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千葉 敏*; 若林 利男*; 舘 義昭; 高木 直行*; 寺島 敦仁*; 奥村 森*; 吉田 正*
Scientific Reports (Internet), 7(1), p.13961_1 - 13961_10, 2017/10
被引用回数:34 パーセンタイル:96.31(Multidisciplinary Sciences)放射性廃棄物の課題を克服するため、高速炉中性子を利用した6種の長寿命核分裂生成物を元素分離で核変換する技術の開発を進めている。効果的かつ効率的な核変換のため、重水素化イットリウムを減速材としたシステムを考案した。モンテカルロコードMVP-II/MVP-BURNを使った核変換率とサポートファクタの評価を行った。高速炉炉心のブランケット領域および反射体領域に重水素化イットリウムと装荷した場合、すべての核種の実効半減期が10から10へ劇的に低減し、サポートファクタも1を上回ることが確認できた。この高速中性子を利用した核変換システムは放射性廃棄物の低減に大きく貢献する。
工藤 潤一*; 坂場 成昭; 高橋 信*; 若林 利男*
日本原子力学会和文論文誌, 9(4), p.360 - 367, 2010/12
HTTR-IS水素製造プラントは、我が国唯一の高温ガス炉(高温工学試験研究炉:HTTR)からの高温核熱を利用して水素を製造するシステムであり、原子力機構において設計が進められている。本システムでは、原子炉近傍で大量の可燃性ガスを取り扱うため、可燃性ガスの爆発に対する原子炉の安全性確保が重要な課題である。本研究では、HTTR-IS水素製造プラントにおける可燃性ガス漏えいの確率論的安全評価を行った。まず、マスターロジックダイヤグラム(MLD)を用いて、システムの事故につながる可能性のある事象(起因事象)を抽出した。次いで、抽出した起因事象に対して、イベントツリー解析(ETA)及びフォルトツリー解析(FTA)を行い、HTTRの建屋に影響を与える可能性のある可燃性ガスの漏えい事象の発生頻度を定量化した。評価の結果、火災爆発事象の発生頻度を合計値は、2.510(件/年)であり、本検討での目標値を上回ったが、火災爆発事象の発生頻度低減を目的とした機器追加により、目標値以下となる7.910(件/年)に低減できることを明らかにした。
舘 義昭; 若林 利男*
Transactions of the American Nuclear Society, 103(1), p.268 - 269, 2010/11
放射性ヨウ素のような使用済燃料に含まれる長寿命核分裂生成物の核変換技術は、高レベル放射性廃棄物の処分に伴う環境負荷やリスクの軽減にとって非常に有望な技術である。ヨウ素は低い融点や高い蒸発性のため、また、鉄基材料に対する高い腐食性のために、高速炉炉心への適用性に優れる化合物形態を選定することが重要な課題となっている。融点や核的特性,ステンレス鋼との反応性,製造性の観点から高速炉での核変換のための候補化合物形態としてMgI, CuI, RbI, YI, BaIの5種類のヨウ素化合物を選定した。これらについて、高温での安定性を評価するためにTG-DTAを、被覆管材料との共存性を評価するために600Cで最長5000時間の共存性試験を実施した。TG-DTAの結果、BaIは優れた高温安定性を有していることが、CuI, RbI, YIは融点付近で著しい重量損失を生じることが明らかとなった。被覆管材料との共存性試験の結果、MgI, YIと試験したSUS316鋼やPNC-FMS鋼,ODS鋼で腐食の痕跡が認められた。BaIと試験したSUS316鋼やODS鋼では、表面に酸化物層が形成されたが、これはBaI中に残留していた水分によるものであると考えられた。また、共存性試験の試験体上部においては、RbやYによるSUS316鋼の腐食が認められた。高温での安定性や被覆管材料との共存性の観点から、高速炉でのヨウ素の核変換のための化合物形態としてはBaIが有望であることが明らかとなった。
大木 繁夫; 高嶋 秀樹; 若林 利男; 山口 憲司*; 山脇 道夫*
JNC TY9400 2004-005, 36 Pages, 2004/05
