Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
Initialising ...
伊藤 孝; 門野 良典*
固体物理, 60(4), p.197 - 206, 2025/04
SRを用いた固体内イオンダイナミクス解析法が抱える深刻な矛盾を解消するために、その根幹をなす動的久保・鳥谷部モデルの拡張を試みた。我々の新しいモデルは、ミュオン静止描像の上での定量的な解析を可能にするだけでなく、この前提の妥当性を評価する手段を同時に提供する。
家田 淳一; 荒木 康史; 山根 結太*
固体物理, 59(8), p.403 - 410, 2024/08
In recent years, "emergent inductors" using current-induced magnetization dynamics in magnetic nanostructures have been discovered, opening the way to power control in the nanoscale, which was previously impossible. We review the spin-orbit interaction phenomenon for emergent inductors.
酒井 宏典; 芳賀 芳範
固体物理, 58(10), p.529 - 536, 2023/10
過剰ウランを含む溶融塩フラックス法により、高品質UTe単結晶の育成に成功した。また、この純良結晶を用いて、磁気困難
軸方向に25Tまでの磁場を印加し、超伝導相図を調べた。
角田 一樹; 桜庭 裕弥*; 木村 昭夫*
固体物理, 58(3), p.117 - 137, 2023/03
ホイスラー合金はXYZの組成式で書き表すことのできる典型的な金属間化合物である。X, Y, Zの各サイトを占める元素は実に多彩であり、X, Yサイトには遷移金属元素やランタノイド元素、アクチノイド元素が入ることが多く、ZサイトにはAl, Ga, Inなどの典型元素が入ることが多い。元素の組み合わせによって実現可能な合金は1000種類を超え、ハーフメタル性、形状記憶効果、熱電特性など様々な機能性が発現する。本稿では、ハーフメタル性や巨大熱電特性が観測されている強磁性Co基ホイスラー合金の「電子構造と機能性の対応関係」に焦点を当て、最近の光電子分光を用いた研究成果や今後の展望を紹介する。
仲田 光樹
固体物理, 56(8), p.429 - 439, 2021/08
マグノンを舞台とし、Bose粒子が満たす熱磁気法則「マグノンWiedemann-Franz (WF)則」を解説する。19世紀半ばあたりまで、熱を微小な粒子のようなものととらえる「熱素説」が信じられていた。1853年(嘉永6年)、黒船にのったペリーが浦賀に来航した年に、欧州ではWiedemannとFranzが、現在ではWF則として知られる普遍的熱電法則の礎となる、実験結果を報告した。このWF則は元来、Fermi統計に従う電子の物語である。それでは、Fermi粒子ではなく、Bose粒子の場合、対応する輸送法則は存在するのか。特にBose粒子版のWF則はどのように定式化され、どのような温度依存性を示すのか。この素朴で基礎的な問いについて、一つの知見を与え、総括する。
永井 佑紀
固体物理, 56(3), p.145 - 152, 2021/03
超伝導ナノデバイスのシミュレーションを行うためには、磁束の侵入や欠陥導入などの非一様な状況においても高精度に計算する手法を開発することが必要である。しかしながら、ボゴリウボフードジャン法は行列の対角化問題であるために、大きな超伝導体での計算を精度よく高速に行うことは難しかった。この問題を解決するために開発した局所クリロフボゴリウボフードジャン法(LK-BdG法)についての解説を行う。自己無撞着計算であればシステムサイズの1乗、状態密度などの局所量であればシステムサイズに依存しない計算量で実行が可能となった。これにより、5000万次元以上の行列に対する問題を解くことが可能となり、磁束集団などこれまでシミュレーションが不可能であった領域のシミュレーションが可能となった。
垣花 将司*; 竹内 徹也*; 芳賀 芳範; 播磨 尚朝*; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; 大貫 惇睦*
固体物理, 55(10), p.505 - 514, 2020/10
立方晶キラル構造に属する磁性体が示す特異な磁気相が注目されている。代表的な物質MnSi(空間群2
