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山本 風海; 金正 倫計; 林 直樹; Saha, P. K.; 田村 文彦; 山本 昌亘; 谷 教夫; 高柳 智弘; 神谷 潤一郎; 菖蒲田 義博; et al.
Journal of Nuclear Science and Technology, 59(9), p.1174 - 1205, 2022/09
被引用回数:1 パーセンタイル:71.47(Nuclear Science & Technology)J-PARC 3GeVシンクロトロン(RCS)は、最大1MWの大強度ビームを25Hzという早い繰り返しで中性子実験及び下流の主リングシンクロトロンに供給することを目的に設計された。2007年の加速器調整運転開始以降、RCSではビーム試験を通じて加速器の設計性能が満たされているかの確認を進め、必要に応じてより安定に運転するための改善を行ってきた。その結果として、近年RCSは1MWのビーム出力で連続運転を行うことが可能となり、共用運転に向けた最後の課題の抽出と対策の検討が進められている。本論文ではRCSの設計方針と実際の性能、および改善点について議論する。
濱本 真平; 清水 厚志; 猪井 宏幸; 栃尾 大輔; 本間 史隆; 澤畑 洋明; 関田 健司; 渡辺 周二; 古澤 孝之; 飯垣 和彦; et al.
Nuclear Engineering and Design, 388, p.111642_1 - 111642_11, 2022/03
被引用回数:0 パーセンタイル:0.01(Nuclear Science & Technology)日本原子力研究開発機構は、2011年の福島第一原子力発電所事故を契機に作られ2013年12月に施行された新しい規制要件に、高温工学試験研究炉(HTTR)を適合させた。様々な高温ガス炉(HTTR)安全試験を通じて得られたHTGRに関する知見を基に、既存の構造物,系統及び機器の安全性及び耐震分類が議論された。防護の対象となる構築物,系統及び機器が再検討し、安全機能に影響を及ぼす内的・外的脅威への対策が強化された。さらに、設計基準を超える事故として、多量の放射性物質が放出されるおそれのある事故に対する措置を講じた。我々のこの対応が、新しい規制要求に適合していることを、原子力規制委員会は厳格かつ適切に審査した。2014年11月に提出したHTTRの設置許可変更申請書は、9回の修正を経て2020年6月に承認された。この対応は、高温ガス炉の特性を反映すれば、強化された規制要件を満たすためでも合理的に設計できることを示しており、今後の高温ガス炉の開発の参考になると考える。
齋藤 睦己*; 高岸 龍之介*; 栗田 伸之*; 渡邊 正理*; 田中 秀数*; 野村 竜司*; 福元 好志*; 池内 和彦*; 梶本 亮一
Physical Review B, 105(6), p.064424_1 - 064424_15, 2022/02
被引用回数:3 パーセンタイル:87.45(Materials Science, Multidisciplinary)CsCu
SnF
is a spin-
antiferromagnet on a nearly uniform kagome lattice. This compound undergoes magnetic ordering with the
= 0 structure and positive chirality, which is mainly caused by the large Dzyaloshinskii-Moriya interaction. Rb
Cu
SnF
is a spin-
antiferromagnet on a modified kagome lattice with a
enlarged chemical unit cell at room temperature. Its ground state is a pinwheel valence bond solid (VBS) with an excitation gap. Here, we show the structures of magnetic excitations in Cs
Cu
SnF
and Rb
Cu
SnF
investigated by inelastic neutron scattering in wide energy and momentum ranges. For Cs
Cu
SnF
, four single-magnon excitation modes were observed. It was confirmed that the energy of single-magnon excitations arising from the
point in the extended Brillouin zones is largely renormalized downwards. It was found that the broad excitation continuum without a marked structure spreads in a wide energy range from
to approximately
. These findings strongly suggest spinon excitations as elementary excitations in Cs
Cu
SnF
. In Rb
Cu
SnF
, singlet-triplet excitations from the pinwheel VBS state and their ghost modes caused by the enlargement of the chemical unit cell were clearly confirmed. It was found that the excitation continuum is structured in the low-energy region approximately below
and the almost structureless high-energy excitation continuum extends to approximately
. The characteristics of the high-energy excitation continuum are common to both Cs
Cu
SnF
and Rb
Cu
SnF
, irrespective of their ground states. The experimental results strongly suggest that the spin liquid component remains in the ground state as quantum fluctuations in Cs
Cu
SnF
and Rb
Cu
SnF
.
