Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
青柳 和平; 尾崎 裕介; 大野 宏和; 石井 英一
第16回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(インターネット), p.269 - 274, 2025/01
幌延深地層研究センターでは、実際の処分事業を想定し、実規模大の緩衝材や炭素鋼製の模擬オーバーパックで構成される人工バリアを底盤に掘削した模擬処分孔に定置したうえで坑道の一部を埋め戻し、人工バリア及び周辺岩盤の長期的な挙動をモニタリングしている。本研究では、模擬処分孔を掘削した際の掘削損傷領域の発達を、ボアホールテレビ観察、弾性波・比抵抗トモグラフィ調査により検討するとともに、三次元逐次掘削解析により評価した。結果として、模擬処分孔の浅い深度では、坑道底盤部の掘削の影響を受けて壁面から0.8mから1.6m程度の範囲で割れ目が発達し、深度が深くなるにつれて、割れ目の発達領域が徐々に小さくなり、最深部では最大でも0.3m程度の発達であることを示した。
石井 英一; 尾崎 裕介; 青柳 和平; 菅原 健太郎*
Hydrogeology Journal, 32(8), 23 Pages, 2025/00
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Geosciences, Multidisciplinary)本研究はコンピューター上で仮想の亀裂の透水試験を行い、亀裂内の流れの次元とDIの関係を調べた。DIは岩石の平均応力、地下水圧、および引張強度により定義される力学的指標である。DIが大きいほど、亀裂の閉塞により亀裂目内の流路面積は小さくなる。仮想の透水試験により得られた亀裂内の流れの次元とDIの関係を天然の断層や亀裂における原位置透水試験の結果と比較した。その結果、DIが2未満だと断層内の水みちの連結性が高い(流れの次元が1.5以上)一方で、DIが2以上だと水みちの連結性が低い(流れの次元が1.5以下)ことが分かった。この関係は断層の注水試験においてDIが変化する場合や断層のせん断変位が発生する場合においても有効で、亀裂の鉱物充填が発達する岩盤においても有効であった。しかし、断層から離れた小規模な亀裂は、断層のネットワークとの連結性の低さや鉱物充填の影響によりDIが2未満であっても水みちの連結性が低い場合があった。健岩部の透水性が高い場合は、DIが2未満でも水みちの連結性が高かった。これらの知見は限られたボーリング孔データから断層や亀裂内の水みちの連結性の分布を推定する際に役立つ。
尾崎 裕介
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 31(2), p.128 - 133, 2024/12
幌延国際共同プロジェクトのタスクAでは、幌延深地層研究センターの地下施設の深度250mの声問層において物質移行に関する調査を実施している。タスクAでは高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価に不可欠な物質移行評価に資するため、原位置トレーサー試験結果から岩盤内における物質移行時の現象をより適切に表現可能なモデルを構築するとともに、異なる地質環境で得られたデータやモデルの適用可能性について議論することを目的としている。タスクAのフェーズ1は、原位置試験の計画立案、室内試験、原位置試験の実施、解析評価の4つのサブタスクから構成される。これらのサブタスクは、参加機関が協力して取り組んでおり、本発表では、タスクAのサブタスクの現状と協力状況を紹介する。
尾崎 裕介; 石井 英一
Geoenergy (Internet), 2(1), p.geoenergy2023-056_1 - geoenergy2023-056_11, 2024/12
本研究では、幌延深地層研究センターにおける約10年間の研究坑道の掘削時の坑内への湧水データおよびHDB-6孔で観測された水圧変化を再現解析することで、幌延深地層研究センター周辺における稚内層内部における有効透水係数を推定した。求めた有効透水係数をLandau-Lifshitz-Matheronの式により断層の透水量係数や断層における流れの次元と定量的に関連付けた。これらの結果、稚内層における有効透水係数は、透水量係数のダクタリティインデックスに対する依存性と透水量係数の次元への依存性の双方を考慮した場合に推定される透水量係数と整合的であることが示された。
青柳 和平; 尾崎 裕介; 田村 友識; 石井 英一
Proceedings of 4th International Conference on Coupled Processes in Fractured Geological Media; Observation, Modeling, and Application (CouFrac2024) (Internet), 10 Pages, 2024/11
高レベル放射性廃棄物の地層処分では、処分場建設時に空洞周辺に生じる掘削損傷領域が放射性核種の選択的移行経路になりうることから、掘削損傷領域の評価が重要となる。過去の研究では、割れ目に作用する平均有効応力を引張強度で除した、Ductility Index(DI)というパラメータにより透水性を評価できる可能性があることが示されている。本研究では、幌延深地層研究センターの350m調査坑道を対象として坑道周辺のDIの分布を検討することで、掘削損傷領域の透水量係数を予測した結果、水理試験により得られた結果を内包する予測結果を得た。さらに、これから建設が予定されている500m調査坑道を対象としてDIに基づき掘削損傷領域の透水量係数を予測した。結果として、500m調査坑道では、350m調査坑道と比較して掘削損傷領域に生じる割れ目の透水量係数が1桁程度小さいことが確認された。これは、深度500mは、深度350mと比較して地圧状態が高いことにより割れ目が閉塞されやすいことを反映したものであると考えられる。
