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今野 力; 太田 雅之*; 権 セロム*; 大西 世紀*; 山野 直樹*; 佐藤 聡*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(9), p.1046 - 1069, 2023/09
被引用回数:5 パーセンタイル:97.88(Nuclear Science & Technology)JENDL委員会Shielding積分テストWGの下で、遮蔽分野でのJENDL-5の妥当性が検証された。この検証では次の実験が選ばれた。JAEA/FNSでの体系内実験、大阪大学OKTAVIANでのTOF実験、ORNLでのJASPERナトリウム実験、NISTでの鉄実験、QST/TIARAでの遮蔽実験。これらの実験をMCNPと最新の核データライブラリ(JENDL-5, JENDL-4.0あるいはJENDL-4.0/HE, ENDF/B-VIII.0, JEFF-3.3)を用いて解析した。その結果、JENDL-5はJENDL-4.0あるいはJENDL-4.0/HE, ENDF/B-VIII.0, JEFF-3.3と同等かそれ以上に良いことがわかった。
今野 力; 権 セロム*
EPJ Web of Conferences, 284, p.15010_1 - 15010_4, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.21(Nuclear Science & Technology)JENDL開発のために、原子力機構FNSの鉄体系内実験の解析を2次元SnコードDORTと最新の核データライブラリ(JEND-4.0,ENDF/B-VIII.0,JEFF-3.3)を用いて行った。その結果、ENDF/B-VIII.0を用いた計算結果はJEND-4.0とJEFF-3.3を用いた計算結果より、測定値との一致が悪い(数keV以下の中性子束の過大評価、0.3MeV以上の中性子に感度のあるIn(n,n')In反応の反応率の過小評価、10MeV以上の中性子束の過小評価)ことを見つけた。詳細な解析で、ENDF/B-VIII.0のFe56の非弾性散乱の断面積が数keV以下の中性子束の過大評価とIn(n,n')In反応の反応率の過小評価を引き起こし、ENDF/B-VIII.0のFeの弾性散乱の角度分布と(n,2n)反応断面積が10MeV以上の中性子束の過小評価の原因であることを特定した。
岩本 修; 岩本 信之; 国枝 賢; 湊 太志; 中山 梓介; 安部 豊*; 椿原 康介*; 奥村 森*; 石塚 知香子*; 吉田 正*; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(1), p.1 - 60, 2023/01
被引用回数:75 パーセンタイル:99.99(Nuclear Science & Technology)The fifth version of Japanese Evaluated Nuclear Data Library, JENDL-5, was developed. JENDL-5 aimed to meet a variety of needs not only from nuclear reactors but also from other applications such as accelerators. Most of the JENDL special purpose files published so far were integrated into JENDL-5 with revisions. JENDL-5 consists of 11 sublibraries: (1) Neutron, (2) Thermal scattering law, (3) Fission product yield, (4) Decay data, (5) Proton, (6) Deuteron, (7) Alpha-particle, (8) Photonuclear, (9) Photo-atomic, (10) Electro-atomic, and (11) Atomic relaxation. The neutron reaction data for a large number of nuclei in JENDL-4.0 were updated ranging from light to heavy ones, including major and minor actinides which affect nuclear reactor calculations. In addition, the number of nuclei of neutron reaction data stored in JENDL-5 was largely increased; the neutron data covered not only all of naturally existing nuclei but also their neighbor ones with half-lives longer than 1 day. JENDL-5 included the originally evaluated data of thermal scattering law and fission product yield for the first time. Light charged-particle and photon induced reaction data were also included for the first time as the JENDL general purpose file.