奥村 拓馬*; 東 俊行*; Bennet, D. A.*; Caradonna, P.*; Chiu, I. H.*; Doriese, W. B.*; Durkin, M. S.*; Fowler, J. W.*; Gard, J. D.*; 橋本 直; et al.
Physical Review Letters, 127(5), p.053001_1 - 053001_7, 2021/07
被引用回数:3 パーセンタイル:45.66(Physics, Multidisciplinary)超伝導遷移エッジ型センサーマイクロカロリメーターを用いて、鉄のミュー原子から放出される電子X線を観測した。FWHMでの5.2eVのエネルギー分解能により、電子特性
および
X線の非対称の広いプロファイルを約6keVの超衛星線
線とともに観察することができた。このスペクトルは、電子のサイドフィードを伴う、負ミュオンと
殻電子による核電荷の時間依存スクリーニングを反映している。シミュレーションによると、このデータは電子
殻および
殻の正孔生成と、ミュオンカスケードプロセス中のそれらの時間発展を明確に示している。
青木 克憲; 山中 浩揮*; 渡辺 和彦*; 杉原 弘造
JAEA-Data/Code 2020-018, 45 Pages, 2021/02
日本原子力研究開発機構東濃地科学センターでは、深地層の科学的研究(地層科学研究)の一環として、結晶質岩(花崗岩)を対象とした超深地層研究所計画を行っており、瑞浪超深地層研究所(以下、研究所)の研究坑道を深度500mレベルまで展開している。花崗岩には一般的に微量のウランが含まれており、花崗岩地域の坑道内では、通気の状態により坑道内の空気中のラドン濃度が高くなる可能性がある。このため、研究所では研究坑道の掘削や通気方法の変更等に合わせて、適宜、ラドン濃度測定を実施してきた。この測定データは花崗岩地域の地下空間におけるラドン濃度の実測値として貴重なデータと言える。このため、平成22年度から令和元年度までの測定結果を、ラドン濃度に影響を与える坑内通気や気温の情報とともにデータ集として取りまとめ、合わせて実測値に基づいて平衡係数の検討を行った。その結果、坑内のラドン濃度は、季節による坑内と外気との温度差で発生する自然通気の影響を受け夏季は高く冬季は低くなること、また、通気開始時におけるラドンの平衡係数の一時的な上昇は、坑内の粉塵の巻き上げ等によるエアロゾルの増加が原因と考えられる等の知見が得られた。
高橋 博樹; 澤邊 祐希*; 渡邉 和彦*
Proceedings of 17th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.275 - 279, 2020/09
加速器構成機器の増加および安全・安定な加速器運転維持のために、運転員や研究者が運転時に監視すべきパラメータ(情報量)が年々増加する傾向にある。監視すべき情報が膨大であることは、運転員が全ての機器状態を完全に把握することを困難にするものである。さらには、パラメータの設定ミスなど、運転員のヒューマンエラーにもつながるものである。人員保護システム(PPS)および機器保護システム(MPS)の安全システムが堅固であるため大事に至ったことはないが、J-PARCの安全・安定した運転維持において、このようなヒューマンエラーの発生は憂慮すべきことである。そこで運転支援を目的として、機器状態を監視し、運転員に警報状態を早期に知らせるシステムの設計・制作を2017年より開始した。最初にLinacを対象とし、設定値をベースとして警報状態を検出するシステムを制作した。これをRCSを対象にしたシステムに適用するとともに、新たに通常状態(基準値,固定値)をベースとして、ヒューマンエラー等による警報状態の検出を目的とした機能の設計・制作を進めた。そして、本システムに新たに実装した基準値・固定値をベースとした監視機能が、運転員による設定ミスの検知に有効であることを確認した。本件では、J-PARC RCSにおける機器状態監視システムの現状と今後の計画について述べる。
松井 裕哉; 渡辺 和彦*; 見掛 信一郎; 新美 勝之*; 小林 伸司*; 戸栗 智仁*
