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論文

Self-shielding effect of unresolved resonance data in JENDL-4.0

今野 力; 加藤 祥成*; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 佐藤 聡

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.606 - 609, 2014/04

2007年の核データ国際会議で、自己遮蔽にかかわるJENDL-3.3の非分離共鳴データの問題を指摘した。今回、この非分離共鳴データの問題がJENDL-4.0でどのように変わったかを簡単なテスト計算で調べた。その結果、JENDL-3.3で見られた非分離共鳴データの上限エネルギー付近での中性子スペクトルの段差は解消されていることがわかった。一方、上限エネルギー付近の中性子束は、非分離共鳴による自己遮蔽効果で、JENDL-3.3を用いた場合よりも大きくなり、これほどの自己遮蔽効果には疑問が残る。非分離共鳴による自己遮蔽効果の妥当性を検証するベンチマーク実験はこれまでほとんど行われておらず、今後、このような実験を行う必要がある。

論文

Evaluation of the neutron response of a criticality accident alarm system detector

辻村 憲雄; 吉田 忠義

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.737 - 740, 2014/04

臨界警報装置用放射線検出器の中性子レスポンスを決定するための実験を行った。このため、著者らは、$$^{252}$$Cf中性子線源と鉛ブロックからなる中性子校正場を作成した。ここで、鉛ブロックは中性子を通す一方で無用の$$gamma$$線を遮った。評価された中性子レスポンスは、シミュレーション計算によって事前に予測されたレスポンスによく一致することが確認された。

論文

Development of radionuclide distribution database and map system on the Fukushima nuclear accident

関 暁之; 武宮 博; 高橋 史明; 斎藤 公明; 田中 圭*; 高橋 悠*; 竹村 和広*; 津澤 正晴*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.47 - 50, 2014/04

福島第一原子力発電所事故に対策すべく、その基盤となる情報を保管・提供する放射性物質の分布データベース及びマップシステムについて説明する。巨大な地震と津波により、福島第一原子力発電所は甚大な被害を受け、そこから放射性物質が福島県及び近隣県に拡散していった。このような状況の中、放射線量等の情報が迅速かつ正確に収集・解析され、広く世界に提供されることが必要である。われわれは放出された放射性物質の現状の分布状況を把握し、今後の除染活動を支援すべく、これら情報を保管・提供する分布データベース及びマップシステムを構築した。

論文

In-situ radioactivity measurement for the site release after decommissioning of nuclear power plants

田中 忠夫; 島田 太郎; 助川 武則

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.832 - 835, 2014/04

日本では、原子炉施設解体後の敷地は有効活用することを基本方針としている。敷地解放にあたっては、有意な残存放射能がないことを事前に確認しなければならない。本研究では、原子炉施設についての代表的な指標核種の1つである$$^{60}$$Coを対象として、敷地に残存する核種濃度を保守的かつ合理的に評価する手法を提案するとともに、その妥当性を試験により確認した。あらかじめ測定対象と定義した範囲内に存在するすべての$$^{60}$$Coが、その範囲で最も遠い表面に点線源で存在すると仮定する。このような体系で、$$^{60}$$Co線源が有意に検出される最小時間をMonte Carlo計算によって推定する。推定した必要計測時間以上の測定で検出されなければ、点線源相当の$$^{60}$$Coは対象範囲内に残存しないことが証明できる。そこで、可搬型Ge検出器を用いて、敷地に埋設した密封$$^{60}$$Co線源の計測試験を実施した。計算から推定した最小検出時間は、実測時間とおおむね一致した。これら結果から、提案した評価手法が残存放射能の保守的な検認に適用可能であることを確認した。

論文

Measurement of neutron yields from a water phantom bombarded by 290 MeV/u carbon ions

執行 信寛*; 魚住 祐介*; 上原 春彦*; 西澤 知也*; 平林 慶一*; 佐藤 大樹; 佐波 俊哉*; 古場 裕介*; 高田 真志*; 松藤 成弘*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.709 - 712, 2014/04

