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臼井 嘉哉*; 上嶋 誠*; 長谷 英彰*; 市原 寛*; 相澤 広記*; 小山 崇夫*; 坂中 伸也*; 小河 勉*; 山谷 祐介*; 西谷 忠師*; et al.
Journal of Geophysical Research; Solid Earth, 129(5), p.e2023JB028522_1 - e2023JB028522_22, 2024/05
被引用回数:1 パーセンタイル:62.58(Geochemistry & Geophysics)将来の地層処分システムに重大な影響を及ぼす可能性がある地震・火山活動の潜在的なリスクを適切に評価するためには、その背景にあるプレートの沈み込みやそれに起因する流体及びマグマの生成・移動等に関する理解が必要である。本研究では、広帯域電磁探査により、東北日本弧背弧側のひずみ集中域における比抵抗構造を推定した。その結果、ひずみ集中域では二種類の異なるひずみ集中機構が共存していることが示唆された。浅い低比抵抗層と地殻下部の低比抵抗体は、それぞれ低弾性率領域と低粘性領域として機能すると考えられ、ひずみ集中の原因となっていると考えられる。また、下部地殻の低比抵抗体の端部と大地震の震源との間に空間的な相関関係が見られることから、下部地殻のせん断帯は、脆い上部地殻の断層に応力負荷を引き起こし、その結果、大地震を発生させた可能性を示唆する。さらに、地殻下部から第四紀の火山に至る低比抵抗体も認められ、火山への流体供給経路を示唆していると考えられる。
神川 豊; 鈴木 真琴; 安掛 寿紀; 村上 貴彦; 森田 祐介; 椎名 秀徳; 福島 学; 平根 伸彦; 大内 靖弘
JAEA-Technology 2023-030, 57 Pages, 2024/03
航空機落下事故に関するデータが原子力規制庁により更新されたことに伴い、原子力科学研究所における航空機落下確率を再評価するため、経済産業省原子力安全・保安院「実用発電用原子炉施設への航空機落下確率の評価基準について(内規)」に基づき評価を行い、原子力科学研究所の各施設における航空機落下確率を評価した。評価の結果、航空機落下確率の総和は最大となる放射性廃棄物処理場において 5.6810
回/(炉・年))であり、航空機落下を「想定される外部人為事象」として設計上考慮する必要があるか否かの基準である 10
回/(炉・年))を超えないことを確認した。
武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.
High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02
本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。
Eichler, R.*; 浅井 雅人; Brand, H.*; Chiera, N. M.*; Di Nitto, A.*; Dressler, R.*; Dllmann, Ch. E.*; Even, J.*; Fangli, F.*; Goetz, M.*; et al.
EPJ Web of Conferences, 131, p.07005_1 - 07005_7, 2016/12
被引用回数:3 パーセンタイル:71.88(Chemistry, Inorganic & Nuclear)近年、物理的な前段分離装置を活用することにより、超重元素の比較的不安定な単一分子の合成と研究が気相化学研究によって可能になった。非常に揮発性の高い106番元素のヘキサカルボニル錯体Sg(CO)の合成は最近の大きな成果である。この成功を受けて、中心金属原子と周囲の配位子間の第一乖離エネルギーの測定を第2世代の実験として実施した。管状の分解反応装置を用いた手法を開発し、短寿命のMo(CO)
, W(CO)
, Sg(CO)
錯体に適用することに成功した。
Usoltsev, I.*; Eichler, R.*; Wang, Y.*; Even, J.*; Yakushev, A.*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; Dllmann, Ch. E.*; et al.
Radiochimica Acta, 104(3), p.141 - 151, 2016/03
被引用回数:34 パーセンタイル:94.67(Chemistry, Inorganic & Nuclear)周期表第6族元素で最も重いSgのヘキサカルボニル錯体の熱的安定性を調べることを目指して、短寿命MoおよびW同位体を用いてヘキサカルボニル錯体を合成し、その合成および解離条件を調べた。チューブ状の反応装置を用いてヘキサカルボニル錯体を解離させ、第1解離エネルギーを導出できるかテストした。第6族元素のヘキサカルボニル錯体の解離を調べるには、反応表面として銀が最適であることがわかった。Mo(CO)およびW(CO)
の解離が起こる反応表面温度は、それらの第1解離エネルギーと相関があることがわかり、この方法を用いてSg(CO)
の第1解離エネルギーを決定できる見通しを得た。
Even, J.*; Ackermann, D.*; 浅井 雅人; Block, M.*; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; Dllmann, Ch. E.*; Eichler, R.*; Fan, F.*; 羽場 宏光*; et al.
