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古田 琢哉; 前山 拓哉*; 石川 顕一*; 福西 暢尚*; 深作 和明*; 高木 周*; 野田 茂穂*; 姫野 龍太郎*; 林 慎一郎*
Physics in Medicine & Biology, 60(16), p.6531 - 6546, 2015/08
被引用回数:24 パーセンタイル:67.71(Engineering, Biomedical)現在の粒子線がん治療の治療計画に用いられている簡易的な線量解析では、軟組織と骨の境界等の不均質な領域で線量分布の再現性が低いことが知られており、より高精度なモンテカルロ計算による治療計画の実現が求められている。そこで、現状のモンテカルロ計算による線量解析で、治療に即した状況での精度を検証することを目的として、生体物質中での線量分布を実験により比較検証した。具体的には、生体物質として骨付き鶏肉を用意し、これを挿入した容器の背後にPAGATゲル線量計を配置し、炭素線ビームを前方から照射することで、不均質な生体物質を通り抜けた炭素線によってゲル線量計内に形成される複雑な線量分布の比較を行った。シミュレーションではCTイメージから再構成された生体物質を含む実験環境を模擬し、粒子・重イオン輸送計算コードPHITSを用いて炭素線の輸送を計算することで、ゲル線量計内の線量分布を導出した。その結果、実験での炭素線の飛程端が作る複雑な線量分布の構造について、シミュレーションにより2mm程度の違いの範囲でよく再現できることを示した。
古田 琢哉; 佐藤 達彦; 小川 達彦; 仁井田 浩二*; 石川 顕一*; 野田 茂穂*; 高木 周*; 前山 拓哉*; 福西 暢尚*; 深作 和明*; et al.
Proceedings of Joint International Conference on Mathematics and Computation, Supercomputing in Nuclear Applications and the Monte Carlo Method (M&C + SNA + MC 2015) (CD-ROM), 9 Pages, 2015/04
粒子・重イオン輸送計算コードPHITSには計算時間短縮のために、二種類の並列計算機能が組み込まれている。一つはメッセージパッシングインターフェイス(MPI)を利用した分散メモリ型並列計算機能であり、もう一つはOpenMP指示文を利用した共有メモリ型並列計算機能である。それぞれの機能には利点と欠点があり、PHITSでは両方の機能を組み込むことで、利用者のニーズに合わせた並列計算が可能である。また、最大並列数が8から16程度のノードを一つの単位として、数千から数万というノード数で構成されるスーパーコンピュータでは、同一ノード内ではOpenMP、ノード間ではMPIの並列機能を使用するハイブリッド型での並列計算も可能である。それぞれの並列機能の動作について解説するとともにワークステーションや京コンピュータを使用した適用例について示す。
前山 拓哉*; 福西 暢尚*; 石川 顕一*; 古田 琢哉; 深作 和明*; 高木 周*; 野田 茂穂*; 姫野 龍太郎*; 福田 茂一*
Radiation Physics and Chemistry, 107, p.7 - 11, 2015/02
被引用回数:17 パーセンタイル:78.00(Chemistry, Physical)粒子線治療で正常組織への不要な照射を避けるため、照射による三次元線量分布の正確な測定の重要性が増している。そこで、代表的なゲル線量計であるVIPポリマーゲル線量計について、炭素線照射による三次元線量分布の測定への適用性を調べた。ゲル線量計は放射線照射後のMRI分析で線量分布を読み出すことができるが、線量とMRIシグナルの比例関係は線量に寄与する放射線の線エネルギー付与(LET)により変化する。本研究でも、炭素線のLETのエネルギー依存性から、ブラッグピークのようにエネルギーが大きく変化する場合、MRI分析の結果から線量分布へ単純に変換できないことを確認した。さらに、入射エネルギーが違う場合、同じ線量平均LETを持つブラッグピークの深さでも、線量とMRIシグナルとの関係が異なることが分かった。これは核反応で生じる二次粒子の寄与によるものであり、本研究により、線量とMRIシグナルの関係付けにおいて、先行研究で示された線量平均LETを指標とするのではなく、線量に寄与する各粒子のLETに着目する必要があることを解明した。また、この関係を用いることで、実測で得られるMRIシグナル分布をPHITSコードにより、再現できることを示した。
山下 真一; Baldacchino, G.*; 前山 拓哉*; 田口 光正; 室屋 裕佐*; Lin, M.*; 木村 敦; 村上 健*; 勝村 庸介
Free Radical Research, 46(7), p.861 - 871, 2012/07
被引用回数:26 パーセンタイル:54.39(Biochemistry & Molecular Biology)クマリンの水溶性誘導体であるクマリン-3-カルボン酸(C3CA)の水溶液中における放射線誘起化学反応について電子線パルスラジオリシス、Co
線照射後の最終生成物分析,決定論的モデルシミュレーションによって調べた。C3CAは水和電子だけでなくOHラジカルとも拡散律速相当の速度定数(それぞれ2.1
