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横山 実紀*; 大沼 進*; 大澤 英昭; 大友 章司*; 広瀬 幸雄*
Humanities & Social Sciences Communications (Internet), 10(1), p.623_1 - 623_10, 2023/09
本研究では、「無知のヴェール」の概念を活用した意思決定プロセス(国全体を候補地として包含する白紙の状態から出発し、科学的(地質学的)安全性に基づいて候補地を絞り込むプロセス)が、高レベル放射性廃棄物の地層処分のための処分場立地に対する社会的受容を促進し、手続き的公正さを醸成することを実証した。
大澤 英昭; 広瀬 幸雄*; 大友 章司*; 大沼 進*
日本リスク研究学会誌(インターネット), 31(3), p.235 - 247, 2022/03
本研究では、ドイツを例として高レベル放射性廃棄物(HLW)政策及びサイト選定手続が地層処分施設の立地受容に与える影響について調査を行った。調査は、2018年、インターネット調査会社を介してドイツの調査会社のモニターから16州を人口構成比で割付募集し、1,000名に達した時点で調査を終了した。本研究では、地層処分政策,サイト選定手続及び立地受容の3つのステップの社会的受容を想定した。また、地層処分政策,サイト選定手続に関しては、自ら受容する状態と国民が合意している状態を想定した。その結果、サイト選定手続きの国民合意が唯一HLW地層処分施設の立地受容に直接影響を与える一方で、地層処分政策の受容および国民合意は、サイト選定手続の国民合意に影響を与えていた。また、地層処分政策の受容及びサイト選定手続きの受容は手続き的公正および人的公正に影響を与える一方で、地層処分政策の国民合意及びサイト選定手続きの国民合意、並びにサイト選定手続の受容は分配的公正に影響を与えていた。
飯野 麻里*; 大沼 進*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大友 章司*
日本リスク研究学会誌, 29(2), p.95 - 102, 2019/10
本研究では、高レベル放射性廃棄物の地層処分場立地の受容に、補償の枠組み(金銭的補償と福祉的補償)の違いがもたらす影響についてTaboo trade-offs(神聖な価値と世俗的価値との間の交換)の点から調べることを目的として、シナリオ実験を行った。その結果、受容に関して有意な効果は見られず、補償の枠組みの違いは、HLW地層処分場の受容に影響を与えない可能性が示唆された。
大澤 英昭; 大友 章司*; 広瀬 幸雄*; 大沼 進*
人間環境学研究, 17(1), p.59 - 64, 2019/06
本研究では、手続き的公正及び信頼が、高レベル放射性廃棄物地層処分施設の立地の受け入れに及ぼす影響を確認するため、意見の反映状況で手続き的公正の高低を操作するシナリオと、価値の類似性で信頼の高低を操作するシナリオを用いて、シナリオ実験を行った。その結果は、手続き的公正及び信頼は、立地の受け入れに影響を与えていること、信頼が低い時ほど、手続き的公正が立地の受け入れに与える影響が強くなることを示している。
大澤 英昭; 広瀬 幸雄*; 大沼 進*; 大友 章司*
社会安全学研究, 9, p.161 - 176, 2019/03
公募方式を採用している英国と安全性を最優先にスクリーニングする方式を採用しているスイスを事例に、高レベル放射性廃棄物地層処分施設のサイト選定に関する意思決定プロセスを、文献レビューにより比較した。その結果、公募方式を採用している英国は、サイト選定の公正さは、自発的参加、撤退権、パートナーシップ、福祉の向上により実現できるという考えに基づいている。一方で、安全性を最優先にスクリーニングする方式を採用しているスイスは、自分の地域の属性を知らない状況で、処分場建設の選定基準として何が重要かについて共通の認識も持つことができれば、もしも自分の地域が候補地に選定されたとしても、その手続きは公正だとあらかじめ合意していたので、その結果を受け入れざるを得ないと判断する、といった無知のヴェールの考えにそったサイト選定方式を考えられる。
大澤 英昭; 広瀬 幸雄*; 大沼 進*; 大友 章司*
社会安全学研究, 9, p.145 - 160, 2019/03
スイスと英国を事例に、高レベル放射性廃棄物の管理方策に関する意思決定プロアセスを、文献レビューに基づき比較した。その結果は、全体の流れは共通しており、評価基準と方法の決定、HLW管理方策のオプションの評価、オプションの選定の流れで行われていることを示している。管理方策の比較の基準は、安全性、世代間公正性が重要であるとされた。また、世代間公正に関しては、現在の世代ができる限り早急にできることをする責任があるという点を重視する立場「今取り組む」と、将来の世代に自らの選択をさせる自由を与える、すなわち将来世代が責任(選択の権利)を取れるように情報と補償を提供する義務が現世代側にあるとする立場「後まで置いておく」とが共通のトレードオフになっていた。これらトレードオフになっている2つの価値観を考慮して熟議することにより、地層処分を忌避する価値観が緩和され、結果的に回収可能性を考慮した地層処分概念が選択された。
大沼 進*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大友 章司*; 横山 実紀*
