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武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.
High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02
本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。
古谷 美紗; 米谷 達成; 中川 雅博; 上野 有美; 佐藤 淳也; 岩井 保則*
保健物理(インターネット), 55(2), p.97 - 101, 2020/06
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所では、放射性気体廃棄物中に存在するトリチウムガス(HT)をトリチウム水蒸気(HTO)に酸化するため、酸化触媒を600Cに加熱して使用している。本研究では、酸化触媒の加熱温度を低下させ、より安全な
Hモニタリング手法を確立することを目的として、疎水性Pd/SiO
触媒, CuO触媒、及びPt/Al
O
触媒の異なる温度条件下における水素ガスに対する酸化効率を検証した。その結果、疎水性Pd/SiO
触媒及びPt/Al
O
触媒の水素に対する酸化性能はCuO触媒と比較して優れており、25
Cの室内温度条件下においても水素を十分に酸化する能力があることが明らかとなり、
Hモニタリングにおける安全性の向上が期待できる。
川崎 将亜; 中嶌 純也; 吉田 圭佑; 加藤 小織; 西野 翔; 野崎 天生; 中川 雅博; 角田 潤一; 菅谷 雄基; 長谷川 里絵; et al.
JAEA-Data/Code 2017-004, 57 Pages, 2017/03
原子力施設の事故発生時においては、事故による影響及びその範囲を迅速に把握するために、放出された放射性物質による一般公衆への影響や事故による作業者の個人被ばく線量を早期に評価し報告することが求められる。そのため、原子力科学研究所放射線管理部においては、事故発生時の迅速な対応に資するために、一般公衆及び作業者の被ばく線量評価について、評価方法及び必要となる各種パラメータ等を想定される事故事例ごとにまとめ、事例集を整備した。本事例集では、原子力科学研究所で想定される各種事故に加え、過去の原子力事故で放出された放射性物質による被ばく評価について扱っており、これらは緊急時における被ばく評価についての知見・技術の継承にも用いることができる。
目黒 義弘; 中川 明憲; 加藤 潤; 佐藤 淳也; 中澤 修; 芦田 敬
Proceedings of International Conference on the Safety of Radioactive Waste Management (Internet), p.139_1 - 139_4, 2016/11
福島第一原子力発電所の廃止措置に向けた取り組みにおいては、これまでの日本の商用原子力発電所から発生してきた放射性廃棄物とは、種類, 量, インベントリが異なる様々な放射性廃棄物(事故廃棄物)が発生している。これらの処分に向け、すでに国内外で適用実績を有する廃棄体化技術の、事故廃棄物への適用性を評価する必要がある。われわれは、既存の技術の調査結果、事故廃棄物の分類、模擬廃棄物の既存固化技術による基礎固化試験の結果から、実際に適用可能な廃棄体化技術を選択する手法を検討した。まず技術の適用性を評価するフローの提案、フローにおける各ステップでの評価項目及びその基準を設定した。並行して、13種類の性状の異なる廃棄物の固化試験を実施し、硬化性や得られた固化体の強度、浸出性などの特性を調べた。次いで、基礎試験で得られた基礎試験結果を参考に、廃棄物ごとに評価フローによる固化技術の評価を進めている。本発表では、いくつかの廃棄物に対して試みた評価の結果を示す。
上野 有美; 中川 雅博; 佐藤 淳也; 岩井 保則
保健物理, 51(1), p.7 - 11, 2016/03
日本原子力研究開発機構原子力科学研究所では、放射性気体廃棄物中の炭素14(C)を
CO
へ酸化し捕集するため、酸化銅(CuO)触媒を600
Cに加熱して使用している。我々は、酸化触媒の加熱温度を低下させ、より安全な
Cモニタリング手法を確立することを目的として、二酸化ケイ素(SiO
)の表面に疎水化処理を施した疎水性パラジウム二酸化ケイ素(Pd/SiO
)触媒を新たに開発した。その酸化性能についてCuO触媒,白金アルミナ(Pt/Al
O
)触媒,パラジウム二酸化ジルコニウム(Pd/ZrO
)触媒および親水性Pd/SiO
触媒と比較を行った。その結果、疎水性Pd/SiO
触媒の酸化性能が最も優れていることが確認できた。現在使用しているCuO触媒を疎水性Pd/SiO
触媒に変更することで、管理区域内で使用する加熱炉の温度を600
Cから300
Cへ低下させることができ、モニタリングの安全性を向上させることが可能となる。
山田 克典; 藤井 克年; 神田 浩志; 東 大輔; 小林 稔明; 中川 雅博; 深見 智代; 吉田 圭佑; 上野 有美; 中嶌 純也; et al.
