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浅森 浩一; 梅田 浩司; 二ノ宮 淳*; 根木 健之
The Earth's Core; Structure, Properties and Dynamics, p.79 - 94, 2011/07
東北日本の背弧側に位置する朝日山地は左沢-長井断層の活動に伴う逆断層地塊であり、第四紀に1400m以上の著しい隆起が生じたと推定されている。しかしながら、これらの活断層の近傍よりも10km以上西方に山地の稜線が続いており、この隆起を単純な逆断層運動及び地塊傾動によって説明することはできない。本研究では朝日山地の隆起のメカニズムを解明するため、地磁気・地電流法による地殻からマントル最上部までの比抵抗構造及び山地周辺における温泉ガスの希ガス同位体の特徴を明らかにした。その結果、山地の稜線の直下における下部地殻からマントル最上部にかけて顕著な低比抵抗体が存在すること、温泉ガスのヘリウム同位体比が東北日本における活火山の火山ガスと同程度であることから、朝日山地の直下には溶融体が存在し、その熱による局所的な非弾性変形によって山地が隆起していることが示唆された。従来より、山地の隆起のタイプは、(1)褶曲断層山脈型、(2)逆断層地塊型、(3)横ずれ断層地塊型、(4)曲隆山地型に区分されているが、日本列島のような島弧では、火成活動に伴う非弾性型の山地が存在することが新たに明らかになった。
根木 健之; 梅田 浩司; 松尾 公一*; 浅森 浩一; 横井 浩一*; 大原 英史*
物理探査, 64(2), p.153 - 165, 2011/04
広帯域MT法探査では、1Hz以下の地球磁場変動を信号源とする周波数領域において、人工ノイズが多く含まれる関東以西で、高品質なデータを取得するためには、長期間に渡る観測が必要となる。また、人工ノイズにはコヒーレントなものが多く、信号との区別がつき難い。さらに長期間に渡る観測データから、これらを効率的に排除することは難しい。本稿では、根木ら(2009)にて提案したMT法スペクトル・データの加重スタッキング方法について、その実データに対する適用性を検証した。使用した実データはコヒーレントなノイズが卓越する能登半島北部から中部にかけての4測点である。本地域では、直流電車の漏洩電流による人工ノイズが卓越しているが、深夜は比較的静穏であるため、信号スペクトルによる真の測定値を推定しやすい。これらの測点において取得されたデータに対し、本加重スタッキング方法を適用した結果、人工ノイズが卓越している時間帯のデータの影響を極力低減することができた。以上より、本方法を用いることにより、従来の調査技術者による編集作業と比して、十分に効率的かつ効果的な編集作業が可能となるものと考えられた。
草野 友宏; 浅森 浩一; 黒澤 英樹; 國分 陽子; 谷川 晋一; 根木 健之; 花室 孝広; 安江 健一; 山崎 誠子; 山田 国見; et al.
JAEA-Research 2010-044, 153 Pages, 2011/01
本報は、深地層の科学的研究のうち、「地質環境の長期安定性に関する研究」について、第1期中期計画期間の5か年(2005年度2009年度)に実施した研究開発にかかわる成果を取りまとめたものである。第1期中期計画では、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果を反映できるよう、(1)概要調査などに必要となる、自然現象に関する過去の記録や現在の状況を調査するための体系的な技術の整備(調査技術の開発・体系化)、(2)変動シナリオを考慮した安全評価の基盤となる、将来の自然現象に伴う地質環境の変化を予測・評価するための手法の整備(長期予測・影響評価モデルの開発)のほか、(3)最先端の分析装置などを用いた放射年代測定や鍵層の高分解能同定法などによる編年技術の高度化(年代測定技術の開発)を進めてきた。本報では、それぞれの研究分野にかかわる科学的・技術的背景を解説するとともに、設定した研究課題に対してこれまでに実施してきた内容,主な研究成果及び今後の課題などについて述べる。
梅田 浩司; 浅森 浩一; 根木 健之; 草野 友宏
Journal of Geophysical Research, 116(B1), p.B01207_1 - B01207_12, 2011/01
