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奥野 泰希; 山口 真史*; 大久保 成彰; 今泉 充*
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(4), p.457 - 462, 2020/04
被引用回数:0 パーセンタイル:100(Nuclear Science & Technology)優れた高耐放射線性を備えたリン化インジウムガリウム(InGaP)太陽電池は、高放射線量率環境に適用可能な線量計の有力な候補材料になると予想されている。本研究では、InGaP太陽電池を用いた線量計の寿命を予測するために、照射試験及び経験的計算により、InGaP太陽電池の線量信号としての放射線誘起電流に対する少数キャリア拡散長()の影響を明らかした。照射試験では、
線線量率の関数としての短絡電流密度(
)を測定することでInGaP太陽電池の
を推定した。また、様々な線量率でInGaP太陽電池を検出器として使用した際の動作寿命を、
と吸収線量の関係に基づく経験式を用いて推定した。この計算結果から、InGaP太陽電池を用いた線量計が福島第一原子力発電所の原子炉格納容器で10時間以上使用可能であり、廃炉に貢献する耐放射線性を有した線量計である可能性が高いことを明らかにした。
斎藤 滋; 大久保 成彰; 大林 寛生; Wan, T.; 菅原 隆徳; 佐々 敏信; 前川 藤夫
JPS Conference Proceedings (Internet), 28, p.071003_1 - 071003_6, 2020/02
原子力機構は、加速器駆動システム(ADS: Accelerator-Driven Systems)の設計に必要な材料照射データベースを作成し、流動LBE中での照射効果について研究するため、J-PARCに陽子照射施設の建設を計画している。この照射施設では、鉛ビスマス共晶合金(LBE: Lead-Bismuth Eutectic)の核破砕ターゲットに250kWの陽子ビームを入射し、ADSの構造材候補材についてLBE流動下での照射試験を実施する。この照射施設を実現するために、様々な研究開発が行われている。LBEターゲットとターゲット台車の設計検討ついては概念設計を終えた。要素技術開発として大型のLBEループが製作され、本格運転へ向け準備中である。LBEループのための酸素濃度制御システムも開発された。遠隔操作によるターゲット交換試験も進捗している。照射試料の照射後試験フローは完成し、照射後試験技術について検討を進めている。その他、TEF-Tの実現に向けた現在の研究開発状況についても報告する。
奥野 泰希; 大久保 成彰; 今泉 充*
Journal of Nuclear Science and Technology, 56(9-10), p.851 - 858, 2019/09
被引用回数:5 パーセンタイル:8.35(Nuclear Science & Technology)2011年の津波による事故の後、福島第一原子力発電所(1F)を廃止するには、線量分布測定による燃料デブリの特性評価が必要である。この論文では、InGaP太陽電池を適用した放射線検出器の実験的および理論的な挙動を調べ、燃料デブリの局在化および特徴付けが可能となることを説明する。照射試験では、InGaP太陽電池の放射線誘導電流出力は、60Coの線の線量率の増加に伴って直線的に増加することが観察された。低線量率での測定では、特徴付けを行ったノイズを分析することによって、検出可能な最小線量率および空間分解能を決定できることを明らかにした。InGaP太陽電池の放射線線量測定の最大検出限界は、1Fプラントの炉心で観測可能な最高
線線量率よりも高いことが判明した。さらに、放射線誘起電流の解析として、吸収線量率と太陽電池における放射線誘導電流対の生成との間の関係式を表現しようと試みている。これら本研究での実験およびシミュレーションの結果は、太陽電池が1Fプラントの燃料デブリ近くの高線量率環境における放射線線量測定のための強力なツールとなり得ることを示唆している。
武田 裕介; 飯田 清*; 佐東 信司*; 松尾 忠利*; 長嶋 泰之*; 大久保 成彰; 近藤 啓悦; 平出 哲也
JPS Conference Proceedings (Internet), 25, p.011023_1 - 011023_3, 2019/03
今回、(1)810C、600分、(2)850
C、720分のふたつの条件でチタン合金表面に窒化層を導入した。低速陽電子ビームを用いて、陽電子消滅
