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西田 明美; 村上 高宏*; 里田 啓*; 浅野 祐也*; Guo, Z. H.*; 大嶋 昌巳*; 松川 圭輔*; 中島 憲宏
Transactions of the 26th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-26) (Internet), 10 Pages, 2022/07
巨大地震に対する原子力プラント等の耐震安全評価に資するため、プラント構造の地震時挙動を把握し現実的応答解析を可能とすることは重要な課題となっている。プラント構造の地震時挙動に大きな影響を与える部位のひとつに接合部が挙げられる。特に部材接合部のモデル化は従来経験的手法に依存しており、ピンまたは剛とみなして保守的な評価がなされてきた。そこで本研究では、接合部の3次元詳細モデルを活用し、より現実的な挙動を再現するための接合部モデル化手法を開発することを最終目的とする。その1では、これまでに開発した3次元詳細解析技術を活用し、鉄骨部材からなるプラント構造の接合部を対象として、弾性領域における接合部の現実的な半剛接の剛性評価を実施し、得られた結果について報告した。本論文では、弾塑性載荷実験の結果と比較することで弾塑性領域における3次元詳細解析手法の妥当性を確認するとともに、その1と同じ接合部モデルを用いて数値実験を実施し、得られた知見を述べる。具体的には、プラント構造の設計に利用されるフレームモデルの回転ばね要素の非線形関数を定義するための重要なパラメータを、回転剛性,降伏点,塑性回転量などの観点で整理し、接合部の塑性変形を含む現実的な剛性評価のための見通しを得た。得られた成果を原子力施設の鉄骨構造接合部のモデル化に適用することで、プラント耐震安全性の合理的評価が期待される。
西田 明美; 村上 高宏*; 里田 啓*; 浅野 祐也*; Guo, Z.*; 松川 圭輔*; 大嶋 昌巳*; 中島 憲宏
Transactions of the 25th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT-25) (USB Flash Drive), 10 Pages, 2019/08
巨大地震に対する原子力プラント等の耐震安全評価に資するため、プラント構造の地震時挙動を把握し現実的応答評価を可能とすることは重要な課題となっている。プラント構造の地震時挙動に大きな影響を与える部位のひとつに接合部が挙げられる。特に部材接合部のモデル化は従来経験的手法に依存しており、ピンまたは剛とみなして保守的な評価がなされてきた。そこで本研究では、接合部の3次元詳細モデルを活用し、より現実的な挙動を再現するための接合部モデル化手法を開発することを最終目的とする。本論文では、その第一歩として、これまでに開発した3次元詳細解析技術を活用し、鉄骨部材からなるプラント構造の接合部を対象として、接合部の有する現実的な剛性等を把握することを目的とする。複雑に組み合わされた部材からなる接合部の3次元詳細モデルを作成し、パラメトリックスタディを行った結果、プラント構造の接合部仕様によっては半剛接合とみなせることを確認し、接合部の現実的な剛性評価のための見通しを得た。得られた成果を原子炉建屋の屋根トラスや排気塔等の鉄骨構造接合部のモデル化に適用することで、プラント耐震安全性の合理的評価が期待される。
今園 孝志; 小池 雅人; 河内 哲哉; 長谷川 登; 小枝 勝*; 長野 哲也*; 笹井 浩行*; 大上 裕紀*; 米澤 善央*; 倉本 智史*; et al.
