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永井 晴康; 中山 浩成; 佐藤 大樹; 谷森 達*
第52回可視化情報シンポジウム講演論文集(インターネット), 4 Pages, 2024/07
原子力施設の事故により放出された放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するための革新的モニタリング手法を提案し、その解析手法の実現可能性を仮想データを用いた試験により示す。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線分光イメージングとドップラーライダーによる3次元気流場測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションの組合せである。ETCCは、対象とする放射性プルーム中の特定の放射性核種からの直達ガンマ線の入射方向分布画像を取得できる。放射性プルームの3次元分布は、対象の周囲複数個所に設置したETCCの直達ガンマ線画像とリアルタイム大気拡散シミュレーションによるプルームの濃度分布予測を融合した逆解析により再構築される。解析手法を試作し、大気拡散と放射線輸送の数値シミュレーションにより生成された仮想的なデータを用いて試験を行った。
飯本 武志*; 嶋田 和真; 橋本 周; 永井 晴康; 芳原 新也*; 村上 健太*
日本原子力学会誌ATOMO, 66(7), p.356 - 360, 2024/07
保健物理分野における最近の研究成果や放射線防護にかかる国内外における議論の動向を整理しつつ、原子力安全に直結する短期的、中長期的な課題を抽出した。特に防災や緊急時対応に関連の深い、原子力施設における平常時および事故時の安全管理と被ばくの評価について、オフサイトとオンサイトの両方の観点から、保健物理・環境科学部会と原子力安全部会の連携協力の下、情報を共有し議論を深めた。
永井 晴康; 古田 禄大*; 中山 浩成; 佐藤 大樹
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(11), p.1345 - 1360, 2023/11
被引用回数:2 パーセンタイル:59.55(Nuclear Science & Technology)放射性プルームの3次元分布を定量的に可視化するとともに放射性核種の放出量を推定する革新的なモニタリング手法を提案し、その実現性を予備的な試験により確認した。提案する手法は、電子飛跡検出型コンプトンカメラ(ETCC)によるガンマ線画像分光測定とドップラーライダーによる3次元風速測定に基づくリアルタイム高分解能大気拡散シミュレーションを組み合わせている。複数箇所に設置したETCCで測定された放射性プルーム中の個々の放射性核種からのラインガンマ線画像とリアルタイム大気拡散計算による大気中濃度分布情報を融合した逆解析により、放射性核種ごとの3次元濃度分布を再構成する。大気拡散シミュレーションと放射線輸送計算で生成した仮想的な実験データを用いた試験により、試作した解析手法が十分な性能を有することを示した。
門脇 正尚; 永井 晴康; 吉田 敏哉*; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(10), p.1194 - 1207, 2023/10
被引用回数:2 パーセンタイル:59.55(Nuclear Science & Technology)大気拡散シミュレーションにより原子力事故の緊急対応を支援する場合、予測結果と合わせて結果の不確実性を提供する必要がある。本研究では、予測結果のプルームの拡散方向の不確実性をベイズ機械学習に基づいて推定する手法を開発する。機械学習用のトレーニングデータおよびテストデータは、原子力施設からのセシウム137の仮想放出を考慮したシミュレーションを2015年から2020年の期間で毎日実行することで作成された。不確実性推定に対する本手法の有効性を調べたところ、36時間後の予測においても不確実性の予測可能性は50%を超えたことから、本手法の有効性が確認された。また、不確実性が大きいと判定されたプルームの拡散方向も、本手法によって極めて良好に予測された(予測期間において不確実性を妥当に判定しなかった割合は0.9%-7.9%)。一方で、本手法により不確実性が過大に予測された割合は最大で31.2%となったが、これは許容できると考えられる。これらの結果は、本研究で開発されたベイズ機械学習による不確実性推定の手法が、大気拡散シミュレーションによって予測されたプルームの方向の不確実性を効果的に推定していることを示している。
永井 晴康; 茅野 政道*
