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小坂 亘; 内堀 昭寛; 岡野 靖; 柳沢 秀樹*
Proceedings of 20th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-20) (Internet), p.1150 - 1163, 2023/08
ナトリウム冷却型高速炉における蒸気発生器(SG)の安全性評価及び設計について、SG内伝熱管からの加圧水のリーク及びその後の事象進展の評価は重要である。解析コードLEAP-IIIは半経験式や1次元保存式などの低計算コストなモデルで構成されるために短い計算時間で水リーク率等を評価でき、革新炉開発における多様なSG設計の探求を加速させることが期待される。しかし、現在の温度分布評価モデルには、過度な保守性を示す場合があること、及びチューニングのために予備的な実験又は詳細な数値解析が必要とされて準備に時間がかかることに課題がある。これらを改善するため、より単純な計算原理に従い、機構論的な側面を持ちつつも高速計算可能なラグランジュ粒子法コードの開発に取り組んでいる。今回は、本粒子法コードに実装されている粒子ペア探索手法の効率化、及び粒子ペア探索を用いずに同等の結果を得るためのモデルの開発を行った。テスト解析を通して、これらのモデル改良による計算時間短縮効果を確認し、また、伝熱管破損判定に重要な伝熱管周囲の代表温度について、詳細な機構論的解析コード(SERAPHIM)による評価結果とよい一致を示すことを確認した。
小坂 亘; 内堀 昭寛; 高田 孝; 柳沢 秀樹*; 渡部 晃*; Jang, S.*
Proceedings of 19th International Topical Meeting on Nuclear Reactor Thermal Hydraulics (NURETH-19) (Internet), 11 Pages, 2022/03
ナトリウム(Na)冷却高速炉の蒸気発生器(SG)の安全性評価のため、解析コードLEAP-IIIではSG内伝熱管の破損に端を発する伝熱管破損伝播を含む長時間事象進展中の水リーク率を評価する。LEAP-IIIは半理論式や1次元保存式で構成されるため、低計算コストで計算が完了するという利点がある。しかしながら、反応ジェットにより形成される温度分布についての評価モデルが実験結果より過度に広い高温領域を与えている。結果として、LEAP-IIIは過度に保守的な結果を示すことがある。より現実的な温度分布評価を与えるようにモデルを改良するため、工学的近似を用いた粒子法コードの開発を行ってきた。この手法では、ジェット挙動と化学反応について、Na-水反応と多次元多相流の方程式群を解く代わりに、いくつかの工学的近似を用いたニュートンの運動方程式により評価する。本研究では、粒子間相互作用力モデルを追加し、化学反応・気液相間熱伝達の評価モデルを高度化した。テスト解析を実施し、本粒子法の結果をSERAPHIM(Na-水反応と非圧縮性を考慮した多次元多相流についての機構論的解析コード)の結果と比較した。このテスト解析を通じ、粒子法が低計算コストで現実的な温度分布を評価するという点について基本的な適用性が確認でき、また、LEAP-IIIとの連成によって伝熱管破断予測が可能であることも確認した。
小坂 亘; 内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 高田 孝; Jang, S.*
日本機械学会論文集(インターネット), 88(905), p.21-00310_1 - 21-00310_9, 2022/01
仮にナトリウム(Na)冷却高速炉の蒸気発生器(SG: Steam generator)内部の伝熱管から加圧された水/水蒸気が漏えいした場合、管内外の圧力差のため高流速かつ高温の腐食性ジェットを形成される。このジェットが隣接する管に新たな破損を生じさせ、管破損が伝播する可能性がある。このような伝熱管破損伝播事象の評価はNa冷却高速炉の安全性評価において重要である。数値解析コードLEAP-IIIは、実験相関式や1次元保存式などで構成され、事象進展に伴う水リーク率変化を低計算コストで評価できるが、構成モデルのひとつである現在の反応ジェット温度分布評価モデルでは、いくつかの条件において高温領域を過度に広く評価する。低計算コストという利点を生かしつつ、この温度分布評価を精緻化するため、工学的近似に基づいたLagrange粒子法コードを開発してきた。本論文では、管群内の流体挙動評価に注目し、管近傍の粒子挙動に関する新しいモデルを構築した。本粒子コードと既往の計算流体力学コードを用いてテスト解析を行い、構築したモデルにより、ターゲット管内部に粒子が侵入しない、管周りに粒子が広がる、最終的に浮力方向への運動に帰結する、という基本的な挙動が示されることを確認した。
