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甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(46), p.32371 - 32380, 2023/11
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)水の光分解・放射線分解の科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水へのエネルギー付与の結果生じる水和電子の空間分布(スパー)の形成メカニズムは未だ良く分かっていない。スパー内に生じる水和電子、OHラジカル及びHOの化学反応時間は、このスパー半径に強く依存する。我々は先行研究において、特定の付与エネルギー(12.4eV)におけるスパー形成メカニズムを第一原理計算により解明した。本研究では付与エネルギーが11-19eVにおけるスパー半径を第一原理計算した。本計算のスパー半径は3-10nmであり、付与エネルギーが8-12.4eVにおける実験予測値(~4nm)と一致し、付与エネルギーの増加に伴いその半径は徐々に拡大することがわかった。本研究で得られたスパー半径は新たな科学的知見であり、放射線DNA損傷の推定などに幅広く活用されることが期待できる。
McGrady, J.; 熊谷 友多; 北辻 章浩; 桐島 陽*; 秋山 大輔*; 渡邉 雅之
RSC Advances (Internet), 13(40), p.28021 - 28029, 2023/09
使用済核燃料の埋設処分において、キャニスタが破損して核燃燃料が地下水と接触すると、水の放射線分解により発生した酸化性物質とUOが反応する。炭酸水素イオンが存在する地下水中での、HOによるUOの酸化溶解がこれまでに研究されてきた。埋設されたキャニスタ周辺の温度は、時間や配置場所により変化するが、これまでに酸化溶解の温度効果は明らかにされていない。種々の炭酸水素イオン濃度と温度条件下でのUO表面におけるHOの反応とU溶解を調べた。炭酸水素イオン濃度や温度によりUO表面でのHOの反応機構が変化し、これによりUOの溶解速度が変化することが分かった。これは、UO表面に生成される化学種の違いに起因することが示唆された。
成田 弘一*; 前田 泰生*; 所 千晴*; 鈴木 智也*; 田中 幹也*; 塩飽 秀啓; 矢板 毅
RSC Advances (Internet), 13(25), p.17001 - 17007, 2023/06
被引用回数:1 パーセンタイル:39.98(Chemistry, Multidisciplinary)セレン(Se)は様々な産業分野で広く利用されており、工業生産として銅精錬時に陽極スライムから副産物として回収・精製されている。Seは人体にとって必須微量元素であるが、多量摂取による健康への悪影響も知られているため、自然環境におけるSe濃度と酸化状態を明らかにし、Se除去のために効率的なSe溶媒抽出法の確立が必要とされている。今回、N-2-エチルヘキシル-ビス(N-ジ-2-エチルヘキシル)アミン(EHBAA)を用いて塩酸溶液からSe(IV)とSe(VI)の抽出機構を検討した。放射光XAFS測定の結果から、EHBAAで抽出したSe(IV)及びSe(VI)錯体の内圏は、それぞれ[SeOCl], [SeO]であることが明らかになった。また、8M塩酸溶液からのSe(IV)の抽出は溶媒和型の反応であり、0.5M塩酸溶液からのSe(VI)の抽出は陰イオン交換型反応であることが示された。これらの情報をもとに、より効率的な抽出剤の開発につながる研究へ発展させたい。
矢野 雅大; 保田 諭; 福谷 克之; 朝岡 秀人
RSC Advances (Internet), 13(21), p.14089 - 14096, 2023/05
被引用回数:1 パーセンタイル:39.98(Chemistry, Multidisciplinary)金属表面でのボトムアップ合成により、原子レベルで精密な化学構造を持つグラフェンナノリボン(GNR)を作製し、新しい電子デバイスを実現することが注目されている。しかし、GNR合成時に表面上の長さや方向を制御することは困難であり、より長く、より整列したGNRの成長を実現することは重要な課題である。本発表では、GNRの長尺化・配向化を実現するために、Au結晶表面上の秩序的に配向した単分子層からGNRを合成することを報告する。走査型トンネル顕微鏡(STM)により、室温でAu(111)上に蒸着した10,10'-dibromo-9,9'-bianthracene (DBBA)が自己組織化し、秩序的に配向した単分子層を形成し、DBBAのBr原子が隣接する直線状の分子ワイヤ構造を形成した。この単分子層中のDBBAは、その後の加熱によって表面からほとんど脱離することなく、分子配列とともに効率よく重合し、従来の成長法に比べてより長く、より配向したGNRが成長することが確認された。この結果は、DBBAが高密度に充填されているため、重合中にAu表面でのDBBAのランダムな拡散や脱離が抑制されたことに起因すると考えられる。さらに、GNR成長におけるAu結晶面の影響を調べたところ、Au(100)ではAu(111)と比較してDBBAの相互作用が強いため、さらに異方的にGNRが成長することが明らかになった。これらの結果は、より長く、より配向したGNRを実現するために、秩序ある前駆体単層からのGNR成長を制御するための基礎的な知見を与える。
大内 和希; 松村 大樹; 辻 卓也; 小林 徹; 音部 治幹; 北辻 章浩
RSC Advances (Internet), 13(24), p.16321 - 16326, 2023/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)電気化学水晶振動子マイクロバランス、インピーダンススペクトル及びX線吸収微細構造測定の結果から、ウラニルイオン(UO)の還元に伴う析出物の化学状態変化を明らかにした。UOの還元に伴い、(1)Uの不均化によりUが生成する。(2)UはU水酸化物として析出物を形成し、(3)最終的に水酸化物より大きな電気抵抗を持つU酸化物に変化する析出機構が提案される。
