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上野 晃生*; 佐藤 聖*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 猪股 英紀*; 玉澤 聡*; 天野 由記; 宮川 和也; 長沼 毅*; 五十嵐 敏文*
International Journal of Systematic and Evolutionary Microbiology, 75(6), p.006802_1 - 006802_11, 2025/06
幌延深地層研究センターの地下施設内に掘削されたボーリング孔を用い、深度350mの新第三紀堆積層中の地下水から、グラム陰性、非運動性、桿菌株の偏性嫌気性細菌を単離した。これをZ1-71株と呼ぶ。細胞は長さ2.7-4.8
m、幅0.4
mであり、温度10-42
C、pH 6.0-9.0及びNaCl濃度0-3.0%(w/v)で生育が認められた。Z1-71
株は、D-グルコースを基質として生育した場合、水素の生成が認められた。16S rRNA遺伝子配列の系統解析により、Z1-71
株は
科の
属に分類されることが示された。系統学的および表現型の特徴に基づき、Z1-71
株は
属の新種細菌であると考えられ、
sp. nov.と命名する。Z1-71
株を水素資化性メタン生成菌(
T10
株)とグルコースを基質として30
Cの嫌気環境下で4週間共培養した結果、各単離株のみでの培養では見られなかったメタンの生成が認められた。このことは、Z1-71
株より生成したギ酸塩と水素がメタン生成菌により利用されることでメタンが生成したことを示していると考えられた。
青山 高士; 上野 文義; 佐藤 智徳; 加藤 千明; 佐野 成人; 山下 直輝; 大谷 恭平; 五十嵐 誉廣
Annals of Nuclear Energy, 214, p.111229_1 - 111229_6, 2025/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)To elucidate the effect of dissolved radionuclides on corrosion of carbon steels and on formation of corrosion products of carbon steel, corrosion tests and imaging plate analysis were conducted. Carbon steel samples immersed in 10 mM NaCl containing Sr and
Cs were analyzed using an imaging plate. As a result, the distribution of
Sr or
Cs in the corrosion products formed on carbon steel was successfully visualized. Furthermore, the radioactivity of the corroded specimens was calculated from calibration curves prepared using a
Sr standard.
大内 和希; 植野 雄大; 渡邉 雅之
Scientific Reports (Internet), 15, p.18515_1 - 18515_7, 2025/05
被引用回数:0ウランと鉄を活物質とする非水系蓄電池を初めて実証した。このウラン-鉄蓄電池は、約1.3Vの開回路電圧と安定したサイクル特性を示し、862%の良好なクーロン効率を示した。これらの特徴は、劣化ウランを革新的な用途に活用するための有望な手段を示唆している。
上野 晃生*; 佐藤 聖*; 玉村 修司*; 村上 拓馬*; 猪股 英紀*; 玉澤 聡*; 天野 由記; 宮川 和也; 長沼 毅*; 五十嵐 敏文*
Microbiology Resource Announcements (Internet), 13(11), p.e00108-24_1 - e00108-24_4, 2024/11
A thiosulfate oxidizing bacterium, sp. strain V2501, was isolated from groundwater collected in a terrestrial deep subsurface environment. This strain grows chemolithoautotrophically in media containing NaHCO
as its sole carbon source. Here, we report a 2,240,851 bp complete genome sequence of strain V2501.