重粒子線治療では、患者体内に入射した重イオンビームによる核反応により、中性子をはじめとする2次放射線が生成される。重粒子線施設における治療室の遮へい設計のためには、患者を線源とした2次中性子の放出エネルギー及び角度分布を精度よく知る必要がある。これまでに測定された実験データは、独国GSIグループによる前方角度領域におけるもののみである。そこでわれわれは、放射線医学総合研究所HIMACにおいて、患者を模擬した水ファントムに治療に用いる290MeV/uの炭素ビームを入射し、15度から90度の広い角度領域で中性子生成量を測定した。水ファントムは厚さ20cmであり、入射炭素イオンはファントム内で完全に停止する。中性子検出器には、液体有機シンチレータNE213を採用し、その検出効率はSCINFUL-QMDコードを用いて求めた。中性子エネルギーは、飛行時間(TOF)法にて決定した。床散乱の寄与を評価するため、水ファントムとシンチレータの間に鉄製のシャドウバーを挿入した測定も行った。データ解析において、荷電粒子及び$$gamma$$線によるイベントを除去することにより、広い放出エネルギー、放出角度における中性子エネルギースペクトルの導出に成功した。また、取得した実験データとPHITSコードによる計算結果との比較を通して、PHITSコードの重粒子線治療施設の遮へい設計への応用についても議論した。

論文

Benchmark test of JENDL-4.0 with TOF experiments at Osaka Univ./OKTAVIAN

加藤 祥成*; 高倉 耕祐; 太田 雅之; 落合 謙太郎; 佐藤 聡; 今野 力

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.596 - 600, 2014/04

2010年に公開された核データライブラリJENDL-4.0の遮蔽、核融合分野でのベンチマークテストを進めている。今回、20年以上前に大阪大学強力14MeV中性子工学実験装置OKTAVIANで行われた種々の球体系からの漏洩中性子スペクトル測定実験の解析をJENDL-4.0を用いて行った。今回、JENDL-4.0で改定された核種を含むCF$$_{2}$$, Si, Ti, Cr, Mn, Co, Cu, As, Se, Zr, Nb, Mo, W実験の解析を、モンテカルロ中性子・光子輸送計算コードMCNP5及びJENDL-4.0を用いて行った。また、比較のために、JENDL-3.3, JEFF-3.1, ENDF/B-VII.0を用いた解析も実施した。その結果以下のことがわかった。(1)Si, As, Se, Mo, W実験:JENDL-3.3を用いた解析結果と比較し、全体的に実験との一致が良くなった。(2)CF$$_{2}$$, Ti, Co, Cu, Zr実験:JENDL-3.3を用いた解析結果とほぼ同じ。(3)Cr, Mn, Nb実験:JENDL3.3を用いた解析結果とほぼ同じであるが、一部、実験との一致は悪くなった。

論文

Development of internal dosimetry evaluation code for chronic exposure after intake of radionuclides

木村 仁宣; 木名瀬 栄; 波戸 真治*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.60 - 63, 2014/04

The Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident resulted in a wide range of radioactive contamination. The national government and local governments implemented food restrictions to reduce internal exposure from the intake of foodstuffs. It is important that the averted doses to the public are calculated and the effect of these protective actions is evaluated to improve the protective action strategy. Therefore, the assessment of internal doses for chronic exposures is needed because the public takes foodstuffs in daily life. In the present study, we develop the DSYS-chronic code to evaluate internal doses for the chronic exposures. The code has GI-tract model, respiratory tract model, and biokinetic and bioassay models for the ICRP. In the DSYS-chronic, internal doses can be evaluated for continuous or discontinuous intake. The present study shows the outline of the DSYS-chronic and the example of evaluation results of internal doses for the chronic exposures.

論文

Characterization of quasi-monoenergetic neutron source using 137, 200, 246 and 389 MeV $$^{7}$$Li(p,n) reactions

岩元 洋介; 萩原 雅之*; 岩瀬 広*; 八島 浩*; 佐藤 大樹; 松本 哲郎*; 増田 明彦*; Pioch, C.*; Mares, V.*; 嶋 達志*; et al.

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.657 - 660, 2014/04

100MeVを超える高エネルギー準単色中性子照射場を開発するために、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において、137, 200, 246, 389MeVの$$^{7}$$Li(p,n)反応から生成する、0$$^{circ}$$から30$$^{circ}$$の間の7角度における中性子エネルギースペクトルを、有機液体シンチレータNE213と飛行時間法を用いて測定した。0$$^{circ}$$における中性子エネルギースペクトルは、単色成分と連続成分からなり、全体成分に対する単色成分の比率は0.4$$sim$$0.5であった。また、角度が大きくなるにつれて、連続成分のスペクトル形状が大きく変化することがわかった。さらに、この照射場を利用し、放射線モニタの校正を行うにあたっては、連続成分の寄与を小さくするために、0$$^{circ}$$と約22$$^{circ}$$に放射線モニタを設置し、その応答の差をとる手法が最も良いことがわかった。