日本リスク研究学会第31回年次大会講演論文集(USB Flash Drive), 6 Pages, 2018/11
高レベル放射性廃棄物地層処分候補地が決まらない理由の一つに、仮に必要性が理解できたとしても自分の居住地が候補地になってほしくないため、候補地名が上がった途端に反発が生じることがあげられる。そこで、誰もが潜在的に当事者となり得る状況(無知のヴェール下)であらかじめ決め方に合意し、その決め方で決まったならば、受容しやすくなるだろうか。日本全国を対象に調査を実施した。その結果、無知のヴェールによる決定方法は現状の政策よりも受容の程度が高く、無知のヴェールによる決め方で自分の居住地が候補地になったとしても現状の政策よりは受容が高かった。さらに、現状の政策は手続き的公正の評価が低いが、無知のヴェールによる決定は肯定的に評価されていた。
大澤 英昭; 大友 章司*; 大沼 進*; 広瀬 幸雄*
社会技術研究論文集, 13, p.86 - 95, 2016/05
本研究では、これまでの様々なパブリックインボルブメントの取り組みをとおして一つの候補サイトが選ばれているフランスで、高レベル放射性廃棄物の地層処分施設立地の受容の規定因を推定した。候補サイト近傍と離れた地域を対象に、886名の回答者に対してインターネット調査を行った。その結果、これまでリスク研究分野で対象とされてきた信頼,リスク認知,スティグマに加え、手続き的公正,社会的便益,個人的便益が、NIMBY問題の受容に重要な影響を与えることが明らかになった。さらに、個人的便益と感情が、社会的便益,手続き的公正,世代間主観的規範より受容に大きな影響を与えている。これらは、規定因から受容への影響は、立地の進行状況などにより変わる可能性を示唆している。
大友 章司*; 大澤 英昭; 広瀬 幸雄*; 大沼 進*
日本リスク研究学会誌, 24(1), p.49 - 59, 2014/07
福島原子力発電所事故が高レベル放射性廃棄物の地層施設の社会的受容に及ぼした影響を検討した。福島原子力発電所事故前の2011年2月と事故後の2012年2月に、日本においてネット調査を行い、1,930人の有効回収数を得た。その結果、地層処分施設の立地調査の社会的受容は低下していた。また、世代間主観的規範、社会的便益及び手続き公正さは、事故前後で一貫して地層処分施設の立地調査の受容に影響を与えていた。一方で、事故前の社会的スティグマや世代間主観的規範など倫理的側面である要因は、事故後のそれらに影響を与えていず、事故前後で全く異なる評価をしたものと考えられる。このようなことから、福島原子力発電所事故によって、人々は地層処分の問題をより倫理的な問題として捉える側面が顕在化したと考えられる。
大澤 英昭; 広瀬 幸雄*; 大沼 進*; 大友 章司*
社会安全学研究, 4, p.51 - 76, 2014/03
フランスのこれまでのHLW管理事業の進め方を取り上げて、手続き的公正さ、分配的公正さに関し、規範的分析を行った。その結果は、HLW管理方策と地層処分施設の候補地の各々の決定プロセスを明確にするとともに、独立した第三者組織による討議の結果も含め、意見の反映や意思決定の仕方を事前に明確に規定しておくことが、手続き的公正さを高めるために必要であることを示唆している。また、将来世代への責任に関しては、時間的側面での衡平および均等の視点のどちらを重視するのかを、手続き的公正さを確保したプロセスで熟議すること、可逆性の概念の導入にあたっては、意思決定の手続き的公正さが十分担保されることが必要であることを示唆している。さらに、空間的側面および経済的側面の分配的公正さは表裏一体であり、候補地選定における負のイメージの均等という視点での分配的公正さと、対象とされた地域の価値を高めるための経済的側面での分配的公正さを、手続き的公正さが確保された決定プロセスで熟議していくことが必要になると推察された。
大沼 正人*; 佐々木 修*; 桑野 寿*; 片野 進; 森井 幸生; 舩橋 達; H.R.Child*; 濱口 由和*
Mater. Trans. JIM, 34(10), p.874 - 881, 1993/10
被引用回数:12 パーセンタイル:69.32(Materials Science, Multidisciplinary)FePSi非晶質合金の結晶化過程を電気抵抗測定X線回折測定、中性子回折測定、透過電子顕微鏡観察により研究した。この非晶質合金の結晶化過程は2つに分類でき、X6at%Siでは非晶質母相から安定相である-Fe相とFeP相とが直接晶出し、X6at%Siでは結晶化初期に2種類の準安定な未知相が晶出した。これらの準安定相のひとつは-Mn型の構造を持ち、もうひとつは、-Mn型の構造を持つことがわかった。境界組成であるX=6at%Si合金の等温焼鈍による結晶化では焼鈍温度による結晶化過程に違いが見られた。683K、703K、723Kでの結晶化過程では-Mn型の準安定相が晶出するが、668Kの結晶化過程では準安定相は晶出せずに結晶化過程は進行した。高Si合金でのFrank-Kasper型の配位多面体を副格子とする-Mn型相と-Mn型相の晶出(あるいは-Mn型相単独での晶出)は非晶質合金の局所構造に起因している可能性が高い。
大友 章司*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大沼 進*
no journal, ,