松原 竜太*; 上野 吹佳*; 岩田 孟; 稲垣 八穂広*; 大窪 貴洋*
NUMO-TR-24-03; 技術開発成果概要2023, p.55 - 61, 2024/10
地層処分事業の実施主体である原子力発電環境整備機構(NUMO)が、日本原子力研究開発機構(JAEA)をはじめとする関係研究機関及び大学との共同研究等により実施した2023年度の技術開発成果の概要を取りまとめ、報告する。本報告は、NUMOとJAEAの共同研究「ニアフィールドシステムの状態変遷に伴うバリア材及び核種の長期挙動評価のための研究」で2023年度に実施したガラス変質層による溶解度速度の低減現象に係る根拠情報の拡充に関する成果についての概要をまとめたものである。
神藤 勝啓; 大越 清紀; 柴田 崇統*; 南茂 今朝雄*; 川井 勲*; 池上 清*; 上野 彰
Proceedings of 21st Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.525 - 528, 2024/10
J-PARCで高周波(RF)駆動型負水素(H)イオン源が運転を始めてから10年が経過した。2023/2024年の運転期間中、1台のRF駆動型H
イオン源が、60mAのH
ビーム電流を発生し、リニアックが50mAのビーム電流を3GeV高繰り返しシンクロトロン(RCS)に入射できるようにした。イオン源の連続運転時間は4,900時間を超え、これまでの最長時間である2022/2023年の期間の4,412時間に比べて運転時間を大幅に更新した。本論文では、2023/2024年のRF駆動型H
イオン源の運転状況と現在開発中であるJ-PARC製高周波内部アンテナの現状について報告する。
柴田 崇統*; 大越 清紀; 上野 彰; 池上 清*; 神藤 勝啓; 南茂 今朝雄*; 川井 勲*; 小栗 英知
加速器, 21(2), p.94 - 100, 2024/07
2022年11月10日から2023年6月22日までのJ-PARCの利用運転では、高周波負水素イオン源を用いて負水素イオン源からビーム電流60mAで4,412時間の連続運転を達成した。今回が初めての年間を通して利用運転期間に1台のイオン源での運転であった。J-PARCでの将来のアップグレードの要件を満たすために、現在のイオン源を構成する機器の健全性評価を行った。また、新たに製作している高周波アンテナコイルを用いたRFイオン源を現在試験中である。
斎須 要文*; 安藤 維彦*; 内山 恵三*; 上野 敏弘*; 瀧澤 孝一*; 遠藤 裕司*; 吉村 和也; 眞田 幸尚
Journal of Radiological Protection, 44(2), p.021518_1 - 021518_16, 2024/06
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)Following the accident at the Fukushima Daiichi Nuclear Power Station, evacuation orders were issued for the surrounding communities. In order to lift the evacuation order, it is necessary to determine individual external doses in the evacuated areas. The purpose of this study was to determine the quantitative relationship between individual external doses and ambient dose rates per hour as conversion coefficients. More specifically, individual external doses of Tokyo Electric Power Company Holdings employees in difficult-to-return zone were measured broadly over a long period (FY2020 to FY2022). To obtain highly accurate estimates, we used not only ambient dose rates based on airborne radiological monitoring data, but also Integrated dose rate map data that had been statistically corrected to correspond to local ambient dose rate gradients on the ground. As a result, the conversion coefficients based on the ambient dose rate map measured by airborne radiological monitoring were 0.42 for the Evacuation-Order Lifted Zones (ELZs), 0.37 for the Special Zones for Reconstruction and Rehabilitation (SZRRs), and 0.47 for the Difficult-to-Return Zones (DRZs) without a SZRRs. On the other hand, the conversion coefficients based on the Integrated dose rate map which is a highly accurate dose rate map based on statistical analysis of various types of monitoring that have been studied in government projects in recent years, were 0.78 for the ELZs, 0.72 for the SZRRs and 0.82 for the DRZs. Using these conversion coefficients, the individual external dose can be estimated from two representative ambient dose rate maps provided by the government.
Cantarel, V.; Chupin, F.; Ortega-Charlot, M.*; 山岸 功; 上野 文義
Journal of Nuclear Materials, 592, p.154969_1 - 154969_9, 2024/04
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Materials Science, Multidisciplinary)When nuclear waste is immobilized in cement or geopolymer, gases may be generated by corrosion and radiolysis. This production must be accurately predicted, and waste loading and countermeasures selected accordingly to avoid overpressure and limit the risk of explosion in the case of dihydrogen (H). We measured and simulated H
generation and release from water-saturated geopolymer confined in a glass bottle under
Co gamma irradiation. It was observed that confinement of H
in the pores of a high pH geopolymer could lead to recombination of more than 99.9% of the hydrogen generated by radiolysis. Shrinkage can allow hydrogen to diffuse between the geopolymer and the vessel, reducing the fraction of recombined H
to 90% at our experimental scale. We then used a model to scale up the results of our experiments. The hydrogen release of a saturated geopolymer in a standard 200 L drum is expected to be equivalent to that of a hydraulic binder containing approximately 2% moisture. Harnessing the effects of recombination would make it possible to preserve the capacity of countermeasures such as H
absorbers, increase the loading capacity of waste packages, and reduce the cost of nuclear waste immobilization.
前田 匡樹*; 田邉 匡生*; 西脇 智哉*; 青木 孝行*; 堂埼 浩二*; 西村 康志郎*; 藤井 翔*; 上野 文義; 田中 章夫*; 鈴木 裕介*; et al.