線ドップラー広がり測定により試料表面を測定した結果、表面近傍において陽電子は欠陥に捕まって消滅していることがわかった。TEM観察によると表面近傍には10nm程度の結晶粒が存在しており、ほとんどの陽電子は結晶中を拡散後、粒界の欠陥において消滅していることが明らかとなった。さらに、陽電子消滅ドップラー広がり測定の結果は、陽電子の消滅している部位における化学組成が深さに対して変化していることを示していたが、EDS観察においても、バナジウムなどの不純物に深さ依存性があることが示され、これらの測定結果は粒界における不純物濃度の変化を反映していると考えられる。
大久保 成彰; 奥野 泰希; 喜多村 茜; 田口 富嗣*
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 435, p.198 - 202, 2018/11
被引用回数:0 パーセンタイル:100(Instruments & Instrumentation)原子力機構で開発を進めている加速器駆動核変換システム(ADS)では、冷却材及び核破砕ターゲットとして液体鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いる。ADSでは、LBE中の酸素制御が重要な技術開発項目である。酸素センサ素子にはイットリア添加ジルコニア(YSZ)が用いられるが、ADSでは、放射化したLBEから線照射を受けるため、
線照射環境下での酸素センサの信頼性評価が必要である。本報告では、各種YSZの強度特性に及ぼす
線照射の影響を調べた。イットリア添加濃度を3, 6, 8mol%と変えた3種類のYSZ曲げ試験片に対して、実機1年間運転後のLBEから受ける
線量に相当する1及び2kGy/hの線量率にて、
線照射を行った。照射後に、4点曲げ試験, XRD, SEM観察及びラマン分光による評価を行い、以下の結果を得た。8Y, 6Yでは、
線照射による強度変化や破面の形態変化は見られず、一方、3Yでは、XRDにより、強度変化に影響を及ぼすほどではないが、照射量に依存した、正方晶から単斜晶への相変態を示す結果が得られた。これは、
線照射により予め相変態が誘起されたことを示し、ラマン分光測定によっても、相変態を示す結果が得られた。
Li, R.*; Pang, C.*; 雨倉 宏*; Ren, F.*; Hbner, R.*; Zhou, S.*; 石川 法人; 大久保 成彰; Chen, F.*
Nanotechnology, 29(42), p.424001_1 - 424001_8, 2018/10
被引用回数:4 パーセンタイル:55.32(Nanoscience & Nanotechnology)銀イオン注入法と高速重イオン照射法を組み合わせることで、Nd:YAG(Nbをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット)結晶中に埋め込まれている銀ナノ粒子を制御性良く変形させることができた。本研究では、Nd:YAG結晶中に埋め込まれた球形状の銀ナノ粒子に高速重粒子線を照射することで、銀ナノ粒子を変形させることを試みた。今回、照射前後の表面プラズモン共鳴の微小な変化を検知できることを利用して、照射による金属ナノ粒子のわずかな変形を検出することにも成功した。また、離散双極子近似(DDA)計算と組み合わせることで、その変形度を定量化する手法を開発した。
菅原 隆徳; 北 智士*; 吉元 秀光*; 大久保 成彰
JAEA-Technology 2018-008, 26 Pages, 2018/09
液体鉛ビスマス共晶合金(LBE)を用いた加速器駆動核変換システム(ADS)やJ-PARC核変換実験施設(TEF)のADSターゲット試験施設(TEF-T)等のLBE試験ループにおけるLBE中酸素濃度測定に資するため、2つの基礎的な試験およびガンマー線照射の影響評価を行った。基礎的な試験では、触媒塗布範囲の影響評価およびフリーズシール構造の検討を行った。触媒塗布範囲については、塗布範囲が小さいほど、LBE温度が低い時の測定精度が悪いことが確認された。フリーズシール構造については、0.5MPaの圧力がかかった場合でも、LBE漏洩が防止できる設計を実現した。ガンマー線照射の影響評価については、ex-situの試験を実施し、1kGy/hで4000時間の照射(4MGy)を行っても、ガンマー線照射の影響はほとんどないことを確認した。
雨倉 宏*; Kluth, P.*; Mota-Santiago, P.*; Sahlberg, I.*; Jantunen, V.*; Leino, A. A.*; Vazquez, H.*; Nordlund, K.*; Djurabekova, F.*; 大久保 成彰; et al.