本研究では、指定廃棄物の処分場の立地調査受容を例に、人々が抱いている処分場への感情的評価により、手続き的公正と類似性の効果がどのように変化するのか検討することを目的としたシナリオ実験を実施した。その結果、肯定的な感情が抱けない問題では、自分と意見が類似しているかといった対人的公正を重視する意図的な合理化をするような決定が生じやすいことが明らかとなった。
大沼 進*; 横山 実紀*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大友 章司*
no journal, ,
本研究では、誰もが潜在的に当事者となり得る状況(無知のヴェール下)が、高レベル放射性廃棄物の地層処分施設のサイト選定の手続き的公正を促進する方法として意義のあるものなのかを実証することを目的として、無知のヴェールの下でサイト選定を行っているスイスの方法と、日本の現在のサイト選定の方法でどちらが受け入れやすいかを、仮想的なシナリオ実験で調査した。その結果、スイスのサイト選定の方法の方が、わずかに受け入れやすいという結果を示した。
飯野 麻里*; 大沼 進*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大友 章司*
no journal, ,
本研究では、高レベル放射性廃棄物地層処分場の受容に対して補償のフレームが及ぼす影響を調べることを目的として、Web調査により地層処分上の立地に関するシナリオ実験を行った。その結果、高レベル放射性廃棄物地層処分場の合意形成を進める際、補償金の有無や社会福利の充実といった補償の枠組みに着目した議論の進め方のみでは合意形成には繋がらない可能性が示唆された。
飯野 麻里*; 大沼 進*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大友 章司*
no journal, ,
本研究では、高レベル放射性廃棄物地層処分場の受容に対する補償のフレームの影響を調べることを目的としてシナリオ実験を行った。その結果、高レベル放射性廃棄物地層処分場を事例とした場合のシナリオ実験では、補償の枠組みは合意形成には影響を与えないという結果となった。
大沼 進*; 横山 実紀*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大友 章司*
no journal, ,
サイト選定方法として、日本で想定されている国の申し入れ方式と、スイスで採用している全土を対象に、白紙の状態から、安全性基準に基づきサイトを選定する方式で、どちらが立地を受け入れやすいかを、シナリオ実験で確認した。スイスの方式は、無知のヴェール(自分がどのような利害や立場に置かれているか不明な状況で、NIMBY問題において誰もが当事者となる可能性がある中で議論したならば、公正な判断をするだろう)という考えに依拠した方式と考えられる。シナリオ実験の結果は、国の申し入れ方式よりも、無知のヴェールに依拠した方式の方が立地を受け入れやすい可能性を示唆した。
大友 章司*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大沼 進*
no journal, ,
サイト選定手法(科学的安全性の要件で選定、地域振興を望む地域から選定、社会経済的要件で選定、科学的安全性と社会経済的要件から選定)が高レベル放射性廃棄物の地層処分施設の立地受容に与える影響を確認することを目的として、シナリオ実験を行った。その結果、選定される地域と住居との関係が弱まることにより、社会的受容が高まるといったNIMBY現象が確認された。また、科学的安全性の要件で選定された場合、選定された地域と住居との関係は緩和され、より立地を受容する傾向を示した。
大澤 英昭; 大沼 進*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物地層処分施設のサイト選定方式(スクリーング方式,公募・申し入れ方式)と補償方針(金銭,福祉向上)が公正さや受容に与える影響を検討するため仮想シナリオ実験を行った。その結果、サイト選定方式の受容およびその公正さは、スクリーング方式の評価がより高い結果となった。また、自分の居住地が候補地になったとき、サイト選定方式の公正さの評価はスクリーニング方式/福祉向上補償がより評価される結果となった。
大友 章司*; 広瀬 幸雄*; 大澤 英昭; 大沼 進*
no journal, ,
本研究では、スイスにおいて、地層処分政策の受容や無知のヴェールによる手続き的公正さが、各サイトでの各論としての地層処分場の適地としての「決定受容」にどのような影響を及ぼすのかを検討した。その結果、政策受容が各論レベルの決定受容を直接的に規定するだけなく、無知のヴェールによるサイト選定手続きである社会的な公正要因が加わることによって受容が促進されることが示唆された。
大澤 英昭; 大沼 進*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物地層処分施設のサイト選定方式(公募・申し入れ方式、スクリーング方式)が社会的受容プロセスに与える影響を検討するため仮想シナリオ実験を行った。その結果、世代間主観的規範は、スクリーング方式の方が公募申し入れ方式より立地受容に大きな影響を与え、逆に、社会的便益は立地受容に影響を与えない結果となった。また、個人的便益は、公募・申し入れ方式において立地受容に負の影響を与える結果を示した。