Transactions of the 27th International Conference on Structural Mechanics in Reactor Technology (SMiRT 27) (Internet), 10 Pages, 2024/03
This study develops assessment methods necessary to obtain a long-term structural integrity outlook for reactor buildings that suffered from the 2011 Great East Japan Earthquake disaster in which access to the site was extremely limited due to high radiation dose rates and high contamination. It is one of the "Nuclear science and technology and human resource development promotion projects" implemented by the Japan Atomic Energy Agency (JAEA) International Collaborative Research Center for Decommissioning and Environment (CLADS) in FY2021 to 2023. This paper introduces an outline and overview of the project.
高柳 智弘; 小野 礼人; 杉田 萌; 山本 風海; 小栗 英知; 金正 倫計; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 小田 航大*; 徳地 明*; et al.
Journal of Physics; Conference Series, 2687(8), p.082021_1 - 082021_7, 2024/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Physics, Atomic, Molecular & Chemical)J-PARCでは、次世代パワー半導体(SiC-MOSFET)を用いたキッカー電源の高度化を進めている。SiC-MOSFETは、既設のキッカー電源で使用している大電力用放電型サイロトロンスイッチを、寿命に優れた半導体スイッチに代替することを可能とする。新電源のベース回路は、このSiC-MOSFETと、誘導電圧を重畳して高電圧を出力するLTD方式を採用し、また、出力時の低ノイズ化を実現する放射対称型構造とした。さらに、キッカー電源の主要回路であるサイラトロン、充電用のPFN回路、反射波を吸収するエンドクリッパーの3つの機器をモジュール化して1つの回路で構成した。出力波形のパルス型を形成する主回路モジュール基板の32枚と、平坦部の垂れを補正する補正回路モジュール基板の20枚を階層的に直列接続し、キッカー電源に求められる出力電圧40kV、出力電流2kA、パルス幅1.2usを実現した。さらに、コロナ放電を抑制し、長時間の連続運転に耐える導体用絶縁筒を開発した。
小野 礼人; 高柳 智弘; 不破 康裕; 篠崎 信一; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 杉田 萌; 山本 風海; 金正 倫計; 生駒 直弥*; et al.
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.871 - 876, 2023/11
J-PARCでは、直線型加速器の加速用高周波を増幅する真空管型高周波増幅器(クライストロン)電源の短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用の半導体クローバー装置を開発している。基板1枚当たり、3kV, 40kA, 50usの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。120kVの高電圧を想定した各基板モジュールへの制御電源供給は、各基板モジュール1枚に分担充電される電圧(3kV)から高圧DCDCコンバータで制御電源を作り出す自己給電方式を採用した。この基板モジュール20枚を20直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/2スケール(60kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。また、今後実施予定である3/4スケール(90kV, 40kA)での動作性能を確認するにあたり、超高圧試験回路の検討を行った。
杉田 萌; 高柳 智弘; 植野 智晶*; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 金正 倫計; 小栗 英知; 山本 風海
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.519 - 522, 2023/11
