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論文

Sr吸着繊維の吸着性能の改善と簡易的な$$^{90}$$Sr分析の実現に向けた検討

堀田 拓摩; 浅井 志保*; 今田 未来; 松枝 誠; 半澤 有希子; 北辻 章浩

分析化学, 69(10/11), p.619 - 626, 2020/10

$$^{90}$$Sr分析の迅速な前処理分離を可能とするため、基材表層部へ吸着層を形成可能な放射線乳化グラフト重合法により、Sr吸着性を示す18-クラウン-6エーテル誘導体を担持したSr分離用吸着繊維を開発した。常温で液体のSr吸着分子を繊維表面に担持させることにより、前報で作製したSr分離材料と比較してSr吸着容量が大幅に向上した。このSr吸着繊維の平衡吸着容量は、同一のSr吸着分子を含浸する市販の粒子状のSr分離材料(Sr Resin)と比較しても遜色なかった。また、Sr吸着分子の本来の金属イオン選択性は維持されていた。この吸着繊維を用いた簡易的な$$^{90}$$Sr分析法を考案し、$$^{90}$$Srの吸着性能を評価したところ、Srの吸着操作から測定までを約1時間で完了することが可能であった。

論文

表面電離型質量分析計に用いられるフィラメントの表面状態のウラン同位体比測定に及ぼす影響

田口 茂郎; 宮内 啓成*; 堀籠 和志; 山本 昌彦; 久野 剛彦

分析化学, 67(11), p.681 - 686, 2018/11

表面電離型質量分析法において、フィラメント中の不純物を放出し、バックグラウンドの影響を最小限に抑えるために、脱ガスは重要な処理方法の1つである。本研究では、通電加熱処理によるタングステンフィラメントの表面変化が、ウラン同位体($$^{235}$$U/$$^{238}$$U)測定へ与える影響について調査した。その結果、タングステンフィラメントの通電加熱処理は、フィラメント表面を平滑にする効果があり、試料固着状態の改善効果もあることが判明した。さらに、これに伴い、ウラン同位体($$^{235}$$U/$$^{238}$$U)の測定精度も改善された。

論文

接ぎ木高分子鎖に固定した核酸塩基及び抽出試薬によるレアメタルの回収

斎藤 恭一*; 浅井 志保

分析化学, 66(11), p.771 - 782, 2017/11

レアメタルは、高機能材料の原料として注目を集めているが、一般に、回収・精製が困難であることが多く、選択的かつ効率的に捕集できる材料が求められている。そこで、本研究では、高分子材料の改質法の一つである放射線グラフト重合法を適用して、レアメタルイオンを効率的に捕集する高分子吸着材を作製し、それらの実用性能を実証した。例えば、核酸塩基の一つであるアデニンを、ポリエチレン多孔性中空糸膜や6-ナイロン繊維に接ぎ木(グラフト)した高分子鎖に固定し、パラジウムやルテニウムのイオン種を特異的に捕捉する材料を作製した。また、希土類元素に選択性を有する抽出試薬であるリン酸ビス(2-エチルヘキシル)(略称: HDEHP)をポリエチレン多孔性シートにグラフトした高分子鎖に担持し、カラムに充填して、ネオジムとジスプロシウムの溶出クロマトグラフィーに適用した。HDEHP担持樹脂カラムに比べて、HDEHP担持繊維充填カラムは高速で分離できることを実証した。

論文

新しい液液抽出法"エマルションフロー法"