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 303(3), p.2457 - 2466, 2015/03
被引用回数:15 パーセンタイル:76.79(Chemistry, Analytical)金属カルボニル錯体の迅速その場合成を、核分裂や核融合反応によって生成される短寿命同位体を用いた実験によって実証した。高い反跳エネルギーを持つ短寿命核反応生成物を一酸化炭素分子と直接反応させることでカルボニル錯体を合成し、高い揮発性を持つ錯体のみをガス気流によって迅速に搬送し、化学分析・測定装置にかけて検出した。この手法を用いることで、Mo, Tc, Ru, Rh, W, Re, Os, Irの短寿命同位体の揮発性カルボニル錯体の合成に成功した。一方、HfとTaの揮発性錯体は検出されなかった。この手法は超重元素シーボーギウム(原子番号106)の化学研究に既に適用されており、また短寿命遷移金属同位体を用いた核科学研究の様々な分野への応用が今後期待される。
Even, J.*; Yakushev, A.*; Dllmann, Ch. E.*; 羽場 宏光*; 浅井 雅人; 佐藤 哲也; Brand, H.*; Di Nitto, A.*; Eichler, R.*; Fan, F. L.*; et al.
Science, 345(6203), p.1491 - 1493, 2014/09
被引用回数:66 パーセンタイル:83.30(Multidisciplinary Sciences)超重元素の新しい錯体、106番元素シーボーギウム(Sg)のカルボニル錯体の合成に初めて成功し、その吸着特性を低温熱クロマトグラフィー・線測定装置COMPACTを用いて調べた。理化学研究所の気体充填型反跳イオン分離装置GARISを用いて合成及び前段分離された短寿命核反応生成物
Sgを、ヘリウムと一酸化炭素の混合ガス中に打ち込み、カルボニル錯体を合成した。生成したカルボニル錯体のうち揮発性の高いもののみをガス気流によってCOMPACTへと搬送し、低温熱クロマトグラフィー測定を行った。検出されたSgカルボニル錯体の吸着エンタルピーは-50kJ/molと求まり、この高い揮発性からこの錯体は6配位のSg(CO)
であると結論した。これまで超アクチノイド元素では単純な無機錯体しか合成されたことがなく、本研究は超アクチノイド元素における初めての有機金属錯体合成の成果である。
富田 卓朗*; 錦野 将元; 長谷川 登; 南 康夫*; 武井 亮太*; 馬場 基芳*; 江山 剛史*; 高吉 翔大*; 海堀 岳史*; 守田 利昌; et al.
Journal of Laser Micro/Nanoengineering, 9(2), p.137 - 142, 2014/06
被引用回数:5 パーセンタイル:28.21(Nanoscience & Nanotechnology)リップル形成やナノアブレーションなどのフェムト秒レーザーアブレーションに関する基礎的なメカニズムは理解されていない。単一パルス照射によって引き起こされる基礎過程を理解するために、我々はプラズマ励起軟X線レーザー(波長13.9nm)による軟X線反射率計測を用いて、白金, 金, タングステンにおけるアブレーションフロントの表面状態についての計測を開始した。ガウス型の強度分布を持ったフェムト秒チタンサファイアレーザー光(波長795nm)をポンプ光とし、局所フルエンスに対するアブレーションダイナミクスの依存性を明らかにすることを試みている。ポンプ光とプローブ光のタイミングジッターをさけるために、X線ストリークカメラを用いたタイミング計測手法を開発しすべてのショットにおいてタイミング計測を行った。ポンプ・プローブ実験結果から金属の種類によって、その軟X線反射像の時間経過や中心のアブレーション痕の周りに発生するダークリングと呼ばれる軟X線低反射領域の形成が大きく違うことを確認した。これらの実験結果は、フェムト秒レーザーアブレーションにおける数値シミュレーションのベンチマークとなると考えられる。
秋田 祐介; 北村 智; 長谷 純宏; 鳴海 一成; 石坂 宏*; 近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; et al.
