 公道
エネルギーレビュー, 24(1), p.24 - 27, 2004/01
第4世代の原子力システムとしてはすでに幾つかの具体的概念が選定されている。しかし、まだ克服すべき課題が多く、これらが実用化するにはさらなる技術進歩が不可欠である。第4世代システムの実用化目標時期である2030年頃までにはまだかなりの時間があるので、今後の研究開発の動向如何では、これら以外の新しい展開もあり得る。より魅力あるシステムを目指して、研究開発の努力を絶やさないことが重要である。ここでは、既に研究開発の俎上にある技術を中心に、現在の第3世代から第4世代原子力システムへの移行期を含めてわが国の原子力利用の長期的な姿を展望するとともに、このような長期的ビジョンを実現するために、何が必要とされているかを考えてみたい。
鈴木 元衛; 斎藤 裕明*; 岩村 公道
Nuclear Engineering and Design, 227(1), p.19 - 27, 2004/01
被引用回数:7 パーセンタイル:45.03(Nuclear Science & Technology)低減速スペクトル炉の31%-Pu MOX燃料の熱的,機械的ふるまいに関する成立性を評価するため、106GWd/tHMまで照射されると仮定した1本の燃料棒の解析を、FEMAXI-6コードの拡張バージョンであるFEMAXI-RMコードによって行った。解析においては、燃料棒の設計仕様と照射条件が入力され、MOX及びUO燃料における入手可能な物性値とモデルが相補的に利用された。計算の結果、FPガス放出率は数10%であるが、燃料棒内圧は冷却材圧力を越えず、燃料最高中心温度は2400Kとなった。また、ペレットスエリングによって生じた被覆管の直径増大は1%歪み以内であった。これらより、燃料棒の健全性は照射期間中保持されることが示された。しかし、MOX燃料の実際のスエリングふるまいは今後詳細に研究される必要がある。
Shelley, A.; 嶋田 昭一郎*; 久語 輝彦; 大久保 努; 岩村 公道
Nuclear Engineering and Design, 224(3), p.265 - 278, 2003/10
被引用回数:15 パーセンタイル:68.93(Nuclear Science & Technology)プルトニウム多重サイクルを目的とし転換比1以上を目指した軽水冷却PWR炉心の設計研究を行っている。シード・ブランケット燃料集合体を採用することにして、燃料集合体の最適化についてMVP-BURNコードを用いて集合体計算により広範囲に検討した。集合体計算は炉心径方向の中性子漏れが考慮されないので、ボイド係数は約20pcm/%void程度まで許容されるとした。集合体のシード割合及び大きさについて検討し、シードの割合は50%から60%程度がよい。集合体は燃料棒配置が20列程度の大型にするのが良く、シード燃料棒の配列が15列、ブランケットの配列が5列の場合が良い。この集合体を用い軸方向2重炉心を採用するとして、軸方向ブランケット,内部ブランケット,シード部の高さ等の最適化を行い、それぞれ400mm2,150mm,1000mm2という結果が得られた。この集合体に対して転換比1.0、ボイド係数は21.8pcm/%voidとなる。軸ブランケットを除く炉心部の平均燃焼度は38.18GWd/t,分裂性プルトニウムの濃縮度は14.6wt%である。この集合体で現行PWR並みに45GWd/tの燃焼度を得るためにはシード燃料の高さを500mm2とすると、必要な濃縮度は17.3wt%となり、転換比は0.97,ボイド係数は20.8pcm/%voidとなる。
中塚 亨; 玉井 秀定; 呉田 昌俊; 大久保 努; 秋本 肇; 岩村 公道
Proceedings of International Conference on Global Environment and Advanced Nuclear Power Plants (GENES4/ANP 2003) (CD-ROM), 6 Pages, 2003/09
低減速軽水炉の稠密格子炉心の熱的余裕を評価することは重要である。本研究では、サブチャンネル解析の稠密格子炉心への適用性を評価するため、COBRA-TFを用いて稠密格子限界熱流束実験を解析した。軸方向一様加熱バンドルに対して、COBRA-TFによる限界出力予測値は質量速度が500kg/(ms)付近で測定値とよく一致し、これより低流量側で測定値より低い値に、高流量側で測定値より高い値となる。BT予測位置は、外周チャンネルで、実験とは異なった。軸方向二重出力分布バンドルでは、質量速度が200kg/(ms)付近で測定値とよく一致し、これより高流量側で測定値より高い値となった。摩擦損失の二相増倍係数がサブチャンネル間の流量分布に大きな影響を与えることがわかった。計算の精度を向上するためには、稠密な体系における圧力分布の予測を含めた流量配分の正確な予測が求められる。