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論文

Development of high-fidelity multi-physics platform JAMPAN

多田 健一; 近藤 諒一; 神谷 朋宏; 永武 拓; 小野 綾子; 長家 康展; 吉田 啓之

Proceedings of International Conference on Physics of Reactors (PHYSOR 2024) (Internet), p.1488 - 1497, 2024/04

原子力機構は核計算コードや熱流動計算コードなどのシングルフィジクスコードを結合するため、高忠実なマルチフィジクスプラットフォームJAMPANを開発している。JAMPANは、HDF5形式のデータコンテナとシングルフィジクスコードの入力作成及び出力読み取りのためのモジュールから構成されている。ユーザーは結合する計算コードに適合した入出力取り扱いモジュールを実装することで、簡単に計算コードを追加・変更することができる。JAMPANの最初の目標は、炉心解析コードの参照解を提供するための核熱結合計算である。現行のJAMPANでは、核計算コードMVPと熱流動計算コードJUPITER、ACE-3D、NASCAに対応した取り扱いモジュールを実装し、結合を可能としている。ユーザーは計算規模や計算性能などに応じて熱流動計算コードを選択することが可能である。本発表では、JAMPANの概要と核計算と熱流動計算の結合計算の結果を示す。

論文

Development of JAEA advanced multi-physics analysis platform for nuclear systems

神谷 朋宏; 小野 綾子; 多田 健一; 秋江 拓志; 長家 康展; 吉田 啓之; 川西 智弘

Proceedings of 29th International Conference on Nuclear Engineering (ICONE 29) (Internet), 8 Pages, 2022/11

原子炉内の現象を忠実に再現するマルチフィッジクス解析プラットフォームJAMPAN(JAEA advanced multi-physics analysis platform for nuclear system)の開発を行っている。JAMPANは、現在、核計算と熱流動計算の連成解析を対象として開発されており、連続エネルギーモンテカルロ計算コードMVPと多相多成分詳細熱流動解析コードJUPITERを結合させた計算が可能となっている。将来的には他の解析コードへの入れ替えや、核計算と熱流動計算以外の解析コードとの連成も想定し、JAMPANは拡張性の高い設計となっている。JAMPANの解析例として、少数の燃料棒から構成される二相流体系を用いて、MVPとJUPITERの連成解析を実施した。解析結果は物理的に妥当な結果となっており、核熱連成解析を適切に実行できていることを確認した。

論文

放射線環境下での腐食データベース

佐藤 智徳; 端 邦樹; 加治 芳行; 田口 光正*; 清藤 一*; 井上 博之*; 多田 英司*; 阿部 博志*; 秋山 英二*; 鈴木 俊一*

Isotope News, (782), p.40 - 44, 2022/08

福島第一原子力発電所(以下、1Fとする)の原子炉建屋内部の滞留水は、燃料デブリや飛散したセシウム等放射性物質による強い放射線場にある。この水は運転中の冷却水で使用される純度の高い水とは異なり、緊急冷却時に注入された海水の成分、鋼材から溶出したFe$$^{2+}$$等多くの不純物の影響を受けていると考えられた。また、現在はN$$_{2}$$ガスでパージされているが、今後の廃炉作業に伴い開放される可能性もあり、滞留水の位置や状況により、様々な溶存酸素濃度となることが推測される。そこで、1Fの廃炉工程の円滑化に資することを目的として、放射線環境下での腐食トラブルの発生可能性,対策等を議論するうえで有用な情報である、水の放射線分解(ラジオリシス)および放射線照射下での腐食試験データ、1F廃炉工程における潜在的腐食影響の検討結果を「放射線環境下での腐食データベース」としてまとめたのでここで紹介する。

報告書

放射線環境下での腐食データベース(受託研究)

佐藤 智徳; 端 邦樹; 加治 芳行; 上野 文義; 井上 博之*; 田口 光正*; 清藤 一*; 多田 英司*; 阿部 博志*; 秋山 英二*; et al.

