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土谷 邦彦
日本原子力学会誌ATOMO, 65(6), p.393 - 397, 2023/06
「2050年カーボンニュートラル」の目標達成に向けて、経済社会の変革に係る施策について検討する「GX(グリーントランスフォーメーション)実行会議」において、原子力発電の本格活用に向け、原子力発電所の再稼働や新増設等を進める姿勢が鮮明に示された。我が国の原子力開発やその人材育成を担う「研究基盤施設である材料試験炉」は重要な役割を果すものであり、原子炉用燃料・材料の開発に貢献してきた材料試験炉(JMTR)に蓄積された照射/照射後試験技術を紹介する。
関 美沙紀; 藤田 善貴; 藤原 靖幸*; Zhang, J.*; 吉永 尚生*; 佐野 忠史*; 堀 順一*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; et al.
原子力バックエンド研究(CD-ROM), 29(1), p.2 - 9, 2022/06
材料試験炉(JMTR)の炉心構造材はステンレス鋼の他、アルミニウム(Al)やベリリウム(Be)が多く使用されている。廃止措置に当たって、放射性雑固体廃棄物(廃棄体)を作製するが、その埋設基準はドラム缶内に健全性を損なう物質を含まないことおよび最大放射能を超えないことが要求されている。とくに、Alはコンクリート等のアルカリ物質と反応し水素を発生することから、固化体の強度低下、内圧上昇による破損等が課題となっている。本研究では、バイヤー法を応用したAlの安定化処理技術の確立を目的とし、コールド試験にて基本的な処理工程を確立した。また、京都大学研究用原子炉(KUR)にてAl試験片を中性子照射し、本処理工程によるAl中に含まれる添加元素や不純物元素で生成する放射性核種の除去特性を調査した。結果として、本処理工程によりAlをアルミナ(AlO
)に変換可能であり、通常の放射性廃棄物の処理方法と同様にセメント系充填剤によって固化できる見通しが得られた。さらに、不溶解残渣物の除去により、廃棄物の放射能量を1
2桁減らすことができることが示唆された。
藤田 善貴; 新関 智丈*; 福光 延吉*; 有賀 克彦*; 山内 悠輔*; Malgras, V.*; Kaneti, Y. V.*; Liu, C.-H.*; 籏野 健太郎*; 末松 久幸*; et al.
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 95(1), p.129 - 137, 2022/01
被引用回数:5 パーセンタイル:71.6(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、異なるpHの様々なモリブデン酸イオン種を含む溶液に浸したアルミナの各種表面分析(FTIR, XPS,ラマン分光法)により、アルミナへのモリブデン酸イオンの吸着メカニズムを考察した。得られた結果は、モリブデン酸イオンを含む酸性溶液にアルミナを浸すと、表面に存在するヒドロキシル基が除去されて正に帯電したサイトが生成され、モリブデン酸イオン(MoOまたはAlMo
O
H
)が静電相互作用によって吸着されることを示した。アルミナは酸性溶液にわずかに溶解してAlMo
O
H
を形成し、これはMoO
よりも容易に脱離する。さらに、アルミナ表面を多くの-OH基で濃縮し、Mo溶液を最適化してアルミナへMoO
としてモリブデン酸イオンを吸着させることで、アルミナのMo吸着および脱離特性を向上できる可能性が示唆された。これらの発見は、医療用放射性同位体(
Mo/
Tc)ジェネレータ用の、より効率的で安定したアルミナベースのMo吸着剤の開発に貢献できる。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 鈴木 達也*; 吉永 尚生*; 堀 順一*; 末松 久幸*; 土谷 邦彦