第47回岩盤力学に関するシンポジウム講演集(インターネット), p.293 - 298, 2020/01
日本原子力研究開発機構は、地震による地下深部構造物への影響に着目し、瑞浪超深地層研究所の換気立坑を利用して、地表, 深度100m, 深度300m、および深度500m地点に地震観測システムを設置し、同一地震における深度方向の地震動変化を十数年間観測した。その結果、震源位置やマグニチュードの異なる十数個の地震に対する地上から地下500mまでの間の地震動観測記録を取得し、釜石鉱山での観測などの既往の研究と同様の深度方向の地震動変化に関する知見を得た。また、得られた地震動の波形データなどを用い、地震動のフーリエ振幅と位相差の深度分布を分析した所、直下型地震では理論値に近い結果になる一方、遠方の地震では理論値との乖離があることなどを確認した。
外池 幸太郎; 渡邉 友章; 郡司 智; 山根 祐一; 長家 康展; 梅田 幹; 井澤 一彦; 小川 和彦
Proceedings of 11th International Conference on Nuclear Criticality Safety (ICNC 2019) (Internet), 9 Pages, 2019/09
福島第一原子力発電所の燃料デブリ取出しに係る臨界管理は、臨界を防止する決定論的な管理ではなく、臨界による影響を緩和するリスクの考え方に基づいた管理になる可能性がある。この課題に取り組むため、原子力規制委員会・規制庁は、2014年から、日本原子力研究開発機構に委託して研究開発を進めてきている。燃料デブリの臨界特性解析、臨界解析コードの整備、臨界実験の準備、リスク解析手法の開発の進捗について報告する。
菊澤 信宏; 仁木 和昭*; 山本 昇*; 林 直樹; 足立 昌俊*; 渡邉 和彦*
Proceedings of 16th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.877 - 880, 2019/07
J-PARCのインターロックシステムは、人の安全のための人的保護システム(Personnel Protection System: PPS)および機器を保護するための機器保護システム(Machine Protection System: MPS)に大別される。J-PARCのPPSは2006年のLinacでの部分運用から始まり2009年のハドロン実験施設およびニュートリノ実験施設の稼働で完成した。その後の10年でビデオ監視システムの更新や新しいインターロックの新設などの改善や改良が行われてきた。本報告ではこれらを含めた最近の運用について述べるとともに、信頼性を維持・向上させるために実施している検査やメンテナンスについての現状を報告する。
田中 義浩*; 亀高 正男*; 岡崎 和彦*; 鈴木 一成*; 瀬下 和芳; 青木 和弘; 島田 耕史; 渡邊 貴央; 中山 一彦
応用地質, 59(1), p.13 - 27, 2018/04
上載地層法が適用できない断層の活動性評価に資するため、活断層と非活断層の断層露頭で断層面の形態観察を実施し、断層活動性評価の指標を検討した。活断層としては五助橋断層の五助ダム上流露頭と六甲断層の船坂西露頭を、非活断層として六甲蓬莱峡のK地点を対象に、断層面の「連続性」,「切断関係」,「平滑性」に着目した。連続性は「断面形状の連続区間率測定」、切断関係は「周辺構造の切断率測定」を行った。平滑性については「断面形状の平面区間率測定」、「粗さ/うねり形状の測定」及び「写真解析による算術平均粗さ測定」という3種類の測定を行い、合計5つの測定手法を検討した。本研究結果から、「断面形状の連続区間率測定」、「周辺構造の切断率測定」、「断面形状の平面区間率測定」について、活断層と非活断層を見分ける識別基準値を有する可能性が示された。なお、引き続き、識別基準値の明確化とその検証のために測定事例の追加・検討、議論が必要である。
高橋 博樹; 澤邊 祐希; 渡邉 和彦*; 川瀬 雅人*
