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普天間 章; 眞田 幸尚; 中間 茂雄; 佐々木 美雪; 越智 康太郎; 長久保 梓; 澤幡 義郎*; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; et al.
JAEA-Technology 2024-021, 232 Pages, 2025/03
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因する東京電力福島第一原子力発電所事故では、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後から、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手段として、航空機を用いた空からの測定方法が採用されている。日本原子力研究開発機構は、原子力規制庁からの受託事業として、有人ヘリコプター及び無人ヘリコプターを使用して、東京電力福島第一原子力発電所周辺の航空機モニタリングを継続的に実施してきた。本報告書では、令和5年度に実施したモニタリング結果について取りまとめ、過去のモニタリング結果との比較から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる計数率から空間線量率への換算精度向上のために、地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮する前後の解析結果を比較し、本手法による換算精度向上の効果を評価した。さらに、有人ヘリコプターについては、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用し、ラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響を評価した。加えて、より効率的に広範囲な航空機モニタリングを展開するため、無人航空機によるモニタリングの技術開発を進めた。
中島 邦久; 高野 公秀
Journal of Nuclear Science and Technology, 62(1), p.78 - 85, 2025/01
被引用回数:1 パーセンタイル:57.00(Nuclear Science & Technology)1Fでは、シビアアクシデント解析コードを用いた解析や汚染水からの逆解析により相当量のCsが炉内にまだ残っていると推定されている。そのため、炉心領域で想定されるCs蒸気とUOあるいはFe-Zr融体との化学的な相互作用の有無を調べた。その結果、Cs
UO
やCs
ZrO
の生成が確認され、燃料から放出されたCsがUO
燃料やFe-Zr融体と化学的な相互作用により付着する可能性があることが分かった。
池之上 翼; 中西 貴宏; 嶋寺 光*; 川村 英之; 近藤 明*
E3S Web of Conferences (Internet), 530, p.02005_1 - 02005_10, 2024/05
福島第一原子力発電所の事故は海底堆積物の放射能汚染を引き起こした。河川からのCsの供給は海底堆積物中の
Csの長期的な挙動において重要なプロセスである可能性がある。本研究では、海洋拡散モデルと陸域および河川における
Csの挙動予測モデルを組み合わせて、海底堆積物中の
Csの10年間の挙動予測シミュレーションを実施した。原子力発電所の北側の海域では、海底堆積物中の
Cs濃度が事故初期には低く河川からの
Csの供給量が多いため、河川からの
Csの供給が沿岸における海底堆積物中の
Cs濃度に大きな影響を与えることがシミュレーション結果から示唆された。原子力発電所近傍及びその南側の海域では、事故初期における海水からの吸着が大きいため、沿岸における海底堆積物中の
Cs濃度の時間変化に与える河川からの
Csの供給の影響は比較的小さいことがシミュレーション結果から示唆された。全体として、これらの結果は河川からの
Csの供給が10年間の時間スケールで海底堆積物中の
Cs濃度の時空間分布に影響を与えており、その影響は原子力発電所の北側の海域で特に大きいことを示していた。
Katengeza, E. W.*; 眞田 幸尚; 越智 康太郎; 飯本 武志*
Cogent Engineering (Internet), 11(1), p.2340203_1 - 2340203_9, 2024/04
放射能測定の不確かさは、底質中の対象核種の鉛直分布に影響されることがある。本研究では、47か所のため池で2015-2019年の期間に測定されたデータを用いて、プラスチックシンチレーションファイバー(PSF)の換算係数の深度依存性と、測定の不確かさへの影響を評価した。換算係数を算出する際に着目する深度を、10cmから15-20cmに変更することで、PSFによって推定された放射性セシウム濃度の、同じ場所で採取されたコア底質中放射性セシウム濃度に対する正規化平均二乗誤差が小さくなることが分かった。
普天間 章; 眞田 幸尚; 長久保 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 新井 仁規*; et al.