3)および関連物質の構造の特徴を分類するとともに、一見複雑に見える結晶構造を安定化させる要因について考察する。
中堂 博之; 今井 正樹
固体物理, 55(9), p.435 - 443, 2020/09
バーネット効果とは物体を回転させるとその物体が磁化するという1915年に発見された効果である。我々はここ10年間にわたって、スピントロニクスの文脈からこの効果を見直し、最先端のテクノロジーを用いてより高性能、高機能化した装置を用いて現代によみがえらせた。本レビューは装置開発当時から物体中の角運動量測定の成功に至るまでを、マル秘エピソードを交えてまとめたものである。
目時 直人
固体物理, 55(7), p.285 - 296, 2020/07
物質の電子状態を解明することは、「固体物理」の主要な研究テーマである。それは多極子や超伝導などの微視的な理解に欠かせない。希土類(4)やアクチノイド(5
)は、電子数の増加とともに複雑さを増し、様々な相互作用が競合して多様な状態が出現する。多体
電子系の結晶場分裂はバンド幅より狭いため、(1)高分解能の実験が必要で、(2)遍歴的なCeやU化合物は本質的に明瞭なスペクトルを示さない。また、(3)国際規制物質NpやPuなど超アクチノイド元素の取り扱いは厳しく規制されている。そこで比較的局在性の強い物質や希土類関連物質の、中性子散乱実験による磁気励起の研究が有益である。本稿では重い電子系化合物NpPd
Al
と関連物質の
電子状態について述べる。
金子 耕士; 垣花 将司*; 辺土 正人*; 仲間 隆男*; 大貫 惇睦*
固体物理, 54(12), p.757 - 766, 2019/12
MnSiと同じ空間群に属する4電子系化合物EuPtSiについて、磁気特性を調べた。単結晶中性子回折実験の結果、MnSiとEuPtSiの磁気構造に多くの共通点を見出した。この結果は、EuPtSiが4
電子系で初めて磁気スキルミオン格子を示す物質であることを示している。
石井 賢司
固体物理, 51(2), p.79 - 92, 2016/02
In the last decade, resonant inelastic X-ray scattering for the study of electronic excitations in strongly correlated electron systems has achieved significant progress utilizing brilliant synchrotron radiation X-rays. Some representative studies on cuprates and iridates are reviewed.
三田村 裕幸*; 綿貫 竜太*; 金子 耕士; 榊原 俊郎*
固体物理, 50(12), p.821 - 832, 2015/12
定常磁場中の中性子散乱実験とパルス磁場中の電気分極測定により完全三角格子反強磁性体RbFe(MoO)
の強誘電性の起源が面内120
スピン構造のカイラリティであることを明らかにした。これは宮下精二先生らが提唱した120
スピン構造のカイラリティを巨視的物理量として初めて観測したものである。また、磁場中での電気分極の振る舞いを通じ、カイラリティの磁場依存性に関する川村光先生らの理論的予想を実験的に初めて検証することに成功した。更に、スピンカイラリティ由来の強誘電性を引き起こす物質の条件を対称性の議論により明らかにした。
松尾 衛; 家田 淳一; 前川 禎通
固体物理, 49(11), p.611 - 625, 2014/11
従来のスピン流生成には、磁性体の磁気ダイナミクスに伴う磁気的角運動量、電磁場の角運動量、電子の軌道運動の角運動量と、電子スピン角運動量との相互変換が用いられてきた。ところが、われわれにとって最も身近であるはずの回転運動に伴う力学的角運動量はスピン流生成に使われていなかった。力学的角運動量とスピン角運動量との相互変換が実現できれば、将来的にはスピン角運動量を直接力学回転に変換するナノモーターのような新デバイス開発への道も拓ける。本稿では、スピントロニクスに動力を組み込む試みとして、力学運動を用いたスピン流生成機構を紹介する。
為ヶ井 強*; 足立 匡*; 永井 佑紀
固体物理, 47(12), p.779 - 784, 2012/12
本発表は、アグネ技術センター出版の月刊誌「固体物理」へのM2S国際会議(International Conference on Materials & Mechanisms of Superconductivity)の会議報告である。この会議は3年に一度開催される超伝導に関する最大の会議の一つであり、世界の超伝導研究の最前線を「固体物理」読者へ紹介する内容である。発表者の永井は、東京大学前田教授に依頼され、この会議で発表された理論やシミュレーションに関する講演の概況報告を行った。