Physical Review Materials (Internet), 2(9), p.096001_1 - 096001_10, 2018/09
被引用回数:6 パーセンタイル:48.66(Materials Science, Multidisciplinary)高速重イオンを非晶質SiOに照射すると、核に低密度物質、その周りの殻に高密度物質が誘起され、核/殻状のイオントラック損傷が形成されることが知られている。この核/殻状のイオントラック損傷の形成を説明するモデルとして、核部分に超高温の蒸気相が形成されることを仮定するモデルが提唱され、有力なモデルとされている。しかし、本研究での分子動力学計算の結果、イオン照射に伴うエネルギー伝達密度が低い(3keV/nm以下)条件では蒸気相は実現されない結果になるにもかかわらず、一方でそのような実験条件でも核/殻状のイオントラック損傷が形成されることが今回の実験で明らかになった。以上の解析のみならず、様々な補足実験や計算の結果、従来重要とされてきた蒸気相の形成は、照射影響(核/殻状のイオントラック損傷の形成等)を起こすための必須条件ではないことが明らかになった。
斎藤 滋; 大林 寛生; Wan, T.; 大久保 成彰; 菅原 隆徳; 遠藤 慎也; 佐々 敏信
Proceedings of 13th International Topical Meeting on Nuclear Applications of Accelerators (AccApp '17) (Internet), p.448 - 457, 2018/05
原子力機構は、加速器駆動システム(ADS: accelerator-driven systems)の設計に必要なデータを得るために、J-PARC計画の中でADSターゲット実験施設(TEF-T: Target Test Facility)の建設を計画している。TEF-Tでは、鉛ビスマス共晶合金(LBE: Lead-Bismuth Eutectic)の核破砕ターゲットに250kWの陽子ビームを入射し、ADSの構造材候補材についてLBE流動下での照射試験を実施する。TEF-Tを実現するために、様々な研究開発が行われている。LBEターゲットとターゲット台車の設計検討は大きく進捗した。ターゲットループの保守と照射試料の照射後試験を行うホットセルについては概念設計を終えた。要素技術開発として、TEF-TターゲットのモックアップループとLBE流動下での材料腐食データを得るためのループが製作され、本格運転へ向け準備中である。LBEループのための酸素濃度制御システムも開発された。遠隔操作によるターゲット交換試験も実施中である。その他、TEF-Tの実現に向けた現在の研究開発状況についても報告する。
近藤 正聡*; 大久保 成彰; 入澤 恵理子; 小松 篤史; 石川 法人; 田中 照也*
Energy Procedia, 131, p.386 - 394, 2017/12
被引用回数:2 パーセンタイル:10.14鉛合金冷却高速炉の空気侵入事故におけるPb合金冷却材の化学的挙動を、種々の組成のPb合金の熱力学的考察および静的酸化実験によって調べた。鉛ビスマス(Pb-Bi)合金の性的酸化試験の結果、空気中の773KではPbOが優先的に形成され合金中からPbが減少したが、Biはこの酸化挙動には関与しなかった。その後Biが濃縮するとPb-Bi酸化物の他BiO
が形成された。合金の酸化速度は鋼の酸化速度よりもはるかに大きく、合金中のPb濃度が高いほど大きくなった。Pb-Bi合金とステンレス鋼との共存性は、合金中のPb濃度が低くなると悪化した。合金中のBi組成によって溶解タイプの腐食が促進されたためである。一方、Pb-Li合金は、Li
PbO
およびLi
CO
を形成しながら酸化が進行し、合金からLiが減少した。冷却材のこれらの酸化物は、空気侵入事故時の原子炉冷却系の酸素濃度増加後に低温領域で生成すると考えられる。
Adhi, P. M.*; 大久保 成彰; 小松 篤史; 近藤 正聡*; 高橋 実*