10
, 6.8
10
M
s
)で反応することがわかった。O
に対する反応性は確認されなかった。蛍光物質7-ヒドロキシ-クマリン-3-カルボン酸(7OH-C3CA)は高速液体クロマトグラフィに接続した蛍光光度計により検出した。この7OH-C3CAの生成収率は、照射条件により差はあるものの、0.025から0.18(100eV)
であった。C3CA濃度, 飽和気体, 添加剤に対する7OH-C3CA収率の変化から、C3CAによるOHラジカル捕捉から7OH-C3CAが形成されるまでには少なくとも二つの経路(過酸化後のHO
ラジカル放出及び不均化反応)があることが示された。これらの経路を含む反応機構を提案し、シミュレーションを実施した。OHラジカル捕捉後の7OH-C3CAへの変換効率を4.7%とすることで測定結果をよく説明できた。
前山 拓哉*; 山下 真一; 田口 光正; Baldacchino, G.*; Sihver, L.*; 村上 健*; 勝村 庸介
Radiation Physics and Chemistry, 80(12), p.1352 - 1357, 2011/12
被引用回数:14 パーセンタイル:69.81(Chemistry, Physical)クマリン-3-カルボン酸(CCA)水溶液の放射線分解では水分解生成物であるOHラジカルによりCCAが酸化されて一定の比率で蛍光プローブになる。このことを利用し、HIMAC施設において135, 290, 400MeV/uの炭素イオンを水に照射した際のOHラジカル収率をブラッグピーク付近で測定した。ブラッグピークで停止するまでの間に入射イオンはエネルギーを失い、LETが増加するため、トラック構造が密となることを反映してOHラジカル収率が減少する一方、ブラッグピークよりさらに深い下流の領域では核破砕で生成した軽くてLETの低いHやHeなどの二次イオンの照射により、OHラジカル収率は急激に高くなることを明らかにした。核破砕を考慮して上記のようなOHラジカル収率の変化を定量的に説明するために粒子・重イオン汎用3次元モンテカルロコードPHITSを用いて粒子輸送計算を実施したところ、ブラッグピークより上流の領域では測定結果を精度よく説明できた。しかしブラッグピークより下流の領域では測定値に対して、シミュレーションに基づく推定値は15-45%過小評価となり、この差異は線量測定で用いた電離箱と試料セルとのジオメトリの違いが主因となって生じている可能性が高いことが示された。
前山 拓哉*; 山下 真一; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*; 勝村 庸介
Radiation Physics and Chemistry, 80(4), p.535 - 539, 2011/04
被引用回数:41 パーセンタイル:92.78(Chemistry, Physical)水の放射線分解で生成するOHラジカルをクマリン-3-カルボン酸(3CCA)により捕捉させると、一部が蛍光体である7OH-3CCAになる。この7OH-3CCAの放射線化学収率(値)を8種のイオンビーム照射に対して測定した。この際、3CCA濃度を0.1から26mMの間で変化させることで、捕捉反応が起こる時間スケールを5.6ナノ秒から1.5マイクロ秒の間で変化させた。報告のあるOHラジカル収率と比べたところ、時間スケールが数十ナノ秒よりも遅い場合には7OH-3CCA収率がOHラジカル収率の約(4.7
0.6)%で一定となることがわかり、ビームの種類に依存しないことも明らかとなった。数cGyという低線量でも検出可能なことから、3CCA水溶液中で生成する蛍光体7OH-3CCAはOHラジカルの高感度なプローブとしてさまざまな放射線に対して利用できることが示された。
Baldacchino, G.*; 前山 拓哉*; 山下 真一; 田口 光正; 木村 敦; 勝村 庸介; 村上 健*
Chemical Physics Letters, 468(4-6), p.275 - 279, 2009/01
被引用回数:44 パーセンタイル:81.44(Chemistry, Physical)高エネルギー重粒子線による水の放射線分解で生成されるOHをHPLC-ケイ光測定により検出した。
OHのプローブとしてクマリン-3-カルボキシル酸(3CCA)を用いた。このCCAは
OHとの反応の後、ケイ光物質7-hydroxy-coumarin-3-carboxylic-acid (7OH-3CCA)を生成する。7OH-CCAの検出下限は1nMよりも低いため、放射線分解収量が2
10
mol/Jという高い感度で測定できた。4.8-GeV-
C
及び20-GeV-
Ar
照射時の
OH収量をnsから
sの間で測定し、
OH収量はそれぞれ2.8
10
から1.3
10
mol/J(LET 11eV/nmの
C
)と1.5
10
から0.9
10
mol/J(LET 90eV/nmの
Ar
)と推移した。これらの結果は文献値とよく一致した。
山下 真一; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 前山 拓哉*; 村上 健*
Radiation Physics and Chemistry, 77(10-12), p.1224 - 1229, 2008/10