点発生源からのメソスケール拡散シミュレーション; 福島第一原子力発電所事故をふまえて(気象研究ノート第248号), p.1 - 58, 2023/09
原子力機構は、国内外の原子力事故時に大気放出される放射性物質による影響を評価するために緊急時環境線量情報予測システムSPEEDIおよびその世界版WSPEEDIを開発した。これらのシステムは、実際に発生した原子力事故への対応をはじめ、様々な大気拡散事象に応用され、多くの実績を上げてきた。ここでは、これらのシステム開発の経緯と概要、システムの検証、そしてシステムの利用実績について解説する。
太田 雅和; 高原 省五; 吉村 和也; 長久保 梓; 廣内 淳; 林 奈穂; 阿部 智久; 舟木 泰智; 永井 晴康
Journal of Environmental Radioactivity, 264, p.107198_1 - 107198_15, 2023/08
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所(FDNPP)事故時に環境中に放出され、陸面に沈着した放射性核種について、大気中に再浮遊したCsの吸引は現在における主要な被ばく経路の一つである。再浮遊では、風による土壌粒子の巻き上げが主なメカニズムとされてきた。一方、FDNPP事故後の研究から、帰宅困難区域(DRZ)などの農村部においては、真菌類による胞子放出が大気中Cs濃度に影響を及ぼす可能性が示唆されてきた。本研究は、土壌粒子および真菌類胞子としてのCs再浮遊を計算するモデルを開発し、これをDRZ内に適用することで、これら再浮遊過程の大気中濃度への影響評価を試みた。モデル計算の結果から、土壌粒子の再浮遊は冬から春に観測された大気中Csの主要因となったものの、夏から秋に観測された高濃度を再現できないことが示された。真菌類からの胞子状Csの放出を考慮することで、この夏から秋の高濃度事象は概ねモデルで再現された。解析結果から、真菌類胞子へのCsの蓄積と、農村部に特徴づけられる高い胞子放出率が夏から秋の大気中Csに寄与している可能性が見出された。DRZ内には依然として未除染の森林が存在しているため、この真菌類胞子の大気中Csへの寄与は今後将来も継続する可能性がある。
寺田 宏明; 永井 晴康; 門脇 正尚; 都築 克紀
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(8), p.980 - 1001, 2023/08
被引用回数:4 パーセンタイル:83.63(Nuclear Science & Technology)原子力事故により大気放出された放射性核種の放出源情報と環境中時間空間分布の再構築手法の確立が緊急時対応に必要である。そこで、大気拡散シミュレーションと環境モニタリングデータを用いたベイズ推定に基づく放出源情報推定手法の様々な環境モニタリングデータの利用可能性に対する依存性を調査した。さらに、事故直後に実施するリアルタイム推定への本手法の適用性を調査した。様々な環境モニタリングデータの組み合わせに対する福島第一原子力発電所(1F)事故の放出源情報推定結果の感度解析から、正確な放出源情報推定には高い時間空間分解能のデータの利用と大気中濃度と地表沈着量の両方のデータの利用が有効であることが示された。また、1F事故時の環境モニタリングデータ取得状況に適用された仮想的なリアルタイム推定実験により、本手法は、地表汚染の概況の早期把握とおおよその事故規模の評価に必要な放出源情報を推定可能であることが明らかとなった。環境モニタリングデータの即時オンライン取得と、計算出力データベース蓄積のための大気拡散計算の運用システムが整備されれば、本手法により放出源情報の準リアルタイム推定が可能となる。
嶋田 和真; 永井 晴康; 橋本 周; 飯本 武志*
日本原子力学会誌ATOMO, 65(5), P. 290, 2023/05
本稿は、日本原子力学会の特集記事「1F事故を経てこれからなすべきことは何か、1F事故の何を次世代に伝えるか」のうち、保健物理・環境科学部会のメンバーが関与してきた原子力防災に関する議論と今後の提案をまとめたものである。原子力学会の事故調査委員会及び日本気象学会の提言を鑑み、UPZ圏内外の住民への避難等の防護措置の意思決定を支援するために放射性プルームの挙動及び住民の避難行動の予測を検討する。住民の放射線被ばくの健康リスク及び倫理的側面を踏まえた防護措置の意思決定及び住民へのリスクコミュニケーションの実践が新たに提案された。
鈴木 元*; 石川 徹夫*; 大葉 隆*; 長谷川 有史*; 永井 晴康; 宮武 裕和*; 義澤 宣明*
Journal of Radiation Research (Internet), 63(6), p.796 - 804, 2022/11
