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林田 一貴; 加藤 利弘; 久保田 満; 岩月 輝希
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分事業では、地上からの様々な調査によりその適性が確認された地質環境に地層処分場が建設される。一方で、その建設・操業時には坑道が大気環境になることや、長期にわたる地下水の排水、セメント材料の使用などの環境擾乱により、地下施設閉鎖後の化学環境が事前の調査により理解された状態と異なる可能性がある。本研究では、地下施設の建設・操業により乱された化学環境の確認とその形成プロセスの理解を目的として、岐阜県瑞浪市の瑞浪超深地層研究所において、花崗岩の深度500mに建設された研究坑道の一部(以下、冠水坑道)を止水壁により閉鎖し、周辺の地下水によって冠水させた。その後、約1年間にわたり定期的に冠水坑道内の地下水を採取し、主要成分濃度、トレーサー(蛍光染料)濃度、pH、酸化還元電位などの観測を行った。その結果、地下水のpHの上昇や還元的環境の回復が確認された。また、地球化学計算コードPHREEQCにより主要な化学反応プロセスの解析を行った。
笹尾 英嗣
no journal, ,
高レベル放射性廃棄物の地層処分において、日本学術会議は割れ目の少ない岩盤を処分場候補地とすることが望ましく、それには地質履歴から割れ目の少ない岩盤を探す論理立てを確立することが必須であるとしているが、割れ目分布を調査した事例は限られている。そこで、割れ目を評価するための代替情報として、一般的なボーリング調査で取得されるRQD(Rock Quality Designation)に着目し、土岐花崗岩を事例としてRQDと割れ目頻度の関係を検討した。検討では、瑞浪超深地層研究所周辺の地表と研究坑道内から掘削したボーリング調査で得られた割れ目データからボーリング孔ごとにRQDの平均を計算し、割れ目頻度と比較した。その結果、RQDの平均と割れ目頻度の間には明瞭な相関があることが明らかになった。また、掘削長100mごとにRQDの平均を求めて割れ目頻度を比較した結果、相関は若干悪くなるものの、両者には相関が認められた。この結果から、1mごとに得られるRQDを適当な区間長で平均することによって、割れ目の多寡の評価に活用できる見通しが得られた。
村上 裕晃; 渡邊 隆広; 岩月 輝希
no journal, ,
岐阜県東濃地域に分布する花崗岩中の地下水を対象として、地球化学計算コードPHREEQCにより起源となる表層水と花崗岩中の鉱物の水-鉱物反応の熱力学的解析を行い、主に地下水のpHと水質を理論的に再現することで、長期的な水質形成に関わる主要なプロセスについて考察した。地下水の滞留時間が数千年から1万数千年の地下水と数万年以上の地下水の地球化学特性を熱力学的に計算した結果、長期的な地下水のpHに関わる主要な水-鉱物反応を推定することができ、どちらの領域の地下水もpHがアルカリ性を示すことが明らかとなった。本解析で取り扱った鉱物は花崗岩を構成する代表的な鉱物であり、花崗岩地域において天水由来の表層水が地下に浸透して地下水が形成される場合、地下水のpHは普遍的にアルカリ性になることが示唆された。
梅田 浩司*; 浅森 浩一; 雑賀 敦; 西村 卓也*
no journal, ,
本研究では、西南日本における地下水・温泉ガスのヘリウム同位体比データをコンパイルし、GNSS観測によって見出された山陰ひずみ集中帯の分布や地震活動等との比較を行った。その結果、ひずみ集中帯におけるヘリウム同位体比は高い傾向にあること等が明らかになった。このことは、概要調査等において重要となる地下深部のマグマや流体の把握において、地球化学, 測地学, 地震学といった複数分野の情報を総合的に用いて検討することが、その信頼性を向上させるために有効であることを示唆する。
尾崎 裕介; 尾上 博則; 高山 裕介; 高安 健太郎; 竹内 竜史
no journal, ,
