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朝日 良光; 福田 茂樹; 白水 大貴; 宮田 晃志; 刀根 雅也; 勝岡 菜々子; 前田 裕太; 青山 雄亮; 新妻 孝一; 小林 秀和; et al.
JAEA-Technology 2024-024, 271 Pages, 2025/03
東海再処理施設で発生した高レベル放射性廃液のガラス固化に用いるTVF3号溶融炉(以下、3号炉)を製作し、この溶融炉でガラス固化体18本分のガラスを溶融・流下するコールド運転を行った。ガラス原料には、ホット運転で処理するものと同等の廃液成分を非放射性元素で置き換えた模擬廃液とガラスファイバーカートリッジを使うことで、溶融ガラス液面に仮焼層を形成させた。TVF2号溶融炉(以下、2号炉)と3号炉の構造の違いに起因する溶融炉固有の温度特性を考慮し、運転操作に用いるパラメータには、2号炉で使ってきたものを修正して適用した。本試験の結果、溶融炉各部の温度推移を確認しながら適切に運転できるパラメータ値を見出すことができ、2号炉のコールド運転に比べ、溶融ガラス温度は高く、二つある主電極の冷却は片側あたり約1kW小さいとき、安定的に運転できることが分かった。主電極間のジュール加熱電力を39kW、主電極冷却空気流量を26Nm/hで運転し炉底加熱方法を改良することで、流下前の炉底加熱時間をこれまでより2時間短い約5時間で完了できる見通しを得た。運転期間中は、炉内のガラス温度分布やケーシング表面の温度推移を計測し、今後のシミュレーションモデル開発に有効なデータが得られた。炉内の溶融ガラスの白金族元素濃度が飽和した後に、原料供給と流下を2日間停止する保持運転を行い、炉底部への白金族元素の沈降を遅らせる一定の効果があることを確認した。保持運転中に仮焼層の溶融過程を観察し、薄膜状の流動しない層が確認されたことから、流動計算で液面にNo-slip境界条件を設定する根拠を得た。流下ガラスの成分を分析して白金族元素の流下特性を調査した結果、運転中に溶融炉に蓄積する白金族元素の量は2号炉と比較して少なかった。溶融ガラスを全量流下した後の炉内には、残留ガラスやレンガ片などの異物は確認されなかった。白金族元素の蓄積による運転停止を判断する基準は、流下終了から炉底ガラス温度850
Cへ低下するまでの時間を10.3h以上、主電極間補正抵抗値を0.12
以下と試算したが、今後のホット運転の結果に応じ再検討が必要である。
下村 浩一郎*; 幸田 章宏*; Pant, A. D.*; 砂川 光*; 藤森 寛*; 梅垣 いづみ*; 中村 惇平*; 藤原 理賀; 反保 元伸*; 河村 成肇*; et al.
Interactions (Internet), 245(1), p.31_1 - 31_6, 2024/12
J-PARC Muon Facility: MUSE (Muon Science Establishment) is responsible for the inter-university user program and the operation, maintenance, and construction of the muon beamlines, namely D-line, S-line, U-line, and H-line, along with the muon source at J-PARC Materials and Life Science Facility (MLF). In this paper, recent developments are briefly presented.
