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村田 勲*; 高木 智史*; 近藤 恵太郎; 四間 公章*; 宮丸 広幸*; 満田 幹之; 前川 藤夫; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 595(2), p.439 - 446, 2008/10
被引用回数:4 パーセンタイル:33.26(Instruments & Instrumentation)日本原子力研究開発機構の核融合中性子源施設(FNS)のDT中性子ビームを利用した、同時計数法に基づく(n,2n)反応からの放出中性子の角度相関エネルギースペクトルの測定手法を開発した。本手法による(n,2n)反応断面積測定の妥当性を検証するため、放射化法による(n,2n)反応断面積の測定例が多数存在するMn(n,2n)反応について、三重微分断面積を測定した。この三重微分断面積を角度とエネルギーで積分することによって導出した(n,2n)反応断面積は、JENDL-3.3の評価値とよく一致し、このことから本手法の妥当性を確認した。Mnのような中重核や重核の(n,2n)反応では、通常は放出中性子間の角度相関が弱いので、数回の測定で(n,2n)反応断面積を得ることができる。本手法はまた、ベリリウムのような軽元素の複雑な核反応機構を解明するための角度相関中性子スペクトルの測定手段にも使える。
村田 勲*; 高木 智史*; 四間 公章*; 近藤 恵太郎; 宮丸 広幸*; 落合 謙太郎; 西谷 健夫; 今野 力
Proceedings of International Conference on Nuclear Data for Science and Technology (ND 2007), Vol.2, p.999 - 1002, 2008/05
(n,2n)反応は核融合炉設計において非常に重要な反応である。本研究では、核融合炉で最も重要な元素の1つであるベリリウムについて、(n,2n)反応により放出される2個の中性子を直接同時計数法によって測定し、角度相関スペクトルから(n,2n)反応断面積を導出した。実験では原子力機構FNS施設のビーム状DT中性子源を利用した。2台のNE213検出器を用い、放出される2個の中性子を高効率で測定するため、測定試料の非常に近くに検出器を配置した。得られた波高スペクトルはFORISTコードでアンフォールディングを行ってエネルギースペクトルに変換した。検出器の応答関数はSCINFULコードによって評価した。導出された(n,2n)反応の角度分布は、測定エネルギー範囲である800keV以上の比較では、JENDL-3.3がENDF/B-VIより良い一致を示した。800keV以上の(n,2n)反応断面積は双方のライブラリとも10%以内で実験値とよく一致した。
近藤 恵太郎; 村田 勲*; 落合 謙太郎; 久保田 直義; 宮丸 広幸*; 高木 智史*; 志度 彰一*; 今野 力; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 82(15-24), p.2786 - 2793, 2007/10
被引用回数:2 パーセンタイル:18.27(Nuclear Science & Technology)中性子入射による荷電粒子放出反応は発電炉を見据えた核融合炉開発において極めて重要である。核反応で放出された荷電粒子は材料中で直ちに停止するため局所的な核発熱を引き起こす。また材料の損傷や多量のガス放出の原因となる。これらの物理量を正確に評価するためには全反応断面積だけではなく、放出エネルギーと角度に対する微分情報、すなわち二重微分断面積が必要である。しかし、二次中性子に関する二重微分断面積に比べて二次荷電粒子に関する二重微分断面積は測定の困難さのために実験データの蓄積が進んでいない。筆者らは、特に核融合炉で多く用いられる軽元素について高精度で二重微分断面積を測定することを目指し、ビーム状中性子源を利用した荷電粒子測定手法を開発した。われわれはこれまでに十分な測定がなされていない軽元素に対する系統的な測定を進めている。特に提案されているブランケット及び第一壁の構成材料であるリチウム,ベリリウム,カーボン,酸素,フッ素,シリコンは重要度が高いと考えられる。われわれはこれまでにベリリウム,カーボン,フッ素についての測定を完了し、引き続きリチウム7のDDXc測定を計画中である。本会議では、われわれの測定データと3つの主要な評価済み核データ(JEF-3.1, ENDF-B/VI, JENDL-3.3)の現状と比較結果を示す。また、今後測定が必要と思われる元素についても評価済み核データの現状について簡単なレビューを述べる。