JAEA-Review 2021-001, 123 Pages, 2021/06

JAEA-Review-2021-001.pdf:10.33MB

福島第一原子力発電所(以下、1Fという)の廃止措置の着実な推進を考えた場合、様々な課題が存在するが、とりわけ40年にわたり廃止措置を安全かつ継続的に進めるためには、経年的に劣化が進む構造材料の腐食を抑制することが重要である。しかしながら、腐食反応を律速する環境要因に関しては、現状十分にデータが得られている訳ではなく、また、作業の進展に伴い時々刻々と変化し得る。そこで、本研究では、放射線環境下での腐食トラブルの発生可能性、対策等を議論するうえで有用な情報である、ラジオリシスおよび放射線照射下での腐食試験データを、データベースとしてまとめた。さらに、公開されているラジオリシスデータおよび、腐食データに含まれない、1Fの廃止措置で必要となることが想定されるラジオリシスデータと構造材料の腐食データを取得した。

論文

ガンマ線照射を模擬した湿度制御環境での腐食モニタリング

大森 惇志*; 秋山 英二*; 阿部 博志*; 端 邦樹; 佐藤 智徳; 加治 芳行; 井上 博之*; 田口 光正*; 清藤 一*; 多田 英司*; et al.

材料と環境, 69(4), p.107 - 111, 2020/04

ガンマ線照射による水のラジオリシスで生成する酸化剤が炭素鋼の気相中の腐食に及ぼす効果を評価するために、オゾンをモデル酸化剤として用いて50$$^{circ}$$Cの湿度制御下に導入し、ACMセンサを用いた腐食モニタリングを行った。ACM電流はオゾンの濃度に伴って高くなったことから、オゾンによる腐食促進の効果が示された。これはオゾンの還元反応あるいは水への溶解反応が早く、カソード反応を促進したためと考えられる。

論文

燃料デブリ分布と再臨界予測における多相多成分詳細流体解析手法と連続エネルギーモンテカルロコードとの連成解析

山下 晋; 多田 健一; 吉田 啓之; 須山 賢也

日本原子力学会和文論文誌, 17(3/4), p.99 - 105, 2018/12

原子力機構では、原子炉過酷事故時における炉内構造物の溶融とその移行挙動を機構論的に明らかにし、既存SA解析コードが持つ溶融移行挙動解析における不確かさの低減を図ることなどを目的として、数値流体力学的手法に基づく溶融物の炉内移行挙動、蓄積予測手法JUPITERの開発を行なっている。本報告では、デブリの移行などにより変化する組成分布に基づき再臨界の可能性を推定できる手法の構築を検討するため、JUPITERにより計算したシビアアクシデントを模擬して計算した溶融燃料などの移行・蓄積によるデブリの分布に基づき、連続エネルギーモンテカルロコードMVPによる核計算を実施した。これら結果から、得られた組成分布に対する臨界の可能性の検討を行い、JUPITERとMVPを連成させた解析により、詳細なデブリ分布予測に基づき再臨界可能性を評価することができる見通しを得た。

論文

Characteristics of radio-cesium transport and discharge between different basins near to the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant after heavy rainfall events

佐久間 一幸; 北村 哲浩; Malins, A.; 操上 広志; 町田 昌彦; 森 康二*; 多田 和広*; 小林 嵩丸*; 田原 康博*; 登坂 博行*

Journal of Environmental Radioactivity, 169-170, p.137 - 150, 2017/04

 被引用回数:25 パーセンタイル:63.57(Environmental Sciences)

福島第一原子力発電所周りの流域について水の流れと土砂の輸送による放射性セシウムの再分布を理解するために流域モデリングを実施した。懸濁態と溶存態形態の放射性セシウム移行を計算するために、既往の3次元水理地質モデルを用いた水・土砂モデルを拡張した。2011年9月の台風Rokeと2013年9つの出水時を含む2013年をシミュレーションした。2013年の勢力の強い台風Man-yiと台風Wiphaは放射性セシウムの再分布引き起こした。2013年の9つの出水時に関して$$^{137}$$Cs流出量を計算した結果、観測値をよく再現した。堆積は主に氾濫原や流域下流部の河道が広がるところやダム湖で起こった。5つの流域間での$$^{137}$$Cs流出比の違いは流域内での初期フォールアウトの空間分布やダム湖の存在の有無、土地利用の違いによる河川への供給量の違いによって説明された。これらのシミュレーション結果は環境回復を支援するにあたり、将来の放射性物質の再分布を評価することが可能である。