今野 力; 権 セロム*
JAEA-Conf 2022-001, p.123 - 128, 2022/11
TENDL-2019の多くの核種、JEFF-3.3のいくつかの核種の捕獲反応から放出される2次ガンマ線に高エネルギーガンマ線ピークがないことを見つけた。この問題は、数keV以下の中性子エネルギーで放射線損傷計算で使われる損傷エネルギー断面積を極端に小さくしてしまうだけでなく、遮蔽計算で生成するガンマ線を減少させてしまう。TENDL-2019とJEFF-3.3の問題の核種の2次ガンマ線のエネルギー分布は修正が必要である。
今野 力; 多田 健一; 権 セロム*
Proceedings of 14th International Conference on Radiation Shielding and 21st Topical Meeting of the Radiation Protection and Shielding Division (ICRS-14/RPSD 2022) (Internet), p.440 - 443, 2022/11
JENDL-4.0の多群ファイルMATXSLIB-J40を用いて、中心に20MeVの中性子源のある半径1mの非分離共鳴データのある単一核種でできた物質の球の中性子スペクトルをANISNコードで計算したところ、不自然な中性子スペクトルになった。この問題の原因を調べ、NJOYコードの非分離共鳴処理で作られる仮想的な断面積セットにおける断面積の非現実的な深い谷が原因で、NJOYで作られたMATXS多群ファイルを用いたSn計算で妥当な結果を得ることができないことを明らかにした。また、NJOYを修正することにより、この問題を解決できることも示した。
権 セロム*; 今野 力; 太田 雅之*; 佐藤 聡*
Annals of Nuclear Energy, 169, p.108932_1 - 108932_7, 2022/05
被引用回数:2 パーセンタイル:48.47(Nuclear Science & Technology)最近、TENDL-2017のアルファ粒子サブライブラリのBe-9の3つのENDFファイルの一つの中性子生成データに問題があることが指摘された。そこで、核融合中性子源A-FNSの核設計で使う可能性のあるTENDL-2017の重陽子サブライブラリのBe-9の3種類のENDFファイルのテストを行った。その結果、中性子生成断面積、生成中性子エネルギースペクトルが3種類のENDFファイル間で大きく異なることを見つけ、その原因も特定した。また、最新のTENDL-2019でTENDL-2017の問題のいくつかは改善されたが、まだ問題が残っていることも明らかにした。
今野 力; 権 セロム*
Proceedings of Joint International Conference on Supercomputing in Nuclear Applications + Monte Carlo 2020 (SNA + MC 2020), p.320 - 325, 2020/10
FENDL-3.1dの非分離共鳴データのある33核種で、ACEファイルに入っている発熱数の確率テーブル(p-table)に負の値があることを見つけ、その原因を調べた。その結果、問題の核種はエネルギーバランスが崩れているためエネルギーバランス法で計算される捕獲反応の部分KERMA係数が異常に大きくなること、FENDL-3.1dでは運動学的手法で全反応のKERMA係数を計算していることがわかった。このため33核種のNJOY処理で問題が生じ、発熱数のp-tableに負の値が入ったと考えられる。この問題への対処方法として2つの方法を考案し、FENDL-3.1dのACEファイルを作り直し、発熱数のp-tableに負の値がないことを確認した。
権 セロム*; 今野 力; 太田 雅之*; 春日井 敦*
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(3), p.344 - 351, 2020/03
被引用回数:1 パーセンタイル:10.65(Nuclear Science & Technology)核融合中性子源A-FNSの設計のためFENDL-3.1dを用いて計算した鉄のDPAエネルギースペクトルで20MeV付近に不自然な凹みが見つかった。この原因を詳細に調べた結果、FENDL-3.1dのFeの20MeV近傍の残留核生成収率に問題があり、そのためDPA断面積に不自然な凹みが生じていることを見つけ、このデータを修正することにより、鉄のDPAエネルギースペクトルの20MeV付近の不自然な凹みがなくなることを確認した。さらに、FENDL-3.1dのFe以外核種の20MeV以上のDPA断面積を調べたところ、FENDL-3.1dに入っている70%の核種で同様の問題が起こっていることがわかった。