JAEA-Review 2013-033, 51 Pages, 2013/12
平成23年3月に発生した東京電力福島第一原子力発電所事故以降、放射線防護・放射線管理にかかわるさまざまな基準が策定された。インターネット等を通じて、これらの基準を調査した結果、下記13項目があげられた。(1)ヨウ素剤の服用基準値、(2)避難住民等に対するスクリーニングレベル、(3)避難区域、屋内退避等、(4)食品規制値(暫定規制値、基準値)、(5)放射線業務従事者の緊急時被ばく限度、(6)水浴場開設の判断基準、(7)学校・校庭の利用の判断基準、(8)作付基準、(9)飼料の暫定許容値、(10)堆肥の暫定許容値、(11)船舶、コンテナ等の除染基準、(12)廃棄物の取扱、処分等、(13)除染作業にかかわる基準。これらの基準の根拠を調査・整理し、今後の放射線防護、放射線管理の課題を検討した。
高松 邦吉; 植田 祥平; 角田 淳弥; 後藤 実; 濱本 真平; 栃尾 大輔; 中川 繁昭
JAEA-Research 2010-038, 59 Pages, 2010/11
高温ガス炉とこれによる水素製造技術の研究開発は、総合科学技術会議が「地球温暖化対策技術」として選定した「水素エネルギーシステム技術」を確立するとともに、原子力委員会が同じ目的で定めた「地球温暖化対策に貢献する原子力の革新的技術開発ロードマップ」のうち、原子力の核熱利用の実現を目指す「原子力による革新的水素製造技術」を確立するもので、2020年頃に原子力水素製造実用システムの原型を提示することを目指している。そこで、第1期中期計画では、HTTRを用いて高温ガス炉の技術基盤の確立を目指した研究開発を推進している。平成19年度には、定格運転にて30日間の連続運転を実施した。今回は、高温試験運転にて50日間の連続運転を行い、炉心の燃焼特性,ヘリウムの純度管理,高温機器の性能,炉内構造物等の健全性等に関するデータを取得・評価するとともに、熱化学水素製造等の熱源として利用可能であることを実証した。また、得られたデータを評価し、我が国の開発した高温ガス炉用燃料が世界最高の品質であることを、高温のガスを製造・輸送する技術の核となる炉内構造物や中間熱交換器の性能が優れ、高温の核熱を利用系に長期間安定して供給できること、及び実用炉における1年程度の長期運転を安定して行えることを実証した。
角田 淳弥; 柴田 大受; 中川 繁昭; 伊与久 達夫; 沢 和弘
Journal of Nuclear Science and Technology, 46(7), p.690 - 698, 2009/07
被引用回数:9 パーセンタイル:52.21(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉(HTGR)で使用される黒鉛構造物の熱伝導率は運転中の中性子照射によって減少するが、照射された黒鉛が照射温度以上に加熱されるとアニーリング効果によって回復することが期待できる。本研究では、超高温ガス炉(VHTR)で使用されるIG-110黒鉛について、熱伝導率に関するアニーリング効果の定量化及びその手法を開発することを目的として、IG-110黒鉛の熱伝導率を系統的に測定しアニーリング効果の定量化を行った。また、IG-110黒鉛の熱伝導率をアニーリング効果を考慮した修正熱抵抗モデルを用いて計算した。その結果、IG-110黒鉛の熱伝導率は最高で未照射材の80%まで回復することを確認し、IG-110黒鉛のアニーリング効果を実験結果に基づくアニーリング効果評価モデルを用いて定量化した。また、修正熱抵抗モデルを用いて計算したIG-110黒鉛の熱伝導率は照射温度以上で測定結果とよく一致し、IG-110黒鉛の熱伝導率が修正熱抵抗モデルを用いて予測できることを示した。
角田 淳弥; 柴田 大受; 中川 繁昭; 伊与久 達夫; 沢 和弘
JAEA-Research 2008-036, 33 Pages, 2008/03