論文

Evaluation of retention and excretion function to members of the public for chronic intake of radionuclides

波戸 真治*; 木名瀬 栄; 木村 仁宣

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.36 - 38, 2014/04

After the Fukushima Daiichi Nuclear Power Plant accident, the daily diet is of concern to expose internally through foodstuffs. To dispel the concern, it is important to measure the radiation in the bodies and to estimate internal doses. The radiation in the bodies of the Fukushima residents is measured by using whole body counting scanners. Predicted values of measured quantities (whole-body content and daily urinary excretion) are given as retention and excretion functions of time following a single intake in the ICRP's Publ.78. However, since the evaluation for internal doses due to chronic intake is required, these retention and excretion functions cannot apply. We developed the DSYS-Chronic code that can evaluate retention and excretion functions following a continuous inhalation or ingestion. The present study evaluates retention and excretion to members of the public for chronic intake using the DSYS-Chronic and examines the impact.

論文

Measurement of neutron energy spectra behind shields for quasi-monoenergetic neutrons generated by 246-MeV and 389-MeV protons using a Bonner sphere spectrometer

松本 哲郎*; 増田 明彦*; 西山 潤*; 原野 英樹*; 岩瀬 広*; 岩元 洋介; 萩原 雅之*; 佐藤 大樹; 八島 浩*; 中根 佳弘; et al.

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.332 - 336, 2014/04

高エネルギー加速器施設における合理的な遮へい設計のためには、広い中性子エネルギー領域に渡った遮へい体透過後の中性子スペクトルに関する知見が必要がある。本研究では、減速型中性子検出器であるボナー球スペクトロメータ(BSS)を用いて、コンクリート及び鉄遮へい体を透過した中性子のエネルギースペクトルを数100MeVから熱領域まで測定した。測定では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において開発した246MeV及び389MeV準単色中性子ビームを、厚さ10cmから100cmの鉄、及び25cmから300cmのコンクリートに入射し、その後方で中性子を検出した。本研究で使用したBSSは、熱中性子に感度がある$$^{3}$$He比例計数菅及び直径3から9.5インチのポリエチレン減速材に加え、高エネルギー中性子にも感度を持たせるため鉛と銅からなる減速層を追加している。中性子エネルギーは、アンフォールディング法に基づくMAXEDコードにより導出した。アンフォールディングの際の初期スペクトルには、有機シンチレータで測定したデータを採用した。これにより、核破砕反応による高エネルギー中性子成分から熱平衡ピークまでを含む幅広い中性子スペクトルを決定することができた。

論文

Shielding benchmark experiment using hundreds of MeV quasi-monoenergetic neutron source by a large organic scintillator

萩原 雅之*; 岩瀬 広*; 岩元 洋介; 佐藤 大樹; 松本 哲郎*; 増田 明彦*; 八島 浩*; 中根 佳弘; 中島 宏; 坂本 幸夫; et al.

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.327 - 331, 2014/04

高エネルギー加速器施設における合理的な遮へい設計のためには、遮へい体に対する中性子の減衰を実験データに基づき精度良く評価する必要がある。本研究では、大阪大学核物理研究センター(RCNP)において開発した数百MeV領域の準単色中性子源を用いて、厚さ10cmから200cmのコンクリート及び鉄遮へい体後方での中性子エネルギースペクトルを、直径及び厚さが25.4cmの大型有機シンチレータを用いて測定した。中性子エネルギースペクトルの高エネルギー部分は飛行時間法を、中低エネルギー部分(下限エネルギー数MeV)はアンフォールディング法を用いてそれぞれ導出した。大型有機シンチレータを採用したことにより、エネルギー依存性の良い波高データの取得が可能となり、アンフォールディング法のエネルギー分解能を向上させることができた。得られた中性子スペクトル及び中性子減弱曲線を、粒子・重イオン輸送コードPHITSの計算値と比較した。その結果、両者は極めてよく一致することがわかった。この知見は、コンクリート及び鉄に対する高エネルギー中性子の減弱係数の評価にとって非常に有益である。

論文

Research activities on JASMIN; Japanese and American Study of Muon Interaction and Neutron detection

中島 宏; Mokhov, N.*; 他28名*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.191 - 196, 2014/04