Energy Procedia, 131, p.420 - 427, 2017/12
被引用回数:0 パーセンタイル:100固体電解質のイオン伝導度が不十分であると、酸素センサの出力信号が低温側で理論値からずれると考えられるため、Ag/空気および液体Bi/Bi/BiO
をそれぞれ基準電極(RE)に用いた酸素センサについて、300
450
Cの低温LBEにおいて電気化学インピーダンス分析(EIS)を行い、電極-電解質界面における電荷移動反応インピーダンスを調べた。その結果、いずれのセンサーも良好に動作し、300
450
Cで使用できることがわかった。Bi/Bi/Bi
O
REは、Ag/空気REよりも低いインピーダンスを有する。したがって、低温領域では、Bi/Bi/Bi
O
REを用いた酸素センサーの応答時間は、Ag/空気REの酸素センサーよりも速いことがわかった。
石川 法人; 田口 富嗣*; 大久保 成彰
Nanotechnology, 28(44), p.445708_1 - 445708_11, 2017/11
被引用回数:9 パーセンタイル:37.35(Nanoscience & Nanotechnology)近年、照射材料工学研究グループは、高速重イオン照射したセラミックスの表面ナノ構造(ヒロック)を透過型電子顕微鏡で直接観察できる手法を初めて開発した。この手法を用いた観察の結果、非晶質化する材料であるYFe
O
(YIG)ではヒロックも非晶質化していること、一方、非晶質化しないCaF
等のフッ化物ではヒロックも非晶質化せず結晶性を有していることを発見した。さらに、YIGではヒロックの直径とイオントラック損傷の直径が同じであるのに対して、フッ化物ではヒロックの直径がイオントラック損傷の直径より常に大きいことを見出した。非晶質化する/しないという材料特性が、照射で形成されるナノ構造の寸法に影響を与えるという結果は、イオンの飛跡に沿って局所的に融解した後の再結晶化プロセスの有無が最終的な損傷形態を決定しているというシナリオで全て説明できる。
斎藤 滋; 大久保 成彰; 大林 寛生; 佐々 敏信
NEA/CSNI/R(2017)2 (Internet), p.195 - 200, 2017/06
原子力機構において研究が進められている加速器駆動システム(ADS: Accelerator Driven System)では、核破砕ターゲット及び炉心冷却材として鉛ビスマス共晶合金(LBE; Lead-Bismuth Eutectic)が採用される。将来のADSやJ-PARCに建設が計画されている、ADSターゲット実験施設(TEF-T)の実現には、LBEに関する多くの解決すべき課題がある。特に、T91(改良9Cr-1Mo鋼)やSUS316Lなどの鋼材に関して、400-550Cの温度範囲で酸素濃度制御下かつLBE流動下の腐食データは不可欠である。原子力機構では高温での腐食データを得るために、"OLLOCHI (Oxygen-controlled LBE LOop Corrosion tests in HIgh-temperature)"と名付けられた新しい腐食試験ループを設計・製作した。高温部配管はT91製で、加熱器や膨張タンク容器は2.25Cr-1Mo鋼製である。これら高温部の最高温度は550
Cである。低温部は配管、機器類ともにSUS316L製で、これら低温部の最高温度は450
Cである。2016年春までにOLLOCHIは、加熱器や試験片交換ボックスなどの改造と、LBE無しでの調整運転を終えた。酸素センサーと酸素濃度制御システムは間もなく導入され、その後LBE有りでの調整運転と酸素濃度制御試験を開始する予定である。さらに来春までに分岐した試験部それぞれにも流量計が付加される予定である。これらの試験や改造と平行して、試験片ホルダー内の流れの分布を明らかにするため、試験部の流動解析を行う予定である。
武田 裕介; 飯田 清*; 佐東 信司*; 松尾 忠利*; 長嶋 泰之*; 大久保 成彰; 近藤 啓悦; 平出 哲也