高速炉を用いたマイナーアクチナイド(MA)核種の核変換研究の一環として、高速中性子源炉「弥生」において、235Uに対する237Npの核分裂断面積比をバック・ツー・バック(BTB)核分裂検出器を用いて測定した。弥生炉の炉心中心、側部ブランケットをそれぞれ貫く、グローリーホール、グレイジングホールと呼ばれる実験孔における測定のため、小型BTB検出器を準備した。実験孔内の測定位置を変えることにより、核分裂断面積比の中性子スペクトル依存性を調べた。核分裂断面積比の測定結果を、核データライブラリ(JENDL-3.2、ENDF/B-VI、JEF-2.2、JENDL-2)を用いて計算した値と比較した。炉心中心における計算値は、約30%の系統的な過大評価となることがわかった。計算値における核データライブラリ間のバラツキは、測定値との相違に比べると小さいものであった。また、C/E値には測定位置依存性が見られている。この30%もの過大評価が核データの誤差に起因するとは考えにくい。本測定結果には測定精度の面で課題がある。波高スペクトルに対するアンフォールディング等により誤差の原因を取り除くことができれば、237Npだけでなく中性子スペクトル場を形成する235U, 238Uの核データ検証の参考情報として、本測定結果を活用できると考えられる。
大川内 靖; 大木 繁夫; 若林 利男; 山口 憲司*; 山脇 道夫*
JNC TY9400 2004-004, 37 Pages, 2004/05
高速炉を用いたマイナーアクチナイド(MA)核種の核変換研究の一環として、高速中性子源炉「弥生」において、235Uに対するMA(241Am, 243Am)の核分裂断面積比をバック・ツー・バック(BTB)核分裂検出器を用いて測定した。弥生炉の炉心を貫く主実験孔(グローリーホール)における測定のため、小型BTB検出器を準備した。グローリーホール内の測定位置を炉心中心から劣化ウランブランケットまで変えることにより、核分裂断面積比の中性子スペクトル依存性を調べた。核分裂断面積比の測定結果を、核データライブラリ(JENDL-3.2、ENDF/B-VI、JEF-2.2)を用いて計算した値と比較した。炉心中心における241Am, 243Am双方についての計算値は、1020%の系統的な過小評価となることがわかった。計算値における核データライブラリ間のバラツキは、測定値との相違に比べると小さいものであった。また、C/E値には測定位置依存性が見られている。本測定結果には測定精度の面で課題がある。波高スペクトルに対するアンフォールディング等により誤差の原因を取り除くことができれば、241Am, 243Amや中性子スペクトル場を形成する235U, 238Uの核データ検証における参考情報として、本測定結果を活用できると考えられる。
甲斐 哲也; 小林 捷平*; 山本 修二*; Cho, H.*; 藤田 薫顕*; 木村 逸郎*; 大川 内靖*; 若林 利男*
Annals of Nuclear Energy, 28(8), p.723 - 739, 2001/05
被引用回数:7 パーセンタイル:48.68(Nuclear Science & Technology)背中合わせ型核分裂計数管を用いて0.003eVから10keV領域におけるAm核分裂断面積を測定した。これらの実験は、京都大学鉛減速スペクトロメータを用いた0.03eV~10keV領域、京都大学原子炉熱中性子照射施設における0.025eV、飛行時間分析法による0.003eV~35eV領域において行った。測定結果を評価済み核データファイルJENDL-3.2,ENDF/B-VI,JEF-2.5及び既存の比較して、評価済み核データの妥当性を議論した。
向山 武彦; 若林 利男*
日本原子力学会誌, 41(6), p.713 - 714, 1999/06
原子力学会「消滅処理工学」専門委員会の1995年4月から1999年3月までの活動の報告である。活動内容を(1)消滅処理システム、(2)燃料開発、(3)データベース、(4)加速器開発、(5)郡分離研究、(6)地層処分と消滅処理の関係に分けて報告する。
R.P.Rulko*; 高野 秀機; C.Broeders*; 若林 利男*; 佐々 敏信; 岩崎 智彦*; D.Lutz*; 向山 武彦; C.Nordborg*
