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北村 遼; 林 直樹; 平野 耕一郎; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 森下 卓俊; 根本 康雄*
Journal of Physics; Conference Series, 2687(7), p.072006_1 - 072006_6, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)大強度陽子ビームを計測するビームモニタにおいて熱負荷の緩和は重要な課題の一つである。近年、大強度陽子加速器施設(J-PARC)のフロントエンドでは、バンチシェイプモニタの標的プローブに高配向熱分解グラファイト(HOPG)材料が使用した。HOPGは熱伝導率が高いため、高熱負荷条件下でのビームプロファイルの測定に適している。HOPGの応用として、例えば、ワイヤスキャナモニタなどの横方向プロファイルモニタのターゲットワイヤの代替材料として、薄いHOPGを使用することが考えられる。ビームプロファイルモニタ用HOPGターゲットの可能性についてテストスタンドでの3MeV負水素イオンビームを用いた実験結果の一部から考察する。
北村 遼; 二ツ川 健太*; 林 直樹; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 森下 卓俊; 根本 康雄*; 小栗 英知
Physical Review Accelerators and Beams (Internet), 26(3), p.032802_1 - 032802_12, 2023/03
被引用回数:1 パーセンタイル:34.19(Physics, Nuclear)バンチシェイプモニター(BSM)はビーム輸送中にある地点での縦方向位相分布を測定して、縦方向ビームチューニングを行う際に有用な装置である。低エネルギー負水素(H)イオンビームの縦方向位相分布を測定するために、大強度ビーム負荷による熱負荷を軽減できるよう2次電子を放出する標的に高配向性グラファイト(HOPG)が採用した。このHOPGターゲットにより、50mA程度の高いピーク電流を持つ3MeV H
イオンビームの中心部で縦方向位相分布の測定が可能となった。テストスタンドでHOPG-BSMを用いて縦方向のバンチ幅を測定したところ、ビームシミュレーションと一致した。HOPG-BSMを用いて、ビーム横方向と縦方向の相関測定を実証した。HOPG-BSMを用いて、縦方向Qスキャン法により縦方向Twissとエミッタンスを測定した。
北村 遼; 林 直樹; 平野 耕一郎; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 根本 康雄*; 森下 卓俊
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.330 - 332, 2023/01
大強度陽子加速器施設J-PARCリニアックでは、フロントエンドの大強度・低速Hビームを測定するためにビーム熱負荷への耐久性を向上させた改良型バンチシェイプモニタ(BSM)を開発している。ビームと相互作用させるプローブに新素材であるグラファイト製標的を導入することで、これまで不可能であった大強度ビーム中心領域でのプロファイル測定を実現した。改良型BSMではビーム全体のプロファイルが測定可能になったため、BSMの特徴を生かした応用的なビーム診断手法を提案する。本講演では、二次電子計測による横プロファイル測定、横プロファイルからのビーム電流測定等、BSM本来の目的である縦方向測定の枠組みを超えてBSMの多様な運用可能性について議論する。
北村 遼; 二ツ川 健太*; 林 直樹; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 根本 康雄*; 森下 卓俊; 小栗 英知
JPS Conference Proceedings (Internet), 33, p.011012_1 - 011012_6, 2021/03