廣田 明成*; 幸塚 麻里子*; 福田 朱里*; 宮川 和也; 佐久間 圭佑; 尾崎 裕介; 石井 英一; 鈴木 庸平*
Microbial Ecology, 87, p.132_1 - 132_15, 2024/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Ecology)深部の地下坑道は、鉱山や放射性廃棄物の地層処分のような工学的利用に加え、地下生命圏へのアクセスにおいても有用である。掘削損傷領域(EDZ)に人工的に形成した割れ目のネットワークは、物質の移行経路となると共に、空間と栄養を微生物に提供する場となる可能性がある。本研究では、幌延深地層研究所の深度350m坑道において掘削されたボーリング孔と検層結果を用いて、EDZ割れ目上の微生物バイオフィルムを調査した。顕微鏡観察と赤外分光分析により、EDZの高透水性割れ目表面に微生物が密集してバイオフィルムを形成していることを確認した。16S rRNA遺伝子配列分析の結果、微生物はGammaproteobacteria綱の好気性メタン資化細菌が優占した。好気性メタン資化細菌と同一種のゲノム配列は、幌延深地層研究所での先行研究で取得されており、活性酸素種からOを生成するcatalaseやsuperoxide dismutase、およびNOからN
とO
を発生する可能性のあるnitric oxide reductaseの遺伝子を有することがゲノム解析により明らかとなった。これらの結果から、EDZ割れ目における微生物のO
生成が示唆され、地下微生物の生息に有利な環境であると結論される。
湯口 貴史*; 笹尾 英嗣; 火原 諒子*; 村上 裕晃; 尾崎 裕介
Heliyon (Internet), 10(17), p.e37417_1 - e37417_17, 2024/09
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Multidisciplinary Sciences)結晶質岩における高レベル放射性廃棄物の地層処分の安全評価において、物質移動特性を把握し、物質移動モデルを構築することは重要な課題である。本研究では鉱物中の微小空隙がマトリクス拡散に寄与する物質移動経路であることを確認するために、微小空隙を内包する鉱物を対象とした岩石記載と透過拡散試験による実効拡散係数とを比較検討した。その結果、鉱物中の微小空隙がマトリクス拡散の遅延に寄与する"storage pore"として機能すること、微小空隙中にトレーサーが吸着されることで物質移動の遅延をもたらすこと、割れ目の多い領域では、割れ目を通じた移流現象は活発であるが、物質移動の遅延も機能することが示唆された。
Rapp, L.*; 松岡 健之*; Firestein, K. L.*; 寒河江 大輔*; 羽原 英明*; 向井 啓一郎*; 田中 和夫*; Gamaly, E. G.*; 兒玉 了祐*; 瀬戸 雄介*; et al.
Physical Review Research (Internet), 6(2), p.023101_1 - 023101_18, 2024/04
固体表面に超相対論的強度のレーザーパルスを照射すると表面にプラズマが発生し、内部は超高圧状態になることが知られている。本研究ではシリコン単結晶に当該レーザーを照射し、内部に生成された高圧相の結晶構造分析をBL22XU(JAEA-BL)の応力・イメージングステーションの回折システムにより実施した。その結果、内部には体心、菱面体、六方晶、正方晶というシリコンが持つといわれている高圧相の存在が確認された。今後は、さらにデータの蓄積を図り、材料内部の構造、強度、機能性制御への発展を図っていきたいと考えている。
前田 匡樹*; 田邉 匡生*; 西脇 智哉*; 青木 孝行*; 堂埼 浩二*; 西村 康志郎*; 藤井 翔*; 上野 文義; 田中 章夫*; 鈴木 裕介*; et al.
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 10 Pages, 2024/03
This study develops assessment methods necessary to obtain a long-term structural integrity outlook for reactor buildings that suffered from the 2011 Great East Japan Earthquake disaster in which access to the site was extremely limited due to high radiation dose rates and high contamination. It is one of the "Nuclear science and technology and human resource development promotion projects" implemented by the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) International Collaborative Research Center for Decommissioning and Environment (CLADS) in FY2021 to 2023. This paper introduces an outline and overview of the project.