Proc. of Int. Conf. on the Phys. of Nucl. Sci. and Technol., 2, p.1462 - 1469, 1998/00
マイナーアクチニドの消滅計算の現状を評価するために、OECD/NEAの科学委員会にベンチマークのタスクホースが組織され、MOX-PWR,MOX-FBR及び加速器駆動システムの3つのベンチマーク・モデルが提案された。日本、ドイツ、フランス、スイス、ロシアの各機関が参加し、計算結果が比較された。要約すると、k、ボイド反応度、ドップラー反応度及び消滅率等の基本パラメータについて、FBRベンチマークの結果は相互に良い一致であり、PWRベンチマーク結果はFBRの場合より相互の一致が悪く、加速器炉の結果はバラツキが大きかった。これらの3つのベンチマーク計算結果の現状について報告する。
日向野 直美; 若林 利男
PNC TN9410 96-248, 69 Pages, 1996/11
高レベル廃棄物として処理される核種のうち、Tc及びIはそれぞれ半減期2.1310y、1.5710yの長半減期核分裂生成物であり、10年以上の長期にわたりその毒性が問題となる。この2核種は熱及び共鳴エネルギー領域での中性子吸収断面積が大きいため中性子束の高い高速炉で減速された領域を作り、この位置で安定核種に変換して消滅をはかる方法が考えられる。よって本報告では高速炉内におけるTc及びIの消滅特性について検討した。60万kKWe級高速炉のブランケット第1層目の位置にFP核種を減速材入りターゲット集合体として装荷することを検討した。これらの核種の消滅には熱-共鳴エネルギー領域での反応を重視するため、連続エネルギーモンテカルロコードであるMVPコードを使用した。MVPコードではターゲット内の形状を忠実にモデル化して解析を行うことが可能であるため、ターゲット仕様やピン仕様による消滅特性への影響を詳細に調べることも可能である。本検討では第1段階としてTcに重点をおいて、パラメーターサーベイを行った。この結果をもとに数ケースの体系を選択しIの消滅についても検討を行った。解析結果から減速材種類や減速材の量が中性子を得る場合にもTcの消滅に支配的なエネルギー領域が異なることがわかった。Tcの消滅の場合、エネルギーの一番小さい5.6eVの共鳴ピークの効果が非常に大きいこと、第1共鳴ピーク位置で自己遮蔽効果が大きいためにTc100%の金属で装荷した場合このエネルギーを持つ中性子はTcピンのごく表層部までしか届かないことがわかった。よって、Tcの体積に対する表面積の割合を高めるために細いFP部分を減速材で巻いた2重の構造を持つDuplexピンやRingピンを用いること、自己遮蔽効果を緩和させる目的で原子数密度を低減させることにより目標として設定した年間の消滅率10%を達成した。商用の100万kWe級PWR1基から生成されるTcは年間約24kgであるのに対し、消滅量を重視するケースでは年間40kg程度を処理できる。Iの場合はNaIとして装荷するため原子数密度が低減され同一条件下での消滅率は改善される。
平野 雅司; 若林 利男*; 速水 義孝*
原子力工業, 42(10), p.1 - 5, 1996/10
チェルノブイル事故の原因については、事故直後の旧ソ連政府の報告では、「運転員の6つの規則違反」が主要因として指摘されたが、旧ソ連原子力安全監視委員会の報告書(シュタインベルク報告,1991年)では、これらは実際には違反ではなかったか、もしくは違反であってもその後の事故進展への影響は小さかったとしている。さらに、制御棒を挿入すると正の反応度が印加されるという、いわゆるポジティブ・スクラムの効果が大きかったと指摘している。この効果については、ロシアのみならず我が国でも解析が続けられているが、事故原因の中でこの効果がどの程度の比重を持っているかについての評価は未だ定まっていない。本報告では、シュタインベルク報告、IAEAのINSAG(国際原子力安全諮問グループ)の報告書等を参照し、事故原因に関する経緯についてまとめるとともに、事故後の同型炉の改善の状況等について解説する。
向山 武彦; 久保田 益充; 小川 徹; 藤根 幸雄; 若林 利男*; 小沢 正基*; 井上 正*
日本原子力学会誌, 38(7), p.591 - 593, 1996/00