JAEA-Technology 2023-027, 146 Pages, 2024/03
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和4年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の換算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。
和田 元*; 柴田 崇統*; 神藤 勝啓
Journal of Instrumentation (Internet), 19(2), p.C02019_1 - C02019_7, 2024/02
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Instruments & Instrumentation)J-PARCでは、2MHzの高周波(RF)電力で励起されたプラズマによるHイオン源が、ビーム源として加速器に供給されている。これまで、RFQ出口でビームが2MHzで揺動していることを見つけて以来、プラズマ励起RF周波数でのH
ビーム揺動について研究してきた。高周波成分は、プラズマの周辺領域に存在し、位相空間でのビームの変化を明らかにするために開発した高時間分解能エミッタンス測定の結果、2MHzで振動する発散ハロー成分の存在を明らかにした。ビーム中心での変動振幅には20%未満で4MHzで振動する成分も観測された。この4MHz成分は、RF誘導電場の強度が各サイクルで2回最大になるため、RFアンテナによる高エネルギー電子の生成に関連していると考えられる。一方、RF磁場の方向と電子の流れの方向は2MHzの周波数で変化する。よって、イオン源でのH
イオン生成メカニズムは、引き出されたH
ビームを正確に特性化することで推定できる。H
ビームの揺らぎをファラデーカップで測定し、周波数成分を調べた。Csを導入する前に測定されたビーム電流は、軸磁場補正(AMFC)コイルをオフにすると、4MHzの周波数で変動した。AMFCを誘導するためのコイルを励起すると電圧が増加するにつれて、主変動周波数は2MHzに移った。イオン源にCsを導入するとH
ビーム電流が増加し、AMFCのオン/オフ両方の場合で、4MHz成分がほぼ消失した。本発表では、Cs導入による4MHz成分の減少に関与する考えうる機構について議論する。
中西 貴宏; 鶴田 忠彦; 御園生 敏治; 尻引 武彦; 卜部 嘉*; 眞田 幸尚
Journal of Coastal Research, 116(SI), p.161 - 165, 2024/01
2012年から2022年までに福島第一原子力発電所(FDNPP)周辺で観測された表層海底堆積物中のCs-137濃度の連続データをとりまとめた結果、全体的にCs-137濃度は時間とともに徐々に低下していた。しかし、浅海域のいくつかのモニタリングポイントでは、Cs-137濃度の長い環境半減期や大きなばらつきが認められた。浅海域海底におけるセシウムの動態についての理解を深めるために、FDNPP近くの浅海域で長尺の堆積物コアを採取し、Cs-137濃度と粒径分布の鉛直分布を得た。海岸付近では、Cs-137の濃度と粒径分布は数十cmから1m以上の深さまで非常に均一化されていたことから、現在、海岸付近の堆積物には深い層に相当量のCs-137が蓄積している。陸域だけでなく深層からのCs-137供給が、海岸付近の表層海底土のCs-137濃度の時間的低下を抑制している可能性が示唆された。沖合の崖や窪地に位置する地点ではCs-137濃度の鉛直分布は不均質であり、数年間に同一地点で得られたCs-137鉛直分布はまったく異なっていた。この不均質性が、表層堆積物のCs-137濃度の経時的な大きな変化を引き起こすと推測された。
関口 哲弘; 横山 啓一; 矢板 毅
Photon Factory Activity Report 2023 (インターネット), 5 Pages, 2024/00
本報告はKEK-PF施設のBL27Aを使用して行われたセシウム化合物試料の放射光X線励起による光電子分光実験に関する活動報告である。背景としては、長寿命放射性核種であるセシウム-135(Cs)の同位体分離スキームにおいて、テラヘルツ領域のレーザーを用いることにより同位体選択的な光分解により
Cs原子が選択的に生成されることが見いだされた。しかしCs原子(
Cs)とヨウ化セシウム分子(
CsI)との衝突による同位体交換を防ぎ、Cs原子(
Cs)のみを回収することが課題となった。本研究ではフラーレンC
を吸蔵材として用い、CsI分子を吸蔵せずCs原子だけを選択的に捕集する可能性について検討した。角度分解X線光電子分光法およびArイオンスパッター法を行い、室温におけるCs原子およびCsI分子の深さ方向の濃度分布を評価した。CsI分子がC