甲斐 健師; 樋川 智洋; 松谷 悠佑*; 平田 悠歩; 手塚 智哉*; 土田 秀次*; 横谷 明徳*
RSC Advances (Internet), 13(11), p.7076 - 7086, 2023/03
被引用回数:3 パーセンタイル:73.63(Chemistry, Multidisciplinary)水の放射線分解に関する科学的知見は、生命科学などに幅広く利用されるが、水の分解生成物であるラジカルの生成メカニズムは未だ良く分かっていない。我々は、放射線物理の観点から、この生成メカニズムを解く計算コードの開発に挑戦し、第一原理計算により、水中の二次電子挙動は、水との衝突効果のみならず分極効果にも支配されることを明らかにした。さらに、二次電子の空間分布をもとに、電離と電子励起の割合を予測した結果、水和電子の初期収量の予測値は、放射線化学の観点から予測された初期収量を再現することに成功した。この結果は、開発した計算コードが放射線物理から放射線化学への合理的な時空間接続を実現できることを示している。本研究成果は、水の放射線分解の最初期過程を理解するための新たな科学的知見になることが期待できる。
McGrady, J.; 熊谷 友多; 渡邉 雅之; 桐島 陽*; 秋山 大輔*; 北村 暁; 紀室 辰伍
RSC Advances (Internet), 11(46), p.28940 - 28948, 2021/08
被引用回数:5 パーセンタイル:35.86(Chemistry, Multidisciplinary)The rate of U release is affected by bicarbonate (HCO) concentrations in the groundwater, as well as HO produced by water radiolysis. To understand the dissolution of UO by HO in bicarbonate solution (0.1 - 50 mM), dissolved U concentrations were measured upon HO addition (300 M) to UO/bicarbonate mixtures. As the HO decomposition mechanism is integral to U dissolution, the kinetics and mechanism of HO decomposition at the UO surface was investigated. The dissolution of U increased with bicarbonate concentration which was attributed to a change in the HO decomposition mechanism from catalytic at low bicarbonate ( 5 mM HCO) to oxidative at high bicarbonate ( 10 mM HCO). Catalytic HO at low bicarbonate was attributed to the formation of an oxidised surface layer.
藤本 将秀*; 松本 益明*; 長塚 直樹*; 福谷 克之
RSC Advances (Internet), 11(7), p.4270 - 4275, 2021/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)A fast blackening process of titanium dioxide nanoparticles by exposing to atomic hydrogen was studied by estimating the color of the nanoparticles. The whiteness of TiO decreased exponentially with time, which suggests a first-order reaction between atomic H and surface oxygen, whose rate constant is proportional to the ambient pressure of H. The rate constant increases as the temperature of nanoparticles at exposing to atomic hydrogen. The structure and size of nanoparticles were estimated by the X-ray diffraction (XRD), which shows that a part of anatase transferred to rutile and the crystal sizes of both anatase and rutile increased by hydrogenation above 600 K. The blackening of TiO halfway stopped under the condition of the similar partial pressure of water with hydrogen. This suggests the presence of reverse reaction between HO and oxygen vacancy, whose reaction rate constant is proportional to the partial pressure of HO.