小林 史憲; 神谷 潤一郎; 高橋 博樹; 鈴木 康夫*; 田崎 竜太*
JAEA-Technology 2024-007, 28 Pages, 2024/07
J-PARC LINACにおいて、LINACと3GeVシンクロトロン(3GeV Rapid Cycling Synchrotron: RCS)をつなぐビーム輸送ライン(LINAC to 3GeV RCS Beam Transportation Line: L3BT)を超高真空に保つために、真空システムが整備されている。真空システムはLINAC棟及びL3BT棟に設置されており、真空ポンプ、真空計、ビームラインゲートバルブ(Beam Line Gate Valve: BLGV)等の真空機器により構成され、BLGVにてエリア分けされた区域ごとに管理される。既存真空システムでは、それぞれのエリアごとに真空機器が独立に制御され、隣接するエリアの状態に関わらず真空機器が操作できる。このため、ヒューマンエラーによる誤操作の排除が不可能となっている。また、ビーム輸送ラインの真空悪化が生じた場合、その真空悪化ILK信号がMPS伝送信号経由でBLGVリレーユニットに伝送されることにより、BLGVが強制閉鎖される仕組みとなっている。しかしILK信号伝送範囲がL3BTのすべてのBLGVに及ぶ系になっているため、真空悪化の影響を受けないエリアのBLGVも強制閉鎖される。このことは、不必要な開閉動作がBLGVのメンテナンスの頻度を高くしてしまうといった問題を引き起こす可能性がある。また、BLGVの動作はMPS信号経路を利用して動作させていることから、真空悪化ILK信号での開閉信号がすべてのBLGVに一律に送信することしかできず、各個別制御ができない。さらには、真空制御システムのメンテナンスにおいても、MPS信号経路を絡めた作業が必要になり、真空制御システム単独でメンテナンスすることが難しく作業が煩雑であるという問題もある。このような各種課題を解決するためには、まずエリア相互間の機器の情報や真空圧力を監視可能とすることでヒューマンエラーを排除し、安全性を高くする必要がある。さらに、MPS信号経路を真空システムと分離し、各々のBLGVを個別に自動制御をすることで保守性を改善させる必要がある。そのため、L3BT真空システムの安全かつ効率的な保守と運転維持を考慮した制御を実現することを目的とし、真空システム制御系の再構築を実施した。本報告書は、L3BT真空システム制御系の再構築の詳細とその使用方法について取りまとめたものである。
小松 一生*; 服部 高典; Klotz, S.*; 町田 真一*; 山下 恵史朗*; 伊藤 颯*; 小林 大輝*; 入舩 徹男*; 新名 亨*; 佐野 亜沙美; et al.
Nature Communications (Internet), 15, p.5100_1 - 5100_7, 2024/06
被引用回数:4 パーセンタイル:72.77(Multidisciplinary Sciences)水素結合の対称化とは、水素原子が水素結合の中心に位置する現象である。理論的研究により、氷VIIの水素結合は、圧力が増加するにつれて、水素の分布を変化させながら、いくつかの中間状態を経て、最終的に対称化すると予測されている。これまで、多くの実験的研究が行われてきたにもかかわらず、その水素の位置や転移圧力は一貫していない。われわれは、100GPa以上の圧力で中性子回折実験を行い、氷中の水素分布を決定し、隣接酸素間での分布が80GPa付近で2つから1つになり水素結合が対称化することを世界で初めて観測した。
神谷 潤一郎; 大井 元貴; 小林 史憲; 酒井 健二; 山田 逸平
Vacuum and Surface Science, 67(4), p.186 - 191, 2024/04
日本表面真空学会誌における特集企画"ドライポンプ"において、大強度加速器におけるドライポンプの実績を紹介する。本解説では、リニアック、RCS、3NBTの加速器およびミュオン施設、中性子源施設、中性子利用施設のMLFでのドライポンプを紹介する。ドライスクロールポンプ(DSP)も多用されているが、特に常時運転の箇所はメンテンナンス頻度の多さやトラブルの発生から、ルーツポンプへの置き換えを進めている箇所が多い。ルーツポンプは耐放射線性仕様、電源分離型、ダイヤフラム付き等、各利用環境や利用目的に応じて特殊仕様のものを採用していることが大強度陽子加速器における特殊な点である。DSP、ルーツポンプともにいくつかのトラブルが発生しているが、メンテナンス方法の改定や部品の改良で対応し、安定したユーザー運転の実現に貢献している。以上のように本発表では、J-PARCにおけるドライポンプの利用状況、ポンプの仕様、メンテンナンス、およびトラブルと対策を総括する。
町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(4), p.119 - 139, 2023/11
本論文では、2013年6月から2022年3月までの福島第一原子力発電所(1F)港湾からのSrの月間流出量を、港湾内の