被引用回数:14 パーセンタイル:45.14(Geochemistry & Geophysics)2000年10月に発生した鳥取県西部地震は=7.3の巨大な内陸地震であったにもかかわらず地表には明瞭な地震断層を生じなかった。しかしながら、その後の解析によって、地震を引き起こしたのは未成熟な断層であり、震源断層からの主破壊は地下1-2kmまで達したものの、地表では幾つかに分散するわずかな横ずれ変位しか生じなかったことが明らかにされた。本研究では、未成熟な震源断層を検出する手法として、地磁気・地電流観測に基づく比抵抗構造解析と地下水中のヘリウム同位体の観測をそれぞれ適用した。その結果、鳥取県西部地震を引き起こした震源断層の南西側の中部-下部地殻には溶融体が存在することが明らかになった。また、溶融体の周辺には低周波地震も発生していることから、溶融体から放出された流体が震源断層の活動と密接に関連することが示唆される。
根木 健之; 梅田 浩司; 松尾 公一*; 浅森 浩一; 横井 浩一*; 大原 英史
物理探査, 63(5), p.395 - 408, 2010/10
MT法による地下深部の比抵抗構造探査を行う際には、解析結果とともに、調査によって測定されたデータの精度を客観的に評価し、さらにその品質に基づいて解析結果の信頼性を評価する必要性がある。その必要性から、本稿では、従来、調査者の経験とスキルに強く依存していた測定データの品質評価を客観的に行うことを目的として、「推定位相誤差」,「不連続性指標」,「エラーバー指標」を提案し、これらを数値化することにより、測定誤差量との関連性を検討した。その結果、「推定位相誤差」が測定誤差量との相関が極めて高いことが認められ、MT法測定データの測定誤差量を評価する際の有用なパラメータとして期待できる。さらに「推定位相誤差」,「不連続性指標」,「エラーバー指標」を総合的にまとめることで、客観的かつ安定的に、データの精度を評価する手法を提案した。
安江 健一; 浅森 浩一; 山田 国見; 國分 陽子; 山崎 誠子; 黒澤 英樹; 谷川 晋一; 根木 健之; 草野 友宏; 花室 孝広; et al.
JAEA-Review 2010-034, 42 Pages, 2010/09
本計画書は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における地質環境の長期安定性に関する研究についての第2期中期計画期間(平成22年4月平成27年3月)の初年度である平成22年度の研究開発計画である。本計画の策定にあたっては、「地質環境の長期安定性に関する研究」基本計画-第2期中期計画をベースに、第1期中期計画期間(平成17年4月
平成22年3月)における研究成果,関係研究機関の動向や大学などで行われている最新の研究,実施主体や規制機関からのニーズなどを考慮したうえで策定した。研究の実施にあたっては、最終処分事業の概要調査や安全審査基本指針などの検討・策定に研究成果をタイムリーに反映できるよう、(1)調査技術の開発・体系化,(2)長期予測・影響評価モデルの開発,(3)年代測定技術の開発の3つの枠組みで研究開発を推進していく。
草野 友宏; 浅森 浩一; 黒澤 英樹; 谷川 晋一; 二ノ宮 淳; 根木 健之; 花室 孝広; 安江 健一; 山田 国見; 石丸 恒存; et al.
JAEA-Research 2009-072, 72 Pages, 2010/03
我が国は変動帯に位置しており、安定大陸に位置する欧米諸国に比べて、地震や火山活動などが活発である。地層処分においては、まず安定な地質環境を選んだうえで、そこに適切な多重バリアシステムを構築することが、安全確保の基本的な考え方である。このため、地質環境の長期安定性に関する研究においては、地層処分の場としての地質環境に重要な変化をもたらす可能性のある地震・断層活動,火山活動,隆起・侵食,気候・海水準変動などの天然現象に着目して、それらの有無や程度が文献から明らかでない場合に適用する調査技術や、それらが地質環境に及ぼす影響を評価するための調査技術・解析手法にかかわる研究開発を進めている。平成20年度は、以下の項目について調査・研究を行った。地震・断層活動については、断層の発達履歴や活動性に関する調査技術の整備,断層帯における影響評価モデルの開発に関する事例調査を実施した。火山・地熱活動については、第四紀の火山・地熱活動(特に低温領域の熱履歴)や地下深部のマグマ・高温流体などの基礎的な探査技術の適用性を検討した。隆起・侵食/気候・海水準変動については、古地形・古気候を復元する調査技術の整備や地形変化をシミュレートする技術の開発を行った。地質環境の長期安定性にかかわる総合評価研究については、地殻変動及び気候変動などを考慮した地下水流動解析手法の開発を進めた。
草野 友宏; 野原 壯; 梅田 浩司; 石丸 恒存; 花室 孝広; 齋藤 龍郎; 安江 健一; 丹羽 正和; 島田 耕史; 山田 国見; et al.