今野 力; 権 セロム*
JAEA-Conf 2019-001, p.167 - 172, 2019/11
TENDL(TALYSベース核データライブラリ)は、標準核データライブラリとして世界中で、特に、ヨーロッパで使われている。我々も2016年からTENDL-2015を研究に使っている。その中で、TENDL-2015の公式ACEファイルに2つの問題を見つけた。(1)非分離共鳴データのある多くの核種の中性子サブライブラリのACEファイルに非分離共鳴データがない。非分離共鳴の自己遮蔽が大きい場合、計算結果は正しくない。(2)中性子サブライブラリだけでなく、陽子,重陽子,三重水素,ヘリウムサブライブラリの多くの核種のACEファイルに2次線データがない。これはNJOYの不適切な入力データが原因である。MCNPは粒子生成データを線生成データと間違って読み込んでしまい、正しくない線を生成してしまう。最新のTENDL-2017の公式ACEファイルにおいても主要核種(中性子サブラリブラリでは556核種、陽子,ヘリウムサブラリブラリでは283核種)以外の核種でこれらの問題が依然残っていることに注意する必要がある。
権 セロム*; 今野 力; 太田 雅之*; 落合 謙太郎*; 佐藤 聡*; 春日井 敦*
Fusion Engineering and Design, 144, p.209 - 214, 2019/07
被引用回数:4 パーセンタイル:40.00(Nuclear Science & Technology)先進核融合中性子源A-FNSの核設計で重要な20MeV以上の核データライブラリ検証のために、QST/TIARAの40MeV, 65MeV準単色中性子入射鉄遮蔽実験を使ってTENDL-2017のベンチマークテストを行った。計算で得られた中性子スペクトルに30MeV付近で不自然な山が生じることが見つかった。この原因を詳細に調べた結果、30MeV中性子入射のFe, Fe, Feの2次中性子スペクトルデータに問題があり、不自然な山が生じることを明らかにした。同じ問題がTENDL-2017, TENDL-2015, FENDL-3.1dの多くの核種で起こっていることもわかった。
今野 力; 権 セロム*; Fischer, G.*
ANS RPSD 2018; 20th Topical Meeting of the Radiation Protection and Shielding Division of ANS (CD-ROM), 4 Pages, 2018/08
1998年にIAEAはFENDL-2.0のMATXSファイルのためにTRANSX2.15に対する2つのパッチを独自に公開した。最初のパッチは全てのMATXSファイルの処理に必要であるが、TRANSX2.15に公式に含まれていないため、あまり知られていない。このパッチの効果を簡単な計算で調べた結果、オリジナルのTRANSXで作成した自己遮蔽補正をした多群ライブラリを用いたSn計算で、炭素より重い核種で生じていた中性子束の過大評価(炭素近くの核種で顕著)をこのパッチが解消することがわかった。このパッチは不可欠なので、TRANSX2.15に公式に含まれるべきである。
今野 力; 権 セロム*; 太田 雅之*; 佐藤 聡*
JAEA-Conf 2017-001, p.117 - 122, 2018/01
FENDL-3の修正版FENDL-3.1bが2015年10月に公開された。そこで、以前IAEAに報告したFENDL-3の問題に対し、FENDL-3.1bの中性子入射データのテストを行った。20MeV以上のMATXSファイルの問題はFENDL-3をNJOY2012.50で処理することにより修正された。KERMA係数とDPA断面積については、IAEAはNの捕獲反応の間違っているQ値を修正し、NJOY2012.50でKERMA係数とDPA断面積を再計算した。異常に大きいガス生成断面積を除いて、多くのKERMA係数とDPA断面積は良くなっていることを確認した。しかし、ガス生成データのNJOYでの処理に新たな問題が見つかり、その原因がNJOYのバグにあることを指摘した。また、IAEAでのSnとSnのNJOYでの処理トラブルについても調べ、NJOYの修正ファイルの一つがこのトラブルを引き起こしていることを特定した。
権 セロム*; 今野 力; 太田 雅之*; 佐藤 聡*; 落合 謙太郎*
JAEA-Conf 2017-001, p.123 - 128, 2018/01