本研究では、瑞浪超深地層研究所の深度500mに位置する冠水坑道で実施しているボーリングピットの埋め戻し試験を対象として、埋め戻し材内部の飽和度変化に影響を与える要因を数値解析を用いて推定した。埋め戻し材の膨潤変形の有無を考慮した解析を実施したところ、埋め戻し材の膨潤特性は飽和度変化にあまり影響しないことを確認した。また、埋め戻し材の透水性に関する解析では、実際に想定される埋め戻し材の透水性よりも100倍高い場合を想定した解析結果においても、定常状態に至るまで200日程度かかり、ピット中心付近では完全に飽和しないことが確認された。これに対し、不飽和特性を変化させた場合の解析では、モーレム定数を大きくした場合に埋め戻し材が数日程度でほぼ飽和することが確認された。これらの結果より、埋め戻し材の不飽和特性が埋め戻し材内部の飽和度変化に影響を与えるパラメータであり、埋め戻し材の飽和度変化を精度よく推定するためには、不飽和特性に関するデータを取得することの必要性が示された。
Martin, A.*; 浅森 浩一; 石丸 恒存
no journal, ,
変動地形が明瞭でない活断層、いわゆる未知の活断層の存在を評価することは、概要調査等において重要であると考えられる。これまで未知の活断層の存在に関する確率分布は、すでに認識されている活断層の分布密度から評価されてきた。本発表では、2000年鳥取県西部地震や2016年鳥取県中部地震が発生した領域での適用事例を通じて、既知の活断層の分布密度のほか、未知の活断層に関連する複数の地球科学的情報(断層ガスのヘリウム同位体比や地震活動)を、ベイズ推論により考慮した確率分布計算手法を提示する。
佐藤 達彦; 片岡 龍峰*; 保田 浩志*; 久保 勇樹*; 石井 守*; 三宅 晶子*; Park, I.*; 三好 由純*
no journal, ,
太陽高エネルギー粒子(SEP)による航空機乗務員の被ばく線量予報は、宇宙天気研究の中でも最も難しい課題の1つである。我々は、科学研究費補助金新学術領域PSTEPの枠組みで、SEPによる航空機被ばく警報システムWASAVIESを開発している。WASAVIESは、物理モデルに基づいてSEPフラックスを計算するため、被ばく線量の現況のみならず予報が可能となる。本発表では、WASAVIESの概要を紹介するとともに、現在開発中の自動計算アルゴリズムの特徴などに関して説明する。
操上 広志; Malins, A.
no journal, ,
放射性セシウムは土壌への強い収着特性を有する一方、深度方向に緩やかに移動し、その結果として空間線量率は物理減衰以上の低減を示している。本報告では、収脱着の反応速度を考慮した移流分散モデルおよび放射線輸送モデルを用い、放射性セシウムの深度分布変化に基づく空間線量率変化の予測結果を例示する。空間線量率の低下は、フォールアウト後10年程度まで放射性セシウムの土壌深度方向への移動により物理減衰以上であることが期待される。その後は、放射性セシウムの土壌への固定化が進むとともに物理減衰程度になると想定される。
島田 耕史; 末岡 茂; 照沢 秀司
no journal, ,
上載地層法が適用できない場合の破砕帯の活動性評価を進める際に、非活動的な破砕帯の小規模構造の事例は参考となる。そこで本報告では花崗岩中に発達する小規模破砕帯を紹介する。試料は、福井県敦賀半島北部のもんじゅ敷地の花崗岩中にみられる破砕帯から得られたものである。主すべり層の外側の厚さ約1cm部分に、平均せん断ひずみ(1.6)が肉眼的に見られる形で保存されており、変形は延性的である。主すべり層の端部付近の最新活動を示す変形微小構造は、厚さ約1cmのカタクレーサイトからなるひずみ集中帯中にみられる。石英の再結晶組織は認められない。黒雲母は引き伸ばされ、面構造を規定し、非対称紡錘形の粒子が右ずれセンスを示す。結晶内塑性変形を示す黒雲母と、破砕変形を示す石英、長石類の共存は、破砕帯が準脆性流動を生じつつ形成されたことを示しており、最新活動時期の変形環境は高温であり、活断層ではないことを示している。
渡辺 貴善; 石井 康雄; 新里 忠史; 佐々木 祥人; 三田地 勝昭*
no journal, ,
東京電力福島第一原子力発電所の事故に対する森林の除染作業では、林縁から20mの範囲で落葉等の除去が行われている。落葉が除去されてことにより地面が露出し、降雨での地面の侵食が変化すると考えられる。本件は、除染が行われた森林において、土砂流出を観測するための土砂受けを設置し、土砂の移動を観測した結果を報告するものである。土砂流出の観測は、長さ4m、幅2mのプロットを設定し、プロット下端に斜面から流出する土砂を捕捉するための枠を設置して行った。2016年3月12月に斜面から流出した土砂を回収したところ、土砂量の時間変化は雨量と良い相関が見られた。
吉田 孝紀*; 葉田野 希*; 笹尾 英嗣
no journal, ,