小坂 亘; 内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 高田 孝; Jang, S.*
Proceedings of 28th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 28) (Internet), 6 Pages, 2021/08
ナトリウム冷却高速炉の蒸気発生器の安全性評価や設計において、ナトリウム-水反応で生じる多相流の影響を評価することは重要である。伝熱管より高圧水あるいは高圧水蒸気が漏洩した場合、腐食性で高温かつ高流速のジェットが形成され、隣接伝熱管の破損を引き起こす可能性がある。多数の伝熱管破損が発生することにより、冷却系における1次-2次系バウンダリの破損に至る。上述した現象の影響を考慮した水リーク率を短い計算時間で評価するために、数値解析コードLEAP-IIIが開発されてきた。しかしながら、現在のEAP-IIIでは、構成要素のひとつである温度分布評価モデルのために、いくつかの解析条件で過度な保守性を示している。この過度な保守性を適正化するため、新たに工学的近似を用いたラグランジュ粒子法を開発した。また、蒸気発生器内における水蒸気ジェットの時間発展を模擬するテスト解析を実施した。解析結果をSERAPHIM(圧縮性と化学反応を考慮した多次元多相流熱流動解析コード)による結果と比較した。このテスト解析により、本手法の基本的な適用性を確認した。
小坂 亘; 内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 高田 孝; Jang, S.*
第25回動力・エネルギー技術シンポジウム講演論文集(インターネット), 4 Pages, 2021/07
ナトリウム冷却高速炉蒸気発生器の安全性評価において、伝熱管破損伝播の事象進展予測をするための解析コードLEAP-IIIの整備を進めている。構成モデルのひとつである反応ジェット温度場評価モデルは、条件によっては高温領域を過度に広く評価することがある。この点を改善すべく、反応ジェット挙動をラグランジュ粒子で表現し、工学的観点に基づくモデルを取り入れた解析手法を開発した。解析結果を機構論的ナトリウム-水反応解析コードSERAPHIMによる結果と比較し、開発したモデルの妥当性を検討した。
丹羽 正和; 黒澤 英樹*; 小坂 英輝*; 生田 正文*; 高取 亮一*
JAEA-Data/Code 2017-009, 71 Pages, 2017/06
2011年東北地方太平洋沖地震から1ヶ月後に発生した福島県浜通りの地震では、それまで地質断層であるという見解もあった正断層が活動しており、地殻変動の規則性、継続性に基づく地質環境の長期予測の観点からは、地層断層の再活動が地層処分のサイト選定や安全評価に及ぼす影響を検討しておく必要がある。そこで筆者らは、海溝型地震などによる地殻応力・歪の変化に伴い地質断層が再活動する可能性を評価する手法を構築する目的で、南海トラフ巨大地震の想定震源域の西端部に位置し、沿岸域に正断層の存在が知られている宮崎平野を対象とした事例研究を進めてきた。本報告書は、宮崎平野における主に川南断層の活動履歴や活動性を明らかにするための地形・地質調査および試料分析の内容を取りまとめたものである。
丹羽 正和; 黒澤 英樹; 島田 耕史; 石丸 恒存; 小坂 英輝*
Pure and Applied Geophysics, 168(5), p.887 - 900, 2011/07
被引用回数:3 パーセンタイル:12.86(Geochemistry & Geophysics)地層処分の安全性を確保するためには、活断層からの適切な離間距離を設定することが重要な課題となる。断層破砕帯の力学的・水理学的影響を把握するための定量的な指標として、断層破砕帯から放出される水素ガスに着目し、これらの放出量と破砕物質の粒度組成の相関について検討した。その結果、水素ガス原位置測定結果は、粘土で充填された断層コアよりも、クラックの多いダメージゾーンの方が水素ガスの移行経路になりやすいことを示し、粒度分析の結果は、水素ガス濃度の高い花崗岩カタクレーサイトで細粒物質の割合が高くなることを示した。これらは、花崗岩カタクレーサイトでは粒子同士の粘着性が低く、細粒に分解されやすい、すなわち、流体の移行経路になるような微小割れ目・弱面が非常に多いことを示唆している。
常盤 哲也; 浅森 浩一; 新里 忠史; 野原 壯; 松浦 友紀*; 小坂 英輝*