ENDF/B-VIIIの版, ENDF/B-VIII2、が2016年8月に公開された。そこで、量子科学技術研究開発機構TIARAでの40及び65MeV中性子入射鉄、コンクリート遮蔽実験でのENDF/B-VII.1のOとFeに起因する過大評価の問題がENDF/B-VIII2で改善したかどうかを調べた。ENDF/B-VIII2のACEファイルをNJOY2012.50コードで作り、MCNP-5コードで解析を行った。比較のため、ENDF/B-VII.1, FENDL-3.1bとJENDL-4.0/HEを用いた解析も行った。その結果、以下のことがわかった; (1)Feに起因する約40MeVの中性子の大幅な過大評価は改善された、(2)Feに起因する約65MeVの中性子の過大評価も若干改善されたが、FENDL-3.1bよりは悪かった、(3)Oに起因する中性子の大幅な過大評価は改善されなかった。これらの結果を考慮して、ENDF/B-VIIIの最終版は作られるべきである。
権 セロム*; 太田 雅之*; 佐藤 聡*; 今野 力; 落合 謙太郎*
Fusion Engineering and Design, 124, p.1161 - 1164, 2017/11
被引用回数:2 パーセンタイル:19.24(Nuclear Science & Technology)磁場閉じ込め式核融合炉システムの超伝導コイルやIFMIF加速器中性子源でよく使われる銅の核データベンチマーク実験を原子力機構の核融合DT中性子源FNSで実施したが、閾反応以外の結果で計算値が実験値を大きく過小評価しており、共鳴領域で銅核データの弾性散乱、捕獲反応断面積に問題がある可能性を指摘した。そこでグラファイト付銅実験体系を提案し、低エネルギー成分を増やした入射中性子場を設けて新ベンチマーク実験を実施した。放射化箔を用いて反応率を測定し、この実験解析をMCNPコード、最新の核データライブラリーを用いて行った。しかし、未だに低エネルギー中性子に感度を有する反応の反応率は計算値が実験値を大幅に過小評価した。銅核データの詳細検討より、前回試験的に作成した修正核データを用いることでこの過小評価の解消できることを明らかにした。この結果で低エネルギー中性子成分が多い中性子場でもこの断面積の修正の妥当性を確認できた。
権 セロム*; 太田 雅之*; 佐藤 聡*; 今野 力; 落合 謙太郎*
Fusion Science and Technology, 72(3), p.362 - 367, 2017/10
被引用回数:6 パーセンタイル:50.47(Nuclear Science & Technology)鉛は核融合炉システムで中性子増倍、トリチウム増殖及び冷却材の候補材料である。更に線の遮蔽材でもあり、IFMIF加速器中性子源ではビームダンプ、機器の遮蔽への使用が期待されている。7年前に鉛の核データベンチマーク実験を原子力機構のDT中性子源FNSで実施したが、低エネルギー中性子に感度を有する反応の結果に実験室壁等の散乱によるバックグランド中性子の影響が含まれていた。そこでバッググランド中性子を吸収する酸化リチウムで囲んだ鉛実験体系で新たなベンチマーク実験を実施した。放射化箔を用いて反応率を測定し、この実験解析をMCNPコード、最新の核データライブラリーを用いて行った。7年前に測定できなかった低エネルギー中性子に感度を有する反応の反応率の測定には成功したものの、全ての反応率結果で鉛体系表面からの距離とともにどの核データライブラリーを用いた計算値も実験値を過小評価する傾向が見られた。鉛核データの詳細検討により計算値の過小評価原因として考えられる核データ間の差を指摘した。
今野 力; 松田 規宏; 権 セロム*; 太田 雅之*; 佐藤 聡*
EPJ Web of Conferences, 153, p.01024_1 - 01024_6, 2017/09
被引用回数:4 パーセンタイル:90.42(Nuclear Science & Technology)2015年11月に公開されたJENDL-4.0/HEの中性子入射データベンチマークテストとして、原子力機構TIARAでの40MeV、65MeV準単色中性子によるコンクリートと鉄の遮蔽実験の解析を行った。解析には、モンテカルロコードNCNP-5とNJOY2012で作成したJENDL-4.0/HEのACEファイルを用いた。その結果、JENDL-4.0/HEを用いた計算はコンクリート遮蔽実験をよく再現するものの、鉄遮蔽実験を過小評価することがわかった。核データを詳細に調べた結果、JENDL-4.0/HEのFeの弾性散乱外断面積が65MeV付近で大きく、これが鉄遮蔽実験での過小評価の原因であると考えられる。
今野 力; 多田 健一; 権 セロム*; 太田 雅之*; 佐藤 聡*
EPJ Web of Conferences, 146, p.02040_1 - 02040_4, 2017/09