本研究では、風化残留堆積物が認められる三重県北部から滋賀県南部に分布する鮮新統・更新統を対象として、地質学的・地球化学的研究によって古風化度の見積もりを行った。その結果、供給源岩と古風化度は一見すると多様であるが、供給源岩ごとに風化の程度を示す化学組成の指標(CIA値)を区別すると、花崗岩などに起源を持つグループではCIA値は85-95程度を示す一方で、玄武岩や安山岩などに起源を持つグループではCIA値は70-83程度を示すことが明らかになった。この検討から、供給源岩の識別を精緻に行うことにより、古風化度をより詳細に推定することが可能になった。
末岡 茂
no journal, ,
熱年代学は、熱による放射年代の若返りを利用して、過去の熱イベントの時期や到達温度を復元する学問領域である。この手法を地下深部の高温領域で形成された岩石に適用すればその地域の削剥史を推定することが可能で、1970年代以降、世界各地の変動帯で用いられてきた。変動地形学や構造地質学の分野においては、熱年代学的手法はすでに不可欠な手法のひとつとなっているが、本手法の解釈には、冷却、削剥、隆起という3つの互いに異なるプロセスを段階的に考慮する必要があり、しばしば混乱をもたらす。本発表では、主に年代学の専門家以外への本手法の普及・理解を目的として、熱年代の山地への応用に係る基礎的な概念や用語の整理や、日本列島における応用例などのレビューを行う。
浅森 浩一; 濱 友紀; 梅田 浩司*; 田中 秀実*
no journal, ,
地質環境の長期安定性を検討する上では、マグマや深部流体の存否と分布を把握することが重要となる。本研究では、2014年長野県北部地震の震源域周辺を対象にMT法電磁探査を適用し、地殻の二次元比抵抗構造を推定した。その結果、震源域下の上部地殻から下部地殻において、流体の存在を示唆する低比抵抗体が顕著に認められた。このことは、内陸地震の発生や断層の形成には、このような流体が関与していることを示唆する。
清水 麻由子; 佐野 直美; 植木 忠正; 安江 健一; 丹羽 正和; 鈴木 和博
no journal, ,
重鉱物の化学組成は、特に固溶体を作るものについては後背地の岩体ごとに変化していることが多いため、重鉱物の種類や存在比に加えて化学組成を知ることにより、より詳細な後背地解析が可能になる。本研究では、清水ほか(2016)のEPMAを利用した鉱物の定量分析法を、活断層とされる屏風山断層周辺の露頭から採取した堆積物試料に適用し、鉱物種の同定や存在比の計測を実施して後背地の推定を試みた。その結果、重鉱物の存在比からは堆積物の供給源に制約を与えることができなかったが、イルメナイトのMnO量およびジルコンのYO量から、露頭周辺に広く分布する伊奈川花崗岩ではなく濃飛流紋岩由来のものが支配的であることが示唆された。
丹羽 正和; 島田 耕史
no journal, ,
上載地層法が適用できない場合における、破砕帯の物質科学的解析に基づく断層の活動性評価手法の開発の一環として、断層面の石英の水和層の厚さを推定するため、二次イオン質量分析装置(SIMS)による水素イオン濃度の測定を試みた。その結果、断層面の石英の水和層厚さの分析に対しても、考古学分野における黒曜石の水和層の厚さの分析と同様に、SIMS分析が適用できる見通しが得られた。これにより、断層面の石英の水和層の発達の程度に基づき、断層の活動性を評価する手法を検討する道が開けた。
King, G.*; 末岡 茂; Ahadi, F.*; Gautheron, C.*; Herman, F.*; 田上 高広*; 塚本 すみ子*
no journal, ,
日本列島は世界でも有数の変動帯かつ湿潤地域であり、日本アルプスは地球上で最も盛んに削剥が進行している地域のひとつと考えられる。日本アルプスの削剥史の解明は、単に本地域のテクトニクスの解明のみならず、テクトニクスと気候変動の相互作用の理解にも有用と期待される。本講演では、新手法であるマルチOSL(光ルミネッセンス)熱年代などを用いた、飛騨山脈黒部地域の削剥史推定の試みについて紹介する。黒部地域では、全19地点(高熱隧道の4地点含む)で試料を採取し、マルチOSL熱年代測定を実施中である。今後は、別途測定中の(U-Th)/He年代や、既報のジルコンフィッション・トラック年代やU-Pb年代等と組み合わせて解釈を進めていく予定である。
高安 健太郎; 竹内 竜史; 尾上 博則
no journal, ,
