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論文

直線偏光放射光を利用した元素及び配向を選択した光分解

関口 哲弘; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 広美*

KEK Proceedings 2001-13, p.24 - 25, 2001/06

本研究会においては最近の研究を紹介するとともに高輝度放射光を用いることにより将来的に拓けるであろう実験研究について議論した。放射光の光子エネルギー連続性と直線偏光性を用い、表面吸着分子の選択励起を行い、真空中に放出される分解反応生成物イオンを観測する実験について述べた。本報告では凝集フッ化ベンゼン(C$$_6$$H$$_5$$F)分子の内殻電子励起による分解反応を中心に述べた。炭素吸収端とフッ素吸収端で大きな分解反応の元素選択性が観測された。分解反応の直線偏光角度依存性実験を行った。C-F結合方向及びベンゼン環平面を規定した内殻電子励起を10,45,90度のX線偏光角度について行った。フッ素内殻電子励起領域においてはC-F解離収量が偏光角度に大きく依存して変化したが、C-H解離収量は偏光角度に依存しない。実験結果はX線励起とその後の緩和,分解が表面分子の配向性に大きな影響を受けることを示した。

論文

Fragmentation and charge-neutralization pathways depending on molecular orientation at surfaces

関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Surface Science, 482-485(Part.1), p.279 - 284, 2001/06

X線が固体に照射されると、(電子励起により)表面層から分解イオンが放出される。この現象は「電子励起に起因する脱離現象」と呼ばれ、熱的に起こる蒸発や剥離現象と区別され、広く研究されている。最終的に脱離する分解生成物は、おもに(1)表面最上層分子の直接的な分解、(2)固体内部からの二次電子による衝突励起など一連の複雑な過程の結果として生じる。さらに周囲分子や基板からの脱励起の影響も顕著に受ける。本研究においては表面での分子構造や結合方向が分解及び脱離過程に密接にかかわっていると考え、放射光の直線偏光を利用して、分子(中のある結合)の配向方向を規定して(X線)電子励起する実験を行った。この実験を行うため超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発した。本報告では凝集ギ酸(HCOOH)分子の内殻電子励起による分解反応について報告する。

論文

Selective fragmentation of surface molecules excited by linearly polarized SR

関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Photon Factory Activity Report 1999, Part B, P. 325, 2000/11

X線照射により固体状分子が分解する場合、表面・界面では表面垂直方向と水平方向で分子のもつ向きにより置かれた化学環境が異なるため、分解過程や最終的な分解生成物パターンや、収量などが異なってくると予想される。これを研究するため、われわれは超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発し、直線偏光をもつパルス放射光を使った実験を行った。双極子遷移選択則を使い、X線により共鳴励起を行うことにより任意の分子軸(または結合軸)方向を持つ分子集団を電子励起することができる。テスト段階として水、ベンゼン、ホルムアミド、ギ酸固体の軟X線照射実験を行った。分子配向に依存して、分解収量が異なる結果などが得られた。

論文

Site-specific fragmentation of acetone adsorbates on Si(100) in the carbon 1s absorption edge

関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治

Surface Science, 454-456, p.363 - 368, 2000/05

 被引用回数:23 パーセンタイル:26.23(Chemistry, Physical)

シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面科学反応はSiC薄膜生成などの応用面からの要請も相俟って活発に進められている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH$$_{3}$$)$$_{2}$$CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH3とC=Oの)二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子~約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(CH$$_{3}$$)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH$$_{n}^{+}$$(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。

論文

Site-specific ion desorption from condensed C- and N-deuterated formamide near the caron and nitrogen K-edge

関口 広美*; 関口 哲弘; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Surface Science, 454-456, p.407 - 411, 2000/05

 被引用回数:5 パーセンタイル:66.16(Chemistry, Physical)