Johnstone, E. V.*; Bailey, D. J.*; Lawson, S.*; Stennett, M. C.*; Corkhill, C. L.*; Kim, M.*; Heo, J.*; 松村 大樹; Hyatt, N. C.*
RSC Advances (Internet), 10(42), p.25116 - 25124, 2020/07
被引用回数:3 パーセンタイル:14.84(Chemistry, Multidisciplinary)The synthesis of a palladium-containing iodovanadinite derivative, hypothetically "PdPb(VO)I", was attempted using PdI as a source of iodine in searching for a novel waste form for radioiodine. The resulting products were characterized using X-ray diffraction, scanning electron microscopy, energy-dispersive X-ray analysis, IR spectroscopy, thermal analysis and Pd K XANES. Results showed that PdI can function as a sacrificial iodine source for the formation of iodovanadinite, prototypically Pb(VO)I, however, the incorporation of Pd into this phase was not definitively observed. Overall, the key novelty and importance of this work is in demonstrating a method for direct immobilisation of undissolved PdI from nuclear fuel reprocessing, in a composite wasteform in which I-129 is immobilised within a durable iodovandinite ceramic, encapsulating Pd metal.
加藤 茜*; 金子 政志; 中島 覚*
RSC Advances (Internet), 10(41), p.24434 - 24443, 2020/06
被引用回数:6 パーセンタイル:30.44(Chemistry, Multidisciplinary)高レベル放射性廃液中のルテニウム化学種の安定性を予測することを目的として、硝酸溶液中のルテニウムニトロシル錯体の錯生成反応を密度汎関数法(DFT)を用いて調査した。DFT計算によって得られた[Ru(NO)(NO)(HO)]の最適化構造を既報の実験値と比較した結果、Ru-配位子結合距離やIR振動数を再現することが分かった。幾何異性体間のギブズエネルギーの比較した結果、硝酸イオンの錯生成反応は、Ru-NO軸に対してエクアトリアル平面に配位することによって進行することが明らかになった。また、逐次錯体生成反応におけるギブズエネルギー差を見積ったところ、Ru錯体種と置換する配位子との会合エネルギーを考慮することによって、6M硝酸中のRu錯体種のフラクションを再現することに成功した。Ru-配位子との配位結合の解析の結果、Ru錯体種の安定性は、トランス影響に起因する電子密度の違いによって説明できることが示唆された。本研究は、硝酸中における白金族元素の詳細な錯生成反応のモデル化に寄与することが期待される。
Song, C.*; Seo, O.*; 松村 大樹; 廣井 慧*; Cui, Y.-T.*; Kim, J.*; Chen, Y.*; Tayal, A.*; 草田 康平*; 小林 浩和*; et al.
RSC Advances (Internet), 10(34), p.19751 - 19758, 2020/05
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Chemistry, Multidisciplinary)To unveil the origin of the hydrogen-storage properties of rhodium nanoparticles (Rh NPs), we investigated the dynamical structural change of Rh NPs using dispersive X-ray absorption fine structure spectroscopy (XAFS). The variation of the Rh-Rh interatomic distance and Debye-Waller factor of Rh NPs with a size of 4.0 and 10.5 nm during hydrogen absorption and desorption suggested that they have a different mechanism for hydrogen absorption, which is that the hydrogen absorption on the inner site has a greater contribution than that on a surface for Rh 4.0 nm. In the case of Rh 10.5 nm, it is opposed to Rh 4.0 nm. This study demonstrates a powerful XAFS method for observing small local structural changes of metal nanoparticles and its importance for understanding of the hydrogen-absorption properties of Rh NPs with an interesting hydrogenation mechanism.