長縄 弘親

分析化学, 66(11), p.797 - 808, 2017/11

AA2017-0526.pdf:2.29MB

近年、日本原子力研究開発機構(JAEA)において開発された新しい液液抽出法、"エマルションフロー法"は、簡便さと低コスト、高効率とコンパクトさ、安全性と環境調和性を兼ね備えた革新的な手法として注目されている。エマルションフロー法では、水相の流れに対向してマイクロメートルサイズの油相の液滴を噴出させることで、乳濁状態(エマルション)に至るまで両相を混合することができるため、送液のみにより、高効率な液液抽出を行うことができる。その一方で、エマルション流の通過断面積を急激に大きくした容器構造において、乳濁状態は迅速かつ完全に解消されるため、小型の装置で大きな処理スピードを実現できる。エマルションフロー法は、従来の工業的な液液抽出の方法との比較において、スプレーカラムに勝る最も低いコストと遠心抽出器に匹敵する最も高い性能(高抽出効率、迅速)を両立させる。また、液液界面への微粒子の凝集を利用した固液分離、きわめて優れた相分離を利用した油水分離にも有用である。

論文

$$^{107}$$PdのICP-MS測定のためのレーザー誘起光還元法による非接触・選択的パラジウム分離; 分離条件とPd回収率の関係

蓬田 匠; 浅井 志保; 佐伯 盛久*; 半澤 有希子; 堀田 拓摩; 江坂 文孝; 大場 弘則*; 北辻 章浩

分析化学, 66(9), p.647 - 652, 2017/09

 被引用回数:1 パーセンタイル:92.73(Chemistry, Analytical)

ウランの核分裂生成物の一つである$$^{107}$$Pdは、半減期が約650万年と長く、長期間に渡り放射線を放出して人体に影響を及ぼす可能性があることから、高レベル放射性廃液(HLLW)中の存在量を正確に把握する必要がある。しかし、これまでその存在量の実測報告例はない。本研究では、遠隔・非接触分離が可能なレーザー誘起光還元法のHLLWへの適用を念頭に、HLW模擬液を用いて種々の分離条件がPd回収率に与える影響を検討した。Pdの回収率は、還元剤として作用するエタノール濃度、レーザー光の照射時間とパルスエネルギーに依存し、それぞれ40%、20分、100mJとした場合に60%となった。また、Pd濃度0.24$$mu$$g mL$$^{-1}$$から24$$mu$$g mL$$^{-1}$$の広い濃度範囲において、主要な放射能源やスペクトル干渉源となる元素を99.5%以上の割合で除去し、Pdを高純度に分離できることを明らかにした。本条件によれば、レーザー誘起光還元法はHLLWなど実際の放射性廃棄物に含まれる$$^{107}$$PdのICP-MS測定前処理法として、十分に適用可能である。

論文

大環状およびキレート配位子を有する金属(II, III)錯体のイオン液体抽出

岡村 浩之

分析化学, 66(7), p.531 - 532, 2017/07

本論文は、分析化学に関する著者の博士論文を簡潔にまとめたものである。本研究では、イオン液体抽出の特異性および優位性を調べ、イオン液体の溶媒効果を明らかにすることを目的として、さまざまな大環状およびアニオン性キレート配位子を用いた金属(II, III)のイオン液体抽出を検討した。1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド([C$$_{n}$$mim][Tf$$_{2}$$N])において、2-テノイルトリフルオロアセトン(Htta)によるEu(III)の抽出平衡解析と時間分解レーザー励起蛍光分光法からEu(tta)$$_{3}$$と[C$$_{n}$$mim][Tf$$_{2}$$N]間に特異的な溶質-溶媒相互作用があることが明らかになった。また、Httaと${it cis}$-ジシクロヘキサノ-18-クラウン-6を用いたイオン液体協同効果系では、協同効果により軽希土の抽出性が大幅に向上することが示された。さらに、ジアザ-18-クラウン-6に2つの1-フェニル-3-メチル-4-アシル-5-ピラゾロンを結合した大環状配位子(H$$_{2}$$$$beta$$DA18C6)を合成し、Sr(II)の抽出に応用した。その結果、分子内での協同作用により、[C$$_{n}$$mim][Tf$$_{2}$$N]でのみH$$_{2}$$$$beta$$DA18C6の抽出能が劇的に向上することが明らかになった。

論文

繊維に接ぎ木した高分子鎖に絡めた無機化合物を利用する放射性物質の除去

斎藤 恭一*; 小島 隆*; 浅井 志保

分析化学, 66(4), p.233 - 242, 2017/04

 被引用回数:1 パーセンタイル:92.73(Chemistry, Analytical)