Srのモニタリング結果からボロノイ分割法を使用して推定した。その結果、2015年の海側遮水壁閉合が、流出量の削減に最も効果的であったことがわかった。また、福島沿岸および沖合のバックグラウンドレベルから放射能濃度の上昇を観察するために必要な月間流出量を推定し、事故後の流出量の変遷と沿岸および沖合での放射能濃度の変化について議論した。これらの結果は、1Fに蓄積された処理水の今後の放流計画に対する環境影響を考慮する上で重要と考えられる。
木戸 英治*; 稲倉 恒法*; 木村 真明*; 小林 信之*; 長瀧 重博*; 清水 則孝*; 民井 淳*; 宇都野 穣
Astroparticle Physics, 152, p.102866_1 - 102866_12, 2023/10
被引用回数:2 パーセンタイル:31.14(Astronomy & Astrophysics)宇宙からはeVにもなる超高エネルギー宇宙線が降ってくるが、その天文学的起源は明らかになっていない。何らかの理由で非常に強く加速された原子核が宇宙背景輻射との相互作用を受け、地球に到達するとされているが、加速された原子核と宇宙背景輻射との相互作用(静止系ではMeV単位のガンマ線との相互作用に相当)が完全にはわかっていないために、もともとの粒子の性質を評価しにくいという問題点があった。この論文では、光核反応模型として、TALYSコードに入っている標準的に使われているものと乱雑位相近似計算によるものを使い、その両者から得られる宇宙線のスペクトルを比較した。その結果、両者には無視できない差があり、光核反応断面積を測定あるいは理論計算によって正確に得る必要があることがわかった。
荒木 祥平; 郡司 智; 新垣 優; 吉川 智輝; 村上 貴彦; 小林 冬実; 井澤 一彦; 須山 賢也
Proceedings of 12th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC2023) (Internet), 8 Pages, 2023/10
福島第一原子力発電所で発生した燃料デブリの臨界管理に資するため、STACY更新炉においてデブリ模擬炉心の検討を進めている。燃料輸送の問題から実験に利用可能な燃料棒本数に制限がある中で、低減速条件の炉心を構成するため、テスト領域とドライバ領域からなる2領域炉心を検討した。中性子スペクトル及びコンクリート模擬体を装荷した際の感度をMCNPとENDF/B-VIIを用いて計算した。テスト領域が1717の炉心は13
13サイズの領域において低減速条件のスペクトルをRMSPEが5%以下で模擬できることを明らかにした。
民井 淳*; Pellegri, L.*; Sderstr
m, P.-A.*; Allard, D.*; Goriely, S.*; 稲倉 恒法*; Khan, E.*; 木戸 英治*; 木村 真明*; Litvinova, E.*; et al.
European Physical Journal A, 59(9), p.208_1 - 208_21, 2023/09
被引用回数:7 パーセンタイル:76.15(Physics, Nuclear)光核反応は原子核構造の観点からも応用の観点からも重要であるにも関わらず、その反応断面積は未だに不定性が大きい。近年、超高エネルギー宇宙線の起源を探るために、鉄よりも軽い原子核の光核反応断面積を正確に知る必要が指摘されている。この状況を打破するため、原子核物理の実験、理論、宇宙物理の共同研究となるPANDORAプロジェクトが始まった。本論文はその計画の概要をまとめたものである。原子核実験ではRCNP、iThembaによる仮想光子実験とELI-NPによる実光子実験などが計画されている。原子核理論では、乱雑位相近似計算、相対論的平均場理論、反対称化分子動力学、大規模殻模型計算などが計画されている。これらで得られた信頼性の高い光核反応データベースと宇宙線伝搬コードを組み合わせ、超高エネルギー宇宙線の起源の解明に挑む。
近藤 洋介*; Achouri, N. L.*; Al Falou, H.*; Atar, L.*; Aumann, T.*; 馬場 秀忠*; Boretzky, K.*; Caesar, C.*; Calvet, D.*; Chae, H.*; et al.
Nature, 620(7976), p.965 - 970, 2023/08
被引用回数:27 パーセンタイル:94.86(Multidisciplinary Sciences)非常に中性子が過剰な原子核Oは、陽子、中性子ともに魔法数であることから古くからその性質に興味が持たれていたが、酸素の最後の束縛核
Oよりも中性子が4個も多いため、これまで観測されてこなかった。この論文では、理化学研究所RIBFにて
Fからの1陽子ノックアウト反応によって
Oを生成し、そこから放出される中性子を測定することによって初めてその観測に成功した。核構造の観点からは、
Oでは二重閉殻が保たれているか興味が持たれていたが、実験で得られた分光学的因子が殻模型計算で予言されて程度の大きいことから、閉殻構造をもたない可能性が高いことがわかった。
Wang, H.*; 安田 昌弘*; 近藤 洋介*; 中村 隆司*; Tostevin, J. A.*; 緒方 一介*; 大塚 孝治*; Poves, A.*; 清水 則孝*; 吉田 数貴; et al.