近藤 恵太郎; 村田 勲*; 落合 謙太郎; 宮丸 広幸*; 久保田 直義; 高木 智史*; 志度 彰一*; 高橋 亮人*; 西谷 健夫
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research A, 568(2), p.723 - 733, 2006/12
被引用回数:15 パーセンタイル:69.20(Instruments & Instrumentation)重水素-三重水素核融合反応(DT反応)による中性子誘起荷電粒子放出二重微分断面積(DDXc)は、核融合炉における核発熱や照射損傷を評価するために必要である。特に軽元素のDDXc精密測定のため、ペンシルビーム状中性源とシリコン表面障壁型検出器によるカウンターテレスコープを利用した新しい測定手法を提案した。この手法により、これまでに報告されている測定手法に比べ高いS/N比,良好なエネルギー・角度分解能,幅広い測定エネルギー,良好な粒子弁別能が実現された。測定手法の妥当性評価のため、Al(
)反応からの
粒子測定と
H(
)反応による弾性反跳陽子の測定を行った。この結果に基づき、本測定手法の妥当性と優位性を結論した。
近藤 恵太郎; 高木 智史*; 村田 勲*; 宮丸 広幸*; 高橋 亮人*; 久保田 直義; 落合 謙太郎; 西谷 健夫
Fusion Engineering and Design, 81(8-14), p.1527 - 1533, 2006/02
被引用回数:14 パーセンタイル:67.00(Nuclear Science & Technology)核融合炉開発においてDT中性子入射による荷電粒子放出二重微分断面積は、中性子の相互作用による核発熱や材料損傷の評価のため必要である。特にベリリウム,リチウム,カーボンのような軽核の核反応は複雑で、理論計算のみによる断面積評価は難しい。高精度の測定データが望まれており、新しい測定手法の開発が重要である。われわれは原研FNSのビーム状中性子源とシリコン半導体検出器を用いたE-Eカウンターテレスコープを利用した荷電粒子スペクトロメータを開発した。この測定手法を用いて
Be,
C,
F,
Alの放出荷電粒子測定を行った。
Alの測定データからこの測定手法の妥当性を確認した。
Beの
粒子放出二重微分断面積については、後方の放出角と低エネルギー部分において評価済み核データとの相違が見られた。
高木 健太郎*; Liang, N.*; Aguilos, M.*; Kira, R.*; 寺本 宗正*; 小林 真*; Sun, L.*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子
no journal, ,
様々な生態系を対象とした統合研究によって、寒冷な気候帯で、土壌炭素量が増えるほど、温暖化により土壌からのCO放出量が増えることが近年明らかにされており、北方林やツンドラ植生が巨大な炭素の放出源となることが懸念されている。そこで本研究では、土壌中に炭素が豊富に存在する、排水された泥炭上に成立している冷温帯針広混交林において、土壌を長期加温する野外操作実験を行い、加温処理に伴う微生物呼吸量の変化を明らかにすることを目的とした。5cm深地温を3
C上昇させる加温処理によって、微生物呼吸量は、最大年で146%増加し、10年経過後も増加率の上昇が継続していた。加温効果は既存の研究と比べてとても大きく、豊富に炭素が含まれている土壌では、加温効果は長期に渡って継続することが明らかになった。落葉・落枝量が多い年ほど、その年の加温効果(加温処理による微生物呼吸量の増加率)が大きくなる強い線形の関係が認められ、加温効果には土壌への当年の炭素供給量が大きな影響を与えていることが明らかになった。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 高木 健太郎*; 近藤 俊明*; 寺本 宗正*; 永野 博彦; 國分 陽子; 高木 正博*; 石田 祐宣*; 平舘 俊太郎*; et al.