奈良 禎太*; 柏谷 公希*; 桶谷 和生*; 藤井 宏和*; Zhao, Y.*; 加藤 昌治*; 青柳 和平; 尾崎 裕介; 松井 裕哉; 河野 勝宣*
材料, 73(3), p.220 - 225, 2024/03
岩盤中においては、その中に含まれる亀裂が地下水流動や物質移動の主な移行経路となる。このような亀裂に粘土鉱物のような微細な粒子が充填すると、岩盤の透水係数が低下することが室内試験により確認されている。本研究では原位置においても同様の現象が発生するかを確認するため、瑞浪用地の深度300mにおいて岩盤中に粘土を含む水を注入し、岩盤の透水性の変化を測定した。原位置試験では粘土を含む水の注入により、2オーダーの透水性の低下が確認され、原位置においても粘土鉱物のような粒子の亀裂の充填により透水性が低下することが確認された。
尾崎 裕介; 大野 宏和; 青柳 和平
資源・素材講演集(インターネット), 6 Pages, 2023/09
幌延深地層研究センターでは、原子力発電により発生する高レベル放射性廃棄物の地層処分に係る技術開発の一環として、地下研究施設の深度350m坑道において人工バリア性能確認試験を実施している。人工バリア性能確認試験では、埋め戻した坑道の内部や周辺の岩盤を対象として種々の計測が約10年間実施されている。本発表では、これらの計測結果に関して紹介する。
尾崎 裕介
Rock Mechanics Bulletin (Internet), 2(3), p.100057_1 - 100057_12, 2023/07
本研究では、掘削損傷領域の坑道解放条件下における経時変化の調査を目的として、幌延深地層研究センターの深度350m坑道で取得された弾性波トモグラフィの繰り返し調査結果の解析を実施した。取得されたデータは、吹付コンクリートの影響を受けているため、逆解析において吹付コンクリートの情報を先験的に付与しその影響を考慮した逆解析を実施した。また、弾性波速度の経時変化を追跡するためにタイムラプス解析を実施した。解析結果からは、坑道掘削後の約7年間において弾性波速度に変化は認められず、この期間に坑道解放条件下において経時変化は認められなかった。
尾崎 裕介; 石井 英一
Proceedings of 30th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE30) (Internet), 8 Pages, 2023/05
本研究では、幌延深地層研究センターで観測されている長期観測モニタリングデータの再現解析を実施し、既存の研究で推定されている透水構造の再現解析を行った。既存研究では、1年分間のみのデータを再現解析することにより透水構造を推定したが、本研究では14年間のデータを再現解析することにより既存研究で推定された透水構造の検証を行った。本研究で実施した解析により、既存研究で推定した透水構造の妥当性が検証された。
宮川 鈴衣奈*; 上林 大介*; 中村 浩隆*; 橋田 昌樹*; Zen, H.*; 染川 智弘*; 松岡 健史*; 小倉 広之*; 寒河江 大輔*; 瀬戸 雄介*; et al.
Scientific Reports (Internet), 12, p.20955_1 - 20955_8, 2022/12
被引用回数:3 パーセンタイル:18.48(Multidisciplinary Sciences)大型放射光施設(SPring-8)にて原子力研究機構が有するビームラインBL22XUの応力イメージング装置を用いて、レーザー誘起周期構造(Laser-Induced Periodic Surface Structure: LIPSS)の結晶評価を行った。測定対象のLIPSSは、Ti:Sapphireレーザー(波長800nm)とMIR-FEL(中赤外自由電子レーザー:波長11.4m)の2種の近・中赤外フェムト秒レーザーを用い、Si基板上に形成された。これらのレーザーは波長の違いの他、レーザーパルスの構造に違いがあり、その違いが形成されるLIPSSの構造に与える影響があることが分かった。放射光XRDにより、Ti:Sapphireレーザーによって形成されたLIPSSは、転位などの欠陥は発生せずに結晶性を維持するものの残留歪が存在することが判明した。一方、MIR-FELによって形成されたLIPSSは、残留歪はないものの転位などの欠陥が発生していることが分かった。これらの結果から、LIPSSを形成する光源レーザーの選択により、結晶状態の異なるLIPSSが得られることが分かった。これらの情報は、今後のLIPSSの機能的応用に向けた取り組みにおいて、有用な情報となりうる。
尾崎 裕介; 石井 英一; 菅原 健太郎*
Geomechanics for Energy and the Environment, 31, p.100311_1 - 100311_13, 2022/09
被引用回数:5 パーセンタイル:44.29(Energy & Fuels)本研究では、稚内層内部における水理力学的な亀裂の連結性を評価するために、幌延深地層研究センターにおける坑道掘削時の水圧応答データの解析を行った。解析対象とした観測データは、水理力学連成挙動であるMandel-Cryer効果の影響を顕著に受けており、この影響を考慮した水圧応答データの解析を行うために水理力学連成挙動を考慮した数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果に基づいて有効透水係数を推定したところ、有効透水係数は深度400mから深度500mにかけて徐々に低下し、深度500m以深では健岩部相当の低透水性を有することが示された。また、解析解に基づいて観測データを分類したところ、稚内層内部において水理学的特性が異なる領域が存在することが示された。これらの結果より、水理学的亀裂の連結性は稚内層において、深度が深くなるにつれて急激に変化するのではなく数十メートルの幅で徐々に変化していることが示された。
朝倉 和基; 下村 祐介; 堂野前 寧; 阿部 和幸; 北村 了一; 宮越 博幸; 高松 操; 坂本 直樹; 磯崎 涼佑; 大西 貴士; et al.