瑞浪超深地層研究所では、深度500mに位置する坑道内を地下水で満たし、再冠水に伴う地質環境特性の回復過程を把握する再冠水試験を実施している。再冠水試験の一部として、冠水に伴う埋め戻し材の物性変化や、透水性や膨潤圧などの評価に関わる基礎情報の取得を目的とした埋め戻し試験を実施した。埋め戻し試験は、ベントナイト混合土を冠水坑道の床盤に深さ1mで掘削したピット2ヶ所にそれぞれ埋め戻し、ピット内の水圧、土壌水分、土圧を計測することで、埋め戻し材の浸潤過程及び膨潤過程を把握するものである。ピット内の土壌水分は、埋め戻し直後から1ヶ月程度で概ね水分飽和状態に達した。坑道を冠水したところ、水圧・土圧ともに最大で3.1MPa程度を示した。観測された水圧と土圧から、埋め戻し材の膨潤圧は0.030.09MPaと算出された。今後もピット内部での観測を継続し、冠水及び水圧回復試験の終了後には再度埋め戻し材の特性を確認する。また、埋め戻し材の飽和状況ならびに水圧・土圧変化に関する解析的検討や、本試験での施工方法の妥当性確認などを行う予定である。
福田 将眞*; 末岡 茂; 長谷部 徳子*; 田村 明弘*; 荒井 章司*; 田上 高広*
no journal, ,
東北日本弧の100万年スケールの地殻変動像把握のため、アパタイトフィッション・トラック(AFT)解析を実施し、既報年代と合わせて100万年スケールの隆起・削剥史の解明を試みた。前弧側の阿武隈山地では年代は一様に古く、最近数100万年の隆起を除くと、白亜紀後期以降は概して安定な削剥環境だったと推定された。対照的に、奥羽脊梁山脈と背弧側の朝日山地では数Ma以内の若い年代がいくつか得られ、新第三紀第四紀の山地形成に伴う急冷を反映していると考えられえる。奥羽脊梁山脈と朝日山地の一部では、日本海拡大以前のやや古い年代も得られたが、これらの解釈に関しては、今後の追加分析が望まれる。
北山 響*; 森野 悠*; 滝川 雅之*; 中島 映至*; 速水 洋*; 永井 晴康; 寺田 宏明; 斉藤 和雄*; 新堀 敏基*; 梶野 瑞王*; et al.
no journal, ,
大気拡散予測モデルの点源放出プルームに対する再現性や不確実性を明らかとするとともに、アンサンブル平均の有用性や今後のモデル改良に資する知見を得ることを目的として、福島第一原発事故を対象として大気モデル相互比較を実施した。相互比較では、日本学術会議による領域大気モデル相互比較実験で提出された7機関のモデル計算結果について、浮遊粒子状物質測定用ろ紙テープ分析による広域における1時間ごとのCs大気濃度データ、および航空機モニタリングによる積算沈着量データを対象に比較した。対象事例は、2011年3月12日から21日における9つのプルームとした。モデルによる実測再現性は3月15日に関東に拡散した事例で最も高かった。内陸部の広範囲に拡散した事例に対しては、いずれのモデルも比較的再現性が良かったのに対して、沿岸部を局所的に通過する事例では全体的にモデルの再現性は悪かった。また、7モデルのアンサンブル平均は概ねいずれのプルームにおいても平均以上の実測再現性を示しており、点源放出プルームのシミュレーションにおいてもアンサンブル平均の有用性が示された。
佐藤 志彦; 箕輪 はるか*; 他45名*
no journal, ,
日本地球惑星科学連合および日本放射化学会を中心とした研究グループにより、福島第一原子力発電所事故により放出された放射性物質の陸域での大規模な調査が2011年6月に実施された。事故より5年が経過した2016年、その調査結果をふまえ放射性物質の移行過程の解明および現在の汚染状況の把握を目的として本研究プロジェクトを実施した。2016年6月から9月にかけて、のべ9日間176名により、帰還困難区域を中心とする福島第一原子力発電所近隣105箇所において、空間線量率の測定および土壌の採取を行った。プロジェクトの概要については別の講演にて報告するが、本講演では福島県双葉郡大熊町・双葉町の土壌中の放射性セシウムCsおよびCsのインベントリ、土壌深部への移行、Cs/Cs濃度比、また空間線量率との相関についての評価を報告する。Csのインベントリを航空機による空間線量率の地図に重ねたプロットを図1に示す。最大濃度はインベントリでCsが68400kBq/m、比放射能で1180kBq/kg・dryであった。インベントリは空間線量率との明確な相関がみられた。深部土壌(深さ2.5-5.0cm)放射能/浅部土壌(深さ0-2.5cm)放射能の比はおおむね1以下で表層の値の高い試料が多かったが、試料ごとの差が大きかった。また原子力発電所より北北西方向にCs/Cs濃度比が0.87-0.93と明確に低い値を持つ地点が存在した。(本発表は東京慈恵会医大箕輪はるか氏を筆頭著者にした57名連名発表である)