Proceedings of 13th International Conference on Environmental Remediation and Radioactive Waste Management (ICEM 2010) (CD-ROM), p.407 - 413, 2010/10
地質環境の長期安定性を考えるうえで、地殻変動に関する情報を把握することは重要である。本研究では、幌延地域を事例として、GPSによる測地学的手法と地質断面を用いた地質学的手法による地殻の水平変位速度を推定するための検討を行った。その結果、両手法から求めた水平変位速度やその方向は類似していた。地層処分システムの長期挙動の予測では、その対象期間が万年オーダー以上となるため、一見地質学的手法が重要であると考えられる。しかし、今回の結果から、測地学的手法が長期の地殻変動を推定するうえで有益な情報を提供する可能性があることが明らかとなった。
黒澤 英樹; 石丸 恒存; 島田 耕史; 丹羽 正和; 小坂 英輝*; 斉藤 聡*; 二ノ宮 淳
JAEA-Research 2009-043, 144 Pages, 2010/01
地震・断層活動は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性を考慮するうえで重要な自然現象の一つである。最近、断層の活動性評価や、断層活動に伴う破断,変形などの影響範囲の把握を目的とした地球化学的調査手法の一つとして、市販の携帯型水素ガス濃度検知器を使って測定する手法が考案された。本研究では、この手法の実用化を図るため、検知器の設置方法や、大気中の水蒸気や測定孔の掘削に伴う擾乱などが測定値に与える影響について検討した。さらに、断層破砕帯における事例研究として、山崎断層帯を対象に広域的な水素ガスの原位置測定を行った。その結果、山崎断層帯沿い及びその延長上にある微小地震密集域に位置する破砕帯や割れ目から高濃度の水素ガスの放出が検知され、一方で、それらから大きく離れた位置にある破砕帯や割れ目からは高濃度の水素ガスの継続的な放出は認められなかった。以上から、本研究で用いた水素ガスの濃度測定法は、地中から放出される水素ガス濃度の原位置測定を広範囲かつ短期間で実施するのに有効な手法であることが確認された。
小坂 英輝*; 楮原 京子; 三輪 敦志*; 今泉 俊文*; 黒澤 英樹; 野原 壯
地学雑誌, 117(5), p.851 - 862, 2008/10
奥羽脊梁山脈及びその周辺に分布する後期鮮新世以降の地層は、東北日本の短縮変形ステージに属し、奥羽脊梁山脈周辺の断層褶曲帯の発達に伴い堆積したものと考えられる。奥羽脊梁山脈西縁を限る断層褶曲帯及び周辺の地質構造の発達過程を明らかにするために、奥羽脊梁山脈西縁に分布する後期鮮新統更新統(田沢層・栗沢層・千屋層)において露頭観察と地層中に挟在する酸性火山岩5試料のFT年代測定を行った。その結果、本断層褶曲帯の活動変遷に関連する地層の年代として、2.7
0.4
0.93
0.14Maが得られた。また層相の特徴を踏まえると、本地域で酸性火山活動のあった1Ma以前に断層活動に伴う地形変化が生じた可能性が高い。
楮原 京子*; 今泉 俊文*; 宮内 崇裕*; 佐藤 比呂志*; 内田 拓馬*; 越後 智雄*; 石山 達也*; 松多 信尚*; 岡田 真介*; 池田 安隆*; et al.
地学雑誌, 115(6), p.691 - 714, 2006/12
過去数万年数百万年の逆断層の活動性を明らかにするため、横手盆地東縁活断層帯が分布する千屋丘陵と地質構造の発達過程の研究を実施した。浅層反射法地震探査,詳細な地形調査,地質調査及び総括的なバランス断面法の解析により、千屋丘陵とそれを形成した断層の構造及びそれらの発達過程が明らかになった。地質調査では、継続的な断層活動の開始時期が2.7Maより後と推定され、総合的なバランス断面解析の結果は、前縁断層の形成開始時期が千屋丘陵北部より中部のほうが早いことを示唆した。また、地形調査の結果、千屋丘陵の形成時期はその中央部で最も早く(0.35Ma以降)、その後丘陵は断層活動に伴って隆起し、東に傾動しながら拡大したと推定される。
今泉 俊文*; 楮原 京子*; 大槻 憲四郎*; 三輪 敦志*; 小坂 英輝*; 野原 壯
活断層研究, (26), p.71 - 77, 2006/06
2005年夏に千屋丘陵の西麓(花岡地区)・大道川の河岸で、陸羽地震時に形成されたと考えられる断層露頭を発見した。この露頭によって、千屋断層の(陸羽地震時)地表トレースが地形境界に沿って大きく湾曲することが明確になった。このような逆断層のトレースの湾曲がどのように形成されたのか、逆断層の先端(地表)から地下の断層形状・構造を解明するうえでも重要な露頭と考えられる。
奥村 啓介; 大木 繁夫*; 山本 宗也*; 松本 英樹*; 安藤 良平*; 辻本 和文; 笹原 昭博*; 片倉 純一; 松村 哲夫*; 青山 卓史*; et al.