Journal of Physics; Conference Series, 791(1), p.012022_1 - 012022_4, 2017/02
被引用回数:0 パーセンタイル:100ゴルフクラブや、航空機用構造材料等に広く用いられているチタン合金は、表面を窒化処理することで硬さを飛躍的に増すことが知られているが、熱処理温度または時間によっては表面に形成された窒化層が負荷により簡単に剥離してしまい、実用性に欠く場合がある。そこでわれわれは2つの窒化条件、(1)810C 600minと(2) 850
C 720minで処理した試料を準備し、その表面に形成された窒化層を、陽電子消滅
線ドップラー広がり(DB)測定で評価した。窒素の拡散のみ考慮して評価すると0.05-0.1
mまで窒化されると予想されるが、DBによる評価では窒化によって導入される欠陥層は0.5
mを超える領域まで達していることがわかった。
石川 法人; 大久保 成彰; 田口 富嗣
Nanotechnology, 26(35), p.355701_1 - 355701_8, 2015/09
被引用回数:13 パーセンタイル:40.48(Nanoscience & Nanotechnology)UOの模擬物質として研究されることが多いCeO
セラミックス材料に、200MeV Auイオンを斜入射方向から照射し、照射後試料を透過型電子顕微鏡(TEM)で微細観察した。その結果、イオン一つ一つが照射表面に形成するナノサイズの隆起物(ヒロック)が、試料表面に形成されるだけでなく、試料端のクラック面にも形成されることが分かった。試料端のヒロックは、TEMで直接観察することが可能なため、ヒロックの結晶性が本研究で初めて明らかになった。観察されたヒロックは、ほぼ均一で結晶性を有していること、さらには結晶方位が母相と同じことが分かった。さらに、ヒロックが球状形状をしていることが分かったので、表面に入射したイオンの入射点において材料の局所的な溶融を引き起こし、溶融した隆起物が表面張力によって球状に変化したプロセスが示唆された。
若井 栄一; 安堂 正己; 大久保 成彰
Journal of Plasma and Fusion Research SERIES, Vol.11, p.104 - 112, 2015/03
核融合原型炉のための低放射化フェライト鋼は1980年代から開発が進められている。この鋼は核融合原型炉の第一壁や構造材料及びIFMIFのターゲットアセンブリやターゲット背面壁の第一候補材料となっている。本研究では、この鋼に関する2つの課題を調べた。その概略を以下に示す。(1)照射損傷を含む、低放射化フェライト鋼の微細組織や強度特性への初期熱処理は、核融合原型炉の設計に大変重要である。(2)この鋼の微細組織や強度特性へ及ぼすHeやH生成の効果は核融合原型炉の設計評価に本質的なものであり、我々はIFMIFのような核融合模擬照射環境下でこの鋼を調べ、評価をしなければならないと考えられる
雨倉 宏*; 河野 健一郎*; 大久保 成彰; 石川 法人
Physica Status Solidi (B), 252(1), p.165 - 169, 2015/01
被引用回数:7 パーセンタイル:58.13(Physics, Condensed Matter)Znナノ粒子に200MeV Xeイオンを照射した後、照射に伴うナノ粒子の伸長と粒子間平均距離を評価するためにSPring-8においてX線小角散乱測定を行った。高照射量領域において、小角散乱信号の方位角依存性が現れ、ナノ粒子の形状変化を検知することができた。また、イオントラック(柱状欠陥集合体)の形成に伴う小角散乱信号は、低照射量でも観測された。この結果は、イオントラックが重畳するときに新たに通過するイオントラックが事前に存在したイオントラックを消去して上書きするオーバーライティングモデルを支持するものである。また、粒子間平均距離は照射量増加に伴って増加し、小さいナノ粒子の分解と大きいナノ粒子の成長を示唆している。
大久保 成彰; 石川 法人; 左高 正雄; 實川 資朗