被引用回数:5 パーセンタイル:93.62(Nuclear Science & Technology)これまでに核データライブラリーの公式のACEファイルに内蔵されている多くの核種のKERMA係数、DPA断面積が以下の理由で異なっていることを指摘してきた。(1)核データの誤り、(2)NJOYのバグ、(3)非常に大きなヘリウム生成断面積、(4)mf6 mt102データ、(5)2次粒子のエネルギー角度分布データがないこと。今回、JENDL-4.0, ENDF/B-VII.1, JEFF-3.2のKERMA係数, DPA断面積をより詳細に調べた。その結果、核データリブラリー間でのKERMA係数、DPA断面積の差の新たな原因を見出した。新たな原因は、以下に分類される。2次荷電粒子データがないこと、2次線データがないこと、妥当でない2次線スペクトル、妥当でない粒子生成収率、捕獲反応をmf12-15 mt3データに格納すること。これらの原因のいくつかはNJOYコードが対応していないことによると思われる。問題のあるJENDL-4.0, ENDF/B-VII.1, JEFF-3.2のACEファイルは本研究をもとに改訂すべきである。
太田 雅之*; 権 セロム*; 佐藤 聡*; 今野 力; 落合 謙太郎*
Fusion Engineering and Design, 114, p.127 - 130, 2017/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)日本が検討している核融合中性子源のターゲットシステム構造材料として用いられる予定のSUS316Lには、数%のモリブデンが含まれている。以前モリブデンの核データベンチマーク実験を原子力機構の核融合DT中性子源FNSで実施し、数100eV以上のエネルギー領域における問題点を指摘してきた。今回さらに、グラファイトで囲んだ新たな実験体系を提案し、より低エネルギーまで検証可能なベンチマーク実験を実施した。放射化箔と小型核分裂計数管を用いて反応率と核分裂を測定し、モンテカルロ計算コードMCNPと最新の核データライブラリーを用いた計算と比較を行い、Moの45eV付近の共鳴のテール部分の(n,)断面積を過小評価している可能性を示した。
今野 力; 佐藤 聡; 太田 雅之; 権 セロム; 落合 謙太郎
Fusion Engineering and Design, 109-111(Part B), p.1649 - 1652, 2016/11
被引用回数:8 パーセンタイル:59.58(Nuclear Science & Technology)今回、最新の核データJENDL-4.0, ENDF/B-VII.1, JEFF-3.2, FENDL-3.0の公式のACEファイルにあるKERMA係数, DPA断面積を詳細に調べたところ、以下の問題点を見つけた。(1)核データの誤りやNJOYコードのバグにより、低エネギー中性子でエネルギーが小さくなるにつれてKERMA係数, DPA断面積が大きくならない。(2)低エネルギー領域で非常に大きなヘリウム生成断面積により非常に大きなKERMA係数, DPA断面積になる。(3)NJOYコードはFile12-15ではなくFile6に捕獲反応の線データが入っていると正しく処理できないようである。(4)運動学的手法のKERMA係数は、2次粒子の詳細なデータがないと正しくない。本研究をもとにこれらの問題を解決すべきである。
佐藤 聡*; 権 セロム*; 太田 雅之*; 落合 謙太郎*; 今野 力
Proceedings of 26th IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2016) (CD-ROM), 8 Pages, 2016/10
約20年前に核融合炉材料の核データライブラリーの検証を目的として、JAEA/FNSのDT中性子源を用いてタングステン, バナジウム 銅の積分実験を行い、低エネルギー中性子に感度を有する測定値を計算値が大きく過小評価することを報告した。この計算の過小評価の原因として実験室の壁からの散乱中性子が考えられたため、今回、散乱中性子を吸収する酸化リチウムでこれらの体系の周りを囲んだ実験体系を用いて新たな積分実験を行った。また、モリブデンとチタンについても同様の積分実験を行った。これらの実験の解析をMCNP5-1.40とENDF/B-VII.1, JEFF-3.2, JENDL-4.0を用いて行った。その結果、以前のタングステン, バナジウム積分実験において見られた計算の過小評価は今回大幅に改善し、タングステンとバナジウムの核データに問題がないことがわかった。一方、銅積分実験での計算の過小評価はあまり改善されず、モリブデン, チタン積分実験でも計算値と実験値の一致は悪かった。核データの部分的変更も含む詳細な実験解析を行い、銅, モリブデン, チタンの核データの問題点を明らかにした。