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福田 将眞; 末岡 茂; 菅野 瑞穂; Kohn, B. P.*; 田上 高広*
フィッション・トラックニュースレター, (34), p.9 - 13, 2021/12
ジルコン(U-Th)/He(以下、ZHe)法における年代標準試料の確立を目指し、岩手県二戸市周辺から採取した地質試料である仁左平デイサイトについてZHe年代測定を実施した。本試料は、年代学的手法に基づく既往研究が豊富な試料であり、既報年代は22Maから21Ma程度に集中する急冷試料であることが明らかとなっているため、ZHe法についても年代標準試料としての潜在性が期待される。結果として、ZHe年代は21.50.2Maが得られたが、単粒子年代は40Maから15Ma程度までランダム誤差に起因するとみられる広いばらつきを示した。その原因として、ジルコン中の親核種濃度の不均質や、岩石試料の薄片観察により明らかとなった異質岩片が考えられる。したがって、ZHe法の年代標準試料の適性は低いと判断されたが、既往研究で示されているようにジルコンフィッション・トラック年代やU-Pb年代は年代のまとまりが良いため、これらの分析の標準試料としては適性があると判断できる可能性がある。今後は、U-Pb法などの他の手法で用いられている年代標準試料などを対象にZHe年代標準試料の候補の探求を継続する。
菅野 瑞穂; 末岡 茂; 福田 将眞
JAEA-Testing 2020-010, 38 Pages, 2021/03
本書は、日本原子力研究開発機構東濃地科学センターで行う(U-Th)/He年代測定法の分析のうち、He測定に係る手順について取りまとめたものである。(U-Th)/He年代測定法はU, Th系列の放射性同位体の壊変を利用した放射性年代測定法で、熱年代測定に利用可能な測定法である。中でもジルコン,アパタイトを用いることで、低温領域の熱履歴を推定することができる。本書では試料調製の作業は役務作業員や学生実習生など、本作業を初めて行う者や経験に乏しい者が実施する場合があることから、作業手順や注意すべき点などを詳しく記載した。また、作業中に利用できる記録用紙のフォーマットを含めた。
末岡 茂; 島田 耕史; 菅野 瑞穂; 横山 立憲
フィッション・トラックニュースレター, (33), p.15 - 18, 2020/10
原子力機構における(U-Th)/He年代およびFT年代測定の分析施設について紹介する。FT法については、FT自動計測装置の導入を行い、分析の迅速化・簡便化を行った。また、ジルコンを対象とした分析環境の整備も進めている。今後の課題としては、LA-ICP-MSを用いたウラン濃度測定手順の確立などが挙げられる。(U-Th)/He法については、新たなHe質量分析計(Alphachron)を導入し、He濃度測定の自動化を行った。U-Th濃度の測定が今後の課題として挙げられる。
末岡 茂; 島田 耕史; 菅野 瑞穂; 横山 立憲
no journal, ,
原子力機構におけるFTおよび(U-Th)/He年代測定の分析施設について紹介する。FT法については、ジルコンを対象とした分析環境の整備に加え、FT自動計測装置の導入を行い、分析の迅速化・簡便化を図っている。(U-Th)/He法についても、新たなHe質量分析計(Alphachron)を導入し、He濃度測定の自動化を行った。今後の課題としては、LA-ICP-MSを用いたFT法用試料のウラン濃度測定手順の確立、(U-Th)/He法用試料のU-Th濃度測定手法の検討などが挙げられる。
末岡 茂; 菅野 瑞穂; 川村 淳; 丹羽 正和; 岩野 英樹*; 檀原 徹*
no journal, ,