ホルムアミド(HCONH$$_{2}$$)はDNAの主鎖でもあるペプチド結合(-NH-CO-)を持つ最も簡単な分子であるため、それの分光学的性質に関する研究が実験及び理論の両面から非常に勢力的に進められている。本研究においては放射光を用いることにより炭素(C)1s準位または窒素(N)1s準位から非占有分子軌道へ共鳴励起を行い、オージェ電子分光、及び、光刺激脱離収量スペクトルのデータを測定した。重水素置換体(DCONH$$_{2}$$とHCOND$$_{2}$$)を用い、C-H結合とN-H結合での結合切断における選択性を調べた結果、C 1s励起では$$sigma^{*}$$(C-D)共鳴ピークがC-D結合に局在化していること、N 1s励起では$$sigma^{*}$$(N-D)共鳴ピークがN-D結合に局在化していることが結論された。これらのデータは将来、化学結合を選択した生体分子の軟X線顕微鏡観察の基礎となるものと思われる。

論文

固体表面の軟X線光化学

関口 哲弘; 馬場 祐治

放射光, 13(2), p.29 - 37, 2000/04

最近行われた固体表面における軟X線光化学反応研究に関して、実例を交えながら解説した。放射光からの軟X線を固体に照射すると内殻電子励起を初期過程として種々の化学反応が引き起こされる。X線励起エネルギーを変えることにより、特定元素が励起できることに着目し、励起エネルギーに対し分解反応がどのように変化するかを概説した。有機珪素化合物などいくつかの試料における反応選択性の現れ方を断片イオンの生成パターンと生成収量の励起X線エネルギー依存性に基づいて議論した。また分解反応の機構を詳細に調べるためわれわれが最近行った「吸着分子層数依存性」と「直線偏光角度依存性」の実験を紹介し、最新の実験結果を元に、全課程をX線吸収による直接的な「一次過程」と散乱電子等に誘起される「二次過程」に分けそれぞれの寄与を求め、反応モデルを論じた。

論文

Photon-stimulated ion desorption in deuterated formamide adsorbates

関口 広美*; 関口 哲弘; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治

Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 37, 1999/11

放射光を用いることによりホルムアミド(HCONH$$_{2}$$)の炭素(C)1s準位または窒素(N)1s準位から非占有分子軌道へ選択的に共鳴励起することができる。本研究においては二種類の重水素置き換え体(DCONH$$_{2}$$とHCOND$$_{2}$$)を用いることによりC-H結合とN-H結合での結合切断における選択性を調べた。C-H/C-D,C-N,C=0,N-H/N-Dの各結合はC1s又はN1s吸収端において$$sigma^{*}$$(C-H/C-D),$$sigma^{*}$$(C-N),$$sigma^{*}$$(C=0),$$sigma^{*}$$(N-H/N-D)に選択励起できる。結果としてC1s励起から$$sigma^{*}$$(C-N)への共鳴励起ではC-D切断により生じるD$$^{+}$$が増加し、N1s励起から$$sigma^{*}$$(N-D)への共鳴励起ではN-D切断により生じるD$$^{+}$$が増加することが見いだされた。実験結果としては共鳴励起の場合のみ内殻ホールを開けた原子に局在化したイオン性解離が起こっていることを示している。

論文

Extremely high selectivity in fragmentation of (CH$$_{3}$$S)$$_{2}$$ on Si(100) following excitation of adsorbate or substrate core level

関口 哲弘; 馬場 祐治; Li, Y.; Ali, M.

Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 67, 1999/11

放射光のX線エネルギーを変化させることにより特定の元素の内殻電子準位を選択的に励起することができる。これは、例えば、ディジタル・エッチング(薄膜吸着→光照射(反応)$$rightarrow$$薄膜吸着→…を単分子レベルで進行させようというアイデア)に応用できる可能性がある。本研究では表面励起とバルク励起の選択性を見積もるため、シリコン(Si)基板上にイオウ(s)化合物((CH$$_{3}$$S)$$_{2}$$)を吸着させた系に対し、基板(Si 1s)励起と吸着種(S 1s)の内殻励起により引き出される解離反応を調べた。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。結果としてはイオウ原子イオンがあるイオウ内殻共鳴励起で生じ、基板Si励起では検出限界以下という大きな選択性が観測された。励起される吸着分子の数は歴される基板原子数に比べ数桁も小さいにもかかわらず、生成収量は大きいという非常に高い選択性が示された。