福島第一原子力発電所では、放射性セシウムおよび放射性ストロンチウムを含む汚染水が毎日多量に発生している。本研究では、汚染水を効率的に浄化するため、Cs $$^{+}$$およびSr$$^{2+}$$を捕捉する無機結晶が担持された繊維を作製した。担持する無機結晶には、それぞれ、Cs $$^{+}$$およびSr$$^{2+}$$に優れた選択性を持つ不溶性フェロシアン化コバルトおよびチタン酸ナトリウムを選んだ。これらの無機化合物の沈殿を、放射線グラフト重合法によって市販の6-ナイロン繊維に接ぎ木した高分子鎖(グラフト鎖)内で析出させることにより、繊維表面に担持した。得られた沈殿は、多点の静電相互作用に基づいてグラフト鎖に巻き絡まるため、安定担持が実現する。本研究で提案する不溶性フェロシアン化コバルトあるいはチタン酸ナトリウム担持繊維は、従来の粒子状吸着材、例えば、ゼオライトやSrTreat(チタン酸ナトリウム担持樹脂)に比べて、吸着速度が大きく、無機化合物重量あたりの吸着量も大きくなった。

論文

多段濃縮分離機構を備えるICP-MSによる放射性ストロンチウム分析

高貝 慶隆*; 古川 真*; 亀尾 裕; 松枝 誠; 鈴木 勝彦*

分析化学, 66(4), p.223 - 231, 2017/04

 被引用回数:4 パーセンタイル:69.48(Chemistry, Analytical)

2つ以上の異なる原理による濃縮法や分離法を結合したカスケード濃縮分離法は、分析機器の感度と分析性能を飛躍的に向上させることができる。本論文では、東日本大震災による東京電力福島第一原子力発電所事故を発端として開発されたカスケード濃縮分離法を内蔵したICP-MSによる放射性ストロンチウム($$^{90}$$Sr)分析法について論じた。併せて、本分析法の特徴である混合ガス効果、内標準補正シグナル積算法、スプリットラインを利用する定量と回収率の同時測定法などについて総説した。これらを統合して使用する本分析法の$$^{90}$$Srに対する検出下限値は、20分程度の測定で0.056ppq(0.28Bq/L)が達成可能である。また繰り返し分析精度(n=10)は、10ppq(50Bq/L)に対して相対標準偏差2.9%が得られる。

論文

福島第一原子力発電所事故により1号機から放出された放射性粒子の放射光マイクロビームX線分析を用いる化学性状の解明

小野 貴大*; 飯澤 勇信*; 阿部 善也*; 中井 泉*; 寺田 靖子*; 佐藤 志彦; 末木 啓介*; 足立 光司*; 五十嵐 康人*

分析化学, 66(4), p.251 - 261, 2017/04

 被引用回数:18 パーセンタイル:17.71(Chemistry, Analytical)

2011年3月の福島第一原子力発電所事故により、1号機由来の放射性物質が飛来したと考えられる原子力発電所北西地域の土壌から、強放射性の粒子を7点分離した。分離された粒子は100um前後の大きさで歪な形状のものが多く、2号機から放出されたとされる直径数umの球形粒子(Csボール)とは明らかに異なる物理性状を有していた。これらの粒子に対して、大型放射光施設SPring-8において放射光マイクロビームX線を用いた蛍光X線分析、X線吸収端近傍構造分析、X線回折分析を非破壊で適用し、詳細な化学性状を解明した。1号機由来の粒子はCsボールに比べて含有する重金属の種類に富み、特にSrやBaといった還元雰囲気で揮発性が高くなる元素が特徴的に検出され、粒子内で明確な元素の不均一性が見られた。粒子本体はCsボールと同様にケイ酸塩ガラスであったが、Feなど一部の金属元素が濃集した数um程度の結晶性物質を含有していた。これらの粒子は3月12$$sim$$13日に大気中に放出されたものであると考えられ、核燃料と格納容器との熔融がかなり早い段階で進行していたことが示唆された。さらに放出源の推定において、放射性物質自体の化学組成情報が放射能比に代わる新たな指標となることが実証された。

