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向 和夫; 荒井 眞伸; 伊藤 和寛; 大川内 靖
日本原子力学会誌ATOMO, 56(9), p.554 - 560, 2014/09
エネルギー基本計画で、「もんじゅ」を進めることが改めて明確になった。しかし、その運転再開時期については、いまだに不透明のままである。「もんじゅ」をめぐる現場は今、どうなっているのか。一方で、日米原子力協力協定の改定が2018年に迫り、この時までに「もんじゅ」が運転を再開していなければ、日本に認められている核燃料サイクル政策の実行に悪影響を及ぼす可能性があるとも言われている。これらにどう対処していけばよいのか。東京工業大学の澤田哲生氏と「もんじゅ」の技術者で議論を行った。
宮川 高行*; 北野 彰洋; 大川内 靖
JAEA-Technology 2014-008, 60 Pages, 2014/05
高速増殖原型炉もんじゅは、平成7年12月に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故後、運転を停止していたが、平成22年5月6日に14年5か月ぶりに性能試験を再開した。性能試験は、3段階にわけて実施していく計画であり、その最初の段階の炉心確認試験を78日間にわたって実施し、同年7月22日に終了した。炉心確認試験のうちフィードバック反応度評価では、一定量の制御棒引抜により炉心に正の反応度を印加し、「もんじゅ」炉心固有の負の反応度フィードバック特性と補助冷却設備の制御特性によって、原子炉出力やナトリウム温度などのプラントパラメータが安定に向かう様子を確認する「自己安定性の確認」を実施した。また、得られた試験データを用いて、炉心のフィードバック特性について定量的評価を試みた。
加藤 優子; 矢吹 健太郎*; 大川内 靖
JAEA-Technology 2013-018, 118 Pages, 2013/07
高速増殖原型炉もんじゅは、平成7年12月に発生した2次主冷却系ナトリウム漏えい事故後、運転を停止していたが、平成22年5月6日に14年5か月ぶりに性能試験を再開した。性能試験は、3段階に分けて実施していく計画であり、その最初の段階の炉心確認試験を78日間にわたって実施し、同年7月22日に終了した。炉心確認試験のうち、「制御棒価値確認」では、制御棒価値測定のための基礎データを取得するとともに、各制御棒の反応度価値を測定した。
北野 彰洋; 宮川 高行*; 大川内 靖; 羽様 平
Proceedings of International Conference on Fast Reactors and Related Fuel Cycles; Safe Technologies and Sustainable Scenarios (FR-13) (USB Flash Drive), 9 Pages, 2013/03
2010年の「もんじゅ」性能試験(炉心確認試験)でフィードバック反応度測定試験を実施した。フィードバック反応度の2要素(出力及び原子炉入口冷却材温度に関する反応度)を出力と冷却材温度の測定データを反応度バランス式にフィティングして評価した。フィードバック反応度及びその2要素について、炉心内の温度分布を考慮した計算値を求め、測定値と比較した。フィードバック反応度の測定値と計算値は良好に一致することを確認した。
北野 彰洋; 大川内 靖; 岸本 安史*; 羽様 平
Transactions of the American Nuclear Society, 103(1), p.785 - 786, 2010/11
2010年5月に運転を再開した高速原型炉「もんじゅ」で実施された臨界性,制御棒価値,等温温度係数の測定実験について概要を述べる。再起動炉心の最大の特徴は、再開前の炉心に比べてPuの組成が半減し、
Amの組成が倍増している点である。
Puの崩壊に伴うものである。燃料交換に伴い、
Uと
Puの組成が若干変化したが、
Puと
Amの組成にはほとんど変化はない。その結果、再起動炉心で取得される炉物理データは、
Puと
Amの核データ検証のために有用と期待される。再開前の炉心と再起動炉心の臨界性の解析精度について差分をとると、炉心の変化に対する解析精度が把握できる。主要な核データ間での精度比較により、JENDL-3.3に比べて、JENDL-4やENDF/B-VIIの解析精度が優れていることを確認した。JENDL-4やENDF/B-VII間では差異は小さいが、JENDL-4の方が優れており、唯一実験誤差の範囲で一致している。再起動炉心で取得されたデータは