JAEA-Review 2021-020, 42 Pages, 2021/10
原子力の研究開発施設から発生する放射性廃棄物の処理処分は、取り扱う核燃料物質や材料が多種多様なこと等を踏まえ、放射能濃度を求める必要がある。大洗研究所は、廃棄物を処理する施設のみならず、廃棄物を発生させる施設も含め、埋設処分を見据えた検討に着手している。本報告書は、大洗研究所内で発生する放射性廃棄物の埋設処分に向けて、主要課題のひとつである放射能濃度評価手法について、令和2年度の検討結果を取りまとめたものである。
尾崎 裕介; 宮良 信勝
Proceedings of 14th SEGJ International Symposium (Internet), 4 Pages, 2021/10
幌延深地層研究センターでは、掘削損傷領域の経時変化を評価するために弾性波トモグラフィを繰り返し実施している。本研究では取得されたデータを解析するために、波線追跡シミュレーションを実施し、掘削損傷領域の深さや掘削損傷領域中の弾性波速度が変化した場合の走時変化を評価した。シミュレーションによる結果から、取得されたトモグラフィ結果は吹付けコンクリートの影響を強く受けており、この影響を考慮しないトモグラフィ解析では坑道壁面周辺に高速度領域の偽像が生じることが分かった。また、シミュレーション結果に基づいてこれまで観測されてきた走時データを解析したところ、ノイズレベルを上回る掘削損傷領域の拡大や弾性波速度の変化は認められなかった。
尾上 博則; 石橋 正祐紀*; 尾崎 裕介; 岩月 輝希
International Journal of Rock Mechanics and Mining Sciences, 144, p.104737_1 - 104737_14, 2021/08
被引用回数:8 パーセンタイル:57.89(Engineering, Geological)本研究ではMIUの深度500mの坑道を事例として亀裂性岩盤のモデリングの方法論について検討した。その結果、割れ目のトレース長分布の再現性に基づいて、割れ目の地質学的パラメータだけでなく水理学的パラメータも推定することができる割れ目のモデル化手法を開発した。本モデル化手法を適用することで、岩盤が有する割れ目の統計的な特性を精度よく再現できるDiscrete Fracture Network (DFN)モデルを構築することが可能となった。また、割れ目の分布位置や透水性を調査データに基づき修正するコンディショニング手法を適用することで、特定の場所のローカルな割れ目特性の評価が可能であることを実証した。さらに、亀裂性岩盤の水理学的な不均質性をモデル化するために必要な原位置調査と調査データとの関係を明らかにするとともに、日本の地層処分事業に資する有益な知見として、DFNモデルを用いた地下施設建設段階の現場調査とモデリング,処分パネル設計の考え方を提案した。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:53 パーセンタイル:96.13(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200
Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
武田 哲明*; 稲垣 嘉之; 相原 純; 青木 健; 藤原 佑輔; 深谷 裕司; 後藤 実; Ho, H. Q.; 飯垣 和彦; 今井 良行; et al.
High Temperature Gas-Cooled Reactors; JSME Series in Thermal and Nuclear Power Generation, Vol.5, 464 Pages, 2021/02
本書は、原子力機構における今までの高温ガス炉の研究開発の総括として、HTTRの設計、燃料、炉内構造物や中間熱交換器などの要素技術の開発、出力上昇試験、950Cの高温運転、安全性実証試験などの運転経験及び成果についてまとめたものである。また、HTTRでの知見をもとに、商用炉の設計、高性能燃料、ヘリウムガスタービン、ISプロセスによる水素製造などの要素技術開発の現状について記述しており、今後の高温ガス炉の開発に非常に有用である。本書は、日本機械学会の動力エネルギーシステム部門による化石燃料及び原子力によるエネルギーシステムの技術書のシリーズの一冊として刊行されるものである。