J-PARCリニアックフロントエンドの大強度3MeV Hのバンチ幅を測定するためには、新たなバンチシェイプモニター(BSM)が必要である。カーボンナノチューブワイヤーとグラフェンスティックは大強度ビームを測定するために十分な強度を持つ素材であるため、BSMの標的ワイヤーの良い候補である。しかしながらBSMではワイヤーに数kV以上の負極性高電圧を印加するために放電抑制が課題であった。ワイヤーからの放電による影響を調査するための高電圧試験の後、グラフェンスティックを用いてピーク電流55mAでビーム中心部における信号検出に初めて成功した。本講演ではバンチ幅測定のプレリミナリーな結果を報告する。
北村 遼; 二ツ川 健太*; 林 直樹; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 根本 康雄*; 森下 卓俊; 小栗 英知
Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.251 - 253, 2020/09
大強度・低エミッタンスな陽子ビーム加速を実現するため、空間電荷効果の影響が大きい低エネルギー領域での縦方向分布モニター(バンチシェイプモニター: BSM)の運用試験を進めている。BSM内部でビームを受ける二次電子生成標的に熱負荷耐性の良い高配向性グラファイト(HOPG)を導入したことで、既存のタングステン製標的で問題となっていた標的破損による計測中断が無くなり、安定した計測が可能となった。しかしHOPGを導入したBSMで初めて測定した縦方向バンチ位相分布はシミュレーションによる予想より広がっており、改善の余地がある。J-PARCリニアック棟テストスタンドのビームを利用して、BSMの応答特性を調査した。この試験ではBSMを構成する電子増倍管,偏向電磁石及びRFデフレクタの各パラメータの応答特性を調査・調整した。調整後に測定した縦方向バンチ位相分布はシミュレーションの予想分布と一致した。
北村 遼; 二ツ川 健太*; 林 直樹; 平野 耕一郎; 小坂 知史*; 宮尾 智章*; 守屋 克洋; 根本 康雄*; 小栗 英知
Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.51 - 54, 2019/07
J-PARCリニアックにおいてピーク電流60mAを超える大強度Hビームを供給する場合、高周波四重極リニアック(RFQ)後のビーム輸送系における縦方向測定と調整はビームロスとエミッタンス増大の削減のために重要である。大強度3MeVのH
ビームのバンチ幅測定にはエネルギー損失が小さくかつ高温耐性のあるカーボンナノチューブ(CNT)ワイヤーを用いた新しいバンチシェイプモニター(BSM)が必要である。しかし二次電子を引き出すためCNTワイヤーに高圧印加すると、放電が電圧印加の妨げとなる。それゆえ安定したバンチ幅測定のためには放電を抑制する必要がある。エミッタとしてのCNTの特性を考慮してワイヤー長を短くしたところ、-10kV高圧がワイヤーに印加できた。本講演ではこのBSMの最新の開発状況と将来の展望を報告する。
北村 遼; 林 直樹; 平野 耕一郎; 近藤 恭弘; 守屋 克洋; 小栗 英知; 二ツ川 健太*; 宮尾 智章*; 大谷 将士*; 小坂 知史*; et al.
Proceedings of 10th International Particle Accelerator Conference (IPAC '19) (Internet), p.2543 - 2546, 2019/06
バンチシェイプモニター(BSM)は縦方向位相空間分布を測定するための重要な装置の一つである。例えば、J-PARCリニアックではタングステンワイヤーを用いたBSMが加速空洞間のバンチ形状を測定するためACSセクションに3台導入されている。しかしながら、このBSMではRFQとDTLセクション間のビーム輸送系における3MeVのHビームのバンチ形状を測定することは、ビーム中心部でワイヤーが断線してしまうために困難である。そこで3MeVのH
ビームのバンチ形状を測定できるよう、カーボンナノチューブワイヤー(CNT)を用いた新たなBSMを開発している。CNTワイヤーに-10kVの高圧を印加するには細心の注意を要する。ワイヤーからの放電を抑制しつつBSMを運転するためにいくつかの対策を実施した。この講演ではCNT-BSMの最新の開発状況と将来の展望を報告する。
末國 晃一郎*; Lee, C. H.*; 田中 博己*; 西堀 英治*; 中村 篤*; 笠井 秀隆*; 森 仁志*; 臼井 秀知*; 越智 正之*; 長谷川 巧*; et al.