Planta, 234(6), p.1127 - 1136, 2011/12
被引用回数:44 パーセンタイル:75.64(Plant Sciences)Anthocyanin -methyltransferase (OMT) is one of the key enzymes for anthocyanin modification and flower pigmentation. We previously bred a novel red-purple-flowered fragrant cyclamen (KMrp) from the purple-flowered fragrant cyclamen "Kaori-no-mai" (KM) by ion-beam irradiation. Since the major anthocyanins in KMrp and KM petals were delphinidin 3,5-diglucoside and malvidin 3,5-diglucoside, respectively, inactivation of a methylation step in the anthocyanin biosynthetic pathway was indicated in KMrp. We isolated and compared
genes expressed in KM and KMrp petals. RT-PCR analysis revealed that
was expressed in the petals of KM but not in KMrp. Three additional
s with identical sequences were expressed in petals of both KM and KMrp. Genomic PCR analysis revealed that
was not amplified from the KMrp genome, indicating that ion-beam irradiation caused a loss of the entire
region in KMrp. In vitro enzyme assay demonstrated that CkmOMT2 catalyzes the 3' or 3',5'
-methylation of the B-ring of anthocyanin substrates. These results suggest that CkmOMT2 is functional for anthocyanin methylation, and defective expression of
is responsible for changes in anthocyanin composition and flower coloration in KMrp.
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
JAEA-Review 2010-065, JAEA Takasaki Annual Report 2009, P. 65, 2011/01
埼玉県では、シクラメンの栽培種と芳香性野生種の種間交雑と染色体倍加により、バラやスズランと同様の香気成分を持つ複二倍体の芳香性シクラメンを育成した。しかし、芳香性シクラメンは色や形が限定されているため、幅広い消費者の要望に応じるために、イオンビームによる突然変異育種を試みた。芳香性シクラメン「香りの舞い」に炭素イオンビームを2Gy照射して得られたM2個体の中から、花色変異体が得られた。「香りの舞い」の主要色素がマルビジン3.5-ジグルコサイドであるのに対して、変異体の主要色素はシクラメンでは今までに見いだされていないデルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。以上の結果は、変異体では、デルフィニジンの3'位及び5'位の水酸基のメチル化酵素をコードする遺伝子が、イオンビームの影響を受け、マルビジンへの代謝が阻害されていることを示唆している。
松村 達郎; 稲葉 優介*; 駒 義和; 森田 泰治; 森 敦紀*; 竹下 健二*
Proceedings of International Conference on Advanced Nuclear Fuel Cycle; Sustainable Options & Industrial Perspectives (Global 2009) (CD-ROM), p.1107 - 1112, 2009/09
核種分離変換技術の課題の一つとして、化学的挙動が類似した3価MAとランタノイドの分離プロセスの開発がある。われわれは、水溶液中におけるAm(III)及びEu(III)との錯形成定数に10以上の差が見いだされているTPENに着目し、実プロセスへの適用という観点からTPENの欠点を改良した誘導体の開発を進めている。新たにTPEN分子の外側に位置するピリジル基にアルコキシ基を結合させた誘導体を数種類合成し、その抽出特性を確認した。その結果、ニトロベンゼンを有機溶媒とした場合、ドデシルオキシ基を側鎖とするTDdPENがpH4.5の条件でSF