深部起源の熱水活動の熱的特徴の把握のため、紀伊半島の本宮地域で熱水脈中の流体包有物解析と母岩の熱年代解析を実施した。初生包有物の均質化温度から、熱水活動の温度は140-210Cと推定された。一方、熱年代解析の結果からは、熱水脈からの距離に応じた熱異常の変化は検出できなかった。熱水活動による熱異常がその後の削剥に伴う冷却で上書きされたか、熱水活動の温度・時間が熱年代に影響を及ぼすような規模ではなかった可能性が考えられる。前者の場合は熱水活動に伴う温度上昇は20-130
C以内と制約でき、後者の場合は熱水活動の継続時間は150
Cなら数10年、200
Cなら一か月程度が上限と推定される。
福田 将眞; 末岡 茂; 菅野 瑞穂; Kohn, B.*; 田上 高広*
no journal, ,
ジルコン(U-Th)/He法の年代標準試料を確立する目的で、仁左平層に含まれるジルコン試料の(U-Th)/He分析を実施した。仁左平ジルコンは、既往研究により、複数の年代測定法にもかかわらず2221Ma程度に年代が集中していることから、年代標準試料の要件の一つである急冷試料であることが期待される。本試料に対して、東濃地科学センターとメルボルン大学の2拠点で(U-Th)/He分析を試みた。それぞれの拠点で得られた加重平均年代は、22
21Maと有意差のある結果が得られたが、全データを合算すると整合的なデータとなった。ただし、単粒子年代のばらつきは広く、鉱物内のUやThなどのゾーニングの影響が考えられる。結論として、(U-Th)/Heの年代標準試料としての適性は低いことが示唆された。今後は、年代のばらつきに関する詳細な原因の究明や、新たな年代標準試料の候補として、Buluk Tuffなどの地質試料を対象とした同様の検討を予定している。
立石 良*; 島田 耕史; 丹羽 正和; 末岡 茂; 清水 麻由子; 菅野 瑞穂; 石井 千佳子; 石丸 恒存
no journal, ,
活断層と非活断層の大きな違いは最新活動後の経過時間であり、活断層が概ね百年から万年オーダーと考えられるのに対して、非活断層は十万年以上である。したがって、断層活動により生じる現象は両者とも同じであったとしても、その後の断層活動休止期間に生じる化学的な変化は大きく異なる可能性があることから、こうした現象が確認されれば活断層の認定に応用できる可能性がある。そこで活断層か非活断層かが既知である断層粘土の化学組成を、文献値と実際の分析により収集し、両者の化学組成による識別の可否を線形判別分析により検討した。今回の検討では、統計学的に妥当性の高い方法である対数比変換を元素の濃度に対して施した。赤池情報量基準に基づき選択された11元素によって、活断層45試料,非活断層51試料は96%の判別率で識別された。活断層の最新活動時期を新しいものからIからIV、非活断層をVと分けた時、判別得点はこの順に変化する。元素のなかでもTiOとP
O
は、最新活動時期が新しいものほど濃集する傾向が見られた。これらの濃集メカニズムと、長期にわたる減少メカニズムについては今後の課題である。
菅野 瑞穂; 丹羽 正和; 島田 耕史; 立石 良*
no journal, ,
断層活動によって生成された断層ガウジと、破砕されていない母岩とでは全岩化学組成に若干の差があることが報告されている。その理由については明らかになっていないが、断層ガウジの多くは粘土鉱物に富むことから、粘土鉱物表面に吸着した元素がなんらかの影響を及ぼしている可能性がある。そこで、活断層と非活断層のそれぞれの断層ガウジを対象として、粘土鉱物表面に吸着しやすいセシウムイオンと置換することで交換性陽イオンを抽出し、全岩組成と比較した。比較には有心対数比変換を用いた。その結果、Rbにおいて非活断層が活断層よりも濃度が高い傾向が示された。
塚原 柚子; 菅野 瑞穂; 後藤 翠; 藤田 奈津子; 小松 哲也; 前杢 英明*
no journal, ,