no journal, ,
温暖化は、微生物による土壌有機炭素の分解を促進させ、土壌からの炭素放出量が増大することで、温暖化をさらに加速させる可能性が危惧されている。しかし、温暖化によって土壌炭素放出がどれだけ増加し、その増加がどのくらい持続するのかについては、土壌有機炭素の貯留・分解メカニズムに関する科学的知見が不足しており、不明のままである。本研究では、国立環境研究所が長期にわたって温暖化操作実験を展開し、土壌炭素放出の温暖化影響を評価している国内5つの森林サイトにおいて調査を実施した。各サイトの温暖化処理区と非処理区において、土壌有機炭素の貯留実態を、量, 質(土壌鉱物との結合形態、有機炭素の化学構造、滞留時間など), 分解の温度応答の3つの観点で分析評価し、比較した。本講演では、これらの結果に基づいて、長期にわたる温暖化が土壌に貯留する有機炭素にどのような変化をもたらし、また、温暖化によって土壌炭素放出の増大がいかに持続しうるかについて議論する。
Liang, N.*; Chiang, P.-N.*; Wang, Y.*; 寺本 宗正*; 高木 健太郎*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; Zhang, Y.*; Li, S.*; Fang, J.*; et al.
no journal, ,
Asian terrestrial ecosystems occupy vast areas from tropical forests and wetlands in Southeast Asia to boreal ecosystems in northeastern Asia, and as well as alpine ecosystems on the Tibet Plateau. These ecosystems make a significant contribution to the regional and global carbon budgets. Accurately quantifying CO/CH
balances is critical for setting targets for their emission reductions and to identify and promote effective mitigation strategies. Since the mid-1990s, we have been installing multichannel automated chamber systems boreal ecosystems in Siberian and Alaska, temperate forests and grassland in East Asia, wetlands and permafrost on the Tibetan Plateau, and subtropical and tropical forests in Southeast Asia, for continuous measurements of forest floor CO
budget as well as net ecosystem production. Among the sites, eight ecosystems are using for conducting soil warming experiments. This talk will present CO
/CH
fluxes and their controls of representative Asian terrestrial ecosystems with the chamber network.
高木 健太郎*; Liang, N.*; Aguilos, M.*; Rythi, K.*; 寺本 宗正*; 小林 真*; Sun, L.*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子
no journal, ,
We conducted a soil warming experiment in a cool-temperate forested peatland in northern Japan during snow-free seasons of 2007-2017, to determine the soil warming effect on the heterotrophic respiration rate. Soil CO efflux was measured with a 15-channel automated chamber system, which was divided into three groups each with five replications for the control (unwarmed-not trenched), unwarmed-trenched, and warmed-trenched treatments. Soil warming increased the heterotrophic respiration rate having a increasing trend in the annual mean enhancement ratio. These annul mean enhancement ratio was linearly correlated with the current year's litterfall supply, which shows that the litterfall is quickly decomposed as the labile substrate for respiration and the amount becomes a limiting factor for the enhancement. The warming also sustained enhancement of the temperature sensitivity, Q
, and the basal respiration at 10
C, R
, during the decadal experiment. Accordingly, warming enhanced not only the heterotrophic respiration rate itself but also its Q
and R
in forests with high substrate availability in the soil, without acclimation by continuous warming.
Liang, N.*; 高橋 善幸*; 寺本 宗正*; Zhao, X.*; 冨松 元*; 高木 健太郎*; 平野 高司*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; et al.
no journal, ,
アジアの陸域面積は全陸域面積のわずか30%を覆うにすぎないが、世界人口の60%強の生活を支えている。近年、気候変動およびそれに伴う台風と干ばつなどが、人間社会だけではなく、自然生態系にも著しく影響を与えている。また、アジア諸国における経済発展によって、この地域の陸域生態系に対する撹乱の影響も、深刻さを増している。本研究では、(1)衛星データによるアジア熱帯域における森林火災の現状把握とモデルによる気候変動下の森林火災増加と熱帯泥炭流出を評価する。(2)GOSATなどの衛星観測により気候変動によるアジア陸域生態系サービス劣化をマクロ的に評価する手法を検討する。(3)世界最大規模のチャンバー観測ネットワークを用いて、北海道の最北端から赤道付近のマレーシアまでのアジアの広域トランセクトに沿って、代表的な陸域生態系における土壌呼吸等の観測により現行の気候変動と生態系機能の変化の関係を評価するとともに、10ヶ所の森林において人工的な温暖化操作実験を行い、気候変動に対する森林土壌環境への影響や応答を評価する。(4)これらから、アジアの森林への気候変動影響を評価し、適応策を検討する。
小嵐 淳; 安藤 麻里子; 高木 健太郎*; 近藤 俊明*; 寺本 宗正*; 永野 博彦; 國分 陽子; 高木 正博*; 石田 祐宣*; 平舘 俊太郎*; et al.