=820を示すことを見いだした。この値はフランスが開発しているBTPと比べても遜色なく、非常に優れた分離性能である。またオクチルオキシ基を側鎖とするTOPENと疎水性高級カルボン酸であるデカン酸による協同抽出を試みたところ、有機溶媒に実用の可能性がある1-オクタノールを使用し、pH3.0の条件でSF
=200以上を示した。これは、実用化に結びつく重要な成果であると考えられ、さらに詳細なデータを取得し抽出特性の把握を進める計画である。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
Plant Biotechnology, 26(5), p.565 - 569, 2009/01
被引用回数:37 パーセンタイル:68.17(Biotechnology & Applied Microbiology)香りシクラメンシリーズのバリエーションの増加のために、紫の花が咲き、主要アントシアニンとしてマルビジン3,5-ジグルコサイドを含む香りシクラメン品種(
)「香りの舞」の黄化葉柄に320MeVの炭素イオンビームを0
16Gyの強さで照射した。M1植物の自家受粉により得られたM2植物から変異体が選抜された。そのうち、2Gyを照射して得られたM2植物68個体中9個体は、これまでの紫の花と葉は異なる赤紫の花が咲いた。その花の色素を抽出し液体クロマトグラフィー(HPLC)で解析したところ、その主要アントシアニンは、デルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。花の形態や香り成分等、花の色以外の要素はこれまでのシクラメン品種とは大差がなかったことから、この変異体は花の色素合成にかかわる遺伝子にのみ変異が生じたと考えられる。デルフィニジン3,5-ジグルコサイドを主な色素として持つシクラメンはこれまで報告されておらず、この変異個体は商業的な価値があるだけでなく、シクラメンの貴重な遺伝子資源としても有用である。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 北村 智; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
種間交雑により作出した芳香シクラメン"香りの舞い"()の変異を拡大するためにイオンビーム照射を行った。その結果、"香りの舞い"の花色は紫色であるが、320MeV炭素イオンビーム1Gy及び2Gy照射区のM2集団から、それぞれ8個及び11個の赤紫色の花色変異体が得られた。1Gy及び2Gy照射由来の変異体のスリップは赤紫色、アイは濃赤紫色であり、両変異体の花色による識別は困難であった。"香りの舞い"のスリップ及びアイの主要アントシアニンはマルビジン3,5-ジグルコシド(Mv3,5-dG)であった。1Gy照射由来の8個体の変異体のスリップとアイから大量のマルビジン3-グルコシド(Mv3-G)が検出されたが、そのほかに微量のデルフィニジン3-グルコシド(Dp3-G)とペチュニジン3-グルコシド(Pt3-G)が検出された。2Gy照射由来の11個の変異体のスリップ及びアイからデルフィニジン3,5-ジグルコシド(Dp3,5-dG)が検出された。"香りの舞い"と変異体のアントシアニン濃度はスリップよりもアイで高くなったことから、スリップとアイの色調の違いはアントシアニン濃度によると考えられる。これらの変異体は新品種候補としてだけでなく、育種素材としても期待される。
近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 北村 智; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 石坂 宏*
no journal, ,
これまでに、芳香シクラメン()"麗しの香り"(複二倍体,花色:ピンク)の半数体にイオンビーム照射を行い、サーモンピンクの変異体(ion3)を選抜し、さらに、ion3へのイオンビーム再照射により新たな変異体(不稔)を得た。本研究ではion3の黄化葉柄へのイオンビーム再照射と培養により稔性を回復した個体(倍加半数体)を獲得したので報告する。この倍加半数体は大きさがion3よりも大きかったが、花色の成分には大差がなく、種子培養によって個体を増殖させることが可能となり、新品種作出に大きな期待が持てる。
亀有 直子*; 大久保 直美*; 近藤 恵美子*; 中山 真義*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
芳香シクラメン"孤高の香り"の変異を拡大するためにイオンビーム照射を行ったところ、M2集団から白色の変異体が得られた。これまでに、変異体では、花弁においてフラボノールのみが検出されアントシアニンは含まれていないこと、"孤高の香り"の主要香気成分であった芳香族化合物が検出されなかったことを報告した。アントシアニンと芳香族化合物は前駆体が共通であることから、花弁色素と香気成分の両方に変化が起きたことが推察されたため、本研究では変異体の香気成分に関する詳細な情報を得ることを目的として、"孤高の香り"及び白色変異体の花の発散成分及び内生成分の定量分析を行った。
亀有 直子*; 秋田 祐介; 北村 智; 長谷 純宏; 近藤 恵美子*; 中山 真義*; 栗原 康*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 田中 淳; et al.