固体表面の浅い領域に堆積するのに対し、Cs原子はC
固体内に深くに浸透する結果を得た。
Cs同位体分離のための選択吸蔵材料としてフラーレン材料が有望である可能性を有することを示唆する結果であった。
休石 美佐*; Masoudi, P.*; 西村 拓*; 越智 康太郎; Ye, X.*; Aldstadt, J.*; Komissarov, M.*
Radiation Measurements, 168, p.106978_1 - 106978_16, 2023/11
被引用回数:1 パーセンタイル:25.62(Nuclear Science & Technology)本研究では、福島県の森林内の落葉及び常緑樹の直下で、可搬型及びバックパック式シンチレーション検出器を用いて空間線量率分布を調査した。地形の特徴が空間線量率に及ぼす影響を評価するために、5つの地形パラメータに対して、多変量適応回帰スプライン(MARS)による検討を行った。森林内の空間線量率分布は不均一であり、時間の経過と共に、空間線量率が1Sv/h以上変動していた。これは、地面の湿潤度などのパラメータが影響していることが示唆された。全てのパラメータに対するMARSモデルの決定係数(R
)は、0.54又はそれ以上であった。空間線量率と土壌汚染レベルに対する地形の影響が一致しているかどうかを議論するために、現場で測定された空間線量率と土壌中放射性セシウムの深度分布から推定された空間線量率を比較した。土壌試料から推定される空間線量率は、ほとんどが現場での測定値の範囲内であった。
永井 崇之; 岡本 芳浩; 山岸 弘奈*; 柴田 大輔*; 小島 一男*; 長谷川 毅彦*; 佐藤 誠一*; 深谷 茜音*; 畠山 清司*
JAEA-Research 2023-004, 45 Pages, 2023/09
ホウケイ酸ガラス中のガラス成分や廃棄物成分の局所構造は、その化学組成によって変化する。本研究は、ガラス固化体を模擬したガラス(以下、模擬廃棄物ガラス)を対象に軟X線領域のXAFS測定を実施し、原料ガラス成分のホウ素(B)やケイ素(Si)、廃棄物成分の鉄(Fe)やセシウム(Cs)の化学的状態等を評価した。模擬廃棄物ガラスの化学的安定性を把握するため、浸出試験に供したガラス表面を対象に、BのK吸収端、FeのL、L
吸収端及びCsのM
、M
吸収端のXANESスペクトル測定を行った。その結果、浸出液に曝露されたガラス表面は変化し、明瞭なXANESスペクトルが得にくくなることが分かった。BのK吸収端XANESスペクトルから、浸出試験後の試料表面は未浸漬の試料表面と比較してB-Oの3配位構造(BO
)が増加し、4配位構造(BO
)が減少する傾向を確認した。FeのL
、L
吸収端及びCsのM
、M
吸収端のXANESスペクトルから、浸漬時間が長くなるに従って、ガラス表面に存在するCsが浸出液中へ溶出することを確認した。未浸漬の模擬廃棄物ガラスを対象に、SiのK吸収端XANESスペクトルを測定した結果、Na
O濃度によるXANESスペクトルの変化が廃棄物成分濃度による変化より大きいことを確認した。
二瓶 直登*; 吉村 和也
Agricultural Implications of Fukushima Nuclear Accident (IV), p.33 - 40, 2023/09
To determine the effects of radioactive Cs in suspended matter and fallout on the secondary contamination of Komatsuna was investigated. The radioactive Cs detected for Komatsuna was resulted by not only suspended matters but also deposition of soil particles that bounced up from the ground due to rainfall. Additionally, the secondary contamination of Komatsuna was derived from not only adhesion to plant surfaces but also adsorption into the plant. Dissolved and particulate forms of radioactive Cs were observed in fallout, of which bioavailable fraction might contributed to the secondary contamination.