JAEA-Research 2009-022, 47 Pages, 2009/09
我が国は変動帯に位置しており、安定大陸に位置する欧米諸国に比べて、地震や火山活動等が活発である。地層処分においては、まず安定な地質環境を選んだうえで、そこに適切な多重バリアシステムを構築することが、安全確保の基本的な考え方である。このため、地質環境の長期安定性に関する研究においては、地層処分の場としての地質環境に重要な変化をもたらす可能性のある地震・断層活動,火山活動,隆起・侵食,気候・海水準変動等の天然現象に着目して、それらの有無や程度が文献から明らかでない場合に適用する調査技術や、それらが地質環境に及ぼす影響を評価するための調査技術・解析手法にかかわる研究開発を進めている。平成19年度においては、我が国の地質環境において地層処分システムの成立性に重大な影響を及ぼす現象の存在や、過去の変動の履歴を確認するための調査技術として、以下の項目について調査・研究を行った。地震・断層活動については、破砕帯の分布,活動履歴,活動性の調査技術の整備を行った。火山活動については、熱履歴や地下深部のマグマ・高温流体などを調査する技術の開発を行った。隆起・侵食/気候・海水準変動については、河成段丘を用いた隆起速度を調査する技術,地形変化をモデル化する技術,地殻変動や気候変動を考慮した地下水流動解析手法などの開発を行った。
梅田 浩司; 二ノ宮 淳; 根木 健之
Journal of Geophysical Research, 114(B1), p.B01202_1 - B01202_10, 2009/01
地層処分システムの長期的な安全性を検討するうえで考慮すべき天然現象として、最近注目されている非火山性温泉の熱源を解明するため、能登半島(和倉温泉: 95度)を事例に、温泉ガスの希ガス同位体分析及び三次元比抵抗構造解析を行った。その結果、三次元比抵抗構造によると、地下23kmまでは、中新世の堆積岩と考えられる低比抵抗帯がそれ以深は、基盤岩(花崗岩)と考えられる高比抵抗帯が存在する。また、温泉ガスのヘリウム同位体比は、大気の値と同程度あるいはそれより低い値を示す。一方、最近発生したM6.5以上の内陸地震の震源域では、大気の2倍以上の値を示した。以上のことから能登半島の非火山性温泉は、高いU, Th, Kを含む花崗岩の崩壊熱によって温められた天水起源の地下水が、活構造帯等に規制され地表まで上昇した可能性があると考えられる。
野原 壯; 梅田 浩司; 笹尾 英嗣; 花室 孝広; 齋藤 龍郎; 安江 健一; 丹羽 正和; 眞島 英壽*; 島田 耕史; 山田 国見; et al.