Puと
Amの核データを検証するうえで貴重であることが確認できた。
大川内 靖; 前田 茂貴; 伊藤 主税; 川原 啓孝; 青山 卓史; 石田 公一
JAEA-Technology 2009-047, 130 Pages, 2009/09
原子力分野の研究・開発・利用にかかわる人材育成を強化する目的で、教育研究活動の支援プログラムを国が推進している。このような背景に鑑み、大学との連携強化を図り、原子力分野の人材育成に貢献するため、高速実験炉「常陽」及び関連施設を用いた実践的研修を行うシステムを整備してきた。本書は、「常陽」の原子炉シミュレータを用いた高速炉物理実験について、その内容をまとめたものである。実習は、「常陽」運転訓練用のフルスコープ原子炉シミュレータを用いて行われ、原子炉の起動から臨界,制御棒校正試験,原子炉の温度や出力変化に伴う反応度係数の測定,高速炉心のフィードバック反応度測定等の各実験を通して、原子炉固有の安全性(自己制御性)を理解するとともに、原子炉の運転操作を体験できるものである。
前田 茂貴; 伊藤 主税; 大川内 靖; 関根 隆; 青山 卓史
Reactor Dosimetry State of the Art 2008, p.474 - 482, 2009/00
照射性能を向上させた「常陽」MK-III炉心の核熱特性評価を詳細に把握するため、多重放射化箔,ヘリウム蓄積型フルーエンスモニタ(HAFM),熱膨張差型温度モニタ(TED)を装填した集合体をMK-III炉心に装荷して、測定と解析を実施した。本論文では、このうち、ドシメータによる中性子照射場特性の測定と解析について述べる。(1)合計92セットのドシメータにより、燃料領域から炉容器外照射孔まで含めた範囲の各種反応率分布を系統的に測定し、中性子束や出力分布を実験的に把握できた。(2)炉心燃料領域においては、MK-III炉心管理用に開発整備したHESTIAコードにより、U核分裂率を4%以内の誤差で評価できることがわかった。(3)内部構造が非均質な照射試験用集合体については、幾何学形状を厳密にモデル化できるモンテカルロ計算により、計算誤差を6%に低減できる。(4)反射体領域より外側では3次元輸送計算コードTORTが有効であるが、内側反射体については最大で約20%の過大評価となっており、現状ではモンテカルロ計算で補正する必要がある。
大川内 靖; 関根 隆; 青山 卓史
JAEA-Conf 2006-003, p.126 - 139, 2006/05
None
大川内 靖; 大木 繁夫; 若林 利男; 山口 憲司*; 山脇 道夫*
JNC TY9400 2004-004, 37 Pages, 2004/05
高速炉を用いたマイナーアクチナイド(MA)核種の核変換研究の一環として、高速中性子源炉「弥生」において、235Uに対するMA(241Am, 243Am)の核分裂断面積比をバック・ツー・バック(BTB)核分裂検出器を用いて測定した。弥生炉の炉心を貫く主実験孔(グローリーホール)における測定のため、小型BTB検出器を準備した。グローリーホール内の測定位置を炉心中心から劣化ウランブランケットまで変えることにより、核分裂断面積比の中性子スペクトル依存性を調べた。核分裂断面積比の測定結果を、核データライブラリ(JENDL-3.2、ENDF/B-VI、JEF-2.2)を用いて計算した値と比較した。炉心中心における241Am, 243Am双方についての計算値は、1020%の系統的な過小評価となることがわかった。計算値における核データライブラリ間のバラツキは、測定値との相違に比べると小さいものであった。また、C/E値には測定位置依存性が見られている。本測定結果には測定精度の面で課題がある。波高スペクトルに対するアンフォールディング等により誤差の原因を取り除くことができれば、241Am, 243Amや中性子スペクトル場を形成する235U, 238Uの核データ検証における参考情報として、本測定結果を活用できると考えられる。
大川内 靖; 前田 茂貴; 長崎 英明*; 関根 隆
JNC TN9400 2003-029, 96 Pages, 2003/04