Applied Optics, 51(13), p.2351 - 2360, 2012/05
被引用回数:12 パーセンタイル:51.28(Optics)電子顕微鏡に搭載するための汎用軟X線平面結像型分光器用ラミナ型及びブレーズ型ホログラフィック不等間隔溝球面回折格子を設計・作製・評価した。放射光を用いて実施した入射角86.00におけるラミナ型マスター及びレプリカ回折格子の絶対回折効率は50
200eV領域で5%超を示す一方、ブレーズド型の場合は8%超であった。それぞれの最大回折効率は、22%, 26
27%であった。レーザープラズマ光源を用いた分解能実験により、すべての回折格子の分解能がLiの
発光スペクトルのエネルギー(約55eV)で700以上であることがわかった。また、透過型電顕に搭載した分光器を用いて金属Liの
スペクトルを高い分解能で計測することに成功した。
今園 孝志; 小池 雅人; 河内 哲哉; 長谷川 登; 小枝 勝*; 長野 哲也*; 笹井 浩行*; 大上 裕紀*; 米澤 善央*; 倉本 智史*; et al.
Memoirs of the SR Center Ritsumeikan University, (14), p.131 - 144, 2012/05
汎用電子顕微鏡に搭載することが可能な504000eV領域をカバーする波長分散型軟X線平面結像分光器の研究開発を行っている。当該領域を四分割(50
200eV、155-350eV、300-2200eV、2000-4000eV)し、一つの共通する分光器に搭載できるようそれぞれ最適化したホログラフィック不等間隔溝球面回折格子の設計,製作,評価を行った。リチウム
発光スペクトル計測を目的とする50
200eV領域の低エネルギー側をカバーする回折格子(溝形状:ラミナ型とブレーズド型)は、全エネルギー領域においてラミナ型で5%超、ブレーズド型で8%超の絶対回折効率であることが放射光による評価の結果明らかになるとともに、Li-
スペクトル近傍のレーザープラズマ光源を用いた分解能評価の結果、ラミナ型及びブレーズド型ともに700超であることがわかった。この回折格子を透過型電顕に搭載した分光器を用いて金属Liの
スペクトルを高分解能計測することに成功した。
町田 晃彦; 本田 充紀*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 小松 一生*; 有馬 寛*; 大下 英敏*; et al.
Physical Review Letters, 108(20), p.205501_1 - 205501_5, 2012/05
被引用回数:21 パーセンタイル:70.82(Physics, Multidisciplinary)希土類金属水素化物ではH/M=2及び3の化学量論比組成が存在する。2水素化物は金属格子がfcc構造でその四面体(T)サイトを水素が占有している。八面体(O)サイトも水素が占有すると3水素化物となる。これまでにLaHが高圧下、約11GPaで水素の高濃度相と低濃度相へ相分離することを放射光X線回折によって示した。今回実施したLaD
の高圧下中性子回折実験から、相分離の生成物としてNaCl型構造の一重水素化物LaDが形成されることを初めて観測した。第一原理計算及び格子ダイナミクス計算からも高圧下でLaDが形成されることが示された。このNaCl型構造のLaHの発見は水素-金属間相互作用の水素占有サイト依存性の研究の足がかりとなる。
石野 雅彦; 小池 雅人; 佐藤 二美*; 寺内 正己*; 佐野 一雄*; 笹井 浩行*
Journal of Applied Physics, 104(7), p.073520_1 - 073520_5, 2008/10