池之上 翼; 嶋寺 光*; 中西 貴宏; 近藤 明*
Water (Internet), 15(15), p.2734_1 - 2734_18, 2023/08
被引用回数:1 パーセンタイル:0.00(Environmental Sciences)福島第一原子力発電所事故は沿岸海域における堆積物へのCsの蓄積を引き起こした。また、河川から海洋への
Csの供給は沿岸海域における堆積物中の
Csの長期的な挙動に影響を与える可能性がある。福島沿岸の河川流域には大規模な除染地域や避難指示地域が含まれているため、除染作業や農業再開を考慮することは
Csの供給量を予測する上で重要である。そこで本研究は、これらの人間活動の影響を考慮した分布型放射性セシウム予測モデルを用いて、福島沿岸河川から海洋への
Cs供給量の30年間の予測を実施した。結果として、除染地域と避難指示地域のある河川流域では人間活動により、農地、市街地、森林から河川への
Csの流出量は5.0%、海洋への
Cs供給量は6.0%それぞれ減少すると推定された。これらの結果は、人間活動が
Csの流出と供給に与える影響は小さかったことを示している。事故の影響を受けた河川から海底堆積物への
Cs供給量は、事故初期の沿岸海域における堆積物中の
Csの存在量に対して11%から36%に相当すると推定された。したがって、沿岸海域における堆積物中の
Csの長期的な挙動には河川から海洋への
Cs供給が重要なプロセスであることが示唆された。
大貫 敏彦*; Ye, J.*; 加藤 友彰; Liu, J.; 高野 公秀; 香西 直文; 宇都宮 聡*
Environmental Science; Processes & Impacts, 25(7), p.1204 - 1212, 2023/07
被引用回数:2 パーセンタイル:25.29(Chemistry, Analytical)福島第一原子力発電所事故により生成し環境に放出された放射性微粒子に含まれるCsとIの化学状態を明らかにするため、CsIとコンクリートを含む核燃料成分を用いた溶融実験により生成した粒子(CVP)に含まれるCsとIを分析した。CVPは直径が数10mより小さい丸い粒子で、CsとIを含んでいた。2種類の粒子が確認された。一つはCsとIを多く含むもので、CsIが含まれていると推定された。他方はSi量が多く、CsとIの量は少なかった。2種類の粒子に含まれるCsIの大部分は水に溶けた。Siを多く含む粒子からは一部のCsが水に溶けずに残った。これらの結果は、後者の粒子ではSiとともにCsが粒子に取り込まれ、Siによってこの粒子の溶解性が低くなったことを示す。
池之上 翼; 嶋寺 光*; 中西 貴宏; 近藤 明*
Science of the Total Environment, 876, p.162846_1 - 162846_12, 2023/06
被引用回数:5 パーセンタイル:44.52(Environmental Sciences)土地利用のCsの挙動特性を考慮し、阿武隈川流域における
Csの30年間の環境動態シミュレーションを実施した。30年間で海洋へ輸送された
Csは阿武隈川流域の初期沈着量の4.6%に相当し、阿武隈川流域に沈着した
Csの実効半減期は
Csの半減期より3.7年(11.6%)短くなると推定された。これらの結果は事故によって沈着した
Csが数十年残留し続ける可能性があることを示唆するものであった。土地利用における
Csの挙動を分析した結果、2011年における市街地による海洋への
Csの輸送の寄与は、総輸送量の70%に相当すると推定された。一方で、2012年から2040年における農地による輸送の寄与は総輸送量の75%に相当すると推定された。事故後30年間、人間活動のある地域とない地域に残留する
Csの放射性崩壊を除いた削減率は、それぞれ11.5%から17.7%、0.4%から1.4 %と推定された。これらの結果は、過去から将来にかけて人間活動が土地に残留する
Csの減少を促進することを示唆するものであった。
普天間 章; 眞田 幸尚; 長久保 梓; 川崎 義晴*; 岩井 毅行*; 平賀 祥吾*; 萩野谷 仁*; 松永 祐樹*; 圷 雄一郎*; 卜部 嘉*; et al.