サイクル機構では、「常陽」照射用炉心(MK-II炉心)の運転を通じて蓄積した炉心・燃料管理に関する諸データをまとめ、炉心特性データベースとして1998年に公開し、このデータベースは高速炉の炉心設計や照射後試験解析等に使用されてきた。その後、多くのユーザーから、新しい核データライブラリーの適用、炉心核特性・パラメータの追加等、本データベースの更なる充実を求める要望やコメントが寄せられた。これらの要望に応えるため、データベースの改訂を2001年に行った。改訂点は、炉心管理コードシステム(MAGI)の核計算に使用する炉定数を、従来のJFS-3-J2セットからJENDL-3.2ライブラリーに基づくJFS-3-J3.2セットヘ更新した。しかし、データベース改訂後、JFS-3-J3.2の作成にあたって評価済み核データライブラリーを処理する段階において、いくつかの誤りがあったことが明らかとなり、訂正版であるJFS-3-J3.2Rが公開された。そこで、本データベースにおいても炉定数セットをJFS-3-J3.2Rに改訂した。改訂したデータベースは、初版(先に公開した改訂版)と同じ構成とし、各運転サイクルごとの炉心構成及び燃料交換履歴、これまでに照射された362体の炉心燃料集合体と69体の照射試験用集合体の集合体ライブラリデータ(製造時の燃料組成及び燃焼計算による原子数密度、燃焼度等)、照射データ(中性子束、線出力等の計算値)、並びに炉心特性データ(制御棒価値、出力係数等の測定値)をテキスト形式でCD-ROMに収録し、ユーザーが炉心特性解析に利用しやすいものとした。炉定数セットを改訂することにより、過剰反応度は約0.15%k/kk'低下するが、その他の核特性については影響が小さいことを確認した。
大川内 靖; 前田 茂貴; 関根 隆; 長崎 英明*
JNC TN9400 2002-070, 49 Pages, 2003/01
「常陽」の高度化計画(MK-III計画)の一環として、MK-III炉心における炉心管理及び照射条件評価を高精度で行うため、MK-III炉心管理コードシステム"HESTIA"を開発した。 HESTIAでは、核計算の精度向上として、計算体系については、MK-II炉心管理コードシステム"MAGI"で使用してきたHex-Z体系からTri-Z体系に変更し、集合体あたりの径方向メッシュ数を1から24へ、燃料領域における軸方向メッシュ幅を5cmから2.5cmへ詳細化した。また、エネルギー群数については、中性子束は7群から18群に、線は3群から7群に増加した。これにより、"MAGI"では十分に模擬できなかったステンレス鋼製反射体と隣接した炉心燃料集合体内での中性子束の空間分布及びスペクトル変化を詳細に計算でき、反射体に隣接した炉心燃料集合体内の出力分布の計算精度を改善できることを確認した。 また、熱流力計算については、上記の核計算で得られた集合体内の詳細な出力分布を考慮でき、集合体内の乱流熱伝達を取り扱え、さらに計算時間が短いポーラスボディモデルを採用することにより、集合体内の冷却材温度の計算精度を向上させた。この結果、サブチャンネルモデルと同等の計算結果が得られることを確認した。 MK-III炉心での実用に先立って、HESTIAを用いてMK-II炉心の記録計算を行い、運用実績のあるMAGIの計算結果と比較することにより、HESTIAの計算値の妥当性を確認した。この結果、両コードシステムによる評価結果は、過剰反応度はエネルギー群縮約効果及びメッシュ効果を考慮すると約0.01%
k/kk'以内で、最大中性子束及び炉心平均燃焼度は約3%以内で、冷却材出入口温度差は約7度C以内で一致し、HESTIAによる計算結果の妥当性がかくにんされた。 今後は、MK-III炉心の炉心・燃料管理にHESTIAを用いるとともに、MK-III性能試験及び核特性測定用集合体を用いた出力・中性子束分布測定試験の解析により、本コードシステムの計算精度を評価する計画である。
庄野 彰; 大川内 靖
Journal of Nuclear Science and Technology, 39(Suppl.2), p.493 - 496, 2002/08
東京大学の高速中性子源「弥生炉」を用いて実施したU235及びNp237の崩壊熱測定結果を報告する。測定は、それぞれの核種を塗布したサンプルを炉内で一定時間照射した直後に放射線検出器で測定し、崩壊熱の線と
線それぞれの成分につき、照射終了後最大約20,000秒にわたる時系列デ-タを得た。照射中の核分裂数も実測値に基づいて決定し、崩壊熱の規格化に用いた。U235の
線成分については、1980年代に取得された秋山のデ-タと良く一致し、測定手法の妥当性を確認できた。同一手法で測定したNp237の