Dufaye, M.*; Martin, N. P.*; Duval, S.*; Volkringer, C.*; 池田 篤史; Loiseau, T.*
RSC Advances (Internet), 9(40), p.22795 - 22804, 2019/07
被引用回数:13 パーセンタイル:49.07(Chemistry, Multidisciplinary)4価ウラン(U(IV))のヘミメリット酸との配位化合物がアセトン+水溶媒中で2種類合成され、構造同定された。水分量を調整したアセトン溶媒中では、U(IV)の加水分解はゆっくりと起こり、その結果、{}や{}といった特異なポリオキソ-U(IV)クラスターが生成していることを確認した。
保田 諭; 内堀 揚介*; 分島 亮*; 日夏 幸雄*; 小河 浩晃; 矢野 雅大; 朝岡 秀人
RSC Advances (Internet), 8(66), p.37600 - 37605, 2018/11
被引用回数:12 パーセンタイル:41.90(Chemistry, Multidisciplinary)本研究では、酸素還元活性サイトである、Fe原子が窒素ドープナノグラフェンに配位結合したFe-N-C活性サイトを、高比表面積の垂直配向カーボンナノチューブ(VA-CNT)表面に担持し、酸素還元反応(ORR)活性なFe-N-G担持/VA-CNT(Fe-N-G/VA-CNT)触媒を開発する設計指針を得る。これまで、FeおよびNを含む鉄フタロシアニン分子を前駆体とし、VA-CNT表面に吸着させ焼成することによりFe-N-G/VA-CNT触媒の開発に成功してきた。本申請案では、Fe-N-C構造形成のカギとなる触媒焼成条件がORR活性能に与える影響について精査した。その結果、短時間加熱と急冷を繰り返すプロセスでは、任意の繰返し数において、Fe-N-C活性サイトの構成元素であるFeおよびN原子の熱脱離が抑制され、Fe-N-C構造の質量密度の増加によるORR活性能の向上が観察された。この結果は、焼成時における熱履歴を制御することで高活性化が可能であり、非白金系ORR触媒実現のための設計指針を得ることができた。
岡村 浩之; 青柳 登; 下条 晃司郎; 長縄 弘親; 井村 久則*
RSC Advances (Internet), 7(13), p.7610 - 7618, 2017/01
被引用回数:20 パーセンタイル:56.31(Chemistry, Multidisciplinary)液-液分配および時間分解レーザー励起蛍光分光法(TRLFS)によって、2-テノイルトリフルオロアセトン(Htta)によるEu(III)キレートのイオン液体-水分配系におけるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(TfN)アニオンの役割を研究した。Eu(tta)の分配定数に対するイオン液体の効果を正則溶液論に基づいて評価したところ、1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド([Cmim][TfN])におけるEu(tta)の分配定数は、[Cmim][TfN]中のEu(tta)の溶媒和効果により著しく増加することがわかった。また、合成した[Eu(tta)(HO)]のTRLFSから、一連の[Cmim][TfN]中ではEu(tta)キレートはほぼ完全に脱水和することが明らかになった。さらに、20Mの水を含む過塩素酸1-エチル-3-メチルイミダゾリウム([Cmim][ClO])中では、2あるいは3分子の水が配位していたのに対して、0.50 MのTfNと20 Mの水を含む[Cmim][TfN, ClO]中では水和数は約1となった。これらの結果から、[Eu(tta)(HO)]の配位水がTfNアニオンに置換されることが示された。実際、[Cmim][TfN]存在下におけるエレクトロスプレーイオン化質量分析法により、アニオン性の付加物[Eu(tta)(TfN)]が観測された。
Wang, Y.-Q.*; Gai, W.-Z.*; Zhang, X.-Y.*; Pan, H.-Y.*; Cheng, Z.-X.*; 徐 平光; Deng, Z.-Y.*
RSC Advances (Internet), 7(4), p.2103 - 2109, 2017/01
被引用回数:25 パーセンタイル:63.41(Chemistry, Multidisciplinary)Al powder was stored in saturated water vapor, oxygen, nitrogen and drying air separately for a time period up to about six months, the degradation behavior of Al activity was characterized by the reaction of Al with water. It was found that water vapor decreased the induction time for the beginning of Al-water reaction and reduced the total hydrogen generation per unit weight of Al, while oxygen increased the induction time and retarded the Al-water reaction. In contrast, the effect of nitrogen and drying air on Al activity was weak. The mechanism analyses indicated that water vapor promoted the hydration of Al surface passive oxide film and speeded up the reaction of Al with water, while oxygen thickened the passive oxide film of Al surface and prolonged its hydration process. These imply that water vapor rather than oxygen is responsible for the degradation of Al activity during storage under ambient condition.
Liang, G.-H.*; Gai, W.-Z.*; Deng, Z.-Y.*; 徐 平光; Cheng, Z.*
RSC Advances (Internet), 6(42), p.35305 - 35314, 2016/04
被引用回数:18 パーセンタイル:52.66(Chemistry, Multidisciplinary)Hydrogen is an ideal fuel for fuel cells because its reaction byproduct with oxygen is environmentally benign. To resolve the safe storage and low cost transportation problem, the onsite hydrolysis reaction in water has been recently employed as a new-type portable hydrogen source. Metal Al is thought as a promising hydrogen-generation material due to its relative low price, light atomic weight and abundance in the earth. In order to promote the reaction of Al particles with water and weaken the inhabitation phenomenon of dense passive oxide film on Al surface, the effect of ultrasonically prepared Al(OH) suspension on the kinetics of Al-water reaction was investigated in this paper. It is found that the induction time for the beginning of Al-water reaction decreases and the reaction rate increases with increasing the suspension concentration, volume and temperature, which is ascribed to the exothermic characteristics of Al-water reaction.