論文

岩石利用セグメント支保工の力学特性と坑道の安定性に関する検討

多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 石井 卓*; 藤田 朝雄; 杉田 裕; 中間 茂雄; 真田 昌慶*

土木学会論文集,F2(地下空間研究)(インターネット), 73(1), p.11 - 28, 2017/03

本論文では、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工の力学特性、支保工としての成立性について室内試験や要素試験を行い検討した。検討結果より、従来の吹付けコンクリートを主体とした支保工に対して、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工は、セメント使用量を大幅に低減し、かつ低アルカリ性モルタルを利用することにより、セメント影響のさらなる低減化が期待できること、地層処分施設の支保工として地山の安定性を確保することが可能であることを示した。

論文

Redistribution and export of contaminated sediment within eastern Fukushima Prefecture due to typhoon flooding

北村 哲浩; 操上 広志; 佐久間 一幸; Malins, A.; 奥村 雅彦; 町田 昌彦; 森 康二*; 多田 和広*; 田原 康博*; 小林 嵩丸*; et al.

Earth Surface Processes and Landforms, 41(12), p.1708 - 1726, 2016/09

 被引用回数:16 パーセンタイル:51.87(Geography, Physical)

福島第一原子力発電所の事故に起因して福島の地表に降下した放射性物質の将来分布予測に関連し、まず土砂の移行を物理型集水域解析モデルGETFLOWSを用いて詳細解析した。対象領域は汚染度合いを考慮し浜通り側の5流域、小高川, 請戸川, 前田川, 熊川, 富岡川とした。これらの流域の水・土砂輸送プロセスを、地表水流動、地下水流動、地表水・地下水相互作用、浸食(堆積)によって生じる浮遊砂移動現象として解析した。特に河川に流入した砂量、河川底に堆積した砂量、海へ流出した砂量などを試算した。

報告書

クラックテンソルモデルを用いた瑞浪超深地層研究所の冠水坑道における坑道冠水過程に伴う三次元応力解析

尾崎 裕介; 松井 裕哉; 桑原 和道; 多田 浩幸*; 櫻井 英行*; 熊坂 博夫*; 郷家 光男*; 小林 伸司*

JAEA-Research 2016-007, 125 Pages, 2016/06

JAEA-Research-2016-007.pdf:34.66MB

瑞浪超深地層研究所では、これまでクラックテンソルモデルを用いた掘削解析を行ってきた。現在、瑞浪超深地層研究所では深度500mにおいて再冠水試験が実施されている。本研究では、クラックテンソルモデルを用いて坑道が冠水する過程における亀裂および掘削損傷領域を含む岩盤挙動の評価を行う。坑道が冠水する過程での応力状態の変化を評価するために、冠水坑道内の水位が異なる場合の解析を行った。また、冠水後に坑道内に地下水の流入が継続した場合の応力状態を推定するために、冠水坑道内の水圧が深度相当の水圧と同程度まで上昇した場合の解析も行った。これら坑道の冠水過程における解析において、最大の応力が岩盤に作用した場合の状況を推定するため、地下水の岩盤への浸透を無視して解析を実施した。これらの解析に加えて、冠水後に長時間経過した場合における岩盤の応力状態を予測するため、地下水の岩盤への浸透を考慮した場合の解析も実施した。解析の結果、これら坑道の冠水過程において、岩盤にかかる応力は、冠水坑道壁面付近で坑道内の水圧程度まで達することが予測された。