Journal of Physics; Conference Series, 2155, p.012018_1 - 012018_6, 2022/01
モリブデン-99(Mo)の娘核種であるテクネチウム-99m(
Tc)は、放射性医薬品で最も使用される放射性同位元素である。核不拡散や核セキュリティ等の観点から、放射化法((n,
)法)による
Mo製造技術開発が進められている。(n,
)法によって生成される
Moの比放射能は極めて低いため、(n,
)
Moをジェネレータに適応させるには高いMo吸着容量を有するAl
O
の開発が必要不可欠である。本研究では、材料が異なる3種類のAl
O
を準備し、静的および動的吸着でのジェネレータへの適応性を比較した。MoO
ペレット片(1.5g)は、京都大学研究用原子炉(KUR)を使用して5MW, 20分間照射した。照射後、MoO
ペレット片は6Mの水酸化ナトリウム水溶液で溶解し、動的吸着条件として1gのAl
O
を充填したPFAチューブ(
1.59mm)に添加し、生理食塩水によりミルキングした。動的吸着でのAl
O
の
Mo吸着容量は、静的吸着と比較してわずかに減少した。
Tc溶出率は、動的吸着では1.5mLのミルキングで約100%溶出されたが、静的吸着では約56-87%しか溶出されなかった。また、動的吸着では
Mo/
Tc比が、静的吸着と比較して大幅に減少した。以上より、
Tc溶出特性は、Moの吸着方法(カラムの形状,線形流量など)に大きく影響されることが示唆された。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 大伍 史久; 井手 広史; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2020, P. 136, 2021/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)による
Mo製造の研究開発が進められている。放射化法で生成される
Moの比放射能は極めて低いことから、娘核種である
Tcを濃縮するためメチルエチルケトン(MEK)を用いた溶媒抽出法に着目した。照射ターゲットであるMoO
ペレットは、長時間照射すると還元されることが分かっている。本試験では、MoO
が還元した際に酸化剤としてNaOClを使用する可能性を考慮し、MoO
を溶解して得られたモリブデン酸ナトリウム水溶液中へのNaCl添加の有無が
Tc回収率に及ぼす影響を調べた。その結果、NaClはMEKへの
Tc抽出率を低下させる可能性が示唆された。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 北河 友也*; 松倉 実*; 堀 順一*; 鈴木 達也*; 土谷 邦彦
Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry, 327(3), p.1355 - 1363, 2021/03
被引用回数:1 パーセンタイル:19.33(Chemistry, Analytical)表面構造の異なる3種類のAlO
を準備し、京都大学研究用原子炉(KUR)で照射した[
Mo]MoO
を用いて、
Mo吸着/
Tc溶離特性を調べた。
Moを含むpHの異なる溶液中でAl
O
にモリブデン酸イオンを吸着させた結果、pHが低いほどAl
O
のMo吸着容量が高くなることが明らかになった。次に、モリブデン酸イオンを吸着したAl
O
の
Tc溶離特性を生理食塩水を流すことによって調べた。その結果、
Mo吸着及び
Mo脱離特性はAl
O
の比表面積に影響され、
Tc溶離特性はAl
O
の結晶構造に影響されることが示唆された。
Benu, D. P.*; Earnshaw, J.*; Ashok, A.*; 土谷 邦彦; Saptiama, I.*; Yuliarto, B.*; Suendo, V.*; Mukti, R. R.*; 福光 延吉*; 有賀 克彦*; et al.