no journal, ,
黄色の芳香シクラメンの育成を目的として、黄色の園芸品種"ゴールデンボーイ"()と芳香性野生種(
)の雑種の半数体にイオンビーム照射を行った。M1の開花個体の中から、葉の裏側が黄色くアントシアニンの着色が見られない変異体を選抜した。黄色の葉が出た芽点から発生した花は淡い黄色であり、色素はカルコンであった。また、PCRを行ったところ、黄色変異体では芳香性野生種由来のカルコンイソメラーゼ遺伝子(
)が増幅されなかった。このことより、芳香性野生種由来の
がイオンビーム照射によって変異し、花弁が黄色化したと推察される。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 北村 智; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
種間交雑により作出した芳香シクラメン()"麗しの香り"(複二倍体)の変異を拡大するためにイオンビーム照射を行い, M2集団から変異体を選抜した。選抜した有望変異体(サーモンピンク)について花色素を解析した結果、スリップの各アントシアニンの濃度に顕著な増加が認められた。一方、"麗しの香り"の半数体にイオンビームを照射した場合、複二倍体のM2世代で得られたサーモンピンクと紫の変異体がM1世代で得られた。これは、本試験で得られた変異体が劣性の突然変異によるものであることを示唆している。
亀有 直子*; 中山 真義*; 近藤 恵美子*; 栗原 康*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
芳香シクラメン"香りの舞い"(
)の花色を変えるためにイオンビーム照射による突然変異育種を試みた。変異体を効率よく選抜するためには半数体の利用が有効であるため、葯培養により半数体を育成した。その上で半数体へのイオンビーム照射により変異体を獲得し、花色及び香気成分の分析を行った。77個の葯を培養した結果、123個の幼植物体が再分化した。この中から54個の幼植物体を用いてDAPI蛍光強度を測定した結果、53個体が指標個体と同じゲノムサイズを持つ半数体であると判断された。確認した個体を照射材料として、2,863の切片にイオンビーム照射を行い、照射集団の中から形態観察により花弁の色が赤紫色となった変異体を選抜した。赤紫色変異体は、赤紫色の花と半数体と同様の紫色の花が同時に咲くキメラであった。花弁の主要色素はスリップ,アイで共通であり、半数体がマルビジン3,5-ジグルコサイド、変異体がマルビジン3-グルコサイドであった。半数体と変異体の花弁の形態及び香気成分に大きな変化は見られなかった。以上のような特徴を持った赤紫色変異体は、アントシアニンの結合糖が欠損したことにより得られたと考えられた。
近藤 恵美子*; 亀有 直子*; 石坂 宏*; 中山 真義*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳
no journal, ,
埼玉県では、シクラメンの栽培種と芳香性野生種の種間交雑と染色体倍加により、バラやスズランと同様の香気成分を持つ複二倍体の芳香性シクラメンを育成した。しかし、芳香性シクラメンは色や形が限定されているため、幅広い消費者の要望に応じるために、イオンビームによる突然変異育種を試みた。芳香性シクラメン「香りの舞い」に炭素イオンビームを2Gy照射して得られたM2個体の中から、花色変異体が得られた。「香りの舞い」の主要色素がマルビジン3.5-ジグルコサイドであるのに対して、変異体の主要色素はシクラメンでは今までに見いだされていないデルフィニジン3,5-ジグルコサイドであった。以上の結果は、変異体では、デルフィニジンの3'位及び5'位の水酸基のメチル化酵素をコードする遺伝子が、イオンビームの影響を受け、マルビジンへの代謝が阻害されていることを示唆している。
近藤 恵美子*; 中山 真義*; 亀有 直子*; 栗原 康*; 谷川 奈津*; 森田 裕将*; 秋田 祐介; 長谷 純宏; 田中 淳; 石坂 宏*
no journal, ,
種間交雑により作出した芳香シクラメン(
)"孤高の香り"の変異を拡大するためにイオンビーム照射による変異体の作出を行い、得られた変異体の解析を行う。239の葉片にイオンビームを照射し、100個の植物体を再生させた。そのうち、34個のM1個体が開花したが、形態的変異は認められず、すべての形質が"孤高の香り"と同様であった。M1個体の自家受粉により74粒のM2種子を採取し、71個の植物体を育成した。その中から6個体の白色の花色突然変異体を選抜した。"孤高の香り"のアイとスリップの主要アントシアニンはマルビジン3,5-ジグルコサイド(Mv3,5-dG)であり、フラボノールとしてケルセチン(Que)とケンフェロール(Kae)が検出された。白色の変異体からMv3,5-dGは検出されず、QueとKaeのみが検出された。変異体によってQueとKaeの量に違いがあり、"孤高の香り"よりも有意に増加した変異体が見られた。