報告書

クラックテンソルモデルを用いた瑞浪超深地層研究所を対象とした三次元坑道掘削解析

高山 裕介; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 福田 毅*; 小林 伸司*

JAEA-Research 2015-003, 102 Pages, 2015/07

JAEA-Research-2015-003.pdf:20.21MB

日本原子力研究開発機構では、結晶質岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備と、深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、岐阜県瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野の研究では、地上からの調査予測研究段階において、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定している。本報告では、深度500mの換気立坑連接部、研究アクセス北坑道の地中変位計設置断面周辺、および斜坑部・冠水坑道の3箇所を対象として、クラックテンソルを算定し、掘削解析を実施した。研究アクセス北坑道の地中変位計設置断面周辺の解析結果については計測データとの比較を行った。また、換気立坑連接部の掘削解析においては、第1段階および第2段階で取得したクラックテンソルや初期応力測定結果を用い、第1段階と第2段階の解析結果の差異を比較・検討した。

報告書

瑞浪超深地層研究所計画におけるクラックテンソル理論に基づく等価連続体モデル化手法の検討

真田 祐幸; 佐藤 稔紀; 丹野 剛男*; 引間 亮一*; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 石井 卓*; 櫻井 英行*

JAEA-Research 2014-006, 124 Pages, 2014/06

JAEA-Research-2014-006.pdf:11.26MB

日本原子力研究開発機構では、結晶質岩を対象とした深部地質環境の調査・解析・評価技術の基盤の整備と、深地層における工学技術の基盤の整備を目標として、岐阜県瑞浪市において超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野では、地上からの調査段階において、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定している。本報告では、深度500mまでの立坑および水平坑道の研究坑道の壁面観察や力学試験データ等を使用してクラックテンソルの算定を行った。そして、深度500mにおけるクラックテンソルを用いて、換気立坑の深度500mおよび深度500m予備ステージの2次元掘削解析を行った。また、第1段階の調査(MIZ-1号孔)結果に基づいて算出した深度500mのクラックテンソルの検証を本報で算定したクラックテンソルを基に行った。さらに、換気立坑の深度170から500mおよび深度500m予備ステージを対象に、基準領域および観察領域を設定し、クラックテンソルの相対誤差を算出するとともに、観察領域の大きさに伴う相対誤差の変動の様子を調べた。

論文

Excavation analysis using crack tensor theory at the Mizunami Underground Research Laboratory, Japan

真田 祐幸; 引間 亮一; 丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 郷家 光男*; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*

Proceedings of ITA-AITES World Tunnel Congress 2013 (WTC 2013)/39th General Assembly, p.855 - 860, 2013/05

本報では、瑞浪超深地層研究所の研究坑道掘削時の変形挙動予測及び第1段階の解析結果の検証のために等価連続体解析の一種であるクラックテンソル(岩盤中の割れ目の密度,大きさ,方向などの幾何学特性を表現するテンソル)理論を用いたモデル化方法や解析結果について記した。対象深度のクラックテンソルの推定のために、各深度のボーリングデータ及び壁面観察による割れ目の統計量の関係性から、各深度のクラックテンソルのトレース(割れ目の密度とトレース長から算出される岩盤の剛性に対応するパラメータ)の比率やテンソルの変換マトリクスを求めた。推定の結果、第1段階でモデル化した解析結果と比較して、岩盤のヤング率の低減と支保工の応力の増加が認められた。研究坑道掘削時の調査により、地表からの調査で捉えることが難しかった高角度割れ目の情報を追加したことによりモデルが改善された。今後、瑞浪超深地層研究所の研究坑道を利用した研究段階においてモデル化及び解析結果の検証を実施する。

論文

セメントの使用を極力抑えた岩石利用セグメント支保工の開発

多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 齋藤 亮*; 中谷 篤史*; 石井 卓*; 真田 昌慶; 野口 聡*; 岸 裕和*; 中間 茂雄; 藤田 朝雄