被引用回数:22 パーセンタイル:77.40(Chemistry, Physical)重粒子線照射から100ns後の収量であるプライマリ値をこれまで主要な生成物である水和電子,OHラジカル,過酸化水素について中性条件下で測定してきた。この際放射線医学総合研究所の重粒子線加速器HIMACからの
He
,
C
,
Ne
,
Si
,
Ar
,
Fe
といったビームを150-500MeV/uという高いエネルギーを用いてきたが、本研究ではよりブラッグピークに近い領域で照射を実施することにより、LET(線エネルギー付与)をおよそ700eV/nmまで増加させ、従来よりも高いLETビームを用いての測定を実施した。この際、PMMA製のエネルギー吸収材を厚さを制御しながら用いてビームエネルギーを下げたため、飛程末端の確認や、線量較正も注意深く行った。この結果広い範囲のビーム条件で測定結果が得られ、さらにこれをLET依存性だけでなく(
/
)
依存性としてプロットしたところLETよりも統一的に異なるイオンを用いた場合の測定結果を表すことがわかった。
山下 真一; 前山 拓哉*; Baldacchino, G.*; 勝村 庸介; 室屋 裕佐*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*
no journal, ,
これまでケイ光プローブを用いた高感度OH収量測定手法を開発し、重粒子線照射に対して実際の測定を行ってきた。これをさらに拡張し、高エネルギー重粒子線のブラッグピーク近傍におけるOH収量を測定した。ブラッグピーク付近で収量が極小値をとること,加速エネルギーが異なると同一のイオンでも異なる収量となることなどが明らかとなった。
前山 拓哉*; 山下 真一; Baldacchino, G.*; 勝村 庸介; 室屋 裕佐*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*
no journal, ,
これまでガン治療用高エネルギー重粒子線のブラッグピーク近傍におけるOH収量を測定してきた。本研究では高エネルギー重粒子線で顕著となるフラグメンテーション(核破砕)をシミュレーションにより評価し、これを元に測定結果を再現し、計算コードの検証を行うとともに各イオンの寄与がOH収量の点でどの程度あるのかについて検討した。
翠川 匡道*; 山下 真一; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 前山 拓哉*; Funtowiez, D.*; 上林 將人*; 安西 和紀*
no journal, ,
近年開発された新規スピントラップ剤CYPMPO(5-(2,2-dimethyl-1,3-propoxy cyclophosphoryl)-5-methyl-1- pyrroline -oxide)は
OHやO
を捕捉し、そこで生成される
OH付加体とO
付加体はESRにおいて異なる信号として観測できる。このためCYPMPOを利用することで
OHやO
を個別に定量できると期待されるものの、
OHやO
などのフリーラジカルに対する反応性についてはまだ十分な精度で定量的に評価されていない。そこで本研究ではパルスラジオリシス法を用い、主要な水分解ラジカルである水和電子(e
)や
OHに対するCYPMOの反応性を調べ、標準的なスピントラップ剤である5,5-Dimethyl-1-pyrroline
-oxide (DMPO)とも比較した。CYPMPOとDMPOの水分解ラジカル(
OH, e
)との反応における過渡吸収スペクトルに大きな相違は見られず、両者の構造の違いは吸光特性にはほとんど影響がないことがわかった。このため、CYPMPOとDMPOの水分解ラジカルとの反応性及び反応サイトは同様と示唆された。
勝村 庸介; 山下 真一; Lin, M.; 前山 拓哉*; 室屋 裕佐*; Baldacchino, G.*; Jay-Gerin, J.-P.*; Meesungnoen, J.*; 村上 健*
no journal, ,
In Japan, cancer is the first place of the death rate and radiation treatment becomes more and more popular. Especially, ion beam treatment receives much attention because it is effective against even some radioresistant cancers. Consequently, several ion beam facilities have been constructed. Since about 70 % of our body is water, understanding of water radiolysis with ion beams is essential for the evaluation of the biological effect of ion beams. In the present experiment, radiolysis of water has been investigated with ions beams from He
to
Xe