高温ガス炉の性能及び安全性を向上させる手段として、金属に替わるより高温で使用できる耐熱性材料の炉内構造物への使用が望まれている。高温に耐え得る材料としては、炭素繊維強化型炭素複合材料(C/Cコンポジット)及び超塑性ジルコニアが有望な材料である。これらの新しい材料を原子炉の炉内構造物として使用するには、構造物の環境や荷重条件に対する健全性を確保する構造設計手法を確立することが必要である。そこで本報告では、VHTRの炉内構造物として特に期待されているC/Cコンポジットに着目し、C/Cコンポジットを適用する際の構造設計手法の検討を行うとともに、代表的な構造物への応用にあたり基礎的な成立性を検討した。その結果、C/Cコンポジットの強度評価において競合リスク理論を用いた評価が有用であり、C/Cコンポジットを炉内構造物として適用できる見通しを得た。
角田 淳弥; 柴田 大受; 中川 繁昭; 伊与久 達夫; 沢 和弘
JAEA-Research 2008-007, 30 Pages, 2008/03
高温ガス炉の炉内構造物に用いられる黒鉛材料は、運転中の中性子照射により熱伝導率が大きく低下するが、減圧事故等の事故時に照射温度以上の高温に加熱されるとアニーリング効果によって熱伝導率が回復することが期待できる。このアニーリング効果は、HTTRの燃料最高温度評価では解析の保守性の観点から考慮していないが、定量的な考慮ができれば、事故時の炉心温度挙動が合理的に高精度に評価できる。本研究は、高温ガス炉の事故時温度評価の高度化のため、中性子照射済試料を用いた試験結果からアニーリング効果を定量的に評価し、高温ガス炉に用いられる熱伝導率の設計式を提案するものである。
片山 寿人*; 北村 治滋*; 森 真理*; 中川 淳也*; 吉田 貴宏*; 河合 敏彦*; 長谷 純宏; 田中 淳
JAEA-Review 2006-042, JAEA Takasaki Annual Report 2005, P. 94, 2007/02
滋賀県では、窒素による琵琶湖の富栄養化が重大な問題となっており、そのうち16%が農業排水からの流入と見積もられている。本研究では、イオンビーム突然変異技術を利用した少肥栽培向き水稲育種を目指し、水稲玄米に炭素イオンビームを照射した個体における生育への影響を調査した。供試材料は、滋賀県で育成した水稲品種「秋の詩」及び「大育1743」を用いた。イオンビーム照射区では、茎長と穂数に変化が認められたが、大きな形態変異が認められなかったことから、限定的な遺伝子の変異であると考えられた。今後は、穂数を指標にして変異体を選抜し、さらに窒素吸収能や窒素利用率が高い変異体を選抜する予定である。
栃尾 大輔; 角田 淳弥; 高田 英治*; 藤本 望; 中川 繁昭
日本原子力学会和文論文誌, 5(1), p.57 - 67, 2006/03
日本原子力研究開発機構の高温ガス炉HTTRでは、2004年3月に高温試験運転を行い、世界初となる原子炉出口冷却材温度950Cを達成した。高温試験運転で燃料の熱的な健全性が確保されるためには、燃料温度が適正に設計・評価されており、燃料最高温度が熱的制限温度以下であることが必要となる。本報では、HTTRで用いられてきた燃料温度評価手法を改良し、実際の炉心形状に近い形状を表現した評価モデルを構築した。また、そのモデルを用いて、高温試験運転時における燃料温度の評価を行い、高温試験運転時の燃料最高温度が熱的制限温度以下であることの確認を行った。
角田 淳弥; 柴田 大受; 中川 繁昭; 塙 悟史; 伊与久 達夫; 石原 正博
Transactions of 18th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-18), p.4822 - 4828, 2005/08
黒鉛材料は、熱・機械的特性が優れているため、HTGR炉心の構成要素として用いられる。原子炉の運転中に、黒鉛構造物の熱伝導率は中性子照射によって低下するが、照射温度以上に加熱されるとアニーリング効果が期待されるため、熱伝導率がある程度回復すると考えられる。本研究では、HTGRの減圧事故時についてアニーリング効果を考慮した温度解析を実施し、アニーリング効果が燃料最高温度に及ぼす影響について検討した。検討の結果、アニーリング効果を考慮した燃料最高温度の解析値は約100C低くなり、燃料最高温度をより精度よく評価できることが明らかになった。また、HTTRで実施した安全性実証試験について、アニーリング効果を考慮した評価手法を適用し解析を行った。