第13回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.133 - 138, 2013/01

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設に関し、セメント系材料の使用を極力抑えた坑道の新しい構築方法の開発に取り組み、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工の成立性や有効性を示すための研究開発を進めている。本研究では、低アルカリ性モルタルを用いた岩石利用セグメント支保工と裏込め材の力学特性値を室内試験により取得し、得られた物性値を用いて坑道の安定性に関する検討を実施した。検討結果より、従来の吹付けコンクリートを主体とした支保工に対して、セメント使用量を大幅に低減し、かつ低アルカリ性モルタル利用することにより、セメント影響のさらなる低減化を図った支保工の力学的な成立性,有効性を確認した。

論文

瑞浪超深地層研究所におけるクラックテンソルの相対誤差に基づいたREVの基礎的研究

丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 引間 亮一; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*

第13回岩の力学国内シンポジウム講演論文集(CD-ROM), p.109 - 113, 2013/01

割れ目を多く含む岩盤の場合、変形特性は、岩盤中に内在する割れ目の幾何学的な分布特性に大きく影響を受ける。岩盤中の割れ目の幾何学的な分布特性を把握する場合、それが調査位置や調査領域のスケールで変化するため、これに基づいて設定される岩盤の物性も調査位置や領域のスケールにより変動する。そこで、本研究では、岩盤中の割れ目の幾何学的な分布を定量的に表現できるクラックテンソルに着目し、研究坑道において基準区間と観測区間長を変化させ、基準区間に対する観測区間長ごとのクラックテンソルの相対誤差(RE)の変動の様子を調べた。さらに、REの変動の様子からREV(Representative Elementary Volume: 代表要素体積,不連続性岩盤を等価な連続体に置換して、変形解析・評価することが可能な体積の意味)の基礎的検討を試みた。その結果REの収束は換気立坑よりも深度300m研究アクセス坑道のほうが速いことがわかった。

報告書

結晶質岩を対象としたクラックテンソルによる等価連続体モデル化手法に関する研究

丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 真田 祐幸; 引間 亮一; 松井 裕哉; 多田 浩幸*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 石井 卓*

JAEA-Research 2012-002, 86 Pages, 2012/03

JAEA-Research-2012-002.pdf:8.48MB

日本原子力研究開発機構では、超深地層研究所計画(以下、MIU計画)の岩盤力学研究の一環として、結晶質岩を対象とし、坑道の掘削に伴って周辺岩盤中に生じる掘削影響の評価を地上からの調査段階で実施する方法の構築を課題の一つとして設定している。この課題を達成するために、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において、割れ目の力学特性やその幾何学的分布が岩盤の変形に支配的な影響を及ぼす結晶質岩について、クラックテンソルモデル(等価連続体モデルの一つ)による研究を進めている。あわせて、クラックテンソルによる相対誤差に基づいたREV(Representative Elementary Volume: 代表要素体積,寸法効果を定量的に表現する指標であり、不連続体を等価な連続体とみなして解析・解釈する際の最小体積の意味)の検討を実施し、第3段階における試験計画の策定や、モデル化の際の要素の大きさの設定にREVの検討結果を適用することを試みている。2010年度は、クラックテンソルモデルに基づき、REVの検討を実施した。また、クラックテンソルのトレースと電中研式岩盤等級との関係を調査し、設計時に設定した岩盤等級に基づく物性分布評価の妥当性を検討した。

論文

瑞浪超深地層研究所での研究事例に基づいた等価連続体モデル化手法の適用に関する一考察

丹野 剛男; 佐藤 稔紀; 松井 裕哉; 真田 祐幸; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*

第41回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(CD-ROM), p.185 - 190, 2012/01

日本原子力研究開発機構では地層処分技術に関する研究の一環として、超深地層研究所計画を進めている。超深地層研究所計画における岩盤力学分野では、研究坑道の掘削に伴い周辺岩盤に生じる掘削影響の評価方法の構築を課題の一つとして設定して調査研究を行っている。その中で本報では、瑞浪超深地層研究所において研究坑道を利用し、等価連続体モデル化手法の一つであるクラックテンソルによるモデル化領域設定のための検討結果を報告する。クラックテンソルの算出では、坑道壁面などの曲面状の壁面に現れる割れ目のトレース長の算出が必要であり、本研究では、その算出方法を新たに提案した。また、算出されたクラックテンソルについて、岩盤等級との関係を検討した。

報告書

高レベル放射性廃棄物処分施設における坑道支保工に用いるセメント系材料の低減化技術に関する研究(共同研究)

林 克彦; 野口 聡; 岸 裕和; 小林 保之*; 中間 茂雄; 藤田 朝雄; 内藤 守正; 多田 浩幸*; 熊坂 博夫*; 郷家 光男*; et al.