JAEA-Research 2008-062, 61 Pages, 2008/07
我が国は変動帯に位置しており、安定大陸にある欧米諸国に比べて、地震や火山活動等が活発である。地質環境の長期安定性に関する研究においては、地質環境に重要な変化をもたらす可能性のある天然現象に着目して、それらの特徴を明らかにするとともに、それらが地質環境に及ぼす影響を評価するための調査技術・手法にかかわる研究開発を進めている。平成18年度においては、地層処分システムの成立性に重大な影響を及ぼす現象の存在や、過去の変動の履歴をあらかじめ確認するための調査技術として、以下の項目について調査・研究を行った。活断層・地震活動については、活断層の分布と活動履歴(移動,伸張,変形帯の発達過程)の調査技術に関する既存情報の整備を行い、火山活動については、第四紀の火山・地熱活動(特に低温領域の熱履歴)や地下深部のマグマ・高温流体等の基礎的な探査技術の抽出を行った。隆起・侵食/気候・海水準変動については、地形変化モデルの概念モデルの作成等を行った。
根木 健之; 梅田 浩司; 浅森 浩一
社団法人物理探査学会第118回(平成20年度春季)学術講演会論文集, p.198 - 201, 2008/05
地磁気地電流法(以下、MT法)は、地下数十mから数十km程度の地下深部までの電気伝導度を調査する手法であり、従来から地熱資源開発,金属資源探査,石油探査,地震・火山防災等の分野で用いられており、その有効性が広く認められている。しかしながら、MT法は自然電磁波を信号源としているため、社会活動に伴う電気的ノイズの多い地域において、安定して高品質なデータを取得することが難しい。このため、現状として、このような地域では、データに含まれるノイズに起因して、何らかの不確実性を伴った比抵抗構造解析を行うこととなる。本稿では、MT法2次元インバージョン解析における入力データのノイズが、解析結果に与える影響について検討するとともに、比抵抗構造の不確実性を評価する基準について検討した。その結果、MT法における2次元インバージョン解析結果が最も影響を受けやすいデータのノイズは、見掛比抵抗及び位相差曲線の歪みであることがわかった。また、比抵抗構造の不確実性を評価する基準については、解の収束性と、解の一意性をもとに、解析結果の不確実性指標を提案するとともに、モデル計算及び実データによる本指標の適用性の検討を行い、本指標が、2次元解析断面の不確実性を評価する指標の一つと成り得るものであることを示した。
根木 健之; 梅田 浩司; 松尾 公一*; 浅森 浩一
社団法人物理探査学会第117回(平成19年度秋季)学術講演会講演論文集, p.195 - 198, 2007/10
本研究では、MT法スペクトル・データのスタッキングにおいて、従来、熟練技術者が行ってきた目視スタッキングの流れを取り入れたスタッキング・ルーチンを開発した。本ルーチンを極めて低品質な実データに適用した結果、熟練技術者によるマニュアル・スタッキング以上の品質を持つスタッキング結果を短時間で出力し、その実用性と有効性が認められた。このことから、本スタッキング・ルーチンは、ノイズレベルが極めて高い地域におけるMT法においても、迅速・安定に品質の向上が見込まれる実用的かつ効果的なデータ処理手法として期待される。
米田 吉宏*; 高原 弘幸*; 中村 直昭*; 秋山 眞介*; 守屋 俊文*; 根木 健之*
PNC TJ1380 97-001, 1338 Pages, 1997/03
釜石鉱山における原位置試験の第2フェーズ(H5H9年度)では、次の5つの領域が研究対象とされている。すなわち、(1)深部地質環境特性の把握(TASK-1)、(2)深部岩盤における掘削影響領域の評価(TASK-2)、(3)結晶質岩中の水理・物質移行特性の把握(TASK-3)、(4)人工バリアに関する研究(TASK-4)、(5)地震に関する研究(TASK-5)である。本報告書は、主に(1)の深部地質環境特性の把握を目的として実施された調査・試験結果をまとめたものであり、同時にこれは他の研究のための基礎的な資料を提供するものである。本年度は大別して3つの調査項目からなり、以下のような成果を得た。(1).割れ目充填物の年代測定:割れ目充填物中の変質鉱物であるセリサイトのKーAr年代測定を実施した。その結果、同試料のフィッション・トラック年代よりも15Ma以上古い年代値が得られた。同試料では他の割れ目の影響や再動・再変質等の影響を被っていないことから、割れ目充填物は栗橋花崗閃緑岩体の冷却過程において形成され、岩体同様に徐々に冷却したものと推定された。