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Applied)近年、機能性デバイス開発や生体観察などが精力的に行われ、これらの分野からは広い光子エネルギー範囲を高いエネルギー分解能でカバーするX線分光器開発が望まれている。われわれは従来の回折格子にかわる広帯域X線分光素子として多層膜回折格子に注目し、8keVまでのX線領域において実用的な効率を持つCo/SiO多層膜回折格子とW/C多層膜回折格子を開発した。これらの多層膜回折格子に加えてCo/Si多層膜回折格子も候補として考えられるが、反射膜となるCo/Si多層膜の界面では大きな拡散層が形成されることが知られている。そこで、拡散層を持つX線多層膜を反射膜に持つ多層膜回折格子の特性を評価するために、Co/Si多層膜回折格子とCo/SiO
多層膜回折格子を製作し、構造評価と効率測定を行った。TEMによる試料の断面観察では、欠陥のない良好な構造が確認された。しかし、多層膜回折格子では格子構造だけでなく反射膜の光学定数が回折条件に影響すること、加えてCo/Si多層膜中に形成された拡散層が効率を低下させる原因となっていることを確認した。多層膜回折格子の反射膜として界面に大きな拡散層を持つX線多層膜を用いることには問題がある。
石野 雅彦; 小池 雅人; 兼平 美香*; 佐藤 二美*; 寺内 正己*; 佐野 一雄*
Journal of Applied Physics, 102(2), p.023513_1 - 023513_5, 2007/07
被引用回数:6 パーセンタイル:26.07(Physics, Applied)Co/SiO多層膜は1keVよりも高エネルギーのX線領域で高い反射率を実現することから、反射鏡や多層膜回折格子などの光学素子への応用が進められている。しかし、光学素子を高輝度放射光のような高い熱負荷を伴う光源で使用する場合や実験装置のベーキング処理などを考えた場合、高い耐熱性も求められるが、Co/SiO
多層膜の耐熱性についての知見はない。本研究ではCo/SiO
多層膜の耐熱性評価を目的として、Si基板上にイオンビームスパッタリング法によって成膜した多層膜試料に対して100-600
Cの温度で真空加熱処理を行い、熱処理による多層膜構造及び光学的特性の変化を、X線回折測定,軟X線反射率測定、そして透過型電子顕微鏡観察により評価した。その結果、400
Cまでの熱処理に対して、多層膜試料は熱処理前の構造と軟X線反射率を維持し、十分実用的な耐熱性を有することを確認した。また、多層膜構造の劣化は500
C以上で発生し、Co層の凝集とCo結晶の成長が原因であることがわかった。
奥村 進; 荒川 和夫; 福田 光宏; 中村 義輝; 横田 渉; 石本 貴幸*; 倉島 俊; 石堀 郁夫; 奈良 孝幸; 上松 敬; et al.
Review of Scientific Instruments, 76(3), p.033301_1 - 033301_6, 2005/03
被引用回数:9 パーセンタイル:42.33(Instruments & Instrumentation)AVFサイクロトロンの運転において、ビーム電流減少を引き起こす数十時間に渡る10台の磁場変動が生じていた。実験の結果より、励磁コイルからの熱によって鉄心温度が上昇し、ビーム特性の劣化を引き起こす磁場変動を発生させていることを明らかにした。鉄心温度上昇を防ぎ、高安定磁場を実現するために、メインコイルとヨークとの間への熱絶縁やトリムコイル冷却水温度制御の高精度化といった鉄心温度制御技術を開発した。この温度制御によって、磁場安定度
5
10
を達成し、
2%のビーム強度安定度を得た。
今園 孝志; 小池 雅人; 河内 哲哉; 長谷川 登; 小枝 勝*; 長野 哲也*; 笹井 浩行*; 大上 裕紀*; 米澤 善央*; 倉本 智史*; et al.