Physics Letters B, 843, p.138038_1 - 138038_9, 2023/08
被引用回数:4 パーセンタイル:69.46(Astronomy & Astrophysics)Neからの1中性子除去反応を用いて、
Neの詳細な
線分光を行った。平行運動量分布の解析に基づき、
Neの準位構造とスピンパリティを決定し、初めて負のパリティ状態を同定した。測定された断面積と運動量分布から、N=20とN=28のシェルギャップの消失の証拠となる有意なintruder p-wave強度が明らかになった。束縛状態については、弱いf-waveの可能性のある強度が観測された。いくつかの有効相互作用を用いた大規模殻模型計算では、実験的に観測された大きなp-wave強度と小さなf-wave強度は再現されず、Ne同位体に沿った反転の島への遷移の完全な理論的記述への挑戦が続いていることを示している。
石原 滉大*; 六本木 雅生*; 小林 雅之*; 今村 薫平*; 水上 雄太*; 酒井 宏典; Opletal, P.; 常盤 欣文; 芳賀 芳範; 橋本 顕一郎*; et al.
Nature Communications (Internet), 14, p.2966_1 - 2966_7, 2023/05
被引用回数:32 パーセンタイル:97.70(Multidisciplinary Sciences)重い電子系超伝導UTeの超伝導対称性を極低温磁場侵入長測定により研究した。異方的な低エネルギー準粒子励起が観測され、多成分カイラル超伝導を強く示唆する。このうち最も実験をよく説明するのは、カイラル非ユニタリー状態である。
安江 歩夢*; 川上 真由*; 小林 謙祐*; Kim, J.*; 宮津 裕次*; 西尾 悠平*; 向井 智久*; 諸岡 聡; 兼松 学*
Quantum Beam Science (Internet), 7(2), p.15_1 - 15_14, 2023/05
Neutron diffraction is a noncontact method that can measure the rebar strain inside concrete. In this method, rebar strain and stress are calculated using the diffraction profile of neutrons irradiated during a specific time period. In general, measurement accuracy improves with the length of the measurement time. However, in previous studies, the measurement time was determined empirically, which makes the accuracy and reliability of the measurement results unclear. In this study, the relationship between the measurement time and the measurement standard deviation was examined for reinforced concrete specimens under different conditions. The aim was to clarify the accuracy of the measurement of rebar stress using the neutron diffraction method. It was found that if the optical setup of the neutron diffractometer and the conditions of the specimen are the same, there is a unique relationship between the diffraction intensity and the rebar stress standard deviation. Furthermore, using this unique relationship, this paper proposes a method for determining the measurement time from the allowable accuracy of the rebar stress, which ensures the accuracy of the neutron diffraction method.
影山 十三男; 出沼 昭生; 小泉 仁*; 小田倉 学*; 萩野谷 雅浩*; 井坂 信一*; 門脇 弘幸*; 小林 真悟*; 森元 大成*; 加藤 芳章*; et al.