Bulletin of the Chemical Society of Japan, 94(2), p.502 - 507, 2021/02
被引用回数:11 パーセンタイル:71.99(Chemistry, Multidisciplinary)本研究は、TiO含有量を変化させたメソポーラスAl
O
-TiO
複合材料の製造開発及び医療用放射性同位元素の製造のためのMo吸着剤の性能向上のために行った。TiO
の含有量の増加は、元の形態を変えることなく、Al
O
表面へのより多くのTiO
ナノ粒子の形成を促進する。開発したAl
O
-2.5%Ti及びAl
O
-5%Tiのアルミナ試料はアモルファスであったが、Al
O
-10%Tiでは、TiO
がAl
O
表面に被覆されていた。一方、TiO
の添加により、比表面積はAl
O
の177m
/gからAl
O
-5%Ti試料では982m
/gまで大幅に増加した。これにより、Mo吸着量は、Al
O
で37.1mg/g、Al
O
-2.5%Tiで39.0mg/g、Al
O
-10%Tiで40.5mg/gであったが、Al
O
-5%Tiはよりも高い44.5mg/gを示した。これにより、従来のAl
O
の吸着能力と比較して、Al
O
-TiO
複合材料の吸着能力の向上に見通しを得た。
神永 雅紀; 楠 剛; 土谷 邦彦; 堀 直彦; 那珂 通裕
IAEA-TECDOC-1943, p.45 - 56, 2021/02
JMTRの運転は、2006年8月に点検と見直しを行うために一旦停止され、その後の議論によりJMTRの改修と運転再開が最終的に決定された。改修工事は2007年度から開始され、2011年3月に終了したが、2010年度末(2011年3月)に発生した東日本大震災によりJMTRの再稼働前の機能試験が遅れた。一方、2011年の地震を考慮した安全性評価に基づき、2013年12月18日に原子力規制委員会(NRA)により、試験研究炉に対する新規制基準が定められた。新規制基準では、地震,津波に対する見直し、自然現象の考慮、及び燃料損傷を防止するための設計基準事故を超える事故(BDBA)の考慮が含まれている。新規制基準へ対応するための解析評価は、タイムリーかつ集中的に実施され、原子力規制委員会への設置変更許可申請は2015年3月27日に提出された。申請書提出後、JMTR原子炉建家の耐震性評価は、基準地震動を810gaと仮定して実施した。その結果、原子炉建家及び原子炉プール壁の耐震補強工事が必要であることが判明した。耐震補強に係る検討の結果、耐震補強を行い新規制基準に適合させるためには、少なくとも7年間の補強工事期間と約400億円の費用が必要であることが明らかになった。同時に、当初予定していた年間8運転サイクルといった高稼働率は、高経年化対応が必要なため、期待できないことが明らかになった。このため、原子力機構は2017年4月に発表した施設中長期計画の中で、JMTRを廃止措置施設として位置付けた。その後、文部科学省により設立された研究開発基盤作業部会において国として持つべき研究開発基盤について審議され、2018年4月に原子力機構に対しJMTR後継炉の建設に向けた検討を行うよう提言がなされた。このため、原子力機構は、JMTR後継炉検討委員会を設置し、新たな照射炉の建設に向けた検討を開始した。検討結果は2019年度末までにまとめられる予定である。本報告では、主としてJMTRの廃止措置計画の概要について述べる。
末松 久幸*; 佐藤 壮真*; 中山 忠親*; 鈴木 達也*; 新原 晧一*; 南口 誠*; 土谷 邦彦
Journal of Asian Ceramic Societies (Internet), 8(4), p.1154 - 1161, 2020/12
被引用回数:1 パーセンタイル:12(Materials Science, Ceramics)Moと
Tc核医学の製造として、照射ターゲットを製造するために三酸化モリブデン(MoO
)ペレットが、一段および二段の加圧法によりパルス電流焼結で行われた。二段加圧法による550
Cでの相対密度は93.1%、一段加圧法による相対密度は76.9%であった。試料の温度は、パンチに熱電対を挿入することで直接測定した。二段加圧法により、ほぼ同じ金型でも試料温度は一段加圧法よりも高くなった。これは、電圧波形と電流波形から、2段階加圧法により試料の導電率が増加し、試料温度と相対密度が上昇すると考えられた。二段加圧法により、リサイクルされた粗粒
Mo濃縮MoO
粉末から低温でも高密度ターゲットを製作できる見通しを得た。
広田 憲亮; 柴田 裕司; 武内 伴照; 大塚 紀彰; 土谷 邦彦
Journal of Nuclear Science and Technology, 57(12), p.1276 - 1286, 2020/12
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)ケーブル長に沿った電位分布の安定性を達成することを目的として、高温条件に供された時の電気的特性に対する無機絶縁(MI)ケーブルの材料の影響を伝送テストによって調査した。その結果、MIケーブルの絶縁材料として、酸化アルミニウム(AlO