論文

有人ヘリコプタを用いた放射線モニタリング

眞田 幸尚; 石崎 梓; 西澤 幸康; 卜部 嘉*

分析化学, 66(3), p.149 - 162, 2017/03

 被引用回数:7 パーセンタイル:50.49(Chemistry, Analytical)

2011年3月11日に発生した東日本大震災による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、有人のヘリコプタを用いた空からの測定方法が適用されている。本手法自体は、1980年代に日本独自の手法として研究開発されていたものの、事故直後に適用できる状態ではなく、事故後、モニタリングしつつデータ解析手法をルーチン化・最適化を進めてきた。本稿では、事故後体系化した上空からのモニタリング手法及び測定結果についてまとめる。

論文

クラウンエーテル誘導体を担持した$$^{90}$$Sr分析用吸着繊維の作製

堀田 拓摩; 浅井 志保; 今田 未来; 半澤 有希子; 斎藤 恭一*; 藤原 邦夫*; 須郷 高信*; 北辻 章浩

分析化学, 66(3), p.189 - 193, 2017/03

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Chemistry, Analytical)

放射性ストロンチウム($$^{90}$$Sr)分析の迅速化のため、放射線エマルショングラフト重合法により$$^{90}$$Sr分析用分離材料を作製した。最初に、直径13$$mu$$mのポリエチレン繊維を基材として、エポキシ基を有したビニルモノマーであるメタクリル酸グリシジル(GMA)を繊維表層部にエマルジョングラフト重合した。次に、得られた繊維の表層部に疎水場を構築するため、オクタデシルアミンをエポキシ開環反応により導入した。最後に、疎水性相互作用によりSr$$^{2+}$$の抽出剤である18-クラウン-6-エーテル誘導体を得られた高分子鎖上に担持した。作製したSr分離材料は、市販のSr分離材料(Sr Resin)よりも100倍ほど速い吸着速度を有しており、$$^{90}$$Sr分析の迅速化に適用可能であることを示した。

論文

吸光-蛍光検出系キャピラリー電気泳動法による放射性試料迅速分析法の開発

原賀 智子

分析化学, 66(2), p.123 - 124, 2017/02

本研究は、放射性試料に対する迅速分析法の開発を目的として、キャピラリー電気泳動法に着目し、アクチノイドおよびランタノイドに対する迅速分析法を検討したものである。本検討により、放射性試料中の極微量のアクチノイドイオンを高感度に分析するための蛍光プローブの開発に成功するとともに、廃棄物試料への適用を目指した性能向上に取り組み、本法を放射性試料の分析に適用できることを実証した。本法は従来法と比較して作業時間の大幅短縮、分析者の被ばく量の低減が期待でき、従来法では対応が困難であった放射線量の高い試料にも適用可能な有望な分析法であると考えられる。

論文

Ge検出器-$$gamma$$線スペクトロメトリーによる玄米認証標準物質中$$^{134}$$Cs, $$^{137}$$Cs及び$$^{40}$$Kの分析,2; 不確かさ評価

米沢 仲四郎*; 城野 克広*; 原賀 智子

分析化学, 66(1), p.27 - 37, 2017/01

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Chemistry, Analytical)

本報告では、ゲルマニウム半導体検出器を用いた$$gamma$$線スペクトロメトリーにおいて、放射能濃度の定量結果に対する不確かさを評価するため、認証標準物質中の$$^{134}$$Cs, $$^{137}$$Csおよび$$^{40}$$Kを用いて、代表的な定量法である「単純比較法」と「効率曲線法」を比較した。各法を構成するパラメータに含まれる不確かさの要因を精査するとともに、各要因の寄与を実験的に求めた。その結果、単純比較法では、各パラメータのうち、$$gamma$$線のピーク効率と正味ピーク計数値の不確かさの寄与が最も大きく、他の寄与は無視できるほど小さいことがわかった。効率曲線法では、サム効果補正係数と$$gamma$$線放出率の不確かさの寄与が追加され、単純比較法よりも不確かさは大きくなることがわかった。本検討により、$$gamma$$線スペクトロメトリーにおける定量結果の不確かさを示すことができた。