線成分については、冷却時間約200
2500秒においてJNDC-V2を用いた総和計算値と約6%で一致した。それ以後実測値が過大評価傾向を示すが、この原因は照射中に発生するNp238から発生する
線の影響であると判明した。
線成分については、応答関数の信頼性が確証されていないこともあり、測定値と総和計算値の間に乖離があるが、
線
大川内 靖; 前田 茂貴; 関根 隆; 長崎 英明*
JNC TN9410 2001-019, 96 Pages, 2001/12
サイクル機構では、「常陽」照射用炉心(MK-II炉心)の運転を通じて蓄積した炉心・燃料管理に関する諸データをまとめた集大成を炉心特性データベースとして1998年に公開し、このデータベースは高速炉の炉心設計や照射後試験解析等に使用されてきた。その後、多くのユーザーから、新しい核データライブラリの適用、炉心核特性・パラメータの追加等、本データベースの更なる充実を求める要望やコメントが寄せられた。今回、これらの要望に応えるため、データベースの改訂を行った。ここでは、炉心管理コードシステム"MAGI"の核計算に使用する炉定数を、従来のJFS-3-J2セットからJENDL-3.2ライブラリに基づくJFS-3-J3.2セットへ更新した。また、本データベースに追加すべき内容として要望の多かった全制御棒価値(Total Worth)、動特性パラメータ及びMK-II性能試験データを追加した。さらに、初版のデータベース公開後に運転された第3235サイクルにおける運転特性試験データも新たに収録した。改訂したデータベースは、初版と同じ構成とし、各運転サイクルごとの炉心構成及び燃料交換履歴、これまでに照射された 362体の炉心燃料用集合体の集合体ライブラリデータ(製造時の燃料組成及び燃焼計算による原子数密度、燃焼度等)照射データ(中性子束、線出力等の計算値)、並びに炉心特性データ(制御棒価値、出力係数等の測定値)をテキスト形式でCD-ROMに収録し、ユーザーが炉心特性解析に利用しやすいものとした。
大川内 靖; 庄野 彰; 越塚 誠一*
JNC TY9400 2001-017, 117 Pages, 2001/05
崩壊熱は、原子炉除熱系の設計や使用済燃料の取扱において重要である。本研究は、マイナーアクチニドの崩壊熱を高速中性子源「弥生」を用いて測定したものである。U-235は冷却時間19秒20,000秒、Np-237は冷却時間64秒
20,200秒の範囲で測定を行った。 弥生炉のグレージングホール中心で、U-235は10秒及び100秒、Np-237は100秒及び500秒照射した。
線エネルギースペクトルは、NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いて測定した。
線エネルギースペクトルは、プラスチックシンチレーション検出器と
-
弁別用比例計数管を組み合わせ、同時計数を取ることで測定した。規格化に用いる核分裂数は、Ge検出器で測定した
線エネルギースペクトルから評価した。 測定したパルス波高分布はバックグランドを除去した後に、検出器の応答関数を用いて、FERDOコードによりアンフォールディング処理を行った。アンフォールディング処理されたエネルギースペクトルは、単位時間当たりの核分裂数で規格化した。そして、規格化されたエネルギースペクトルから、有限時間照射崩壊熱を求めた。有限時間照射崩壊熱は、照射条件の異なる実験値や各種計算値と比較ができないので、瞬時照射崩壊熱に変換した。U-235とNp-237に対する
線崩壊熱結果をJNDC-V2を用いた総和計算値と比較した。U-235の測定結果は、冷却時間が150秒
250秒の範囲で比較的よく一致した。Np-237の測定結果は、冷却時間が250秒
350秒の範囲で比較的よく一致した。 U-235とNp-237に対する
線崩壊熱結果をJNDC-V2を用いた総和計算値と比較した。U-235の測定結果は、測定した全ての冷却時間領域においてよく一致した。Np-237の測定結果は、冷却時間が200秒
2,500秒の範囲でよく一致した。冷却時間が2,500秒
20,000秒の範囲では、Np-237の中性子捕獲反応によって生成するNp-238からの
線が影響することがわかった。
甲斐 哲也; 小林 捷平*; 山本 修二*; Cho, H.*; 藤田 薫顕*; 木村 逸郎*; 大川 内靖*; 若林 利男*