JAEA-Technology 2022-027, 148 Pages, 2023/02
2011年3月11日に発生した東北地方太平洋沖地震による津波に起因した東京電力福島第一原子力発電所事故によって、大量の放射性物質が周辺環境に飛散した。事故直後より、放射線の分布を迅速かつ広範囲に測定する手法として、航空機等を用いた空からの測定方法が適用されている。日本原子力研究開発機構では、有人ヘリコプターを使用した航空機モニタリングを福島第一原子力発電所周辺において継続的に実施してきた。本報告書では、令和3年度に実施した福島第一原子力発電所周辺におけるモニタリング結果について取りまとめると共に、過去のモニタリング結果から空間線量率等の変化量を評価し、その変化要因について考察した。また、航空機モニタリングによる空間線量率の計算精度向上に資するために、航空機モニタリングデータを用いて地形の起伏を考慮に入れた解析を行った。地形の起伏を考慮に入れる前後での解析結果を比較し、本手法による精度向上効果を評価した。さらに、空気中のラドン子孫核種の弁別手法を測定結果に適用して、空気中のラドン子孫核種が航空機モニタリングに与える影響について評価した。
池之上 翼; 川村 英之; 上平 雄基
Journal of Nuclear Science and Technology, 60(1), p.61 - 71, 2023/01
被引用回数:0 パーセンタイル:0.00(Nuclear Science & Technology)福島第一原子力発電所から仮想的に放出された溶存放射性核種の海洋拡散について、長期海洋再解析データを用いて数値シミュレーションを実施した。シミュレーション結果に基づいて統計的に解析を行い、海洋における溶存放射性核種の挙動の特徴と傾向を評価した。福島沿岸海域の放出地点における表層流の南北成分と黒潮続流は、それぞれ福島沿岸海域の表層における放射性核種の南北方向の輸送と沖合の表層における放射性核種の東方向の輸送に大きく影響した。沿岸から沖合にかけての表層における運動エネルギーが大きいと表層における放射性核種の拡散範囲が大きくなる傾向があった。夏季(7-9月)には、福島沿岸海域での表層における放射性核種の南向き輸送によって黒潮続流に取り込まれる放射性核種の頻度の増加と表層における運動エネルギーが大きいことにより、表層における放射性核種の拡散範囲が大きくなった。冬季(1-3月)には、福島沿岸海域での表層における放射性核種の北向き輸送によって黒潮続流に取り込まれる放射性核種の頻度の減少と表面運動エネルギーが小さいことにより、表層における放射性核種の拡散範囲が小さくなった。
新里 忠史; 佐々木 祥人; 雨宮 浩樹*
第32回社会地質学シンポジウム論文集, p.13 - 16, 2022/11
福島の森林斜面および渓流におけるセシウム137の流出観測に基づいて、河川のセシウム137流出における森林域に存在するセシウム137の寄与を検討し、土砂流出量およびセシウム137濃度の観点から、比較的寄与が低い可能性を指摘した。
永井 崇之; 岡本 芳浩; 山岸 弘奈*; 小島 一男*; 猪瀬 毅彦*; 佐藤 誠一*; 畠山 清司*
JAEA-Research 2022-008, 37 Pages, 2022/10
ホウケイ酸ガラス中のガラス成分や廃棄物成分の局所構造は、その化学組成によって変化する。本研究は、原料ガラスや模擬廃棄物ガラスを対象に軟X線領域のXAFS測定を実施し、原料ガラス成分のホウ素(B)やケイ素(Si)、廃棄物成分の鉄(Fe)やセシウム(Cs)の化学的状態等を評価した。模擬廃棄物ガラスの化学的安定性を把握するため、浸出試験に供した模擬廃棄物ガラス表面を対象に、FeのL、L