論文

真空加熱による粘土鉱物からのセシウム脱離挙動; 放射光を用いたX線光電子分光法及び昇温脱離法による分析

平尾 法恵; 下山 巖; 馬場 祐治; 和泉 寿範; 岡本 芳浩; 矢板 毅; 鈴木 伸一

分析化学, 65(5), p.259 - 266, 2016/05

 被引用回数:4 パーセンタイル:75.15(Chemistry, Analytical)

福島原子力発電所事故後の放射能汚染の主な原因であるCsは土壌中の粘土鉱物に強く固定されており、土壌除染のため様々なCs除去法が開発されている。本手法は、乾式法によるCs除去法として、乾式法における処理温度の低減を目的とし、真空溶融塩処理法を提案する。非放射性Csを飽和収着させたバーミキュライトを真空加熱し、X線光電子分光法を用いて加熱前後のCs含有量変化を分析した。バーミキュライトのみを用いた場合は、800$$^{circ}$$C 3分間の加熱で約4割のCsが除去された。NaCl/CaCl$$_{2}$$混合塩をバーミキュライトに添加した場合は、450$$^{circ}$$C 3分間の加熱で約7割のCsが除去されることを見いだした。これらの結果から真空溶融塩処理法による大幅な処理温度の低下と除去効率の向上が期待できる。

論文

金の放射化を利用した環境中漏洩中性子線量の評価

櫛田 浩平; 安藤 麻里子; 天野 光*

分析化学, 63(11), p.867 - 871, 2014/11

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Chemistry, Analytical)

金はその化学的安定性等の特性により古代から人類に利用されてきた有用な元素であるが、その核的特性から原子力・放射線の分野でも優れて有用である。ここでは1999年に起きたJCO臨界事故の際に、その近隣の住宅に保管されていた指輪やネックレスなどの金製品の放射化量を分析することにより、環境中に漏洩した中性子線量を評価した研究について報告する。臨界事故現場からの距離168mから568mの住宅に保管されていた金製品16点を分析した結果、臨界終息時刻での放射化量は金の単位重量(g)当たり91.9から0.322Bqであった。その放射化量は距離の累乗関数で近似される減少の傾向を示した。また漏洩中性子による線量当量を評価した文献データと比較し、得られた金の放射化量から中性子線量を評価する手法を検討した。本研究は環境中漏洩中性子線量、さらにその場所での被ばく線量当量を推測するためのモニター材として金が有用であることを示す一例である。

論文

アスベストと建築資材のレーザー誘起蛍光減衰比の比較研究

大図 章; 江坂 文孝; 安田 健一郎

分析化学, 63(7), p.609 - 617, 2014/07

AA2013-0047.pdf:1.5MB

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Chemistry, Analytical)

レーザー誘起蛍光の減衰率でアスベストを他の建築物質と識別する目的で波長266nmの紫外レーザー光を用いて5種類のアスベストと6種類の建築材料物質の350から700nmのレーザー誘起蛍光の減衰率及び減衰率の波長依存性を調査し比較評価した。その結果、各々の蛍光の減衰率は、波長に対して一様でなく波長及び時間で変化することがわかった。また、ロックファイバーを除くすべての物質では波長500nm以上の蛍光は500nm以下の蛍光よりも早く減衰した。さらに、アスベストを他の建築材料物質と精度よく識別又は同定するには、入射レーザーパルスからの遅延時間10nsで波長405から420nmの波長領域の減衰率の比較が最適であることがわかった。