角田 淳弥; 石原 正博; 中川 繁昭; 菊地 孝行; 伊与久 達夫
Nuclear Engineering and Design, 233(1-3), p.81 - 88, 2004/10
被引用回数:5 パーセンタイル:28.86(Nuclear Science & Technology)高温ガス炉(HTGR)は、黒鉛減速ヘリウム冷却型中性子炉であり、高温のヘリウムガスの取り出しが可能であるとともに高い固有の安全性を有している。炉内構造物は、高温のヘリウムガスを得るため耐熱性に優れた黒鉛材料を用いている。HTTRの炉内構造物は、黒鉛構造物,金属製炉心支持構造物及び金属製遮へいブロックから構成される。本報では、特にHTTRの炉心支持構造物についての設計方針及び供用期間中検査(ISI)の計画について述べる。
島崎 潤也; 鈴木 勝男; 鍋島 邦彦; 渡辺 光一; 中川 繁昭; 篠原 慶邦
JAERI-M 89-223, 55 Pages, 1990/01
新型ハイブリッド計算機を用いてHTTRのプラント動特性シミュレーションを実施した。本報告書では、動特性モデル、ハイブリッドシミュレーションの方法およびその特徴について述べる。シミュレーションの結果から、ハイブリッド方式のシミュレーションがオンラインのプラント動特性シミュレーションに有効であり、全ディジタル計算によるものと比較して、より高速なシミュレーションが簡単なアナログ演算の時間スケールを変更することにより実現できることがわかった。HTTRのプラント動特性シミュレーションでは、実時間の約40倍の速さが精度上問題なく実現できた。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 目黒 義弘; 中澤 修
no journal, ,
福島第一原子力発電所における汚染水処理に伴い、多核種除去設備(以下、ALPS)から発生する凝集沈殿スラリーは線放出核種を含む多量の放射性核種を含有しており、処分のため作製する固化体への放射線影響が懸念されている。したがって、処分時の安全性の観点から、固化体中の水の放射線分解による水素ガスの発生を評価しておくことが重要である。本件では、凝集沈殿スラリー(鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリー)の模擬物を対象に、無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメント(BB)及びジオポリマー(GP))を用いて固化試料を作製し、
線を模擬した電子線照射を行い、水素ガスの発生量を調査した。結果、鉄共沈スラリー固化試料では炭酸塩スラリー固化試料と比較して水素の発生量が少なく、廃棄物に含まれる構成成分が電子線照射時の水素ガス発生量に影響を与えていることが示唆された。
日野 耕作*; 片山 寿人*; 北村 治滋*; 川村 容子*; 中川 淳也*; 吉田 貴宏*; 森 真理*; 仙波 俊男*; 長谷 純宏; 田中 淳
no journal, ,
滋賀県育成品種「秋の詩」の玄米にイオンビームを照射し、窒素利用効率に関する遺伝変異拡大を試みた。本発表では2005年から2007年にかけて実施した40Gy照射M1世代の自殖個体(M2)及びその後代(M3・M4)を少肥料施肥条件でほ場栽培試験した結果を報告する。2005年、M2の4,131個体をほ場栽培試験した。効率的に1次選抜を行うため、環境条件の影響を受けにくく遺伝的要因の影響が強い穂長による選抜を行った。その結果、最長穂長20cm以上の個体を1,143個体選抜した(選抜率27.7%)。選抜した穂を乾燥穂重で分類したところ、3.0g以上が全体の約30%を占めた。2006年及び2007年、選抜後代75系統(M3・M4)を無施肥ほ場で栽培した結果、親品種に対する総もみ重比が111%以上の系統をM3で3系統(最大値113%)及びM4で2系統(最大値115%)それぞれ得た。このうち、2か年を通じ総もみ重比が111%以上に分類された系統は1系統だった。本系統は総乾物重比も2か年とも108%を超え、M4では精玄米重比も111%で親品種より増加していることから有望系統の1つと考えられた。