Proceedings of 14th Annual Meeting of Particle Accelerator Society of Japan (インターネット), p.1151 - 1154, 2017/12
加速器構成機器の増加(Linac ACSなど)や安全・安定な加速器運転実現のために、運転員や研究者が運転時に監視すべきパラメータ(情報量)が年々増加する傾向にある。そして、監視画面に表示される情報が膨大になったことにより、運転員の警報やパラメータ値の見落としなどによる誤操作が起こるときがある。現時点で、PPSやMPSの安全システムが堅固であるので大事に至ったことはないが、計画されているビームパワー増強などを考慮した場合、このような誤操作は憂慮すべきことである。そこで、加速器の状態を監視し、運転員に異常を早期に知らせるシステムの製作を開始した。初期システムとしてLinacのDTQ電磁石電源等の状態監視を目的としたシステムの構築を進めた。そして、電流設定値を基準として正常範囲(上下限値)を設定し、正常範囲を逸脱した場合に警報状態を運転員に通知する機能を実現し、本システム製作の見通しを得ることができた。
坂佐井 馨; 佐藤 節夫*; 瀬谷 智洋*; 中村 龍也; 藤 健太郎; 山岸 秀志*; 曽山 和彦; 山崎 大; 丸山 龍治; 奥 隆之; et al.
Quantum Beam Science (Internet), 1(2), p.10_1 - 10_35, 2017/09
J-PARC物質・生命科学実験施設では、中性子検出器、スーパーミラーやHeスピンフィルターなどの光学機器、及びチョッパー等の中性子デバイスが開発され、据え付けられている。また、計算環境として機器制御、データ取得、データ解析、及びデータベースの4つのコンポーネントが整備されている。また、物質・生命科学実験施設では実験に使用される様々な試料環境が利用可能である。本論文では、これらの現状について報告する。
森 勝伸*; 佐柄 克哉*; 新井 香織*; 中谷 暢丈*; 大平 慎一*; 戸田 敬*; 板橋 英之*; 小崎 大輔*; 須郷 由美; 渡辺 茂樹; et al.
Journal of Chromatography A, 1431, p.131 - 137, 2016/01
被引用回数:10 パーセンタイル:45.76(Biochemical Research Methods)Selective separation and sensitive detection of dissolved silicon and boron (DSi and DB) in aqueous solution was achieved by connecting an electrodialytic ion isolation device (EID), an ion-exclusion chromatography (IEC) column, and a corona charged aerosol detector (CCAD) in sequence. They were separated by IEC using pure water eluent. Detection of DSi and DB by the CCAD was effective for much greater sensitivity than by conductimetric detection. The EID removed salt from the sample prior to the IEC-CCAD. The combination of EID, IEC and CCAD successfully separated and determined DSi and DB in artificial seawater and hot-spring water samples by eluting pure water.
小島 有志; 梅田 尚孝; 花田 磨砂也; 吉田 雅史; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 渡邊 和弘; 秋野 昇; 小又 将夫; 藻垣 和彦; et al.