被引用回数:3 パーセンタイル:42.62(Biology)2011年の福島第一原子力発電所事故による被ばく線量と甲状腺がんの関係を明らかにするために、小児の甲状腺等価線量(TED)を評価する必要がある。これまでに、行動調査データと大気拡散モデルにより構築した放射性物質の時空間分布データベースを組み合わせたTED再構築手法について報告した。本研究では、この手法をさらに精緻化し、原発周辺16市町村における3256人の行動調査データに基づき、小児のTEDを評価した。TED評価結果は、いわき市,川俣町,飯舘村,南相馬市の小児1080人の測定データと近い値であった。1歳児のTEDの平均値は伊達市の1.3mSvから南相馬市小高地区の14.9mSvの範囲であり、95パーセンタイル値は伊達市の2.3mSvから浪江町の28.8mSvの範囲であった。本研究成果は、今後の甲状腺がんの調査に有効活用される。
中山 浩成; 小野寺 直幸; 佐藤 大樹; 永井 晴康; 長谷川 雄太; 井戸村 泰宏
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(10), p.1314 - 1329, 2022/10
被引用回数:5 パーセンタイル:69.23(Nuclear Science & Technology)放射性物質の大気放出に対して、放出点から数km以内の局所域スケールでの放射性物質の複雑な大気濃度分布及び沈着分布を計算するとともに、それらからの放射線について建物による遮蔽効果を考慮して詳細に線量評価が行える解析システム(LHADDAS)を開発した。本システムは、個々の建物の影響を考慮して詳細に拡散計算が行える局所域高分解能大気拡散計算コード(LOHDIM-LES)、都市域に対して迅速に拡散計算が行えるリアルタイム都市大気拡散計算コード(CityLBM)、建物の遮蔽効果を考慮した3次元体系で放射線の挙動を迅速に計算できる線量評価コード(SIBYL)及び計算に必要となるデータベースと入力作成プログラムから構成されている。本解析システムは、原子力施設の安全審査における風洞実験に代わる現実的な評価手法、原子力事故時の施設内外作業員の被ばく線量評価、都市域での放射性物質拡散テロに対する汚染状況把握と被ばく線量評価など、幅広い活用が期待できる。
吉田 敏哉; 永井 晴康; 寺田 宏明; 都築 克紀; 澤 宏樹*
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(1), p.55 - 66, 2022/01
被引用回数:3 パーセンタイル:35.51(Nuclear Science & Technology)本研究では、気象予報の不確実性が及ぼす大気拡散予報計算への影響を定量的に評価した。そのために、大気拡散モデルを用いて原子力施設からの放出を想定した過去1年間(2018年)の拡散計算を行った。気象入力条件に解析値を用いた計算と予報値を用いた計算を行い、解析値計算に対する予報値計算の誤差を不確実性とした。不確実性の定量的な大きさは、両者の地表濃度分布の代表的な拡散方向のずれを角度で表すことで算出した。気象庁が配信している気象入力値を使用した場合、その角度は平均的には10/日で増加した。一方、前後の時刻の不確実性とは関係なく、突発的に4、5倍に増加することも分かった。また、角度の時系列は日変化や季節変化を有していたため、拡散方向の不確実性は気象入力値だけでなく気象条件や地理的条件の影響を受けることが示唆された。さらに、不確実性の主な要因は、解析値と予報値との100kmスケール以上もしくは100kmスケール以下の風向のずれであることを示した。
外川 織彦; 大倉 毅史; 木村 仁宣; 永井 晴康
JAEA-Review 2021-021, 61 Pages, 2021/11
東京電力(株)福島第一原子力発電所事故を契機として、原子力防災への大気拡散モデルの利用について、様々な状況とレベルで論争は続いた。しかし、計算モデルによる予測は原子力災害対策に使用可能かどうかといった二者択一の極端な議論が多く、緊急時対応の科学的検証に基づいて丁寧に議論されてきたとは言い難かった。一方、日本原子力研究開発機構(原子力機構)内外には、大気拡散モデルやその解析結果の潜在的利用希望者が少なからず存在することが分かったが、複数の種類がある大気拡散モデルについて、その目的と用途に応じた使い分けに関して理解不足と誤解があることが見受けられた。本報告書では、原子力防災に利用される大気拡散モデルについて、原子力機構で開発または使用されているモデルを中心として、モデルの概要や計算手法等を比較するとともに、それらのモデルを利用した解析例を記述した。これにより、原子力機構内外における大気拡散モデルの潜在的利用希望者に対して、今後の検討や活動に参考となることを目的とした。
門脇 正尚; 古野 朗子; 永井 晴康; 川村 英之; 寺田 宏明; 都築 克紀; El-Asaad, H.