no journal, ,
土壌は、陸域最大の炭素貯蔵庫として機能し、その巨大な炭素貯留能をもって、地球規模での炭素循環の安定化に大きく貢献している。近年急速に進行する地球温暖化は、土壌に貯留する有機炭素の微生物による分解を促進することで、土壌からの二酸化炭素放出量を増大させ、その結果、温暖化がさらに加速する可能性が危惧されている。このような現象とその影響の程度を正しく評価するためには、土壌における有機炭素の蓄積や動態、ならびにそれらの温暖化に対する応答についての定量的な理解が不可欠である。本研究では、長期にわたって温暖化操作実験を実施している国内5か所の森林サイトにおいて、表層土壌における有機炭素の蓄積・動態のサイト特性を、貯留量の深さプロファイル、土壌鉱物との結合形態、有機炭素の化学構造、代謝回転時間などの観点から分析評価し、サイト特性と土壌呼吸速度(土壌からの二酸化炭素放出速度)やその温度応答との関連性を調べた。本講演では、これらの結果に基づいて、土壌呼吸速度やその温度応答を規定する要因や温暖化による土壌炭素放出増大の持続性について議論する。
高木 健太郎*; Liang, N.*; Aguilos, M.*; Rythi, K.*; 寺本 宗正*; Sun, L.*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子
no journal, ,
北海道大学天塩研究林内に人工的に造林した30年生の針広混交林において、2007年から2019年の無積雪期間に土壌加温操作と微生物呼吸量の1時間毎連続観測を行った。5cm深地温を約3C上昇させる加温処理によって、微生物呼吸量は最大年で46%/
C増加し、12年経過後も増加率の上昇が継続していた。加温効果は既存の研究と比べてとても大きく、豊富に炭素が含まれている土壌では、加温効果は長期に渡って継続することが明らかになった。
近藤 俊明*; 寺本 宗正*; 高木 健太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 市井 和仁*; 高木 正博*; 石田 祐宣*; 山貫 緋称*; Liang, N.*
no journal, ,
温暖化や土地利用転換に伴う土壌微生物相の変化は、地球規模の温室効果ガス収支にも多大な影響を及ぼすため、その評価は気候変動の将来予測において重要である。しかしながら、従来の培養法を用いた土壌微生物相評価では、僅かな土壌中に数億個体が存在する土壌微生物の環境変動に対する応答を正確に把握することは極めて困難であった。本発表では、アジアモンスーン域の多様な森林・農地生態系を網羅する国内外のチャンバー観測サイトで採集した土壌を対象に、遺伝解析手法を用いて、(1)土壌微生物量、(2)土壌微生物の種組成、および(3)土壌微生物機能を把握することで、温暖化や土地利用転換に伴う環境変動に対して土壌微生物相がどのような応答を示し、結果として土壌を介した温室効果ガス収支がどう変動するのかについて議論する。
Sun, L.*; 平野 高司*; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 矢崎 友嗣*; 高木 健太郎*; 石田 祐宣*; 高木 正博*; 近藤 俊明*; 小嵐 淳; et al.