地質構造および割れ目形成史のまとめ:現在迄に取得されている地質データを見直し、原位置試験場周辺の地質構造や割れ目特性、充填物・変質部の鉱物・地化学特性、形成史についての取りまとめを実施した。弾性波トモグラフィー:KF-1、2孔周辺における割れ目帯およびみずみちの検出を目的として弾性波トモグラフィーを適用し、解析には2種類の手法を用いた。その結果を比較検討したところ、地質観察(NW坑道周辺及びKF-l、2孔)で推定される割れ目帯、流体流動電位法(KF-1孔)においてSPのアノーマリーが検出された領域、流量検層(KF-l、2孔)で多くの湧水が確認された区間において両解析手法ともに低速度帯の存在が認められ、弾性波トモグラフィーが割れ目帯及びみずみちの検出技術として有効な手法であることが明らかとなった。(2).降水量・気温・坑道湧水量・間隙水圧の経時変化の把握:KG-1孔の間隙水圧の経時変化と降水量に関連性があることが認められた。また、KD-90坑道とNW坑道周辺における間隙水圧の観測から550mL坑道内に存在する高木圧帯の連続性が推測された。KF-1,2孔、KCH-l,2孔における水理試験:これらの試錐孔において流量検層、PNC式
下茂 道人*; 山本 肇*; 高原 弘幸*; 根木 健之*; Doe, T.*
PNC TJ1205 96-003, 340 Pages, 1996/03
本研究の目的は、結晶質岩中における水理地質構造モデルを構築することであり、このための物質移行経路となる透水性割れ目の分布および連結性を試錘孔掘削時の水理応答観測、ボアホールテレビ検層、コア観察等の調査により把握するとともに、水理試験、非収着性トレーサー試験を行い、水理・物質移行パラメータを取得することである。平成6年度は、試験の準備段階として、100mのボーリング孔(KH-20孔)の掘削とこれに伴う既存のKH-19孔での圧力応答観測、およびBTV観察、コア観察、流量検層等を実施し、KH-19孔とKH-20孔間の水理地質構造を推定した。平成7年度は、調査対象領域を広げると共に、試験の中心となる領域の水理地質構造をより詳細に把握するために、平成6年度に引き続き3本のボーリング孔(KH-21、KH-23、KH-25孔)を掘削し、既存ボーリング孔での圧力応答観測およびボーリング孔の水理地質調査を行なった。これらのボーリング孔では、BTV観察および岩芯観察による割れ目特性の把握を行なった。また、最後に削孔したKH-25孔においてビルドアップ透水試験を行った。これらの調査試験により得られた、亀裂分布、水圧分布、水圧応答経路から、平成6年度の結果を見直し、試験エリアの岩盤内の詳細な水理地質構造モデルを構築した。
梅田 浩司; 浅森 浩一; 二ノ宮 淳; 根木 健之
no journal, ,
我が国に存在する温泉の多くは、第四紀火山の周辺に分布していることから、火山下のマグマや高温岩体等によって熱水活動が引き起こされていると考えられる。しかしながら、紀伊半島や能登半島等、第四紀火山から数十km以上離れた地域においても、42C以上の高温泉が湧出している地域が存在する。一方、高レベル放射性廃棄物処分の安全規制にかかわる基盤確保に向けて(廃棄物安全小委員会、2003)で示された今後取り組むべき幾つかの研究課題において、「構造運動から生じる熱水活動」として、非火山地帯の温泉の起源やその影響等について研究を進めていくことが求められている。本研究では、東北日本の飯豊山地周辺に分布する非火山性温泉を事例に、地球物理データ及び地球化学データに基づき、温泉の起源について検討するとともに、概要調査等に必要な地下深部のマグマ・高温流体等に関する総合的な調査手法を提示する。
二ノ宮 淳; 根木 健之; 梅田 浩司; 浅森 浩一
no journal, ,
朝日山地は、山形県と新潟県の県境の白亜紀から古第三紀の花崗岩類からなる山地で、第四紀火山(月山,白鷹山)からは30km以上も離れているにもかかわらず、周辺には瀬波温泉(97.2C),雲母温泉(88
C)などの高温泉(金原、1992)が分布している。さらに、マグマ、あるいはマグマから放出された高温流体が関与していると考えられる低周波微動地震が近傍に分布するなど、活動的な火山地域と同様の特徴を示す。本研究では、これら地熱活動との関連を検討するためにMT法探査により朝日山地下における地殻の二次元比抵抗構造を推定した。結果として、朝日山地西部の地下20