ミュオン及び中性子反応に関する日米協力研究JASMINでは、一連の実験的研究を、米国国立フェルミ加速器研究所における120GeV陽子ビームを用いて行った。このビームにより生じた二次粒子を、ターゲット周囲において、さまざまな検出器、ドジメーターを用いて測定した。また、鉄,コンクリート,岩石等を透過する二次粒子についても同様に測定した。また、これら核破砕反応に関する放射化断面積及び残留核の質量分布等の核データについては放射化法により測定した。二重微分中性子生成量についても、飛行時間法を用いて測定した。これらについてPHITSやMARS等の計算結果と比較したところ、全体的に一致することが示された。現在、さらに詳細な解析を進めている。

論文

Measurement of radioactive fragment production excitation functions of lead by 400 MeV/u carbon ions

小川 達彦; Morev, M.*; 飯本 武志*; 小佐古 敏荘*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.574 - 577, 2014/04

400MeV/uの炭素イオンを鉛ターゲットに照射し、ターゲット内部に発生した放射性フラグメントの分布を測定した。そして、得られたフラグメントの分布から、フラグメント生成反応断面積を0$$sim$$400MeV/uの範囲でエネルギーの関数として求めた。実測で得た断面積は比較可能な先行研究の実験値と比較して妥当な一致を示したことから、本研究で考案した実験法により、これまで困難であった数百MeV/uのエネルギーにおけるフラグメント生成反応断面積のエネルギー依存性の測定が可能であることが確認できた。実験結果と放射線輸送計算コードPHITSの計算値を比較すると、PHITSは核分裂フラグメントより軽い生成物を過小評価することに加え、エネルギー150MeV/u以上で過小、100MeV/u以下で過大な断面積を与えることがわかった。

論文

New approach for describing nuclear reactions based on intra-nuclear cascade coupled with DWBA

橋本 慎太郎; 岩元 洋介; 佐藤 達彦; 仁井田 浩二*; Boudard, A.*; Cugnon, J.*; David, J.-C.*; Leray, S.*; Mancusi, D.*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.418 - 421, 2014/04

近年、基礎研究や医療の分野において加速器中性子源の応用が盛んに行われている。そのような施設の設計の際には中性子の生成量を適切に評価できる計算コードが必要であり、粒子輸送計算コードPHITSはその用途に適したものの一つである。本研究では、生成される中性子の量をより正確に計算するために、核内カスケード模型INCLをもとにして、それにDWBA(歪曲波ボルン近似)計算による離散スペクトルの成分を加えた新しい手法を提案した。中性子生成量全体に対する離散スペクトルの寄与は少ないものの、入射エネルギーと同程度のエネルギーをもった中性子を放出するため正確な記述が求められる。本手法の有効性を検証するために、Li, Be, C等を標的とし入射エネルギーが10から100MeVの陽子・重陽子入射反応の解析を行った。その結果、従来の核反応模型では再現できなかった中性子スペクトルを、本研究で提案した手法で適切に評価できることを確認した。

論文

Estimation of dry deposition velocities of radionuclides released by the accident at the Fukushima Dai-ichi Nuclear Power Plant

竹安 正則; 住谷 秀一

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.64 - 67, 2014/04

福島第一原子力発電所後に核燃料サイクル工学研究所で測定されたI-131とセシウム同位体の大気中放射性物質濃度と大気降下量データをもとに、大気中放射性物質の地表への沈着速度を見積もった。その結果、沈着速度は10$$^{-3}$$m/sオーダーであった。東海再処理施設周辺でのこれまでの環境放射線モニタリング結果から見積もられたI-129の沈着速度、及びチェルノブイリ事故後に当研究所でのモニタリング結果から見積もられたI-131の沈着速度と同じオーダーであった。福島原発事故により放出されたI-131とセシウム同位体にはガス状の成分が含まれており、その成分の比率により沈着速度がばらついたことが推測された。

論文

Development of neutron spectrum unfolding method for advanced nuclear emulsion

前田 茂貴; 伊藤 主税; 石原 康平*; 高木 恵輔*; 湊 春奈*; 坂井 陽介*; 河原林 順*; 富田 英生*; 井口 哲夫*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.665 - 669, 2014/04