Nuclear Fusion, 55(6), p.063006_1 - 063006_9, 2015/06
被引用回数:35 パーセンタイル:87.83(Physics, Fluids & Plasmas)原子力機構では、JT-60SAやITERで利用する中性粒子入射装置の開発に向けて、大型高エネルギー負イオン源による100秒を超える負イオン生成・加速の実証を目指した研究を進めている。まず、JT-60SA用負イオン源の負イオン生成部のプラズマ閉じ込め用磁石配置を変更することにより、生成されたプラズマの密度分布を一様化することに成功した。これにより、引出領域の83%から一様な負イオンビームを生成し、これまでの最高値17Aを大きく超える32Aの負イオン電流を1秒間引き出すことに成功した。この磁場配位とこれまでに開発した長時間負イオン生成用温度制御型プラズマ電極を適用し、さらに負イオン電流のフィードバック制御手法を用いることにより、15Aの大電流負イオンビームを100秒間維持することに成功した。これは、JT-60SAの定格の68%の電流に相当し、パルス幅は定格を満たしている。また、ITER用高エネルギー加速器の開発に向けては、負イオンビームが加速途中で電極に衝突して生じる熱負荷を低減するだけでなく、負イオンと同時に引き出される電子を熱的に除去することが重要であった。今回、冷却構造を改良することにより従来の5倍の電子熱負荷を許容できると共に、残留磁場で偏向する負イオンビームの軌道制御機構を組み合わせて、新しい引出部を開発した。その結果、700keV、100A/mの負イオンビームを従来の7倍以上長いパルス幅である60秒間維持することに成功した。
川本 康司; 村上 裕晃; 石橋 正祐紀; 笹尾 英嗣; 渡辺 和彦; 見掛 信一郎; 池田 幸喜
JAEA-Data/Code 2014-014, 27 Pages, 2014/08
本データ集は、2011年度から2013年度にかけて、瑞浪超深地層研究所の深度500mステージの掘削に伴って実施した壁面地質調査の結果を取りまとめたものである。調査の結果、深度500mステージには後期白亜紀の土岐花崗岩が分布するが、部分的にペグマタイトやアプライト,ランプロファイアー岩脈が分布することが判明した。
川本 康司; 黒岩 弘; 山田 信人; 大貫 賢二; 大森 一秋; 竹内 竜史; 尾方 伸久; 大森 将樹; 渡辺 和彦
JAEA-Technology 2014-011, 92 Pages, 2014/07
本報告書は、深度500m研究アクセス南坑道における先行ボーリング(12MI32号孔)の調査結果を取りまとめたものである。調査では、地質学的,水理学的,地球化学的データを取得するとともに、地下水水圧の初期状態および坑道掘削時の変化の把握を目的に水圧モニタリング装置を設置した。調査の結果、中粒から粗粒の等粒状組織を示す黒雲母花崗岩が分布し、岩級はCMB級である。断層角礫を伴う小規模断層が48.90mabh付近に認められたが、当初モデルで推定していたS200_13断層およびIF_SB3_13_3断層は認められなかった。割れ目密度は、40.00
80.00mabh区間で大きい。孔内湧水は78.83mabhで最大600L/minであった。透水係数は、湧水の少ない区間で2.0E-9
1.5E-08m/sec、割れ目が集中し湧水量が多い区間で1.1E-05
1.6E-05m/secの範囲であった。地下水の水質は、Na, Clに富む水質であった。
花田 磨砂也; 小島 有志; 田中 豊; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 梅田 尚孝; 秋野 昇; et al.
Fusion Engineering and Design, 86(6-8), p.835 - 838, 2011/10
被引用回数:9 パーセンタイル:59.15(Nuclear Science & Technology)JT-60SAにおいては、12基の正イオン中性粒子入射装置(NBI)と1基の負イオンNBIを用いて、合計30MWの重水素原子を100秒間プラズマへ入射することが要求されている。正イオンNBIにおいては、1基あたり1.7MW, 85keVの重水素原子の入射に向けて、既存の正イオンNBIの電源の一部や磁気シールドを改造する設計を進めている。電源に関しては設計をほぼ完了し、改造機器の仕様を決定した。磁気シールドに関しては工学設計をほぼ完了し、今後、製作設計を開始する予定である。500keV, 10MW入射が要求されている負イオンNBIにおいては、同装置の心臓部である負イオン源の開発を強力に進めている。負イオン源内の真空絶縁を改善することによって、負イオン源の耐電圧を従来の400kVから設計電圧である500kVに大幅に改善した。加えて、イオン引き出し面積の約20%を用いたビーム生成実験において、2.8A, 500keVの水素負イオンビーム生成に成功した。本結果は1A以上の負イオンビームを500keV以上のエネルギーまで加速した世界初の成果である。開発に加えて、設計・調達においても、500kV加速電源の改造設計を完了し、2010年度から調達を開始する。
花田 磨砂也; 小島 有志; 井上 多加志; 渡邊 和弘; 谷口 正樹; 柏木 美恵子; 戸張 博之; 梅田 尚孝; 秋野 昇; 椛澤 稔; et al.