no journal, ,
森林生態系は陸域生態系の約30%を占めており、炭素吸収源として大きな役割を担っている。近年の気候変動で頻発した台風や乾燥などの自然災害が森林生態系の炭素収支を大きく影響すると指摘されたが、攪乱後の植生遷移に伴って炭素動態の定量化及び変動特性に関してはまだ未解明の点が多い。そこで本研究では、2001年により苫小牧国有林にある45年生のカラマツ人工林における国立環境研究所が独自に開発した大型自動連続開閉式チャンバーシステムを用いて総土壌呼吸,微生物呼吸及び下層植生の炭素収支の連続観測を開始した。2004年に台風18号を受けた後にも、チャンバーシステムを更新しながら、攪乱後の植生遷移に伴って生態系炭素収支の各プロセスの長期動態を観測してきた。本発表は得られたデータに基づき台風攪乱前後の総土壌呼吸,微生物呼吸及び下層植生の長期変動とその要因を定量的に評価する。
近藤 俊明*; 寺本 宗正*; 中根 周歩*; 高木 健太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 高木 正博*; 石田 祐宣*; Liang, N.*
no journal, ,
The carbon stored belowground is transferred to the atmosphere by microbial decomposition of soil organic carbon. This phenomenon is called as soil respiration, and the global soil respiration is estimated at 98 12 GtC, which is far more than that released by annual fossil-fuel CO
emissions. Because the amount of soil respiration increases with a rise in temperature mainly due to accelerated microbial decomposition of soil organic carbon, several simulations suggested that global warming-induced increases in soil respiration represent an important positive feedback loop to climate change. On the other hand, the deceleration of soil respiration under warming condition, i.e. negative feedback, was observed in some field experiments. Thus, the magnitude and timing of this feedback still remain unclear, because of the difficulty in measuring the response of diverse and huge soil microbiota to global warming. In this presentation, we measure the amount and species composition of soil microbiota in five soil warming experiment sites throughout Japan by using the Next Generation Sequencing, and discuss the response of soil microbiota to global warming.
近藤 恵太郎; 高木 智史*; 四間 公章*; 志度 彰一*; 村田 勲*; 宮丸 広幸*; 落合 謙太郎; 久保田 直義; 西谷 健夫
no journal, ,
14MeV中性子入射による放出粒子の二重微分断面積は中性子輸送計算に不可欠であり、核発熱やトリチウム生成量,材料損傷の評価を行うために正確なデータが必要である。しかし現状では、依然として整備が不十分で精度に問題のあるデータが存在し、その主な原因は測定が困難なことに由来する実験データの不足にあった。われわれは従来の等方中性子源を用いた測定の困難性を打開するため、ペンシルビーム状にコリメートした中性子を利用した2つの新しい測定手法を開発した。1つは(n,2n)反応によって放出される2つの中性子を直接2台のNE213検出器で同時測定し、そのエネルギースペクトルと二粒子の角度相関を得る手法である。これまでに核融合炉において極めて重要であるベリリウムの測定を完了し、後方の放出角度において評価済核データの過小評価を示唆する結果が得られた。現在は評価済み断面積に問題があることがわかっているジルコニウムの測定を進行中である。もう1つは(n,p), (n,)反応等によって放出される荷電粒子を半導体検出器を用いて測定し、そのエネルギースペクトルと放出角度分布を得る手法である。これまでに核融合炉において第一壁やブランケットの候補材料であるベリリウム,炭素,フッ素についてのデータを取得した。これらの測定結果から、いずれの元素についても評価済み核データとの不一致が大きい,データが格納されていないなど、問題点が多いことが明らかになった。
安藤 麻里子; 小嵐 淳; 高木 健太郎*; 近藤 俊明*; 寺本 宗正*; 永野 博彦; 國分 陽子; 高木 正博*; 石田 祐宣*; Liang, N.*
no journal, ,
森林の土壌有機物に含まれる炭素及び窒素の安定同位体比は深度とともに上昇することが数多く報告されている。安定同位体比の分布には様々な要因が関与するものの、その変動は有機物の生成・分解における同位体効果によって起きることから、異なる森林における安定同位体比の鉛直分布の違いは土壌有機物の蓄積・分解状況の違いを反映していると考えられる。本研究では、北海道から九州の気候や植生の異なる5つの森林を対象として、深度別に土壌を採取して比重分画を行い、炭素・窒素濃度及び安定同位体比を測定するとともに、放射性炭素を測定することで、各森林における土壌有機物の同位体比分布を調査した。土壌有機物の炭素及び窒素安定同位体比は、北海道の泥炭土壌サイト以外では全て深度とともに上昇したが、その変化量は平均気温及び放射性炭素で評価した有機炭素の滞留時間と関連を示した。泥炭土壌サイトでは、土壌層内で安定同位体比の明確な変化はなく、分解の進んでいない有機物が表層に長期間堆積していることが示された。炭素及び窒素の量と同位体測定を組み合わせることで、土壌有機物の蓄積状況の地域特性を示すことができた。
山貫 緋称*; 市井 和仁*; 山本 雄平*; 小槻 峻司*; Sun, L.*; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 永野 博彦*; 平野 高司*; 高木 健太郎*; et al.