JAEA-Technology 2022-033, 130 Pages, 2023/03
燃料製造機器試験室(モックアップ室)は、核燃料製造設備の開発のためのウラン取扱い施設として昭和47年(1972年)に建設されたが、耐震性に脆弱であり、経年劣化が進んでいた。また、本施設では当初の目的を達成し、新規の開発計画が無い。これより、内装設備の解体撤去を平成31年(2019年)3月より開始し、汚染検査を行い、令和4年(2022年)3月29日に管理区域の解除をした。本作業における人工数は、総6,549人工(保安立会者を含まない)であり、解体撤去作業により発生した一般廃棄物量は31,300kg、放射性廃棄物量は可燃性廃棄物3,734kg(ドラム缶103本)、難燃性廃棄物4,393kg(ドラム缶61本)、不燃性廃棄物37,790kg(ドラム缶124本、コンテナ19基)であった。本報告書では、燃料製造機器試験室の内装設備の解体撤去、発生した廃棄物及び管理区域解除の手順について報告する。
町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(3), p.258 - 276, 2023/03
被引用回数:5 パーセンタイル:61.74(Nuclear Science & Technology)本論文では、福島第一原子力発電所の港湾口から沿岸へと流出するトリチウム量を、港湾内のトリチウムモニタリング結果から推定し、事故当初の2011年4月から2020年3月までのおよそ9年間に渡り、月間流出量を算出した。その結果、2015年の海側遮水壁閉合により、未知の流出はほとんど抑制されたことが分かった。また、この推定量を基に、日本全体の原子力施設からのトリチウム年間排出量を求め、事故前後の排出量の変遷を議論した。その結果、2015年以降、福島第一原子力発電所からの流出量は、事故前の約半分程度となっている一方、事故後の日本全体の排出量は大きく減少していることが分かった。
町田 昌彦; 岩田 亜矢子; 山田 進; 乙坂 重嘉*; 小林 卓也; 船坂 英之*; 森田 貴己*
日本原子力学会和文論文誌(インターネット), 22(1), p.12 - 24, 2023/01
2013年から2021年の1月まで、福島第一原子力発電所周辺の福島沿岸と沖合という二つのエリアで、トリチウムのモニタリングデータからそのインベントリーの経時変化を推定した。それらの結果から沖合のエリアにおけるインベントリー平均量は、1Fに貯留されているトリチウムの凡そ1/5程度であり、その時間変動量は、1F貯留量の1/20程度ということが分かった。これらの結果は、既に海域に存在しているトリチウムのインベントリーが、1F貯留量の放出に際し、無視できないことを示している。また、その沖合の一定のエリアにおけるインベントリーの評価を1960年代にまで遡ると、過去には核実験により、平均して1F貯留量の4倍程のトリチウムインベントリーが1960年代に存在していた他、1960年から1980年代にかけて凡そ30年に渡り、1F貯留量と同程度かそれ以上のインベントリーが存在していたことが分かった。この事実は、過去に既に1F貯留量を瞬時に放出し当該沖合の海域に滞留するとした保守的条件より遥かにトリチウムが海洋中に存在していた時期が長期間あったことを示している。更に、トリチウムのインベントリーを千葉から宮城沖まで含めた領域に拡大し評価すると、現在、1F貯留量の凡そ半分が存在していることが分かる。ここで、トリチウムの被ばく量を魚食を通じた内部被ばくと仮定し、1F貯留量がその拡大領域にて拡散し1年滞留するとした保守的評価をすると、その量は、自然放射線からの寄与の100万分の一程度であり、殆ど無視できることが分かった。
小林 史憲; 神谷 潤一郎; 守屋 克洋; 宮尾 智明*; 古徳 博文*; 高野 一弘*
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.726 - 730, 2023/01
J-PARC LINACにおいて、LINACと3GeVシンクロトロンをつなぐビーム輸送ラインであるL3BTの真空排気系は、粗引き排気用にターボ分子ポンプとルーツポンプ、メイン排気用にイオンポンプが使用されている。また、L3BTには、LINACのビームラインに対して0度、30度、90度、100度の位置にビームダンプが真空仕切り窓を介して接続されており、それぞれのビームダンプの排気系としてルーツポンプが使用されている。これらルーツポンプのコントローラーは放射線による故障を防ぐために、加速器トンネルに設置したポンプ本体から100m程度離れた位置に設置している。これまでインバーターを使用したルーツポンプコントローラーからの電気ノイズがビームモニターへ悪影響を与えることから、インバーターを取り外した特殊仕様のコントローラーを利用していた。しかし特殊仕様のコントローラーでは、ポンプの排気性能の不安定さや性能のばらつき等の不具合が発生していた。今回、ルーツポンプコントローラーのインバーターに対し、各種のフィルター、ケーブル種、アースのとり方等を調査した。その結果、最適なノイズ対策を実施することで、ビームモニターの使用が可能となる状態までノイズが低減されたことを確認できたため、ここに報告する。
加藤 正人; 町田 昌彦; 廣岡 瞬; 中道 晋哉; 生澤 佳久; 中村 博樹; 小林 恵太; 小澤 隆之; 前田 宏治; 佐々木 新治; et al.