),酸化マグネシウム(MgO)が選定され、ケーブルに沿った電圧降下の発生を確認した。有限要素法(FEM)に基づいた解析を実行し、終端部で検出された電位の漏れを評価した。伝送テストと解析による電圧降下の収率は、Al
O
およびMgO材料のMIケーブルにおいてよい一致を示し、FEM解析結果と実験結果との相対的な関係を再現した。電圧降下を抑えるため、同様のFEM解析を行い、芯線直径(
)と芯線間距離(
)を変化させた。
の変化を考えた場合、MIケーブルの電位分布は、絶縁材料の直径(
)を
で割って得られる比率
が0.35で最小電圧降下となった。
を変化させた場合、最小電圧降下は0.5のl/
であった。
関 美沙紀; 中野 寛子; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 武内 伴照; 井手 広史; 土谷 邦彦
デコミッショニング技報, (62), p.9 - 19, 2020/09
材料試験炉(JMTR)は、1968年に初臨界を達成して以来、発電用軽水炉を中心に、新型転換炉,高速炉,高温ガス炉,核融合炉等の燃料・材料の照射試験に広く利用されてきた。しかし、法令で定める耐震基準に適合していないため2017年4月に施設の廃止が決定され、現在廃止措置計画の審査を受けている。JMTRでは発電炉とは異なった炉心構造材であるアルミニウムやベリリウムが使用されているため、これらの処理方法を確立し、安定な廃棄体を作製する必要がある。また、蓄積された使用済イオン交換樹脂の処理方法についても検討する必要がある。本報告では、これらの検討状況について紹介する。
関 美沙紀; 石川 幸治*; 佐野 忠史*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 花川 裕規; 井手 広史; 土谷 邦彦; 藤原 靖幸*; et al.
KURNS Progress Report 2019, P. 279, 2020/08
JMTR施設の廃止措置を進めるにあたり、多くの放射性廃棄物が発生するが、これらはドラム缶等に格納し、コンクリートを充填して、廃棄体とする計画である。しかし、アルミニウムは、コンクリートと反応し水素ガスが発生し、廃棄体を破損することが懸念されている。本研究は、これまで行ってきた湿式法によるアルミニウムの安定化処理法の溶液pHの最適条件を求めることを目的とした。JMTRで多く使用されている2種類のアルミニウム試料を準備し、KURで照射した後、強塩基であるNaOHに溶解した。溶解液をろ過した後、中和処理をしてpH=511にてAl(OH)
を生成した。それぞれの工程で得た残差及び溶液は放射化分析を行った。この結果、pH=7, 9にてAl全量の固体としての回収が可能であることが分かった。また、廃液中にはCr-51及びNa-24が含まれることが分かった。Cr-51は全ての条件にて同等の回収率であった。一方でNa-24は中和の際に生成されるNaCl量が相対的に多いことから、溶液中のNa-24が増加したと考えられる。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 加藤 佳明; 佐谷戸 夏紀; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; 堀 順一*; et al.
KURNS Progress Report 2019, P. 157, 2020/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)によるMo-99(
Mo)製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適用するためには、Mo吸着剤として広く用いられているアルミナ(Al
O
)の特性改善が必要不可欠である。本研究では、4種類のAl
O
試料をそれぞれPFAチューブに充填したカラムを準備し、照射済MoO
ペレットを溶解したモリブデン酸ナトリウム水溶液(Mo溶液)を流すカラム吸着(動的吸着)による
Mo吸着および
Tc溶離特性を評価した。また、2019年度実施したAl
O
試料をMo溶液に浸漬させるバッチ吸着(静的吸着)による評価結果と比較した。その結果、動的吸着では静的吸着に比べて
Tc溶離効率の向上、
Mo脱離量の減少が確認された。これは、Al
O
試料を細長いチューブに詰めることにより、溶液との接触が均一になったこと、接触時間が長くなったことが原因と考えられる。今後、カラム径や線流速による
Tc溶離および
Mo脱離に与える影響を調べる。
関 美沙紀; 石川 幸治*; 永田 寛; 大塚 薫; 大森 崇純; 花川 裕規; 井手 広史; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; et al.