JAERI-Research 2004-025, 154 Pages, 2005/01
本報告書は、シグマ研究委員会・核燃料サイクル専門部会・核種生成量評価ワーキンググループ(WG)における平成1315年度の活動成果についてまとめたものである。同WGでは、軽水炉及び高速炉で照射されたUO
又はMOX燃料、及び高速炉で照射されたアクチノイド試料に対する照射後試験の解析を、JENDL-3.2, JENDL-3.3及びその他の海外の核データライブラリとORIGENコードやより詳細な解析コードを使用して行った。これらの結果から、核種生成量評価の予測精度の現状と問題点が論じられる。さらに、最新のJENDL-3.3に基づくORIGENコード用のPWR, BWR, FBR用の断面積ライブラリの作成,ORIGEN計算への中性子スペクトルインデックスの導入検討、及びORIGENユーザーへの核種生成量評価に対する期待精度のアンケート調査といった活動の成果についても報告する。
丹羽 正和; 島田 耕史; 黒澤 英樹; 石丸 恒存; 小坂 英輝*
no journal, ,
活断層帯の直上では、大気中の数10倍以上の濃度の水素ガスの放出が報告されており、これらは断層活動で破壊された岩石鉱物の表面と水との反応によって発生した水素が起源であると言われている。本研究では、断層破砕帯において水素ガスが地下深部からどのように移動するかを明らかにすることを目的として、破砕帯の複数地点で、携帯型水素ガス検知器を使用した水素ガス濃度の測定を行った。その結果、破砕帯の中でも透水性の高い断層角礫やカタクレーサイトでは、毎分60ppm以上の高濃度の水素ガスが放出される一方、透水性の低い断層ガウジでは、健岩部中の割れ目と同様、水素ガスの放出が数ppm以下となることが明らかとなった。この結果は、地下深部で生成された水素ガスが地下水に溶解し、破砕帯中の高透水部に沿って地表付近まで運ばれてくるとの仮説を強く支持する。
石丸 恒存; 島田 耕史; 丹羽 正和; 黒澤 英樹; 小坂 英輝*
no journal, ,
断層の活動性評価や地震予知を視野に入れた活断層での水素ガス濃度測定が行われているが、測定機器が大掛かりであるなどの問題があり、短期間で断層帯全体の水素ガスの分布を把握するのは困難であった。最近、Shimada et al. (2008)は、携帯型の水素ガス検知器を使用して断層破砕帯から放出される水素ガスの濃度を測定する手法を考案し、短期間で多地点の測定を実現した。この手法を用いることにより、活断層帯及びその周辺に発達する割れ目から放出される水素ガスの広域分布を把握し、断層活動に伴う破断,変形の影響範囲の評価などに貢献できることが期待される。本発表では、岐阜県北部の跡津川断層及びその周辺の破砕帯や割れ目を対象とした100地点以上での測定結果を紹介し、調査地域の微小地震分布,現世歪場との対応や、測定地点の破砕帯や割れ目の方向(姿勢)の関係、及び破砕帯を構成する断層岩の性状との関係などについて議論する。
生田 正文; 丹羽 正和; 高取 亮一; 黒澤 英樹*; 小坂 英輝*
no journal, ,
太平洋側の沿岸域に分布する活断層の中には、海溝型地震に誘発されて活動したものが知られている。2011年東北地方太平洋沖地震の際も、本震の1か月後に福島県浜通りの正断層が地震断層として活動した。プレート収束帯に位置する日本列島には正断層の分布が少なく、福島県浜通りの地震が発生するまでは、沿岸域の正断層を海溝型地震に誘発されて活動したものと捉えて本格的に研究された事例は皆無であった。そこで演者らは、宮崎県の沿岸域に正断層の分布が指摘されていることに着目し、これらの断層の活動履歴と、日向灘を含む地域の海溝型地震の履歴に関する研究を進めている。本発表ではおもに前者の内容について、空中写真判読及び地形・地質の現地踏査の進捗状況を報告する。
安江 健一; 島田 耕史; 佐々木 亮道; 田中 遊雲; 丹羽 正和; 石丸 恒存; 梅田 浩司; 立石 良*; 小坂 英輝*
no journal, ,