Materials Science and Fuel Technologies of Uranium and Plutonium mixed Oxide, 171 Pages, 2022/10
プルトニウム燃料を使用した革新的で先進的な原子炉が各国で開発されている。新しい核燃料を開発するためには、照射試験が不可欠であり、核燃料の性能と安全性を実証する必要がある。照射試験を補完する技術として、照射挙動を正確にシミュレートする技術を開発できれば、核燃料の研究開発にかかるコスト,時間,労力を大幅に削減でき、核燃料の照射挙動をシミュレーションすることで、安全性と信頼性を大幅に向上させることができる。核燃料の性能を評価するためには、高温での燃料の物理的および化学的性質を知る必要がある。そして、照射中に発生するさまざまな現象を記述した行動モデルの開発が不可欠である。以前の研究開発では、モデル開発の多くの部分で、フィッティングパラメータを使用した経験的手法が使用されてきた。経験的手法では、データがない領域では非常に異なる結果が得られる可能性がある。したがって、この研究では、燃料の基本的な特性を組成と温度に外挿できる科学的記述モデルを構築し、モデルが適用される照射挙動分析コードの開発を行った。
松下 肇希*; 小林 蓮*; 堺 公明*; 加藤 慎也; 松場 賢一; 神山 健司
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal-Hydraulics, Operation and Safety (NUTHOS-13) (Internet), 9 Pages, 2022/09
ナトリウム冷却高速炉の炉心損傷事故では、溶融炉心物質が制御棒案内管などの流路を通って炉心領域下の炉心入口プレナムに流れ込む。溶融炉心物質は、ナトリウム冷却材中で入口プレナムの水平板に衝突しながら冷却・固化されると見込まれる。しかし、水平構造物に衝突した溶融炉心物質の固化・冷却挙動は、これまで十分に研究されていなかった。これはナトリウム冷却高速炉の安全性向上の観点から解明が必要な重要な現象である。そこで、カザフスタン共和国国立原子力センターの実験施設において、模擬溶融炉心物質(アルミナ: AlO
)を水平構造物上のナトリウム冷却材中に放出する一連の実験が実施された。本研究では、高速炉安全性評価コードSIMMER-IIIを用いたナトリウム試験に関する解析を実施した。解析結果と実験データの比較により、解析手法の妥当性を確認した。また、ジェット衝突時の冷却・固化挙動を評価した。その結果、溶融炉心物質が水平板への衝突により破砕され、周辺部へ飛散することがわかった。さらに、模擬溶融炉心物質がナトリウムによって冷却され、その後、固化することを確認した。
佐久間 一幸; 林 誠二*; 吉村 和也; 操上 広志; Malins, A.; 舟木 泰智; 辻 英樹*; 小林 嵩丸*; 北村 哲浩; 飯島 和毅
Water Resources Research, 58(8), p.e2021WR031181_1 - e2021WR031181_16, 2022/08
被引用回数:2 パーセンタイル:17.18(Environmental Sciences)We developed a watershed-geochemical model for simulating dissolved and particulate Cs discharges from a forest catchment in the upstream of the Ohta River. We connected a forest ecosystem compartment model to the 3-D watershed model GETFLOWS (GEneral-purpose Terrestrial Fluid-flow Simulator) to describe the dynamics of
Cs between the forest ecosystem and the river system. The compartment model included sites for non-leachable and leachable
Cs in the organic layer. The latter sites could model how stocks of leachable
Cs increase with ambient temperature and consequently the rate of decomposition of organic matter. The simulation results for dissolved
Cs concentrations in river water for the period 1 January 2014 to 31 December 2015 were in good agreement with measurements from the catchment. The simulations reproduced the dissolved
Cs concentration peaks that occurred during three typhoon events and the seasonal variations under base flow conditions. The results support theories which suggest leaching from the organic layer in forests is a primary factor affecting dissolved
Cs concentrations in river water under base and storm flow conditions.