論文

Site-specific fragmentation of acetone adsorbates on Si(100) by selective excitation of inequivalent carbons

関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治

Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 68, 1999/11

シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面化学反応はSiCやダイヤモンド薄膜の生成などの応用面に関連するため広く研究されている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH$$_{3}$$)$$_{2}$$CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH$$_{3}$$とC=O)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子$$sim$$約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(-CH$$_{3}$$)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH$$_{n}^{+}$$(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。

論文

Site-specific fragmentation of acetone adsorbates by selective excitation of inequivalent carbons

関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治

Atomic Collision Research in Japan, (25), p.82 - 83, 1999/00

シリコン(Si)半導体上における簡単な有機分子の表面化学反応はSiC薄膜生成などの応用面からの興味も相俟って、活発に行われている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH$$_{3}$$)$$_{2}$$CO)を吸着させた系について放射光の軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH3とC=0)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができる。放射光照射により生じる脱離フラグメントイオンは四重極質量分析により直接検出した。単分子~約50分子吸着層についフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。その結果、メチル基(CH$$_{3}$$)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH$$_{n}^{+}$$(n=0-3)イオンが顕著に生成することが見いだされた。これはこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。

論文

Adsorption structure of formic acid on Si(100) studied by surface NEXAFS

関口 広美*; 関口 哲弘

Surface Science, 433-435, p.549 - 553, 1999/00

 被引用回数:24 パーセンタイル:23.86(Chemistry, Physical)

SiC材料に関連した系であるSi(100)2$$times$$1基板上の単分子吸着ギ酸(HCOO)の構造(結合角)を炭素KVV-オージェ電子収量法によるX線吸収端微細構造(NEXAFS)測定により調べた。NEXAFSスペクトルの各ピーク強度は顕著な偏光角依存性を示した。観測された4本の共鳴ピークは吸着フォルメート(HCOO)の分子面外遷移($$pi$$$$^{ast}$$)と3本の分子面内遷移($$sigma$$$$^{ast}$$)と帰属された。双極子遷移の選択則からCHO分子面は表面垂直($$<$$100$$>$$方向)に対し21$$pm$$2°傾いていると結論された。電子線回折実験によると気相HCOOSiH$$_{3}$$分子のO=C-O-Siの二面体角は21°であり、吸着種のCHO面の傾き角とよく一致している。ギ酸メチル(HCOOCH$$_{3}$$)では相当するねじれ構造はなく、この違いはSi-O$$sigma$$結合にイオン性寄与があることに起因すると示唆された。

論文

Adsorbate-substrate interaction in photofragmentation of trimethylsilylfluoride (Si(CH$$_{3}$$)$$_{3}$$F) physisorbed on Cu(111) following Si K-Shell excitation

関口 哲弘; 馬場 祐治

Surface Science, 433-435, p.849 - 853, 1999/00

 被引用回数:14 パーセンタイル:37.58(Chemistry, Physical)

内殻励起領域でのイオン脱離反応における吸着環境の影響を調べた。試料としてSi-F結合とSi-C結合の選択励起のできるSi(CH$$_{3}$$)$$_{3}$$F(SiMe$$_{3}$$F)を使用し、低温冷却したCu表面上にSiMe$$_{3}$$Fを吸着量を制御して吸着させた。Si K殻励起領域の脱離イオン収量スペクトル及び質量スペクトルを種々の吸着量について測定した。単分子吸着系では軽いイオンが観測され、$$sigma$$$$ast$$$$_{Si-F}$$空軌道への共鳴励起によりF$$^{+}$$脱離収量が増加した。多層吸着では重いイオンが顕著に脱離し、収量の励起エネルギー依存性がほとんどない。単分子吸着系では基板との相互作用による脱励起過程が顕著であることにより励起状態の反結合性がより重要となる。多分子層ではイオン収量は終状態の性質よりむしろ平均電荷数により決まる。約3分子層吸着すると生成物パターンは大きく変化した。これは吸着種-基板間相互作用から分子間相互作用に敏感に変化したことを示す。

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