Advanced Materials, 30(13), p.1706230_1 - 1706230_6, 2018/03
被引用回数:58 パーセンタイル:89.35(Chemistry, Multidisciplinary)高性能デバイスとしての熱電材料には、高い電気伝導度と低い熱伝導度という相反する要求を同時に満たす必要がある。本研究では、テトラへドライト(Cu,Zn)(Sb,As)
S
の結晶構造とフォノンダイナミクスを調べ、平面内に配位している銅原子のラットリング運動がフォノンを効率良く散乱することを見出した。これらの知見は、平面配位構造を有する高性能熱電材料の新たな開発指針を与えるものである。
関尾 佳弘; 吉持 宏; 小坂 一郎; 平野 弘康; 小山 智造; 河村 弘
Proceedings of 52nd Annual Meeting of Hot Laboratories and Remote Handling Working Group (HOTLAB 2015) (Internet), 8 Pages, 2015/09
我が国では福島第一原子力発電所の廃止措置の安全かつ確実な遂行が重要な課題として位置付けられている。日本原子力研究開発機構は、福島第一原子力事故により発生した放射性廃棄物の処分方法の決定に資する分析、研究を行うこととなっている。この分析等は、福島第一原子力発電所サイトの大熊分析研究センター内に建設予定の2つの施設(第1棟,第2棟)において実施する予定である。第1棟では、がれき類や汚染水二次廃棄物等の放射性廃棄物に対する分析等を実施し、第2棟では燃料デブリや高線量構造材料等の取り扱いを計画している。現在、最先端技術や最新試験機器の導入に係る詳細な検討を進めている。
中島 多朗*; 満田 節生*; 高橋 慶一郎*; 吉冨 啓祐*; 増田 一也*; 金子 周史*; 本間 勇紀*; 小林 悟*; 北澤 英明*; 小坂 昌史*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 81(9), p.094710_1 - 094710_8, 2012/09
被引用回数:14 パーセンタイル:62.34(Physics, Multidisciplinary)We have investigated effects of applied uniaxial pressure () on magnetic phase transitions in a triangular lattice antiferromagnet CuFeO
(CFO) and a slightly Ga-substituted compound CuFe
Ga
O
(CFGO) with
= 0.018 by spherical neutron polarimetry. In both of CFO and CFGO (
= 0.018), the application of
significantly increases the transition temperature from the paramagnetic phase to a collinear incommensurate antiferromagnetic phase. This suggests that the application of
breaks equilateral symmetry of the triangular lattice and partially relieves geometrical spin frustration, which generally suppresses long-range magnetic orderings. Thus we demonstrated that uniaxial pressure can be an effective tool to control magnetic phase transitions in frustrated magnets.
中島 多朗*; 満田 節生*; 高橋 慶一郎*; 吉冨 啓祐*; 増田 一也*; 金子 周史*; 本間 勇紀*; 小林 悟*; 北澤 英明*; 小坂 昌史*; et al.
Journal of the Physical Society of Japan, 81(9), p.094710_1 - 094710_8, 2012/09
We have investigated effects of applied uniaxial pressure () on magnetic phase transitions in a triangular lattice antiferromagnet CuFeO
(CFO) and a slightly Ga-substituted compound CuFe
Ga
O
(CFGO) with
= 0.018. We have performed neutron diffraction, spherical neutron polarimetry, magnetic susceptibility and pyroelectric measurements under
up to 100 MPa applied on the [1
0] surfaces of the single crystal samples.
竹内 竜史; 小坂 寛; 佐藤 敦也*; 富山 眞吾*; 景山 宗一郎*; 池田 誠*
JAEA-Research 2011-008, 77 Pages, 2011/06