目黒 義弘; 佐藤 淳也; 加藤 潤; 中川 明憲; 駒 義和; 芦田 敬
no journal, ,
福島第一原子力発電所では大量の汚染された水が原子炉建屋内にたまっている。この水:滞留水は、放射性物質及び溶解している塩類(海水由来)を取り除いた後に、燃料の冷却に利用されている。滞留水中の様々な放射性核種が溶解しているため、その除染には、沈殿や吸着などに基づく種々の汚染水処理装置が用いられている。したがって、複数のスラッジや使用済みの吸着材が廃棄物として発生している。これらの多くはこれまでに原子力発電所の操業によって発生してきた廃棄物とは性状が異なり、処理処分の実績がない。福島第一原子力発電所ではこれら廃棄物のほかにも、大量の解体廃棄物などが発生するため、廃棄物の処理処分の方策は、これらを含めたトータルで考える必要はある。しかし、汚染水処理から発生する廃棄物は先に述べたように特殊であるため、その廃棄体化方法の選定のために、既存の廃棄体化技術の技術的な適用性を確認しておく必要がある。そこで我々は、技術検討の第一段階として、3種類のスラッジ及び3種類の吸着材へのセメント材による混練固化試験を実施し、固化状態や固化物の特性を調べ、適用性を評価した。
佐藤 淳也; 鈴木 眞司; 中川 明憲; 加藤 潤; 榊原 哲朗; 中澤 修; 山下 昌昭; 佐藤 史紀; 助川 博文; 目黒 義弘
no journal, ,
本件では無機固型化材(普通ポルトランドセメント(OPC), 高炉スラグセメントB種(BB), ジオポリマー(GP))を用いて、多核種除去設備ALPSより発生する鉄共沈スラリー及び炭酸塩スラリーの模擬物の固化体を作製し、固化試料の圧縮強度や水浸漬による元素の浸出性への模擬廃棄物や固型化材の影響を調べた。圧縮強度試験では、GP試料と比較してOPC試料及びBB試料で高い強度が得られ、過剰な水分がGPの形成に悪影響を及ぼしたものと推察される。さらに、GP試料ではセメント試料と比較してスラリーによる硬化への影響が小さいことが示唆された。浸出試験では、OPC試料及びBB試料では模擬核種のCsやSrが溶出したのに対し、GP試料ではほとんど検出されなかった。CsやSrがGPの構造中に保持され不溶化したことにより浸出量が低くなったものと考えられる。今回の結果から、ALPSから発生したスラリーは、含有する成分による固化体の強度への影響が示唆されるものの、セメントやジオポリマーにより固化可能であることが示された。また、安定化処理方法によっては、スラリー中の水分が固化性状に悪影響を与えることが考えられるため、適切な処理方法を選択する必要がある。
上野 有美; 中川 雅博; 佐藤 淳也; 岩井 保則
no journal, ,
日本原子力研究開発機構の再処理施設およびRI施設では放射性気体廃棄物中の炭素14(C)を
CO
へ酸化し捕集するため、触媒を500
C
600
Cに加熱して使用している。我々は、酸化触媒の加熱温度を低下させ、より安全な
Cモニタリング手法を確立することを目的として、二酸化ケイ素(SiO
)の表面に疎水化処理を施した疎水性パラジウム二酸化ケイ素(Pd/SiO
)触媒を新たに開発した。その酸化性能についてCuO触媒, 白金アルミナ(Pt/Al
O
)触媒, パラジウム二酸化ジルコニウム(Pd/ZrO
)触媒および親水性Pd/SiO
触媒と比較を行った。その結果、疎水性Pd/SiO
触媒の酸化性能が最も優れていることが確認できた。現在使用している触媒を疎水性Pd/SiO
触媒に変更することで、管理区域内で使用する加熱炉の温度を500
C
600
Cから300
Cへ低下させることができ、モニタリングの安全性を向上させることが可能となった。