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渡辺 力*; 高木 毬衣*; 下山 宏*; 川島 正行*; 小野寺 直幸; 稲垣 厚至*
Boundary-Layer Meteorology, 181(1), p.39 - 71, 2021/10
被引用回数:6 パーセンタイル:47.35(Meteorology & Atmospheric Sciences)速度場とスカラー場に対する二つの分布関数を用いた格子ボルツマン法を用いて、植生キャノピー内およびその上部における、パッシブスカラを含む流れのラージエディ・シミュレーションを実施した。植物キャノピーが分散型シンクとして機能するトップダウンスカラーの場合、キャノピー上面のスカラー流束は、はるか上方から発生するキャノピーへ侵入する流れ(スイープ)により決定される。一方で、キャノピーからスカラーが放出される現象は、キャノピー上部で発生する渦により引き起こされる。本論文では、この様な渦の発生は、キャノピー上方からの大規模なスイープと、キャノピー内部の幅広い範囲での放出現象が接近することで引き起こされることを明らかとした。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 高木 靖彦*; 中村 智樹*; 廣井 孝弘*; 松岡 萌*; et al.
Nature Astronomy (Internet), 5(3), p.246 - 250, 2021/03
被引用回数:43 パーセンタイル:96.93(Astronomy & Astrophysics)2019年4月「はやぶさ2」ミッションは、地球に近い炭素質の小惑星(162173)リュウグウの人工衝撃実験を成功させた。これは露出した地下物質を調査し、放射加熱の潜在的な影響をテストする機会を提供した。はやぶさ2の近赤外線分光器(NIRS3)によるリュウグウの地下物質の観測結果を報告する。発掘された材料の反射スペクトルは、表面で観測されたものと比較して、わずかに強くピークがシフトした水酸基(OH)の吸収を示す。これは、宇宙風化や放射加熱が最上部の表面で微妙なスペクトル変化を引き起こしたことを示している。ただし、このOH吸収の強度と形状は、表面と同様に、地下物質が300Cを超える加熱を経験したことを示している。一方、熱物理モデリングでは、軌道長半径が0.344AUに減少しても、推定される掘削深度1mでは放射加熱によって温度が200Cを超えて上昇しないことが示されている。これは、リュウグウ母天体が放射加熱と衝撃加熱のいずれか、もしくは両方により熱変化が発生したという仮説を裏付けている。
北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; 松岡 萌*; et al.
Science, 364(6437), p.272 - 275, 2019/04
被引用回数:259 パーセンタイル:99.73(Multidisciplinary Sciences)小惑星探査機はやぶさ2のターゲット天体であるリュウグウは、始原的な炭素質物質で構成されていると考えられている。はやぶさ2に搭載された近赤外分光計(NIRS3)によって、天体の表面組成を得た。天体全体の観測で、弱く細い吸収が2.72ミクロンに確認され、OHを含む鉱物の存在を示している。弱いOH吸収と低いアルベドは熱やショックによって変質を受けた炭素質コンドライトに似ている。OHバンドの位置はほとんど一定であり、衝撃片の集合によって形成されたリュウグウは組成的に均質であることを示している。
片山 尚幸*; 内田 正哉*; 橋爪 大輔*; 新高 誠司*; 松野 丈夫*; 松村 大樹; 西畑 保雄; 水木 純一郎; 竹下 直*; Gauzzi, A.*; et al.
Physical Review Letters, 103(14), p.146405_1 - 146405_4, 2009/10
被引用回数:59 パーセンタイル:88.48(Physics, Multidisciplinary)三角格子を持ち、価電子結合固体状態を持つことで知られるLiVSとLiVSeについて研究を行った。金属と強相関系絶縁体の境目にあるLiVSは、金属から価電子結合固体絶縁体への転移を305Kにて示した。金属-絶縁体転移の近傍で価電子結合固体状態が観測されたことは、価電子結合固体状態を考える際の電子の遍歴性の重要さを示している。高温金属層に見られる擬ギャップ状態についても議論を行った。また、LiVSeは2Kまで金属状態であった。
玉井 広史; 松川 誠; 栗田 源一; 林 伸彦; 浦田 一宏*; 三浦 友史; 木津 要; 土屋 勝彦; 森岡 篤彦; 工藤 祐介; et al.