no journal, ,
Soil respiration (SR) is one of the most essential components of soil carbon cycles. Many observation stations directly measure SR using chambers. In this study, we updated our data-driven estimation of SR across Japan with observation data (eight sites across Japan), remote sensing data (MODIS land products), and random forest regression. As soil meteorological variables, we used soil temperature and moisture by a process-based model, the Simple Biosphere model including Urban Canopy (SiBUC). Our estimation shows a reasonable performance with R = 0.72 for the in-situ model and R
= 0.73 for remote sensing and in-situ combined model on average. Based on the established model, we also produced upscaled estimations of SR across Japan with a spatial resolution of 1 km from 2000 to 2020.
市井 和仁*; 山貫 緋称*; Liang, N.*; 寺本 宗正*; 高橋 善幸*; Zeng, J.*; 高木 健太郎*; 平野 高司*; 石田 祐宣*; 高木 正博*; et al.
no journal, ,
陸域生態系のCO等のフラックスの推定には、近年はAsiaFluxやFLUXNETなど観測ネットワーク網や衛星リモートセンシングデータの充実により、観測データに基づく推定(データ駆動型(data-driven)の推定)が可能になってきた。一方、「土壌呼吸」に関しては、様々な課題を抱えており、広域推定は十分には実現されていない。国立環境研究所らのグループでは統一された観測手法・データ処理手法によるアジア域のチャンバー連続観測ネットワークを構築しており課題を解決できる可能性がある。そこで、我々は、衛星データと機械学習を用いることで土壌呼吸の広域推定を試みている。まずは、日本を対象にした8観測サイトのデータを用いた解析を進めている。本発表では、(1)AsiaFluxやFLUXNETデータベースと衛星観測データを利用して機械学習法を適用することによるCO
フラックス(総一次生産量,生態系CO
交換量)推定手法の紹介と、(2)土壌呼吸ネットワークと衛星観測データと機械学習を用いた土壌呼吸の広域推定と既存のデータセットとの比較解析について紹介し、今後の課題についても議論したい。
近藤 俊明*; 寺本 宗正*; 高木 健太郎*; 小嵐 淳; 安藤 麻里子; 高木 正博*; 石田 祐宣*; Liang, N.*
no journal, ,
土壌中の有機炭素は土壌微生物による分解過程を経てCOとして大気中に放出(微生物呼吸)される。温暖化に伴う微生物呼吸量の増加は地球規模の炭素収支に多大な影響を及ぼすため、その評価は気候変動の将来予測において重要である。本研究では、温暖化操作実験のもと、微生物呼吸が長期に渡って測定されている5つの森林において、遺伝解析を用いて、(1)土壌微生物量、および(2)種組成の変化など、土壌微生物動態を把握することで、温暖化に対して土壌微生物相がどのような応答を示し、結果として微生物呼吸がどう変動するのかといった、一連の微生物呼吸プロセスの解明を行った。その結果、(1)日本の森林生態系では、温暖化環境下においても微生物呼吸量の減少をもたらすと考えられる土壌微生物種の消失や土壌微生物量の減少が生じないこと、(2)一方で二次的な森林においては、温暖化に応じて多様な有機物の分解に関わる放線菌や硝酸菌の出現頻度が増加することが明らかとなった。つまり、土壌微生物相の高い温度耐性と、温暖化に応じた特定の土壌微生物グループの出現頻度の増加が、温暖化効果の長期維持(土壌呼吸量の増加)の要因になっていることなどが示唆された。