Annals of Nuclear Energy, 28(8), p.723 - 739, 2001/05
被引用回数:8 パーセンタイル:51.75(Nuclear Science & Technology)背中合わせ型核分裂計数管を用いて0.003eVから10keV領域におけるAm核分裂断面積を測定した。これらの実験は、京都大学鉛減速スペクトロメータを用いた0.03eV~10keV領域、京都大学原子炉熱中性子照射施設における0.025eV、飛行時間分析法による0.003eV~35eV領域において行った。測定結果を評価済み核データファイルJENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.5及び既存の比較して、評価済み核データの妥当性を議論した。
大川内 靖; 庄野 彰
JAERI-Conf 2001-006, p.121 - 124, 2001/03
高速炉におけるアクチニドリサイクルに関わる核種の崩壊熱予測精度向上を目的として、弥生炉を用いたU-235及びNp-237の崩壊熱測定を実施した。U-235の測定は過去に秋山らによって実施されており、本実験は秋山らの実験を踏襲し、照射時間や測定時間についてはパソコンによる自動化を図ることにより精度を向上させた。U-235の測定結果は、秋山らの実験結果の誤差範囲内で一致しており、実験の再現性が確認できた。Np-237の測定結果は、冷却時間が2002,500秒の範囲ではJNDC-V2やENDF-B/VIを用いた総和計算値と良く一致している。冷却時間が60
200秒の範囲では総和計算値との一致が悪いが、これは有限照射崩壊熱から瞬時照射崩壊熱を求める時の補正量が大きいためである。冷却時間が2,500
20,000秒の範囲では、実験値の方が計算値を上回っているが、これはNp-237の中性子捕獲反応で生成するNp-238から放出される
線の影響で
大川内 靖; 庄野 彰
JNC TN9400 2001-001, 100 Pages, 2000/08
U-235及びNp-237における高速中性子核分裂による核分裂生成物からの線崩壊熱を、放射線計測法(
線エネルギースペクトルを測定する方法)を用いて測定した。試料は、東京大学の高速中性子源「弥生炉」を用いて照射した。
線エネルギースペクトルの測定は、NaI(Tl)シンチレーション検出器を用いて行い、照射中の核分裂数の評価は、Ge検出器を用いて測定した
線エネルギースペクトルから求めた。測定された
線(1024chのパルス波高分布)はバックグランドを差し引き、検出器の応答関数のエネルギー群構造に一致するように340群へバンチングした。バンチングしたパルス波高分布は、アンフォールデイングコードFERDOと検出器の応答関数を用いてエネルギースペクトルに変換した。エネルギースペクトルに変換後、核分裂数で規格化し、エネルギーで積分することで測定したタイムステップ毎の崩壊熱を得た。実験から直接得られる有限時間照射崩壊熱は、照射条件が異なる実験値や各種計算値との比較ができないので、瞬時照射崩壊熱に変換した後、JNDC-V2を用いた総和計算値と比較した。今回測定したU-235の結果は、同様の手法を用いて測定された他の結果と約10%で一致しており、実験手法の再現性が確認できた。今回測定したNp-237の結果は、冷却時間が約200秒
2500秒の範囲でJNDC-V2を用いた総和計算値と約8%で一致した。今後の課題として、実験誤差の検討、核分裂数の最終評価などが挙げられる。また、冷却時間の短いデータの精度を上げるために短時間照射の追加測定を行う必要がある。冷却時間の長いデータの精度向上のためには、データ処理の改善が必要である。また、
線崩壊熱については
線と同様の測定データを得ており、エネルギー校正や検出器の応答関数に留意して
線崩壊熱と同様のデータ処理、総和計算との比較を進める予定である。
鬼柳 善明*; 加美山 隆*; 平賀 富士夫*; 若林 利男; 大川内 靖
JNC TY9400 2000-015, 238 Pages, 2000/05