Plasma Science and Technology, 6(1), p.2141 - 2150, 2004/02
被引用回数:2 パーセンタイル:6.49(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60定常高ベータ化計画(JT-60改修計画)の最重要課題は高ベータ,臨界クラスのパラメータを持つ高性能プラズマの100秒程度以上の維持を実証することである。このため、高ベータプラズマを達成するためのプラズマパラメータや運転シナリオ,制御手法の検討を行うとともに、超伝導磁場コイルの要素技術の開発を始め、放射線遮蔽や真空容器等の設計検討及び試験開発を行い、その成立性を確認した。本発表は、以上の物理・工学設計と試験開発の進捗状況を詳述する。
石田 真一; 阿部 勝憲*; 安藤 晃*; Chujo, T.*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 後藤 誠一*; 花田 和明*; 畑山 明聖*; 日野 友明*; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.606 - 613, 2003/07
原型炉の経済性と環境適合性のさらなる向上を図るため、大学等との連携協力によりJT-60を超伝導トカマクへ改修する計画を推進している。目的は、原型炉と同様に強磁性体である低放射化フェライト鋼をプラズマの近くに設置して、高ベータで自発電流割合が高く、高度なダイバータ熱粒子制御を持ち、ディスラプション頻度の少ない定常運転を実現することである。JT-60の既存設備を最大限活用し、新たに導入する超伝導トロイダル及びポロイダル磁場コイルを用いて、主半径2.8m,プラズマ電流4MA,トロイダル磁場3.8Tの高非円形かつ高三角度配位のシングルヌル・プラズマの100秒運転を行う。原型炉の設計例から設定された高い達成目標の実現を目指し、高ベータプラズマ制御,高性能・高自発電流プラズマ制御,ダイバータ熱粒子制御、及びフェライト鋼のプラズマ適合性の実証という重要課題に取り組むことができるよう設計を行った。
石田 真一; 阿部 勝憲*; 安藤 晃*; Cho, T.*; 藤井 常幸; 藤田 隆明; 後藤 誠一*; 花田 和明*; 畑山 明聖*; 日野 友明*; et al.
Nuclear Fusion, 43(7), p.606 - 613, 2003/07
被引用回数:33 パーセンタイル:69.14(Physics, Fluids & Plasmas)原型炉の実現に向けて経済性と環境適合性の向上を図るため、大学等との連携協力によりJT-60を超伝導トカマクへ改修する計画を推進している。目的は、原型炉で想定されているように、強磁性体である低放射化フェライト鋼をプラズマの近くに設置して、高ベータで自発電流割合が高く、高度なダイバータ熱粒子制御をもち、ディスラプション頻度の少ない定常運転を実現することである。新たに導入する超伝導トロイダル及びポロイダル磁場コイルを用いて、主半径2.8m,プラズマ電流4MA,トロイダル磁場3.8Tの高非円形かつ高三角度配位のシングルヌル・プラズマの100秒運転を行う。既存のJT-60設備を最大限に生かし、原型炉の設計例から設定された高い達成目標の実現に向けて、高ベータプラズマ制御,高性能・高自発電流プラズマ制御,ダイバータ熱粒子制御、及びフェライト鋼のプラズマ適合性の実証という克服すべき課題に取り組むための設計を行った。
小澤 正基; 鈴木 達也*; 篠田 佳彦; 高木 直行*
no journal, ,
究極的な放射性廃棄物の低減を目指した新核燃料サイクル戦略,先進オリエントサイクル研究、を進めている。この新戦略は全アクチノイドや長寿命核分裂生成物の分離・変換に、稀少元素(原子力レアメタル)のリサイクル(分離・利用)も加えた研究となっている。本論では主として希土類元素に焦点を当て、その収量や放射化学特性,4f/5f元素のインター及びイントラグループ分離研究を論じ、加えて希土類産業廃棄物であるUやThの燃焼処理やその新燃料としての妥当性、及び能動的稀少元素生産システムとしての核分裂炉の利用可能性について論ずる。
片山 昌治*; 高松 邦吉; 沢 和弘; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
豊田通商及び原子燃料工業との共同研究を通して、今後、自動車を代表とする日本のハイテク産業に役に立つ高温ガス炉の新たな利用として、豊田通商を中心とした(1)HTTRを用いたシリコンドーピング,(2)特定希土類の核変換による物質創成技術の開発、さらに原子燃料工業を中心とした(3)トリウムを含む新型燃料の利用の技術開発について検討を進めることとした。具体的には、(1)回転照射及び軸方向に濃度の異なるボロンフィルターを適用することで径・軸方向ともに均一度の高いSi半導体を製造可能であること、(2)相場価格と比較するためのSmとLuの生成コスト、(3)照射ブロックにおける燃料核をトリウム80%、ウラン20%の混合燃料核とした場合、許認可上の反応度欠損上限である1.8%dk/kに比べ小さく、HTTRへの装荷・運転が可能であること等がわかった。将来、ハイテク産業と原子力産業が一体となって、地球温暖化対策、資源の有効利用等で、持続可能な社会の構築に貢献できる可能性があり、本報では全体概要を紹介する。