of a few hundreds MeV per u, which are provided at HIMAC facility installed in National Institute of Radiological Sciences. The
-values of e
,
OH and H
O
as a function of LET at 100 ns after the energy deposition have been determined. The radical yields decrease but the H
O
yield increases with the increase of LET due to the track reaction. The experimental data is compared with the Monte Carlo simulation and it was found that the simulation could reproduce the results, indicating the validity of the simulation. Similar experiment has been done at the Bragg peak. The data were analyzed considering the contribution of secondary ions produced through the fragmentation reactions of the primary projectiles. The HIBRAC code can reproduce the experimental results successfully. In the high energy ion beam treatments, the evaluation of the secondary ions is inevitably important.
前山 拓哉*; 勝村 庸介; 山下 真一; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 村上 健*
no journal, ,
これまでケイ光プローブを用いた高感度OH収量測定手法を開発し、種々の重粒子線に対して
OH収量の時間変化を測定してきた。実際の粒子線治療ではガン患部にブラッグピーク(以下、BP)が重なるようにする。そこで本研究では従来の測定を拡張し、BP近傍での
OH収量を測定した。高エネルギー炭素線の場合、核破砕(フラグメンテーション)により、ほぼ等速の炭素より軽い
H
,
He
などが発生する。重粒子線の照射効果はイオンの種類と速度に依存するため、これらのイオンの内訳をシミュレーションにより評価し、実験結果と比較した。
山下 真一; 勝村 庸介; 前山 拓哉*; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 村上 健*; Meesungnoen, J.*; Jay-Gerin, J.-P.*
no journal, ,
生成物収量測定とトラック内反応シミュレーションにより高エネルギー重粒子線による水の放射線分解について調べた。核子あたりのエネルギーが最大で500MeVのヘリウムからキセノンまでのイオンを放射線医学総合研究所の重粒子加速器HIMACにおいて照射に用いた。高エネルギー重粒子線の長い飛程(10cm以上)を利用し、トラックセグメント収量を主要生成物であるe,
OH, H
O
について測定した。さらに、PMMA製のエネルギー吸収材を利用してイオンのエネルギーを核子あたり約10MeVまで減少させ、LETを約2500eV/nmまで増加させて測定を実施した。また、捕捉剤濃度の効果も検討し、モンテカルロシミュレーションによる再現やトラック構造及びトラック内ダイナミクスに関する検討も実施した。
前山 拓哉*; 山下 真一; Baldacchino, G.*; 勝村 庸介; 田口 光正; 木村 敦; 室屋 裕佐*; 村上 健*
no journal, ,
ガン治療では体深部(一般的には30cm程度)まで到達するようイオンを数GeVまで加速する必要がある。重粒子線によるガン治療の利点は現象論的にはよく知られているものの、詳細なメカニズムには依然不明な点も残っている。生体主成分が水であることからまずは重粒子線による水の放射線分解の理解を深めることが重要と言える。そこで本研究ではこれまでに開発してきたケイ光プローブによるOH収量測定法を用い、ブラッグピーク付近でのOH収量を測定した。この際、OHと反応して一部安定なケイ光物質となるCoumarin-3-carboxylic acid (CCA)の水溶液を試料として用い、放射線医学総合研究所HIMACからの治療用重粒子線を照射に用い、照射後オフラインでHPLCケイ光分析により収量を評価した。高エネルギー重粒子線のブラッグピーク付近では核破砕によって生じた入射イオンよりも軽いイオンの寄与が大きくなることが知られているため、この点についても核破砕シミュレーションを用いて検討を行った。
山下 真一; Funtowiez, D.*; 前山 拓哉*; 翠川 匡道*; 岡 壽崇; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 工藤 久明*; 勝村 庸介; et al.