JAEA-Research 2010-057, 101 Pages, 2011/03

JAEA-Research-2010-057.pdf:7.47MB

高レベル放射性廃棄物の地層処分施設において支保工やグラウトに用いられるセメント系材料は、地下水に溶出し高アルカリ環境を生じさせる。このような高アルカリ環境は、緩衝材や埋め戻し材に使用されるベントナイトや周辺岩盤に変質を生じさせ、処分システムの長期的な性能の確保に不確実性を増大させる結果になることが懸念されている。本研究は、セメント系材料の高アルカリ影響に対するセメント量の低減化の観点から、処分システムの長期的な性能に配慮した材料を主体とする支保構造の技術的成立性について、原子力機構及び清水建設の双方が所有する知見を最大限に活用し、検討・評価するものである。それに基づき、将来の高レベル放射性廃棄物処分施設への適用に向けた実現可能性について課題を取りまとめた。

報告書

クラックテンソルによる瑞浪超深地層研究所研究坑道の掘削影響予測解析; 2009年度

松井 裕哉; 丹野 剛男; 平野 享*; 郷家 光男*; 熊坂 博夫*; 多田 浩幸*; 石井 卓*

JAEA-Research 2010-043, 87 Pages, 2010/12

JAEA-Research-2010-043.pdf:3.99MB

予察的解析の妥当性評価を目的として、壁面観察結果に基づきクラックテンソルを算定し、地中変位計測と比較して、その妥当性を評価し、立坑内から実施したパイロットボーリング調査や地表からの調査段階で設定したクラックテンソルの比較を行った。(1)2004年度の予察的解析で設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析値は地中変位計測値よりも小さい値を示した。一方、壁面観察結果から設定されたクラックテンソルを用いた換気立坑の深度350mの変形解析の結果、計算された最大値は計測値に近い値を示した。(2)これは、2004年度の評価で十分考慮できていない非常に連続性の高いNE系の割れ目の情報が新たに考慮されたためである。換気立坑より掘削したパイロットボーリング調査結果に基づきクラックテンソルを求めて両者と比較した結果、パイロットボーリング調査で把握された割れ目の方向分布は壁面観察の方向分布と近いこと、求められたクラックテンソルは両者の中間に位置することがわかった。(3)パイロットボーリングデータにおける深度350mと深度500m間の割れ目の統計量の関係より深度500mにおけるクラックテンソルを推定した。推定されたクラックテンソルを用いて深度500mにおける換気立坑と水平展開坑道の変形解析を行った結果、2004年度の結果よりも岩盤のヤング率は低減し、支保工に作用する応力は増加した。

論文

Observations of domain structure and ferroelectricity in Bi(Ni$$_{0.5}$$Ti$$_{0.5}$$)O$$_{3}$$ ceramics fabricated by high-pressure sintering

北田 和也*; 小舟 正文*; 足立 渉*; 矢澤 哲夫*; 齋藤 寛之; 青木 勝敏; 水木 純一郎; 石川 健哉*; 平永 良臣*; 長 康雄*

Chemistry Letters, 37(5), p.560 - 561, 2008/05

 被引用回数:9 パーセンタイル:37.48(Chemistry, Multidisciplinary)

Bi(Ni$$_{0.5}$$Ti$$_{0.5}$$)O$$_{3}$$ ceramics with a perovskite structure was synthesized at a high pressure of 6 GPa. It was confirmed that the synthesized samples had a multidomain structure and ferroelectricity on the basis of scanning nonlinear dielectric microscopy (SNDM) and polarization-electric field (P-E) hysteresis loop measurements.

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