大岡 靖典*; 田中 秀樹*; 山崎 正俊*; 後藤 実; 植田 祥平; 高木 直行*; 片山 昌治*
no journal, ,
高温工学試験研究炉(HTTR)を利用するシリコンドーピングによる物質創成や、希土類資源調達に伴い発生するトリウムを核燃料として有効に利用することを検討している。その中で、新型燃料としてトリウムを高温ガス炉の燃料に利用することを検討した。本報では、HTTRを用いた燃料照射試験における核的評価,燃料製造についての検討結果を報告する。
篠原 正憲; 柴田 大受; 片山 昌治*; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
高温工学試験研究炉(HTTR)を用いた核変換による半導体及び希土類元素の製造の実現可能性について照射方法を検討した。その結果、Si半導体を製造するためには、短時間照射のためラビット照射設備のようなSi半導体の炉外への出し入れが可能な設備を設置することが望ましい。また、長時間の照射が必要である希土類元素の核変換には、I-I型材料照射試験用設備及びバスケット型照射試験用設備が有望である。
後藤 実; 植田 祥平; 片山 昌治*; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
高温ガス炉燃料の多様化に関するHTTRの利用可能性の検討を、トリウム燃料の利用に着目して行った。トリウム燃料の利用においては、その核特性を精度よく計算することが重要な課題の一つである。黒鉛減速体系のトリウム炉心の核特性に関しては、臨界集合体のデータが測定され、計算結果との比較が報告されている。一方、実機の高温ガス炉のトリウム装荷炉心に関する核特性に関しては公開されたものがほとんどない。本報では、トリウム燃料を装荷した高温ガス炉の核特性計算の検証に用いることを目的とし、高温工学試験研究炉(HTTR)を用いたトリウム炉心の核特性データの測定について述べる。
片山 昌治*; 高松 邦吉; 沢 和弘; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
豊田通商,東海大学,原子燃料工業及び原子力機構は、高温ガス炉の燃料の多様化に関して、高温工学試験研究炉(HTTR)の利用の可能性を検討した。具体的には、シリコンドーピング,特定希土類の核変換による物質創成技術の開発、及びトリウムを含む新型燃料の利用であり、自動車産業と高温ガス炉を結ぶ新たな利用の可能性が見いだされた。
植田 祥平; 後藤 実; 片山 昌治*; 高木 直行*; 大岡 靖典*; 山崎 正俊*
no journal, ,
高温ガス炉燃料の多様化に資するため、トリウムを高温ガス炉燃料として利用する場合の健全性や照射挙動の確認を目的として、高温工学試験研究炉(HTTR)を利用したトリウム燃料の照射試験を計画し、試験方法や核特性評価を検討した。日本原子力研究開発機構のHTTR原子炉並びに原子燃料工業が所有する燃料製造施設では許可上、ウラン・トリウム混合酸化物燃料の取扱いが可能である。照射試験においては、燃料破損検出装置(FFD)による燃料健全性の連続監視を行うとともに、照射後に取り出した試験燃料は、ホットラボ施設において健全性評価、照射量評価が可能である。トリウム:ウラン混合比4:1、ウラン235濃縮度20%のトリウム燃料を用いたピンインブロック型試験燃料体を燃料カラムへ最大3体装荷する照射試験について、トリウム燃料の照射量の予測評価を行った結果、原子炉出力30MWで照射期間660日、燃焼度約21GWd/tのトリウム照射が可能であると評価された。
Takir, D.*; 北里 宏平*; Milliken, R. E.*; 岩田 隆浩*; 安部 正真*; 大竹 真紀子*; 松浦 周二*; 荒井 武彦*; 仲内 悠祐*; 中村 智樹*; et al.
no journal, ,
宇宙航空研究開発機構(JAXA)の探査機・サンプルリターンミッション「はやぶさ2」は、地球近傍小惑星Ryuguに到着した。この小惑星は、原始的な炭素質天体に分類される。ここでは、「はやぶさ2」探査機に搭載された近赤外線分光器(NIRS3)の最近の観測結果を報告する。この観測は、リュウグウの表面組成の直接測定と、リターンサンプルのコンテクストを提供する。NIRS3は、観測された表面全体に2.72マイクロメートルを中心とする弱く狭い吸収特性を検出した。この吸収特性は、OHを含む鉱物の存在に起因する。また、NIRS3の観測により、リュウグウは探査機による近接観測で最も暗い天体であることが明らかになった。OHの強度と低いアルベドから、熱衝撃変成された、あるいは炭素に富む宇宙風化した始原的な水和炭素質コンドライトと一致する。