池田 浩章*; 鈴木 通人
固体物理, 47(11), p.693 - 706, 2012/11
本稿では、最近の密度汎関数理論(DFT)に基づく第一原理的計算手法を最大限に生かして、遍歴電子状態に関する情報を詳細に読み解く方法について、発表者らが行ったウラン化合物URuSi
の隠れた秩序状態への研究例を中心に紹介している。これらの理論に基づく計算は、今後、重い電子系化合物における未解決問題を紐解くうえで、有用な研究手法となることが期待され、アクチナイド化合物だけでなく新物質開発研究一般において大きな波及効果を期待することができる。
家田 淳一; 前川 禎通
固体物理, 47(8), p.339 - 353, 2012/08
スピン流と磁化の相互作用は、スピントロニクスにおいて鍵となる現象である。この相互作用は、磁化から伝導電子へのエネルギー以降を記述するスピン起電力を導く。本解説記事において、スピン起電力の基礎となる概念と最近の発展を紹介する。
立岩 尚之; 芳賀 芳範
固体物理, 46(12), p.791 - 799, 2011/12
高圧下磁化測定を目的としたセラミックアンビルセルを提案する。アンビル先端直径が1.8mmの場合最高圧力は2.4GPaであり、0.6mmの場合7.6GPaである。セラミック複合材料のアンビルは5GPa以上の超高圧発生が可能であることを明らかにした。本セルの磁気バックグラウンドはインデンタセルより大幅に小さく、磁化の小さな反強磁性化合物に適用可能である。
大江 純一郎; Gu, B.; 前川 禎通
固体物理, 45(5), p.269 - 278, 2010/06
本稿では、磁性半導体に対する新しい数値計算方法として、第一原理計算と量子モンテカルロ法のそれぞれの優れた部分を利用した複合的な方法を紹介する。この方法は、物質固有のバンド構造・混成エネルギーを用いて、電子間相互作用を正確に扱うため、現実の物質の電子状態を正確に記述できる。(Ga,Mn)Asに対する計算では、フェルミ準位の位置によって磁気秩序が変わることがわかり、実験をよく再現することが示される。(Zn,Mn)Oにおける解析結果では、結晶構造の違いが磁気的性質に大きく影響していることを示す。軌道に電子が存在しない
磁性半導体においても本方法は有効であることが示され、今後本方法を用いたさまざまな磁性半導体の解析、又は物質設計が期待される。ここで紹介した方法は、磁性半導体のみならず金属原子を含んだ高分子や生体分子などにも適応可能であるため、新しい機能分子の設計なども行うことを計画している。
立岩 尚之; 芳賀 芳範
固体物理, 45(4), p.225 - 234, 2010/04
ダイヤモンドアンビルセルを用いて、低温/高圧下物性測定実験に用いられる合計14種類の圧力媒体についてルビー蛍光法でその静水圧性のテストを行った。ルビー蛍光線のブロード化を定量的に見積り、圧力媒体を三種類に分類した。アルゴン/窒素/ヘリウム媒体は10GPaまで良質な静水圧を低温領域まで維持することが明らかにされた。
梶本 亮一; 中村 充孝; 稲村 泰弘; 水野 文夫; 横尾 哲也*; 中谷 健; 新井 正敏; 藤田 全基*
固体物理, 45(2), p.79 - 89, 2010/02
近年、世界各国で新たな中性子実験施設の建設や既存の施設の高度化が進められているが、我が国でも日本原子力研究開発機構と高エネルギー加速器研究機構によってJ-PARC物質・生命科学実験施設(MLF)に大強度の核破砕パルス中性子実験施設が建設された。従来世界最高の性能を有していた核破砕パルス中性子源である英国のISISでは陽子ビーム出力が160kWであったのに対し、J-PARCでは1MWとなる予定であり、米国のSNS(1.4MW)と並んで世界有数の中性子実験施設となる見込みである。MLFは2008年5月にいよいよ初めての中性子ビームを生成し、その後も順調に強度を上げ、現在既にISISに匹敵する120kWでの定常運転を行っている。このような時期を迎え、われわれは分解能をそれほど追求しない代わりに、運動量とエネルギーの4次元空間を大強度・高効率で測定可能な非弾性散乱装置の実現を目指してMLFに4次元空間中性子探査装置(通称「四季4SEASONS」)の建設を進めてきた。現在、四季は建設フェイズをほぼ終え、いよいよ本格的な利用フェイズに移行しつつある。そこで、本レビューではこの四季の原理及び仕様について概説した後、最近本装置を用いて実証に成功した新しい非弾性散乱実験手法を紹介する。