高速増殖原型炉もんじゅが位置している敦賀半島北部の河成段丘について、空中写真判読,測量,地表踏査,トレンチ調査,ボーリング調査,火山灰分析などの地形・地質学的データから分布や編年を明らかにした。敦賀半島北部の河川沿いには、低位段丘面が比較的広く分布し、その周辺に中位段丘面が僅かに分布する。これらの面は、それぞれさらに2面に分けられる。また、支流から低位段丘面上に向かって小規模な扇状地面が分布する。中位段丘面の一部は、MIS5b頃に離水したと考えられる。低位段丘面は、MIS2頃の堆積物であり、堆積開始はAT降灰(約3万年前)より古いと考えられる。もんじゅ建設前に実施されたトレンチ調査では、少なくともこの約3万年前以降の堆積物には、花崗岩中の破砕帯から連続する不連続面や乱れなどは観察されていない。
小坂 亘; 内堀 昭寛; 柳沢 秀樹*; 岡野 靖
no journal, ,
ナトリウム(Na)冷却高速炉の蒸気発生器の設計及び安全性評価のために、伝熱管内部の高圧水の漏えいに起因する一連の事象を評価することは重要である。解析コードLEAP-IIIは実験相関式も活用して短い計算時間で事象進展中の水リーク率を評価できるようにしている。しかし、現在の漏えい水/水蒸気と冷却材Naとの化学反応により形成される温度分布を評価するモデルにおいて過度な保守性が出現するケースがある。本研究では、これを改善すべく、粒子法をベースとした新たな簡易解析コードを開発してきた。LEAP-IIIへ組み込まれることを前提に考慮する現象を限定することで計算負荷をおさえつつ、より合理的な温度分布評価を可能とするべく開発を進めている。本発表ではこの粒子法コードを概説し、予備的な解析を通して基本的な適用性を確認したことを述べる。
黒澤 英樹; 石丸 恒存; 楮原 京子; 小坂 英輝*; 島田 耕史
no journal, ,
断層活動による周辺岩盤への影響を検討するうえでは、断層や節理群を含めた割れ目の特徴とその形成について理解することが重要である。すなわち、新たな割れ目の形成や割れ目の伸長,流体の移行経路の変化などを把握するため、活断層や地質断層近傍で、どのような割れ目が形成されているか、その特徴は何かなど、基礎的な情報・事例を蓄積する必要がある。筆者らは、このような断層活動の影響にかかわる調査手法の一つとして、断層破砕帯などから放出される水素ガスを利用した調査手法の適用性の検討を進めている。本調査では、跡津川断層から南へ約8km離れた飛騨市古川町杉崎における太江断層の断層露頭において、断層破砕帯や節理から放出されるガス(H, CH
, CO
)の濃度測定を行った。その結果、高濃度放出の地点は、主断層沿いと主断層から南側(下盤側)に離れたX面に対応される断層破砕帯に認められた。一方、低濃度放出または非放出の地点は、主断層沿いのR1面,P面に対応される断層破砕帯及び主断層から北側(上盤側)に離れたX面とP面に対応される節理に認められた。以上から、本手法の適用により断層周辺岩盤において、流体の移行経路となる割れ目を把握できる可能性が示された。
野原 壯; 小坂 英樹*; 楮原 京子*; 三輪 敦志*; 常盤 哲也; 今泉 俊文*
no journal, ,
活断層情報から求めた地殻歪とGPS情報から求めた地殻歪の不整合は、未知の活断層の存在を示す可能性があり、地層処分における課題のひとつである。この問題について本研究ではプレート固着域の影響が小さい天北地域の断層関連褶曲のひとつであるサロベツ断層帯を対象に検討した。断層関連褶曲の地殻短縮速度を推定するため、地質学的情報を用いたバランス断面法解析を実施した。サロベツ断層帯の平均的な短縮速度と測地学的情報とを比較した結果、両者の間には顕著な不整合は認められない。本研究の結果は、断層関連褶曲の長期的変遷の推定には、地質構造の変遷を踏まえた地殻短縮速度の調査が重要なことを示している。活断層の活動性の不確実性を低減するうえで、断層関連褶曲の地殻短縮速度に関連した複数の手法を組合せた多面的調査によるアプローチは有効と考えられる。