no journal, ,
表面が金膜である従来の回折格子を搭載した回折格子分光器では計測できない2-4keV領域に対応するワイドバンド多層膜回折格子分光器の開発を進めている。これを実現するために、当該領域の反射率を一定入射角でも反射率をワイドバンド化できる新しい膜構造の多層膜(WとBCから構成、周期長5.6nm,膜総数40)を考案し、それをホログラフィック露光法により作製されたラミナ型回折格子上に積層させた多層膜回折格子を作製した。高エネルギー加速器研究機構Photon FactoryのBL-11Bにて行った多層膜回折格子の回折効率の評価実験の結果、入射角88.65
,入射エネルギー2.1-4.0keVにおける多層膜回折格子の回折効率は、従来の回折格子に比して2keV近傍で数倍、3keVで一千倍の回折効率を示すことがわかった。
佐野 亜沙美; 伊藤 正一*; 井上 徹*; 野田 昌道*
no journal, ,
MORBやOIBの分析からマントルはほぼ一様な同位体組成を持っておりその値は D SMOW=-80
-60パーミルと報告されている。海水より重水素に乏しい理由としては、マントル中の孤立した始源的な水のリザーバーの存在、地質学年代を通じてのDに乏しい含水鉱物の沈み込み帯におけるマントルへの供給、また海水が形成されたあとの彗星による重水素の付加などで説明されてきた。これらの議論にはマントル条件での水素同位体分配係数が重要であるが、高温高圧条件ではほとんど決められていないのが現状である。本研究では、上部マントルとマントル遷移層を構成するオリビン, ワズレアイト間における水素同位体分配実験を行なった。実験は川合型マルチアンビルプレスを用い、平衡を担保するため保持時間を1時間から72時間まで変えて行なった。実験の結果分配係数は保持時間とともに減少することが確認された。マントル遷移層が重水のリザーバーとして重要な役割を果たしうることが示唆される。
宮崎 康典; 佐野 雄一; 竹内 正行; 星野 正光*; 下條 竜夫*; 足立 純一*
no journal, ,
核燃料サイクルの確立に当たり、使用済燃料再処理で発生する高レベル放射性廃棄物の処理処分が課題となっている。原子力機構では、放射性廃棄物の減容化及び有害度低減の観点から、再処理廃液から選択的にマイナーアクチノイドを回収する新規抽出剤の開発を進めている。本発表では、モデル分子であるN,N,N',N',N",N"-hexamethyl nitrilotriacetamide(HMNTA)を対象とした加熱の光電子分光実験を行うとともに、GRRMで探索した電子基底状態のコンフォメーションと加熱温度での相対存在分布から、電子構造やイオン化に伴う電子遷移をそれぞれ評価した。計算結果は光電子分光スペクトルを再現し、電子構造の説明が可能となり、今後、1つの分子構造に収束したイオン状態の結合解離性を見積る予定である。
青木 勝敏; 町田 晃彦; 本田 充紀; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 綿貫 徹; 片山 芳則; 小松 一生*; 有馬 寛; 大友 季哉*; et al.
no journal, ,
LaDがLa金属格子中の重水素原子の再配置を伴って相分離することを放射光X線回折と中性子回折実験により見いだした。放射光実験はSPring-8、ビームライン22XUを中性子実験はJ-PARCの全散乱装置NOVAを用いて実施した。重水素原子はLaD
ではfcc金属格子の四面体サイトを占めているが、11GPaの圧力下で八面体サイトに移動してLaDとLaD
が形成される。NaCl-型一水素化物は遷移金属では観測されているが、希土類金属で形成が確認されたのは初めてである。第一原理計算はLaH
がLaHとLaH
に10GPaで相分離することが示された。生成エンタルピー計算からLaH
の体積減少が相分離を駆動していることがわかった。
町田 晃彦; 本田 充紀; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 小松 一生*; 有馬 寛; 大下 英敏*; et al.
no journal, ,
希土類金属水素化物は2水素化物と3水素化物という化学量論比組成が存在する。2水素化物は金属的であり3水素化物になると絶縁体になるため、格子間に侵入した水素が構造や電子状態(物性)の変化を誘起すると考えられている。したがって占有サイトの違いによる水素-金属結合状態の変化が観測できると期待される。ランタン2水素化物において圧力による格子圧縮によりユニットセル体積が約17%異なる二相に相分離を起こすことを観測した。この二相は水素量の異なる相であると推測され、圧力によってサイト間の水素の移動が生じたことになる。特に低濃度相についてはその水素占有サイトや占有率が不明であったが、われわれはランタン2重水素化物において高圧下中性子回折実験を実施した結果、NaCl型ランタン1重水素化物LaDが形成されること明らかにした。1水素化物は希土類金属水素化物では初めて発見されたものである。
今園 孝志; 小池 雅人; 河内 哲哉; 長谷川 登; 小枝 勝*; 長野 哲也*; 笹井 浩行*; 大上 裕紀*; 米澤 善央*; 倉本 智史*; et al.