KURNS Progress Report 2018, P. 257, 2019/08
JMTR施設の廃止措置を進めるにあたり、多くの放射性廃棄物が発生するが、これらはドラム缶等に格納し、コンクリートを充填して、廃棄体とする計画である。しかし、アルミニウムは、コンクリートと反応し水素ガスが発生し、廃棄体を破損することが懸念されている。本研究は、湿式法によるアルミニウムの安定化処理法の開発を行った。JMTRで多く使用されている2種類のアルミニウム試料を準備し、KURで照射した後、強塩基であるNaOHに溶解した。溶解液をろ過した後、中和処理をしてAl(OH)を生成した。それぞれの工程で得た残差及び溶液は、放射化分析を行った。この結果、Al合金内に含まれる不純物
Crおよび
FeはAl成分と分離することができ、低レベルのAl(OH)
の抽出が可能であることが示唆された。今後、Al(OH)
の焼成温度の最適化を図り、安定なAl
O
を製作する条件を決定する。
藤田 善貴; 関 美沙紀; 滑川 要二*; 西方 香緒里; 木村 明博; 柴田 晃; 佐谷戸 夏紀; 土谷 邦彦; 佐野 忠史*; 藤原 靖幸*; et al.
KURNS Progress Report 2018, P. 155, 2019/08
高濃縮ウランの利用低減や核不拡散及び核セキュリティ、核分裂生成物の処理の観点から放射化法((n,)法)によるMo-99(
Mo)製造の研究開発が進められている。この方法を
Mo/
Tcジェネレータに適用するためには、Mo吸着剤として広く用いられているアルミナ(Al
O
)の特性改善が必要不可欠である。本研究では、4種類のAl
O
試料を準備し、照射済MoO
ペレットを用いて
Mo吸着および
Tc溶離特性を評価した。また、
Mo濃縮率の異なる3種類のMoO
ペレットを照射して、生成される
Mo比放射能を比較した。その結果、
Mo吸着量はV-B-300が最も優れているとともに、
Tc溶離率も約80%と比較的高く、得られる
Tc溶離量が最も多いことを明らかにした。
Mo濃縮率比較では、58.82%の濃縮ペレットで予想放射能量に近かったのに対して、98.5%以上の濃縮ペレットでは予想よりも小さい比放射能が得られた。今後、より高精度な実験方法を検討する必要がある。
Saptiama, I.*; Kaneti, Y. V.*; Yuliarto, B.*; 熊田 博明*; 土谷 邦彦; 藤田 善貴; Malgras, V.*; 福光 延吉*; 榮 武二*; 籏野 健太郎*; et al.
Chemistry; A European Journal, 25(18), p.4843 - 4855, 2019/03
被引用回数:14 パーセンタイル:55.31(Chemistry, Multidisciplinary)ユニークな階層的多層構造を持つメソポーラスベーマイト(-AlOOH)およびガンマ-アルミナ(
-Al
O
)ナノシート合成のために様々な生体分子の効果的な利用が実証されている。生体分子の性質と濃度は、得られる
-AlOOHおよび
-Al
O
ナノシートの結晶度,形態および組織特性に強く影響し、容易に調整可能である。生体分子を用いて合成された階層型
-AlOOHおよび
-Al
O
多層ナノシートは、生体分子なしで合成したものと比較して、結晶度の向上、粒子分離の改善および明確な多層構造を示した。さらに、これらの
-AlOOHおよび
-Al
O
ナノシートは、メソポーラス構造と階層的な多層構造により、それぞれ425, 371m
/gの高い比表面積を有していた。医療用ラジオアイソトープ製造のためのモリブデン吸着材に適用した結果、階層型
-Al
O
多層ナノシートは33.1
40.8mg-Mo/gのMo吸着容量を有した。このMo吸着性能は、結晶度,比表面積および細孔容積の相乗的な組合せによる影響を受ける。提案された生体分子支援合成方法は、将来、他の3Dメソポーラス酸化物の合成に発展する可能性がある。
武内 伴照; 大塚 紀彰; 中野 寛子; 飯田 竜也*; 小沢 治*; 柴垣 太郎*; 駒野目 裕久*; 土谷 邦彦
QST-M-16; QST Takasaki Annual Report 2017, P. 67, 2019/03