中性子は、透過力が強い、他の放射線では見えない元素が見えるなどの特性のため、非常に特徴のあるプローブとなっている。この特性を利用して原子力部材の残留応力の測定、また、生体物質・高分子などの構造・ダイナミックスの測定などに不可欠のものとして利用されている。しかし、強度がまだ弱く、それを改善するためには、ビーム制御システムを開発し、利用できる中性子の強度を増やすことが必要である。本研究では、ビーム制御機器として、磁気レンズ、マルチキャピラリーファイバー、ミラーについて検討した。磁場による中性子ビーム収束に関する実験は、本研究で初めて行われたもので、磁場がある場合と無い場合で比較すると、収束波長での強度比は約40倍という大きなものであることが実証された。さらに検討を進めた結果、磁場の一様性を高めることができれば、収束強度をさらに2倍上げられることが示された。マルチキャピラリーファイパーによる中性子輸送特性を、初めて中性子波長依存で、また、キャピラリー径および曲率を変えて測定した。波長が約5A以上では透過率が一定となること、今回測定したキャピラリーでは、径が大きい方が透過率が高いことが明らかとなった。これらの結果は、必要とする中性子の波長によって、最適なキャピラリーの径が存在することを示唆しており、実用装置を作製する場合にはそのことを十分考慮する必要があることを示している。一本の中性子ビーム孔をより有効に利用するために、中性子スーパーミラーを用いた先端分岐型の中性子ビームスプリッターを作り、その特性を測定した。その結果、長波長中性子成分が通常の2倍となるビームラインと、その成分が少ない二つの違った特性を持つビームラインが作れることが実証された。中性子のビームプローブとしての重要性から・中性子ビーム制御に関する研究は非常に重要であると認識されている。この研究の発展は、原子力の分野での利用にも大きく貢献するものと考えられる。
須山 賢也; 片倉 純一; 大川 内靖*; 石川 眞*
Proceedings of the ANS International Topical Meeting on Advances in Reactor Physics and Mathematics and Computation into the Next Millennium (PHYSOR2000) (CD-ROM), p.20 - 0, 2000/00
日本の評価済み核データライブラリJENDL-3.2に基づいた、ORIGEN2コードのための新ライブラリORLIBJ32が開発された。そのライブラリ一群断面積だけではなく、燃焼度依存アクチノイド断面積や、崩壊及び核分裂収率データを含んでいる。そのライブラリの主な目的は、軽水炉の場合には全燃料集合体にわたって平均化した同位体組成を求めることであり、FBRの場合には、炉心全体にわたった平均組成を得ることである。作成目的の燃料集合体はPWR1717燃料集合体であり、BWRの場合には、8
8あるいは9
9燃料である。FBRの場合の目的の炉心とブランケットは、いくつかの考えられている規格から選択された。LWR燃料の評価は、日本原子力研究所で行われた照射後試験の解析によって行われた。その評価によると、多くの同位体の計算値が向上していることが示されている。FBRライブラリの評価は、新旧のFBRライブラリ間の比較によって行われた。いくつかの同位体の計算された重さは大きな差を示している。この比較は、計算された結果の差が目的とする系の中性子スペクトルに依存していることを示している。
大川内 靖; 福島 学*
JNC TN9400 99-051, 100 Pages, 1999/05
ORIGEN2は世界で最も広く使用されている燃焼計算コードである。本コードは様々なタイプの炉心に対する1群断面積ライブラリーを内蔵している。しかし、これらのライブラリーに関しては、基となっている核データ(ENDF/B-IV,V)が古いことやライブラリー作成時に想定された高速炉の炉心燃料設計が最近の検討対象と必ずしもマッチしないなどの問題点がある。そこで、JENDL-3.2をベースとし、解析対象炉心の中性子スペクトルを考慮できる高速炉用のORIGEN2新ライブラリー作成ツールを開発した。また、本ツールを用いて、Na冷却型高速炉の検討に広く活用できるよう、炉心規模(小型炉大型炉)・燃料種別(酸化物、窒化物、金属)・Pu組成をパラメータとした7種類の増殖炉心にPu燃焼型炉心を加えた計8種類の炉心に対して新ライブラリーを整備した。作成した新ライブラリーの検証として、ライブラリーを変更して同条件での燃焼計算を行った。その結果、ライブラリーによって核種生成量・消滅量が大きく異なることが示され、縮約スペクトルが計算結果に大きく影響していることがわかった。本ツールあるいは新ライブラリーを用いることにより、消滅処理研究における核種生成・消滅量の評価精度が向上するものと思われる。