1995年フランス・ベルサイユにおいて開催されたGLOBAL'95「核燃料サイクル」国際会議について報告する。内容は、会議経緯、目的、概要、全体セッション・パネル討論概要、技術論文発表のテーマ別概要、会議感想である。
若林 利男; 山岡 光明; 若林 利男
Nuclear Engineering and Design, 154(3), p.239 - 250, 1995/04
被引用回数:4 パーセンタイル:43.23(Nuclear Science & Technology)使用済燃料の再処理によって発生する高レベル廃棄物には、長半減期のマイナーアクチニド元素(MA)が存在する。本研究では高速炉にMAを添加することにより燃焼反応度を低減できるという特徴を活かした超長寿命炉心概念を考え、核的・熱的な特性からの成立性を検討した。100万KWeクラス超寿命炉心に加えて、炉容器寸法への影響とNaボイド反応度の低減を考慮して30万KWeクラス超寿命炉心についても検討し、30年間の連続運転を可能とする炉心構成、燃料組成を明らかにした。反応度変化・出力変動が小さく、大量のMAを消滅できる炉心が得られた。
若林 利男
日本原子力学会誌, 37(7), p.582 - 583, 1995/00
日本原子力学会誌特集号「我が国におけるプルトニウム利用」のIV章高速炉におけるPu利用において「プルトニウム燃焼型高速炉」について紹介する。高速炉は増殖だけでなくPu燃焼の観点からも優れた特性を持つことが明らかになった。
山岡 光明; 石川 眞; 林 秀行; 若林 利男
PNC TN9410 91-365, 368 Pages, 1991/11
本報告書は、高速炉によるTRU消滅処理に関する研究のうち、下記の項目についての検討結果をまとめたものである。(1)超長寿命炉心の検討: TRU燃料の核的な特性を生かし、30年間燃料交換をしないTRU装荷超長寿命炉心の可能性について検討した。このTRU装荷超種妙命炉心は放射能の高いTRUを長期間炉内に貯蔵しながら消滅できるためTRU消滅炉心として適している。検討の結果、燃焼による反応度や出力変動は、TRU装荷量や装荷領域を最適化することにより大幅に低減できること、1000MWe超長寿命炉心は10年間に10トン(軽水炉13基からのTRUに相当する)のTRUを消滅できることがわかった。(2)非均質炉心への装荷検討: 径方向非均質炉心はブランケットに論燃料よりも大量のTRUを装荷できる可能性があることから、TRU消滅炉心の候補の一つである。検討の結果、内部ブランケットへの大量の装荷(2030%)により均質炉心の数倍の消滅量が得られること、大量装荷しても炉心特性への影響が小さいことが示された。(3)燃料ピン単位装荷方法の検討: TRU燃料ピン本数を減らすため、集合体にTRU燃料ピンと通常のMOX燃料ピンを装荷する方法について検討した。出力分布への影響に着目した解析結果について示した。
工藤 潤一*; 坂場 成昭; 高橋 信*; 若林 利男*
no journal, ,
化学プラントと原子炉を接続したときには、個々の安全性のほかに、一方での事故が他方に影響を与えないように設計する必要がある。特に、化学プラント側の異常な過渡変化及び事故が原子炉の安全・安定運転に影響を与えないようにするべきである。本研究で扱うISプロセスでは、可燃性ガスである水素を大量に生成することから、火災・爆発の潜在的なリスクがある。そこで本研究では、HTTR-IS水素製造システムの概念設計段階における系統構成をもとに、次の設計へ必要な対策を提案することを目的とし、火災・爆発事象のリスクに関し確率論的安全評価を行った。発生頻度評価は、マスターロジックダイヤグラム法を用いて抽出した起因事象に対してイベントツリーを作成し、個々の事象に対してフォルトツリー解析を行い、事象発生頻度を原子力情報公開ライブラリーニューシアによる故障率データを用いて評価した。その結果、頻度の総和は、2.5610/年であった。この値は、ヨウ化水素系の単管部からの漏えい,水素貯蔵タンクからの漏えい,水素部弁からの漏えい,フレアスタック種火燃料配管からの漏えいが大きな割合を占めることが明らかとなった。次段階の設計においては、配管を二重化し発生頻度を低減させる、送風機により爆発限界以下の可燃性混合気体濃度とするなどの頻度低減対策を検討し、水素爆発のリスクを十分に低減させる計画である。