岩石海岸にみられる潮間帯生物の潮間帯化石群体は、過去の海水準高度の指標となる。したがって、その分布高度・内部構造・C年代といった情報を統合することで、完新世の相対的海水準変動を復元することが可能と考えられる。さらに、復元した相対的海水準変動を海岸部における上下変動と読み替えるならば、沿岸部における地殻変動の履歴や様式を知ることができる。そこで発表者らは、高知県土佐湾東岸部の羽根岬を事例に、潮間帯化石群体を用いた地殻変動履歴の復元手法の高度化を目的とする研究開発を実施した。離水ベンチの認定及び化石群体の
C年代測定の結果、事例対象地域において最低位に分布する離水ベンチの形成期間を明らかにすることができた。その一方、化石群体の内部構造の情報不足や
C年代値の幅により、数100年間隔で生じた地殻変動履歴を検出・復元することはできなかった。精密な地殻変動履歴の復元のためには、隆起・沈降過程にともない生じる化石群体内部の多層構造や化石群体の成長の空白期間の認定が不可欠である。
小形 学; 塚原 柚子; 川村 淳; 菅野 瑞穂; 西山 成哲*; 末岡 茂; 小松 哲也; 中西 利典*; 安江 健一*
no journal, ,
長石の光励起ルミネッセンス(OSL)年代測定法は適用範囲が数千年から数十万年であり、堆積物に普遍的に含まれる長石粒子を対象とすることから、地形学的時間スケール(数千年から数十万年)での堆積物の編年が可能な方法として期待できる。本発表では、離水地形の離水時期の制約に基づく隆起速度推定技術の高度化の一環として実施中の長石のOSL年代測定による離水時期の推定研究について能登半島(海成地形)と大井川(河成地形)を事例として報告する。
岩森 暁如*; 小北 康弘; 島田 耕史; 立石 良*; 高木 秀雄*; 太田 亨*; 菅野 瑞穂*; 和田 伸也*; 大野 顕大*; 大塚 良治*
no journal, ,
若狭湾東方陸域に分布する江若花崗岩中の断層岩を対象とし、風化の進行度を表す指標であるW値について検討した。W値は、化学組成から計算される風化による寄与を表し、M値(苦鉄質成分の寄与), F値(珪長質成分の寄与)とともに、M+F+W=100%の三角ダイアグラムを用いて、母岩から断層岩(カタクレーサイト,断層ガウジ)の変化傾向を検討した。また、江若花崗岩と美濃丹波帯変玄武岩との地質境界の断層についても同様の検討を行い、江若花崗岩中の断層岩との特徴の相違について検討した。花崗岩(母岩)は、F値=94.2%, W値=4.9%で、断層岩試料は活断層・非活断層にかかわらずM値が約3%でほぼ一定であり、風化が進展するとF値が減少し、W値が増加する。変玄武岩(母岩)は、M値=88.2%, W値=6.6%で、カタクレーサイトはF値がほぼ一定で、風化が進展するとM値が減少し、W値が増加する。変玄武岩源断層ガウジではW値の増加に伴いF値の増加もみられ、ガウジ中に見られる花崗岩起源の石英フラグメントの混入と整合的である。W値への影響度とW値の変動傾向との整合性の観点から検討した結果、特にNaOとCaOがW値の増減に大きな影響を与えることが確認された。
塚原 柚子; 小形 学; 川村 淳; 菅野 瑞穂*; 西山 成哲; 末岡 茂; 中西 利典*; 小松 哲也
no journal, ,
日本列島の山地における10万年スケールの隆起速度は、主としてTerrace to Terrace法(TT法: 吉山・柳田、1995)に基づき推定されている。TT法の適用にあたっては、最終氷期の堆積段丘と一つ前の氷期の堆積段丘のペアを認定する必要がある。しかし、そのような段丘のペアが認められない山地も多い。そこで、我々は、TT法の代替手法として、環流旧河谷などの旧流路地形・堆積物の分布高度と離水年代に基づいて10万年スケールでの下刻速度を算出する方法(例えば、安江ほか、2014; 小形ほか、2021)の研究を進めている。本発表では、そのような研究の一環で大井川中流部を事例に実施した調査の結果について報告する。