地下水涵養量を推定する方法の一つである水収支観測を実施するにあたっては、流域ごとにその規模や地形,地質などのさまざまな影響を受けるため、多くのさまざまな流域において、長期に渡る水収支観測が必要となる。しかし、すべての流域を対象として水収支観測を実施することは、多大な費用と長期に渡る観測期間を要することから、涵養量を効率的に推定する手法の確立が課題となっている。本研究では、水収支観測が実施されていない流域を含む広域の水収支を把握するための推定手法の適用性の確認を目的として、東濃地域(日吉川流域)を対象に数値標高モデルを用いた統計量解析を実施し、水収支におけるパラメータの一つである流出量の推定を行った。具体的には、地形計測及び主成分分析結果をもとに、表流水の流れやすさの指標である流出指標を算出した。また、流出指標と実測の流量観測データとを比較することにより、対象地域における流出量の推定を行った結果、対象地域における流出量推定結果は、6割程度の再現性となることが確認された。
白井 更知; 稲野 昌利; 福田 一仁; 小坂 一郎; 山中 淳至
JAEA-Research 2011-005, 95 Pages, 2011/03
東海再処理施設では集合体あたりの初期ウラン濃縮度最高4.2%,燃焼度最高55,000MWD/tの軽水炉低濃縮ウラン燃料,新型転換炉原型炉ふげんで照射されたふげん照射燃料(照射用36本燃料,照射用セグメント燃料,照射用ガドリニア燃料)を用いた再処理試験を計画している。一方、東海再処理施設は初期ウラン濃縮度を4%として臨界安全設計を行っている。このため初期ウラン濃縮度4.2%の軽水炉低濃縮ウラン燃料及びふげん照射燃料について臨界安全評価を行い、臨界安全であることを確認した。
白井 更知; 稲野 昌利; 福田 一仁; 小坂 一郎; 山中 淳至
JAEA-Research 2011-004, 60 Pages, 2011/03
東海再処理施設では燃焼度55,000MWD/tまでの軽水炉低濃縮ウラン燃料及び新型転換炉原型炉ふげんの照射燃料(MOX燃料)を用いた再処理試験を計画している。この再処理試験の実施に際しての安全性の確認は、施設内に存在する放射能量(内蔵放射能量)に基づき実施している。本報告では燃焼度55,000MWD/tまでの軽水炉低濃縮ウラン燃料及び新型転換炉原型炉ふげんの照射燃料(照射用36本燃料,照射用セグメント燃料,照射用ガドリニア燃料)を対象として安全性の確認に用いるために設定した内蔵放射能量について、計算に用いた方法・計算コード,核データライブラリ及びその計算条件について結果とともに整理し、さらに東海再処理施設の設計に用いられている軽水炉基準燃料との内蔵放射能量等を比較した。
中村 博文; 永井 俊尚; 須藤 俊幸; 小坂 一郎; 中崎 和寿; 須藤 真也; 中村 友隆; 中林 弘樹; 林 直人; 角田 大作
JAEA-Technology 2008-077, 276 Pages, 2008/12
日本原子力研究開発機構では、高速増殖炉サイクルの実用化を目指した研究開発として、「高速増殖炉サイクル実用化研究開発(FaCTプロジェクト)」を2007年度より実施している。再処理システムの研究開発においては、要素技術開発成果に基づき工学規模ホット試験を実施して革新的技術やシステム,プラントに関する性能,運転・保守等に関する実証データを提示するとともに、得られた技術的知見を実証施設の設計に反映することを計画している。本報告書は、上記の先進湿式法再処理システムについて工学規模ホット試験を行うための施設に関する設計検討の中間報告である。本報告書では、試験施設の設計成果に加えて、工学規模ホット試験の位置づけ,試験施設に求められる要求仕様や施設基本計画についても整理を行った結果も取りまとめた。また、本書では検討の幅を広げるために実施した幾つかのケーススタディの結果についても示した。
山田 秀徳*; 玉田 太郎; 小坂 恵*; 宮田 幸平*; 藤木 伸哉*; 田納 優*; 守屋 雅之*; 山西 守*; 本庄 栄二郎; 多田 宏子*; et al.
Protein Science, 16(7), p.1389 - 1397, 2007/07
被引用回数:41 パーセンタイル:60.54(Biochemistry & Molecular Biology)タンパク質の結晶格子は分子表面同士の相互作用からなっている。結晶格子内へのタンパク質の導入のため、ロイシンジッパー様の疎水的な相互作用をヒト膵臓RNase1のへリックス2へ導入した。野生型ヒトRNase1の結晶化はまだ報告をされていないが、4残基のロイシンを導入したRNase1では複数の結晶化条件で結晶を得た。そのX線結晶構造をウシRNaseAの立体構造を用いて分子置換法により決定した。こうして決定されたヒトRNase1の立体構造は、ウシRNaseAの立体構造と大変似ており、導入したロイシン残基を介して2分子のRNase1が疎水的なパッキングしていた。ロイシン導入の効果をさらに検討するために、導入したロイシン残基の数を3残基,2残基と減らした変異体を調製し結晶化を行った。これらの場合もロイシン残基による疎水的なパッキングが形成されていた。一方、ロイシン残基をヒトRNase1の別のへリックス(へリックス3)に導入し、効果を検証した。その結果、4残基のロイシンを導入した変異体でも結晶化し、4分子のRNase1が導入したロイシン残基を介してパッキングをしていることがわかった。これらの結果は、適切なロイシン導入により分子内対称性が生じ、より効果的に結晶化を促進する可能性を示す。
大久保 忠恒*; 佃由 晃*; 上村 勝一郎*; 村井 健志*; 後藤 健*; 土井 荘一*; 千田 康英*; 高阪 裕二*; 木戸 俊哉*; 村田 保*; et al.