吸収端及びCsのM
、M
吸収端XANESスペクトルを測定した。その結果、浸出時間の経過とともにガラス試料重量の減少や浸出液中の溶出元素濃度の増加が確認された状況と同様、CsのM
、M
吸収端XANESスペクトルが消失し、FeのL
、L
吸収端スペクトル形状が変化することを確認した。また、浸出試験後の模擬廃棄物ガラスは、ラマン分光測定でも観察されたように表面に化合物層を形成するため、明瞭なBのK吸収端XANESスペクトルは得られないことが分かった。Na
O濃度によるSi局所構造への影響を確認するため、Na
O濃度が異なる原料ガラスを対象に、全電子収量法(PEY)でSiのK吸収端XANESスペクトルを測定した。その結果、Na
O濃度が高くなるとSiのK吸収端ピークエネルギーは低下し、7wt%Na
O前後でピーク強度が高くなることを確認した。
関口 哲弘; 横山 啓一; 矢板 毅
e-Journal of Surface Science and Nanotechnology (Internet), 20(3), p.186 - 195, 2022/07
Cs-135を含む長寿命核種の同位体分離に関する技術開発は放射性廃棄物の減容化および中性子照射による長寿命核種の核変換消滅の要素技術として重要である。THzレーザー光をヨウ化セシウム分子Cs(-133/-135)Iに照射することにより同位体選択的な解離反応を引き起こすことができる。しかし問題として、選択的に生成するCs-135原子は安定同位体から成るCs(-133)I分子との衝突により、同位体交換を起こす。よって我々はCs原子のみを選択的に吸蔵材料に回収し、衝突を回避する試みを検討している。Cs原子は炭素(C)吸蔵材料内の数100オングストロームの深部まで侵入する。それに対しCsI分子は材料内に浸透しない。しかし室温ではCsI分子が堆積する問題が残された。本研究では加熱によりCsI堆積を防ぐことを検討した。X線光電子分光(XPS)測定を行い、材料の組成,深さ濃度分布,膜厚を評価した。Cs蒸着後の加熱アニーリング効果およびCs蒸着中の加熱効果を調べた。CsI分子が表面に残らず、Csが炭素材料に残存する可能性について検討した。
石井 弓美子*; 三浦 輝*; Jo, J.*; 辻 英樹*; 斎藤 梨絵; 小荒井 一真; 萩原 大樹; 漆舘 理之*; 錦織 達啓*; 和田 敏裕*; et al.
PLOS ONE (Internet), 17(5), p.e0268629_1 - e0268629_17, 2022/05
被引用回数:7 パーセンタイル:41.40(Multidisciplinary Sciences)本研究では、福島県太田川で採集した解虫性トビケラ(Stenopsyche marmorata)および肉食性ヘビトンボ(Protohermes grandis)幼虫の水生昆虫個体におけるCs放射能濃度のばらつきを調査した。トビケラ幼虫は散発的に高い放射能を示したが、ヘビトンボ幼虫ではばらつきは見られなかった。オートラジオグラフィーと走査型電子顕微鏡による分析から、これらのトビケラ幼虫試料には、不溶性のCs含有ケイ酸塩ガラス粒子である放射性Cs含有微粒子(CsMPs)が含まれていることが確認された。また、CsMPsはトビケラ幼虫の餌となりうるペリフィトンや漂流粒子状有機物にも含まれており、幼虫はCsMPsを同サイズの餌粒子とともに摂取している可能性が示唆された。淡水生態系におけるCsMPsの分布や生物による取り込みは比較的知られていないが、本研究はCsMPsが水生昆虫に取り込まれることを実証している。