本研究では、原子炉の使用済燃料棒周辺等における高$$gamma$$線バックグラウンド下での中性子測定に向けて、新型の原子核乾板とアンフォールディング手法を組合せた測定手法の開発を行っている。原子核乾板には中性子起因の反跳陽子による飛跡が記録される。反跳陽子の飛跡長は中性子のエネルギーに依存することから、その応答関数を評価し、飛跡長から中性子エネルギースペクトルをアンフォールディングによって評価できることを示した。

論文

Practice for reducing contamination of controlled area under the influence of Fukushima nuclear accident

吉富 寛; 立部 洋介; 川井 啓一; 古渡 意彦

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.81 - 84, 2014/04

原子力機構放射線標準施設(FRS)は、線量計等の校正を行う施設である。FRSは福島第一原子力発電所から120kmに位置しており、2011年3月の福島第一原子力発電所事故で放出された放射性物質によって、建屋周辺から内部の管理区域に至るまで広範囲に汚染された。事故から1か月後のFRS管理区域内の汚染レベルは、最大で3.8Bq/cm$$^2$$であり、汚染核種は、$$^{137}$$Cs, $$^{134}$$Cs, $$^{131}$$I, $$^{132}$$Te、及び$$^{132}$$Iであった。広範囲に汚染された環境下において管理区域内にもたらされる汚染については、これまでのところ、あまり知見がない。一方で、FRSでは被校正器への放射性物質の付着等によって、校正業務に影響を及ぼすことが懸念され、管理区域の汚染低減化は必須であった。汚染低減の取り組みの中で、(1)蒸気や水拭きによる除染、(2)管理区域への土埃の侵入阻止、が有効であることがわかった。結果として、管理区域内の汚染による表面密度は、外部と比較して数十分の1に低減することができた。

論文

Neutron fluence monitoring system in mono-energetic neutron fields at FRS/JAEA

谷村 嘉彦; 藤井 克年; 堤 正博; 吉澤 道夫

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.388 - 391, 2014/04

放射線標準施設棟(FRS)では、加速器を利用した単色中性子校正場を開発した。8keVから19MeVの範囲で、ISO 8529-1及びJIS Z4521等の国内外の規格に準拠したエネルギー点の校正場が利用可能である。校正場において、中性子フルエンスを以下に精度よく決定するかが最も重要な項目である。そこで、ロングカウンタを校正場に設置して、中性子発生量をモニタリングできるシステムを構築した。本発表では、中性子モニタの種類とその概要、中性子フルエンスの決定法などについて報告する。

論文

Determination of neutron fluence in 1.2 and 2.5 MeV mono-energetic neutron calibration fields at FRS/JAEA

谷村 嘉彦; 堤 正博; 吉澤 道夫

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.392 - 395, 2014/04

FRSでは4MVペレトロン加速器と$$^{3}$$H(p,n)$$^{3}$$He反応を利用して、1.2MeV及び2.5MeV単色中性子校正場を開発している。校正には、中性子フルエンスを精度良く決定する必要がある。そこで、ポリエチレンコンバータ付半導体検出器(CH$$_2$$-SSD)を開発した。従来のCH$$_2$$-SSDは、感度が低いため、フルエンスの精度の高い決定が難しかった。そこで、面積3,000mm$$^2$$の大型シリコン検出器を使用することにより、十分な感度を有するCH$$_2$$-SSDを開発した。感度はNRESP-ANTコード及びPHITSコードを用いて計算した。測定した結果、1m位置の最大フルエンスは1.2MeV及び2.5MeV校正場でそれぞれ1,000及び2,000cm$$^{-2}$$s$$^{-1}$$であることがわかった。

論文

Flexible heat-resistant neutron and $$gamma$$-ray shielding resins

助川 篤彦; 穴山 義正*

Progress in Nuclear Science and Technology (Internet), 4, p.627 - 630, 2014/04

高分子樹脂と中性子吸収物質や$$gamma$$線減衰物質を混練することにより耐熱性を有するフレキシブルな中性子や$$gamma$$線遮蔽樹脂材を開発した。低価格な遮蔽材とするため、製作工程を大幅に簡素化し、樹脂母材と重金属類等を化学反応のみで混練する新たな技術で製作した。開発した耐熱型中性子遮蔽樹脂材は、耐熱性が要求されるJT-60SA装置のような超伝導トカマク核融合試験装置の追加型遮蔽材として真空容器周辺のポートストリーミング低減のために適用することが可能である。一方、開発した耐熱型$$gamma$$線遮蔽樹脂材は、核融合試験装置のポート内の計測器用コリメータに適している。

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