論文

液体シンチレーションカウンタを用いる$$beta$$線計測法による福島第一原子力発電所の滞留水中の$$^{113m}$$Cd分析法の検討

安田 麻里; 根橋 宏治*; 米川 直樹; 安松 拓洋*; 亀尾 裕

分析化学, 63(4), p.345 - 350, 2014/04

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Chemistry, Analytical)

東京電力福島第一原子力発電所の多核種除去設備(ALPS)から発生する処理水を対象とする、簡易な$$^{113m}$$Cdの分析法について検討を行った。処理水中に含まれる海塩成分からのCdの分離には陰イオン交換法を適用し、2mol L$$^{-1}$$の塩酸溶液に調整した試料溶液から吸着させたCdは、約1mol L$$^{-1}$$の硝酸溶液により、97%以上を回収することができた。一般に$$^{113m}$$Cdの放射能標準溶液は入手困難であるが、比較的入手が容易な$$^{99}$$Tcおよび$$^{14}$$Cの標準溶液を用いて、液体シンチレーション測定における効率校正が行えることを示した。ALPS処理水を想定した高塩濃度の試料に対して本法を適用し、目標検出下限である0.004Bq mL$$^{-1}$$を満たすことを確認した。本法は、ALPS処理水の簡易な$$^{113m}$$Cd分析法として有用であると考えられる。

論文

微調整機構付きポリキャピラリーを用いた軟X線の集光とその高速化学状態分析への応用

平尾 法恵; 馬場 祐治; 関口 哲弘; 下山 巖

分析化学, 63(1), p.53 - 58, 2014/01

AA2013-0769.pdf:1.16MB

 被引用回数:0 パーセンタイル:100(Chemistry, Analytical)

固体表面のナノメートル領域における化学結合状態(原子価状態)変化を高速でリアルタイム観察するための手法について述べた。本手法の概略は、固体試料に放射光軟X線を照射し、表面から放出される全光電子を静電レンズ系で拡大し画像化するものであり、空間分解能は40ナノメートルである。照射する放射光軟X線を、近年開発されたポリキャピラリーを用いて集光することにより、従来の放射光ビームに比べ3keVにおいて最大約60倍の輝度が得られた。この集光したX線を用いることにより、バルクの試料について10ミリ秒でも明瞭な画像観察を行うことが可能となった。また、局所部における化学結合状態を観察するための顕微X線吸収スペクトル(顕微XAFS)測定の高速化について検討した結果、シリコンと酸化シリコンから成る試料に関し、画像中のすべての点のXAFSスペクトルを数十秒で測定することができ、これにより原子価状態分布をナノメートルスケールでリアルタイム観察することが可能となった。

論文

環境放射能の測定

江坂 文孝

これからの環境分析化学入門, p.107 - 114, 2013/11

環境放射能の測定について、その目的、測定法の原理、測定方法について解説する。

論文

放射性廃液のアスファルト固化体中$$^{129}$$IのICP-MSを用いる簡易分析法

亀尾 裕; 石森 健一郎; 島田 亜佐子; 高橋 邦明

分析化学, 61(10), p.845 - 849, 2012/10

 被引用回数:2 パーセンタイル:90.38(Chemistry, Analytical)

低レベル放射性廃液をアスファルトにより固化した廃棄物(アスファルト固化体)試料に含まれる$$^{129}$$Iを迅速に分析できる手法を開発した。アスファルト固化体試料は、0.02g程度の小片に切断して、炭酸ナトリウムとともに電気炉で加熱することにより、$$^{129}$$Iを揮発させることなく、分解することができた。分解後の試料からの$$^{129}$$Iの回収は、固相抽出ディスクを用いて迅速に行い、このときの回収率は60-70%であった。$$^{129}$$Iの測定は、反応セルを有したICP-MSにより行うことで、通常のICP-MS測定に比べ、検出限界を1/6程度に低減できた。放射能標準溶液の$$^{129}$$Iを添加したアスファルト固化体試料を本法により分析したところ、$$^{129}$$Iの添加量と分析値との差は6%以内であり、精度よく分析できることがわかった。

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