Journal of Environmental Radioactivity, 237, p.106704_1 - 106704_18, 2021/10
被引用回数:4 パーセンタイル:14.57(Environmental Sciences)本研究では、局所規模の大気拡散シミュレーションと観測から推定した福島第一原子力発電所(1F)事故のCsのソースタームの、大規模の大気拡散に対する妥当性を確認することを目的として、大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを用いた半球スケールの大気拡散シミュレーションと海洋拡散モデルSEA-GEARN-FDMを用いた海洋拡散シミュレーションを実施した。大気拡散シミュレーションの結果は、観測値のCsの大気中濃度を一部過大評価したものの、全体として観測値を良好に再現した。また、海洋拡散シミュレーション結果は、北太平洋で観測されたCsの海水中濃度を過小評価した。本研究では、大気拡散シミュレーションから得られたCs沈着量を海洋拡散シミュレーションで用いており、Csの海水中濃度の過小評価は海洋へ沈着したCsが少なかったことが原因だと示された。大気拡散シミュレーションに用いた降水の再現性を向上させることで、Csの大気中濃度の過大評価と海水中濃度の過小評価をそれぞれ改善することができると考えられ、本研究で検証されたソースタームは、1F事故によるCsの局所規模の大気拡散シミュレーションと大規模の大気拡散シミュレーションの両方で有効であることが示された。
中山 浩成; 佐藤 大樹; 永井 晴康; 寺田 宏明
Journal of Nuclear Science and Technology, 58(9), p.949 - 969, 2021/09
被引用回数:7 パーセンタイル:66.91(Nuclear Science & Technology)局所域高分解能大気拡散モデルLOHDIM-LESに、原子炉建屋などの建物による遮蔽効果を考慮して詳細に線量評価が行える計算手法を導入した。線量計算においては、放射線輸送計算コードPHITSにより、大気拡散モデルの計算格子ごとに地表面沈着・大気中の放射性核種から地上の評価点への線量寄与を計算して整備した応答行列のデータベースを用いた。精度検証として、六ヶ所再処理工場においてアクティブ試験により大気放出された放射性核種の局所域拡散シミュレーションを行った。敷地内のモニタリングポストにおいて得られた空間線量率と比較したところ、良好に一致することを確認した。これにより、詳細線量計算手法を導入したLOHDIM-LESは、建物影響を考慮して空気中濃度や線量を詳細に評価できることを実証した。
永井 晴康
Insights Concerning the Fukushima Daiichi Nuclear Accident, Vo.2; Environmental Effects and Remediation for Restoration, p.37 - 46, 2021/07
東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴い、環境中に放出された放射性物質のうち、ヨウ素等の短半減期核種による事故初期段階における内部被ばく線量を評価するために、線量推計に必要となる大気中放射性物質濃度の時空間分布を大気拡散シミュレーションにより再構築した。計算対象核種は、内部被ばく線量への寄与率を考慮して、I, I, Te, Csとし、地上付近の水平方向3km間隔、毎時刻の計算出力から、濃度時空間分布データベースを作成した。
寺田 宏明; 永井 晴康
Isotope News, (775), p.44 - 48, 2021/06
国内の原子力緊急時に迅速に放射性物質の大気拡散予測情報を提供するための緊急時対応システムとして、旧日本原子力研究所(現在の日本原子力研究開発機構、以降「原子力機構」)は、緊急時環境線量情報予測システム(System for Prediction of Environmental Emergency Dose Information: SPEEDI)を開発し、「緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム」として文部科学省により運用された。その後、原子力機構では、計算範囲の拡大と高度な気象及び拡散計算モデルの使用により予測性能を向上した世界版SPEEDI (WSPEEDI: Worldwide version of SPEEDI)を開発し、様々な応用研究を行ってきた。筆者らは、2011年3月11日に発生した東日本大震災に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故に対して、このWSPEEDIの活用により様々な対応を実施してきた。この経験に基づき、様々な気象条件や任意の放出条件に対する大気拡散計算結果を即座に取得でき、様々な応用が可能な大気拡散データベースシステムWSPEEDI-DBを開発した。本稿では、WSPEEDI-DBの開発の経緯と本システムの概要について述べる。
永井 晴康
シビアアクシデント時の核分裂生成物挙動, p.112 - 116, 2021/05