no journal, ,
24keV領域の反射率を一定入射角で一様に高効率化するための新型多層膜ミラーを考案した。新型多層膜は、B
C層を最上層に持つW/B
C多層膜の上に、Wを最上層に持つB
C/W二層膜を積層させた構造である。すなわち、積層順序を反転させている。これは、短波長側の光に対しては底部多層膜により、長波長側では上部多層膜により反射させることを意図し、汎用電子顕微鏡に搭載可能な平面結像型分光器用多層膜回折格子として応用した。一定入射角88.65
、2
4keVにおける多層膜回折格子の回折効率を評価した結果、全エネルギー領域に渡って一様な回折効率であることがわかった。
町田 晃彦; 本田 充紀; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 小松 一生*; 有馬 寛; 大下 英敏*; et al.
no journal, ,
高圧下においてNaCl型ランタン1重水素化物LaDが形成されることを中性子回折によって観測した。NaCl型水素化物はアルカリ金属水素化物や遷移金属水素化物で形成されるが、希土類金属水素化物では常圧で存在しない。ランタン1重水素化物は2重水素化物の圧力誘起相分離の結果として形成される。本研究により、希土類金属はfcc金属格子で1, 2, 3水素化物という3つの化学量論比組成の水素化物を形成することができるということが明らかになった。2種類ある格子間サイト(四面体サイト,八面体サイト)のうち、八面体サイトのみを占有している1水素化物、四面体サイトだけ占有の2水素化物、すべての格子間サイトを占有している3水素化物という異なる3つの状態を同じ金属格子構造で実現できたことは、占有サイトの違いによる水素-金属結合状態の変化を知るうえで重要な結果である。
荒井 陽一; 佐野 雄一; 菅沼 隆; 比内 浩; 池田 昭*; 小畑 政道*; 柴田 淳広; 野村 和則
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の汚染水を処理する多核種除去設備の運転に伴う二次廃棄物として、前処理設備から2種類のスラリー、多核種除去装置から7種類の吸着材が発生する。これらに含まれる放射性核種等の分析には、試料を完全に溶液化した後、妨害成分の除去や分析成分の濃縮等の前処理が必要である。本研究では、難溶解性フェロシアン化合物の溶液化に関する基礎データの取得のため、Csを吸着した模擬廃棄物試料の熱分解特性と、熱分解生成物の酸溶解性を調査した。500Cで熱分解した試料を用いて実施した各溶解試験の結果、硝酸に対する溶解性は、硝酸濃度が高く溶解時間が長いほど高くなり、これらの条件に依存する傾向が認められ、濃硝酸(約13mol/L)を用いた4時間の溶解では100%に近い溶解率に達した。混酸は濃硝酸と同等の溶解率を示し、硫酸の溶解率は約70%と他の条件と比較しても低い傾向にあった。なお、吸着したCsは、熱分解処理試料の溶解条件には依存せず、約90から100%と高い回収率が得られた。以上より、熱分解と酸溶解法を組み合わせた前処理により、Csを吸着した難溶解性フェロシアン化合物の溶液化の方法として採用できる見通しを得た。
益田 遼太郎*; 大高 咲希*; 下條 竜夫*; 竹内 佐年*; 足立 純一*; 星野 正光*; 樋川 智洋; 宮崎 康典; 佐野 雄一; 竹内 正行
no journal, ,
マイナーアクチノイド(MA; Am, Cm)に対する高い選択性及び分離性を示すHONTAの放射線分解過程における電荷移動を評価するため、HONTAの光電子分光実験を行い、イオン化エネルギー(IP)を決定するとともに、状態密度計算との比較によって、価電子領域の電子構造を明らかにした。取得したデータからHONTAのIP8.20.2eVと決定した。また、希釈分子であるdodecaneのIP9.5eVとの比較によって、dodecaneからHONTAへの電荷移動反応が妥当であることを確認した。また、計算との比較から、HONTAの束縛エネルギー10eV前後はアミン窒素やカルボニル酸素の不対電子、束縛エネルギーが10eVの領域ではC-H結合等に由来する