30kmに二次元断面図上で水平方向に約20kmの広がりを持つ低比抵抗体が見いだされた。低周波微動を含む周辺地域の地震の震源は、低比抵抗体周辺部で発生しており、低比抵抗体が高温であることを示唆する。朝日山地周辺には高温の温泉が分布することをあわせると、低比抵抗体はマグマの存在を示している可能性が高い。このマグマ活動は、朝日山地の隆起運動,白鷹山の活動,山形盆地西縁断層帯の活動等の周辺地域のテクトニクスと関連している可能性がある。
根木 健之; 梅田 浩司; 浅森 浩一
no journal, ,
MT法電磁探査は従来からさまざまな分野で用いられており、地下数十mから数十kmまでの比抵抗構造調査として、その有効性は広く認められている。しかしながら、MT法は自然電磁波を信号源としているため、電気的ノイズの多い地域において、安定して高品質なデータを取得することが難しい。このような地域でMT法調査を可能にするためには、可能な限り高品質なデータを安定して提供できるロバストなMT法スペクトル・スタッキング手法の開発が望まれる。本研究では、根木ほか(2005)によるMT法のデータ信頼性評価指標を用いた重みつきスタッキングを、MT法スペクトル・データに対して行った。使用した実データは極めて品質が低いデータであったが、本スタッキング手法により処理することで、明らかに品質の改善が認められた。このことから、本手法は、ノイズレベルが高い地域におけるMT法調査において、安定してS/N比を低減できる効果的なスタッキング手法として期待される。
根木 健之; 梅田 浩司
no journal, ,
MT法にかかわるデータ処理技術の開発において、従来、熟練技術者が行ってきた目視スタッキングの流れを取り入れたスタッキング・ルーチンを開発した。本ルーチンを種々の低品質実データに適用した結果、いずれのデータにおいても熟練技術者によるマニュアル・スタッキング以上の品質を持つスタッキング結果を短時間で出力し、その実用性と有効性が認められた。このことから、本スタッキング・ルーチンは、ノイズレベルが極めて高い地域におけるMT法においても、迅速・安定に品質の向上が見込まれる実用的かつ効果的なデータ処理手法として期待される。
梅田 浩司; 二ノ宮 淳; 根木 健之
no journal, ,
能登半島は、下-中部中新統及び鮮新統を主体とし、これらが先新第三系の飛騨変成岩,船津花崗岩類を覆っている。能登半島の温泉は、おもに第四紀以降に形成したと考えられる半島北縁部及び中部の北東-南西方向に伸びる断層・褶曲帯周辺に分布する。能登半島の広域的な地温勾配は40C/km以上と比較的高く、和倉(95
C),栄和(60
C),湯川(51
C)等の高温泉も多く存在する。本研究では、能登半島の広域的なヘリウム同位体比の特徴を明らかにするため、半島全域の14の温泉を対象に温泉水・ガスを採取し、ヘリウム同位体比の測定を行った。その結果、能登半島に分布するほとんどの温泉の
He/
He比は、大気と同程度あるいはそれ以下の値(0.03
1.2Ra; 1Ra=1.4e-6)を示ことから、伏在的な火成活動やスラブ起源の流体の上昇等に由来するようなマントル・ヘリウムの寄与は小さいと考えられる。また、高温泉の遊離ガスに含まれるHe濃度は極めて高いこと(
0.4vol.%)や基盤の船津花崗岩類中には放射性鉱物を含むペグマタイトが認められることなどから、これらの温泉の熱源は、基盤岩中に含まれるU, Thの放射壊変によって生じた熱によって温められた深部流体が活構造帯に規制され局所的に上昇した可能性が考えられる。
根木 健之; 梅田 浩司; 浅森 浩一
no journal, ,
MT法(Magnetotelluric Method:地磁気地電流法)は、従来から地熱資源開発,金属資源探査,石油探査等の分野で用いられているが、近年、深部地質環境を理解するための手法の一つとしても有効であると考えられている。しかしながら、MT法は自然電磁波を信号源としており、電気的ノイズの多い地域において、安定して高品質なデータを取得することが難しい。さらに今後は、市街地の拡大等に伴い、人工ノイズの高い地域での測定の機会が多くなることが予測される。このことから、MT法による地下深部の比抵抗構造調査を行う際には、測定されたデータの品質を客観的に評価し、そのうえで解析結果の信頼性を検討する必要性がある。本講演ではMT法における測定データの品質評価方法,測定データの品質が解析結果に与える影響,解析断面の信頼性評価方法について検討した結果を報告する。