日本原子力学会誌, 43(9), p.906 - 915, 2001/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)我が国の原子力発電では、ウラン資源の有効活用及び稼働率向上を目的として、高燃焼度化が進められており、その一環として通商産業省の支援のもと高燃焼度燃料等確証試験が実施されている。PWRにおいては、高燃焼変化が2段階のステップを踏んで進められており、ステップI燃料(~48GWd/t)は平成元年から使用が開始されている。本報告では、関電(株)高浜3号機で照射されたステップI燃料について照射後試験を行い、その照射挙動について解析・評価を行った。その結果、ペレット,燃料要素,被覆管及び燃料集合体の照射挙動は従来燃料の挙動データから予測される範囲であり、特異な挙動は見られないことが確認され、ステップI燃料の健全性・信頼性を確証することができた。
小坂 一郎; 野尻 一郎; 山内 孝道
JNC TN8410 99-017, 302 Pages, 1999/03
平成9年3月11日10時6分頃に発生した最初の火災を対象として、アスファルト充てん室R152での火災に起因するセル換気系排気の減少・喪失、換気系の制限運転への移行等により施設内の圧力が変化し、負圧が喪失していった過程を明らかにすることを目的に、FIRACコードを用いて施設内の圧力解析を実施した。FIRACコードは、火災時のセル・換気系等の圧力・温度等を解析するものであり、米国で開発され、動燃においても導入・整備されてきたものである。解析においては、アスファルト固化処理施設全体をモデル化の対象とし、火災時の発熱量などの条件についてはパラメータとし、その違いを検討することで火災時の事象の進展を推測した。解析によって、FIRACコードの施設全体の解析への適用性が確認されたとともに、事故時のセル・室の圧力挙動については、換気系統による違いがみられ、換気系の構成が火災事故時の事象の進展に影響することが解析的に確認できた。また、Z施設への流出を考慮すると、換気系内部に通常と異なる逆流状態に至る部分が生じることが確認できた。
大森 栄一; 須藤 俊幸; 清水 武彦; 小坂 一郎; 駿河谷 直樹; 清水 義雄; 角 洋貴
JNC TN8410 99-005, 274 Pages, 1999/02
アスファルト固化処理施設火災・爆発事故の原因究明活動の結果、過去の施設についても最新の知見を取り入れて火災爆発等に対する安全性を確保すべきとの反省点が摘出された。そこで東海再処理施設についての最新の知見やこれまでに蓄積した運転経験等を基に、火災爆発を中心とした施設の安全性を確認した。本報告書は、上記の安全性確認作業のうち、東海再処理施設の事故の拡大防止策及び影響緩和策の検討並びに仮想的事故の評価についてまとめたものである。事故の拡大防止策及び影響緩和策の検討では、有機溶媒火災、ヒドラジンの急激な分解反応、放射性物質の漏洩、短時間の全動力電源の喪失を想定した検討を行い、火災、爆発に対するフィルタの有効性や漏洩に対する回収系の有効性等を確認し、一部漏洩に伴う事故拡大防止に係る改善項目を摘出し、設備改善や運転要領書の改訂などの対応をとることとした。また、仮想的事故の評価では、溶解槽の臨界事故、抽出器の有機溶媒火災事故を想定した評価を行い、東海再処理施設と一般公衆との離隔が適切に確保されていることを確認した。
小坂 一郎; 山内 孝道; 藤田 秀人
PNC TN8410 98-027, 114 Pages, 1998/02
平成9年3月11日、アスファルト固化処理施設において、アスファルト固化体を充てんしたドラムから火災が発生し、その後、同施設で爆発が発生した。火災後に爆発に至った原因として、セル・建家換気系停止後も運転を継続していた槽類換気系からの排気がセル換気系を通じてアスファルト充てん室に流入し、室内に滞留していた可燃性物質を希釈し、爆発限界範囲となったことが考えられている。このため、セル換気系停止時における槽類換気系からアスファルト充てん室及びその他のセルへ逆流した空気流量の試算を行った。計算には、セル・換気系等のネットワークを体積要素と抵抗要素に分け、流体の温度・圧力・流量等を集中定数的に解析するノード・ ジャンクション法を採用したFIRACコードを使用することとした。計算の結果、アスファルト充てん室のリーク率を、差圧40mmAqに対し650m3/hとし、その他のセルのリーク率を差圧40mmAqに対し1vol%/hとした場合、槽類換気系からの逆流流量は、アスファルト充てん室について約94m3/h、その他のセルへの逆流はわずかであった。また、すべてのセルのリーク率を差圧40mmAqに対し1vol%/hとした場合、槽類換気系からの逆流はアスファルト充てん室が約34m3/h、地下階セルが約39m3/h、その他のセルは510m3/hであった。