電子と帰属した。今後、HONTAに軟X線を照射し、内殻電子励起後のオージェ崩壊から生成するHONTAの分解物を質量分析することで、ラジカルカチオンからの分解経路を調査する。
石野 雅彦; 小池 雅人; 兼平 美香*; 佐藤 二美*; 寺内 正己*; 佐野 一雄*; Heimann, P. A.*; Gullikson, E. M.*
no journal, ,
ラミナー型ホログラフィック回折格子を基板として、その表面にCo/SiO多層膜をイオンビームスパッタリング法により成膜することで、Co/SiO
多層膜回折格子を作製した。作製した多層膜回折格子の回折効率をX線回折装置と放射光施設で測定した結果、1.5-8keVの広いエネルギー範囲において10%以上の回折効率を示すことを確認した。特に4-6keVにおいては40%以上の回折効率を実現しており、6keVでの効率は47%であった。次にCo/SiO
多層膜の耐熱性を評価するために、真空加熱炉による熱処理を100
Cから600
Cまでの温度で1時間行った。X線回折測定,透過型電子顕微鏡観察,軟X線反射率測定から多層膜構造と光学特性の変化を評価した結果、Co/SiO
多層膜は400
Cまでの熱処理に対して熱処理前の構造と反射率を維持することを確認した。Co/SiO
多層膜とSiO
やSiC等の耐熱性基板とを組合せたCo/SiO
多層膜光学素子は実用的な耐熱性を持つと考えられることから、高輝度光源での利用にも高い安定性(耐熱性)を備えた高効率光学素子として機能することが期待される。
町田 晃彦; 服部 高典; 本田 充紀*; 佐野 亜沙美; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 小松 一生*; 有馬 寛*; 大下 英敏*; et al.
no journal, ,
希土類金属2水素化物は蛍石(CsF)型構造を持ち、水素原子は理想的にはfcc格子を組む金属が作る四面体サイトに位置している。これまでに高圧下放射光X線回折や赤外分光測定によってLaH
が高圧下で水素濃度の高い相と低い相の2相に分解することが明らかにされている。この分解前の状態においてfcc金属格子がわずかに歪んだ正方格子となることを発見した。LaH
においては八面体サイトに侵入した水素が秩序化することで正方格子になると考えられている。したがって、高圧下で観測されたLaH
の正方格子への転移や分解反応は四面体サイトから八面体サイトへの水素の格子間移動によるものと考えられる。そこでわれわれはJ-PARC物質・生命科学実験施設においてLaD
の高圧下中性子回折実験を実施し、高圧下における水素の位置や占有率の変化を調べた。
町田 晃彦; 本田 充紀*; 服部 高典; 佐野 亜沙美; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 小松 一生*; 有馬 寛*; 大下 英敏*; et al.
no journal, ,
希土類金属水素化物ではH/M=2, 3の化学量論比組成が存在する。2水素化物は金属格子がfcc構造でその四面体(T)サイトを水素が占有している。八面体(O)サイトも水素が占有すると3水素化物となる。これまでにLaHが高圧下、約11GPaで水素の高濃度相と低濃度相へ相分離することを放射光X線回折によって示した。J-PARC物質・生命科学実験施設のBL21に設置された大強度全散乱装置NOVAでLaD
の高圧下中性子回折実験を実施したところ、11GPa以上で低濃度相に由来する回折線を観測した。その結果、相分離によって形成される低濃度相はfcc金属格子のOサイトをDが占有している1重水素化物であることが明らかになった。希土類金属で一水素化物の形成を確認したのは初めてのことである。