古川 大*; 若林 利男*; 高橋 信*; 横山 次男*; 舘 義昭
no journal, ,
分離・核変換技術は、使用済燃料に含まれるTc, Iなどの長寿命核分裂生成物(LLFP)の低減化に寄与する技術として期待されている。本研究では核変換率の大幅な向上を目標とし、LLFPの装荷方式やペレット形状を変化させ、高速炉によるLLFPの核変換特性の計算及び検討を行った。均質型の場合、LLFPピン内での自己遮蔽効果の抑制により、核変換率が向上する結果が得られた。
工藤 潤一*; 坂場 成昭; 高橋 信*; 若林 利男*
no journal, ,
原子炉を用いた水素製造方法としてISプロセスに注目し、熱源として高温ガス炉であるHTTRを用いた原子力水素製造プラント(HTTR-ISプラント)における確率論的安全評価を実施した。HTTR-ISプラントの候補となる系統構成に対し、火災爆発につながるシーケンスをマスターロジックダイアグラム法により抽出した。抽出された全起因事象に対し、イベントツリー解析及びフォルトツリー解析を行い、発生頻度の定量化を行った。その結果、火災爆発頻度合計は2.4510(件/年)となった。この値は目安となる10(件/年)より大きいため、HTTR-ISプラントの系統構成に機器追加の提案を行い頻度低減を図った。その結果、火災爆発頻度合計を1.3110まで低下させることに成功した。
工藤 潤一*; 大橋 弘史; 坂場 成昭; 高橋 信*; 若林 利男*
no journal, ,
原子力機構では、原子力による二酸化炭素排出量削減への貢献を目指して、高温ガス炉による水素製造に関する研究開発を進めている。現在計画中の高温工学試験研究炉(HTTR)に熱学法ISプロセスを用いた水素製造設備を接続するHTTR-ISプラントは、原子炉に可燃性ガス及び毒性物質を有する化学プラントを接続するものである。本研究では、確率論的安全評価を用いてHTTR-ISプラントにおける二酸化硫黄などの毒性を有するガスの漏えいについての評価を行い、HTTR-ISプラントの安全性を確認することを目的としている。本講演では、毒性物質漏えいに関して、Master Logic Diagramによる起因事象抽出及びFault Tree解析による漏えい頻度評価の結果について報告する。
舘 義昭; 若林 利男*
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物による環境負荷や処分リスクの軽減に対して、高速炉を利用した放射性ヨウ素の核変換は有効な手段である。ヨウ素は反応性が高い元素であるため、高速炉へ装荷するターゲット材としては、高温での安定性や被覆管材料と共存性が重要な課題となっている。本研究では、融点や中性子照射特性などから優れた性質を持ち、ターゲット材の候補として選定された5種類(MgI, CuI, RbI, YI, BaI)のヨウ素化合物に対して、熱分析と被覆管材料との共存性試験を実施した。熱分析は、ヨウ素化合物の粉末を最高1473Kまで加熱した。その結果、CuI, YI及びRbIは、高温での蒸発量が多く、安定性が低いことが明らかとなった。また、被覆管材料との共存性試験では、SUS316と9Cr-ODSをヨウ素化合物の粉末を873Kに3000時間、高温接触させた。この結果、MgI, YI及びRbIにおいて、著しい腐食が発生することが明らかとなった。これらの熱分析と共存性試験の結果から、5種類のヨウ素化合物の中ではBaIが最もターゲット材として適していることが明らかとなった。
舘 義昭; 高木 直行*; 飯田 拓海*; 若林 利男*
no journal, ,
使用済燃料に含まれる長寿命核分裂生成物(LLFP)であるSe-79, Zr-93, Pd-107及びCs-135はいずれも中性子吸収断面積が小さく、原子炉の中性子による核変換が困難であるとされてきていた。しかしながら、これらの核種においても中性子エネルギーが低くなるほど吸収断面積が増大し、核変換効率の向上が期待できる。そこで、軽水炉よりも炉内温度が低い重水炉の炉内に極低温領域を創生し、冷中性子によりLLFPを効果的に核変換させるため、CANDU炉を想定した冷中性子生成装置について検討した。