no journal, ,
これまで治療用重粒子線を用いた水の放射線分解生成物のうち主要な水和電子,ヒドロキシルラジカル(OH),過酸化水素の収量測定を行ってきた。Coumarin-3-carboxylic acid (CCA)を
OHの捕捉剤として用い、反応後生成される安定なケイ光物質7OH-CCAを定量することで
OH収量を高感度に測定できる手法の開発も行ってきた。本研究では実際の治療でガン患部に重ね合わされるブラッグピーク付近で
OH収量がどのようになっているか実験的に明らかにすることを目指した。照射には放射線医学総合研究所HIMACからのC290及び135MeV/uなどを用い、どの重粒子線でもブラッグピーク付近で
OH収量が極小値をとること、ブラッグピーク直後で収量が数倍に跳ね上がることなどが明らかとなった。高エネルギー重粒子線のブラッグピーク付近では核破砕により生成した加速イオンよりも軽い粒子の寄与が大きくなることが知られているため、今回得られた測定結果をHIBRACやPHITSといった核破砕シミュレーションと合わせて現在検討を進め、
OH収量に対する核破砕粒子の寄与を明らかにしているところである。
山下 真一; 前山 拓哉*; 翠川 匡道*; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 木村 敦; 工藤 久明*; 勝村 庸介; 村上 健*
no journal, ,
高エネルギー重粒子線を用いたガン治療は近年実用化され、高い治療実績をあげている。現象論的に効果的な治療が行えることがわかっているものの、その詳細なメカニズムはよくわかっておらず、生体主成分である水がどのように放射線分解するかを明らかにすることがまずは重要と言える。本研究では実際の治療でガン患部に重ね合わされるブラッグピーク周辺での水分解に着目し、間接効果において最も中心的な役割を担うと考えられているヒドロキシルラジカル(OH)の収量測定を実施した。高エネルギー重粒子線では核破砕が起こるため、その寄与を
OH収量から検討した。
前山 拓哉*; 山下 真一; Baldacchino, G.*; 田口 光正; 工藤 久明*; Sihver, L.*; 村上 健*; 勝村 庸介
no journal, ,
これまで治療用重粒子線のブラッグピーク付近におけるヒドロキシルラジカル(OH)収量を測定し、高エネルギー重粒子線で顕著となる入射イオンの核破砕反応の寄与をシミュレーションにより定量的に検討してきた。しかしシミュレーションコードには計算時間が短く実用上有用な一次元決定論的コードと汎用性が高くより現実に近い計算の行える三次元モンテカルロコードとがあり、その比較は必ずしも十分行われていない。そこで本研究では測定した
OH収量を説明することでこれらのコードの違いを抽出し、双方の長所と短所について検討した。
山下 真一; 前山 拓哉*; 勝村 庸介
no journal, ,
重粒子線(イオン粒子場)は高LET放射線に分類され、線や電子線などの低LET放射線とは大きく異なる照射効果を示す。特に生物学的な特徴は同じ線量でも致死率が高かったり、酸素の有無による致死率の不確定さがほとんどなかったりする。このような特異性はガン治療に適しており、これを活かしたイオン粒子場によるガン治療が近年実用化されてきている。しかし、治療に適した生物学的特徴が生じる詳細なメカニズムについては必ずしも明らかではない。そこで生体主成分である水についてイオン粒子場中での分解挙動を調べることは重要と言える。本講演では、放射線医学総合研究所HIMACにおいて実施してきた治療用イオン粒子場中での水分解生成物収量測定についてレビューする。さらに、最先端の計算機シミュレーションとの比較からトラック構造との関連についても議論する。
山下 真一; 勝村 庸介; Lin, M.; 室屋 裕佐*; 前山 拓哉*; 村上 健*
no journal, ,
放射線医学総合研究所のHIMACにおいてヘリウムイオンから鉄イオンまでの重粒子線(エネルギーは500MeV/uまでで、これは光速の75.8%)を用い、水の放射線分解について研究を行った。収量測定とトラック内反応を通し、重粒子線トラック構造について検討を行った。具体的にはサブマイクロ秒の時点における生成物収量を広いLETの範囲で測定したほか、ナノ秒からマイクロ秒にかけてのトラック内ダイナミクスについて検討した。さらにトラック内反応でこれらの測定結果を再現し、より微視的なスケールでの検討も行っている。