福島第一原子力発電所事故による環境影響や公衆の被ばく線量を評価することを目的に、大気拡散シミュレーションを活用して放射性物質の大気中への放出量(ソースターム)の推定と拡散状況の解明が行われている。ここでは、日本原子力研究開発機構により、事故後早期から今日に至るまで実施されてきた研究を中心に、ソースターム推定の概要、事故進展と大気拡散過程、解析の課題と今後の展開について解説する。ソースタームの推定は、大気拡散シミュレーションを用いて、環境モニタリングデータから逆推定することでI-131とCs-137の放出率の時間推移を求めた。この推定値を用いた大気拡散シミュレーションは、測定された大気中濃度の時間変化と地表沈着量分布を良好に再現し、住民の避難行動パターンと組み合わせた線量推計に活用された。また、大気中に放出された放射性物質の大気拡散により、どのように大気拡散し陸域の汚染が生じたかを明らかにした。しかし、環境データからの逆解析には核種組成と化学形の情報が不足することに起因する不確かさがあるという課題があり、今後過酷事故解析と融合することで、ソースターム推定のさらなる精緻化が期待される。
門脇 正尚; 寺田 宏明; 永井 晴康
Atmospheric Environment; X (Internet), 8, p.100098_1 - 100098_17, 2020/12
大気中のIの挙動や全球収支は、観測データの時間-空間分解能の低さや、観測データに基づくモデル研究が少ないことから、完全には理解されていない。そこで本研究では、2007年から2010年の期間を対象としたIの全球収支を定量することを目的として、これまでに開発された大気I拡散モデルGEARN-FDMに新たに2つの気相化学反応、6つの光分解反応、2つのヨウ素化学を導入し、さらに核燃料再処理施設からのIの大気放出過程及び海洋と陸域からのIの揮発過程を導入することで、大気中のIをシミュレートする化学輸送モデルを開発した。本モデルを用いたシミュレーション結果から、海洋からのIの放出量は7.2GBq/yと推定され、放出量の約半分が英国海峡起源であった。一方、陸域からのIの放出量は1.7GBq/yと推定され、大規模な使用済核燃料再処理施設が稼働する/していたヨーロッパ,ロシア,北米の陸域放出が顕著であった。大気-海洋間及び大気-陸地間におけるIの正味の交換フラックスはそれぞれ18.0GBq/y及び5.3GBq/yと推定された。海洋と陸域からの放出量は本研究で考慮した使用済核燃料再処理施設の総放出量(23.3GBq/y)よりも小さく、2007年から2010年においては、稼働中の使用済核燃料再処理施設からの大気放出が大気中のIの重要なソースであることを示している。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 永野 博彦*; Sugiharto, U.*; Saengkorakot, C.*; 鈴木 崇史; 國分 陽子; 藤田 奈津子; 木下 尚喜; 永井 晴康; et al.
JAEA-Technology 2020-012, 53 Pages, 2020/10
近年急速に進行する温暖化をはじめとした地球環境の変化は、陸域生態系(とりわけ森林生態系)における炭素循環に変化をもたらし、その結果、温暖化や環境変化の進行に拍車をかける悪循環が懸念されている。しかしながら、その影響の予測には大きな不確実性が伴っており、その主たる要因は、土壌に貯留する有機炭素の動態とその環境変化に対する応答についての定量的な理解の不足にある。放射性炭素(C)や安定炭素(C)同位体の陸域生態系における動きを追跡することは、土壌有機炭素の動態を解明するうえで有力な研究手段となりうる。本ガイドは、同位体を利用した土壌炭素循環に関する研究を、特にアジア地域において促進させることを目的としたものである。本ガイドは、土壌の採取、土壌試料の処理、土壌有機炭素の分画、Cの同位体比質量分析法による測定及びその試料調製、ならびに Cの加速器質量分析法による測定及びその試料調製に関する実践的手法を網羅している。本ガイドでは、炭素循環研究において広く用いられる C分析結果の報告方法についても簡単に紹介する。さらに、同位体を利用した研究手法の実際的応用として、日本の森林生態系において実施した事例研究の結果についても報告する。本ガイドによって、同位体を利用した炭素循環研究に興味を持って参画する研究者が増加し、地球環境の変化の仕組みについての理解が大きく進展することを期待する。
El-Asaad, H.*; 永井 晴康; 相楽 洋*; Han, C. Y.*
Annals of Nuclear Energy, 141, p.107292_1 - 107292_9, 2020/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)大気拡散シミュレーションは、原子力緊急時対応の事前検討において環境中の放射性プルームを評価するための重要な情報を提供する。しかし、様々な条件の計算を実行し膨大な計算結果からデータを引き出すには労力と時間を要する。そこで、シミュレーション結果から放射性プルームの特徴を引き出す際にユーザーを補助するインターフェイスを開発した。このインターフェイスは、福島第一原子力発電所からの20日間の放射性物質の放出についてのWSPEEDI-IIの計算結果のデータベースを使用し、ユーザーに重要な定量的データを提示する。ユーザーは、インターフェイスの補助により、放出条件を変えて様々なケースシナリオを作成し、感度解析を行うことができる。