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research B, 314, p.208 - 210, 2013/11
被引用回数:11 パーセンタイル:25.84(Instruments & Instrumentation)高エネルギーキセノンイオン(70-160MeV)を照射した単結晶アルミナ試料における微細組織変化を透過型電子顕微鏡(TEM)により調べた。その結果、2.010
ions/cm
以上の照射線量で、表面から約800nm付近まで非晶質化していることが明らかになった。また、照射線量による非晶質化の過程をX線回折により調べ、TEMの結果と比較した。TEMにより、非晶質と単結晶領域の境界に、明瞭かつ複数のイオントラック(高エネルギーイオンが通過した飛跡)がイオン入射方向と平行に観察された。イオントラックの数密度及びサイズ(径)は、入射表面からの深さとともに減少していくと考えられる。これは、非晶質化がイオントラック(非晶質か否かまだ明らかになってないが)の重畳により生じていることを示している。また、非晶質化の深さが、同程度の電子的エネルギー付与を受けた多結晶アルミナに比べて、約半分であった。これは、電子的なエネルギー付与に起因する非晶質化等の構造変化の及ぼす範囲には、平均自由行程が存在することを示唆している。
阿部 陽介; 實川 資朗; 大久保 成彰; 松井 秀樹*; 塚田 隆
Effects of Radiation on Nuclear Materials; 25th Volume (ASTM STP 1547), p.313 - 337, 2013/01
被引用回数:0 パーセンタイル:100原子炉圧力容器鋼の機械特性低下は、中性子照射により形成されたナノサイズの溶質原子や点欠陥クラスターに起因することが知られている。したがって、照射による材料の微細組織変化やその結果として生じる材料特性変化を予測可能なモデルを開発することは極めて重要である。われわれは、点欠陥クラスターの長期間発展を評価するために用いられてきた反応速度論に基づくクラスターダイナミクスコードを、自己格子間原子(SIA)型クラスターの移動を考慮できるように改良を行った。この計算コードを用いて、316ステンレス鋼と鉄に対する計算結果の比較・解析を行うことにより、両材料における欠陥クラスターの反応機構、カスケードによる欠陥クラスターサイズ分布、SIAの移動度などの差異により、両材料中に生じる微細組織発展の差異が特徴付けられることを明らかにした。
雨倉 宏*; Sele, M. L.*; 石川 法人; 大久保 成彰
Nanotechnology, 23(9), p.095704_1 - 095704_7, 2012/03
被引用回数:12 パーセンタイル:46.94(Nanoscience & Nanotechnology)ナノ粒子の形状制御は、偏光素子などの光素子開発に必要な技術である。本研究では、イオン照射に伴うナノ粒子の形状伸長(shape elongation)現象と、伸長したナノ粒子の熱的安定性を調べることで、形状制御に必要な試料処理条件パラメータを同定した。また、融点が形状変化に与える影響の有無も調べた。シリカ酸化物中のZnナノ粒子とVナノ粒子を高速重イオンで照射し、照射試料を1000Cまでの温度域で焼鈍処理した。直線偏光二色性分光法を用いて、処理後の試料中のナノ粒子形状を評価した。イオン照射によって、ナノ粒子の形状が伸長したことが確認できる。照射後焼鈍実験の結果、Znナノ粒子は、融点(420
C)よりも高い温度(500
C)では液体状態であるにもかかわらず、伸長形状を保持していることがわかった。一方、Vナノ粒子は、融点(1890
C)より低い900
Cで固体状態であるにもかかわらず、原子移動が起こり、伸長形状から球状形状に変化することがわかった。融点は、必ずしもナノ粒子の形状変化の決定要因ではないことがわかった。本研究は、施設供用制度の基づいて行われた加速器実験の成果である。