AIP Conference Proceedings 1390, p.536 - 544, 2011/09
被引用回数:7 パーセンタイル:85.61JT-60SAにおいては、12基の正イオン中性粒子入射(NBI)装置と1基の負イオンNBI装置を用いて、合計30-34MWの重水素中性粒子ビームを100秒間プラズマへ入射することが要求されている。正イオンNBIに関しては、JT-60SAの設計値である1基あたり2MW, 85keVの重水素中性粒子ビームの入射を達成している。その際、イオン源やイオンダンプ等のビームライン機器は、100秒入射が要求されるJT-60SAで既存の装置を改造することなく再使用できる見通しを得ている。また、10MW, 500keV入射が要求されているJT-60SAの負イオンNBI装置のための開発においては、500keV, 2.8Aの水素負イオンビーム生成に成功している。これは、1A以上の負イオンビームを500keV以上のエネルギーまで加速した世界初の成果である。今後、実験装置を整備し、負イオンの100秒間生成のための開発研究を実施する予定である。
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 河合 視己人*; 秋野 昇; 椛澤 稔; 小又 将夫; 藻垣 和彦; 薄井 勝富; 佐々木 駿一; et al.
Nuclear Fusion, 51(8), p.083049_1 - 083049_8, 2011/08
被引用回数:47 パーセンタイル:88.36(Physics, Fluids & Plasmas)JT-60NNBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が低く、入射パワーが制限されていることが大きな問題であった。そこで、負イオン源内の真空絶縁距離を調整し、単段の要求性能を超える各段200kVを保持することに成功した。この結果を踏まえて負イオン源を改良し、従来よりも短いコンディショニング時間で500kVの印加に成功し、設計値である490kVを加速電源の限界である40秒間絶縁破壊することなく保持することにも成功した。そして、1/5のビーム引き出し領域からビーム加速試験を実施し、従来410keVが最高であったビームエネルギーを最高507keVまで上昇させることに成功した。また、486keVのビームでの負イオン電流値は18m離れたカロリーメーターで2.8A(84A/m)が得られた。通常、過度のギャップ長延長はビーム光学の劣化を引き起こすが、今回のギャップ長ではビーム光学の大きな劣化がないことを計算及び実験で確認した。これらの結果はJT-60SAやITERのNBIにおける耐電圧設計に大きく貢献するものである。
小島 有志; 花田 磨砂也; 田中 豊*; 河合 視己人*; 秋野 昇; 椛澤 稔; 小又 将夫; 藻垣 和彦; 薄井 勝富; 佐々木 駿一; et al.
Proceedings of 23rd IAEA Fusion Energy Conference (FEC 2010) (CD-ROM), 8 Pages, 2011/03
JT-60N-NBIの負イオン源は今まで耐電圧性能が低く、入射パワーが制限されているのが問題であった。そこで、加速電極の間隔を拡げて、負イオン源内の最短の真空絶縁距離である支持枠角部の電界集中を低減した結果、単段の要求性能を超える200kVを保持することに成功し、設計指標となっていた大型の負イオン源では小型電極よりも6から7倍程度長い真空絶縁距離が必要であることが明らかになった。その理由として電極の面積が100倍異なることだけでなく、1080個もある電極孔や支持枠等の局所電界の電界分布が影響していることが小型電極の実験結果から予測される。そして、1/5のビーム引き出し領域からビーム加速試験を実施した結果、従来420keVが最高であったビームエネルギーを最高507keVまで上昇させることに成功した。ギャップ長を増加させたことによりビーム光学が劣化して電極熱負荷が増大することが懸念されたが、今回のギャップ長の範囲ではビーム光学の劣化がないことを確認した。これらの結果はJT-60SAやITERのNBIにおける耐電圧設計に大きく貢献するものである。