J-PARC RCSでは、ペイント入射のビーム軌道偏向にペイントバンプ電磁石を用いている。ペイントバンプ電磁石用の電源は、IGBT制御のチョッパ回路で構成され、指令電流と指令電圧のパターンにより、ビーム軌道を時間変化させる出力電流波形(ペイントパターン)を作成することができる。ビーム軌道の制御精度は、指令電流と出力電流の波形の形状差(出力電流偏差)で決まる。現在のペイントパターン調整では、電源制御の応答関数に応じてパターンを調整するソフトを用いたうえで手動調整を行い、要求精度を達成している。しかし、この調整に1時間程度を要しており、更なる調整時間の短縮を行いたい。また、より最適な調整方法によりビームロスの低減を実現するために、従来の要求より10倍精密な出力電流偏差を実現したい。高精度なペイントパターンの作成には、負荷側のインピーダンスの解析モデルが必要になるが、時間変化する非線形のペイントパターンにおいてはインピーダンスが変化するため、解析モデルの構築は非常に困難である。機械学習では、負荷の解析モデルを構築せずとも学習によって非線形な応答を高速かつ高精度で得ることが可能である。機械学習を用いて台形波の出力パターン調整を行ったところ、学習を重ねることで立ち上り直後のリンギングを抑制した出力パターンの作成に成功した。本発表ではシステムの現状と今後の展望について報告する。
神藤 勝啓; 大越 清紀; 柴田 崇統*; 南茂 今朝雄*; 川井 勲*; 池上 清*; 上野 彰
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.928 - 931, 2023/11
2014年秋よりJ-PARCで運用を開始した高周波駆動型大強度負水素イオン源の2022年秋から2023年夏までの運転状況について報告する。J-PARCでは、リニアックで50mAの負水素イオンビームを引き出すために、イオン源よりビームエネルギー50keVでビーム電流60mAのビームを生成・引き出している。これまで、J-PARCでは2022年夏までの運転で4001時間のイオン源連続運転を達成した。また、2022年秋より運転を再開した後、イオン源は年末年始や年度末の運転休止期間などを挟んで、2023年6月まで途中で交換することなく、1台のイオン源で運転を継続した。本発表では、J-PARC負水素イオン源の運転状況を報告する。また、イオン源グループで試験を進めている高周波プラズマ生成用のJ-PARC製内部アンテナの状況についても併せて報告する。
青山 高士; 佐藤 智徳; 上野 文義; 加藤 千明; 佐野 成人; 山下 直輝; 五十嵐 誉廣
材料と環境, 72(11), p.284 - 288, 2023/11
溶液中の線源がSUS 316Lステンレス鋼の腐食に及ぼす影響を解析するために、溶存
Srが腐食電位に及ぼす影響を調査した。HCl中で腐食電位を測定しながら、放射能の等しい
Sr標準溶液及び
Cs標準溶液をHClに滴下した。その結果、
Sr標準溶液滴下溶液中では
Cs標準溶液滴下溶液中よりも大きな電位上昇が生じた。計算によって検証した結果、水の放射線分解によるH
O
の生成速度の違いが両溶液中での電位変化に違いをもたらすという結果が得られた。
上野 彰; 大越 清紀; 池上 清*; 小栗 英知
Journal of Instrumentation (Internet), 18(8), p.C08002_1 - C08002_8, 2023/08
被引用回数:2 パーセンタイル:27.04(Instruments & Instrumentation)2020年、J-PARCセシウム添加型高周波(RF)駆動Hイオン源(IS)による高周波四重極線形加速器に適したエミッタンスを有する65keV 110mAビームの安定運転結果を報告した。J-PARC ISでは、2MHz RF電力50kWでの3ヶ月以上の安定プラズマ生成、高いRF電力効率(2.6mA/kW以上)、及び、引出&加速電圧(V
&V
)増強によるビーム引出部での空間電荷限界ビーム電流(エミッタンス増大を招くビーム電流)引き上げが可能なことが実証されている。2MHz RF整合器周りでの放電箇所を特定し、対策を施すことで可能となった69.9keV 120mAビーム運転結果を報告する。このビームの107.8mAが、RFQ設計に使用されるエミッタンス内と測定された。
高柳 智弘; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 杉田 萌; 金正 倫計; 徳地 明*; 生駒 直弥*; 中田 恭輔*; 亀崎 広明*; et al.
Proceedings of 20th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.235 - 239, 2023/08
加速ビームの入射や取り出しに用いるキッカーシステムには、指定したビームのバンチのみに作用する短パルスの高速性と高繰り返し性に優れたパルス電源が必要である。J-PARC/JAEAでは、次世代パワー半導体の一つであるSiC-MOSFETを用いて、サステナブルな半導体スイッチ電源の開発に取り組み、定格出力40kV/2kAの半導体スイッチ電源を開発した。そして、本半導体スイッチ電源を20kV/2kA出力の2台に組み替え、実機のキッカー電磁石を用いた通電試験も実施した。また、本電源のフラットトップ補正機能を用いて、波形に生じるリンギングを半分以下に抑制できることを磁場波形で実証した。この成果により、ビームロスの要因となるリンギングに起因した蹴り角差を低減することができる。発表では、開発したSiC半導体スイッチ電源の仕様、試験装置、及び、評価結果について報告する。