福島第一原子力発電所事故の教訓から、過酷事故が発生した軽水炉の状況下でも使用可能な監視システムの技術開発を実施している。本システムの開発の課題として、耐放射線性カメラや可視光無線伝送システムで使用する撮像素子や電源IC等の耐放射線性が挙げられる。本研究では、耐放射線性カメラ撮像素子に対する線の積算線量の影響を調べるため、異なる積算線量時においてフォトゲート(PG)駆動電圧に対する取得画像輝度のダイナミックレンジの違いを調べた。また、カメラ及び可視光無線伝送システムにおいて共通して使用する電源ICについて、
線環境下における出力電圧をモニタリングし、積算線量に対する変化を調べた。撮像素子は、PG駆動電圧調整ユニットに接続した簡易的なカメラシステムを照射室内に設置し、出力画像をモニタで観察した。その結果、ダイナミックレンジを最大とするPG駆動電圧の最適値は積算線量に影響することが分かり、PG駆動電圧の変更によって実質的な耐放射線性を向上させたカメラシステムの可能性を見出した。一方、電源ICは、入力電圧を発生する定電圧電源を接続し、出力電圧とともに、絶縁破壊による短絡発生の有無を調べるため、熱電対で測定したIC表面温度データをデータロガーで収集した。その結果、出力電圧は比較的低い積算線量で一時的に減少した後に復帰し、その後はほぼ安定することが分かり、あらかじめ照射したICを用いること等により放射線環境下においても安定した出力を得る見通しを見出した。
大塚 薫; 井手 広史; 永田 寛; 大森 崇純; 関 美沙紀; 花川 裕規; 根本 浩喜; 渡辺 正男; 飯村 光一; 土谷 邦彦; et al.
UTNL-R-0499, p.12_1 - 12_8, 2019/03
材料試験炉(JMTR: Japan Materials Testing Reactor、以下、「JMTR」と言う)は、昭和43年に初臨界を達成して以来、発電用軽水炉燃料や材料の照射試験を中心に、新型転換炉, 高速炉, 高温ガス炉, 核融合炉などの燃料・材料の照射試験に広く利用されてきた。平成29年4月に公表された「施設中長期計画」において、JMTRは廃止施設として決定し、平成30年度末までに廃止措置計画認可申請書を原子力規制庁へ申請することとなり、廃止措置の準備のための組織変更、申請書作成に必要な各種評価を行った。本発表は、作成した廃止措置計画認可申請書に記載する主な評価結果と廃止措置に向けた技術開発課題について報告する。
花川 裕規; 川俣 貴則; 小笠原 靖史; 大塚 薫; 大森 崇純; 井手 広史; 土谷 邦彦
UTNL-R-0499, p.11_1 - 11_7, 2019/03
JMTRは平成30年度末までに廃止措置計画認可申請書を原子力規制庁へ申請することを目指して、廃止措置計画認可申請書の作成をすすめている。設備の解体等の廃止措置に伴う作業については、廃止措置計画認可申請書が認可された後に開始する。廃止措置計画認可申請書が認可された後に設備の解体等を円滑に進められるように、最初に解体を行う予定である、二次冷却系統及びプールカナル冷却系統二次側の解体方法について予備的検討を行ったので、その内容について報告する。
福光 延吉*; 山内 悠輔*; Saptiama, I.*; 有賀 克彦*; 籏野 健太郎*; 熊田 博明*; 藤田 善貴; 土谷 邦彦
Isotope News, (760), p.15 - 18, 2018/12
核医学検査薬として最も多く使用されているTcの原料となる
Moは我が国ではすべて輸入に頼っており、安定供給のため
Mo/
Tcの国産化が望まれている。天然Moを中性子照射して
Moを生成することは技術的には可能であるが、比放射能が低いことから、現在
Mo/
TcジェネレータのMo吸着剤として用いられているアルミナの吸着性能向上が期待される。そこで、本研究ではメソポーラス技術を適用して表面積を増加させた新規アルミナの開発を進めている。アルミナは2通りの方法で合成し、一方はアルミナ-シリカ複合体でアルミナ/シリカ分子比及び焼成温度を段階的に変化させて合成する方法、一方がエタノール処理で焼成時間及び焼成温度を段階的に変化させて合成する方法である。本解説は、これらのメソポーラス加工を応用した新規アルミナの研究成果についてまとめたものである。