山下 真一*; 岩松 和宏; 前橋 佑樹*; 田口 光正; 端 邦樹; 室屋 裕佐*; 勝村 庸介*
RSC Advances (Internet), 5(33), p.25877 - 25886, 2015/02
被引用回数:12 パーセンタイル:37.68(Chemistry, Multidisciplinary)ブロマイド(Br)は水酸化(OH)ラジカルと反応して分子吸光係数の大きな中間体を生じるため、放射線誘起水中OHラジカルの反応プローブとして使われてきた。放射線照射後ナノ秒領域のOHラジカルの挙動を解明するためにはBrの濃度を高くする必要があるものの、高濃度のBrとOHラジカルの反応機構は不明であった。NOおよびArで飽和した0.9-900mMのNaBr水溶液へのパルス電子線照射によって生じたOHラジカルとBrの反応中間体の時間挙動を光吸収により計測した。BrはOHラジカルと反応してBrOH、さらにBrを生じる。異なる実験条件で得られたBrOHやBrのタイムプロファイルに対して、既報の反応速度式、速度定数を用いたスパーモデルシミュレーションを行った結果、10mM以上の高濃度条件では、2BrOHBr + 2OHの反応(反応度度定数: k=3.810 Ms)を新たに考慮することで実験結果をよく再現できることを明らかにした。
中村 博樹; 奥村 雅彦; 町田 昌彦
RSC Advances (Internet), 4(95), p.52757 - 52761, 2014/10
被引用回数:8 パーセンタイル:28.60(Chemistry, Multidisciplinary)福島の原子力発電所事故を受けて、汚染水の除染などのために放射性物質の吸着材としてゼオライトが注目されている。Csなどの放射性物質の吸着の選択性はゼオライトの種類によって差があることが知られている。しかし、その種類が多すぎるため、すべての種類に対して、Cs選択性を実験で評価するのは困難である。そこで、本研究では、数値シミュレーションによって、Csの選択性を評価する方法を確立することを目的とした。具体的には、モンテカルロ法によるイオン交換等温曲線を評価する手法を確立し、実験結果との比較によって、その有効性を探った。今回、開発した手法を応用することにより、より効率的なCs吸着物質としてのゼオライトの開発に貢献することが期待される。
大川 侑久*; 増田 卓也*; 上原 広充*; 松村 大樹; 田村 和久; 西畑 保雄; 魚崎 浩平*
RSC Advances (Internet), 3(35), p.15094 - 15101, 2013/09
被引用回数:9 パーセンタイル:35.25(Chemistry, Multidisciplinary)PtRu alloy, prepared by pyrolysis of hetero bi-nuclear PtRu complexes, showed a higher electrocatalytic activity and durability in the methanol oxidation reaction than PtRu alloy prepared by pyrolysis. The origin of this activity enhancement was investigated by XPS and Ru K edge XAFS measurements. Although both alloys were composed of metallic Pt and Ru oxide, the Ru oxide in the PtRu alloy prepared from the PtRu complex had greater oxygen deficiency than that in the PtRu alloy. XAFS measurements showed that the RuO distance of the former was longer than that of the latter, suggesting the presence of the weakly coordinated oxygen species, water, in the PtRu alloy prepared from the PtRu complex. The water coordinated to Ru can become an active oxidant, surface RuOH, under electrochemical conditions and enhance MOR activity and durability.
松尾 元彰*; 齋藤 寛之; 町田 晃彦; 佐藤 龍太郎*; 高木 成幸*; 三輪 和利*; 綿貫 徹; 片山 芳則; 青木 勝敏; 折茂 慎一*
RSC Advances (Internet), 3(4), p.1013 - 1016, 2013/01
被引用回数:19 パーセンタイル:53.41(Chemistry, Multidisciplinary)The novel complex hydride YLiFeH with the Fe-H complex anion ([FeH]) was synthesized by hydrogenation of YFe together with additional Li. Li adjusts the original imbalanced charge between Y and [FeH] by donating an electron to convert into Li during the hydrogenation, resulting in the formation of the well charge-balanced state of YLi[FeH].