小野 礼人; 高柳 智弘; 杉田 萌; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 山本 風海; 金正 倫計
JAEA-Technology 2022-036, 31 Pages, 2023/03
日本原子力研究開発機構(以下、「原子力機構」)は、原子力科学研究所の大強度陽子加速器施設(J-PARC)など、多くの研究施設を有している。これらの施設には、電力を扱う受電設備や電源装置等多くの電気設備が設置されている。しかし、製造されてから半世紀以上の年月を経ている設備があり、これらの設備において、製造当時は優れた性質を有することから使用されていた材料等が、現在では有害物質として定められ、廃棄をする場合には特別な管理を必要とするものが存在する。その一つとして、ポリ塩化ビフェニル(PCB)があげられる。PCBは、熱に対して安定であり、電気絶縁性が高く耐薬品性に優れている。そのため、非常に幅広い分野に用いられた。しかし、PCBが難分解性の性状を有し、かつ、人の健康及び生活環境に係る被害を生じるおそれがある物質であることがわかり、国は「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号、略称:PCB特別措置法)」を制定した。原子力機構おいて、令和4年4月に高濃度PCB廃棄物の該当品が新たに見つかる事象が発生したことを受け、令和4年6月に高濃度PCB廃棄物の掘り起こし再調査を実施した。現在は、低濃度PCB廃棄物について、掘り起こし調査を進めているところである。しかしながら、PCB廃棄物の新たな発見は、PCB使用されている可能性が高い設備や装置の見極めが非常に難しいことを示している。PCBは、変圧器やコンデンサ等の絶縁油に使用されている場合が多い。特にコンデンサは、使う材料や構造などによりサイズや形状が異なるなど多くの種類があり、見た目の判断だけではコンデンサであることを見逃してしまう可能がある。そのため、対象とした設備の仕様の理解と、外観検査からも該当品を見つけ出す知見と能力が調査担当者に要求される。本報告書では、PCB廃棄物の掘り起こし調査で実施した電源装置の分解調査作業の事例を基に、PCB廃棄物を外観検査で見つけ出すために必要な知見を紹介する。さらに、コンデンサを見つけた場合は、使用していない状態であっても充電されている可能性を認識し、焼損、感電、火災につながる危険性と取り扱い時に注意すべき点を報告する。
小田 航大; 高柳 智弘; 小野 礼人; 堀野 光喜*; 植野 智晶*; 杉田 萌; 森下 卓俊; 飯沼 裕美*; 徳地 明*; 亀崎 広明*; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.610 - 614, 2023/01
J-PARCのキッカー電源は、取り出すビームのバンチ長に合わせ、フラットトップ幅が約1sの矩形パルスを数十nsの短時間で瞬間的に出力する。現在、放電スイッチのサイラトロンの代替を目的に、次世代パワー半導体を用いた新キッカー電源の開発を進めている。パワー半導体のスイッチ動作のタイミングは、外部からのトリガ信号の入力で決まる。そのタイミングの時間軸方向に対するブレ(ジッタ)が大きいと、出力パルスの再現性が低下し、ビームロスの要因となる不安定なビーム軌道偏位を引き起こす。そのため、キッカー用半導体スイッチ電源には、
1.0ns以下の高再現性を実現する低ジッタ回路が求められる。ジッタの成分にはトリガ信号の揺らぎと半導体スイッチ動作のばらつきが含まれる。そこで、制御回路を構成する種々のデバイスに対する評価試験を実施し、最適なデバイスの選定、かつ、温度とノイズ対策を施した低ジッタ回路の試験機を製作した。発表では、制御回路を構成するアナログ回路とデジタル回路のデバイスに対し、環境とデバイスの温度、サンプリングクロックの周波数、パルスエッジのブレに対する評価試験の結果と、構築した低ジッタ回路の構成について報告する。
小野 礼人; 高柳 智弘; 不破 康裕; 篠崎 信一; 植野 智晶*; 堀野 光喜*; 杉田 萌; 山本 風海; 金正 倫計; 生駒 直弥*; et al.
Proceedings of 19th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.395 - 399, 2023/01
J-PARCでは、直線型加速器の加速用高周波を増幅する真空管型高周波増幅器(クライストロン)電源の短絡保護装置(クローバー装置)に水銀整流器(イグナイトロン)を用いている。イグナイトロンは、世界的に使用が制限されている水銀を使用しており、将来的に製造中止が見込まれる。そこで、大電力半導体素子(MOSゲートサイリスタ)を用いたクライストロン短絡保護用の半導体クローバー装置を開発している。基板1枚当たり、3kV, 40kA, 50sの動作出力を実現するオーバル型基板モジュールを製作した。120kVの高電圧を想定した各基板モジュールへの制御電源供給は、基板ごとに高圧トランスが必要となり、トランスの設置場所や部分放電(コロナ放電)を考慮する必要がある。本機器では、高圧トランスを用いず、各基板モジュール1枚に分担充電される電圧(3kV)から高圧DCDCコンバータで制御電源を作り出す自己給電方式を採用した。この基板モジュール20枚を20直列で接続し、既設機器(120kV, 40kA)の電圧に対して1/2スケール(60kV, 40kA)での動作性能を確認することができた。その出力試験結果について報告する。